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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098844
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】シート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/52 20060101AFI20220627BHJP
   B65H 45/04 20060101ALI20220627BHJP
   B65H 45/18 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
B65H29/52
B65H45/04
B65H45/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212478
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】堀口 聡
【テーマコード(参考)】
3F101
3F108
【Fターム(参考)】
3F101FA01
3F101FB11
3F101FC16
3F101FE02
3F101FE11
3F101LA02
3F101LA05
3F101LA07
3F101LB03
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC02
3F108AC03
3F108BA03
3F108BA09
3F108BB23
3F108CB03
3F108CB14
3F108CB24
3F108CC39
3F108CD01
(57)【要約】
【課題】シートを案内空間から収納空間へ、そして収納空間から案内空間へ搬送する際に確実にシートをガイドする。
【解決手段】シートに折り処理を行うシート処理装置において、案内空間180から収納空間183に向けて搬送されるシートSと収納空間183から案内空間180に向けて搬送されるシートSとを案内するガイド部材170aを有する偏向ガイド170を備える。ガイド部材170aはシートSが案内空間180から収納空間183に向けて搬送される場合は第1位置に移動し、収納空間183から案内空間180に向けて搬送される場合は第2位置に移動する。
【選択図】図29
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送されるシートを案内する案内空間を互いの間に形成すべく、第1搬送ガイドと前記第1搬送ガイドに対して対向して配置された第2搬送ガイドとを備えた搬送ガイド対と、
前記案内空間を経て搬送された1枚以上のシートを支持して収納する収納空間を形成すべく、前記第1搬送ガイドよりも前記搬送方向下流側に前記第1搬送ガイドと所定の間隔を空けて配置された第1積載ガイドと前記第1積載ガイドに対して対向して配置された第2積載ガイドとを備えた収納部と、
前記収納部に収納されたシートを前記搬送方向の上流側へ移動する移動手段と、
前記搬送方向と交差する方向で、前記第2搬送ガイド側から前記第1搬送ガイド側へ向かう突き出し方向およびその逆方向である戻し方向に移動可能に構成され、前記移動手段により移動されたシートを前記突き出し方向に突き出す突き出し部材と、
前記第1積載ガイドよりも前記突き出し方向下流側に配置され、突き出し部材により突き出されたシートをニップ部で狭持して回転することによりシートに折り処理を行う回転体対と、
前記搬送方向において前記搬送ガイド対と前記収納部の間で且つ前記突き出し方向において前記回転体対と前記第2搬送ガイドとの間に設けられ、前記搬送手段により搬送されるシートを前記案内空間から前記収納空間へ引き継いで案内し、前記移動手段により移動されるシートを前記収納空間から前記案内空間に引き継いで案内するための偏向ガイド手段と、を備え、
前記偏向ガイド手段は、シートをガイドするガイド部と前記ガイド部の角度を変更する角度変更部とを有し、
前記ガイド部は前記搬送方向下流側の第1端部と前記搬送方向上流側の第2端部とを有し、
前記角度変更部は、シートが前記搬送手段により前記案内空間から前記収納空間に向けて搬送される場合は、前記第2端部が前記第1搬送ガイドよりも前記突き出し方向下流側に位置し、前記第1端部が前記第2端部よりも前記突き出し方向上流側に位置する第1位置に前記ガイド部を移動し、シートが前記移動手段により前記収納空間から前記案内空間に向けて移動される場合は、前記第1端部が前記第1積載ガイドよりも前記突き出し方向下流側に位置し、前記第2端部が前記第1端部よりも前記突き出し方向上流側に位置する第2位置に前記ガイド部を移動することを特徴とするシート折り処理装置。
【請求項2】
前記第1位置において、前記ガイド部の前記第1端部は前記第1搬送ガイドの前記搬送方向における下流側端部と前記第1積載ガイドの前記搬送方向における上流側端部とを結んだ直線よりも前記突き出し方向上流側に位置し、前記第2端部は前記直線よりも前記突き出し方向下流側に位置しており、
前記第2位置において、前記ガイド部の前記第1端部は前記直線よりも前記突き出し方向下流側に位置し、前記第2端部は前記直線よりも前記突き出し方向上流側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のシート折り処理装置。
【請求項3】
前記角度変更部は、前記ガイド部の角度を変更するための回動軸と、前記回転体対のうちどちらか一方の回転体の周面と係合する係合部とを有し、
前記係合部が係合する前記回転体の前記周面は、前記回転体の回転軸からの距離が第1距離である第1周面と、前記回転軸からの距離が前記第1距離とは異なる第2距離である第2周面とで構成され、
前記回転体が回転して前記係合部が前記第1周面と前記第2周面とに係合することにより、前記ガイド部は前記回動軸を中心に回動して前記第1位置と前記第2位置とに位置づけられることを特徴とする請求項1または2に記載のシート折り処理装置。
【請求項4】
前記突き出し部材がシートを前記突き出し方向に突き出す際に、前記角度変更部は前記ガイド部を第1位置に位置づけることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシート折り処理装置。
【請求項5】
前記ニップ部がシートを狭持した後に、前記角度変更部は前記ガイド部を前記第1位置から前記第2位置に移動することを特徴とする請求項4に記載のシート折り処理装置。
【請求項6】
シートに画像形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置から送られたシートを折り処理するシート処理装置と、
を有し、
前記シート処理装置は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート処理装置であることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像形成装置から送られたシートを折り処理するためのシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機器等の画像形成装置から排出されるシートの後処理として、シート束を冊子状に折り処理するシート処理装置が提供されている。例えば、画像形成装置からシートスタッカに搬出されるシートの所定位置を突き板で折り曲げて折りローラ対のニップ部に押し込み、該折りローラ対で搬送しながら二つ折りにするシート処理装置が知られている。
【0003】
このようなシート処理装置では、シート搬送路の案内空間からシート搬送方向下流側で所定の間隔を空けて配置された収納空間を有するシート積載部にシートを搬送し、シート搬送方向において案内空間と収納空間との間に設けられた折りローラ対にシートを狭持させてシートに折り処理を行っている。このとき、案内空間から収納空間にシート先端を受け渡す際にシート先端が折りローラ対等に引っかからないようにガイド部材を折りローラの周面に当接させてシートを案内する構成が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-114648
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シートに折り処理を行うシート処理装置の中には、二つ折りのみならず、シートの異なる2箇所に折り処理を施し、シートの一方側の端部が折られたシートの内側にあるように折る内三つ折り処理を実行するシート処理装置がある。その場合、シートはシート搬送方向への搬送(案内空間から収納空間への搬送)とシート搬送方向と逆方向の搬送(収納空間から案内空間への搬送)というスイッチバック搬送をすることが考えられ、上記特許文献1に記載の構成だけでは、スイッチバック搬送をする際にシートが折りローラ対に引っ掛かってしまうおそれがある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、折り処理を行うシートのスイッチバック搬送を的確に行うことを可能とするシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、シート折り処理装置であって、シートを所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送されるシートを案内する案内空間を互いの間に形成すべく、第1搬送ガイドと前記第1搬送ガイドに対して対向して配置された第2搬送ガイドとを備えた搬送ガイド対と、前記案内空間を経て搬送された1枚以上のシートを支持して収納する収納空間を形成すべく、前記第1搬送ガイドよりも前記搬送方向下流側に前記第1搬送ガイドと所定の間隔を空けて配置された第1積載ガイドと前記第1積載ガイドに対して対向して配置された第2積載ガイドとを備えた収納部と、前記収納部に収納されたシートを前記搬送方向の上流側へ移動する移動手段と、前記搬送方向と交差する方向で、前記第2搬送ガイド側から前記第1搬送ガイド側へ向かう突き出し方向およびその逆方向である戻し方向に移動可能に構成され、前記移動手段により移動されたシートを前記突き出し方向に突き出す突き出し部材と、前記第1積載ガイドよりも前記突き出し方向下流側に配置され、突き出し部材により突き出されたシートをニップ部で狭持して回転することによりシートに折り処理を行う回転体対と、前記搬送方向において前記搬送ガイド対と前記収納部の間で且つ前記突き出し方向において前記回転体対と前記第2搬送ガイドとの間に設けられ、前記搬送手段により搬送されるシートを前記案内空間から前記収納空間へ引き継いで案内し、前記移動手段により移動されるシートを前記収納空間から前記案内空間に引き継いで案内するための偏向ガイド手段と、を備え、前記偏向ガイド手段は、シートをガイドするガイド部と前記ガイド部の角度を変更する角度変更部とを有し、前記ガイド部は前記搬送方向下流側の第1端部と前記搬送方向上流側の第2端部とを有し、前記角度変更部は、シートが前記搬送手段により前記案内空間から前記収納空間に向けて搬送される場合は、前記第2端部が前記第1搬送ガイドよりも前記突き出し方向下流側に位置し、前記第1端部が前記第2端部よりも前記突き出し方向上流側に位置する第1位置に前記ガイド部を移動し、シートが前記移動手段により前記収納空間から前記案内空間に向けて移動される場合は、前記第1端部が前記第1積載ガイドよりも前記突き出し方向下流側に位置し、前記第2端部が前記第1端部よりも前記突き出し方向上流側に位置する第2位置に前記ガイド部を移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にあっては、シートを案内空間から収納空間へ、そして収納空間から案内空間へスイッチバック搬送する際に確実にシートをガイドすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の画像形成システムの全体構成の説明図。
