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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098897
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】保護カバー及び保護カバー付き棒状物
(51)【国際特許分類】
   B65D 49/12 20060101AFI20220627BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
B65D49/12
F16L57/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212548
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】淺野 良治
(72)【発明者】
【氏名】菅原 宏
(72)【発明者】
【氏名】木山 英俊
(72)【発明者】
【氏名】田井 克典
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 建志
(72)【発明者】
【氏名】中山 潔司
【テーマコード(参考)】
3H024
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB01
3H024AB06
3H024AC05
(57)【要約】
【課題】1)棒状物を容易に挿入することができ、2)運搬時及び保管時に棒状物の表面を良好に保護することができ、3)棒状物を容易に取り出すことができる保護カバーを提供する。
【解決手段】本発明に係る保護カバーは、棒状物の外周面を覆うことによって、前記棒状物を保護する筒状の保護カバーであって、発泡ゴムを含み、前記保護カバーの外表面が、線状凹部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状物の外周面を覆うことによって、前記棒状物を保護する筒状の保護カバーであって、
発泡ゴムを含み、
前記保護カバーの外表面が、線状凹部を有する、保護カバー。
【請求項2】
前記線状凹部が、前記保護カバーの長さ方向に沿って延びている、請求項1に記載の保護カバー。
【請求項3】
前記線状凹部の数が2本である、請求項1又は2に記載の保護カバー。
【請求項4】
前記保護カバーの前記外表面が、平面部分を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護カバー。
【請求項5】
前記保護カバーの前記線状凹部とは反対側の外表面が、平面部分を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の保護カバー。
【請求項6】
硬度が20°以上40°以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の保護カバー。
【請求項7】
棒状物と、
請求項1~6のいずれか1項に記載の保護カバーとを備え、
前記棒状物の外周面が、前記保護カバーによって覆われている、保護カバー付き棒状物。
【請求項8】
前記保護カバーの最小内径が、前記棒状物の最大径よりも大きく、
前記保護カバーの最小内径と、前記棒状物の最大径との差の絶対値が0.5mm以上2mm以下である、請求項7に記載の保護カバー付き棒状物。
【請求項9】
前記棒状物が、樹脂ロッド又は金属ロッドである、請求項7又は8に記載の保護カバー付き棒状物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状物の外周面を覆うことによって、該棒状物を保護する保護カバーに関する。また、本発明は、上記保護カバーを用いた保護カバー付き棒状物に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂ロッド及び金属ロッド等の棒状物は、そのままの状態で運搬したり、保管したりすると、表面が傷ついたり、劣化したりすることがある。運搬時及び保管時における棒状物の表面の傷つき及び劣化を防止するために、例えば、特許文献1に記載のような筒状の保護管の内部に棒状物を収容することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-044310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂製、発泡樹脂製又はゴム製の筒状の製品が知られている。運搬時及び保管時における棒状物の表面の傷つき及び劣化を防止するために、このような筒状の製品を、棒状物の保護カバーとして使用することが考えられる。
【0005】
しかしながら、従来の筒状の製品では、棒状物を筒状の製品の内側に容易に挿入したり、運搬時及び保管時に棒状物の表面を良好に保護したりすることは困難である。
