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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098821
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 11/10 20200101AFI20220627BHJP
   B62J 6/055 20200101ALI20220627BHJP
   B62J 6/00 20200101ALI20220627BHJP
【FI】
B62J11/10
B62J6/055
B62J6/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212433
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】特許業務法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】井上 武宏
(72)【発明者】
【氏名】加茂 厚
(72)【発明者】
【氏名】栗田 浩明
(72)【発明者】
【氏名】高木 洋子
(57)【要約】
【課題】レーザ光を利用したリーン車両又は鞍乗型車両である車両におけるレーザ光利用装置の交換を容易にしつつ、光ファイバケーブルの損傷の抑制と部品のコンパクト化を両立することである。
【解決手段】
車両はリーン車両又は鞍乗型車両である。車両は、レーザ光源ユニットと、光ファイバケーブルと、レーザ光利用装置と、を備える。
レーザ光利用装置は、光ファイバケーブルと着脱可能に接続される光コネクタを有し、前記光ファイバケーブル及び前記光コネクタを介して伝達されたレーザ光を受けて使い、前記レーザ光利用装置から前記光コネクタまでの距離は、レーザ光源ユニットから前記光コネクタまでの距離よりも小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーン車両又は鞍乗型車両である車両であって、
前記車両は、
車体と、
前記車体の外面を避けて配置され、レーザ光源素子を有し、前記レーザ光源素子から出力されたレーザ光を発するレーザ光源ユニットと、
前記レーザ光源ユニットから延び、前記レーザ光源ユニットから発せられたレーザ光を導く光ファイバケーブルと、
少なくとも一部が前記車体の外面に露出するように配置されたレーザ光利用装置と、を備え、
前記レーザ光利用装置は、前記光ファイバケーブルと着脱可能に接続される光コネクタを有し、前記光ファイバケーブル及び前記光コネクタを介して伝達されたレーザ光を受けて使い、前記レーザ光源ユニットから前記光コネクタを介して前記レーザ光利用装置まで至る前記レーザ光の経路において、前記レーザ光利用装置から前記光コネクタまでの距離は、レーザ光源ユニットから前記光コネクタまでの距離よりも小さい。
【請求項2】
請求項1記載の車両であって、
前記光ファイバケーブルは、その先端に、前記光コネクタと接続される光源コネクタを有し、
前記光コネクタ及び前記光源コネクタのうち、いずれか一方のコネクタは、前記車体に対する当該コネクタの自由な相対的な変位が禁止又は制限される態様で且つ前記他方のコネクタを介さずに前記車体に設けられ、他方のコネクタは、前記一方のコネクタに接続されることにより、前記車体に対する当該コネクタの自由な相対的な変位が禁止又は制限される。
【請求項3】
請求項2記載の車両であって、
前記レーザ光利用装置は、筐体と、前記筐体の外部に延び先端に前記光コネクタが設けられた利用装置ケーブルとを備え、
前記光コネクタは、前記車体に直接取り付けられる。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1に記載の車両であって、
前記レーザ光利用装置は、前記車両が旋回する場合に前記レーザ光を受けて合図のための光を出力する方向指示器である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーン車両又は鞍乗型車両である車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、レーザ光を利用した灯火器装置を有する車両が示されている。特許文献1の車両は鞍乗型車両である。また、特許文献1の鞍乗型車両は、左右へリーンする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-144798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リーン車両又は鞍乗型車両である車両は、一般的に運転者の体重移動等による車両の姿勢の変化が走行状態に影響を与えるように構成されている。そのため、操作性及び走行性能の観点から、車両は、車体及び搭載部品をコンパクトにすることが求められている。