図2】画像形成システムにおけるシート処理装置の全体構成の説明図。
図3】シート処理装置の折り処理装置を示す断面図。
図4】シート折り処理装置を示す平面図。
図5】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図。
図6】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図。
図7】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図。
図8】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図。
図9】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図。
図10】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図。
図11】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図。
図12】シート折り処理装置の一部斜視図。
図13】折りローラ対と折りブレード及び押圧ガイド部材の配置説明図。
図14】(a)(b)(c)押圧ガイド部材の動作説明図
図15】(a)(b)は折りブレード及びブレードガイド部材の動作の断面説明図。
図16】(a)(b)は折りブレード及びブレードガイド部材の動作の断面説明図。
図17】(a)(b)は折りブレード及びブレードガイド部材の動作の断面説明図。
図18】(a)(b)は折りブレード及びブレードガイド部材の動作の断面説明図。
図19】(a)(b)は折りブレード及びブレードガイド部材の動作の断面説明図。
図20】シート折り処理装置における折り動作の制御ブロック図。
図21】シート折り処理装置における折り動作のフローチャート。
図22】シート折り処理装置における折り動作のフローチャート。
図23】ブレードガイド部材の斜視図。
図24】(a)(b)(c)は折りブレード及びブレードガイド部材の動作の上面説明図。
図25】折りブレード及びブレードガイド部材の動作の断面説明図。
図26】折りブレード及びブレードガイド部材の動作の断面説明図。
図27】折りブレード及びブレードガイド部材の動作の断面説明図。
図28】折りブレード及びブレードガイド部材の動作の断面説明図。
図29】折りブレード及びブレードガイド部材の動作の断面説明図。
図30】(a)(b)は偏向ガイド部材の断面説明図。
図31】(a)(b)は偏向ガイド部材の断面説明図。
図32】(a)(b)は偏向ガイド部材の断面説明図。
図33】シート折り処理装置を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態に係るシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムについて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るシート処理装置を備えた画像形成システムの全体構成を概略的に示している。同図に示すように、画像形成システム100は、画像形成装置Aと、これに併設されるシート処理装置Bとから構成される。
【0011】
<画像形成装置の全体構成>
画像形成装置Aは、画像形成ユニットA1とスキャナーユニットA2とフィーダーユニットA3とで構成される。画像形成ユニットA1は、装置ハウジング1の内部に給紙部2と画像形成部3と排紙部4とデータ処理部5とを備えている。
【0012】
給紙部2は、それぞれ異なるサイズの画像形成用シートを収納する複数のカセット機構2a,2b,2cで構成され、図示しない本体制御部から指定されたサイズのシートを給紙経路2fに繰り出す。各カセット機構2a,2b,2cは給紙部2から着脱可能に設置され、それぞれ内部のシートを1枚ずつ分離する分離機構と、シートを繰り出す給紙機構とが内蔵されている。給紙経路2fには、各カセット機構2a,2b,2cから供給されるシートを下流側に給送する搬送ローラと、経路端部には各シートを先端揃えするレジストレーションローラ対とが設けられている。
【0013】
給紙経路2fには、大容量カセット2dと、手差しトレイ2eとが接続されている。大容量カセット2dは、大量に消費するサイズのシートを収納するオプションユニットで構成される。手差しトレイ2eは、分離給送が困難な厚紙シート、コーティングシート、フィルムシートなどの特殊シートを供給可能なように構成される。
【0014】
画像形成部3は、本実施形態では電子写真方式を用いて構成されており、回転する感光ドラム3aと、その周囲に配置された、光学ビームを発光する発光器3b、現像器3c、クリーナー(図示せず)とを備えている。図示のものはモノクロ印刷機構であり、周面を一様に帯電した感光ドラム3aに発光器3bにより画信号に応じた光照射をして光学的に潜像を形成し、この潜像に現像器3cでトナーを付着させることでトナー像を形成する。
【0015】
上記感光ドラム3aに画像形成するタイミングに合わせて、給紙経路2fからシートを画像形成部3に送り、転写帯電器3dから転写バイアスの印加することによって感光ドラム3aに形成したトナー像をシート上に転写する。トナー像が転写されたシートは、定着器6を通過するときに加熱、加圧されてトナー像が定着され、排紙ローラ4aにより排紙口4bから排紙され、後述するシート処理装置Bに搬送される。
【0016】
スキャナーユニットA2は、画像原稿を載置するプラテン7aと、このプラテン7aに沿って往復動するキャリッジ7bと、光電変換手段7cと、前記キャリッジ7bによるプラテン7a上の原稿からの反射光を光電変換手段7cに案内する縮小光学系7dとを備える。光電変換手段7cは、縮小光学系7dからの光学出力を画像データに光電変換して、電気信号として画像形成部3へ出力する。
【0017】
また、スキャナーユニットA2は、フィーダーユニットA3から送られてくるシートを読み取るために、走行プラテン7eを備えている。フィーダーユニットA3は、原稿シートを積載する給紙トレイ8aと、この給紙トレイ8aから送り出した原稿シートを走行プラテン7eに案内する給紙経路8bと、走行プラテン7eを通過した原稿シートを収納する排紙トレイ8cで構成される。給紙トレイ8aからの原稿シートは、走行プラテン7eを通過する際に、キャリッジ7bと縮小光学系7dとで読み取られる。
【0018】
<シート処理装置の全体構成>
次に画像形成装置Aから送られてくるシートを後処理するシート処理装置Bの全体構成について説明する。
【0019】
図2は本実施形態に係るシート処理装置Bの構成説明図である。シート処理装置Bは、画像形成装置Aからのシートを導入するための搬入口10を設けた装置ハウジング11を備える。装置ハウジング11は、搬入口10を像形成装置Aの排紙口4bに連通させるように、画像形成装置Aのハウジング1に位置を合わせて配置される。
【0020】
シート処理装置Bは、搬入口10から導入されるシートを搬送するシート搬入経路12と、シート搬入経路12から分岐される第1排紙パス13a、第2排紙パス13b及び第3排紙パス13cと、第1経路切換手段14aと、第2経路切換手段14bとを備える。第1経路切換手段14a及び第2経路切換手段14bは、それぞれシート搬入経路12を搬送されるシートの搬送方向を変更するフラッパガイドで構成されている。
【0021】
第1経路切換手段14aは、図示しない駆動手段によって、搬入口10からのシートをそのまま横方向に搬送する第1排紙パス13a及び下方へ搬送する第2排紙パス13bの方向に案内するモードと、上方へ搬送する第3排紙パス13cに案内するモードとに切り換える。第1排紙パス13aと第2排紙パス13bとは、一旦第1排紙パス13aに導入されたシートを、搬送方向を反転させて第2排紙パス13bにスイッチバック搬送することが可能なように連通している。
【0022】
第2経路切換手段14bは、シート搬入経路12を搬送されるシートの搬送方向に関して、第1経路切換手段14aの下流側に配置されている。第2経路切換手段14bは、同じく図示しない駆動手段によって、第1経路切換手段14aを通過したシートを第1排紙パス13aに導入するモードと、一旦第1排紙パス13aに導入されたシートを第2排紙パス13bにスイッチバック搬送するモードとに切り換える。
【0023】
シート処理装置Bは、それぞれ異なる後処理を行う第1処理部B1、第2処理部B2、第3処理部B3を備える。更にシート搬入経路12には、搬入されたシートにパンチ穴を穿孔するパンチユニット15が配置されている。
【0024】
第1処理部B1は、シート搬入経路12を搬送されるシートの搬送方向に関して、第1排紙パス13aの下流端の排紙口16aから搬出された複数のシートを集積し、部揃えして綴じ処理し、装置ハウジング11の外側に設けられた積載トレイ16bに排出する綴じ処理部である。また、第1処理部B1は、シート又はシート束を搬送するシート搬送装置16cと、シート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット16dとを備える。第1排紙パス13aの下流端には、排紙口16aからシートを排出するため、及び第1排紙パス13aから第2排紙パス13bにスイッチバック搬送するための排出ローラ対16eが設けられている。
【0025】
第2処理部B2は、第2排紙パス13bからスイッチバック搬送されてくる複数のシートをシート束にし、該シート束を綴じ処理した後、折り処理を行う折り処理部である。後述するように、第2処理部B2は、搬入されたシート又はシート束を折り処理する折り処理装置Fと、第2排紙パス13bに搬送されるシートのシート搬送方向に沿って該折り処理装置Fの直ぐ上流側に配置されて、シート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット17aとを備える。折り処理されたシート束は、排出ローラ17bによって、装置ハウジング11の外側に設けられた積載トレイ17cに排出される。
【0026】
第3処理部B3は、第3排紙パス13cから送られてくるシートを、搬送方向に直交するシート幅方向に所定量オフセットさせて集積するグループと、オフセットさせることなく集積するグループとに区分けするジョグ仕分けを行う。ジョグ仕分けしたシートは、装置ハウジング11の外側に設けられた積載トレイ18に排出され、オフセットされたシート束とオフセットされないシート束とが積み上げられる。
【0027】
図3は、第2処理部B2の全体構成を概略的に示している。上述したように、第2処理部B2は、第2排紙パス13bから搬入され、集積して部揃えしたシート束を2つ折りに折り処理する折り処理装置Fと、折り処理前のシート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット17aとを備える。図示される綴じ処理ユニット17aは、ステープル針を打ち込んでシート束を綴じるステープラ装置である。