【0006】
例えば、発泡樹脂等の比較的強度の弱い材料からなる筒状の製品では、棒状物の挿入時に、筒状の製品自体が屈曲して棒状物を良好に挿入することができないことがある。また、運搬中に製品が破れるなどして、棒状物の表面を保護できなくなることがある。
【0007】
また、運搬スペース及び保管スペース削減の観点から、保護カバーで保護された棒状物(保護カバー付き棒状物)は、複数積み上げられて、運搬及び保管されることが望ましい。しかしながら、従来の筒状の製品では、クッション性が良好ではなく、複数積み上げられたときに、荷重によって、棒状物の表面が傷つくことがある。また、従来の筒状の製品では、運搬時の振動によって、棒状物の表面が傷つくことがある。
【0008】
さらに、従来の筒状の製品では、収容された棒状物を取り出す際に、保護カバー付き棒状物を傾けるなどして取り出す必要がある。このため、棒状物の長さが長い場合には、棒状物の取り出しに手間がかかる。
【0009】
本発明の目的は、1)棒状物を容易に挿入することができ、2)運搬時及び保管時に棒状物の表面を良好に保護することができ、3)棒状物を容易に取り出すことができる保護カバーを提供することである。また、本発明は、上記保護カバーを用いた保護カバー付き棒状物を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の広い局面によれば、棒状物の外周面を覆うことによって、前記棒状物を保護する筒状の保護カバーであって、発泡ゴムを含み、前記保護カバーの外表面が、線状凹部を有する、保護カバーが提供される。
【0011】
本発明に係る保護カバーのある特定の局面では、前記線状凹部が、前記保護カバーの長さ方向に沿って延びている。
【0012】
本発明に係る保護カバーのある特定の局面では、前記線状凹部の数が2本である。
【0013】
本発明に係る保護カバーのある特定の局面では、前記保護カバーの前記外表面が、平面部分を有する。
【0014】
本発明に係る保護カバーのある特定の局面では、前記保護カバーの前記線状凹部とは反対側の外表面が、平面部分を有する。
【0015】
本発明に係る保護カバーのある特定の局面では、硬度が20°以上40°以下である。
【0016】
本発明の広い局面によれば、棒状物と、上述した保護カバーとを備え、前記棒状物の外周面が、前記保護カバーによって覆われている、保護カバー付き棒状物が提供される。
【0017】
本発明に係る保護カバー付き棒状物のある特定の局面では、前記保護カバーの最小内径が、前記棒状物の最大径よりも大きく、前記保護カバーの最小内径と、前記棒状物の最大径との差の絶対値が0.5mm以上2mm以下である。
【0018】
本発明に係る保護カバー付き棒状物のある特定の局面では、前記棒状物が、樹脂ロッド又は金属ロッドである。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る保護カバーは、棒状物の外周面を覆うことによって、上記棒状物を保護する筒状の保護カバーであって、発泡ゴムを含み、上記保護カバーの外表面が、線状凹部を有する。本発明に係る保護カバーでは、上記の構成が備えられているので、1)棒状物を容易に挿入することができ、2)運搬時及び保管時に棒状物の表面を良好に保護することができ、3)棒状物を容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る保護カバーを模式的に示す斜視図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態に係る保護カバーを模式的に示す正面断面図である。
図3図3は、本発明の第2の実施形態に係る保護カバーを模式的に示す正面断面図である。
図4図4は、本発明の第3の実施形態に係る保護カバーを模式的に示す正面断面図である。
図5図5は、図1,2に示す保護カバーを用いた保護カバー付き棒状物の一例を模式的に示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明に係る保護カバーは、棒状物の外周面を覆うことによって、上記棒状物を保護する筒状の保護カバーであって、発泡ゴムを含み、上記保護カバーの外表面が、線状凹部を有する。
【0023】
本発明に係る保護カバーでは、上記の構成が備えられているので、1)棒状物を容易に挿入することができ、2)運搬時及び保管時に棒状物の表面を良好に保護することができ、3)棒状物を容易に取り出すことができる。
【0024】
本発明に係る保護カバーは、発泡ゴムを含む筒状の保護カバーであるので、良好な強度を有し、かつ適度なクッション性を有する。そのため、棒状物の挿入時に保護カバー自体が屈曲せずに、保護カバーの内側に棒状物を容易に挿入することができる。また、保護カバーで保護された棒状物(保護カバー付き棒状物)を複数積み上げた場合であっても、荷重によって棒状物の表面が傷つきにくく、さらに、運搬時の振動を抑えることができるので、棒状物の表面を良好に保護することができる。
