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  • 特開-車止め 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098869
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】車止め
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
E04H6/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212512
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】592193443
【氏名又は名称】株式会社高田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002996
【氏名又は名称】特許業務法人宮田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 晃一
(57)【要約】
【課題】 強靭で転倒やずれが起きにくい車止めを提供する。
【解決手段】 鋳造により一体成形されたアルミ製の車止め1であって、ストッパー2と、タイヤ載置板3とを備え、前記ストッパー2は中空で略四角錐台形状を成し、その上面が左右方向に長辺を有しており、前記タイヤ載置板3は、前記ストッパー2の下縁から前方に伸びて設けた板状体であって、その上面には滑り止め4が施されており、下面には補強用のリブ5が全面に設けてあり、さらに先端には前方に向かって傾斜する傾斜部6を有し、触突する前記ストッパー2の上面の前端縁上の触突点の略直下位置に当たる前記ストッパー2の中空部に少なくとも2箇所のボルト固定部7、7を設けてあることを特徴とする車止め1。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造により一体成形されたアルミ製の車止めであって、ストッパーと、タイヤ載置板と、を備え、
前記ストッパーは中空で略四角錐台形状を成し、その上面が左右方向に長辺を有しており、
前記タイヤ載置板は、前記ストッパーの下縁から前方に伸びて設けた板状体であって、その上面には滑り止めが施されており、下面には補強用のリブが全面に設けてあり、さらに先端には前方に向かって傾斜する傾斜部を有し、
触突する前記ストッパーの上面の前端縁上の触突点の略直下位置に当たる前記ストッパーの中空部に少なくとも2箇所のボルト固定部を設けてあることを特徴とする車止め。
【請求項2】
鋳造により一体成形されたアルミ製の車止めであって、ストッパーと、タイヤ載置板と、を備え、
前記ストッパーは中空で略四角錐台形状を成し、その上面が左右方向に長辺を有し、且つ前記上面から下方に向かう前面側には末広がり状の傾斜面を有しており、
前記タイヤ載置板は、前記ストッパーの下縁から前方に伸びて設けた板状体であって、その上面には滑り止めが施されており、下面には補強用のリブが全面に設けてあり、さらに先端には前方に向かって傾斜する傾斜部を有し、
触突する前記ストッパーの上面と傾斜面との境界線上の触突点の略直下位置に当たる前記ストッパーの中空部に少なくとも2箇所のボルト固定部を設けてあることを特徴とする車止め。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車重によって固定することが出来る車止めに関する。
【背景技術】
【0002】
車の駐車時、駐車スペースから車体がはみ出てしまったり、塀などの構造物に衝突したりすることを防ぐため、駐車スペース内には移動する車のタイヤに触突するような車止めが予め設置されていることが多い。
【0003】
従来の車止めは、一般的に略直方体のコンクリートブロックが用いられており、コンクリートブロックを貫くようにして鉄筋やボルト等によって地面と接続されている場合が殆どである。しかしながら、長年の使用や、駐車時の車の勢いによって地面から脱落してしまうことがしばしば見られ、本来の設置位置から大きくずれてしまい車を所定の位置に停車させるという目的が達成できなくなってしまっていた。
【0004】
そこで、上記課題を達成するため、車重を利用して車止めのずれや脱落を防止する発明が文献1や文献2をはじめとして提案されており、これに加えて文献3のように、タイヤが乗り上げる部分に滑り止めの加工を施すものもいくつか提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-189222号
【特許文献2】実開平5-021055号
【特許文献3】実用新案登録第3064007号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、以前より提案されている車止めは、車止めの四隅をボルト等で固定するものであったり、タイヤが触突するストッパー部分とタイヤが乗り上げる部分がそれぞれ別個の部材から構成されていたりすることから、施工性や強靭性に課題が生じていた。
【0007】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、鋳造によってストッパー部分とタイヤが乗り上げる部分とが一体成形され、且つ、固定箇所を2箇所として施工性を向上させた車止めを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