【0028】
折り処理装置Fにシートを搬入するために、第2排紙パス13bにシート搬送路20が接続されている。第2排紙パス13bからシート積載トレイ21に搬送されるシートの搬送方向に関して、シート搬送路20の下流側には、該シート搬送路の一部を構成するシート積載トレイ21が、折り処理するシートを位置決めして積載するために設けられている。シート積載トレイ21の直ぐ上流側には、シート搬送路20を挟んで綴じ処理ユニット17aとその針受け部17dとが対向位置に設けられている。
【0029】
シート積載トレイ21の一方の側には、折り回転体対としての折りローラ対22が、前記シート積載トレイに積載されるシート又はシート束の一方の面に対向するように配設されている。折りローラ対22は、互いにローラ面を圧接させた一対の折りローラ22a,22bからなり、その圧接部であるニップ部22cがシート積載トレイ21に向けて配置されている。折りローラ22a,22bは、シート積載トレイ21に上方の上流側から下方の下流側へ搬入されるシートの搬入方向に沿って上流側と下流側に、それぞれシート積載トレイ21との間隔を略等しくして並置されている。なお、本発明において、前記折り回転体対の回転部は、本実施形態の折りローラ22a,22bに限定されず、回転ベルトなどで構成することができる。更に、折りローラ対22は、各折りローラ22a,22bの軸方向に沿ってそれぞれ複数の折りローラ(回転体)を直列に連続配置して構成することができる。
【0030】
本実施形態の折りローラ対22の各折りローラ22a,22bは、図3に示すように、そのローラ周面が、それぞれ回転軸22a1,22b1の回転軸心を中心に半径R1が一定である第1ローラ面22a2,22b2と、前記回転軸の回転軸心からの距離が前記第1ローラ面の半径R1より小さい第2ローラ面22a3,22b3とを有する。第1ローラ面22a2,22b2は、通常のローラ面と同様に、摩擦係数が比較的高いゴム材料等で形成されている。これに対し、第2ローラ面22a3,22b3は、摩擦係数が第1ローラ面22a2,22b2より小さいプラスチック樹脂材料等で形成されている。
【0031】
折りローラ22a,22bの回転軸22a1,22b1は、共通の駆動モータ等の駆動手段によって回転駆動される。それにより、互いに第1ローラ面22a2,22b2及び第2ローラ面22a3,22b3の回転位置を常に同期させることができる。
【0032】
シート積載トレイ21を挟んで折りローラ対22の反対側には、突き出し部材としての折りブレード23が配置されている。折りブレード23は、その先端を折りローラ対22のニップ部22cに向けて、ブレードキャリア24に担持されている。ブレードキャリア24は、カム部材等で構成した移動手段によってシート積載トレイ21を略直角に横断する向きに、即ち第2排紙パス13bからシート積載トレイ21に搬送されるシートの搬送方向と交差する向きに、走行可能に設けられている。
【0033】
図3における前後方向、即ち前記折りローラの軸線方向に、ブレードキャリア24を挟んでその両側には、一対の互いに鏡面対称の偏心カムからなるカム部材25(図中には、一方のみを表示)が対向位置に設けられている。カム部材25は、その偏心位置に設けられた回転軸25aを中心に、駆動モータ等の駆動手段によって回動する。カム部材25には、その外周縁に沿ってカム溝25bが形成されている。
【0034】
ブレードキャリア24には、カムフォロワとして、カム溝25bに摺動自在に嵌合するカムピン24cが設けられている。
【0035】
ブレードキャリア24は、駆動モータによりカム部材25を回転させるとシート積載トレイ21に接近又は離反する向きに往復走行する。これによって、図3に示すように、折りブレード23の先端がシート積載トレイ21により形成されるシート搬送路に進入していない位置である初期位置と、折りローラ対22のニップ部22cに挟まれる最大突き出し位置との間で、前記両位置を結ぶ突き出し経路に沿って、折りブレード23を直線状に進退自在に移動させることができる。
【0036】
シート積載トレイ21の下端には、搬入されたシートの搬送方向の先端を当接させて規制するための規制ストッパ26が配置されている。規制ストッパ26は、シート昇降機構27によって、シート積載トレイ21に沿って昇降可能に設けられている。
【0037】
本実施形態のシート昇降機構27は、シート積載トレイ21の裏側で折りブレード23の先端がシート積載トレイ21により形成されるシート搬送路に進入していない位置である初期位置ある時のブレードキャリア24の下方に配置され、該シート積載トレイ21に沿ってその上端及び下端付近に配置された一対のプーリ27a,27bと、前記両プーリに巻き掛けられた伝動ベルト27cとからなるコンベアベルト機構である。規制ストッパ26は、伝動ベルト27c上に固定されている。駆動側のプーリ27a又は27bを駆動モータ等の駆動手段により回転させることによって、規制ストッパ26が、図3に示す下端位置と所望の高さ位置との間を昇降し、それによりシート積載トレイ21に沿ってシート又はシート束を移動させることができる。
【0038】
また、本実施形態の折り処理装置Fは、シート積載トレイ21に搬入されるシートの側縁を揃えて整合させるためのシート側部整合機構を更に備えている。このシート側部整合機構は、図4に示すように、シート積載トレイ21のシート幅方向(シート搬送方向と直交する方向)の両側に対称に配置された一対のシート側部整合部材28a,28bを有する。なお、図4は折り処理装置Fを上方から見た平面模式図である。前記シート側部整合部材28a,28bは、シート幅方向に相対的に接近離反し得るように移動可能に保持されている。シート積載トレイ21に搬送され、先端が規制ストッパ26に突き当たったシートに対し、前記シート側部整合部材28a,28bを移動させることでシートの幅方向の位置が整合されるものである。
【0039】
<内三つ折り処理>
本実施形態のシート処理装置Bは、折り処理装置Fによってシート搬送路となるシート積載トレイ21に搬送されたシートを内三つ折り処理することが可能となっている。内三つ折り処理とは、1回目の折り処理によってシートを二つ折りし、そのシートに対して最初の折り位置とは異なる箇所で2回目の折り処理をするときに、1回目の折り処理によって折られたシートの一方側の端部が2回目の折り処理によって折られたシートの内側に折り込まれるようにして三つ折りする処理である。ここで、本実施形態の折り処理装置Fにより内三つ折り処理をするときの概略動作について、図5乃至図11を参照して説明する。図5乃至図11は内三つ折り処理を実行したときのシートSの流れに沿った各部の動きを断面模式図で示している。
【0040】
本実施形態のシート積載トレイ21は鉛直方向に対して傾いて形成されており、シートSは一方側の面がシート積載トレイ21を形成するガイド面21aにガイドされながらシート先端S1を下にシート後端S2が上になって落下するように搬送され、シート先端が規制ストッパ26に付き当てられて停止する(図5(a))。このとき、規制ストッパ26の位置は、シート先端S1が突き当てられたシートSへの、1回目の折り位置が折りブレード23と対向する位置となるように配置されている。折りブレード23は、シート積載トレイ21のガイド面21aの側から、折りローラ対22に向かってシートSを突き出す位置に配置されている。言い換えると、シート積載トレイ21のガイド面21aと折りローラ対22とは、シートSを挟んで対応する位置となるように配置されている。
【0041】
この状態で前述したシート側部整合部材28a,28bによってシート幅方向の位置を整合した後、折りブレード23を動作させてシートSを2つ折りにするとともに、その折り部を折りローラ対22のニップ部22cへ突き出す(図5(b))。前記折りブレード23の突き出し動作と同期して折りローラ対22及び排出ローラ17bを正転駆動してシートSを折りローラ対22及び排出ローラ17bに引き込む。これによりシートSは折りローラ対22のニップ部により押圧されて1回目の折り処理が行われる(図6(a))。
【0042】
次に2回目の折処理を行うために、1回目の折り処理が行われたシート後端S2が所定位置に達した時点でシート搬送を停止し(図6(b))、折りローラ対22及び排出ローラ17bを逆転駆動してスイッチバック搬送処理を実行する。前記シート後端S2は、シートを内三つ折り処理するときに、2回目の折り処理によって折られたシートの内側に折り込まれる端部(以下「折込端部」という)となる。そして、スイッチバック搬送処理をするときに、前記折込端部S2をL字形状の押圧ガイド部材30によって下方(シート先端S1があるシート積載トレイ21の方向)へ押し下げ(図7(a))、かつ押圧ガイド部材30によって再びシート積載トレイ21の規制ストッパ26が配置されている方向に搬送されるシートSをガイドする(図7(b))。なお、この押圧ガイド部材30の構成及び動作については後で詳細に説明する。
【0043】
スイッチバック搬送によりシートSの先端が予めシート受け入れ位置に移動している規制ストッパ26に到達すると(図8(a))、押圧ガイド部材30を退避位置に戻した後に逆搬送ガイド位置へ移動させ(図8(b))、規制ストッパ26を移動させて2回目の折り位置が折りブレード23と対向する位置へ移動させる(図9(a))。そして、移動完了後に押圧ガイド部材30をシート積載トレイ21のガイド面21aと平行になるガイド位置に移動させる(図9(b))。
【0044】
次に再度折りブレード23を動作させてシートSを折りローラ対22のニップ部22cに突き出す(図10(a))。このとき、折りブレード23の上部に配置された突き出しガイド部材であるブレードガイド部材40が突出することによってシートの折込端部S2が前記ニップ部22cに押し込まれるようにガイドされる(図10(b))。なお、このブレードガイド部材40の構成及び動作についても後で詳述する。
【0045】
折りブレード23の突き出しにより折りローラ対22へ送られたシートSは、ニップ部22cを通過することで2回目の折り処理が施され(図11(a))、内三つ折りされたシートSが排出ローラ17bによって排出される(図11(b))。
【0046】
<押圧ガイド部材>
次に前述した押圧部材である押圧ガイド部材30について、図12乃至図14を参照して説明する。なお、図12は折り処理装置Fについて、押圧ガイド部材30を露出させた状態の斜視図であり、図13は押圧ガイド部材30の回動軌跡と他の部材との関係を示す図である。図14は押圧ガイド部材30の動作説明図である。
【0047】
(押圧ガイド部材の形状)
押圧ガイド部材30は、1回目の折り処理が実行されたシートをスイッチバック搬送する際に、シートの折込端部S2を下方へ押圧するとともに、シート積載トレイ21へ搬送されるようにガイドするものである。言い換えると、押圧ガイド部材30は、1回目の折り処理が実行されたシートをスイッチバック搬送する際に、シートの折込端部S2をシート積載トレイ21のシート先端S1がある方向へ、向きを変更する方向変更部材でもある。
【0048】
押圧ガイド部材30は、図12(及び図4参照)に示すように、シート積載トレイ21のガイド面21aにガイドされたシートSを挟んで、折りローラ対22が配置されている側と反対側に配置されている。そして、本実施形態ではシート幅方向に配置された支持部材である回動軸31に略等間隔で3個並んで取り付けられている。両側の2個はシート積載トレイ21を搬送されるシートSの両端部に当接し得る位置に配置され、中央の1個は搬送されるシートに対して幅方向略中央に当接し得る位置に配置されている。
