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  • 特開-膝関節刺激装置 図1
  • 特開-膝関節刺激装置 図2
  • 特開-膝関節刺激装置 図3
  • 特開-膝関節刺激装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098866
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】膝関節刺激装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
A61H1/02 N
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212508
(22)【出願日】2020-12-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】310007265
【氏名又は名称】株式会社MKR-J
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚迫 喜久憲
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正文
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA09
4C046AA45
4C046AA46
4C046BB08
4C046CC04
4C046DD02
4C046DD12
4C046EE03
4C046EE32
4C046FF12
4C046FF23
(57)【要約】
【課題】足関節の底屈および背屈の動きと協調しながら膝関節を伸展および屈曲させて、当該膝関節に刺激を加えることができる膝関節刺激装置を提供する。
【解決手段】同じ高さで平行する二つの回動中心軸3が、フレーム2に設けられ、当該二つの回動中心軸3からそれぞれ揺動アーム4が垂下され、これらの揺動アーム4の下端部には、使用者の足底が載置可能な支持板部5の前端部および後端部が回動可能に設けられ、前記フレーム2に設けられたモータ6と揺動アーム4との間が連結部材7を介して駆動連結され、前記モータ6の回転で駆動する連結部材7を介して、揺動アーム4が、前記回動中心軸3を中心に揺動するように構成されており、前記支持板部5は、当該支持板部5上に前記使用者9の足底91を載置した状態で、当該支持板部5を水平に保ったまま円弧状に揺動できるようになされたものである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ高さで平行する二つの回動中心軸が、フレームに設けられ、当該二つの回動中心軸からそれぞれ揺動アームが垂下され、これらの揺動アームの下端部には、使用者の足底が載置可能な支持板部の前端部および後端部が回動可能に設けられ、
前記フレームに設けられたモータと揺動アームとの間が連結部材を介して駆動連結され、前記モータの回転で駆動する連結部材を介して、揺動アームが、前記回動中心軸を中心に揺動するように構成されており、
前記支持板部は、当該支持板部上に前記使用者の足底を載置した状態で、当該支持板部を水平に保ったまま円弧状に揺動できるようになされたことを特徴とする膝関節刺激装置。
【請求項2】
前記支持板部は、前記使用者の片足の足底を載置できる大きさ、または両足の足底を並べて載置できる大きさに形成された請求項1に記載の膝関節刺激装置。
【請求項3】
同じ高さで平行する二つの回動中心軸が、フレームに設けられ、当該フレームを挟むように、前記二つの回動中心軸の両側からそれぞれ一対の揺動アームが垂下され、これら揺動アームの下端部には、フレームを挟んで使用者の左右の足の足底をそれぞれ載置可能な支持板部の前端部および後端部が回動可能に設けられ、
前記フレームに設けられたモータと揺動アームとの間が連結部材を介して駆動連結され、前記モータの回転で駆動する連結部材を介して、揺動アームが、前記回動中心軸を中心に揺動するように構成されており、
前記支持板部は、当該支持板部上に前記使用者の足底を載置した状態で、当該支持板部を水平に保ったまま円弧状に揺動できるようになされたことを特徴とする膝関節刺激装置。
【請求項4】
揺動アームはフレームを挟んだ左右のそれぞれが独立して揺動するように回動中心軸に対して設けられており、
連結部材は左右それぞれの揺動アームとモータとの間に設けられており、