鋳造により一体成形されたアルミ製の車止めであって、ストッパーと、タイヤ載置板とを備え、前記ストッパーは中空で略四角錐台形状を成し、その上面が左右方向に長辺を有しており、前記タイヤ載置板は、前記ストッパーの下縁から前方に伸びて設けた板状体であって、その上面には滑り止めが施されており、下面には補強用のリブが全面に設けてあり、さらに先端には前方に向かって傾斜する傾斜部を有し、触突する前記ストッパーの上面の前端縁上の触突点の略直下位置に当たる前記ストッパーの中空部に少なくとも2箇所のボルト固定部を設けてあることを特徴とする。
【0009】
鋳造により一体成形されたアルミ製の車止めであって、ストッパーと、タイヤ載置板とを備え、前記ストッパーは中空で略四角錐台形状を成し、その上面が左右方向に長辺を有し、且つ前記上面から下方に向かう前面側には末広がり状の傾斜面を有しており、前記タイヤ載置板は、前記ストッパーの下縁から前方に伸びて設けた板状体であって、その上面には滑り止めが施されており、下面には補強用のリブが全面に設けてあり、さらに先端には前方に向かって傾斜する傾斜部を有し、触突する前記ストッパーの上面と傾斜面との境界線上の触突点の略直下位置に当たる前記ストッパーの中空部に少なくとも2箇所のボルト固定部を設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、材質にアルミを用いることにより、軽量で強靭性を備え、更に防錆性も備えた車止めを提供することが出来る。また、ボルトによる固定箇所をタイヤがストッパーに触突する点の直下とすることにより、タイヤが触突した際に生じるボルト回りの力のモーメントを生じ得る最小のモーメントとすることができ、その結果車重が当該モーメントを上回るため車止めのずれや浮きを防ぐことが可能となる。更に、タイヤ載置板の下面において、補強用のリブを全面に設けることによりタイヤ載置板の曲げ剛性を高め、車重による破断を防ぐことが出来る。また、タイヤ載置板の上面において滑り止めを備えることにより、車を発進させる際にタイヤ載置板上でタイヤが空転してしまうことを防ぐことが出来る。加えて、タイヤ載置板の前端部に傾斜部を設けることにより、タイヤが乗り上げる際の車の振動を抑え、スムーズに駐車することが出来る。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、上記した効果に加えてストッパーの安定感が増し、更にはタイヤがストッパーを後側へ押す力を軽減させることができ、ストッパーとタイヤ載置板の境界部に応力が集中することで破壊されてしまうことを防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の車止めの全体図である。
図2】本発明の車止めの下面を示した図である。
図3】本発明の車止めを使用した際の図である。
図4】本発明の車止めの使用時、車と車止めの位置関係を側方から観測した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下より、本発明の車止めの実施例について詳説する。本実施例の車止め1は、図1に示すように、左右方向に長辺を有した略四角錐台状のストッパー2と、前記ストッパー2の前方向に延設されたタイヤ載置板3とを備えており、砂型を用いた鋳造によって一体成形されている。車止め1の材質にはAC7Aを採用しており、肉厚はストッパー2の側壁部で7mmとしている。
【0014】
前記ストッパー2は、左右方向に長辺を有した中空の略四角錘台状の外形であり、左右幅約40cm、高さ約10cm、上面の前後長は約4.5cmである。該ストッパー2の前面側は、前記上面から下方に掛けて末広がり状の傾斜面を有しており、該傾斜面から前方に向かって延設される板状体の前記タイヤ載置板3が備えてある。タイヤ載置板3含む下面の前後長は約26cmであり、ストッパー2とタイヤ載置板3の境界部は曲面によって滑らかに接続されている。
【0015】
前記タイヤ載置板3には、その上面において斜線状の凸部を配列させた滑り止め4と、その前端部約1.5cm幅において地面に向かって傾斜する傾斜部6が設けられている。該タイヤ載置板3の肉厚は、前記傾斜部6の先端部から前記ストッパー2のとの境界部にかけて4mm~8mmへと緩やかに厚みを増す。また、図2に示すようにタイヤ載置板3の下面には、前記タイヤ載置板3の長手方向に直交するよう縦溝状のリブ5が全面に亘って備えられてあって、当該面は周囲の縁部9よりもわずかに低くなっている。
【0016】
また、図2に示す車止め1の下面において、中空である前記ストッパー2の内部に収容されるように、且つ、前記タイヤ載置板3との境界付近にボルト固定部7、7が左右に設けられている。
【0017】
次に、本発明の車止め1の使用について図3及び図4に基づいて説明する。
車止め1の設置において、ボルト固定部7に差し込んだボルト8は、ネジ先が約7cm程度車止め1の下面から突出するような長さのものを使用し、予め駐車場の設置箇所に空けておいた孔へと挿入する。加えて、リブ5が設けられている下面全体に接着剤を塗布し、ボルト8の挿入と共に地面へ接地することで車止め1を固定する。
車の駐車時には通常の駐車と同様、車止め1にタイヤ101が触突するよう車体100の位置を調整してゆっくりと前進又は後進し(図4(a)参照)、タイヤ101が前記タイヤ載置板3に乗り上げ、前記ストッパー2の触突点Pにて触突することで車体100を停止させる(図3及び図4(b)参照)。
【0018】