【0049】
上記押圧ガイド部材30は移動手段により移動可能となっている。本実施形態では、回動軸31が駆動ベルト等の駆動伝達部材32を介して押圧ガイドモータ33に連結しており、押圧ガイドモータ33の駆動によって回動軸31が回動し、これと一体的に3個の押圧ガイド部材30が回動可能に構成されている。
【0050】
押圧ガイド部材30は、図13に示すように、回動軸31を中心に回動可能な回動部30aと、スイッチバック搬送されるシートSをガイドする第1ガイド面となるガイド部30bとを有し、回動部30aに連続してガイド部30bが略直角に連結した断面L字形状の部材で構成されている。そして、回動部30aとガイド部30bとの間、すなわち回動部30aの先端であるL字形状の角部はシートSを押圧する押圧部30cとして形成されている。
【0051】
押圧ガイド部材30はガイド面21aに切欠を形成し、そこから露出するように設けられている。そして、シートSがシート積載トレイ21に搬入されるときは退避位置に退避している(図5(a)参照)。この退避位置にあるときは、回動部30aがガイド面21aと略同一面となるように設けられている。このため、回動部30aはガイド面21aの一部として機能し、シート積載トレイ21に搬入されるシートをガイドするガイド面(第2ガイド面)として作用する。そして、押圧ガイド部材30が前記退避位置にあるときは前記ガイド部30bがガイド面21aから突出しないようにすればよいために、退避状態において押圧ガイド部材30の収容スペースを小さくすることができる。
【0052】
(回動中心の位置)
本実施形態の押圧ガイド部材30の回動中心となる回動軸31は、図13に示すように、折りローラ対22のニップ部22cと折りブレード23の先端部とを結ぶニップ線L1よりも、シートSがシート積載トレイ21に搬入される搬送方向における上流側に配置され、かつ、シート積載トレイ21のガイド面21aを挟んで、折りローラ対22が配置されている側と反対側に配置されている。さらに、本実施形態の回動軸31は、折りローラ22a,22bのうち、前記ニップ線L1よりもシート搬送方向上流側に配置された折りローラ、すなわち回動軸31に近い側にある折りローラ22aの回転軸22a1を通り、前記ニップ線L1と平行な軸線L2よりも前記搬送方向の下流側に配置されている。
【0053】
そして、回動部30aは押圧部30cがシートSをスイッチバック搬送される側へ押圧する方向に回動するように設定されている。
【0054】
したがって、1回目の折り処理が実行されたシートSがスイッチバック搬送される際に、図14(a)に示すように、退避位置にある押圧ガイド部材30が回動すると、図14(b)に示すように、押圧部30cがシートの折込端部S2を折込端部S2の上方から下方へ向けて押し下げる。これにより、折込端部S2はスイッチバック搬送されながらシート積載トレイ21の1回目の折り処理を行う前にシート積載トレイ21にシートSを受け入れたシート搬送方向の下流側(下方)へと案内される。つまり、押圧部30cがシートの折込端部S2の向きをシート積載トレイ21のシート先端S1がある方向へ、向きを変更する。押圧ガイド部材30は、折込端部S2の向きを変更した後、そのままその位置に留まることで折込端部S2を1回目の折り処理を行う前にシート積載トレイ21にシートSを受け入れたシート搬送方向の下流側へと案内することができる。
【0055】
さらに図14(c)に示すように、押圧部30cがガイド面21aの位置まで回動したガイド位置まで回動すると、押圧部30cはシートに当接してからシートの折込端部S2をニップ部22c側からガイド面21a側へ引き込むように押し下げるとともに、シート積載トレイ21の規制ストッパ26が配置されている方向へ案内するようにガイドする。このため、仮にシートの折込端部S2が上方へカールしていたとしても、シートはシート積載トレイ21を上方へ向かって進んでいくことはなく、確実に下方へ向かって搬送される。
【0056】
(回動部の回動領域)
本実施形態の押圧ガイド部材30の回動部30aの長さ、すなわち回動支点である回動軸31から押圧部30cまでの長さは、図13に示すように、2個の折りローラ22a,22bのうち、回動軸31に近い側の折りローラ22aにおける第1ローラ面22a2までの最短距離よりも長く、第2ローラ面22a3までの最短距離よりも短くなるように設定されている。
【0057】
上記のように、回動部30aの長さを第1ローラ面22a2までの最短距離よりも長く設定しても、シートのスイッチバックの際に折りローラ対22は第2ローラ面22a3,22b3が回動部30aと対向するように停止させることにより、回動部30aを回動させても折りローラ対22と干渉することがない。そして、回動部30aを折りローラ22aの大径部である第1ローラ面22a2までの最短距離よりも長く設定できるため、スイッチバック搬送されるシートに対し、押圧部30cがよりニップ部22cに近い位置で押圧するようになり、より確実にシート積載トレイ21へ案内するようになる。
【0058】
なお、回動部30aを長くする場合、回動した押圧ガイド部材30が折りブレード23と干渉しないようにするには回動軸31をシート搬送方向で折りブレード23から離れた位置に配置しなければならなくなる。そうすると、結果として回動軸31は折りローラ対22からも離れた位置に配置しなければならなくなる。この点、本実施形態にあっては、前述したように、回動軸31をシート搬送方向においてニップ線L1と回転軸線L2との間に配置するように構成しているため、回動部30aの長さを無用に長くすることなく、押圧部30cがスイッチバック搬送されるシートを押圧する位置をよりニップ部22cに近づけることができる。
【0059】
ここで、折りローラ対は本実施形態のように径が異なる第1ローラ面22a2,22b2と第2ローラ面22a3,22b3を有する異径ローラを用いる以外にも、ローラ径が一定のローラ対を用いることも可能であるが、その場合は回動部30aの長さは、回動軸に近い側の折りローラの外周までの最短距離より短くする必要がある。
【0060】
また、本実施形態の押圧ガイド部材30は、図13に示すように、ガイド部30bが回動部30aの回動軌跡L3の内側にあって、その領域外に突出しない形状となっている。これによって前述したように長く構成した回動部30aを回動してもガイド部30bが折りローラ対22と干渉することがない。
【0061】
上記のようにして1回目の折り処理が行われたシートをスイッチバック搬送する際に、押圧ガイド部材30によってガイドしながらシート積載トレイ21に戻す。シートが規制ストッパ26に当接してスイッチバック搬送が完了した後は、押圧ガイド部材30を退避位置へ戻す。このとき、押圧ガイド部材30の第2ガイド面となる回動部30aがシート積載トレイ21を逆方向に搬送されるシートSのガイドとなるようにガイド面21aよりも少しシート搬送路側に突出した逆搬送ガイド位置へ移動させる(図8(b)参照)。
【0062】
押圧ガイド部材30が上記逆搬送ガイド位置に移動した後、規制ストッパ26を上昇させて2回目の折り位置が折りブレード23と対向する位置となるようにシートを逆搬送する。このとき、シートSは押圧ガイド部材30の回動部30aにガイドされるため、ガイド面21aに形成された押圧ガイド部材取付用の切欠等に引っかかることなく搬送される(図9(a)参照)。
【0063】
<ブレードガイド部材>
上記のようにしてスイッチバック搬送されたシートの2回目の折り位置が折りブレード23と対向する位置に移動した後、押圧ガイド部材30を退避位置へ移動させ、折りブレード23を動作させて2回目の折り動作を実行する。このとき、折りブレード23の上部に設けたブレードガイド部材40がシートの折込端部S2をガイドするように構成している(図10(b)参照)。
【0064】
次に前記ブレードガイド部材40の構成及び動作について、図15乃至図19を参照して具体的に説明する。なお、図15はブレードガイド部材40の回動説明図であり、図16乃至図19はシートに対して2回目の折り処理を実行するときの折りブレード23及びブレードガイド部材40の動作を示す図である。
【0065】
(ブレードガイド部材の構成)
ブレードガイド部材40は、シートSに2回目の折り処理を実行する際に、折りブレード23の突き出し方向に移動して、折りブレード23に対して1回目の折り処理によって形成された折り目側のシート端部、すなわちシート折込端部S2を前記突き出し方向にガイドして折りローラ対22のニップ部22cへガイドするものである。そのために、ブレードガイド部材40は、図15に示すように、シート後端に当接する当接部40aを有し、当接部40aの一方側端部には一部切欠を有する嵌合穴部40bが形成され、この嵌合穴部40bが基体部40eに形成された軸部40fに回動可能に嵌合している。また、当接部40aの他方側端部にはアーム部40cが一体的に設けられ、このアーム部40cの端部には係合突部40dが形成されている。そして、前記係合突部40dが、シート処理装置Bのフレームに形成された長孔50にスライド可能に係合している。この長孔50は、ブレードキャリア24の上方近傍においてシート積載トレイ21のガイド面21aと略平行に形成されている。
【0066】
上記基体部40eは、ブレードキャリア24に対して該ブレードキャリア24の移動方向と平行な方向にスライド可能に取り付けられている。そして、基体部40eに形成された係止部40e1とブレードキャリア24に形成された係止部24aとの間に引張バネ51が取り付けられている。
【0067】
ブレードキャリア24には前記基体部40eに当接して押圧可能な押圧突部24bが設けられている。この押圧突部24bはブレードキャリア24に回動可能に設けられ、回動軸に取り付けられた巻きバネ52によって図15の反時計回りに付勢されている。これにより、ブレードキャリア24がブレード突き出し方向に移動すると、押圧突部24bが基体部40eに当接して基体部40eを押圧し、ブレードガイド部材40がブレードキャリア24と一体的に移動する。なお、前記押圧突部24bに設けられた前記巻きバネ52は、いわゆるトルクリミッタとして作用し、押圧突部24bに所定以上の時計回り方向の力が加わると時計回りに回動するようになっている。
【0068】
(折りブレードの移動方向に対する当接部の角度変化)
上記構成において、ブレードガイド部材40は、図15(a)に示すように、ブレードキャリア24がホームポジションにあるときは、引張バネ51に引かれて当接部40aが押圧ガイド部材30の回動支点となる回動軸31に当接した位置にある。この状態がブレードガイド部材40のホームポジション位置である。このとき、当接部40aはガイド面21aと略同一面となるように起立している。そして、ブレードガイド部材40は前記ホームポジション位置から、ブレードキャリア24がブレード突き出し方向に移動すると、押圧突部24bによって押圧されてブレードキャリア24とともに移動し、図15(b)に示すように、基体部40eの後端に起立形成された突当部40e2が回動軸31に当接するまで移動する。
【0069】
