(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098768
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】箔転写装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/06 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
B65H3/06 350A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212350
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】堀川 竜太郎
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC03
3F343GA02
3F343GB02
3F343GC01
3F343GD01
3F343JA01
3F343KB04
3F343LC19
3F343MA03
3F343MA26
3F343MB03
3F343MB13
3F343MC08
3F343MC23
(57)【要約】
【課題】第1のシートの後端部と第2のシートの前端部が重なった状態で第1のシートと第2のシートが搬送されるのを抑制することができる箔転写装置を提供する。
【解決手段】箔転写装置は、ピックアップローラ11Aと、シートSを検知する後端検知センサSS1と、搬送方向において後端検知センサSS1の上流、かつ、幅方向において後端検知センサSS1と異なる位置に配置された幅検知センサSS2と、制御部とを備える。制御部は、第1のシートS1を供給した後、幅検知センサSS2が第1のシートS1を検知しなくなったタイミングで第2のシートS2を供給する。制御部は、第2のシートS2の供給を開始してから所定時間が経過したタイミングで後端検知センサSS1が第1のシートS1を検知している場合、第2のシートS2の供給を停止し、後端検知センサSS1が第1のシートS1を検知しなくなったタイミングで第2のシートS2の供給を再開する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、シートに箔を転写する箔転写装置であって、
シートに箔を転写する転写部と、
前記転写部に向けてシートを供給する供給ローラと、
シートの搬送方向において前記供給ローラの下流に配置され、前記転写部に向けて供給されるシートを検知する第1シートセンサと、
前記搬送方向において前記供給ローラの下流に配置され、前記転写部に向けて供給されるシートを検知する第2シートセンサであって、前記搬送方向において前記第1シートセンサの上流、かつ、前記搬送方向に直交するシートの幅方向において前記第1シートセンサと異なる位置に配置された第2シートセンサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記供給ローラを制御して、第1のシートを供給した後、前記第2シートセンサが第1のシートを検知しなくなったタイミングで第1のシートの次の第2のシートを供給し、
第2のシートの供給を開始してから所定時間が経過したタイミングで前記第1シートセンサが第1のシートを検知している場合、前記供給ローラを制御して、第2のシートの供給を停止し、前記第1シートセンサが第1のシートを検知しなくなったタイミングで第2のシートの供給を再開することを特徴とする箔転写装置。
【請求項2】
前記所定時間は、搬送されるシートが前記搬送方向における前記第2シートセンサの位置から前記第1シートセンサの位置までの距離だけ移動する時間であることを特徴とする請求項1に記載の箔転写装置。
【請求項3】
前記制御部は、第1のシートの供給を開始した後、前記第1シートセンサが第1のシートを検知してから第1のシートを検知しなくなるまでの間に、前記第2シートセンサが第1のシートを検知しなかった場合、第1のシートの次の第2のシートを、前記供給ローラを制御して、前記第1シートセンサが第1のシートを検知しなくなったタイミングで供給することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項4】
前記第2シートセンサは、前記幅方向において前記第1シートセンサよりも前記転写部の中央から遠い位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項5】
前記第1シートセンサは、前記幅方向において前記転写部の端よりも中央に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、シートに箔を転写する箔転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、箔転写装置として、シートに箔を転写する転写部と、転写部に向けてシートを供給する供給ローラと、転写部に向けて供給されるシートを検知するシートセンサを備えるものが知られている(特許文献1参照)。この技術では、シートセンサは、シートの幅方向においてシートの搬送経路の中央に位置する中央シートセンサと、シートの幅方向においてシートの搬送経路の中央から一定の距離だけ離れた位置に位置するサイドシートセンサとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、中央シートセンサおよびサイドシートセンサの一方を他方よりもシートの搬送方向において上流に配置し、第1のシートと、第1のシートの次の第2のシートを連続して供給する場合に、第1のシートを供給した後、上流のシートセンサが第1のシートを検知しなくなったタイミングで第2のシートを供給すると、第1のシートと第2のシートの間隔を短くすることができる。これにより、例えば、箔転写装置では、複数のシートに連続して箔を転写する場合の印刷時間を短くしたり、シート間において箔フィルムが搬送される場合の箔フィルムの無駄を減らしたりすることができる。
【0005】
