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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098781
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】熱成形装置および熱成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/42 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
B29C51/42
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212373
(22)【出願日】2020-12-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】304050369
【氏名又は名称】株式会社浅野研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺本 一典
(72)【発明者】
【氏名】高井 章伍
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕介
(72)【発明者】
【氏名】飯村 公浩
【テーマコード(参考)】
4F208
【Fターム(参考)】
4F208AC03
4F208AK07
4F208MA01
4F208MA05
4F208MB01
4F208MC02
4F208MC10
4F208MH07
4F208MH10
(57)【要約】
【課題】熱可塑性のシートを熱成形する際に、シートの部位ごとに温度差を設けながらシートを熱成形できる熱成形装置および熱成形方法を提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、熱可塑性のシートSHに接触してシートSHを加熱する金属の板状のマスキングプレート21と、マスキングプレート21におけるシートSHとの接触面とは反対側の面に接触して、マスキングプレート21を加熱する内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23と、を有し、内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23が、マスキングプレート21の面方向に互いに隙間δを空けて配置されており、マスキングプレート21の厚みtを0.2mm~3.0mmとし、隙間δの間隔αを1mm~15mmとする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性のシートに接触して前記シートを加熱する金属の板状のマスキングプレートと、
前記マスキングプレートにおける前記シートとの接触面とは反対側の面に接触して、前記マスキングプレートを加熱するヒータブロックと、を有し、
複数の前記ヒータブロックが、前記マスキングプレートの面方向に互いに隙間を空けて配置されており、
前記マスキングプレートの厚みを0.2mm~3.0mmとし、
前記隙間の間隔を1mm~15mmとすること、
を特徴とする熱成形装置。
【請求項2】
請求項1の熱成形装置において、
前記マスキングプレートの厚みを0.2mm~1.5mmとすること、
を特徴とする熱成形装置。
【請求項3】
請求項1または2の熱成形装置において、
前記隙間の間隔を、前記マスキングプレートの厚みの5倍の大きさとすること、
を特徴とする熱成形装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つの熱成形装置において、
複数の前記ヒータブロックとして、高温用のヒータブロックと、低温用のヒータブロックを有し、
前記低温用のヒータブロックをエアで冷却するエア冷却回路を有すること、
を特徴とする熱成形装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つの熱成形装置において、
前記マスキングプレートを真空吸引により前記ヒータブロックに吸着させる真空吸着回路を有すること、
を特徴とする熱成形装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つの熱成形装置において、
前記ヒータブロックは、
前記マスキングプレートに接触する金属の板状の熱板プレートと、
前記熱板プレートを加熱するヒータと、
を備え、
前記隙間は、前記マスキングプレートの面方向に配置される複数の前記熱板プレートの間に形成されるものであること、
を特徴とする熱成形装置。
【請求項7】
金属の板状のマスキングプレートが熱可塑性のシートに接触して前記シートを加熱する加熱工程と、
加熱された状態の前記シートが金型により成形される成形工程と、
を有し、
前記加熱工程では、
前記マスキングプレートにおける前記シートとの接触面とは反対側の面に接触し、前記マスキングプレートの面方向に互いに隙間を空けて複数配置されたヒータブロックが、前記マスキングプレートを加熱し、
複数の前記ヒータブロックのうちの少なくとも1つの前記ヒータブロックが、他の前記ヒータブロックと異なる温度で前記マスキングプレートを加熱すること、