上記のように、ブレードガイド部材40がブレード突き出し方向に移動すると、係合突部40dが長孔50にガイドされて下方へスライドし、当接部40aが軸部40fを中心に回動する。軸部40fは、当接部40aの折りブレード23に近い方の一方端に設けられている。この一方端とは、当接部40aの中心と折りブレード23に近い方の端部との間の領域を指す。つまり、軸部40fは、当接部40aの中心よりも折りブレード23側のいずれかの領域に設けられている。したがって、ブレードガイド部材40がホームポジションにある図15(a)の状態では当接部40aはブレードキャリア24の移動方向、すなわち折りブレード23の移動方向に対する角度が略直角となり、起立した状態にある。これが折りブレード23が突き出される方向にブレードキャリア24が移動するにしたがって、図15(b)に示すように、当接部40aの他方端がその回動中心である軸部40fの移動軌跡に近づくように移動し、すなわち折りブレード23の突き出し方向の上流側へ倒れるように回動し、ブレードキャリア24の移動にしたがってその移動方向に対する当接部40aの角度が鋭角に変化するように(突き出し方向上流側の角度が小さくなるように)構成されている。上記のように当接部40aの一方端を軸部を中心に回動可能に構成するとともに、当接部40aの他方端に延設して設けられたアーム部40cの端部が長孔50に沿ってスライド可能に構成することにより、ブレードガイド部材40は特別な駆動手段を設けることなく、ブレードガイド部材40の移動に連動して移動方向に対して角度を変更可能となっている。
【0070】
また、図15(a)に示すように、当接部40aの回動軸となる軸部40fには、突部40f1が形成されている。一方、前記軸部40fと嵌合する嵌合穴部40bに形成された切欠は前記突部40f1の幅よりも広く形成され、ブレードガイド部材40は前記切欠の範囲で回動可能となっている。
【0071】
上記構成において、ブレードキャリア24がホームポジションに移動すると、基体部40eが引張バネ51により引かれるが、このとき前記嵌合穴部40bの切欠面が前記突部40f1に当接し、当接部40aはそれ以上の回動が規制される。そのため、当接部40aが回動軸31に当接した状態でブレードガイド部材40はそれ以上の移動が規制され、当接部40aはホームポジションで起立状態を維持する。
【0072】
また、本実施形態のブレードガイド部材40は、当接部40aとアーム部40cは断面でみると直線状の部材で構成され、かつ、当接部40aに対してアーム部40cは所定の角度をもって形成されている。これにより、ブレードガイド部材40がホームポジションにあるときに、当接部40aがガイド面21aと略同一面になるように構成しても、アーム部40cの係合突部40dが設けられている側の端部は、ガイド面21aよりも折りローラ対22がある側と反対側に離れた位置にある。すなわち、ガイド面21aよりも折りブレード23を前記ニップ部22c側からホームポジションへ戻す方向側の位置にある。このため、係合突部40dが係合する長孔50をガイド面21aよりも折りローラ対22がある側と反対側に離間して配置することができ、ガイド面21aと干渉しない位置に配置できる。したがって、ブレードガイド部材40がホームポジションにある状態では、当接部40aがシート積載トレイ21を搬送されるシートのガイド部として機能するように構成することが可能である。
【0073】
(折りブレードとブレードガイド部材の動作)
次にシートに2回目の折り動作を実行するために、折りブレード23を動作させたときのブレードガイド部材40の動作について、図16乃至図19を参照して説明する。
【0074】
図16(a)はブレードキャリア24がホームポジションにある状態であり、このときブレードガイド部材40もホームポジションの状態にある。なお、以下の説明では、前記ホームポジションの位置からブレードキャリア24が折りブレード23を折りローラ対22のニップ部22cへ突き出す方向を「突き出し方向」、前記ニップ部22c側からホームポジションへ戻す方向を「戻し方向」という。
【0075】
上記ホームポジションにあるときは、折りブレード23の先端はガイド面21aと略同一面もしくは、ガイド面21aよりも戻し方向側にあり(第1位置)、シート積載トレイ21にあるシートSから離間している。このため、ガイド面21aにガイドされてシート積載トレイ21を搬送されるシートがブレード先端に引っかかることはない。なお、折りブレード23の先端がガイド面21aよりも折りローラ22側に突出した状態でも、別のガイド部材によりシート積載トレイ21に搬送されるシートがブレード先端に引っかからなければ、ブレード先端はシート搬送路から退避していると言えるため、その状態を第1位置としてもよい。また、ブレードガイド部材40がホームポジションにあるときはブレードガイド部材40の当接部40aは回動軸31に当接した位置にある。このとき、押圧突部24bは基体部40eから離間している。
【0076】
次に折りブレード23を突き出すために、カム駆動モータを駆動するとカム部材25が回転してブレードキャリア24を突き出し方向に移動させる。すると、押圧突部24bが基体部40eに当接し、ブレードガイド部材40がブレードキャリア24及び折りブレード23と一体的に突き出し方向へ移動する(図16(b))。このとき、折りブレード23の先端部は、ブレードガイド部材40の先端部よりも突き出し方向に突出するように構成されている。
【0077】
ブレードキャリア24がさらに突き出し方向に移動すると折りブレード先端部が所定量突出し、図17(a)に示すように、1回目の折り処理がされ、2回目の折り位置が折りブレード23と対向して、シート積載トレイ21に停止しているシートSに折りブレード23の先端が当接する(第2位置)。このとき、前述したように折りブレード23の先端がブレードガイド部材40よりも突き出し方向へ突出しているために、シートSの折り位置にはブレードガイド部材40よりも折りブレード23が先に当接する。このため、折りブレード23の突き出しにより、シートの折り位置に対向している折りブレード先端がシートの折り位置からズレることなく的確に当接し、正確な折り位置で折り処理が実行される。
【0078】
なお、前記折りブレード先端は、前記ブレードガイド部材40に対して必ずしも突出していなくても、突き出し方向においてブレードガイド部材40と同じ位置にあればブレード先端がシートの折り位置に当接するときのズレを抑制することができる。
【0079】
上記状態でブレードキャリア24が突き出し方向に移動すると、折りブレード23によってシートSの2回目の折り位置が折りローラ対22のニップ部22cへ向けて突き出される。これと同時に、ブレードガイド部材40の当接部40aが1回目の折りがなされたシートの折込端部S2に当接し、この折込端部S2を前記ニップ部22cへと押し出すようにガイドする(図17(b))。
【0080】
上記のように、ブレードガイド部材40がシートの折込端部S2をニップ部22cへとガイドするために、シートの折込端部S2はめくれることなくニップ部22cへと向かうようになる。また、ニップ部22cへ近づくと突き出されたブレードガイド部材40は折りローラ22a,22bの外周と干渉するおそれがある。このとき、本実施形態のブレードガイド部材40は、前述したように突き出し方向に移動するにしたがって突き出し方向に対する当接部40aの角度が鋭角に変化する(図17(a)の状態から図17(b)の状態へ変化)。このため、当接部40aはよりニップ部22cの近傍へ進入することができ、シートの折込端部S2をニップ部へ確実にガイドすることができる。
【0081】
ブレードキャリア24がさらに突き出し方向へ移動し、図17(b)のように、突当部40e2が回動軸31に当接すると、ブレードガイド部材40はそれ以上突き出し方向への移動が規制される。なお、ブレードガイド部材40が最も突き出し方向に移動した状態で、ブレードガイド部材40の先端(突き出し方向に対して折りローラ対22側の端部)は、折りローラ22aと折りローラ22bのシート積載トレイ21側の外周を結ぶ接線(2つの折りローラ22a、22bの)よりもニップ部22c側に突出している。一方、カム部材25の回転によりブレードキャリア24が突き出し方向へ押し出されると、図18(a)に示すように、押圧突部24bは巻きバネ52に一定以上の力がかかるために巻きバネ52の付勢力に抗して時計回りに回転し、基体部40eの下部に潜り込む。これにより、押圧突部24bはブレードガイド部材40を押圧しなくなり、ブレードガイド部材40は停止したまま、折りブレード23のみが突き出し方向へ移動してブレード先端が最大に突出してシートSをニップ部22cへと突き出す位置(第3位置)へ移動する。このとき折りブレード23の先端はブレードガイド部材40の当接部40aの先端よりも大きく突出する。すなわち、前記第3位置におけるブレード先端から当接部先端までの距離は、前記第2位置のときのブレード先端から当接部先端までの距離よりも大きい。これにより、シートは2回目の折り位置で折られた状態で回転する折りローラ対22のニップ部22cへ確実に引き込まれ、かつ、シート先端S1もニップ部22cへと引き込まれて三つ折り状態となる。
【0082】
なお、前記折りブレード23がシートを突き出しているとき、すなわち折ブレード先端が第2位置から第3位置に移動中にブレードガイド部材40に対して戻し方向へ大きな負荷がかかった場合、例えば複数枚のシートを重ねた状態で折り処理する場合等でシートの剛性が高い場合は折処理時にブレードガイド部材40に大きな負荷がかかる。この場合、一定以上の負荷がかかると、ブレードガイド部材40は基体部40eの底面に巻きバネ52の付勢力で圧接している押圧突部24bとの摩擦力に抗して折りブレード23に対して戻し方向へ相対的に移動可能である。これにより、シートの折り処理時にブレードガイド部材40に大きな負荷がかかった場合にブレードガイド部材40が破損することがない。
【0083】
折りブレード先端が前記第3位置に至った後、さらにカム部材25が回転すると、ブレードキャリア24は折りブレード23と共に戻し方向に移動する(図18(b))。このとき、前述したように押圧突部24bは巻きバネ52の付勢力によってブレードガイド部材40の基体部40eに圧接しているため、押圧突部24bと基体部40eの底面との摩擦力によりブレードガイド部材40もブレードキャリア24と一体的に、すなわち折りブレード23と同時に戻し方向へ移動する。
【0084】
さらにカム部材25が回転してブレードキャリア24が戻し方向に移動すると、ブレードガイド部材40の当接部40aが回動軸31に当接し、ブレードガイド部材40がホームポジションに戻る。そして、ブレードガイド部材40はそれ以上戻し方向への移動が規制される(図19(a))。さらにカム部材25が回転すると、ブレードガイド部材40は移動しない状態で折りブレード23のみが戻し方向に移動してホームポジションへと戻る(図19(b))。
【0085】
上記のように、ブレードキャリア24が戻し方向に移動すると、折りブレード23とブレードガイド部材40は同時に戻し方向に移動し、かつ、ブレードガイド部材40はブレードキャリア24及び折りブレード23がホームポジションに戻る前にホームポジションに戻る。すなわち、ブレードガイド部材40は折りローラ対22及び排出ローラ17bによって引き込まれるシートから折りブレード23よりも早く退避する。このため、前記排出ローラ17b等によって引き込まれるシートSのブレードガイド部材40による搬送負荷は軽減される。
【0086】
(ブレードガイド部材と押圧ガイド部材の配置関係)