かつ、左側の揺動アームと連結部材との駆動連結と、右側の揺動アームと連結部材との駆動連結とが180度の位相で連結されて、左右交互に揺動できるようになされた請求項3に記載の膝関節刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自重をかけずに膝関節を刺激することができる膝関節刺激装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、本発明者は、基盤上に設けたモータと、当該基盤に隣接して設けたレールを滑動するスライダとの間を、クランクによって連結し、モータの回転で駆動するクランクによってスライダをレールに沿ってスライド移動させて、当該スライダ上の支持板部に設けた足底を前後に動かせて90度端座位から膝関節を伸展および屈曲させるように構成した膝関節刺激装置を提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この膝関節刺激装置では、レールを円弧状に湾曲形成することで、90度端座位からの膝関節の伸展および屈曲に足底が追従するように構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-131797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の膝関節刺激装置の場合、円弧状に湾曲形成したレールに沿って、スライダをスライド移動させ、当該スライダ上の支持板部に設けた足底を前後に動かすため、足関節は、常に同じ角度のままで底屈や背屈することなく、膝関節のみが伸展および屈曲することとなる。しかし、膝関節は、当該膝関節のみが単品で動く場合は程無く、本来、他の関節、すなわち、股関節や足関節や足指関節と協調しながら動くものである。
【0006】
したがって、膝関節のみを単品で動かして膝関節の動きを取り戻すことも重要であるが、次の段階としては、他の関節と協調しながら膝関節を動かすことが重要と考える。例えば、腓腹筋は、足関節の底屈に関与しているが、当該腓腹筋の内側頭は大腿骨の内側顆および隣接する部分、当該腓腹筋の外側頭は大腿骨の外側顆および隣接する部分が起始位置であり、踵骨が停止位置であり、膝関節および足関節にまたがって設けられている。そのため、足関節を底屈および背屈しながら膝関節を伸展および屈曲させる場合、膝関節は、このような膝関節を含む複数の関節に跨がって設けられた腓腹筋や足底筋のような多関節筋の動きの影響を受けながら活動しているが、上記従来の膝関節刺激装置の場合には、その点が考慮されていなかった。
【0007】
本発明は、係る実情に鑑みてなされたものであって、足関節の底屈および背屈の動きと協調しながら膝関節を伸展および屈曲させて、当該膝関節に刺激を加えることができる膝関節刺激装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の膝関節刺激装置は、同じ高さで平行する二つの回動中心軸が、フレームに設けられ、当該二つの回動中心軸からそれぞれ揺動アームが垂下され、これらの揺動アームの下端部には、使用者の足底が載置可能な支持板部の前端部および後端部が回動可能に設けられ、前記フレームに設けられたモータと揺動アームとの間が連結部材を介して駆動連結され、前記モータの回転で駆動する連結部材を介して、揺動アームが、前記回動中心軸を中心に揺動するように構成されており、前記支持板部は、当該支持板部上に前記使用者の足底を載置した状態で、当該支持板部を水平に保ったまま円弧状に揺動できるようになされたものである。
【0009】
前記膝関節刺激装置において、前記支持板部は、前記使用者の片足の足底を載置できる大きさ、または両足の足底を並べて載置できる大きさに形成されたものであってもよい。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の膝関節刺激装置は、同じ高さで平行する二つの回動中心軸が、フレームに設けられ、当該フレームを挟むように、前記二つの回動中心軸の両側からそれぞれ一対の揺動アームが垂下され、これら揺動アームの下端部には、フレームを挟んで使用者の左右の足の足底をそれぞれ載置可能な支持板部の前端部および後端部が回動可能に設けられ、前記フレームに設けられたモータと揺動アームとの間が連結部材を介して駆動連結され、前記モータの回転で駆動する連結部材を介して、揺動アームが、前記回動中心軸を中心に揺動するように構成されており、前記支持板部は、当該支持板部上に前記使用者の足底を載置した状態で、当該支持板部を水平に保ったまま円弧状に揺動できるようになされたものである。
【0011】