【0025】
また、本発明に係る保護カバーは、発泡ゴムを含む筒状の保護カバーであるので、耐候性を高めることができ、例えば、屋外に長期間保管した場合であっても、棒状物の表面を良好に保護することができる。
【0026】
また、本発明に係る保護カバーは、特定の線状凹部を有するので、線状凹部を切り裂くことにより、棒状物を容易に取り出すことができる。
【0027】
本発明に係る保護カバーは、例えば、重さが20kg程度の棒状物であっても、上記の効果を発揮することができる。また、本発明に係る保護カバーは、発泡ゴムを含む筒状の保護カバーであるので、軽量であり、取扱性に優れる。
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。なお、以下の図面において、大きさ、厚み及び形状等は、図示の便宜上、実際の大きさ、厚み及び形状等と異なる場合がある。
【0029】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る保護カバーを模式的に示す斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る保護カバーを模式的に示す正面断面図である。図2は、図1に記載の保護カバーの正面断面図である。図2は、保護カバーの径方向に沿う断面図である。図2の手前-奥方向が、保護カバーの長さ方向である。
【0030】
図1,2に示す保護カバー10は、筒状である。従って、保護カバー10は、長さ方向の両端に開口を有する。保護カバー10は、長さ方向に貫通穴を有する。保護カバー10では、内部に棒状物を配置することによって、棒状物の外周面を保護カバー10で覆うことができる。
【0031】
保護カバー10の外表面は、線状凹部1を2本有する。2本の線状凹部1はそれぞれ、保護カバー10の長さ方向に沿って延びている。2本の線状凹部1はそれぞれ、保護カバー10の長さ方向の両端に至っている。線状凹部1の長さは、保護カバー10の長さに一致する。線状凹部1では、凹部の深さが深くなるにつれて、凹部の幅が狭くなる。
【0032】
保護カバー10の径方向に沿う断面(図2)において、保護カバー10の内表面により構成される形状は、馬蹄形である。
【0033】
保護カバー10は、一方の線状凹部1の最大深さ位置と他方の線状凹部1の最大深さ位置とを最短で結ぶ線分の中央の位置を通り、かつ保護カバー10の長さ方向に沿う対称面を有する。
【0034】
保護カバー10の外表面は、平面部分Pを有する。保護カバー10の線状凹部1とは反対側の外表面は、平面部分Pを有する。平面部分Pを下面にして載置面に載置することで、運搬時及び保管時の転がり防止性を高めることができる。また、載置面がある程度の傾斜を有する場合であっても、転がり防止性を高めることができる。さらに、平面部分Pを有することで、複数の物品を容易に積み上げて保管することができる。
【0035】
また、保護カバー10では、平面部分Pを下面にして載置面に載置することで、2本の線状凹部1が上面に位置する。このため、線状凹部1を容易に切り裂くことができる。また、2本の線状凹部1を切り裂くことで、2本の線状凹部1間が開口部となり、比較的大きな開口面積となる。2本の線状凹部1間を剥離することで、棒状物を容易に取り出すことができる。また、2本の線状凹部1があることで、2本の線状凹部1間を容易に把持して切り裂くことができ、1本のみの線状凹部がある場合よりも容易に切り裂きやすい。なお、2本の線状凹部1のうち、1本の線状凹部1のみを切り裂いてもよい。2本の線状凹部1があることで、一方の線状凹部1を良好に切り裂くことができなかった場合に、他方の線状凹部1を切り裂くことができる。
【0036】
保護カバー10の外表面は、曲面部分も有する。保護カバー10の2本の線状凹部1の間に位置する外表面は、曲面部分を有する。また、保護カバー10の内表面は、平面部分と曲面部分とを有する。なお、上記保護カバー10では2本の線状凹部1の間に位置する外表面が曲面であるが、2本の線状凹部の間に位置する外表面は平面であってもよい。
【0037】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る保護カバーを模式的に示す正面断面図である。図3は、保護カバーの径方向に沿う断面図である。図3の手前-奥方向が、保護カバーの長さ方向である。
【0038】
図3に示す保護カバー10Aは、筒状である。従って、保護カバー10Aは、長さ方向の両端に開口を有する。保護カバー10Aは、長さ方向に貫通穴を有する。保護カバー10Aでは、内部に棒状物を配置することによって、棒状物の外周面を保護カバー10Aで覆うことができる。
【0039】
保護カバー10Aの径方向に沿う断面において、保護カバー10Aの内表面により構成される形状は、正方形である。