一方で、第1のシートが、矩形状ではなく、例えば、下流のシートセンサにより検知される第1部分の後端部が、上流のシートセンサにより検知される第2部分の後端よりもシートの搬送方向において上流に位置するような特殊な形状である場合、上流のシートセンサが第1のシート(第2部分)を検知しなくなったタイミングで第2のシートを供給すると、第1のシート(第1部分)の後端部と第2のシートの前端部が重なった状態で第1のシートと第2のシートが搬送される可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、第1のシートの後端部と第2のシートの前端部が重なった状態で第1のシートと第2のシートが搬送されるのを抑制することができる箔転写装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するため、箔転写装置は、箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、シートに箔を転写する箔転写装置であって、シートに箔を転写する転写部と、転写部に向けてシートを供給する供給ローラと、シートの搬送方向において供給ローラの下流に配置され、転写部に向けて供給されるシートを検知する第1シートセンサと、搬送方向において供給ローラの下流に配置され、転写部に向けて供給されるシートを検知する第2シートセンサであって、搬送方向において第1シートセンサの上流、かつ、搬送方向に直交するシートの幅方向において第1シートセンサと異なる位置に配置された第2シートセンサと、制御部と、を備える。
制御部は、供給ローラを制御して、第1のシートを供給した後、第2シートセンサが第1のシートを検知しなくなったタイミングで第1のシートの次の第2のシートを供給する。
制御部は、第2のシートの供給を開始してから所定時間が経過したタイミングで第1シートセンサが第1のシートを検知している場合、供給ローラを制御して、第2のシートの供給を停止し、第1シートセンサが第1のシートを検知しなくなったタイミングで第2のシートの供給を再開する。
【0008】
このような構成によれば、第2のシートの供給を開始してから所定時間が経過したタイミングで第1シートセンサがまだ第1のシートを検知している場合、第1のシートの後端部と第2のシートの前端部が重なっている可能性があるので、第2のシートの供給を一時的に停止し、第1シートセンサが第1のシートを検知しなくなったタイミングで第2のシートの供給を再開することで、第1のシートの後端部と第2のシートの前端部が重なった状態で第1のシートと第2のシートが搬送されるのを抑制することができる。
【0009】
前記した箔転写装置において、所定時間は、搬送されるシートが搬送方向における第2シートセンサの位置から第1シートセンサの位置までの距離だけ移動する時間とすることができる。
【0010】
前記した箔転写装置において、制御部は、第1のシートの供給を開始した後、第1シートセンサが第1のシートを検知してから第1のシートを検知しなくなるまでの間に、第2シートセンサが第1のシートを検知しなかった場合、第1のシートの次の第2のシートを、供給ローラを制御して、第1シートセンサが第1のシートを検知しなくなったタイミングで供給する構成とすることができる。
【0011】
これによれば、第2シートセンサにより検知されない幅を有するシートであっても、第1シートセンサの検知結果を用いて供給することができる。
【0012】
前記した箔転写装置において、第2シートセンサは、幅方向において第1シートセンサよりも転写部の中央から遠い位置に配置されている構成とすることができる。
【0013】
前記した箔転写装置において、第1シートセンサは、幅方向において転写部の端よりも中央に近い位置に配置されている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1のシートの後端部と第2のシートの前端部が重なった状態で第1のシートと第2のシートが搬送されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る箔転写装置を示す図(a)と、箔フィルムの構成を示す断面図(b)である。
【
図2】カバーを開いた状態の箔転写装置を示す図である。
【
図3】シートを検知するセンサの配置を示す図である。
【
図4】第2のシートの供給開始のタイミングを説明する図(a)~(c)である。
【
図5】第2のシートについて、供給開始のタイミングを説明する図(a)と、一時停止のタイミングを説明する図(b)と、供給再開のタイミングを説明する図(c)である。
【
図6】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、方向は、
図1(a)に示す方向で説明する。すなわち、
図1(a)の右側を「前」とし、左側を「後」とし、紙面手前側を「左」とし、紙面奥側を「右」とする。また、
図1(a)の上下を「上下」とする。
【0017】
図1(a)に示すように、箔転写装置1は、箔を含む箔フィルムFにシートSを重ねて、シートSに箔を転写するための装置である。箔転写装置1は、例えば、レーザプリンタなどの画像形成装置によってシートS上に形成されたトナー像の上にアルミニウムなどの箔を転写することで、シートSに箔の画像を形成する。箔転写装置1は、筐体2と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、転写部50とを備えている。
【0018】
筐体2は、樹脂などからなり、筐体本体21と、カバー22とを備えている。
筐体本体21は、上部に開口21A(
図2参照)を有している。開口21Aは、筐体本体21に後述するフィルムユニットFUを着脱するための開口である。
カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、筐体本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを塞ぐ閉位置と、開口21Aを開放する開位置(
図2参照)との間で回動可能である。
【0019】
シート搬送部10は、シート供給装置11と、シート排出装置12とを備えている。