以上のように構成された車止め1は、ストッパー2とタイヤ載置板3とが鋳造によって一体成形されているため、タイヤ101が触突したことによる衝撃でストッパー2が後側へ転倒するようなボルト8回りの力のモーメントが発生しても、タイヤ載置板3に掛かった車重がストッパー2の転倒やずれを防ぐことが出来る。
本発明の車止め1は、地面との固定においてその位置をストッパー2とタイヤ載置板3との境界部とすることにより(図2及び図4参照)、タイヤ101がストッパー2に触突するポイントである触突点Pの略直下にボルト固定部7が位置するため、車止め1が転倒する際の支点となるボルト8との距離を限りなく小さくすることができ、これによって生じるボルト8回りの力のモーメントも可能な限り小さくすることが出来る。すると、この時生じるボルト8回りの力のモーメントが、タイヤ載置板3に係る車重と釣り合う若しくはより小さくなるため、車重によって車止め1の転倒が押え込まれ、従来の車止めよりも転倒し難く、且つ、ずれ難くなる。これにより、本発明の車止め1の固定は、ストッパー2とタイヤ載置板3の左右両端2箇所のみで押えるだけで良いため、施工性やコストに優れた車止め1とすることが出来る。
【0019】
また、タイヤ載置板3は、その上面において、滑り止め4と傾斜部6とを有しており、タイヤ101がタイヤ載置板3上で空転するのを防止したり、乗り上げ易くしたりと、車の移動がよりスムーズとなるよう補助する役割を果たしている。この時、タイヤ載置板3の肉厚を本実施例のように傾斜部6の先端部からストッパー2との境界部にかけて4mm~8mmの薄さで緩やかに厚みを増していくように構成することにより、タイヤ101がタイヤ載置板3上に乗り上げたことに気づき難くなり、従来の同様の構成を有した車止めよりも安全で自然な車の停め心地を提供することが出来る。また、材質にアルミを用いることにより、4mm~8mmの薄さでもアルミ特有の強靭性や防錆性、耐食性を発揮することが出来る。なお、耐荷重試験も行っており、ストッパー2において直下圧6トンまで形状の変化が見られなかった。これにより、駐車時にタイヤ101がストッパー2に乗り上げてしまった場合、一般家庭に普及している普通自動車であれば変形の虞が無いことは明らかである。また、自動車の前輪又は後輪のどちらかのみがストッパー2上に乗り上げてしまうことを考慮すると、準中型自動車であっても直下圧6トンを耐え得る本車止め1が変形してしまう可能性は限りなく低いため、家庭用だけでなく観光バス会社や運送会社等の駐車場へ設置する社用としての利用も大いに期待できる。
【0020】
加えて、タイヤ載置板3の下面には、タイヤ載置板3の長手方向に直交する、つまり前後方向に延伸するリブ5が全面に亘って設けられており、これによってタイヤ載置板3の前後方向に対する曲げ剛性を増大させることが出来る。曲げ剛性が増大することにより、車重によるタイヤ載置板3のたわみから生じるであろう破断を防ぐことができるため、従来よりも強靭な車止め1を提供することが可能となる。
【0021】
また、ストッパー2の前面側を上面から下方に掛けて末広がり状の傾斜面とすることにより、前面側が直壁だった場合と比較して、ストッパー2にタイヤ101が触突した際に、前面側が傾いている分だけタイヤ101による衝撃を受け流すことが出来る。このため、ストッパー2とタイヤ載置板3との境界部におけるひずみが生じにくく、当該箇所での剪断が生じてしまうのを防ぐことが出来る。さらに、車止め1の上面において、タイヤ101がストッパー2に触突した際に最も負荷が掛かっているストッパー2とタイヤ載置板3の境界部を曲面とすることにより、タイヤ101がストッパー2を押すことで該境界部に生じる応力が集中するポイントがいくらか分散するため、応力集中による破壊が発生する確率を低くすることが出来る。また、ストッパー2とタイヤ載置板3の境界部を曲面によって連結することにより、表面塗装の際に塗料が溜まらず、車止め1全体にムラなく塗装を施すことが出来る上に、成形に砂型を用いる際に砂型が崩れ難く、成形される車止め1の意匠性を高めることが出来る。
【0022】
また、タイヤ載置板3の下面が縁部9よりもやや下がって位置していることにより下面全体が皿のように凹み、下面全体に接着剤を塗布し易くすることが出来る。
加えて、ボルト固定部7がストッパー2の中空部分に隠蔽されるように位置しているため、車止め1の表面にはボルト8が露出せず、ボルト固定部7から雨水等の侵入による車止め1本体の劣化や、ボルト8の腐食を防止することが出来て、且つ、意匠性の良い車止め1を提供することが出来る。
【0023】
本発明の車止め1は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で適宜変更できる。例えば、実施例において材料としてAC7Aを使用しているが、その他の鋳物用アルミ合金としても良い。また、滑り止めの形状は本実施の形態において凸状の斜線としているが、タイヤが空転しないような滑り止めの機能を持つものであればどんな形状としても良いし、場合によっては商品のロゴを浮き上がらせて滑り止めの機能を持たせても良い。また、リブ5は、タイヤ載置板3の長手方向に直交する向きでなくとも良く、タイヤ載置板3の強度が増すものであれば斜めに配置されていても良い。
【符号の説明】
【0024】
1 車止め
2 ストッパー
3 タイヤ載置板
4 滑り止め
5 リブ
6 傾斜部
7 ボルト固定部
8 ボルト
9 縁部
100 車体
101 タイヤ
P 触突点
図1
図2
図3
図4