【0005】
例えば、特許文献1における重量が比較的大きい光源ユニットは、ヘッドパイプとピボット軸との間に配置される。これによって、特許文献1における車両では、マスの集中化が図られている。
【0006】
特許文献1の車両では、光ファイバからなる導光部が、レーザ光源ユニットから発光部まで導光している。光ファイバは、一般的に、電気ケーブルが有する金属心線よりも細く、また剛性も低い。また、光ファイバケーブルの剛性も、一般的に電気ケーブルの場合より低い。
【0007】
特許文献1に示すような車両の発光部は、光を出力するため、通常、車両の車体の外面に露出するように配置される。
リーン車両又は鞍乗型車両である車両は、その操作及び走行の原理から、走行時のセルフステアーによる力又はライダ自身による支持なしでは倒れる可能性を有する。リーン車両又は鞍乗型車両である車両の車体の外面に露出するように配置される発光部は、損傷する頻度が高い。リーン車両又は鞍乗型車両である車両の発光部は、例えば損傷した場合に、交換が容易であることが望まれている。
【0008】
また、発光部にレーザ光を導く光ファイバを有する光ファイバケーブルも、損傷を抑制することが望まれている。
このことは照明のための発光部に限られず、導かれたレーザ光を使うレーザ光利用装置を有する構成に該当することである。
【0009】
本発明の目的は、レーザ光を利用したリーン車両又は鞍乗型車両である車両におけるレーザ光利用装置の交換を容易にしつつ、光ファイバケーブルの損傷の抑制と部品のコンパクト化を両立することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
レーザ光利用装置が、レーザ光源ユニットから光ファイバケーブルで導かれたレーザ光を使う場合、例えば、電気ケーブルで導かれた電力を利用する電球やLEDとは異なり、レーザ光利用装置自体の構造が簡潔である。例えば、レーザ光利用装置は、電気-光変換装置ではなく光レンズを有する。このため、例えばレーザ光利用装置が損傷した場合に、簡潔な構造を有するレーザ光利用装置自体のみを交換すれば対応が可能である。
このような交換をより容易にするため、レーザ光利用装置に光コネクタを設けることが考えられる。光コネクタは、レーザ光源ユニットから延びる光ファイバケーブルと接続される。
例えばレーザ光利用装置が損傷した場合には、作業者は、レーザ光利用装置を車体から取り外し、光コネクタを光ファイバケーブルから取り外す。そして、作業者は、新たなレーザ光利用装置の光コネクタを光ファイバケーブルと接続し、この新たなレーザ光利用装置を車体に取り付ける。
【0011】
上述したように、レーザ光を導く光ファイバケーブルは、一般的に金属心線を有する電気ケーブルよりも剛性が低い。つまり、光ファイバケーブルは一般的に電気ケーブルよりも柔らかい。光ファイバケーブルは車体の屈曲部分に沿わせ延ばすことが容易である。例えば光ファイバケーブルが電気ケーブル又は車体のフレームに沿って延びる位置では、電気ケーブル又はフレームが少なくとも光ファイバケーブルの一部を支持することができる。しかし、車体の外面に露出するように配置されたレーザ光利用装置付近では、光ファイバケーブルが電気ケーブル又はフレームの支持無しに単体で配置される場合が多い。
柔らかい光ファイバケーブルが、電気ケーブル又はフレームに支持されていない部分を有する場合、この部分は例えば走行中の車体の振動の影響を受けて車体に対し移動しやすい。振動の影響を受けて移動する部分が移動の際に他の部品と接触すると、光ファイバケーブルが損傷する可能性がある。電気ケーブルよりも柔らかい光ファイバケーブルは車体又は他の部品との接触の影響を受けやすい。
車体又は他の部品との接触の影響を抑制するために、例えば、光ファイバケーブルを車体に対し移動しないように支持するための構造又は光ファイバケーブルを損傷から保護するための部材を設けると、光ファイバケーブル周辺の構成が大型化する。
【0012】
本発明者らは、ファイバケーブルの損傷の抑制について更に検討した。この中で、本発明者らは、光コネクタの位置に注目した。つまり、本発明者らは、レーザ光利用装置から光コネクタまでの距離がレーザ光源ユニットから光コネクタまでの距離よりも小さくなるような位置に、レーザ光利用装置の光コネクタを配置することを考えた。