シート供給装置11は、後述するシートトレイ3上のシートSを1枚ずつ転写部50に供給する装置である。シート供給装置11は、シートトレイ3と、供給ローラの一例としてのピックアップローラ11Aと、リタードローラ11Bと、搬送ローラ11Cとを備えている。
【0020】
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルムなどのシートSが載置されるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。シートSは、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上に載置される。
【0021】
ピックアップローラ11Aは、シートトレイ3上のシートSを転写部50に向けて供給するためのローラである。
【0022】
リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aによって搬送されるシートSを1枚に分離するためのローラである。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aの上に配置されている。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSの上に重なっているシートSをシートトレイ3に向けて戻す方向に回転可能となっている。
【0023】
搬送ローラ11Cは、一対のローラからなり、一対のローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。搬送ローラ11Cは、ピックアップローラ11Aと転写部50との間に配置され、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSを転写部50に搬送する。
【0024】
シート排出装置12は、転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する装置である。シート排出装置12は、中間排出ローラ12Aと、排出ローラ12Bとを備えている。中間排出ローラ12Aおよび排出ローラ12Bは、それぞれ、一対のローラからなり、一対のローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。
【0025】
中間排出ローラ12Aは、転写部50から送り出されるシートSを排出ローラ12Bに向けて搬送するためのローラである。中間排出ローラ12Aは、搬送方向において、転写部50の下流に配置されている。なお、以下の説明では、シートSの搬送方向を、単に「搬送方向」ともいう。
【0026】
排出ローラ12Bは、中間排出ローラ12Aで送り出されるシートSを筐体2の外に向けて排出するためのローラである。排出ローラ12Bは、搬送方向において、中間排出ローラ12Aの下流に配置されている。
【0027】
フィルム供給部30は、シート供給装置11から搬送されたシートSに重ねるように箔フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムユニットFUと、モータ80を備えている。
【0028】
フィルムユニットFUは、
図2に示すように、筐体本体21に上から着脱可能となっている。フィルムユニットFUは、供給リール31と、巻取リール35と、第1案内軸41と、第2案内軸42と、第3案内軸43とを備えている。フィルムユニットFUの供給リール31には、箔フィルムFが巻回されている。
【0029】
図1(b)に示すように、箔フィルムFは、支持層F1と、被支持層F2とを有する。
支持層F1は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層F2を支持している。
【0030】
被支持層F2は、剥離層F21と、転写層F22と、接着層F23とを有する。
剥離層F21は、支持層F1から転写層F22を剥離しやすくするための層であり、支持層F1と転写層F22との間に配置されている。剥離層F21は、支持層F1から剥離しやすい透明な材料、例えば、ワックス系樹脂を含んでいる。
【0031】
転写層F22は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウムなどの薄い金属である。また、転写層F22は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層F22は、剥離層F21と接着層F23との間に配置されている。
【0032】
接着層F23は、転写層F22をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層F23は、転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば、塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
【0033】
図1(a)に示すように、供給リール31は、樹脂などからなり、箔フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。供給軸部31Aには、箔フィルムFの一端が固定されている。
巻取リール35は、樹脂などからなり、箔フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。巻取軸部35Aには、箔フィルムFの他端が固定されている。
【0034】
なお、
図1(a)などにおいては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に箔フィルムFが最大に巻回された状態を図示することとする。実際には、フィルムユニットFUが新品の状態においては、供給リール31に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最大となっており、巻取リール35には箔フィルムFが巻回されていない、もしくは、巻取リール35に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最小となっている。また、フィルムユニットFUの寿命時(箔フィルムFを使い切ったとき)においては、巻取リール35に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最大となり、供給リール31には箔フィルムFが巻回されていない、もしくは、供給リール31に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最小となる。