【0040】
保護カバー10Aは、一方の線状凹部1Aの最大深さ位置と他方の線状凹部1Aの最大深さ位置とを最短で結ぶ線分の中央の位置を通り、かつ保護カバー10Aの長さ方向に沿う対称面を有する。
【0041】
保護カバー10Aの外表面は、平面部分P1~P6を有する。保護カバー10Aの4つの角は、丸みを帯びている。保護カバー10Aの線状凹部1Aとは反対側の外表面は、平面部分P1を有する。平面部分P1~P6の内のいずれかを下面にして載置面に載置することで、運搬時及び保管時の転がり防止性を高めることができる。また、載置面がある程度の傾斜を有する場合であっても、転がり防止性を高めることができる。さらに、平面部分P1~P6を有することで、複数の物品を容易に積み上げて保管することができる。
【0042】
また、保護カバー10Aでは、平面部分P1を下面にして載置面に載置することで、2本の線状凹部1Aが上面に位置する。このため、線状凹部1Aを容易に切り裂くことができる。2つの線状凹部1A間を剥離することで、棒状物を容易に取り出すことができる。
【0043】
保護カバー10Aの内表面は、平面部分を有する。保護カバー10Aの内表面は、曲面部分を有さない。ただし、保護カバー10Aの内表面は、多少の外反り又は内反りによって、曲面を有していてもよい。
【0044】
図4は、本発明の第3の実施形態に係る保護カバーを模式的に示す正面断面図である。図4は、保護カバーの径方向に沿う断面図である。図4の手前-奥方向が、保護カバーの長さ方向である。
【0045】
図4に示す保護カバー10Bは、筒状である。従って、保護カバー10Bは、長さ方向の両端に開口を有する。保護カバー10Bは、長さ方向に貫通穴を有する。保護カバー10Bでは、内部に棒状物を配置することによって、棒状物の外周面を保護カバー10Bで覆うことができる。
【0046】
保護カバー10Bの径方向に沿う断面において、保護カバー10Bの内表面により構成される形状は、円形である。
【0047】
保護カバー10Bは、一方の線状凹部1Bの最大深さ位置と他方の線状凹部1Bの最大深さ位置とを最短で結ぶ線分の中央の位置を通り、かつ保護カバー10Bの長さ方向に沿う対称面を有する。
【0048】
保護カバー10Bの外表面は、平面部分を有さない。保護カバー10Bの外表面は、曲面のみによって構成されている。保護カバー10Bの外表面は、曲面部分のみを有する。また、保護カバー10Bの内表面は、曲面部分のみを有する。保護カバー10Bの内表面は、平面部分を有さない。
【0049】
保護カバーの寸法は、保護する棒状物の形状及び寸法によって適宜選択される。
【0050】
図2~4において、符号D1は、保護カバーの最小内径である。図2,3に示す保護カバー10,10Aでは、互いに直交する最小内径D1を有する。図4に示す保護カバー10Bでは、内径が一定であるため、該内径と最小内径D1とは一致する。
【0051】
上記保護カバーの最小内径D1は、10mm以上であってもよく、13mm以上であってもよく、45mm以下であってもよく、41mm以下であってもよい。
【0052】
図2~4において、符号D2は、最小内径D1の位置かつ線状凹部が設けられていない位置での保護カバーの外径である。
【0053】
上記保護カバーにおいて、最小内径D1の位置かつ線状凹部が設けられていない位置での外径D2は、15mm以上であってもよく、18mm以上であってもよく、50mm以下であってもよく、47mm以下であってもよい。
【0054】
保護カバーの最小内径D1と、最小内径D1の位置かつ線状凹部が設けられていない位置での外径D2との組み合わせは、以下の第1の組み合わせ~第9の組み合わせの内のいずれかの組み合わせであることが好ましい。
【0055】
第1の組み合わせ:最小内径D1が13.5mm以上14.5mm以下であり、外径D2が18.75mm以上19.25mm以下である組み合わせ。
【0056】
第2の組み合わせ:最小内径D1が16.5mm以上17.5mm以下であり、外径D2が21.75mm以上22.25mm以下である組み合わせ。
【0057】
第3の組み合わせ:最小内径D1が19.5mm以上20.5mm以下であり、外径D2が24.75mm以上25.25mm以下である組み合わせ。
【0058】
第4の組み合わせ:最小内径D1が22.5mm以上23.5mm以下であり、外径D2が27.75mm以上28.25mm以下である組み合わせ。
【0059】
第5の組み合わせ:最小内径D1が25.7mm以上26.7mm以下であり、外径D2が30.7mm以上31.3mm以下である組み合わせ。
【0060】
第6の組み合わせ:最小内径D1が29.1mm以上30.1mm以下であり、外径D2が33.7mm以上34.3mm以下である組み合わせ。
【0061】
第7の組み合わせ:最小内径D1が33.3mm以上34.3mm以下であり、外径D2が38.7mm以上39.3mm以下である組み合わせ。