レーザ光利用装置から光コネクタまでの距離がレーザ光源ユニットから光コネクタまでの距離よりも小さい場合、レーザ光利用装置から光コネクタまでの距離がレーザ光源ユニットから光コネクタまでの距離よりも大きい場合と比べて、光コネクタ及びそれに繋がる光ファイバケーブルの車体から離れることが可能な距離が小さい。即ち、光コネクタ及びそれに繋がる光ファイバケーブルが、車体からより離れがたい。この構成は、光ファイバケーブルを車体に対し移動しないようにするための構造又は、光ファイバケーブルを損傷から保護するための構造の追加を抑制しつつ、光ファイバケーブルの損傷を抑制できる。
従って、レーザ光を利用したリーン車両又は鞍乗型車両である車両におけるレーザ光利用装置の交換を容易にしつつ、光ファイバケーブルの損傷の抑制と部品のコンパクト化を両立することができる。
【0013】
以上の知見に基づいて完成した本発明の各観点による鞍乗型車両は、次の構成を備える。
【0014】
(1) リーン車両又は鞍乗型車両である車両であって、
前記車両は、
車体と、
前記車体の外面を避けて配置され、レーザ光源素子を有し、前記レーザ光源素子から出力されたレーザ光を発するレーザ光源ユニットと、
前記レーザ光源ユニットから延び、前記レーザ光源ユニットから発せられたレーザ光を導く光ファイバケーブルと、
少なくとも一部が前記車体の外面に露出するように配置されたレーザ光利用装置と、を備え、
前記レーザ光利用装置は、前記光ファイバケーブルと着脱可能に接続される光コネクタを有し、前記光ファイバケーブル及び前記光コネクタを介して伝達されたレーザ光を受けて使い、前記レーザ光源ユニットから前記光コネクタを介して前記レーザ光利用装置まで至る前記レーザ光の経路において、前記レーザ光利用装置から前記光コネクタまでの距離は、レーザ光源ユニットから前記光コネクタまでの距離よりも小さい。
【0015】
鞍乗型車両は、運転者がサドルタイプのシートに跨って着座する形式の車両をいう。鞍乗型車両としては、例えば、自動二輪車が挙げられる。鞍乗型車両は、自動二輪車に限定されず、例えば、3つの車輪を有する自動三輪車、4つの車輪を有するATV(All-Terrain Vehicle)、又は、ROV(Recreational Off-highway Vehicle)であってもよい。
リーン車両は、旋回時にカーブ中心方向に傾斜するように構成された車両である。リーン車両は、例えば路面に対し車体を傾斜させるアクチュエータを備えた車両でもよい。リーン車両は、特に限定されず、例えば、傾斜させるアクチュエータ無しに、運転者の姿勢操作により車両の荷重の水平成分と遠心力が釣り合う結果として傾斜する車両でもよい。リーン車両は、例えばサドルタイプのシートを有する鞍乗型車両である。但し、リーン車両は特に限定されず、例えばサドルタイプのシートを有さなくてもよい。
リーン車両又は鞍乗型車両である車両は、例えば、ライダを全方向で覆うように取り囲むキャビンシェルを有さない、オープンキャビン車両である。
車体は、車両のうち、レーザ光源ユニット、レーザ光利用装置、及び光コネクタ以外の部分である。
レーザ光源ユニットは、外部にレーザ光を出力するユニットである。レーザ光源ユニットは、1つのレーザ光源素子を有する。しかしレーザ光源ユニットは、特に限定されず、例えば、複数のレーザ光源素子を有してもよい。
レーザ光源素子は、電力-光変換素子である。レーザ光源素子は、外部から電力の供給を受けて、外部にレーザ光を出力する
レーザ光利用装置は、光ファイバケーブル及び光コネクタを介して伝達されたレーザ光を受けて使う装置である。レーザ光利用装置は、レーザ光を受けて発光する発光部である。レーザ光利用装置は、特に限られず例えば光通信における光受信部でもよい。車両は、1つ又は複数のレーザ光利用装置を有する。車両が複数のレーザ光利用装置を備える場合、少なくとも1つのレーザ光利用装置が、上述の距離に関する要件を満たしていればよく、必ずしも、全てのレーザ光利用装置が、当該距離に関する要件を満たしている必要はない。
光コネクタは、例えば、レーザ光利用装置の筐体から延出する利用装置ケーブルの先端に設けられる。ただし、光コネクタは、特に限定されず、例えば、レーザ光利用装置の筐体に取り付けられてもよい。この場合、レーザ光利用装置の筐体から延出する利用装置ケーブルは存在せず、レーザ光利用装置から光コネクタまでの距離は実質的にゼロである。
レーザ光利用装置の光コネクタは、例えば相手方の光コネクタと接続される。レーザ光利用装置の光コネクタは、特に限定されず、レーザ光源ユニットから延びる光ファイバケーブルに直接接続されてもよい。
【0016】