前記膝関節刺激装置において、揺動アームはフレームを挟んだ左右のそれぞれが独立して揺動するように回動中心軸に対して設けられており、連結部材は左右それぞれの揺動アームとモータとの間に設けられており、かつ、左側の揺動アームと連結部材との駆動連結と、右側の揺動アームと連結部材との駆動連結とが180度の位相で連結されて、左右交互に揺動できるようになされたものであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上述べたように、本発明によると、支持板部上に使用者の足底を載置した状態で、当該支持板部を水平に保ったまま円弧状に揺動できるようになされているので、揺動時に足関節を低屈および背屈させながら、膝関節に、当該膝関節を伸展および屈曲させる刺激を加えることができる。しかも、これらの動作は、モータによる駆動力で行われるため、脚が緊張することもなく、リラックスした状態で、膝関節に刺激を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る膝関節刺激装置の全体構成の概略を示す側面図である。
図2】本発明に係る膝関節刺激装置の全体構成の概略を示す正面図である。
図3】本発明に係る膝関節刺激装置の使用状態を示す側面図である。
図4】本発明に係る膝関節刺激装置のさらに他の実施の形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1および図2は本発明に係る膝関節刺激装置1を示し、図3は同膝関節刺激装置1の使用状態を示している。
【0016】
この膝関節刺激装置1は、フレーム2に設けられた二つの中心軸3,3から、それぞれ揺動アーム4,4が垂下され、この揺動アーム4,4の下端部には、支持板部5の前端部および後端部が回動可能に設けられ、フレーム2に設けられたモータ6と揺動アーム4,4との間が連結部材7を介して駆動連結され、モータ6の回転で駆動する連結部材7を介して、揺動アーム4,4が、前記二つの中心軸3,3を中心に揺動し、支持板部5は、当該支持板部5を水平に保ったまま円弧状に揺動できるようになされている。
【0017】
フレーム2は、平行する一対の脚フレーム21,21のうち、一方の脚フレーム21の中央部からメインフレーム22が延設され、他方の脚フレーム21の中央部から支持フレーム23が延設されており、メインフレーム22を、支持フレーム23が支えるように連結されている。このメインフレーム22は、支持フレーム23との連結部分よりさらに延設され、その延設先端部が屈曲されている。脚フレーム21の両端部には、滑り止めゴム24が設けられている。
【0018】
中心軸3,3は、前記メインフレーム22の屈曲部分の基端部と先端部との二か所に設けられており、当該メインフレーム22の軸方向に直交して互いに水平で平行するように設けられている。この中心軸3,3は、軸受30,30に内装された当該中心軸3,3が、軸受30,30の両側に突出するようになされている。
【0019】
揺動アーム4,4は、二つの中心軸3,3の軸受30,30から突出された部分からそれぞれ延設されており、軸受け30,30の反対側から突出された部分からもそれぞれ延設されており、合計4カ所から垂下するようになされている。このうち、メインフレーム22の一方側から垂下された揺動アーム4,4は右足用、他方側から垂下された揺動アーム4,4は左足用となる。
【0020】
支持板部5は、使用者9の足底91が載置可能な長板状に形成されており、その底面の前端部と後端部とに幅方向に渡って支持軸50,50が設けられている。この支持軸50,50は、支持板部5に対して回動可能になっており、支持板部5の一側から突出した支持軸50,50と前記揺動アーム4,4の垂下した下端部とが連結するようになされている。これにより、支持板部5は、揺動アーム4,4の揺動によって水平状態を保ちながら円弧状に揺動することかできるようになされている。この支持板部5は、前記した右足用の揺動アーム4,4、左足用の揺動アーム4,4のそれぞれに設けられ、それぞれ右足用の支持板部5、左足用の支持板部5となる。なお、図1および図2に示すように、中心軸3と揺動アーム4と指示軸50とは、一体に構成されていてもよい。
【0021】
モータ6は、メインフレーム22に固定されており、ギアボックス61を介して、中心軸3,3や支持軸50,50と同じ軸方向で軸回転するようになされている。このギアボックス61の両側には、回転する円盤62,62が設けられており、この円盤62,62には、回転中心63から異なった回転半径となる複数の位置に取付穴64が設けられている。一方の円盤62が右足用、他方の円盤62が左足用となる。
【0022】
連結部材7は、前記円盤62に設けられた取付穴64と、揺動アーム4,4のうちの、モータ6に近い側の揺動アーム4との間に回動可能にピン連結71され、円盤62の回転によって、揺動アーム4を押し引きして揺動させることができるようになされている。この際の揺動幅は、ピン連結71する取付穴64の位置を選択することで、変更することができるようになされている。また、円盤62,62に設けられた取付穴64,64の位相を180度ずらして取り付けることで、フレーム22の両側にある右足用の揺動アーム4,4と左足用の揺動アーム4,4との揺動を180度ずらして交互に揺動させることができるようになされている。したがって、円盤62,62に設けられた取付穴64,64の位相をずらさずに取り付ければ、フレーム22の両側にある右足用の揺動アーム4,4と左足用の揺動アーム4,4とは、同時に揺動させることもできる。揺動回数や揺動のスピードは、メインフレーム22の延設部分に設けられたモニター8に表示されるようになされている。