【0062】
第8の組み合わせ:最小内径D1が36.7mm以上37.7mm以下であり、外径D2が42.5mm以上43.5mm以下である組み合わせ。
【0063】
第9の組み合わせ:最小内径D1が39.9mm以上40.9mm以下であり、外径D2が45.5mm以上46.5mm以下である組み合わせ。
【0064】
図2~4において、符号L1は、隣接する2つの線状凹部において、一方の線状凹部の最大深さ位置と、他方の線状凹部の最大深さ位置との間の距離である。距離L1は、一方の線状凹部の最大深さ位置と、他方の線状凹部の最大深さ位置とを最短で結ぶ線分の長さである。
【0065】
隣接する2つの線状凹部において、一方の線状凹部の最大深さ位置と、他方の線状凹部の最大深さ位置との間の距離L1は、好ましくは6mm以上、好ましくは8mm以下である。距離L1が上記下限以上及び上記上限以下であると、線状凹部間をより一層容易に剥離することができ、棒状物をより一層容易に取り出すことができる。
【0066】
線状凹部が設けられていない部分において、保護カバーの平均厚みは、好ましくは2mm以上、好ましくは3mm以下である。上記平均厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0067】
線状凹部の最大深さ位置での保護カバーの厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは1.5mm以下である。上記線状凹部の最大深さ位置での保護カバーの厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0068】
線状凹部の長さと保護カバーの長さとは同じであってもよく、異なっていてもよい。製造を容易にする観点からは、線状凹部の長さと保護カバーの長さとは同じであることが好ましい。線状凹部の長さは、保護カバーの長さよりも10cm以下で短くてもよく、5cm以下で短くてもよく、3cm以下で短くてもよく、1cm以下で短くてもよい。
【0069】
線状凹部は、保護カバーの端部に至っていることが好ましい。
【0070】
線状凹部の数は、1本であってもよく、複数であってもよく、2本であってもよく、2本以上であってもよく、3本であってもよく、3本以上であってもよい。線状凹部の数が複数であると、複数の線状凹部を切り裂くことにより、開口部が大きくなり、棒状物をより一層容易に取り出すことができる。特に線状凹部の数が2本であると、2本の線状凹部を切り裂くことにより、特定の位置にて大きな開口部が形成され、棒状物をより一層容易に取り出すことができる。
【0071】
以下、保護カバーの詳細について更に説明する。
【0072】
上記保護カバーは、発泡ゴムを含む。上記発泡ゴムを構成するゴムとしては、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、ウレタンゴム、多硫化ゴム及びシリコーンゴム等が挙げられる。上記発泡ゴムを構成するゴムは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0073】
上記発泡ゴムの比重は、好ましくは0.5以上、好ましくは0.7以下である。
【0074】
上記保護カバー100重量%中、上記発泡ゴムの含有量は、好ましくは95重量%以上、より好ましくは98重量%以上、更に好ましくは99重量%以上である。上記保護カバー100重量%中、上記発泡ゴムの含有量は100重量%(全量)であってもよい。上記発泡ゴムの含有量が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0075】
上記保護カバーは、発泡ゴム以外の成分を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。上記発泡ゴム以外の成分としては、シリコン及び発泡剤等が挙げられる。上記発泡ゴム以外の成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0076】
上記保護カバー100重量%中、上記発泡ゴム以外の成分の合計の含有量は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。上記合計の含有量が上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0077】
上記保護カバーの硬度は、好ましくは20°以上、より好ましくは25°以上、好ましくは40°以下、より好ましくは35°以下である。上記硬度が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0078】
上記硬度は、ASTM D2240-2005「ゴムの物性-デュロメータ硬さ標準試験方法デュロメータ硬さ試験タイプ A」にて測定される。