(1)の構成によれば、レーザ光利用装置が、レーザ光源ユニットからファイバケーブルで導かれたレーザ光を使うので、例えば、電気ケーブルで導かれた電力を利用する電球やLEDとは異なり、レーザ光利用装置自体の構造が簡潔である。このため、例えばレーザ光利用装置が損傷した場合に、簡潔な構造のレーザ光利用装置自体を交換すれば対応が可能である。このように、レーザ光を利用したリーン車両又は鞍乗型車両である車両におけるレーザ光利用装置の交換が容易である。
【0017】
レーザ光利用装置が備える光コネクタは、レーザ光源ユニットから延びるファイバケーブルの先端と接続される。
レーザ光利用装置の光コネクタは、レーザ光利用装置から光コネクタまでの距離がレーザ光源ユニットから光コネクタまでの距離よりも小さくなるような位置に配置される。このため、例えば、レーザ光利用装置から光コネクタまでの距離がレーザ光源ユニットから光コネクタまでの距離よりも大きい場合と比べて、光ファイバケーブルのレーザ光利用装置から光コネクタまでの部分の車体に対する移動量が小さい。従って、光ファイバケーブルを車体に対し移動を抑えるよう支持するための構造を設けたり、又は光ファイバケーブルを損傷から保護するための部材を設けたりすることに依らず、光ファイバケーブルの損傷を抑制できる。
従って、レーザ光を利用したリーン車両又は鞍乗型車両である車両におけるレーザ光利用装置の交換を容易にしつつ、光ファイバケーブルの損傷の抑制と部品のコンパクト化を両立することができる。
【0018】
(2) (1)の車両であって、
前記光ファイバケーブルは、その先端に、前記光コネクタと接続される光源コネクタを有し、
前記光コネクタ及び前記光源コネクタのうち、いずれか一方のコネクタは、前記車体に対する当該コネクタの自由な相対的な変位が禁止又は制限される態様で且つ前記他方のコネクタを介さずに前記車体に設けられ、他方のコネクタは、前記一方のコネクタに接続されることにより、前記車体に対する当該コネクタの自由な相対的な変位が禁止又は制限される。
【0019】
(2)の構成によれば、光コネクタ及び光源コネクタの車体に対する移動が、より抑制される。従って、光ファイバケーブルの損傷を、より抑制できる。なお、ここでいう、禁止は、全く変位が行われないことを意味し、制限は、所定範囲での移動のみが行われることを意味する。この具体例の一つが、下記(3)である。別の具体例として、下記(3)における光コネクタに代えて、光源コネクタが、車体に直接、取り付けられてもよい。コネクタが車体に取り付けられることにより、車体に対するコネクタの自由な相対的な変位は禁止される。ここでいう自由な相対的な変位は、人為的に力を加えられることによって生じる変位とは異なっており、例えば、走行風や振動による変位をいう。また、コネクタに代えて、ケーブルが車体に取り付けられた場合、車体に対するコネクタの自由な相対的な変位は制限される。
【0020】
(3) (2)の車両であって、
前記レーザ光利用装置は、筐体と、前記筐体の外部に延び先端に前記光コネクタが設けられた利用装置ケーブルとを備え、
前記光コネクタは、前記車体に直接取り付けられる。
【0021】
車体に直接取り付けられることは、例えば車体に直接に接するように取り付けられることである。例えば、車体に設けた嵌合部に嵌合する場合が含まれる。また、車体に直接取り付けられることは、例えば、締結部材を介して車体に接するように取り付けられる場合が含まれる。締結部材は、ボルト、テープ、収縮チューブである。
【0022】
(3)の構成によれば、光コネクタ及び接続された光ファイバケーブルの車体に対する移動がさらに抑制される。従って、光ファイバケーブルの損傷をさらに抑制できる。
【0023】
(4) (1)~(3)のいずれか1の車両であって、
前記レーザ光利用装置は、前記車両が旋回する場合に前記レーザ光を受けて合図のための光を出力する方向指示器である。
【0024】
車両が旋回する場合に合図のための光を出力する方向指示器は、車体の左右それぞれの端部に配置される場合が多い。このため方向指示器の損傷による交換の頻度は、車両の他の部品と比べて高い傾向を有する。(4)の構成によれば、次の手順を経ることによって、レーザ光利用装置のより頻繁な交換に対応しやすい。方向指示器を車体から取り外し、光コネクタをファイバケーブルから取り外す。そして、新たな方向指示器の光コネクタをファイバケーブルと接続し、この新たな方向指示器を車体に取り付ける。
【0025】