本実施形態にあっては、前記ブレードガイド部材40は、折り処理装置Fの平面模式図である図4に示すように、シート幅方向の所定位置に2個配置している。本実施形態の折りブレード23は突き出す側のシート幅方向に略等間隔をもって突き先端部23aが6箇所突出形成されている。この突き先端部23aがシートを突き出すことにより、シートが折りローラ対22のニップ部22cへと突き出されて折り処理が実行される。そして、ブレードガイド部材40は前記6個の突き先端部23aのうち、突き先端部23a1の上方、すなわちシート積載トレイ21に搬入されるシートの搬入方向上流側に配置されている。したがって、折りブレード23によって突き出されるシートSは、幅方向の両側においてブレードガイド部材40によって折込端部S2がガイドされる。
【0087】
ブレードガイド部材40は、シートの折込端部S2をニップ部22cへガイドするためには6箇所形成された突き先端部23a(23a1)のすべての上方に配置されるのが望ましいが、すべてに配置すると部品点数が増加してしまう。これに対して本実施形態では前述のようにブレードガイド部材40をシート幅方向の両端部側に形成された2箇所の突き先端部23a1の位置に配置したために、部品点数を少なくすることができる。そして、2回目の折り処理の際に折りブレード23によって押し出されるシートの折込端部S2は、シート幅方向の中央部よりも端部付近がめくれ易いため、この部分をブレードガイド部材40によってニップ部方向へガイドすることにより、前記めくれを効果的に防止することができる。
【0088】
なお、前記2個のブレードガイド部材40は、シート積載トレイ21へ搬送可能な最小幅シートのシート幅方向の両端部ではなく、それよりも少し中央よりに形成された突き先端部23a1の上方に配置されている。これは、突き先端部23aでシートを突き出すときに、シートの幅方向端部よりも少し中央よりを突いた方が効果的であり、ブレードガイド部材40は前記突き先端部23a1の位置に対応して配置されているためである。
【0089】
上記ブレードガイド部材40の位置に対し、本実施形態の押圧ガイド部材30は前記2個のブレードガイド部材40よりもシート幅方向の外側に配置されている。具体的には、2個の押圧ガイド部材30は、それぞれ折り処理装置Fで処理できる最小サイズのシートの幅と略同じ間隔をもって配置され、前記最小サイズシートを折り処理するときに、シートの幅方向両端を押圧、ガイドできる位置に配置されている。なお、本実施形態にあっては、シートの両端を押圧、ガイド可能な2個の押圧ガイド部材30の他にシート幅方向中央を押圧、ガイド可能な押圧ガイド部材30が設けられており、合計3個の押圧ガイド部材30が設けられている。より具体的には、本実施形態に於ける折り処理装置Fで処理できる最小サイズのシートはA4であり、一般的なA4サイズのシートの短手方向の幅の長さは210mmである。シートの幅方向の両端を押圧、ガイド可能な2個の押圧ガイド部材30はシート幅方向の長さが18mmに形成されており、この2個の押圧ガイド部材30のそれぞれの外側の端部を直線で結んだ長さはA4サイズのシート幅よりも長い226mmであり、A4サイズのシートの幅方向の端部は押圧ガイド部材30の面の幅方向の中央に近い一部に片側10mmずつかかる。折り処理装置Fで処理できる最大サイズのシートはA3であり、一般的なA3サイズのシートの短手方向の幅の長さは297mmである。シートの幅方向の両端を押圧、ガイド可能な2個の押圧ガイド部材30のそれぞれの外側の端部を直線で結んだ長さを最小サイズのシート幅より長く設定することで、最大サイズのシートの端部に対してもガイドの効果を持たせることができる。
【0090】
1回目の折り処理を実行したシートをフィードバック搬送するときに、前述したように押圧ガイド部材30によってシートの折込端部S2を押圧してシート積載トレイ21へ戻るようにガイドするときに、シート幅方向の両端部を押圧してガイドすることがめくれ防止に効果的である。このため、2個の押圧ガイド部材30はブレードガイド部材40よりもシート幅方向の外側に配置している。本実施形態ではシート幅方向両側に配置される押圧ガイド部材30は最小サイズシートの幅と略同じ間隔を隔てて配置され、ブレードガイド部材40はそれよりも内側にあって最小サイズシートの幅よりも短い間隔をもって配置されている。
【0091】
なお、本実施形態では、押圧ガイド部材30の外側にそれぞれ突き先端部23a2が配置されている。突き先端部23a2はシート幅方向に大きいサイズのシート突く際にシートに皺が発生してしまうことを防ぐためのものであり、最大サイズのシート両端部よりも内側に配置されている(扱うシートが上述した最小サイズのみと決まっている装置では特に設ける必要はない)。つまり、押圧ガイド部材30とブレードガイド部材40とは最小サイズのシートに合わせて配置することが望ましいが、必要に応じて押圧ガイド部材30の外側に別途突き先端部23a2を配置してもよい。言い換えると、シート幅方向において2つの押圧ガイド部材30の内側にブレードガイド部材40が配置され、そしてブレードガイド部材40の位置に対応して突き先端部23a1が配置されており、2つの押圧ガイド部材30の外側には扱うシートサイズに応じてさらに突き先端部23a2を配置してもよい。
【0092】
また、装置が扱う最小サイズと最大サイズとの差が大きい場合は、最小サイズに対応したブレードガイド部材40、ブレードガイド部材40が設けられた突き先端部23a1および2つの押圧ガイド部材30と、最大サイズに対応したブレードガイド部材40、ブレードガイド部材40が設けられた突き先端部23a2および2つの押圧ガイド部材30とをそれぞれ設けてもよい。なお、本実施形態では、ブレードガイド部材40が設けられた突き先端部23a1がシートSの中央を挟んで2つ設けられた態様を示したが、1つの突き先端部23a1と1つのブレードガイド部材40で構成しえもよい。
【0093】
なお、本実施形態では、押圧ガイド部材30がガイド位置に移動した際に突き先端部23a1、23a2と干渉しないように、押圧ガイド部材30は突き先端部23a1と突き先端部23a2との間に配置されている。よって、省スペースに各部材を配置することができる。
【0094】
<駆動制御>
次にシートの折り処理をするときの駆動系の制御構成について説明する。図20に示すブロック図に示すように、制御部60は図21図22に示すフローチャートの手順に従うように折りローラ対22を駆動回転させる折りローラモータ61、排出ローラ17bを駆動回転させる排出ローラモータ62、規制ストッパ26を昇降させるためのシート昇降機構27を動作させる規制ストッパモータ63の駆動を制御する。また、同様に制御部60はブレードキャリア24を動作させるためのカム部材25を駆動するカムモータ64、押圧ガイド部材30を回動させる押圧ガイドモータ33を駆動制御する。
【0095】
図21及び図22はシートSがシート積載トレイ21に搬送され、シート先端が所定位置で停止している規制ストッパ26に突き当たり、1回目の折り位置が折りブレード23と対向する位置にある状態から折り処理を実行するときの駆動制御手順を示すフローチャートである。
【0096】
折り処理が実行されると、カムモータ64が駆動してブレードキャリア24が突き出し方向に移動し、折りブレード23がシートSの1回目の折り位置に当接してニップ部22cへと突き出す(S1)。これと同時に折りローラモータ61及び排出ローラモータ62が駆動して折りローラ対22及び排出ローラ17bが正転駆動する(S2)。前記各モータはパルスモータを用いており、モータが駆動するとその駆動パルス数がカウントされる。
【0097】
カム部材25の回転により、折りブレード23はシートSの1回目の折り部を折りローラ対22のニップ部22cまで突き出す所定量突出すると、進行方向が逆転して戻し方向へ移動してホームポジションへと戻る(S3)。
【0098】
上記折りブレード23の突き出しにより、折りローラ対22のニップ部22cへ突き出されたシートSは折りローラ対22で挟持搬送される間に折り処理がなされ、そのまま折りローラ対22とともにシート搬送手段を構成する排出ローラ17bによって搬送される。排出ローラ17bによってシートが挟持搬送されると(S4)、折りローラモータ61は折りローラ22a,22bが第2ローラ面22a3,22b3が対向したときに停止する(S4、S5)。これにより、折りローラ対22はシートをニップしなくなり、シートは排出ローラ17bによって搬送される。このとき、シートは摩擦係数が小さい第2ローラ面22a3,22b3によってガイドされながら排出ローラ17bによって搬送される。なお、本実施形態ではシートが排出ローラ17bまで搬送されたか、また折りローラ対22の第2ローラ面22a3,22b3が対向したかはモータのパルスカウントにより判別しているが、他の構成、例えばシートSをセンサによって検出し、その検出結果に応じてモータの駆動を制御するようにしてもよい。
【0099】
そして、搬送されるシートSの折込端部S2の位置が所定領域内に達したときに(S7)、排出ローラモータ62の駆動を停止してシート搬送を停止する(S8)。この所定領域は、シートの折込端部S2が押圧ガイド部材30の回動軌跡L3とシート積載トレイ21のガイド面21aとの間の領域である(図14(a)参照)。前記領域内に折込端部S2があるようにシートを停止させることにより、押圧ガイド部材30を回動したときに、押圧部30cによってシートSを確実にスイッチバック搬送する方向に押し付けることができ(図14(b)参照)、さらにはスイッチバック搬送される折込端部S2をガイド部30bによってガイドすることができる(図14(c)参照)。
【0100】
シートSの折込端部S2を前記領域内に停止させた後、押圧ガイドモータ33を駆動して押圧ガイド部材30のガイド部30bがスイッチバック搬送されるシートSをガイドし得る位置(図14(c)に示す位置)へ至るように押圧ガイド部材30を回動させる(S9)。また、前記押圧ガイド部材30の回動とともに、規制ストッパモータ63を駆動して規制ストッパ26がスイッチバック搬送されるシートSを受け入れ可能な位置へ移動させる。
【0101】
上記のように押圧ガイド部材30が回動した後、排出ローラモータ62及び折りローラモータ61を逆転駆動する(S10)。これにより、排出ローラ17b及び折りローラ対22が逆回転してシートSがスイッチバック搬送される。このとき、前述したようにシートは押圧ガイド部材30によってガイドされるため、シートは搬送不良を生ずることなく、シート積載トレイ21の規制ストッパ26が配置されている方向へスイッチバック搬送される。
【0102】
排出ローラモータ62及び折りローラモータ61を駆動してシートSをスイッチバック搬送し、折りローラ対22のニップ部22cを抜けたシートSが規制ストッパ26に当接するまで落下してスイッチバック搬送が完了すると(S11)、排出ローラモータ62及び折りローラモータ61の駆動を停止する(S12)。ここで、シートSのスイッチバック搬送の完了は、排出ローラモータ62及び折りローラモータ61の駆動パルス数をカウントしてシートSが所定量搬送されたことで判別するようにしてもよい。
【0103】
次に押圧ガイドモータ33を駆動して押圧ガイド部材30を退避位置へと戻す。このとき、押圧ガイド部材30をガイド位置(図14(c)参照)から退避位置(図14(a)参照)へ戻す速度は、押圧ガイド部材30を退避位置からガイド位置へ移動させるときよりも速い速度に設定されている。押圧ガイド部材30を退避位置からガイド位置へ移動させるときは、スイッチバック搬送するために停止しているシートSを押圧して向きを変えるために速度を落として回動させるのに対し、ガイド位置から退避位置へ移動させるときは速く戻すことで次の動作を実行するタイミングを早めることができる。