を特徴とする熱成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱成形装置および熱成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガラスを変形させるときに、複数のヒータとガラスとの間隔を変化させることにより、ガラスに温度差を形成する技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、半導体製造装置において、ウエハを均一温度に保持するため、冷却素子であるペルチェ素子を用いてウエハ台である熱板を所定の温度分布に保持する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4457438号公報
【特許文献2】特表2015-509280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱可塑性のシートを熱成形する際には、シートにおいて、成形時の延びを抑えるため加熱温度を抑えたい部位と、成形性を良くするために加熱温度を十分に上げたい部位とがあり、シートの部位ごとに温度差を設けながらシートを熱成形できるようにしたい場合がある。このような熱可塑性のシートの熱成形に関しては、特許文献1,2には何ら開示されていない。
【0006】
そこで、本開示は上記した課題を解決するためになされたものであり、熱可塑性のシートを熱成形する際に、シートの部位ごとに温度差を設けながらシートを熱成形できる熱成形装置および熱成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、熱成形装置において、熱可塑性のシートに接触して前記シートを加熱する金属の板状のマスキングプレートと、前記マスキングプレートにおける前記シートとの接触面とは反対側の面に接触して、前記マスキングプレートを加熱するヒータブロックと、を有し、複数の前記ヒータブロックが、前記マスキングプレートの面方向に互いに隙間を空けて配置されており、前記マスキングプレートの厚みを0.2mm~3.0mmとし、前記隙間の間隔を1mm~15mmとすること、を特徴とする。
【0008】
この態様によれば、複数のヒータブロックの間でその設定温度に温度差を設けて、マスキングプレートの面方向の部位ごとに温度差を設けることができる。そのため、熱可塑性のシートを熱成形する際に、加熱工程において、面方向の部位ごと温度差を設けたマスキングプレートをシートに接触させて、シートをその面方向の部位ごとに温度差を設けながら加熱できる。そして、成形工程において、シートを、その面方向の部位ごとに温度差を設けた状態で、成形できる。したがって、熱可塑性のシートを熱成形する際に、シートの部位ごとに温度差を設けながらシートを熱成形できる。
【0009】
また、マスキングプレートの厚みを小さくして、複数のヒータブロックの間の隙間の間隔を十分に確保するので、複数のヒータブロックからマスキングプレートへ伝わった熱は、マスキングプレートにおいて互いに影響し難くなる。そのため、複数のヒータブロックの間でその設定温度に温度差を設けることにより、シートの部位ごとに温度差を設けることができる。
【0010】
上記の態様においては、前記マスキングプレートの厚みを0.2mm~1.5mmとすること、が好ましい。
【0011】
この態様によれば、マスキングプレートの厚みをさらに小さくするので、ヒータブロックからマスキングプレートへ伝わった熱は、マスキングプレートの面方向へ伝わり難い一方で、マスキングプレートの厚み方向にあるシートへ伝わり易くなる。そのため、複数のヒータブロックの間でその設定温度に温度差を設けることにより、より確実に、シートの部位ごとに温度差を設けることができる。
【0012】
上記の態様においては、前記隙間の間隔を、前記マスキングプレートの厚みの5倍の大きさとすること、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、複数のヒータブロックの間の隙間の間隔を十分に確保することにより、複数のヒータブロックからマスキングプレートへ伝わった熱は、マスキングプレートにおいて互いに影響し難くなる。そのため、各々のヒータブロックからマスキングプレートへ伝わった熱は、より確実に、マスキングプレートの厚み方向にあるシートへ伝わり易くなる。したがって、複数のヒータブロックの間でその設定温度に温度差を設けることにより、より確実に、シートの部位ごとに温度差を設けることができる。
【0014】
上記の態様においては、複数の前記ヒータブロックとして、高温用のヒータブロックと、低温用のヒータブロックを有し、前記低温用のヒータブロックをエアで冷却するエア冷却回路を有すること、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、低温用のヒータブロックを効率よく冷却することができる。そのため、高温用のヒータブロックと低温用のヒータブロックとの間で、その設定温度に温度差を設け易くなる。したがって、シートの部位ごとにさらに温度差を設けることができる。
【0016】
上記の態様においては、前記マスキングプレートを真空吸引により前記ヒータブロックに吸着させる真空吸着回路を有すること、が好ましい。
【0017】
この態様によれば、マスキングプレートをヒータブロックに密着させることができるので、ヒータブロックからマスキングプレートへ熱が伝わり易くなる。そのため、複数のヒータブロックの間でその設定温度に温度差を設けることにより、より確実に、シートの部位ごとに温度差を設けることができる。
【0018】