【0079】
上記保護カバーは、以下のようにして製造することができる。
【0080】
押出成形にて、長尺の保護カバーを製造することができる。長尺の保護カバーは、巻かれていてもよい。長尺の保護カバーの長さは、45m以上であってもよい。長尺の保護カバーを切断することにより、所定の長さを有する保護カバー(棒状物の長さに対応する長さを有する保護カバー)を得ることができる。
【0081】
切断後の上記保護カバーの長さは、1.5m以上であってもよく、2m以上であってもよく、3m以上であってもよく、4m以上であってもよく、5m以上であってもよく、6m以上であってもよい。上記保護カバーの長さは、15m以下であってもよく、10m以下であってもよく、9m以下であってもよく、8m以下であってもよい。
【0082】
(保護カバー付き棒状物)
本発明に係る保護カバー付き棒状物は、棒状物と、上述した保護カバーとを備え、上記棒状物の外周面が、上記保護カバーによって覆われている。
【0083】
上記保護カバー付き棒状物では、上記保護カバーの内部に棒状物が収容されている。上記保護カバー付き棒状物では、上記棒状物の外周面の全体が、上記保護カバーによって覆われていることが好ましい。
【0084】
上記棒状物は、樹脂ロッド又は金属ロッドであることが好ましい。
【0085】
持ち運びを容易にする観点から、上記棒状物の重量は、20kg以下であることが好ましい。
【0086】
図5は、図1,2に示す保護カバーを用いた保護カバー付き棒状物の一例を模式的に示す正面断面図である。
【0087】
保護カバー付き棒状物20は、棒状物15と、保護カバー10とを備える。棒状物15の外周面が、保護カバー10によって覆われている。保護カバー付き棒状物20は、保護カバー10の平面部分Pを下面にして載置面に載置されている。棒状物15の外周面の一部のみが保護カバー10の内周面と接触している。また、平面部分Pを下面にして載置面に載置することで、2本の線状凹部1が上面に位置するため、線状凹部1を切り裂いて、2つの線状凹部1間を剥離することにより、棒状物15を保護カバー10から容易に取り出すことができる。
【0088】
通常、保護カバー付き棒状物において、上記保護カバーの最小内径は、上記棒状物の最大径よりも大きい。
【0089】
上記保護カバー付き棒状物において、上記保護カバーの最小内径と、上記棒状物の最大径との差の絶対値は、好ましくは0.5mm以上、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.75mm以下である。上記差の絶対値が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。なお、上記棒状物の最大径とは、該棒状物が内径と外径とを有する場合に、最大外径を意味する。
【0090】
通常、上記保護カバー付き棒状物において、上記保護カバーの長さは、上記棒状物の長さよりも長い。
【0091】
上記保護カバー付き棒状物において、上記保護カバーの長さと、上記棒状物の長さとの差の絶対値は、好ましくは50mm以下であり、より好ましくは25mm以下であり、更に好ましくは20mm以下である。上記差の絶対値が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0092】
上記保護カバー付き棒状物は、複数本を結束バンド等で束ねることが可能であることが好ましい。
【0093】
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0094】
(実施例1)
(1)保護カバーの製造
押出成形によって長尺の保護カバーを製造後、得られた長尺の保護カバーを切断することによって、以下の形状及び寸法を有する保護カバーを得た。
【0095】
径方向に沿う断面の形状:図2
長さ:2.4m
最小内径D1(内側寸法):17mm
最小内径D1の位置かつ線状凹部が設けられていない位置での外径D2(外側寸法):22mm
線状凹部の数:2本
線状凹部の長さ:2.4m
一方の線状凹部の最大深さ位置と他方の線状凹部の最大深さ位置との間の距離L1:8mm
線状凹部の最大深さ位置での保護カバーの厚み:1mm
【0096】
(2)保護カバー付き棒状物の製造
以下の寸法を有する樹脂ロッド(広島化成社製「試作品」)を用意した。
【0097】
長さ:2.4m
最大径:17mm
径方向に沿う断面の形状:円形
【0098】
得られた保護カバーの長さ方向の一端側の開口部から、棒状物を保護カバーの内側に挿入し、保護カバー付き棒状物を得た。
【0099】
(実施例2)
(1)保護カバーの製造
金型の形状を変更したこと以外は実施例1と同様にして、以下の形状及び寸法を有する保護カバーを得た。
【0100】
径方向に沿う断面の形状:図3
長さ:2.4m
最小内径D1:17mm
最小内径D1の位置かつ線状凹部が設けられていない位置での外径D2:22mm