本明細書にて使用される専門用語は特定の実施例のみを定義する目的であって発明を制限する意図を有しない。本明細書にて使用される用語「及び/又は」は1つの、又は複数の関連した列挙された構成物のあらゆる又は全ての組み合わせを含む。本明細書中で使用される場合、用語「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」又は「有する(having)」及びその変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分及び/又はそれらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループのうちの1つ又は複数を含むことができる。本明細書中で使用される場合、用語「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」及び/又はそれらの等価物は広く使用され、直接的及び間接的な取り付け、接続及び結合の両方を包含する。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されることはない。本発明の説明においては、多数の技術及び工程が開示されていると理解される。これらの各々は個別の利益を有し、それぞれは、他の開示された技術の1つ以上、又は、場合によっては全てと共に使用することもできる。従って、明確にするために、この説明は、不要に個々のステップの可能な組み合わせを全て繰り返すことを控える。それにもかかわらず、明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせが全て本発明及び請求項の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、レーザ光を利用したリーン車両又は鞍乗型車両である車両におけるレーザ光利用装置の交換を容易にしつつ、光ファイバケーブルの損傷の抑制と部品のコンパクト化を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】(a)は、本発明の第一実施形態に係る車両の概略側面図である。(b)は、車両に備えられるレーザ光源ユニット及び周辺装置を示した図である。
図2】(a)は、本発明の第二実施形態に係る車両の概略側面図である。(b)は、車両に備えられるレーザ光源ユニット及び周辺装置を示した図である。
図3図1及び図2のレーザ光利用装置接続の構成が適用され得る装置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の第一実施形態を説明するための概略図である。図1(a)は、車両の概略側面図である。図1(b)は、車両に備えられるレーザ光源ユニット及び周辺装置を示した図である。
図1(a)に示す車両1は、鞍乗型車両である。車両1は、シート17を有する。図1(a)に示すシート17はサドルタイプである。運転者は、シート17に跨って着座する。車両1は、リーン車両でもある。車両1は、旋回時にカーブ中心方向に傾斜する。
車両1は、車体10と、レーザ光源ユニット30と、光ファイバケーブル32と、レーザ光利用装置40と、を備える。車体10は、フレーム11と、フロントフォーク12と、車輪14,15と、ステアリング部19と、動力源20とを備える。
動力源20は、車輪15を駆動する。車両1の動力源20は、例えば内燃機関である。車両1は、燃料タンク16を備える。但し、動力源20は、特に限定されず例えば、電動モータでもよく、内燃機関及び電動モータであってもよい。この場合、燃料タンク16の代わりに電池が備えられてもよい。
【0029】
レーザ光源ユニット30は、電力の供給を受けレーザ光を出力する。レーザ光源ユニット30は、レーザ光源素子31を有する。レーザ光源ユニット30は、レーザ光源素子31から出力されたレーザ光を外部に発する。また、レーザ光源ユニット30は、レーザ光源素子31を電力で駆動するドライバ35も有する。
レーザ光源ユニット30は、車体10の外面を避けて配置されている。例えば図1に示すレーザ光源ユニット30は、サイドカバー18に覆われている。レーザ光源ユニット30は、左右方向でサイドカバー18よりも車両1の中央に配置されている。ここで左右方向における車両1の中央は、車両1の重心である。左右方向は車両1の車幅方向である。
また、レーザ光源ユニット30の前後方向FB及び上下方向UDにも車体10の部品が配置されている。
【0030】
光ファイバケーブル32は、レーザ光を伝送するための図示しないグラスファイバを有する。光ファイバケーブル32は、導光部材である。光ファイバケーブル32は、レーザ光源ユニット30から延びている。光ファイバケーブル32のうち、フレーム11に沿って延びる部分は、フレーム11に支持される。光ファイバケーブル32は、レーザ光源ユニット30から発せられたレーザ光を伝達する。レーザ光源ユニット30から延びる光ファイバケーブル32の先端には、光源コネクタ33が取り付けられている。