上記の態様においては、前記ヒータブロックは、前記マスキングプレートに接触する金属の板状の熱板プレートと、前記熱板プレートを加熱するヒータと、を備え、前記隙間は、前記マスキングプレートの面方向に配置される複数の前記熱板プレートの間に形成されるものであること、が好ましい。
【0019】
この態様によれば、ヒータをそのままにして、熱板プレートの大きさを調整することにより、コストを抑えつつ容易に隙間の間隔を調整できる。
【0020】
上記課題を解決するためになされた本開示の他の形態は、熱成形方法において、金属の板状のマスキングプレートが熱可塑性のシートに接触して前記シートを加熱する加熱工程と、加熱された状態の前記シートが金型により成形される成形工程と、を有し、前記加熱工程では、前記マスキングプレートにおける前記シートとの接触面とは反対側の面に接触し、前記マスキングプレートの面方向に互いに隙間を空けて複数配置されたヒータブロックが、前記マスキングプレートを加熱し、複数の前記ヒータブロックのうちの少なくとも1つの前記ヒータブロックが、他の前記ヒータブロックと異なる温度で前記マスキングプレートを加熱すること、を特徴とする。
【0021】
この態様によれば、複数のヒータブロックの間でその設定温度に温度差を設けて、マスキングプレートの面方向の部位ごとに温度差を設けることができる。そのため、熱可塑性のシートを熱成形する際に、加熱工程において、面方向の部位ごと温度差を設けたマスキングプレートをシートに接触させて、シートをその面方向の部位ごとに温度差を設けながら加熱できる。そして、成形工程において、シートを、その面方向の部位ごとに温度差を設けた状態で、成形できる。したがって、熱可塑性のシートを熱成形する際に、シートの部位ごとに温度差を設けながらシートを熱成形できる。
【発明の効果】
【0022】
本開示の熱成形装置および熱成形方法によれば、熱可塑性のシートを熱成形する際に、シートの部位ごとに温度差を設けながらシートを熱成形できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態の熱成形装置の概略構成を示す図であり、加熱工程を示す図である。
図2】本実施形態の熱成形装置の概略構成を示す図であり、成形工程を示す図である。
図3】熱板部の断面図である。
図4】熱板部の中央部分における下面図である。
図5図3の領域Aの拡大図である。
図6】マスキングプレートとシートの温度分布を示す図である。
図7】変形例を示す図である。
図8】従来技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の熱成形装置および熱成形方法の1つの実施形態を実現する熱成形装置1について説明する。
【0025】
<熱成形装置の全体の概要説明>
まず、熱成形装置1の全体の概要について説明する。
【0026】
(構成)
熱成形装置1は、図1に示すように、熱板部11と、金型12と、テーブル13と、制御部14などを有する。
【0027】
熱板部11は、熱可塑性のシートSHに接触して、当該シートSHを加熱させる機構である。なお、熱板部11の詳細は後述する。
【0028】
金型12は、シートSHに対して熱板部11とは反対側の位置に設けられており、シートSHを成形する型である。
【0029】
テーブル13は、その上面に金型12が配置されており、金型12を上下させる台である。
【0030】
制御部14は、熱成形装置1における各制御を行うものであり、例えば、熱板部11やテーブル13を上下させる制御や、熱板部11によりシートSHを加熱する制御を行う。
【0031】
(作用)
このような構成の熱成形装置1において、図1に示すように、加熱工程として、制御部14により、熱板部11(詳しくは、後述するマスキングプレート21)が下降してシートSHに接触した状態で、熱板部11によりシートSHが加熱される。そして、その後、図2に示すように、成形工程として、制御部14により、熱板部11が上昇して熱板部11がシートSHから離れる一方で、テーブル13が上昇して金型12がシートSHに接触して、加熱された状態のシートSHが金型12により成形される。
【0032】
<熱板部の説明>
次に、熱板部11の詳細について説明する。
【0033】
図8に示すように、従来の熱板部111は、表面板114の上に設けられた一枚ものの熱板112の上に、複数のヒータ113が配置されていた。このような構造の従来の熱板部111は、ヒータ113により全体に亘って均一に加熱した表面板114によって、当該表面板114に接触させたシートSHを均一に加熱することを目的としたものであった。
【0034】
しかしながら、成形対象のシートSHによっては、その部位ごとに、例えば印刷柄があるために成形時の延びを抑えたいので加熱温度を低くして成形したい部位(例えば、図2に示す部位X1)と、例えば複雑な形状に成形するために成形性を良くしたいので加熱温度を高くして成形したい部位(例えば、図2に示す部位X2)を設けたい場合がある。
【0035】
しかしながら、図8に示すような従来の熱板部111では、各々のヒータ113の設定温度に差を設けても、熱板112の厚みが大きく、かつ、熱板112が一枚ものであるので、各々のヒータ113から熱板112に伝えられる熱は、図中の矢印で示すように、熱板112においてその厚み方向(図8の下方向)だけではなく横方向(図8の左右方向)にも伝わってしまう。また、表面板114の厚みも比較的大きい(例えば、15mm)ので、熱板112から表面板114に伝えられる熱は、表面板114においてもその厚み方向(図8の下方向)だけではなく横方向(図8の左右方向)にも伝わってしまう。そのため、表面板114にてその部位ごとに温度差を設けることが難しいので、表面板114に接触するシートSHにおいて、その部位ごとに温度差を設けることは難しい。