【0035】
第1案内軸41、第2案内軸42および第3案内軸43は、箔フィルムFの進行方向を変更するためのローラ状の軸である。第1案内軸41、第2案内軸42および第3案内軸43は、SUS(ステンレス鋼)などからなっている。
【0036】
第1案内軸41は、シートSの搬送方向において、転写部50の上流に位置する。第1案内軸41は、供給リール31から引き出される箔フィルムFの進行方向を、シートSの搬送方向と略平行となるように変更する。第1案内軸41によって案内される箔フィルムFは、被支持層F2(
図1(b)参照)を上に向けた状態で、転写部50に向けて搬送される。また、シートSは、被支持層F2が上に向いた状態の箔フィルムFの上に重ねられて、箔フィルムFとともに転写部50に向けて搬送される。
【0037】
第2案内軸42は、シートSの搬送方向において、転写部50の下流に位置する。第2案内軸42は、転写部50を通過した箔フィルムFの進行方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更することで、箔フィルムFをシートSから剥離させる。
【0038】
第3案内軸43は、第2案内軸42によって変更される箔フィルムFの進行方向を規定する部材である。詳しくは、第3案内軸43は、シートSから箔フィルムFを剥離させるときの箔フィルムFの角度である剥離角度を規定している。ここで、剥離角度は、箔フィルムFのうち、第1案内軸41と第2案内軸42の間で張架される部分と、第2案内軸42と第3案内軸43の間で張架される部分とのなす角である。第3案内軸43は、第2案内軸42で案内された箔フィルムFの進行方向を変更して巻取リール35に案内する。
【0039】
フィルムユニットFUを箔転写装置1に装着した状態において、巻取リール35は、筐体2に設けられたモータ80によって図示反時計回りに回転駆動される。巻取リール35が回転すると、供給リール31に巻回された箔フィルムFが引き出され、引き出された箔フィルムFが各案内軸41~43で案内されて巻取リール35に巻き取られていく。詳しくは、箔転写中において、加圧ローラ51と加熱ローラ61によって箔フィルムFが送り出されることで、供給リール31から箔フィルムFが引き出される。そして、加圧ローラ51と加熱ローラ61から送り出された箔フィルムFが、巻取リール35に巻き取られていく。
【0040】
転写部50は、シートSに画像を形成するための部分である。詳しくは、転写部50は、シートSと箔フィルムFを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の上に箔(転写層F22)を転写して、シートSに箔の画像を形成する。転写部50は、加圧ローラ51と、加熱ローラ61と、圧接離間機構70とを備えている。転写部50は、加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部において、シートSと箔フィルムFを重ねて加熱および加圧する。
【0041】
加圧ローラ51は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ51は、箔フィルムFの上側に配置され、シートSの裏面(トナー像が形成された面である表面と反対側の面)と接触可能となっている。加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間でシートSおよび箔フィルムFを挟み、モータ80によって回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。
【0042】
加熱ローラ61は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータHを配置したローラであり、箔フィルムFおよびシートSを加熱している。加熱ローラ61は、箔フィルムFの下側に配置され、箔フィルムFと接触している。加熱ローラ61は、箔フィルムFおよびシートSを加熱する。
【0043】
圧接離間機構70は、加熱ローラ61および加圧ローラ51のうち一方のローラを、他方のローラに圧接した圧接位置と、他方のローラから離間した離間位置との間で移動させるための機構である。本実施形態において、圧接離間機構70は、加熱ローラ61を、
図1に実線で示す圧接位置と、
図1に仮想線で示す離間位置との間で移動させる構成となっている。本実施形態において、圧接位置は、加熱ローラ61が加圧ローラ51に圧接した位置であり、離間位置は、加熱ローラ61が加圧ローラ51から離間した位置である。
【0044】
このように構成された箔転写装置1では、シートSの表面を下向きにしてシートトレイ3に載置されたシートSが、シート供給装置11により1枚ずつ転写部50に向けて搬送される。シートSは、転写部50の搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された箔フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と箔フィルムFの被支持層F2とが接触した状態で転写部50に搬送される。
【0045】
転写部50においては、シートSと箔フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、トナー像の上に箔(被支持層F2)が転写される。
【0046】
箔が転写された後、シートSと箔フィルムFは貼り付いた状態で第2案内軸42まで搬送される。シートSと箔フィルムFが第2案内軸42を通過すると、箔フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから箔フィルムFが剥離、すなわち、トナー像に接着した被支持層F2が、箔フィルムFの支持層F1から剥離される。
