(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098903
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F04B 49/10 20060101AFI20220627BHJP
F04B 49/06 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
F04B49/10 311
F04B49/06 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212559
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】玉川 充
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
【テーマコード(参考)】
3H145
【Fターム(参考)】
3H145AA16
3H145AA23
3H145BA41
3H145CA22
3H145EA20
3H145EA26
3H145EA34
3H145EA42
3H145EA50
(57)【要約】
【課題】各種情報の表示切換えを不要とし、より容易に各種情報を伝達し得るポンプ装置を実現する。
【解決手段】本発明の一態様に係るポンプ装置は、ポンプに関する音声情報をスピーカに送出可能な制御部、を備えている。スピーカは、制御部から送出された音声情報に基づいて音声出力を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプに関する音声情報をスピーカに送出可能な制御部、を備え、
前記スピーカは、前記制御部から送出された音声情報に基づいて音声出力を行う、ポンプ装置。
【請求項2】
前記制御部は、外部装置から無線又は有線を介して前記音声情報を含む通信信号を受けると、当該通信信号から前記音声情報を抽出し、当該抽出した音声情報を前記スピーカに送出する、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記ポンプに関する音声情報は、前記ポンプの運転状況データを示す第1の音声情報と、前記ポンプのメンテナンス情報を示す第2の音声情報と、前記ポンプの異常内容を示す第3の音声情報とのいずれかであり、
前記制御部は、前記ポンプの正常運転時には前記第1の音声情報を送出し、前記ポンプの正常停止時には前記第2の音声情報を送出し、前記ポンプの異常発生時には前記第3の音声情報を送出する、
請求項1又は2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記第3の音声情報は、前記異常内容と、前記異常内容の対策とを含む、請求項3に記載のポンプ装置。
【請求項5】
操作者の操作に応じてオン状態又はオフ状態となる音声通知スイッチを更に備え、
前記制御部は、前記音声通知スイッチが前記オフ状態のとき、前記第1の音声情報及び前記第2の音声情報の各々の送出を阻止する、
請求項3又は4に記載のポンプ装置。
【請求項6】
ポンプに関する問い合わせに基づいて、前記ポンプに関する音声情報を生成するAI機能と、
ポンプに関する問合せがマイクから音声入力されると、当該問い合わせを前記AI機能に入力し、前記AI機能により生成された音声情報をスピーカに送出可能な制御部と、を備え、
前記スピーカは、前記制御部から送出された音声情報に基づいて音声出力を行う、ポンプ装置。
【請求項7】
前記制御部は、有線又は無線を介して前記スピーカに接続される、請求項1又は6に記載のポンプ装置。
【請求項8】
前記ポンプに関する音声情報は、前記ポンプの運転状況データを示す第1の音声情報と、前記ポンプのメンテナンス情報を示す第2の音声情報と、前記ポンプの異常内容を示す第3の音声情報とのいずれかであり、
前記制御部は、前記ポンプの正常運転時には前記第1の音声情報を送出し、前記ポンプの正常停止時には前記第2の音声情報を送出し、前記ポンプの異常発生時には前記第3の音声情報を送出し、
前記制御部は、マイクからの音声入力が無いとき、前記第1の音声情報及び前記第2の音声情報の各々の送出を阻止する、
請求項6に記載のポンプ装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記マイクからポンプ運転指令が音声入力されたとき、前記音声入力されたポンプ運転指令を無視する、請求項6又は8に記載のポンプ装置。
【請求項10】
前記AI機能は、前記ポンプに関する問い合わせと、前記ポンプに関する情報とに基づいて、前記ポンプに関する音声情報を生成する機能であり、
前記制御部は、外部装置から無線又は有線を介して前記ポンプに関する情報を含む通信信号を受けると、当該通信信号から前記ポンプに関する情報を抽出し、当該抽出した前記ポンプに関する情報と、前記音声入力された問い合わせとを前記AI機能に入力し、前記AI機能により生成された音声情報を前記スピーカに送出する、
請求項6に記載のポンプ装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記ポンプの正常運転時に送出する前記第1又は第2の音声情報の音程よりも、前記ポンプの異常発生時に送出する第3の音声情報の音程を高くする、又は前記正常運転時に送出する前記第1又は第2の音声情報の音圧よりも、前記異常発生時に送出する第3の音声情報の音圧を大きくする、
請求項3、4、5、8のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項12】
前記マイクから音声入力された問い合わせの言語を判定し、前記言語が外国語の場合には当該問い合わせを日本語に翻訳し、前記AI機能が当該日本語の問い合わせに対する音声情報を生成すると、当該音声情報を前記外国語に翻訳するAI翻訳機能、を更に備え、
前記制御部は、前記翻訳された外国語に関する音声情報を前記スピーカに送出する、
請求項6、又は請求項6を直接的又は間接的に引用する請求項7乃至11のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水等の流体を圧送するポンプ装置が知られている。係るポンプ装置は、各種情報を表現するランプ、7セグメント及び液晶パネルなどといった表示部が制御盤に設けられている。このため、係るポンプ装置は、作業員が表示部を読み取ることにより、運転状況、メンテナンス情報又は異常内容などの各種情報を作業員に伝達することが可能である。なお、表示部の液晶パネルは、適宜、各種情報の表示切換えが行われ、表示切換え毎に各種情報が読み取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のようなポンプ装置は、通常は特に問題ないが、本発明者の検討によれば、各種情報の表示切換えを不要とし、より容易に各種情報を伝達できることが望ましい。
【0005】
本発明は、各種情報の表示切換えを不要とし、より容易に各種情報を伝達し得るポンプ装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るポンプ装置は、ポンプに関する音声情報をスピーカに送出可能な制御部、を備えている。前記スピーカは、前記制御部から送出された音声情報に基づいて音声出力を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各種情報の表示切換えを不要とし、より容易に各種情報を伝達し得るポンプ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係るポンプ装置の構成を例示する模式図。
【
図2】第1の実施形態に係る異常警報通知テーブルの構成を例示する模式図。
【
図3】第1の実施形態に係る対策通知テーブルの構成を例示する模式図。
【
図4】第1の実施形態に係る交換目安通知テーブルの構成を例示する模式図。
【
図5】第1の実施形態に係る点検事項通知テーブルの構成を例示する模式図。
【
図6】
図1の制御部の構成を説明するための模式図。
【