【0023】
このようにして構成される膝関節刺激装置1は、モータ6の電源をコンセント65に接続して当該モータ6の始動スイッチ66をオンオフすることによってモータ6を駆動することで、連結部材7を介して揺動アーム4へと駆動伝達し、二つの中心軸3,3を中心に揺動アーム4,4が揺動して、支持板部5,5が揺動することとなる。この際、水平状態で設けられた二つの支持軸3,3から垂下された揺動アーム4,4に支持板部5を設けているので、支持板部5は、水平状態を保ちながら円弧状に揺動させることができることとなる。
【0024】
次に、このようにして構成される膝関節刺激装置1の使用方法について説明する。
【0025】
使用者9は、図3に示すように、膝関節刺激装置1の支持板部8に90度端座位で足底91を載置させるように、当該使用者9の椅子90を位置決めする。
【0026】
この状態になったら始動スイッチ66を入れてモータ6を作動させて運動を開始する。モータ6を作動させると、ギアボックス61、円盤62,62、連結部材7,7を介して中心軸3,3を中心に揺動アーム4,4および支持板部5,5が揺動し、支持板部5,5に載置させていた使用者9の足底91は、90度端座位から膝関節92を伸展させた後、元の90度端座位まで戻ってさらに屈曲した後、90度端座位を中心にして伸展と屈曲とを、所定の動作角度αの範囲で繰り返す動作により、当該膝関節92に、モータ6による他動運動の刺激を加えることとなる。
【0027】
この際、支持板部5は、水平状態で設けられた二つの支持軸3,3から垂下された揺動アーム4,4に設けられることによって、水平状態を保ちながら円弧状に揺動するので、膝関節を屈曲および伸展させる揺動のタイミングに合わせて、足関節の底屈および背屈が行われることとなる。したがって、膝関節の動きと足関節の動きとを協調させながら動員する筋群を増やして膝関節の屈曲や伸展を行うことができる。しかも、これらの動作は、モータ6による駆動力で行われるため、脚が緊張することもなく、リラックスした状態で、膝関節に刺激を加えることができる。
【0028】
また、この揺動運動は、歩行時と同じように左右交互に行われるため、使用者が本来の動きを取り戻すためのリハビリテーションの運動としてより有効なものとすることができ、下肢の協調性、連動性、巧緻性の回復を図ることができる。しかも、この膝関節刺激装置1は、全てモータ6の駆動による他動運動であるため、膝関節92が硬くなった高齢者や手術後のリハビリ患者、変形性膝関節症などの患者であっても、スムーズに膝関節92を他動運動させることができる。
【0029】
さらに、モータ6による他動運動によって、一定のリズムで他動運動させることができるので、マッサージ効果が期待できる。
【0030】
なお、モータ6の始動スイッチ66としては、当該モータ6の回転制御を行うボリュームスイッチであってもよい。この場合、揺動する揺動アーム4,4および支持板部5の揺動のスピードを調整することができる。
【0031】
また、本実施の形態において、膝関節刺激装置1は、フレーム2を挟んで設けられた右足用の支持板部5と左足用の支持板部5とにそれぞれ足を載せるように構成されているが、一つの大きな支持板部5に両足を載せるように構成されたものであってもよい。この場合、支持板部5は、本実施の形態と同様に、揺動アーム4に片持ち支持するようになされたものであってもよいし、支持板部5の両側から揺動アーム4で支持するように構成されたものであってもよい。ただし、このように構成した場合、本実施の形態のように右足用の支持板部5と左足用の支持板部5とに分かれていないので、当該右足用の支持板部5と左足用の支持板部5との位相を180度ずらして交互に揺動させるようなことはできない。
【0032】
さらに、本実施の形態において、膝関節刺激装置1は、フレーム2を挟んで設けられた右足用の支持板部5と左足用の支持板部5とにそれぞれ足を載せるように構成されているが、図4に示すように、使用者9の両側に対峙するように設けられた一対のフレーム2,2間に、それぞれ右足用の支持板部5と左足用の支持板部5とをそれぞれ別々に設けて構成したものであってもよい。この場合、膝関節刺激装置1を跨がないので、右足と左足とを近づけて使用することができる。
【0033】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0034】
1 膝関節刺激装置
2 フレーム
3 中心軸
4 揺動アーム
5 指示板部
6 モータ
7 連結部材
9 使用者
91 足底
92 膝関節
図1
図2
図3
図4