【0031】
レーザ光利用装置40は、光ファイバケーブル32及び光コネクタ43を介して伝達されたレーザ光を受けて使う。図1(a)には、レーザ光利用装置40の例として方向指示器(フラッシャ)が示されている。方向指示器は、車両が旋回する場合に合図のための光を出力する。レーザ光源ユニット30と、光ファイバケーブル32と、レーザ光利用装置40とは、レーザ灯火装置LEを構成する。即ち、図1(a)に示す車両1は、図1(b)に示すレーザ灯火装置LEを有する。レーザ灯火装置LEは、レーザ光源ユニット30と、光ファイバケーブル32と、レーザ光利用装置40とを有する。
【0032】
レーザ光利用装置40は、車体に取り付けられている。レーザ光利用装置40は、一部が車体10の外面に露出するように配置されている。レーザ光利用装置40の一部が車体10の外面に露出するので、光ファイバケーブル32及び光コネクタ43を介して伝達されたレーザ光を車体10の外部に出力できる。レーザ光利用装置40は、筐体45と、レンズ部材41とを備える。
レンズ部材41は、光ファイバケーブル32を伝達されたレーザ光を、レーザ光利用装置40の目的に適した範囲に照射する。レーザ光利用装置40は、供給されたレーザ光の少なくとも一部の波長を変換して出力する。レーザ光利用装置40は、例えば蛍光部材又は色フィルタを備える。例えば、レーザ光源ユニット30から出力されるレーザ光の色が方向指示器に要求される色と異なる場合、レーザ光利用装置40は、レーザ光の色を方向指示器に要求される色に変換して出力する。蛍光部材又は色フィルタは、例えばレンズ部材41に備えられる。ただし、蛍光部材又は色フィルタは、レンズ部材41と独立して設けられてもよい。
レーザ光利用装置40は、光源を内蔵しない。つまり、レーザ光利用装置40は、電気部品を有さず、簡潔な構造を有する。このため、例えばレーザ光利用装置40が損傷した場合に、簡潔な構造を有するレーザ光利用装置40自体のみを交換し、光を導く光ファイバケーブル32を接続し直すことによって修繕が可能である。このように、レーザ光利用装置40の交換が容易である。
【0033】
レーザ光利用装置40は、光ファイバケーブル32と着脱可能に接続される光コネクタ43を有する。
図1(b)に示すように、レーザ光利用装置40は、レンズ部材41から延びる利用装置ケーブル42を備えている。光コネクタ43は、利用装置ケーブル42の先端に取り付けられている。利用装置ケーブル42は、光ファイバケーブルである。
光コネクタ43は、車体10に直接取り付けられている。より詳細には、光コネクタ43は、例えば、フロントフォーク12に取り付けられた図示しないブラケットに取り付けられている。ただし、光コネクタ43が取り付けられる車体10の部分は、レーザ光利用装置40の配置位置に応じて適宜選択され得る。例えば、光コネクタ43は、フレーム11、又はフロントフォーク12に限られず、図示しないカウル、又はメータユニットに取り付けられてもよい。
レーザ光利用装置40の光コネクタ43が光源コネクタ33と接続されることによって、レーザ光源ユニット30から出力されるレーザ光は、光ファイバケーブル32、光源コネクタ33、光コネクタ43を順に経由してレーザ光利用装置40のレンズ部材41に供給される。
【0034】
レーザ光利用装置40から光コネクタ43までの距離LBは、レーザ光源ユニット30から光コネクタ43までの距離LAよりも小さい。距離LA,LBは、レーザ光の経路に沿った距離である。つまり、レーザ光源ユニット30から光コネクタ43までの距離LAは、光ファイバケーブル32を直線状に延ばした状態における光ファイバケーブル32と光源コネクタ33の長さの合計である。
【0035】
レーザ光を導く光ファイバケーブル32は、一般的に等価な光量を得るための電力供給に対応する金属心線を有する電気ケーブルよりも剛性が低い。また、レーザ光利用装置40の付近では、光ファイバケーブル32を支持するための電気ケーブル又はフレーム11から離れている場合が多い。このため、レーザ光利用装置40の付近では、光ファイバケーブル32が単体で電気ケーブル等の支持無しに配置される場合が多い。
このため、剛性が低い光ファイバケーブル32のうち光コネクタ43近傍の部分は、車体10の振動の影響を受けより大きく移動しやすい。この移動する部分が他の部品と接触すると光ファイバケーブル32が損傷する可能性がある。特に電気ケーブルよりも柔らかい光ファイバケーブルは車体又は他の部品との接触の影響を受けやすい。