図7】第1の実施形態における全体動作の例を説明するためのフローチャート。
【
図8】第1の実施形態における異常発生時の動作例を説明するためのフローチャート。
【
図9】第1の実施形態における正常運転の動作例を説明するためのフローチャート。
【
図10】第1の実施形態における正常停止時の動作例を説明するためのフローチャート。
【
図11】第2の実施形態に係るポンプ装置及びその周辺構成を例示する模式図。
【
図14】第2の実施形態における異常発生時の動作例を説明するためのシーケンス図。
【
図15】第2の実施形態における正常停止時の動作例を説明するためのシーケンス図。
【
図16】第3の実施形態に係るポンプ装置の構成を例示する模式図。
【
図17】第3の実施形態における正常停止時の動作例を説明するためのフローチャート。
【
図18】第3の実施形態の変形例における正常停止時の動作例を説明するためのフローチャート。
【
図19】第4の実施形態に係るポンプ装置及びその周辺構成を例示する模式図。
【
図20】第4の実施形態における正常停止時の動作例を説明するためのシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら実施形態の説明を述べる。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号及び/又は英小文字を用いることもある。
【0010】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るポンプ装置の構成を例示する模式図である。このポンプ装置1は、複数のポンプ11と、複数のモータ12と、複数のポンプ11にそれぞれ接続された吸込管13と、複数のポンプ11にそれぞれ接続された吐出管14と、複数の吐出管14を合流させる合流管15と、吐出管14に設けられた逆止弁16と、合流管15の二次側に配置された圧力センサ17と、ポンプ11の二次側にそれぞれ設けられた流量センサ18と、合流管15に設けられたアキュムレータ19と、制御盤20と、を備えている。
【0011】
このようなポンプ装置1は、各構成が一体に組み合わされたポンプユニットである。ポンプ装置1は、例えば、マンション等の建造物に、各戸の給水先へ給水する自動給水装置である。例えば、ポンプ装置1は、水源として受水槽100に接続される。但し、これに限らず、ポンプ装置1は、水、油又は排水(汚水)等といった流体を圧送する装置であればよい。すなわち、ポンプ装置1としては、マイコン等の制御部24を搭載したポンプ装置であればよく、必ずしも自動給水装置に限定されない。
【0012】
ポンプ11は、例えば、多段ポンプである。複数のポンプ11は、並列に配置される。本実施形態のポンプ装置1においては、ポンプ11が2台用いられる例を用いて説明する。
【0013】
モータ12は、各ポンプ11にそれぞれ接続される。モータ12は、電気的に制御盤20に接続される。モータ12は、ポンプ11を駆動する。
【0014】
吸込管13は、一端がポンプ11に接続され、他端が受水槽100に配置される。
【0015】
吐出管14は、複数のポンプ11のそれぞれに設けられる。吐出管14は、一端がポンプ11に接続され、他端が合流管15に接続される。
【0016】
合流管15は、各ポンプ11に接続された複数の吐出管14を合流させる。合流管15の二次側は、建造物等に設けられた配管に接続される。吐出管14及び合流管15は、ポンプ装置1の吐出配管を構成する。
【0017】
逆止弁16は、吐出管14に設けられる。逆止弁16は、合流管15側からポンプ11内へ水が逆流することを防止する。
【0018】
圧力センサ17は、リニア出力で圧力検出が可能に形成される。ここで、リニア出力とは、圧力センサ17が圧力に比例した関係の電圧または電流またはパルスを信号として出力することを意味する。例えば、圧力センサ17は、歪みゲージを有し、歪みゲージの歪み量によって圧力に対応した信号を出力する。
【0019】
流量センサ18は、小水量を検出可能に構成される。ここで、小水量とは、例えば、ポンプ装置1の停止流量である。流量センサ18は、例えば、パドル式の流量センサである。
【0020】
アキュムレータ19は、合流管15に設けられる。アキュムレータ19は、蓄圧可能に構成される。
【0021】
制御盤20は、複数のモータ12にそれぞれ接続された複数のインバータ21と、記憶部23及び制御部24を有する制御基板22と、制御基板22にそれぞれ接続された通信部25、入力部26、インタフェース27及びスピーカ28とを備えている。なお、制御部24は、有線又は無線を介してスピーカ28に接続される。
【0022】
インバータ21は、信号線を介してモータ12及び制御部24に電気的に接続される。インバータ21は、モータ12と同数の、本実施形態においては2つ設けられる。インバータ21は、出力周波数、即ちモータ12の運転周波数を可変可能に構成される。インバータ21は、制御盤20の外部に配置してもよく、具体的には例えば、モータ12を収容したモータケーシングに取り付けてもよい。
【0023】
記憶部23は、例えば、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)又はHDD(Hard Disk Drive)である。記憶部23は、ポンプ装置1を起動する起動圧力、給水時における目標圧力及び定格流量、及び、圧力センサ17の故障を判断する閾値、流量センサ18の故障を判断する閾値を記憶する。また、記憶部23は、給水運転時に通常運転として制御部24によりインバータ21を制御する制御プログラム、圧力センサ17や流量センサ18の故障を判断する判断プログラム、及び、各種情報の音声案内を行う音声案内プログラム等の各種プログラムが記憶されている。また、記憶部23は、音声案内プログラムに用いられる各種テーブルが記憶されている。各種テーブルとしては、例えば、
図2乃至
図5に示すように、異常警報通知テーブルT1、対策通知テーブルT2、交換目安通知テーブルT3、及び点検事項確認テーブルT4等が適宜、使用可能となっている。
【0024】
異常警報通知テーブルT1は、
図2に示すように、異常コードと、異常内容に関する音声情報とを関連付けたテーブルである。異常コードは、制御部24が検出した異常を識別する情報である。異常内容に関する音声情報は、異常内容を音声出力するための情報であればよく、ここでは異常内容の読み(発音)を表現する情報を用いている。但し、これに限らず、異常内容に関する音声情報は、異常内容を表現する漢字仮名交じり文としてもよい。異常警報通知テーブルT1の音声情報は、例えば、ポンプ装置1の取扱い説明書の内容に基づいて作成してもよい。なお、他のテーブルT2~T4の音声情報も同様に、ポンプ装置1の取扱い説明書の内容に基づいて作成してもよい。
【0025】
対策通知テーブルT2は、
図3に示すように、異常コードと、異常内容に関する音声情報と、対策に関する音声情報と、原因に関する音声情報とを関連付けたテーブルである。ここで、異常コードと、異常内容に関する音声情報とは、前述した通りである。また、対策に関する音声情報と、原因に関する音声情報とは、それぞれ前述同様に、異常内容の対策及び原因を音声出力するための情報であればよい。対策は、「○○を交換して下さい」といった直接的な内容でもよく、「サービスマンを呼んで下さい。」という間接的な内容でもよい。
【0026】
交換目安テーブルT3は、
図4に示すように、目安コードと、部品名に関する音声情報と、交換時期の目安に関する音声情報と、状態の目安に関する音声情報とを関連付けたテーブルである。目安コードは、部品の交換時期の目安を識別する情報である。また、交換時期の目安に関する音声情報と、状態の目安に関する音声情報とは、それぞれ前述同様に、部品の交換時期の目安及び状態の目安を音声出力するための情報であればよい。
【0027】
点検事項テーブルT4は、
図5に示すように、点検コードと、項目に関する音声情報と、確認事項に関する音声情報と、判定基準に関する音声情報とを関連付けたテーブルである。点検コードは、点検事項を識別する情報である。また、項目に関する音声情報と、確認事項に関する音声情報と、判定基準に関する音声情報とは、それぞれ前述同様に、項目、確認事項及び判定基準を音声出力するための情報であればよい。