【0047】
シートSから剥離され、シートS上のトナー像に接着した被支持層F2から剥離した支持層F1を含む箔フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、箔フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出装置12によって、箔が転写された表面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
【0048】
図3に示すように、シート供給装置11は、第1シートセンサの一例としての後端検知センサSS1と、第2シートセンサの一例としての幅検知センサSS2と、セット検知センサSS3と、排出センサSS4と、制御部100(
図1参照)とをさらに備えている。なお、以下の説明では、シートSの搬送方向に直交する方向であるシートSの幅方向を、単に「幅方向」ともいう。本実施形態において、幅方向は、左右方向に相当する。
【0049】
後端検知センサSS1および幅検知センサSS2は、転写部50に向けて供給されるシートSを検知するためのセンサである。セット検知センサSS3は、シートトレイ3に載置されるシートSを検知するためのセンサである。箔転写装置1では、セット検知センサSS3によりシートトレイ3にシートSが載置されているか否かを検知可能である。排出センサSS4は、転写部50から送り出されるシートSを検知するためのセンサである。
【0050】
ここで、センサSS1~SS4としては、例えば、シートSが接触することで回動するレバーと、レバーの位置を検知する光センサとからなるセンサを用いることができる。
【0051】
後端検知センサSS1、幅検知センサSS2およびセット検知センサSS3は、搬送方向において、転写部50の上流に配置されている。また、後端検知センサSS1、幅検知センサSS2および排出センサSS4は、搬送方向において、ピックアップローラ11Aの下流に配置されている。また、排出センサSS4は、搬送方向において、転写部50の下流に配置されている。
【0052】
詳しくは、後端検知センサSS1および幅検知センサSS2は、搬送方向において、ピックアップローラ11Aと転写部50の間に配置されている。より詳しくは、後端検知センサSS1および幅検知センサSS2は、搬送方向において、ピックアップローラ11Aと搬送ローラ11Cの間に配置されている。
【0053】
また、後端検知センサSS1は、幅方向において、転写部50の端よりも中央に近い位置に配置されている。具体的には、後端検知センサSS1は、幅方向において、加熱ローラ61の中心C付近に配置されている。
【0054】
幅検知センサSS2は、搬送方向において、後端検知センサSS1の上流に配置されている。また、幅検知センサSS2は、幅方向において、後端検知センサSS1と異なる位置に配置されている。具体的には、幅検知センサSS2は、幅方向において、後端検知センサSS1よりも転写部50の中央から遠い位置に配置されている。より具体的には、幅検知センサSS2は、幅方向において、加熱ローラ61の中心Cと左端部の間に配置されている。
【0055】
本実施形態において、箔転写装置1は、レターサイズやA4サイズ、A5サイズなどの定形サイズのシートSを、幅方向における転写部50(加熱ローラ61)の中心Cを搬送中心として搬送するように構成されている。幅検知センサSS2は、一例として、幅方向において、A5サイズ以上の幅のシートSを検知することはできるが、A6サイズ以下の幅のシートSを検知することはできないような位置に配置されている。
【0056】
セット検知センサSS3は、搬送方向において、後端検知センサSS1および幅検知センサSS2の上流に配置されている。詳しくは、セット検知センサSS3は、搬送方向において、ピックアップローラ11Aの上流に配置されている。具体的には、セット検知センサSS3は、シートトレイ3に設けられている。また、セット検知センサSS3は、幅方向において、加熱ローラ61の中心Cに対し右にずれた位置に配置されている。
【0057】
排出センサSS4は、搬送方向において、転写部50と排出ローラ12Bの間に配置されている。より詳しくは、排出センサSS4は、搬送方向において、中間排出ローラ12Aと排出ローラ12Bの間に配置されている。また、排出センサSS4は、幅方向において、転写部50の端よりも中央に近い位置に配置されている。具体的には、排出センサSS4は、幅方向において、加熱ローラ61の中心C付近に配置されている。
【0058】
本実施形態において、センサSS1~SS4は、シートSを検知しているときに検知信号を制御部100に出力し、シートSを検知していないときに非検知信号を制御部100に出力する。このため、制御部100に出力される信号が非検知信号から検知信号に切り替わったときがシートSを検知したときとなり、制御部100に出力される信号が検知信号から非検知信号に切り替わったときがシートSを検知しなくなったときとなる。なお、検知信号と非検知信号は、どちらの電圧が高くても構わない。
【0059】
制御部100(
図1(a)参照)は、CPU、RAM、ROM、入出力回路などを備えており、ROMなどに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。
【0060】
本実施形態において、制御部100は、シートトレイ3に載置された複数のシートSを連続して供給する場合、以下で説明するタイミングで、第1のシートS、第1のシートSの次の第2のシートSを順次、転写部50に向けて供給する。なお、第1のシートSは、最初に供給される1枚目のシートSである場合もあるし、2枚目以降のシートSである場合もある。後で参照する
図4および
図5においては、第1のシートSを「S1」、第2のシートSを「S2」と表記している。
【0061】