【0036】
そこで、本実施形態では、熱板部11の構造を工夫することにより、シートSHを熱成形する際に、シートSHの部位ごとに温度差を設けながらシートSHを熱成形できるようにする。
【0037】
具体的には、熱板部11は、図3に示すように、マスキングプレート21と、内側ヒータブロック22と、外側ヒータブロック23と、断熱材24と、上部プレート25と、マスキングプレート押さえ金具26と、真空吸着回路27と、エア冷却回路28などを備えている。
【0038】
マスキングプレート21は、熱板部11の最も下部(すなわち、最もシートSHに近い部分)に設けられており、シートSHに接触して当該シートSHを加熱する金属の板状の部材である。
【0039】
内側ヒータブロック22は、マスキングプレート21の上面に接触して、マスキングプレート21を加熱する加熱部である。ここで、マスキングプレート21の上面とは、シートSHとの接触面(図3の下側の面)とは反対側の面(図3の上側の面)である。このような内側ヒータブロック22は、図4に示すように、その下側(図3の下側)から見たときに、外側ヒータブロック23よりも内側に配置され、その外形が楕円状に形成されている。なお、内側ヒータブロック22は、本開示の「低温用のヒータブロック」の一例である。
【0040】
そして、内側ヒータブロック22は、図3に示すように、内側熱板プレート31と、内側ヒータ32(内側カートリッジヒータ)と、冷却プレート33を備えている。
【0041】
内側熱板プレート31は、マスキングプレート21の上面に接触する金属(例えば、ステンレスやアルミニウム)の板状の部材である。この内側熱板プレート31は、マスキングプレート21の面方向(図3の左右方向、および、紙面手前奥行方向)について、後述する外側熱板プレート41と、互いに隙間δを空けて配置されている。
【0042】
内側ヒータ32は、内側熱板プレート31の上面(図3の上側の面)に配置されており、内側熱板プレート31を加熱する機器である。
【0043】
冷却プレート33は、内側ヒータ32の上面(図3の上側の面)に配置されており、エア冷却回路28により送られるエアで冷却されることにより、内側ヒータブロック22(内側熱板プレート31)を冷却する板状の部材である。
【0044】
また、外側ヒータブロック23は、マスキングプレート21の上面に接触して、マスキングプレート21を加熱する加熱部である。このような外側ヒータブロック23は、図4に示すように、その下側(図3の下側)から見たときに、内側ヒータブロック22を囲むようにして、内側ヒータブロック22よりもマスキングプレート21の面方向の外側に配置されている。なお、外側ヒータブロック23は、本開示の「高温用のヒータブロック」の一例である。
【0045】
そして、外側ヒータブロック23は、図3に示すように、外側熱板プレート41と、外側ヒータ42(外側カートリッジヒータ)を備えている。
【0046】
外側熱板プレート41は、マスキングプレート21の上面に接触する金属(例えば、ステンレスやアルミニウム)の板状の部材である。この外側熱板プレート41は、マスキングプレート21の面方向について、内側熱板プレート31と、互いに隙間δを空けて配置されている。
【0047】
外側ヒータ42は、外側熱板プレート41の上面(図3の上側の面)に配置されており、外側熱板プレート41を加熱する機器である。
【0048】
また、断熱材24は、内側ヒータブロック22と上部プレート25との間、および、外側ヒータブロック23と上部プレート25との間を断熱する部材である。マスキングプレート押さえ金具26は、マスキングプレート21を保持する金具である。
【0049】
真空吸着回路27は、マスキングプレート21を真空吸引により内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23に吸着させるための吸引通路であり、不図示の吸引部に接続している。
【0050】
エア冷却回路28は、内側ヒータブロック22の内側熱板プレート31をエアで冷却するために、エアを流す通路であり、不図示のエア供給部に接続している。そして、例えば、内側ヒータブロック22を低温用のヒータブロックとし、外側ヒータブロック23を高温用のヒータブロックとしたときに、エア冷却回路28は、低温用のヒータブロックである内側ヒータブロック22を冷却する。
【0051】
本実施形態では、マスキングプレート21の厚みtを、小さくしており、例えば、0.2mm~3.0mm、より好ましくは、0.2mm~1.5mmとしている。また、マスキングプレート21の材質を例えばステンレスとしているので、マスキングプレート21の厚みtが小さくても、マスキングプレート21に反りが発生し難い。
【0052】
また、本実施形態では、図3図4に示すように、内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23が、マスキングプレート21の面方向に互いに隙間δを空けて配置されている。この隙間δは、詳しくは、マスキングプレート21の面方向に配置される(内側ヒータブロック22の)内側熱板プレート31と(外側ヒータブロック23の)外側熱板プレート41の間に形成されるものである。
【0053】