【0028】
制御部24は、典型的にはマイコンであるが、CPU (central processing unit)、GPU (graphics processing unit)、FPGA (field programmable gate array)、DSP (digital signal processor)、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。制御部24は、圧力センサ17、流量センサ18、インバータ21、記憶部23、通信部25、入力部26、インタフェース27及びスピーカ28等に電気的に接続される。制御部24は、例えば、通信制御、表示制御、音声案内、ポンプ制御などの任意の処理を行う。例えば、制御部24は、
図6に示すように、記憶部23内の音声案内プログラムの実行により、音声案内などを行う処理部24aと、記憶部23内の制御プログラム及び判断プログラムの実行により、ポンプ制御などを行うポンプ制御部24bとを備えている。なお、処理部24a及びポンプ制御部24bは、適宜、通信制御及び表示制御などの処理も行う。表示制御については、図示しないランプ及び7セグメントに対する制御を含んでいる。なお、表示制御は、液晶パネルに対する制御を含むことも可能であるが、この例では含まない。液晶パネルは、音声案内によって各種情報の表示切換を不要とする観点から、設けていない。但し、各種情報を表示する液晶パネルを設け、音声案内によって液晶パネルに表示されない範囲の各種情報を補足する等の使い方であれば、各種情報の表示切換が不要なので、液晶パネルを設けてもよい。
【0029】
ここで、制御部24は、処理部24aにより、ポンプ11に関する音声情報をスピーカ28に送出可能となっている。送出された音声情報は、スピーカ28により、音声出力に用いられる。具体的には例えば、ポンプ11に関する音声情報は、ポンプ11の運転状況データを示す第1の音声情報と、ポンプ11のメンテナンス情報を示す第2の音声情報と、ポンプ11の異常内容を示す第3の音声情報とのいずれかである、としてもよい。制御部24は、ポンプ11の正常運転時には第1の音声情報を送出してもよく、ポンプ11の正常停止時には第2の音声情報を送出してもよく、ポンプ11の異常発生時には第3の音声情報を送出する、ようにしてもよい。なお、制御部24は、異常発生時には音声情報に限らず、インタフェース27におけるブザー等で異常を周囲に通知する方式としてもよい。但し、異常発生時以外は静音状態としたい観点から、制御部24は、入力部26における音声通知スイッチがオフ状態のとき、第1の音声情報及び第2の音声情報の各々の送出を阻止する、ようにしてもよい。なお、音声通知スイッチは、操作者の操作に応じてオン状態又はオフ状態となるスイッチである。また、異常を確実に通知したい観点から、制御部24は、異常発生時には、音声通知スイッチのオンオフ状態によらず、ポンプ11の異常内容を示す第3の音声情報を送出することが好ましい。また、音声通知スイッチは、スピーカ28の端子がジャックに差し込まれた状態をオン状態とするスイッチとしてもよく、この場合、操作者によるスイッチのオンオフ操作が省略可能となる。また同様に、異常を確実に通知したい観点から、制御部24は、ポンプ11の正常運転時に送出する音声情報の音程よりも、ポンプ11の異常発生時に送出する音声情報の音程を高くする、又は当該正常運転時に送出する音声情報の音圧よりも、異常発生時に送出する音声情報の音圧を大きくする、ようにしてもよい。このような音程及び音圧の制御は、例えば、制御部24が音声情報の周波数や振幅を調整することにより行ってもよく、スピーカ28を制御することにより、行ってもよい。
【0030】
運転状況データとしては、例えば、現在の消費電力(又は電流値)、及び/又は、運転周波数(又は回転速度)としてもよい。このような運転状況データは、例えば、図示しないセンサからの検出信号により、制御部24に取得可能となっている。
【0031】
メンテナンス情報としては、例えば、部品の交換時期やオーバーホールまでの時間、オーバーホールでの点検事項などが適宜、使用可能となっている。このようなメンテナンス情報は、例えば、交換目安テーブルT3や点検事項テーブルT4などにより、制御部24に取得可能となっている。
【0032】
異常内容としては、例えば、各センサ17,18や図示しないセンサからの検出信号に基づいて検出された異常を識別する異常コードに基づき、異常警報通知テーブルT1及び対策通知テーブルT2により、制御部24に取得可能となっている。なお、異常発生時に送出される第3の音声情報は、このような異常内容と、異常内容の対策とを含んでもよく、更に、異常内容の原因を含んでもよい。異常内容の対策や原因は、同様に、異常コードに基づいて対策通知テーブルT2から制御部24に取得可能となっている。
【0033】
通信部25は、制御部24により制御され、無線通信技術を用いて、通信端末などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、通信部25は、例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energyの規格(以下、BLE規格ともいう)、Wi-Fi(登録商標)、NFCなどの(近距離)無線通信技術、またはUSBなどの有線通信技術を用いて、通信端末等の外部装置に接続可能となっている。また、通信部25は、BLE規格などにより、スピーカ28やマイク等を無線接続してもよい。なお、BLE規格は、BLEのバージョン4.0以上の規格であればよく、BLEの通信方式と互換性があればよい。これに伴い、「BLE規格」は、「Bluetooth 4.0以上の規格」と呼んでもよい。通信部25は、制御部24に電気的に接続され、通信端末との間の通信を接続可能な通信手段の一例である。
【0034】
入力部26は、例えば、ボタンスイッチやセレクトスイッチを含む操作パネルなどのユーザ入力を受け付ける装置と、カメラなどのセンサとを含み得る。ボタンスイッチは、ユーザの操作に応じて、オン状態又はオフ状態となる音声通知スイッチの一例である。セレクトスイッチは、ポンプ運転指令を入力するものであり、ユーザの操作に応じて、ポンプの自動・停止・手動を切り替えるスイッチや、1号機の運転、1~2号機の運転、又は2号機の運転を切り替えるスイッチなどが適宜、使用可能となっている。「ポンプ運転指令」は「ポンプ運転指示」と呼んでもよい。
【0035】
インタフェース27は、制御部24により制御され、例えば、遠距離通信技術を用いて、管理サーバなどの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、インタフェース27は、例えば、移動通信(3G、4G、5G)、Wimaxなどの無線通信技術を用いて、ネットワーク経由で外部装置に接続可能となっている。
【0036】
スピーカ28は、制御部24から送出された音声情報に基づいて音声出力を行う装置であり、制御盤20に埋め込んでもよく、床置き又は壁掛けしてもよく、ヘッドホン又はイヤホンとしてもよい。スピーカ28は、有線又は無線を介して制御部24に接続可能となっている。有線の場合、スピーカ28は、制御盤20に一体的に設けられてもよく、スピーカ28の端子を制御盤20のジャックに差し込むことにより着脱自在に設けられてもよい。この場合、スピーカ28の端子がジャックに差し込まれた状態のときのみ、音声出力が可能となるので、無関係な第三者に対する音声出力(盗聴)を抑制可能である。あるいは、予め設けられたスピーカとは別のスピーカの端子をジャックに差し込むことにより、予め設定された音声情報を当該別のスピーカから音声出力可能としてもよい。この場合、予め設定された音声情報は、スピーカの端子をジャックに差し込まない限り、音声出力されないので、予め設定された音声情報のセキュリティ性を高めることができる。無線の場合、スピーカ28は、制御部24との間で無線通信を接続する無線通信部を備え、制御部24から通信部25を介して受信した音声情報に基づいて音声出力を行う。