制御部100は、第1のシートSが1枚目のシートSである場合、箔転写開始の指令を受信した後、まず、箔転写準備処理を実行し、箔転写準備処理が終了したタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第1のシートSを転写部50に向けて供給する。制御部100は、箔転写準備処理において、例えば、各ローラ11B,11C,51,12A,12Bを回転させたり、圧接離間機構70を制御して加熱ローラ61を圧接位置に移動させたり、加熱ローラ61のヒータHを制御して転写部50を箔転写のための所定の温度に加熱したりする。
【0062】
また、制御部100は、第1のシートSが2枚目以降のシートSである場合、ピックアップローラ11Aを制御して、前のシートSを供給した後、幅検知センサSS2が前のシートSを検知しなくなったタイミングで第1のシートSを供給する。具体的には、制御部100は、前のシートSの供給を開始し、幅検知センサSS2が前のシートSを検知して検知信号を出力した後、幅検知センサSS2から出力される信号が検知信号から非検知信号に切り替わったタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第1のシートSを転写部50に向けて供給する。
【0063】
また、第1のシートSの次の第2のシートSについては、第1のシートSが2枚目以降のシートSである場合と同様のタイミングで、第2のシートSを転写部50に向けて供給する。すなわち、制御部100は、ピックアップローラ11Aを制御して、第1のシートSを供給した後、幅検知センサSS2が第1のシートSを検知しなくなったタイミングで第2のシートSを供給する。
【0064】
具体的には、
図4(a),(b)に示すように、制御部100が第1のシートS(S1)の供給を開始すると、第1のシートS(S1)が幅検知センサSS2で検知されて幅検知センサSS2から出力される信号が非検知信号から検知信号に切り替わる。その後、制御部100は、第1のシートS(S1)の後端が幅検知センサSS2を抜けて幅検知センサSS2から出力される信号が検知信号から非検知信号に切り替わったタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第2のシートS(S2)を転写部50に向けて供給する。
【0065】
ここでの第1のシートSは、典型的には、
図4(a)に示すように、矩形状であって、後端検知センサSS1と幅検知センサSS2の両方で検知可能な幅(幅方向の大きさ)を有する、幅広のシートSである。一例として、幅広のシートSは、A4サイズやA5サイズなどの定形サイズのシートSである。
【0066】
また、ここでの第1のシートSは、例えば、
図4(b)に示すように、矩形状ではない、特殊な形状のシートSであるが、幅検知センサSS2により検知される第2部分P21の後端部が、後端検知センサSS1により検知される第1部分P11の後端よりも搬送方向において上流に位置するような形状のシートSである場合もある。
【0067】
また、本実施形態において、制御部100は、第2のシートSについて、第1のシートSの供給を開始した後、後端検知センサSS1が第1のシートSを検知してから第1のシートSを検知しなくなるまでの間に、幅検知センサSS2が第1のシートSを検知しなかった場合、第2のシートSを、ピックアップローラ11Aを制御して、後端検知センサSS1が第1のシートSを検知しなくなったタイミングで供給する。
【0068】
具体的には、
図4(c)に示すように、制御部100は、第1のシートS(S1)の供給を開始した後、第1のシートS(S1)が後端検知センサSS1で検知されて後端検知センサSS1から検知信号が出力されてから、第1のシートS(S1)の後端が後端検知センサSS1を抜けて後端検知センサSS1から非検知信号が出力されるまでの間に、第1のシートS(S1)が幅検知センサSS2で検知されず、幅検知センサSS2から出力される信号が非検知信号から変化しなかった場合、後端検知センサSS1から出力される信号が検知信号から非検知信号に切り替わったタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第2のシートS(S2)を転写部50に向けて供給する。
【0069】
ここでの第1のシートSは、例えば、
図4(c)に示すように、後端検知センサSS1により検知されるが、幅検知センサSS2により検知されない幅を有する、幅狭のシートSである。一例として、幅狭のシートSは、A6サイズ以下の幅のシートSである。このようなシートSの場合、後端検知センサSS1から検知信号が出力されてから非検知信号が出力されるまでの間に、幅検知センサSS2から出力される信号が非検知信号から変化しない。
【0070】
制御部100は、第2のシートSの供給を開始してから所定時間tp1が経過したタイミングで後端検知センサSS1が第1のシートSを検知している場合、ピックアップローラ11Aを制御して、第2のシートSの供給を停止する。そして、制御部100は、ピックアップローラ11Aを制御して、後端検知センサSS1が第1のシートSを検知しなくなったタイミングで第2のシートSの供給を再開する。
【0071】
具体的には、
図5(a)に示すように、制御部100が第1のシートS(S1)の供給を開始すると、第1のシートS(S1)が幅検知センサSS2で検知されて幅検知センサSS2から出力される信号が非検知信号から検知信号に切り替わる。また、第1のシートS(S1)が後端検知センサSS1で検知されて後端検知センサSS1から出力される信号が非検知信号から検知信号に切り替わる。
【0072】
その後、制御部100は、第1のシートS(S1)の後端が幅検知センサSS2を抜けて幅検知センサSS2から出力される信号が検知信号から非検知信号に切り替わったタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第2のシートS(S2)の転写部50への供給を開始する。
【0073】
その後、
図5(b)に示すように、制御部100は、第2のシートS(S2)の供給を開始してから所定時間tp1が経過したタイミングで、後端検知センサSS1が第1のシートS(S1)を検知し続けていて後端検知センサSS1から検知信号が出力され続けている場合、ピックアップローラ11Aを停止させ、第2のシートS(S2)の供給を一時的に停止する。