【0104】
そして、押圧ガイド部材30を逆搬送ガイド位置(図9(a)参照)に移動した後(S13)、規制ストッパモータ63を駆動してシートSの2回目の折り位置が折りブレード23と対向する位置となるように移動させる(S14)。この状態でカムモータ64及び折りローラモータ61、排出ローラモータ62を駆動して2回目の折り動作を実行する(S15~S17)。
【0105】
なお、本実施形態では各部材を駆動するモータを個別に設けたが、共通のモータを用いてクラッチ等により駆動を切り替えることで各部材を駆動することも可能である。
【0106】
<他の実施形態>
前述した実施形態では、折りブレード23とブレードガイド部材40とを相対的に移動させるときに、ブレードガイド部材40の係合突部40dが長孔50をスライドすることで基体部40eに対する当接部40aの角度が変化するようにした例を示した。しかし、前記リンク機構を設けることなく、基体部40eに対して当接部40aの角度を固定して変化しないようにしてもよい。このようにしても、ブレードガイド部材40に対して折りブレード23が相対的に移動可能に構成し、突き出し時にブレードガイド部材40の移動が停止した後も折りブレード23を突き出してシートをニップ部22cへ突き出すことにより、ブレードガイド部材40を折りローラ対22と干渉させることなく、シートを確実にニップ部22cへ突き出すことができる。そして、角度変更機構を設けないことにより構成を簡単にすることができる。
【0107】
前述した実施形態にあっては、折りローラ22a,22bは外径が一定の円形外周の第1ローラ面22a2,22b2と、それよりも外径が小さい第2ローラ面22a3,22b3を有するローラで構成した例を示した。しかし、折りローラ22a,22bは、外径が一定のローラ、例えば円形ゴムローラ等で構成してもよい。この場合は、シートが折りローラ対を通過しているときは、折りローラ対のニップ部で常に挟持されているために、折りローラ対の回転によってシートの搬送量を管理することができる。したがって、シートの折込端部を所定位置に停止させる場合(図7(a)参照)、折りローラの駆動量で制御することができる。
【0108】
前述した実施形態では、折りブレード先端が第3位置にあるときから戻し方向への移動開始は、折りブレード23とブレードガイド部材40とが同時に開始されるようにした例を示した。しかし、例えば折りブレード23とブレードガイド部材40とを別の駆動系で動作させるように構成し、戻し方向への移動は最初に折りブレード23が移動を開始し、それに遅れてブレードガイド部材40が戻し方向へ移動を開始するようにしてもよい。
【0109】
折りブレード先端が第3位置まで突出してシート折り部が折りローラ対22にニップされた状態であっても折込端部S2は未だニップ部22cにニップされてなく(図18(a)参照)、遅れてニップされる。その場合でも前記のように折りブレード23よりもブレードガイド部材40を遅く戻すことにより、折りブレード23が戻り方向に移動開始しても、折込端部S2はブレードガイド部材40によってガイドされているために、確実にニップ部22cへ引き込まれるようになる。
【0110】
また、前述した実施形態では、シートの搬送量や押圧ガイド部材30の回動量はモータのパルス数をカウントすることにより制御する例を示したが、モータパルス以外にも例えばシートを検出するフォトセンサ、あるいは押圧ガイド部材30を検出するフォトセンサを設け、このセンサがシートが所定位置まで搬送されたこと、あるいは押圧ガイド部材30が所定角度まで回動されたことを検出することでシート搬送、あるいは押圧ガイド部材の回動を制御するように構成してもよい。
【0111】
また、前述した実施形態では、シート積載トレイ21の下端に、搬入されたシートの搬送方向の先端を当接させて規制するための規制ストッパ26が配置され、規制ストッパ26は、シート昇降機構27によって、シート積載トレイ21に沿って昇降可能に設けられている例を示した。他の実施形態では、シート積載トレイ21の折りブレード23、折りローラ対22を挟んでシート搬送方向の上流側、下流側にシートを搬送するローラ対を配置しても良い。その場合、1回目の折り処理が施されたシートSはスイッチバック搬送される際に、シート積載トレイ21の折りブレード23、折りローラ対22を挟んでシート搬送方向の上流側、下流側のどちらにも戻すことができる。
【0112】
<変形例>
図23図29はブレードガイド部材40およびブレードキャリア24の変形例(ブレードガイド部材140およびブレードキャリア124)を示している。なお、ブレードガイド部材140の機能は上述した実施形態と同様であり、また上述した実施形態と共通する部材については同じ符号を付して説明を省略する。図23はブレードガイド部材140が突き出し方向に移動した状態を示す斜視図である。なお、図23においてブレードガイド部材140の右側には押圧ガイド部材30が設けられているが、便宜上図示を省略する。
【0113】
ブレードガイド部材140は当接部140a、アーム部140c、係合突部140d、係止部140e、回動支点140f、被押圧部140gおよび係止突部140hで構成されている。当接部140aはシートに当接してガイドする部材で、当接部140aの一端側は回動支点140fが設けられており、他端側はアーム部140cと、シート処理装置Bのフレームに形成された長孔50にスライド可能に係合する係合突部140dと、シート処理装置Bのフレームに形成された係止部124aとの間で引張バネ151を張架するために形成された係止部140eが設けられている。この引張バネ151により、ブレードガイド部材140は図25の上方向に付勢されている。そして、図25において当接部140aの裏側(突き出し方向における上流側)には後述する押圧突部124b1が当接する被押圧部140gが設けられており、被押圧部140gが押圧突部124b1によって突き出し方向に押し出されることで当接部140aが回動支点140fを中心に図25における時計回り方向に回動するように構成されている。言い換えると、当接部140aは図25に示すように折りブレード23aに対して略垂直の立位姿勢から、図26に示すように当接部140aのうち回動支点140fの反対側の部分が回動支点140fを中心に突き出し方向上流側に向けて倒れるように角度変更可能に構成されている。なお、回動支点140fから折れ曲がった係止突部140hは、押圧突部124b1が被押圧部140gを押圧している際に被押圧部140gが押圧突部124b1から外れないようにするためのストッパである。
【0114】
ブレードキャリア124は折りブレード23とスライドレール124cとを保持しており、(上述した実施形態と同様に)カム25によって突き出し方向及び戻し方向に一体に移動可能に構成されている。そして、スライドレール124cは押圧部材124bを突き出し方向及び戻し方向にスライド可能に保持している。押圧部材124bは、押圧部材124bの突き出し方向下流側端部に形成された押圧突部124b1と、突き出し方向上流側端部に形成されバネ124eが係止する係止部124b2と、押圧突部124b1と係止部124b2との間に形成された当接部124dとを有している。
【0115】
図24はブレードガイド部材140とブレードキャリア124を上からみた上面図である。図24(a)はブレードキャリア124がホームポジションにある状態(突き先端部23a1が第1位置)で、図24(b)はカム25によってブレードキャリア124が突き出し方向に所定量移動した状態(突き先端部23a1が第2位置)で、図24(c)はブレードキャリア124がさらに突き出し方向に移動して突き先端部23a1が最大に突出してシートSをニップ部22cへと突き出した状態(突き先端部23a1が第3位置)を示している。
【0116】
ブレードキャリア124にはバネ124eの一端が取り付けられる係止部124fが設けられている。バネ124eの他端は押圧部材124bの係止部124b2に取り付けられ、このバネ124eにより押圧部材124bはスライドレール124c上で突き出し方向(図24の下方向)に付勢されている。
【0117】
ここで図25を参照すると、押圧部材124bとスライドレール124cにはそれぞれ突起部124b3と突起部124c1とが設けられている。この突起部124b3と突起部124c1とが係合することにより、ホームポジションにおいてバネ124eが押圧部材124bを突き出し方向に付勢しても押圧部材124bの突き出し方向への移動を規制している。この状態でブレードキャリア124が突き出し方向に移動すると、スライドレール124cが突き出し方向に移動し、スライドレール124cに設けられている突起部124c1も突き出し方向に移動する。突起部124c1が移動することによりバネ124eによって付勢された押圧部材124bも同時に突き出し方向に移動する。
【0118】
図25の状態から押圧部材124bが突き出し方向に移動することにより、押圧突部124b1がブレードガイド部材140の被押圧部140gを押圧してブレードガイド部材140の当接部140aを突き出し方向に移動させる。この時、ブレードガイド部材140は引張バネ151の付勢力に対抗して、係合突部140dが長孔50を下方向にスライドしながら回動支点140fを中心に時計回りの方向に回動する。
【0119】
ブレードキャリア124が図26の状態(突き先端部23a1が第2位置)まで移動すると、押圧部材124bの当接部124dが押圧ガイド部材30の回動軸31に突き当たり、押圧部材124bの突き出し方向への移動が制限される。これにより、バネ124eで押圧部材124bを突き出し方向に付勢してもこれ以上は突き出し方向には移動できないようになっている。ブレードガイド部材140の当接部140aはこの位置でシートを折りローラ対22側へ寄せるようにガイドし、突き先端部23aはシートに当接してシートを折りローラ対側へシートを突き出す。
【0120】
さらにブレードキャリア124が突き出し方向に移動すると図27の状態となる。図27ではブレードガイド部材140は図26の位置で停止したまま、ブレードキャリア124と折りブレード23(突き先端部23a)とスライドレール124cのみが突き出し方向へ移動して突き先端部23a1が最大に突出してシートSをニップ部22cへと突き出す位置(第3位置)へ移動する。このとき折りブレード23の突き先端部23a1はブレードガイド部材140の当接部140aの先端よりも大きく突出する。すなわち、前記第3位置におけるブレード先端から当接部先端までの距離は、前記第2位置のときのブレード先端から当接部先端までの距離よりも大きい。これにより、シートは2回目の折り位置で折られた状態で回転する折りローラ対22のニップ部22cへ確実に引き込まれ、かつ、シート先端S1もニップ部22cへと引き込まれて三つ折り状態となる。
【0121】
その後ブレードキャリア124は戻し方向に移動する。このときも押圧部材124bは図26の位置で停止している。図28は突き先端部23a1が第2位置まで戻ってきた状態を示している。ここでスライドレール124cに設けられた突起部124c1が押圧部材124bに設けられた突起部124b3と係合する。その状態でブレードキャリア124をさらに戻し方向に移動させるとバネ124eの付勢力に対抗しながらスライドレール124cと押圧部材124bとは同時に戻し方向に移動する。押圧部材124bが図28の位置よりも戻し方向に移動すると、押圧突部124b1がブレードガイド部材140の被押圧部140gから離れる方向に移動するため、ブレードガイド部材140は引張バネ151の付勢力により図29に示す立位姿勢に角度変更する。