【0037】
次に、以上のように構成されたポンプ装置の音声案内に関する動作例について
図7乃至
図10を参照しながら説明する。この音声案内に関する動作例は、全体動作(
図7)と、異常発生時の動作(
図8)と、正常運転時の動作(
図9)と、正常停止時の動作(
図10)とを含んでいる。以下、各動作例を順に述べる。
【0038】
(全体動作:
図7)
いま、ポンプ装置1は、インバータ21にて可変速制御し、圧力センサ17で検出された圧力が始動圧力以下で始動し、流量センサ18で検出された流量が少水量判断値以下で停止するなど、目標圧力一定制御の下で正常運転中であるとする。
【0039】
このとき、ポンプ装置1の制御部24は、ステップST10において、図示しない各センサ、圧力センサ17及び流量センサ18の信号に基づき、異常を検出したか否かを判定し、検出した場合にはステップST20に移行して異常発生時の音声案内処理を行う。ステップST20の後、制御部24は、ステップST10に戻る。
【0040】
また、ステップST10の判定の結果、否の場合にはステップST30に移行する。ステップST30において、制御部24は正常運転時か否かを判定し、正常運転時にはステップST40に移行して、正常運転時の音声案内処理を行う。ステップST40の後、制御部24は、ステップST10に戻る。
【0041】
また、ステップST30の判定の結果、否の場合にはステップST50に移行して、正常停止時の音声案内処理を行う。ステップST50の後、制御部24は、ステップST10に戻る。
【0042】
以下同様に、制御部24は、ステップST10~ST50の処理を繰り返し実行する。続いて、ステップST20、ST40及びST50の動作について具体的に述べる。
【0043】
(異常発生時の動作:
図8)
異常発生時の動作であるステップST20は、ステップST21~ST24を用いて実行される。
【0044】
ステップST21において、制御部24は、検出された異常を通知するための異常警報をスピーカ28から音声出力する。具体的には例えば、制御部24は、検出された異常を示す異常コードに基づいて異常警報通知テーブルT1を検索し、得られた異常警報に関する音声情報をスピーカ28に送出する。スピーカ28は、送出された音声情報に基づいて、異常警報を音声出力する。
【0045】
ステップST21の後、ステップST22において、制御部24は、予め記憶部23に設定された対策通知フラグに基づき、対策通知テーブルT2を検索するか否かを判定し、否の場合にはステップST20の処理を終了する。
【0046】
一方、ステップST22の判定の結果、検索する場合には、制御部24は、ステップST21で用いた異常コードに基づいて対策通知テーブルT2を検索し(ステップST23)、得られた対策に関する音声情報をスピーカ28に送出する。スピーカ28は、送出された音声情報に基づいて、対策を音声出力する(ステップST24)。なお、制御部24は、対策通知テーブルT2から得られる原因に関する音声情報を更に送出し、スピーカ28は、送出された音声情報に基づいて、原因を更に音声出力してもよい。いずれにしても、ステップST24の後、制御部24はステップST20の処理を終了する。
【0047】
なお、制御部24は、ステップST21で対策通知テーブルT2を検索して、予め対策を得ておき、ステップST22の判定結果に応じて、対策に関する音声情報を送出してもよい。この場合、ステップST23を省略することが可能となる。
【0048】
(正常運転時の動作:
図9)
正常運転時の動作であるステップST30は、ステップST31~ST33を用いて実行される。
【0049】
ステップST31において、入力部26における音声通知スイッチはオフ状態であるとする。ステップST32において、制御部24は、音声通知スイッチがオン状態になったか否かに応じて音声通知スイッチが操作されたか否かを判定し、否の場合にはステップST31に戻る。ここで、音声通知スイッチがボタンの場合、音声通知スイッチは、ボタンを押し続ける場合のように、操作され続けているときのみオン状態となってもよく、一回押したら、一通りの音声出力が終了するまでオン状態となってもよい。
【0050】
ステップST32の判定の結果、操作された場合には、制御部24は、図示しない各センサ、圧力センサ17及び流量センサ18の信号に基づき、現在の運転状況データに関する音声信号をスピーカ28に送出する。スピーカ28は、送出された音声情報に基づいて、運転状況データを音声出力する(ステップST33)。ステップST33の後、制御部24はステップST30の処理を終了する。
【0051】
(正常停止時の動作:
図10)
正常停止時の動作であるステップST40は、ステップST41~ST44を用いて実行される。
【0052】
ステップST41において、入力部26における音声通知スイッチはオフ状態であるとする。なお、音声通知スイッチは、目安コードに対応するものと、点検コードに対応するものとの複数あるとする。ステップST42において、制御部24は、音声通知スイッチがオン状態になったか否かに応じて音声通知スイッチが操作されたか否かを判定し、否の場合にはステップST41に戻る。音声通知スイッチがボタンの場合の動作は、前述した通りである。
【0053】
ステップST42の判定の結果、操作された場合には、制御部24は、オン状態となった音声通知スイッチに応じた目安コード又は点検コードに基づいて、記憶部23内の交換目安テーブルT3又は点検事項通知テーブルT4を検索する(ステップST43)。例えば、目安コードGd1に対応する音声通知スイッチがオン状態であれば、目安コードGd1に基づいて交換目安テーブルT3を検索する。同様に、点検コードCk1に対応する音声通知スイッチがオン状態であれば、点検コードCk1に基づいて点検事項通知テーブルT4を検索する。あるいは、複数の目安コードを示す目安コード群に対応する音声通知スイッチがオン状態であれば、目安コード群に基づいて交換目安テーブルT3を検索する。同様に、複数の点検コードを示す点検コード群に対応する音声通知スイッチがオン状態であれば、点検コード群に基づいて点検事項通知テーブルT4を検索する。
【0054】
しかる後、制御部24は、検索結果に関する音声情報をスピーカ28に送出する。スピーカ28は、送出された音声情報に基づいて、検索結果を音声出力する(ステップST44)。ステップST44の後、制御部24はステップST40の処理を終了する。
【0055】
上述したように第1の実施形態によれば、ポンプに関する音声情報をスピーカに送出可能な制御部、を備えている。スピーカは、制御部から送出された音声情報に基づいて音声出力を行う。従って、各種情報の表示切換えを不要とし、より容易に各種情報を伝達することができる。
【0056】
また、第1の実施形態によれば、ポンプに関する音声情報は、ポンプの運転状況データを示す第1の音声情報と、ポンプのメンテナンス情報を示す第2の音声情報と、ポンプの異常内容を示す第3の音声情報とのいずれかであってもよい。また、制御部は、ポンプの正常運転時には第1の音声情報を送出し、ポンプの正常停止時には第2の音声情報を送出し、ポンプの異常発生時には第3の音声情報を送出する、としてもよい。この場合、前述した作用効果に加え、スピーカは、ポンプの正常運転時にはポンプの運転状況データを音声出力することができる。スピーカは、ポンプの正常停止時にはポンプのメンテナンス情報を音声出力することができる。スピーカは、ポンプの異常発生時にはポンプの異常内容を音声出力することができる。従って、サービスマン又はユーザ等に対し、ポンプの正常又は異常などに応じて各種情報を伝達することができる。
【0057】
また、第1の実施形態によれば、第3の音声情報は、異常内容と、異常内容の対策とを含む、ようにしてもよい。この場合、前述した作用効果に加え、異常発生時に、異常内容と、異常内容の対策とを音声出力することができる。
【0058】