【0074】
このとき、第1のシートS(S1)については、搬送方向においてピックアップローラ11Aの下流に位置する搬送ローラ11C(
図3参照)などが回転し続けることにより搬送が継続される。第1のシートS(S1)は、搬送ローラ11Cなどの搬送力によってリタードローラ11Bと、停止したピックアップローラ11Aとの間から引っ張り出されて搬送される。
【0075】
その後、
図5(c)に示すように、制御部100は、第1のシートS(S1)の後端が後端検知センサSS1を抜けて後端検知センサSS1から出力される信号が検知信号から非検知信号に切り替わったタイミングでピックアップローラ11Aを再び回転させ、第2のシートS(S2)の供給を再開する。
【0076】
本実施形態において、所定時間tp1は、ピックアップローラ11Aにより搬送されるシートSが搬送方向における幅検知センサSS2の位置から後端検知センサSS1の位置までの距離D1(
図5(b)参照)だけ移動する時間である。
【0077】
ここでの第1のシートSは、例えば、
図5(b)に示すように、後端検知センサSS1により検知される第1部分P12の後端部が、幅検知センサSS2により検知される第2部分P22の後端よりも搬送方向において上流に位置するような、特殊な形状のシートSである。詳しくは、第1のシートSは、搬送方向において、第2部分P22の後端から第1部分P12の後端までの長さが距離D1よりも大きいシートSである。このようなシートSの場合、第1のシートSの第2部分P22の後端が幅検知センサSS2を抜けて幅検知センサSS2から出力される信号が検知信号から非検知信号に切り替わってから所定時間tp1が経過したときも、第1のシートSの第1部分P12が後端検知センサSS1で検知され続け、後端検知センサSS1から検知信号が出力され続ける。
【0078】
次に、制御部100の動作の一例について、
図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
図6に示すように、制御部100は、箔転写開始の指令を受信すると、箔転写準備処理を実行する(S11)。箔転写準備処理が終了した後、制御部100は、ピックアップローラ11Aを回転させて1枚目のシートSの供給を開始する(S12)。
【0079】
その後、制御部100は、幅検知センサSS2がシート(第1のシート)Sを検知したか否かを判定する(S21)。幅検知センサSS2がシート(第1のシート)Sを検知した場合(S21,Yes)、制御部100は、ステップS24の処理に進む。
【0080】
ステップS21において、幅検知センサSS2がシート(第1のシート)Sを検知していない場合(No)、制御部100は、後端検知センサSS1がシート(第1のシート)Sを検知したか否かを判定する(S22)。後端検知センサSS1がシート(第1のシート)Sを検知していない場合(S22,No)、制御部100は、ステップS21の処理に戻る。ステップS22において、後端検知センサSS1がシート(第1のシート)Sを検知した場合(Yes)、制御部100は、幅検知センサSS2がシート(第1のシート)Sを検知したか否かを判定する(S23)。
【0081】
ステップS23において、幅検知センサSS2がシート(第1のシート)Sを検知した場合(Yes)、制御部100は、ステップS24の処理に進む。
【0082】
ステップS24において、制御部100は、幅検知センサSS2がシート(第1のシート)Sを検知しなくなったか否かを判定する。そして、幅検知センサSS2がシート(第1のシート)Sを検知しなくなった場合(S24,Yes)、制御部100は、セット検知センサSS3がシートSを検知しているか否かを判定する(S25)。セット検知センサSS3がシートSを検知している場合(S25,Yes)、次のシートSがシートトレイ3に載置されているので、制御部100は、ピックアップローラ11Aを回転させて次のシート(第2のシート)Sの供給を開始する(S26)。
【0083】
その後、制御部100は、次のシート(第2のシート)Sの供給を開始してから所定時間tp1が経過したか否かを判定する(S31)。そして、所定時間tp1が経過した場合(S31,Yes)、制御部100は、後端検知センサSS1がシート(第1のシート)Sを検知しているか否かを判定する(S32)。後端検知センサSS1がシート(第1のシート)Sを検知していない場合(S32,No)、制御部100は、ステップS21の処理に戻る。
【0084】
ステップS32において、シート(第1のシート)Sが
図5に示したような特殊な形状のシートSであり、後端検知センサSS1が当該シート(第1のシート)Sを検知している場合(Yes)、制御部100は、後続のシート(第2のシート)Sの供給を一時的に停止する(S33)。その後、制御部100は、後端検知センサSS1が先行するシート(第1のシート)Sを検知しなくなったか否かを判定する(S34)。そして、後端検知センサSS1が先行するシート(第1のシート)Sを検知しなくなった場合(S34,Yes)、制御部100は、後続のシート(第2のシート)Sの供給を再開し(S35)、ステップS21の処理に戻る。
【0085】
ステップS23において、幅検知センサSS2がシート(第1のシート)Sを検知していない場合(No)、制御部100は、後端検知センサSS1がシート(第1のシート)Sを検知しなくなったか否かを判定する(S27)。後端検知センサSS1がシート(第1のシート)Sを検知している場合(S27,No)、制御部100は、ステップS23の処理に戻る。
【0086】
ステップS27において、シート(第1のシート)Sが
図4(c)に示したような幅狭のシートSであり、幅検知センサSS2が当該シート(第1のシート)Sを検知することなく、後端検知センサSS1が当該シート(第1のシート)Sを検知しなくなった場合(Yes)、制御部100は、セット検知センサSS3がシートSを検知しているか否かを判定する(S28)。そして、セット検知センサSS3がシートSを検知している場合(S28,Yes)、次のシートSがシートトレイ3に載置されているので、制御部100は、ピックアップローラ11Aを回転させて次のシート(第2のシート)Sの供給を開始し(S29)、ステップS21の処理に戻る。