そして、隙間δの間隔αを、1mm~15mmとしており、例えば、マスキングプレート21の厚みtの5倍の大きさとしている。
【0054】
本実施形態では、このような構成の熱板部11において、内側ヒータ32の設定温度と外側ヒータ42の設定温度に温度差を設けることにより、内側熱板プレート31と外側熱板プレート41とに温度差を設ける。例えば、内側ヒータ32の設定温度を外側ヒータ42の設定温度よりも低くすることにより、内側ヒータブロック22を低温用のヒータブロックとし、外側ヒータブロック23を高温用のヒータブロックとする。このとき、エア冷却回路28により内側ヒータブロック22の内側熱板プレート31をエアで冷却することにより、内側ヒータブロック22を低温用のヒータブロックとする。そして、このようにして内側ヒータ32の設定温度と外側ヒータ42の設定温度に温度差を設けることにより、マスキングプレート21においてその部位ごとに温度差をつけることができる。すなわち、マスキングプレート21において、その温度に関するゾーン分けを行うことができる。
【0055】
このとき、本実施形態では、図5に示すように、マスキングプレート21の厚みtが小さく(例えば、t=0.2mm~3.0mm、より好ましくは、t=0.2mm~1.5mm)、かつ、内側ヒータブロック22の内側熱板プレート31と外側ヒータブロック23の外側熱板プレート41との間には隙間δ(隙間δの間隔α=1mm~15mm)が設けられている。
【0056】
これにより、外側熱板プレート41からマスキングプレート21に伝わる熱は、マスキングプレート21の面方向(図中、破線で示す矢印方向)に伝わるよりも、マスキングプレート21の厚さ方向(図中、太線で示す矢印方向)に伝わり易くなる。そのため、高温側の外側熱板プレート41からマスキングプレート21に伝わる熱は、マスキングプレート21における低温側の内側熱板プレート31に対応する部分に伝わるよりも、シートSHに伝わり易くなる。このようにして、高温側の外側熱板プレート41からマスキングプレート21に伝わる熱により、低温側の内側熱板プレート31からマスキングプレート21に伝わる熱が影響され難い。したがって、マスキングプレート21における外側熱板プレート41に対応する部位を高温にして、マスキングプレート21における内側熱板プレート31に対応する部位を低温にすることにより、マスキングプレート21においてその部位ごとに温度差を設けることができる。ゆえに、マスキングプレート21に接触するシートSHについて、その部位ごとに温度差を設けることができる。
【0057】
本願の出願人は、マスキングプレート21とシートSHの温度分布を測定した。測定条件として、マスキングプレート21の厚みtを1.0mmとし、隙間δの間隔αを5mm(マスキングプレート21の厚みtの5倍の大きさ)とし、内側ヒータ32の設定温度を125℃とし、外側ヒータ42の設定温度を170℃とした。
【0058】
すると、図6に示すように、シートSHにおいて、内側ヒータブロック22の内側熱板プレート31に接触する部位と、外側ヒータブロック23の外側熱板プレート41に接触する部位との間で、約40℃の温度差を設定することができた。このようにして、シートSHにおいてその部位ごとに約40℃の温度差を設けることができれば、シートSHとして例えば樹脂製のフィルムを熱成形する際に、例えば、印刷柄がある部位(図2に示す部位X1)は加熱温度を低くして延びを抑えることが可能となり、一方、成形性を良くしたい部位(図2に示す部位X2)は加熱温度を高くして延びを大きくして複雑な形状に成形することが可能となる。なお、マスキングプレート21の厚みtを1.0mm以外の0.2mm~3.0mmとした場合にも同様の結果を得ることができ、特に、マスキングプレート21の厚みtを0.2mm~1.5mmとした場合に、より好ましい結果を得ることができた。
【0059】
なお、図6において、「マスキングプレート(21)右」とは図4にて「右」と示す位置でのマスキングプレート21の温度分布であり、「マスキングプレート(21)左」とは図4にて「左」と示す位置でのマスキングプレート21の温度分布である。
【0060】
<本実施形態の作用効果>
以上のように、本実施形態によれば、内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23が、マスキングプレート21の面方向に互いに隙間δを空けて配置されている。そして、マスキングプレート21の厚みtを0.2mm~3.0mmとし、隙間δの間隔αを1mm~15mmとしている。
【0061】
これにより、内側ヒータブロック22の内側ヒータ32の設定温度と、外側ヒータブロック23の外側ヒータ42の設定温度との間に温度差を設けて、マスキングプレート21の面方向の部位ごとに温度差を設けることができる。そのため、シートSHを熱成形する際に、加熱工程において、面方向の部位ごとに温度差を設けたマスキングプレート21をシートSHに接触させて、シートSHをその面方向の部位ごとに温度差を設けながら加熱できる。そして、成形工程において、シートSHを、その面方向の部位ごとに温度差を設けた状態で、金型12により成形できる。したがって、シートSHを熱成形する際に、シートSHの部位ごとに温度差を設けながらシートSHを熱成形できる。ゆえに、シートSHを熱成形する際に、例えば、印刷柄がある部位(例えば、図2の部位X1)は延びを抑えながら成形する一方で、成形性を良くしたい部位(例えば、図2の部位X2)は延びを大きくして成形できる。
【0062】