また、第1の実施形態によれば、操作者の操作に応じてオン状態又はオフ状態となる音声通知スイッチを更に備えてもよい。また、制御部は、音声通知スイッチがオフ状態のとき、第1の音声情報及び第2の音声情報の各々の送出を阻止してもよい。この場合、正常運転時や正常停止時におけるポンプ装置の静音化を図ることができる。
【0059】
<第2の実施形態>
図11は、第2の実施形態に係るポンプ装置及びその周辺構成を例示する模式図であり、
図1と略同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは、主に、異なる部分について述べる。以下の各実施形態も同様にして重複した部分の説明を省略する。
【0060】
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、記憶部23の記憶容量を低減する観点から、各テーブルT2~T4を、サーバ装置40又は通信端末50等の外部装置60に保存した構成である。なお、通信環境が悪くても早期に異常警報を音声出力する観点から、異常警報通知テーブルT1は記憶部23に残している。また、制御部24は、外部装置60から無線又は有線を介して音声情報を含む通信信号を受けると、当該通信信号から音声情報を抽出し、当該抽出した音声情報をスピーカ28に送出する。外部装置60としては、サーバ装置40又は通信端末50のいずれでもよいが、主に、サーバ装置40を例に挙げて説明する。
【0061】
サーバ装置40は、ポンプ装置1を管理するための社内サーバ又はクラウドサーバであり、ポンプ装置1と通信可能となっている。サーバ装置40は、通信部41と、インタフェース42と、メモリ43と、プロセッサ44とを備えている。プロセッサ44は、後述するように、管理部44a及び処理部44b等の機能を実現可能となっている。
【0062】
ここで、通信部41は、プロセッサ44により制御され、例えば、遠距離通信技術を用いて、ポンプ装置1と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、通信部41は、例えば、移動通信(3G、4G、5G)、Wimaxなどの無線通信技術を用いて、図示しない基地局及びネットワーク経由でポンプ装置1に接続可能となっている。
【0063】
インタフェース42は、ネットワーク、典型的にはインターネット経由で、図示しない他の装置(他の管理サーバ等)と通信をする通信インタフェースである。
【0064】
メモリ43は、プロセッサ44が各処理を実現するために当該プロセッサ44によって実行されるプログラム、および当該プロセッサ44によって使用されるデータ、例えば、コード、運転状況データ、メンテナンス情報、各テーブルT2~T4などを記憶する。
【0065】
プロセッサ44は、典型的にはCPUであるが、マイコン、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ44は、ポンプ装置1を管理する処理と、ポンプ装置1の音声案内を支援する処理とを実行する。プロセッサ44は、メモリ43に保存されたプログラムを実行することで、
図2の管理部44a及び処理部44bとして機能し得る。
【0066】
管理部44aは、ポンプ装置1を管理する。例えば、管理部44aは、ポンプ装置1又は通信端末50から受けた運転状況データを保存したり、ポンプ装置1をオーバーホールした時期などといったメンテナンス情報を保存する。
【0067】
処理部44bは、ポンプ装置1の音声案内を支援する。例えば、処理部44bは、ポンプ装置1から送信された異常コードに基づいて対策通知テーブルT2を検索し、検索結果をポンプ装置1に返信する。同様に、処理部44bは、ポンプ装置1から送信された目安コードに基づいて交換目安テーブルT3を検索し、検索結果をポンプ装置1に返信する。また同様に、処理部44bは、ポンプ装置1から送信された点検コードに基づいて点検事項通知テーブルT4を検索し、検索結果をポンプ装置1に返信する。
【0068】
通信端末50は、ポンプ装置1と、サーバ装置40とに通信可能な情報処理装置である。通信端末50は、例えば、PC、モバイル端末(例えば、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、フィーチャーフォンなど)などであり得るが、これらに限られない。
【0069】
このような通信端末50は、
図13に例示するように、通信部51、入力部52、表示部53、メモリ54及びプロセッサ55を備えている。プロセッサ55は、後述するように、通信制御部55a、処理部55b等の機能を実現可能となっている。
【0070】
ここで、通信部51は、プロセッサ55により制御され、例えば、近距離通信技術を用いて、サーバ装置40やポンプ装置1などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、通信部51は、例えば、BLE規格、Wi-Fi(登録商標)、NFCなどの(近距離)無線通信技術、またはUSBなどの有線通信技術を用いて、ポンプ装置1等の外部装置に接続可能となっている。
【0071】
また、通信部51は、プロセッサ55により制御され、例えば、遠距離通信技術を用いて、サーバ装置40などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、通信部51は、例えば、移動通信(3G、4G、5G)、Wimaxなどの無線通信技術を用いて、基地局及びネットワーク経由でサーバ装置40等の外部装置に接続可能となっている。
【0072】
入力部52は、ユーザ入力を受け付けるための入力I/Fであり、通信端末50に内蔵されてもよいし、通信端末50に外付けされてもよい。入力部52は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、マイクロフォン、カメラなどであってもよいし、タッチスクリーンのように出力I/Fの機能を備えていてもよい。ユーザ入力は、典型的には、タップ、クリック、ドラッグ、特定のキーの押下などであり得る。このほか、ユーザ入力は、例えば、マイクロフォンによって捉えられる音声などを含むこともできる。
【0073】
表示部53は、プロセッサ55の処理に応じて、画像及び/又は音声を出力するための出力I/Fの一例であり、動画像、静止画像、テキストなどを表示するための表示デバイスを含み得る。表示デバイスは、タッチスクリーンのように入力I/Fの機能を備えていてもよい。
【0074】
メモリ54は、プロセッサ55が各処理を実現するために当該プロセッサ55によって実行されるプログラム、および当該プロセッサ55によって使用されるデータなどを記憶する。メモリ54は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、通信プログラムなどが適宜、記憶される。データとしては、例えば、コード、運転データ、各テーブルT2~T4などが適宜、記憶される。
【0075】
プロセッサ55は、典型的にはCPUであるが、マイコン、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ55は、ポンプ装置1の音声案内を支援する処理を実行してもよく、サーバ装置40とポンプ装置1との間に介在して、ポンプ装置1を管理する処理を実行してもよい。プロセッサ55は、メモリ54に保存されたプログラムを実行することで、通信制御部55a、処理部55bとして機能し得る。
【0076】
通信制御部55aは、通信部51を介して、サーバ装置40との遠距離通信を行う。また、通信制御部55aは、通信部51を介して、ポンプ装置1との近距離通信を行う。
【0077】
処理部55bは、ポンプ装置1の音声案内を支援する処理を実行してもよく、点検、メンテナンス及び管理など、作業者の作業に応じた情報処理を実行してもよい。例えば、処理部55bは、作業者によるポンプ装置1からの運転データの収集を支援してもよい。なお、ポンプ装置1の音声案内を支援する処理は、サーバ装置40及び通信端末50のいずれが実行してもよいので、前述した通り、サーバ装置40が実行する場合を例に挙げて述べる。なお、ポンプ装置1と、サーバ装置40又は通信端末50などの外部装置60とを備えた構成は、適宜、音声案内システムや情報伝達システムなどと呼んでもよい。