【0087】
ステップS25およびステップS28において、セット検知センサSS3がシートSを検知していない場合(No)、シートSがシートトレイ3に載置されていないので、制御部100は、排出センサSS4がシートSを検知しなくなってから第2の所定時間tp2が経過したか否かを判定する(S41)。ここで、第2の所定時間tp2は、排出ローラ12Bによって搬送されるシートSが筐体2の外に排出されるのに十分な時間に設定されている。
【0088】
ステップS41において、第2の所定時間tp2が経過した場合(Yes)、最後のシートSが筐体2の外に排出されているので、制御部100は、箔転写終了処理を実行する(S42)。制御部100は、箔転写終了処理において、例えば、加熱ローラ61のヒータHを制御して転写部50の温度を下げたり、圧接離間機構70を制御して加熱ローラ61を加圧ローラ51から離間する離間位置に移動させたり、各ローラ11B,11C,51,12A,12Bの回転を停止させたりする。箔転写終了処理が終了した後、制御部100は、処理を終了する。
【0089】
以上説明した本実施形態によれば、第1のシートSの後端部と第2のシートSの前端部が重なった状態で第1のシートSと第2のシートSが搬送されるのを抑制することができる。
【0090】
詳しくは、
図5(a)に示すように、第2のシートS(S2)の供給を開始し、
図5(b)に示すように、それから所定時間tp1が経過したタイミングで後端検知センサSS1がまだ第1のシートS(S1)を検知している場合、第1のシートS(S1)の後端部と第2のシートS(S2)の前端部が重なっている可能性がある。そこで、この場合に、第2のシートS(S2)の供給を一時的に停止し、
図5(c)に示すように、後端検知センサSS1が第1のシートS(S1)を検知しなくなったタイミング、すなわち、第1のシートS(S1)の後端が後端検知センサSS1を通過したタイミングで第2のシートS(S2)の供給を再開することで、第1のシートS(S1)の後端部と第2のシートS(S2)の前端部が重なった状態で第1のシートS(S1)と第2のシートS(S2)が搬送されるのを抑制することができる。
【0091】
また、第1のシートSの供給を開始した後、後端検知センサSS1が第1のシートSを検知してから検知しなくなるまでの間に、幅検知センサSS2が第1のシートSを検知しなかった場合、第2のシートSを、後端検知センサSS1が第1のシートSを検知しなくなったタイミングで供給するので、幅狭のシートSであっても、シートSを供給することができないというエラーを出すことなく、後端検知センサSS1の検知結果を用いて供給することができる。
【0092】
以上、実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
【0093】
例えば、前記実施形態では、第1のシートSが幅検知センサSS2(第2シートセンサ)により検知されない幅狭のシートSである場合、後端検知センサSS1(第1シートセンサ)が第1のシートSを検知しなくなったタイミングで第2のシートSを供給する構成としたが、これに限定されない。例えば、第1のシートが第2シートセンサにより検知されないシートである場合、第2のシートを、第1シートセンサによる第1のシートの検知結果に基づいては供給しない構成としてもよい。なお、このような構成においては、例えば、第2のシートを、前記実施形態の排出センサSS4のような第3のシートセンサが第1のシートを検知しなくなったタイミングで供給するようにすることができる。
【0094】
また、前記実施形態では、所定時間tp1が、搬送されるシートSが搬送方向における幅検知センサSS2の位置から後端検知センサSS1の位置までの距離D1だけ移動する時間であったが、これに限定されない。例えば、所定時間は、第1のシートと第2のシートの重なった部分が転写部に到達する前に第2のシートの搬送を一時的に停止できるような時間であれば、前記実施形態の所定時間tp1よりも長い時間であってもよい。
【0095】
また、前記実施形態では、幅方向において、後端検知センサSS1(第1シートセンサ)が転写部50の端よりも中央に近い位置に配置され、幅検知センサSS2(第2シートセンサ)が後端検知センサSS1よりも転写部50の中央から遠い位置に配置されていたが、これに限定されない。例えば、箔転写装置がシートを転写部の幅方向における一方に寄せて搬送する構成において、第1シートセンサが第2シートセンサよりも転写部の中央から遠い位置に配置され、第2シートセンサが転写部の端よりも中央に近い位置に配置されていてもよい。
【0096】
また、前記実施形態では、圧接離間機構70が加熱ローラ61を加圧ローラ51に対して移動させる構成であったが、これに限定されず、例えば、加圧ローラを加熱ローラに対して移動させる構成であってもよい。また、転写部は、圧接離間機構を備えない構成であってもよい。
【0097】
また、前記実施形態では、供給ローラとしてピックアップローラ11Aを例示したが、これに限定されず、例えば、供給ローラは、一対のローラからなるものであってもよい。
【0098】
また、前記実施形態では、シートSを検知するセンサSS1~SS4として、レバーと、レバーの位置を検知する光センサとからなるセンサを例示したが、これに限定されない。例えば、光センサのみからなるものであってもよい。
【0099】
また、前記実施形態では、シートS上のトナー像に箔を転写する箔転写装置1を例示したが、これに限定されない。箔転写装置は、シートに箔を転写するものであればどのようなものであってもよい。
【0100】
また、前記実施形態では、4つの層を有する箔フィルムFを例示したが、これに限定されず、箔フィルムの層の数はいくつであってもよい。
【0101】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 箔転写装置
11A ピックアップローラ
50 転写部
100 制御部
F 箔フィルム
S シート
SS1 後端検知センサ
SS2 幅検知センサ