また、マスキングプレート21の厚みtを小さくして、内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23の隙間δの間隔αを十分に確保するので、内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23からマスキングプレート21へ伝わった熱は、マスキングプレート21において互いに影響し難くなる。そのため、内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23の間でその設定温度に温度差を設けることにより、シートSHの部位ごとに温度差を設けることができる。
【0063】
また、マスキングプレート21の厚みtは、0.2mm~1.5mmとすること、が好ましい。
【0064】
このようにして、マスキングプレート21の厚みtをさらに小さくするので、内側ヒータブロック22や外側ヒータブロック23からマスキングプレート21へ伝わった熱は、マスキングプレート21の面方向へ伝わり難い一方で、マスキングプレート21の厚み方向にあるシートSHへ伝わり易くなる。そのため、内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23の間でその設定温度に温度差を設けることにより、より確実に、シートSHの部位ごとに温度差を設けることができる。
【0065】
また、内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23の隙間δの間隔αを、マスキングプレート21の厚みtの5倍の大きさとする。
【0066】
このようにして、内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23の隙間δの間隔αを十分に確保することにより、内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23からマスキングプレート21へ伝わった熱は、マスキングプレート21において互いに影響し難くなる。そのため、内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23からマスキングプレート21へ伝わった熱は、より確実に、マスキングプレート21の厚み方向にあるシートSHへ伝わり易くなる。したがって、内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23の間でその設定温度に温度差を設けることにより、より確実に、シートSHの部位ごとに温度差を設けることができる。
【0067】
また、熱成形装置1は、低温用の内側ヒータブロック22をエアで冷却するエア冷却回路28を有する。
【0068】
これにより、低温用の内側ヒータブロック22を効率よく冷却することができる。そのため、高温用の外側ヒータブロック23と低温用の内側ヒータブロック22との間で、その設定温度に温度差を設け易くなる。したがって、シートSHの部位ごとにさらに温度差を設けることができる。
【0069】
また、熱成形装置1は、マスキングプレート21を真空吸引により内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23に吸着させる真空吸着回路27を有する。
【0070】
これにより、マスキングプレート21を内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23に密着させることができるので、内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23からマスキングプレート21へ熱が伝わり易くなる。そのため、内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23の間でその設定温度に温度差を設けることにより、より確実に、シートSHの部位ごとに温度差を設けることができる。
【0071】
また、隙間δは、マスキングプレート21の面方向に配置される内側熱板プレート31と外側熱板プレート41の間に形成されるものである。
【0072】
これにより、内側ヒータ32と外側ヒータ42をそのままにして、内側熱板プレート31と外側熱板プレート41の大きさを調整することにより、コストを抑えつつ容易に隙間δの間隔αを調整できる。
【0073】
また、本実施形態の熱成形方法によれば、加熱工程では、マスキングプレート21の面方向に互いに隙間δを空けて配置された内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23が、マスキングプレート21を加熱する。そして、内側ヒータブロック22が、外側ヒータブロック23と異なる温度で(すなわち、外側ヒータブロック23よりも低温で)、マスキングプレート21を加熱する。
【0074】
このようにして、内側ヒータブロック22と外側ヒータブロック23の間でその設定温度に温度差を設けて、マスキングプレート21の面方向の部位ごとに温度差を設けることができる。そのため、熱可塑性のシートSHを熱成形する際に、加熱工程において、面方向の部位ごと温度差を設けたマスキングプレート21をシートSHに接触させて、シートSHをその面方向の部位ごとに温度差を設けながら加熱できる。そして、成形工程において、シートSHを、その面方向の部位ごとに温度差を設けた状態で、成形できる。したがって、熱可塑性のシートSHを熱成形する際に、シートSHの部位ごとに温度差を設けながらシートSHを熱成形できる。