【0078】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0079】
次に、以上のように構成されたポンプ装置の動作例について
図14及び
図15を参照しながら説明する。この動作例は、異常発生時の動作(
図14)と、正常停止時の動作(
図15)とを含んでいる。なお、全体動作と正常運転時の動作については前述同様のため、説明を省略する。以下、各動作例を順に述べる。
【0080】
(異常発生時の動作:
図14)
異常発生時の動作であるステップST20は、ステップST21~ST24を用いて実行される。
【0081】
ステップST21及びST22は、前述同様に実行される。但し、ステップST22の判定の結果、検索する場合には、制御部24は、ステップST21で用いた異常コードを、インタフェース27を介してサーバ装置40に通知(送信)する(ステップST23-1)。
【0082】
サーバ装置40のプロセッサ44は、この異常コードに基づいて、メモリ43内の対策通知テーブルT2を検索し(ステップST23-2)、検索結果を通知するため、検索結果としての対策に関する音声情報を含む通信信号を、通信部41を介してポンプ装置1に返信する(ステップST23-3)。
【0083】
ポンプ装置1の制御部24は、サーバ装置40から無線又は有線を介して音声情報を含む通信信号を受けると、当該通信信号から音声情報を抽出し、当該抽出した音声情報をスピーカ28に送出する。スピーカ28は、送出された音声情報に基づいて、対策を音声出力する(ステップST24)。なお、サーバ装置40は、対策通知テーブルT2から得られる原因に関する音声情報を更に通知してもよい。この場合、制御部24は、原因に関する音声情報を更にスピーカ28に送出し、スピーカ28は原因を更に音声出力する。いずれにしても、ステップST24の後、制御部24はステップST20の処理を終了する。
【0084】
(正常停止時の動作:
図15)
正常停止時の動作であるステップST40は、ステップST41~ST44を用いて実行される。
【0085】
ステップST41及びST42は、前述同様に実行される。但し、ステップST42の判定の結果、操作された場合には、制御部24は、オン状態となった音声通知スイッチに応じた目安コード又は点検コードを、インタフェース27を介してサーバ装置40に通知(送信)する(ステップST43a-1)。
【0086】
サーバ装置40のプロセッサ44は、この目安コード又は点検コードに基づいて、記憶部23内の交換目安テーブルT3又は点検事項通知テーブルT4を検索する(ステップST43a-2)。しかる後、プロセッサ44は、得られた検索結果に関する音声情報を、通信部41を介してポンプ装置1に通知(返信)する(ステップST43a-3)。
【0087】
ポンプ装置1の制御部24は、サーバ装置40から無線又は有線を介して音声情報を含む通信信号を受けると、当該通信信号から音声情報を抽出し、当該抽出した音声情報をスピーカ28に送出する。スピーカ28は、送出された音声情報に基づいて、検索結果を音声出力する(ステップST44)。ステップST44の後、制御部24はステップST40の処理を終了する。
【0088】
上述したように第2の実施形態によれば、ポンプ装置の制御部は、外部装置から無線又は有線を介して音声情報を含む通信信号を受けると、当該通信信号から音声情報を抽出し、当該抽出した音声情報をスピーカに送出する。従って、第1の実施形態の効果に加え、ポンプ装置内で音声情報を生成又は読出処理する必要がなく、ポンプ装置において、音声案内に関する構成の簡素化を図ることができる。例えば、記憶部に各テーブルT2~T4を備える必要がないので、記憶部の記憶容量を低減することができる。
【0089】
<第3の実施形態>
図16は、第3の実施形態に係るポンプ装置の構成を例示する模式図である。
【0090】
第3の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、記憶部23内の各テーブルT1~T4に代えて、音声入力に対して音声出力するためのAI(人口知能)機能を用いた形態である。例えば、問い合わせを音声入力し、問い合わせに対する回答を音声出力する形態が典型的である。但し、音声入力に対する音声出力は、ポンプに関する音声情報であればよく、必ずしも「回答」である必要はない。例えば、問い合わせに対する回答でないが、問い合わせに関連する内容の音声出力を行う場合があってもよい。なお、以下の説明は、問い合わせに対する回答を音声出力する場合を例に挙げて述べる。
【0091】
これに伴い、ポンプ装置1は、マイク29を使用可能としている。マイク29は、操作者の音声に従って、音声入力を行う装置であり、制御盤20に埋め込んでもよく、床置き又は壁掛けしてもよい。マイク29は、有線又は無線を介して制御部24に接続可能となっている。有線の場合、マイク29は、制御盤20に一体的に設けられてもよく、マイク29の端子を制御盤20のジャックに差し込むことにより着脱自在に設けられてもよい。この場合、マイク29の端子がジャックに差し込まれた状態のときのみ、音声入力が可能となるので、無関係な第三者による音声入力(誤入力又はいたずら)を抑制可能である。あるいは、マイク29及びスピーカ28を有するヘッドセットの端子を制御盤20のジャックに差し込むことにより着脱自在に設けられてもよい。この場合、ヘッドセットの端子がジャックに差し込まれた状態のときのみ、音声入出力が可能となるので、無関係な第三者の不正な音声入出力を抑制可能である。無線の場合、マイク29は、制御部24との間で無線通信を接続する無線通信部を備え、操作者の音声に対応する音声情報を制御部24に入力する。
【0092】
記憶部23は、ポンプに関する問い合わせに基づいて、当該ポンプに関する音声情報(問い合わせに対する回答)を生成するAI機能を備えている。ここで、AI機能としては、例えば、既存の音声認識や自然言語処理を用いたAIスピーカの技術が、適宜、使用可能となっている。AIスピーカは、スマートスピーカとも呼ばれ、音声対話可能で処理実行を行うAIアシスタント機能である。但し、本実施形態に係るAI機能は、処理実行が不要であり、ポンプに関して音声対話可能であればよい。具体的には例えば、AI機能は、例えば、入力された問い合わせに基づいて、当該ポンプに関する音声情報(問い合わせに対する回答)を生成する学習済みモデルが適宜、使用可能となっている。但し、AI機能は、予め回答の学習が困難又は不可能な内容の問い合わせについては情報検索処理を実行することにより、回答を生成する機能を含んでもよい。
【0093】
制御部24は、ポンプに関する問合せがマイク29から音声入力されると、当該問い合わせをAI機能に入力し、AI機能により生成された音声情報をスピーカ28に送出可能となっている。ここで、ポンプに関する音声情報は、ポンプの運転状況データを示す第1の音声情報と、ポンプのメンテナンス情報を示す第2の音声情報と、ポンプの異常内容を示す第3の音声情報とのいずれかであるとしてもよい。制御部24は、ポンプの正常運転時には第1の音声情報を送出してもよく、ポンプの正常停止時には第2の音声情報を送出してもよく、ポンプの異常発生時には第3の音声情報を送出してもよい。また、制御部24は、異常発生時にはマイク29での問い合わせはせずに自動的に音声通知させるようにしてもよい。また、制御部24は、正常運転時の運転状況データや正常停止時のメンテナンス情報や異常発生時の対策などはマイク29からの問い合わせに応じて回答するようにしてもよい。また、制御部24は、マイクからの音声入力が無いとき、第1の音声情報及び第2の音声情報の各々の送出を阻止するようにしてもよい。
【0094】
制御部24は、ポンプの異常発生時には、問い合わせの有無によらず、ポンプの異常内容を示す第3の音声情報を送出するようにしてもよい。
【0095】
また、制御部24は、前述同様に、有線又は無線を介してスピーカ28に接続される。同様に、制御部24は、有線又は無線を介してマイク29に接続される。
【0096】