線状凹部の数:2本
線状凹部の長さ:8cm
一方の線状凹部の最大深さ位置と他方の線状凹部の最大深さ位置との距離L1:1.5mm
線状凹部の最大深さ位置での保護カバーの厚み:2.5mm
【0101】
(2)保護カバー付き棒状物の製造
実施例1と同様にして、保護カバー付き棒状物を得た。
【0102】
(実施例3)
(1)保護カバーの製造
金型の形状を変更したこと以外は実施例1と同様にして、以下の形状及び寸法を有する保護カバーを得た。
【0103】
径方向に沿う断面の形状:図4
長さ:2.4m
最小内径D1:17mm
最小内径D1の位置かつ線状凹部が設けられていない位置での外径D2:22mm
線状凹部の数:2本
線状凹部の長さ:8mm
一方の線状凹部の最大深さ位置と他方の線状凹部の最大深さ位置との距離L1:1.5mm
線状凹部の最大深さ位置での保護カバーの厚み:2.5mm
【0104】
(2)保護カバー付き棒状物の製造
実施例1と同様にして、保護カバー付き棒状物を得た。
【0105】
(比較例1)
発泡樹脂からなる円筒状の製品(積水化学工業社製「保温チューブ」、内径20mm、長さ2.0m)を保護カバーとして用いた。この保護カバーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、保護カバー付き棒状物を得た。
【0106】
(比較例2)
ゴムチューブ(AP社製「エッジモール」)を用意した。このゴムチューブを棒状物の外表面に巻き付けて、保護カバー付き棒状物を得た。なお、ゴムチューブを用いた場合には、棒状物の外周面を良好に覆うことができなかったため、使用不可と判断し、評価は行っていない。
【0107】
(比較例3)
発泡スチロールからなる円筒状の製品(山崎産業社製「プロテックススポンジグリップ」、内径22mm、長さ17cm)を保護カバーとして用いた。この保護カバーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、保護カバー付き棒状物を得た。
【0108】
(比較例4)
外表面の周方向に沿って設けられた環状凹部を有し、かつポリエチレンからなる略円筒状の製品(積水化学工業社製「エスロフレキCD」、内径22mm、長さ2.0m)を保護カバーとして用いた。この保護カバーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、保護カバー付き棒状物を得た。
【0109】
(比較例5)
発泡ゴムからなる円筒状の製品(光社製「ゴムパイプカバー」、内径25mm、長さ2.4m)を保護カバーとして用いた。この保護カバーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、保護カバー付き棒状物を得た。
【0110】
(比較例6)
合成ゴムからなり、長さ方向に沿って設けられた線状凹部を有する略円筒状の製品(カーボーイ社製「ワンタッチゴムグリップ」、内径25mm、長さ1.0m)を保護カバーとして用いた。この保護カバーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、保護カバー付き棒状物を得た。
【0111】
(評価)
(1)硬度
得られた保護カバーの硬度を上述した方法で測定した。実施例1~3では、硬度を繰り返し3回測定し、平均値±標準偏差の値を表1に記載した。
【0112】
(2)棒状物の挿入のしやすさ
保護カバーの内側に棒状物を挿入する際の挿入のしやすさを以下の基準で判定した。
【0113】
<棒状物の挿入のしやすさの判定基準>
A:挿入が容易である
B:保護カバー自体が屈曲して、挿入が困難である
【0114】
(3)棒状物の表面の保護性能
保護カバー付き棒状物を10本用意し、積み上げて、結束バンドで固定し、この状態で運搬した。運搬後の保護カバーの状態及び棒状物の状態を確認した。また、比較例4で得られた保護カバー付き棒状物では、運搬中の振動及び音が特に大きかった。
【0115】
<運搬時の保護性能の判定基準>
AA:荷崩れが生じておらず、棒状物の外表面に傷つきは生じていない
A:荷崩れが生じているものの、棒状物の外表面に傷つきは生じていない
B:荷崩れは生じていないが、保護カバーが破損するなどして、棒状物の外表面に傷つきが生じている
C:荷崩れが生じており、かつ保護カバーが破損するなどして、棒状物の外表面に傷つきが生じている
【0116】
構成及び結果を下記の表1,2に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
また、実施例1~3で得られた保護カバーでは、線状凹部を切り裂くことにより、棒状物を容易に取り出すことができた。
【符号の説明】
【0120】
1,1A,1B…線状凹部
10,10A,10B…保護カバー
15…棒状物
20…保護カバー付き棒状物
図1
図2
図3
図4
図5