【0036】
本実施形態におけるレーザ光利用装置40から光コネクタ43までの距離LBは、レーザ光源ユニット30から光コネクタ43までの距離LAよりも小さい。このため、例えば、レーザ光利用装置40から光コネクタ43までの距離がレーザ光源ユニットから光コネクタまでの距離よりも大きい場合と比べて、光コネクタ43及びそれに繋がる光ファイバケーブル32が移動し難い。このため、振動の影響が抑えられる。従って、光ファイバケーブル32を車体10に対し移動を抑えるよう支持するための構造を設けたり、又は光ファイバケーブル32を損傷から保護するための部材を設けたりすることに依らず、光ファイバケーブル32の損傷を抑制できる。
従って、本実施形態によれば、車両1におけるレーザ光利用装置40の交換を容易にしつつ、光ファイバケーブル32の損傷の抑制と部品のコンパクト化を両立することができる。
【0037】
[第二実施形態]
図2は、本発明の第二実施形態を説明するための概略図である。図2(a)は、車両の概略側面図である。図2(b)は、車両に備えられるレーザ光源ユニット及び周辺装置を示した図である。
本実施形態において、第一実施形態と共通の要素には同じ符号を付し、第一実施形態と重複する説明は省略する。
【0038】
本実施形態の光コネクタ43は、筐体45に取り付けられている。つまり、レーザ光利用装置40から光コネクタ43までの距離LBは、実質的にゼロである。従って、レーザ光利用装置40から光コネクタ43までの距離LBは、レーザ光源ユニット30から光コネクタ43までの距離LAよりも小さい。
本実施形態におけるこの他の構成は、図1に示す第一実施形態と同じである。従って、第一実施形態と共通の要素に同じ符号を付し、第一実施形態と重複する説明を省略する。
【0039】
[接続構成の適用例]
図3は、図1及び図2における接続の構成が適用され得る装置の例を示す図である。
上記実施形態で説明したレーザ光利用装置40の接続構成は、例えば、図3に示す、後ろの方向指示器51、ヘッドライト52、ブレーキランプ53、ライセンスプレートランプ54、及び、メータランプ55に適用可能である。図には、レーザ光利用装置40の例として、車両1の左の方向指示器が示されているが、レーザ光利用装置40の接続構成は、図示しない右の方向指示器にも適用可能である。また、レーザ光利用装置40の接続構成は、ヘッドライト52が有するハイビームヘッドライト及びロービームヘッドライトに適用可能である。また、車両が、ヘッドライト52とは異なるポジションライト、デイタイムランニングライト、又は、補助ヘッドライトを有している場合には、ポジションライト又はデイタイムランニングライト、又は、補助ヘッドライトにも適用可能である。なお、各装置の配置の見やすさのため、各装置に接続する光ファイバケーブル及びコネクタの図示は省略する。
【0040】
また、レーザ光利用装置40の接続構成は、上記の照明装置に限られず、例えば、光通信のための光送信装置56にも適用可能である。光送信装置56は、車両1の周囲の設備又は車両へ光を出力することによってデータを送信する。
【0041】
上記実施形態のレーザ光利用装置40の接続構成は、例えば上述した後ろの方向指示器51、ヘッドライト52、ブレーキランプ53、ライセンスプレートランプ54、メータランプ55、及び、光送信装置56の全部に適用されてもよい。また、レーザ光利用装置40の接続構成は、例えば上述した装置の一部に適用されてもよい。この場合、残りの装置は、異なる接続構成を有する。また、残りの装置はレーザ光を利用しなくともよい。
また、図3に示すレーザ光源ユニット30は、シート17の下部に設けられた凹部に配置される。レーザ光源ユニット30は、車体10の外面を避けて配置されている。また、レーザ光源ユニット30は、例えば、燃料タンク16の下部に設けられた凹部に配置されてもよい。
図3に示す、レーザ光源ユニット30は、例えば、複数のレーザ光利用装置(40,51~55)のそれぞれに対応する複数のレーザ素子を備える。ただし、車両1では、複数のレーザ光利用装置(40,51~55)のそれぞれに対し、互いに独立した複数のレーザ光源ユニットが設けられてもよい。また、複数のレーザ光利用装置(40,51~55)に対し共通のレーザ光源ユニットが設けられてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 車両
10 車体
30 レーザ光源ユニット
31 レーザ光源素子
32 光ファイバケーブル
40 レーザ光利用装置
43 光コネクタ
45 筐体
図1
図2
図3