また、制御部24は、マイク29からポンプ運転指令が音声入力されたとき、音声入力されたポンプ運転指令を無視するようにしてもよい。ここで、ポンプ運転指令は、例えば、前述したセレクトスイッチで入力される指令であり、具体的には、ポンプの自動・停止・手動を切り替える指令や、1号機の運転、1~2号機の運転、又は2号機の運転を切り替える指令などである。
【0097】
制御部24は、前述同様に、ポンプの正常運転時に送出する第1又は第2の音声情報の音程よりも、ポンプの異常発生時に送出する第3の音声情報の音程を高くする、又は正常運転時に送出する第1又は第2の音声情報の音圧よりも、異常発生時に送出する第3の音声情報の音圧を大きくするようにしてもよい。すなわち、正常運転時に大きい音声が出力されると騒音になる可能性があるが、異常発生時の大きい音声は、周囲に異常を知らせる必要があるので、問題ない。
【0098】
スピーカ28は、前述同様に、制御部24から送出された音声情報に基づいて音声出力を行う。
【0099】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0100】
次に、以上のように構成されたポンプ装置の動作例について
図17を参照しながら説明する。この説明は、異常発生時の動作例、正常運転時の動作例及び正常停止時の動作例のうち、正常停止時の動作例を代表させて述べるが、正常運転時及び異常発生時の動作例についても、音声情報の内容を除いて同様である。以下、動作例を述べる。この動作例は、問い合わせに対する回答に関する音声情報を生成及び音声出力する場合に関して述べる。
【0101】
(正常停止時の動作:
図17)
正常停止時の動作であるステップST40は、ステップST41b~ST44bを用いて実行される。
【0102】
ステップST41bにおいて、マイク29はオフ状態であるとする。ステップST42bにおいて、制御部24は、マイク29がオン状態になったか否かを判定し、否の場合にはステップST41bに戻る。
【0103】
ステップST42bの判定の結果、オン状態の場合には、制御部24は、ポンプに関する問合せがマイク29から音声入力されると、当該問い合わせをAI機能に入力し、AI機能により生成された、ポンプ(回答)に関する音声情報をスピーカ28に送出する(ステップST43b)。例えば、ポンプ(回答)に関する音声情報としては、ポンプの正常停止時には、ポンプのメンテナンス情報を示す第2の音声情報が送出される。
【0104】
しかる後、スピーカ28は、送出された音声情報に基づいて、問い合わせに対する回答を音声出力する(ステップST44b)。ステップST44bの後、制御部24はステップST40の処理を終了する。
【0105】
上述したように第3の実施形態によれば、ポンプ装置が、AI機能と、制御部とを備えている。制御部は、ポンプに関する問合せがマイクから音声入力されると、当該問い合わせをAI機能に入力する。AI機能は、ポンプに関する問い合わせに基づいて、ポンプに関する音声情報を生成する。制御部は、AI機能により生成された音声情報をスピーカに送出する。スピーカは、制御部から送出された音声情報に基づいて音声出力を行う。従って、AI機能を用いた構成としても、各種情報の表示切換えを不要とし、より容易に各種情報を伝達することができる。
【0106】
また、第3の実施形態によれば、制御部は、有線又は無線を介してスピーカに接続されてもよい。この場合、前述した作用効果に加え、制御部がスピーカに接続されていないときには音声情報に基づく音声出力が行われないので、スピーカを持参して接続しない者に対し、ポンプに関する情報を保護することができる。
【0107】
また、第3の実施形態によれば、ポンプに関する音声情報は、ポンプの運転状況データを示す第1の音声情報と、前記ポンプのメンテナンス情報を示す第2の音声情報と、ポンプの異常内容を示す第3の音声情報とのいずれかであってもよい。また、制御部は、ポンプの正常運転時には第1の音声情報を送出してもよく、ポンプの正常停止時には第2の音声情報を送出してもよく、ポンプの異常発生時には第3の音声情報を送出してもよい。また、制御部24は、マイクからの音声入力が無いとき、第1の音声情報及び第2の音声情報の各々の送出を阻止するようにしてもよい。また、ポンプの異常発生時には、問い合わせの有無によらず、ポンプの異常内容を示す第3の音声情報を送出してもよい。この場合、前述した作用効果に加え、運転状況に応じた音声情報を送出でき、また、異常発生時には問い合わせが無くても、異常内容を示す音声情報を音声出力させることができる。
【0108】
また、第3の実施形態によれば、制御部は、マイクからポンプ運転指令が音声入力されたとき、音声入力されたポンプ運転指令を無視してもよい。この場合、前述した作用効果に加え、例えば、周囲の会話に生じたポンプ運転指令を音声入力してしまう誤操作を阻止でき、ポンプ運転指令の信頼性を確保することができる。
【0109】
また、第3の実施形態によれば、制御部は、ポンプの正常運転時に送出する第1又は第2の音声情報の音程よりも、ポンプの異常発生時に送出する第3の音声情報の音程を高くする、又は正常運転時に送出する第1又は第2の音声情報の音圧よりも、異常発生時に送出する第3の音声情報の音圧を大きくしてもよい。これらのいずれの場合としても、正常運転時に比べ、異常発生時の音声出力を聞き取り易くすることができるので、異常対応の迅速化を図ることができる。
【0110】
[第3の実施形態の変形例]
第3の実施形態は、外国語での音声入力に対応可能な構成に変形してもよい。
【0111】
第3の実施形態の変形例は、ポンプ装置1がAI翻訳機能を更に備えている。
【0112】
AI翻訳機能は、マイク29から音声入力された問い合わせの言語を判定し、言語が外国語の場合には当該問い合わせを日本語に翻訳し、前述したAI機能が当該日本語の問い合わせに対する音声情報(回答)を生成すると、当該音声情報を外国語に翻訳する。ここで、AI翻訳機能としては、例えば、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)により開発された多言語音声翻訳技術が、適宜、使用可能となっている。具体的には例えば、AI翻訳機能は、記憶部23に記憶され、制御部24から実行可能な学習済みモデルにより実現可能となっている。
【0113】
また、制御部24は、当該翻訳された外国語に関する音声情報をスピーカ28に送出する。
【0114】
他の構成は、第3の実施形態と同様である。
【0115】
次に、以上のように構成されたポンプ装置の動作例について
図18を参照しながら説明する。この説明は、異常発生時の動作例、正常運転時の動作例及び正常停止時の動作例のうち、正常停止時の動作例を代表させて述べるが、正常運転時及び異常発生時の動作例についても、音声情報の内容を除いて同様である。以下、動作例を述べる。この動作例は、問い合わせに対する回答に関する音声情報を生成及び音声出力する場合に関して述べる。
【0116】
(正常停止時の動作:
図18)
正常停止時の動作であるステップST40は、ステップST41b~ST44bを用いて実行される。なお、ステップST43b及びST44bが前述とは異なり、外国語に対応している。
【0117】
いま、前述同様に、ステップST41b~ST42bが実行され、マイク29がオン状態であるとする。
【0118】
ステップST42bの後、ステップST43b-t1~ST43b-t3からなるステップST43bが実行される。すなわち、制御部24は、ポンプに関する問合せがマイク29から音声入力されると、当該問い合わせをAI翻訳機能に入力する。AI翻訳機能は、マイク29から音声入力された問い合わせの言語を判定し(ステップST43b-t1)、言語が外国語の場合には当該問い合わせを日本語に翻訳し(ステップST43b-t2)、日本語の問い合わせをAI機能に入力する。また、ステップST43b-t1の判定の結果、言語が日本語の場合には、この日本語の問い合わせをAI機能に入力する。AI機能は、当該日本語の問い合わせに対する音声情報(回答)を生成する(ステップST43b-t3)。これにより、ステップST43bが終了する。