【0075】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【0076】
例えば、図7に示すように、シートSHの長手方向に低温用のヒータブロック51と高温用のヒータブロック52とを互いに隙間δを空けて配置することにより、シートSHの長手方向の部位ごとに温度差を設けることができる。なお、図7は、熱板部11における低温用のヒータブロック51と高温用のヒータブロック52とマスキングプレート21を上から見た図である。
【0077】
また、上記の説明では、複数のヒータブロックとして、2個のヒータブロックを例に挙げたが、熱成形装置1は、3個以上のヒータブロックを有していてもよい。そして、このとき、熱成形装置1は、加熱工程において、複数のヒータブロックのうちの少なくとも1つのヒータブロックが、他のヒータブロックと異なる温度でマスキングプレート21を加熱する。
【0078】
また、例えば、内側ヒータブロック22の内側ヒータ32の設定温度と、外側ヒータブロック23の外側ヒータ42の設定温度とを、同一温度にすれば、シートSHを均一な温度に加熱して、シートSHを熱成形することもできる。
【符号の説明】
【0079】
1 熱成形装置
11 熱板部
12 金型
13 テーブル
14 制御部
21 マスキングプレート
22 内側ヒータブロック
23 外側ヒータブロック
27 真空吸着回路
28 エア冷却回路
31 内側熱板プレート
32 内側ヒータ
33 冷却プレート
41 外側熱板プレート
42 外側ヒータ
SH シート
t (マスキングプレートの)厚み
δ 隙間
α 間隔
X1,X2 部位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、熱成形装置において、熱可塑性のシートに接触して前記シートを加熱する金属の板状のマスキングプレートと、前記マスキングプレートにおける前記シートとの接触面とは反対側の面に接触して、前記マスキングプレートを加熱するヒータブロックと、を有し、複数の前記ヒータブロックが、前記マスキングプレートの面方向に互いに隙間を空けて配置されており、前記マスキングプレートの厚みを0.2mm~3.0mmとし、前記隙間の間隔を1mm~15mmとし、前記隙間の間隔を、前記マスキングプレートの厚みの5倍以上の大きさとして、高温用のヒータブロックから前記マスキングプレートに伝わる熱を、前記マスキングプレートの面方向に伝わるよりも、前記マスキングプレートの厚さ方向に伝わり易くして、前記マスキングプレートにおける低温用のヒータブロックに対応する部分に伝わるよりも、前記シートに伝わり易くして、前記マスキングプレートにおける高温用のヒータブロックに対応する部位を高温にして、前記マスキングプレートにおける低温用のヒータブロックに対応する部位を低温にすることにより、前記マスキングプレートにおいてその部位ごとに温度差を設けること、を特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
また、マスキングプレートの厚みを小さくして、複数のヒータブロックの間の隙間の間隔を十分に確保するので、複数のヒータブロックからマスキングプレートへ伝わった熱は、マスキングプレートにおいて互いに影響し難くなる。そのため、複数のヒータブロックの間でその設定温度に温度差を設けることにより、シートの部位ごとに温度差を設けることができる。
また、複数のヒータブロックの間の隙間の間隔を十分に確保することにより、複数のヒータブロックからマスキングプレートへ伝わった熱は、マスキングプレートにおいて互いに影響し難くなる。そのため、各々のヒータブロックからマスキングプレートへ伝わった熱は、より確実に、マスキングプレートの厚み方向にあるシートへ伝わり易くなる。したがって、複数のヒータブロックの間でその設定温度に温度差を設けることにより、より確実に、シートの部位ごとに温度差を設けることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
上記課題を解決するためになされた本開示の他の形態は、熱成形方法において、金属の板状のマスキングプレートが熱可塑性のシートに接触して前記シートを加熱する加熱工程と、加熱された状態の前記シートが金型により成形される成形工程と、を有し、前記加熱工程では、前記マスキングプレートにおける前記シートとの接触面とは反対側の面に接触し、前記マスキングプレートの面方向に互いに隙間を空けて複数配置されたヒータブロックが、前記マスキングプレートを加熱し、複数の前記ヒータブロックのうちの少なくとも1つの前記ヒータブロックが、他の前記ヒータブロックと異なる温度で前記マスキングプレートを加熱し、前記マスキングプレートの厚みを0.2mm~3.0mmとし、前記隙間の間隔を1mm~15mmとし、前記隙間の間隔を、前記マスキングプレートの厚みの5倍以上の大きさとして、高温用のヒータブロックから前記マスキングプレートに伝わる熱を、前記マスキングプレートの面方向に伝わるよりも、前記マスキングプレートの厚さ方向に伝わり易くして、前記マスキングプレートにおける低温用のヒータブロックに対応する部分に伝わるよりも、前記シートに伝わり易くして、前記マスキングプレートにおける高温用のヒータブロックに対応する部位を高温にして、前記マスキングプレートにおける低温用のヒータブロックに対応する部位を低温にすることにより、前記マスキングプレートにおいてその部位ごとに温度差を設けること、を特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