【0122】
なお、前記折りブレード23がシートを突き出しているとき、すなわち突き先端部23a1が第2位置から第3位置に移動中にブレードガイド部材140に対して戻し方向へ大きな負荷がかかった場合、例えば複数枚のシートを重ねた状態で折り処理する場合等でシートの剛性が高い場合は折処理時にブレードガイド部材140に大きな負荷がかかる。この場合、一定以上の負荷がかかると、ブレードガイド部材140はバネ124eに抗して折りブレード23に対して戻し方向へ相対的に移動可能である。上述した通り、ブレードガイド部材140は押圧部材124bを介してバネ124eによって突き出し方向に付勢されているため、ブレードガイド部材140に対してバネ124eの付勢力以上の負荷がかかると、ブレードガイド部材140はスライドレール124cに沿って戻し方向に移動可能に構成されている。これにより、シートの折り処理時にブレードガイド部材140に大きな負荷がかかった場合にブレードガイド部材140が破損することがない。
【0123】
図30図33は折りローラ22aとシート積載トレイ21のガイド面21aとの間に設けられた偏向ガイド170を説明する図である。偏向ガイド170は、シートSに接触してシートSをガイドする可撓性のガイド部材170a(マイラー等)を有しており、ガイド部材170aの一端はブラケット172に固定されている。ブラケット172は折りローラ22aに向けて突出した係合片171を有しており、この係合片171は折りローラ22aの係合部22d(図33参照)に係合することで位置決めされる。折りローラ22aの係合部22dは回転軸22a1の回転軸心を中心に半径R1が一定である第1ローラ面22a2と、前記回転軸の回転軸心からの距離が第1ローラ面22a2の半径R1より小さい第2ローラ面22a3とを有している。このような係合部22dに係合片171が係合した状態で折りローラ22aが回転することで、ガイド部材170aを保持するブラケット172は回動軸173を中心に回動可能に構成されている。係合片171が係合する係合部22dの表面は、摩擦係数が小さいプラスチック樹脂材料等で形成されている。
【0124】
本実施形態では、ガイド部材170aは搬送されるシートSをガイド可能なガイド領域が設けられており、ガイド領域の図30における下方端を第1端部170a1、上方端を第2端部170a2と呼ぶ。仮にブラケット172でもシートSをガイド可能である場合は、ブラケット172のシートガイド領域もガイド部材170aの一部と考え、第2端部170a2はブラケット172のガイド領域における上方端ということになる。
【0125】
また、本実施形態ではシート搬送路20を構成する第1搬送ガイド部材181と第2搬送ガイド部材182とで挟まれた空間を案内空間180と呼び、シート積載トレイ21を形成する第1積載ガイド部材184と第2積載ガイド部材185とで挟まれた空間を収納空間183と呼ぶ。
【0126】
図30は係合片171が第1ローラ面22a2に係合してガイド部材170aが第1ガイド位置に位置づけられた状態で、シートSを案内空間180から収納空間183に向けて(この方向を第1搬送方向という。)搬送する様子を示している。図31は係合片171が第2ローラ面22a3に係合してガイド部材170aが第2ガイド位置に位置づけられた状態で、シートS(この図では、一度折り処理されたシートS)を収納空間183から案内空間180に向けて(この方向を第2搬送方向という。)搬送する様子を示している。
【0127】
図32(a)はガイド部材170aが第1ガイド位置に位置づけられている状態を示し、図32(b)はガイド部材170aが第2ガイド位置に位置づけられている状態を示している。図の一点鎖線186は、第1搬送ガイド部材181の第1搬送方向下流側端部である搬送ガイド端部181aと、第1積載ガイド部材184の第2搬送方向下流側端部である積載ガイド端部184aとを結ぶ線(以下、仮想線186という。)である。
【0128】
図32(a)に示すように、ガイド部材170aが第1ガイド位置に位置づけられている状態では、ガイド部材170aの第1端部170a1は仮想線186よりも搬送されるシートSの厚み方向において折りローラ22aの反対側(ガイド面21a側)に位置づけられている。そして、第2端部170a2は仮想線186よりもシートSの厚み方向において折りローラ22a側に位置づけられている。これにより、図30(a)(b)に示すようにシートSが第1搬送方向に搬送される際に、シートSの先端(第1搬送方向下流側端部)を案内空間180から収納空間183にガイドすることができる。
【0129】
一方図32(b)に示すように、ガイド部材170aが第2ガイド位置に位置づけられている状態では、ガイド部材170aの第1端部170a1は仮想線186よりも搬送されるシートSの厚み方向において折りローラ22a側に位置づけられている。そして、第2端部170a2は仮想線186よりもシートSの厚み方向において折りローラ22aの反対側の反対側(ガイド面21a側)に位置づけられている。これにより、図31(a)(b)に示すようにシートSが第2搬送方向に搬送される際に、シートSの先端(第2搬送方向下流側端部)を収納空間183から案内空間180にガイドすることができる。
【0130】
図33に示す通り、ガイド部材170aはシートSの幅方向に複数設けられている。本実施形態では、2つのガイド部材170aがシート幅方向において最小サイズのシート幅の内側でシート幅の中心を挟んで両側に配置されている。図33の破線は折りローラ22aと22bとを示しており、係合片171は折りローラ22aの係合部22dに対応する位置に設けられている。また、ガイド部材170aは6つの突き先端部23a、23a1、23a2のうち内側の2つの突き先端部23aに対応した位置に配置されている。
【0131】
ガイド部材170aはシートSを第1搬送方向と第2搬送方向に搬送する時だけではなく、折りブレード23の突き出し動作の際にもシートSをガイドする。上述した通り、図25は折り処理を行う際にシートSの折り位置が折りブレード23と対向する位置に位置づけられた状態を示している。図25ではガイド部材170aは第1ガイド位置に位置づけられている。
【0132】
この状態で折りブレード23を突き出し方向に移動させるとシートSはガイド部材170aとブレードガイド部材140の当接部140aとの間で位置が安定するため、折り処理時のシートの位置ずれを抑えることができる。上述した通り、ガイド部材170aは可撓性のマイラー等で形成されているため、シートSが当接するとガイド部材170aは突き出し方向に撓んだ状態でシートSをガイドする。
【0133】
折りブレード23の突き先端部23a1がシートSを折りローラ対22のニップ部22cに押し込んでから折りローラ対22を所定量回転させると、係合片171は第2ローラ面22a3に係合してガイド部材170aが第2ガイド位置に位置づけられる(図28参照)。これは、シートSの折込端部S2がニップ部22cに折り込まれた後もガイド部170aがシートSを戻し方向に付勢しつづけると折りローラ対22によるシートSの搬送負荷が大きくなってしまうため、シートSの折り位置が折りローラ対22のニップ部22cに到達して折りローラ対22による折り込み処理が始まったらガイド部170aを第2ガイド位置に移動してシートSをニップ部22cに向けてガイドすることが望ましいからである。
【0134】
以上から、偏向ガイド170のガイド部材170aは、シートSを第1搬送方向に搬送する際(シートSをシート積載トレイ21に受け入れるためのシート搬送)は第1ガイド位置に位置づけられてシートSを案内空間180から収納空間183に案内するようにガイドし、シートSを第2搬送方向に搬送する際(シート積載トレイ21に受け入れたシートSを綴じ処理ユニット17aに搬送する場合や、1回目の折り処理が終わった後に2回目の折り処理を行うためにシートSの2回目の折り位置を折りブレード23に対向させる場合のシート搬送)は第2ガイド位置に位置づけられてシートSを収納空間183から案内空間180に案内するようにガイドする。
【0135】
また折り処理を行う際は、折りブレード23がシートSを折りローラ対22のニップ部22cに押し込むまではガイド部材170aは第1ガイド位置に位置づけられて折り位置がずれないようにシートSをガイドし、シートSの折り位置がニップ部22cに到達した後は第2ガイド位置に位置づけられて搬送負荷を減らしつつシートSをニップ部22cへ案内するようにガイドする。
【0136】
なお、本実施形態では、ガイド部材170aを第1ガイド位置と第2ガイド位置とに移動させるために、係合片171を異径の折りローラ22aの周面(係合部22d)に当接させることでガイド部材170aを移動させていたが、別の駆動源を用いて移動させてもよい。また、ガイド部材170aは折りローラ22aとガイド面21aとの間に配置した態様を示したが、折りローラ22bとガイド面21aとの間に配置してもよいし、両方に配置してもよい。
【0137】
また、本実施形態では、シート搬送時のガイド部材170aの第1ガイド位置と折り処理時のガイド部材170aの第1ガイド位置とが同じ位置である態様を示したが、全く同じ位置である必要はなく、適宜変更可能である。また、第2位置についても同様に適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0138】
また、上述した全ての実施形態ではシートSに2回の折り処理を行って内三つ折りをする態様を示したが、1回の折り処理(内三つ折りの1回目の折り処理や、2つ折りの際の折り処理)においても上述したブレードガイド部材40及び140を備えていると、折り処理の際にシートSを適切にガイドすることができる。
【符号の説明】
【0139】
A …画像形成装置
B …シート処理装置
F …折り処理装置
L1 …ニップ線
L2 …回転軸線
L3 …回動軌跡
S …シート
S1 …シート先端
S2 …折込端部
20 …シート搬送路
21 …シート積載トレイ
21a …ガイド面
22 …折りローラ対
22a,22b …折りローラ
22a1,22b1 …回転軸
22a2,22b2 …第1ローラ面
22a3,22b3 …第2ローラ面
22c …ニップ部
23 …折りブレード
23a …突き先端部
24 …ブレードキャリア
24a …係止部
24b …押圧突部
24c …カムピン
25 …カム部材
25a …回転軸
25b …カム溝
26 …規制ストッパ
27 …シート昇降機構
27c …伝動ベルト
28a,28b …シート側部整合部材
30 …押圧ガイド部材
30a …回動部
30b …ガイド部
30c …押圧部
31 …回動軸
32 …駆動伝達部材
33 …押圧ガイドモータ
40 …ブレードガイド部材
40a …当接部
40b …嵌合穴部
40c …アーム部
40d …係合突部
40e …基体部
40e1 …係止部
40e2 …突当部
40f …軸部
40f1 …突部
50 …長孔
51 …引張バネ
52 …巻きバネ
60 …制御部
61 …折りローラモータ
62 …排出ローラモータ
63 …規制ストッパモータ
64 …カムモータ
124 …ブレードキャリア
140 …ブレードガイド部材
170 …偏向ガイド
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