この態様によれば、複数のヒータブロックの間でその設定温度に温度差を設けて、マスキングプレートの面方向の部位ごとに温度差を設けることができる。そのため、熱可塑性のシートを熱成形する際に、加熱工程において、面方向の部位ごと温度差を設けたマスキングプレートをシートに接触させて、シートをその面方向の部位ごとに温度差を設けながら加熱できる。そして、成形工程において、シートを、その面方向の部位ごとに温度差を設けた状態で、成形できる。したがって、熱可塑性のシートを熱成形する際に、シートの部位ごとに温度差を設けながらシートを熱成形できる。
また、マスキングプレートの厚みを小さくして、複数のヒータブロックの間の隙間の間隔を十分に確保するので、複数のヒータブロックからマスキングプレートへ伝わった熱は、マスキングプレートにおいて互いに影響し難くなる。そのため、複数のヒータブロックの間でその設定温度に温度差を設けることにより、シートの部位ごとに温度差を設けることができる。
また、複数のヒータブロックの間の隙間の間隔を十分に確保することにより、複数のヒータブロックからマスキングプレートへ伝わった熱は、マスキングプレートにおいて互いに影響し難くなる。そのため、各々のヒータブロックからマスキングプレートへ伝わった熱は、より確実に、マスキングプレートの厚み方向にあるシートへ伝わり易くなる。したがって、複数のヒータブロックの間でその設定温度に温度差を設けることにより、より確実に、シートの部位ごとに温度差を設けることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性のシートに接触して前記シートを加熱する金属の板状のマスキングプレートと、
前記マスキングプレートにおける前記シートとの接触面とは反対側の面に接触して、前記マスキングプレートを加熱するヒータブロックと、を有し、
複数の前記ヒータブロックが、前記マスキングプレートの面方向に互いに隙間を空けて配置されており、
前記マスキングプレートの厚みを0.2mm~3.0mmとし、
前記隙間の間隔を1mm~15mmとし、
前記隙間の間隔を、前記マスキングプレートの厚みの5倍以上の大きさとして、
高温用のヒータブロックから前記マスキングプレートに伝わる熱を、前記マスキングプレートの面方向に伝わるよりも、前記マスキングプレートの厚さ方向に伝わり易くして、前記マスキングプレートにおける低温用のヒータブロックに対応する部分に伝わるよりも、前記シートに伝わり易くして、
前記マスキングプレートにおける高温用のヒータブロックに対応する部位を高温にして、前記マスキングプレートにおける低温用のヒータブロックに対応する部位を低温にすることにより、前記マスキングプレートにおいてその部位ごとに温度差を設けること、
を特徴とする熱成形装置。
【請求項2】
請求項1の熱成形装置において、
前記マスキングプレートの厚みを0.2mm~1.5mmとすること、
を特徴とする熱成形装置。
【請求項3】
請求項1または2の熱成形装置において、
複数の前記ヒータブロックとして、高温用のヒータブロックと、低温用のヒータブロックを有し、
前記低温用のヒータブロックをエアで冷却するエア冷却回路を有すること、
を特徴とする熱成形装置。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか1つの熱成形装置において、
前記マスキングプレートを真空吸引により前記ヒータブロックに吸着させる真空吸着回路を有すること、
を特徴とする熱成形装置。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1つの熱成形装置において、
前記ヒータブロックは、
前記マスキングプレートに接触する金属の板状の熱板プレートと、
前記熱板プレートを加熱するヒータと、
を備え、
前記隙間は、前記マスキングプレートの面方向に配置される複数の前記熱板プレートの間に形成されるものであること、
を特徴とする熱成形装置。
【請求項6】
金属の板状のマスキングプレートが熱可塑性のシートに接触して前記シートを加熱する加熱工程と、
加熱された状態の前記シートが金型により成形される成形工程と、
を有し、
前記加熱工程では、
前記マスキングプレートにおける前記シートとの接触面とは反対側の面に接触し、前記マスキングプレートの面方向に互いに隙間を空けて複数配置されたヒータブロックが、前記マスキングプレートを加熱し、
複数の前記ヒータブロックのうちの少なくとも1つの前記ヒータブロックが、他の前記ヒータブロックと異なる温度で前記マスキングプレートを加熱し、
前記マスキングプレートの厚みを0.2mm~3.0mmとし、
前記隙間の間隔を1mm~15mmとし、
前記隙間の間隔を、前記マスキングプレートの厚みの5倍以上の大きさとして、
高温用のヒータブロックから前記マスキングプレートに伝わる熱を、前記マスキングプレートの面方向に伝わるよりも、前記マスキングプレートの厚さ方向に伝わり易くして、前記マスキングプレートにおける低温用のヒータブロックに対応する部分に伝わるよりも、前記シートに伝わり易くして、
前記マスキングプレートにおける高温用のヒータブロックに対応する部位を高温にして、前記マスキングプレートにおける低温用のヒータブロックに対応する部位を低温にすることにより、前記マスキングプレートにおいてその部位ごとに温度差を設けること、
を特徴とする熱成形方法。