【0119】
ステップST43bの後、ステップST44b-t1~ST44b-t3からなるステップST44bが実行される。すなわち、制御部24は、問い合わせの言語を判定し(ステップST44b-t1)、言語が外国語の場合には、生成された音声情報(回答)を当該外国語に翻訳し(ステップST44b-t2)、外国語の音声情報をスピーカ28に送出する。また、ステップST44b-t1の判定の結果、言語が日本語の場合には、制御部24は、生成された日本語の音声情報をスピーカ28に送出する。
【0120】
しかる後、スピーカ28は、送出された音声情報に基づいて、問い合わせに対する音声情報(回答)を音声出力する(ステップST44b)。ステップST44bの後、制御部24はステップST40の処理を終了する。
【0121】
上述したように第3の実施形態の変形例によれば、ポンプ装置は、AI翻訳機能を更に備えている。AI翻訳機能は、マイクから音声入力された問い合わせの言語を判定し、言語が外国語の場合には当該問い合わせを日本語に翻訳し、AI機能が当該日本語の問い合わせに対する音声情報を生成すると、当該音声情報を外国語に翻訳する。制御部は、翻訳された外国語に関する音声情報をスピーカに送出する。従って、第3の実施形態の作用効果に加え、問い合わせの言語が外国語の場合には外国語での音声出力を行うことができる。例えば、ポンプ装置1の異常発生時に、日本在住の外国人ユーザが外国語で問い合わせをした際に、外国語で回答できるので、外国人ユーザに対しても、より容易に各種情報を伝達することができる。
【0122】
<第4の実施形態>
図19は、第4の実施形態に係るポンプ装置及びその周辺構成を例示する模式図である。
【0123】
第4の実施形態は、第2及び第3の実施形態の変形例であり、AI機能の回答の正確さを高めたい観点から、ポンプに関する情報を外部装置60に要求し、外部装置60から得られた情報と、前述した問い合わせとをAI機能に入力する構成である。外部装置60としては、前述同様に、サーバ装置40を例に挙げて述べるが、通信端末50としてもよい。
【0124】
これに伴い、AI機能は、ポンプに関する問い合わせと、ポンプに関する情報とに基づいて、ポンプに関する音声情報(問い合わせに対する回答)を生成する機能となっている。
【0125】
制御部24は、外部装置60から無線又は有線を介してポンプに関する情報を含む通信信号を受けると、当該通信信号からポンプに関する情報を抽出し、当該抽出したポンプに関する情報と、音声入力された問い合わせとをAI機能に入力し、AI機能により生成された音声情報をスピーカ28に送出する。
【0126】
サーバ装置40の処理部44bは、前述した機能に代えて、ポンプに関する情報の要求をポンプ装置1から受けると、当該要求に基づいて、ポンプに関する情報をポンプ装置1に返信する。例えば、処理部44bは、要求に含まれる情報に基づいて、メモリ43内の運転状況データ、メンテナンス情報又は各テーブルT2~T4を検索し、検索結果であるポンプに関する情報を含む通信信号をポンプ装置1に返信してもよい。
【0127】
他の構成は、第2及び第3の実施形態と同様である。
【0128】
次に、以上のように構成されたポンプ装置の動作例について
図20を参照しながら説明する。この説明は、異常発生時の動作例、正常運転時の動作例及び正常停止時の動作例のうち、正常停止時の動作例を代表させて述べるが、正常運転時及び異常発生時の動作例についても、音声情報の内容を除いて同様である。以下、動作例を述べる。この動作例は、問い合わせに対する回答に関する音声情報を生成及び音声出力する場合に関して述べる。
【0129】
(正常停止時の動作:
図20)
正常停止時の動作であるステップST40は、ステップST41b~ST44bを用いて実行される。
【0130】
ステップST41bにおいて、マイク29はオフ状態であるとする。ステップST42bにおいて、制御部24は、マイク29がオン状態になったか否かを判定し、否の場合にはステップST41bに戻る。
【0131】
ステップST42bの判定の結果、オン状態の場合には、制御部24は、ポンプに関する問合せがマイク29から音声入力されると(ステップST43b-1)、当該問い合わせに基づき、ポンプに関する情報の要求を作成する。しかる後、制御部24は、ポンプに関する情報の要求を、インタフェース27を介してサーバ装置40に通知(送信)する(ステップST43b-2)。
【0132】
サーバ装置40のプロセッサ44は、この要求に基づいて、メモリ43内を検索し(ステップST43b-3)、検索結果を通知するため、検索結果としてのポンプに関する情報を含む通信信号を、通信部41を介してポンプ装置1に返信(応答)する(ステップST43b-4)。
【0133】
ポンプ装置1の制御部24は、サーバ装置40から無線又は有線を介してポンプに関する情報を含む通信信号を受けると、当該通信信号からポンプに関する情報を抽出する。また、制御部24は、当該抽出したポンプに関する情報と、音声入力された問い合わせとをAI機能に入力し、AI機能により生成された(回答に関する)音声情報をスピーカ28に送出する(ステップST43b-5)。
【0134】
しかる後、スピーカ28は、送出された音声情報に基づいて、問い合わせに対する回答を音声出力する(ステップST44b)。ステップST44bの後、制御部24はステップST40の処理を終了する。
【0135】
上述したように第4の実施形態によれば、AI機能は、ポンプに関する問い合わせと、ポンプに関する情報とに基づいて、問い合わせに対する音声情報を生成する機能となっている。制御部は、外部装置から無線又は有線を介してポンプに関する情報を含む通信信号を受けると、当該通信信号からポンプに関する情報を抽出し、当該抽出したポンプに関する情報と、音声入力された問い合わせとをAI機能に入力し、AI機能により生成された音声情報をスピーカに送出する。従って、第3の実施形態の作用効果に加え、問い合わせに対する音声情報が、ポンプに関する情報を考慮して生成されるので、AI機能による音声出力の妥当性又は正確性の向上を図ることができる。
【0136】
[第4の実施形態の変形例]
第4の実施形態は、AI機能を外部装置60が有する構成に変形してもよい。
【0137】
第4の実施形態の変形例は、制御部24が、マイクから音声入力されたポンプに関する問い合わせを外部装置60に送信する。外部装置60は、ポンプに関する問い合わせと、ポンプに関する情報とをAI機能に入力し、AI機能により生成された(回答に関する)音声情報を制御部24に返信する。
【0138】
制御部24は、返信された音声情報をスピーカ28に送出する。
【0139】
スピーカ28は、送出された音声情報に基づいて、問い合わせに対する回答を音声出力する。
【0140】
他の構成は、第4の実施形態と同様である。
【0141】
以上のような第4の実施形態の変形例によれば、第4の実施形態の作用効果に加え、記憶部にAI機能を備える必要がないので、記憶部の記憶容量を低減させることができる。
【0142】
なお、第4の実施形態の変形例は、第3の実施形態のAI機能を外部装置60が有する形態としてもよい。この場合、第3の実施形態の作用効果に加え、記憶部にAI機能を備える必要がないので、記憶部の記憶容量を低減させることができる。あるいは、第4の実施形態の変形例は、第3の実施形態の変形例におけるAI機能及びAI翻訳機能を外部装置60が有する形態としてもよい。この場合、第3の実施形態の変形例の作用効果に加え、記憶部にAI機能及びAI翻訳機能を備える必要がないので、記憶部の記憶容量を低減させることができる。
【0143】
上述の実施形態は、本発明の概念の理解を助けるための具体例を示しているに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図されていない。実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々な構成要素の付加、削除または転換をすることができる。
【0144】
上述の実施形態では、いくつかの機能部を説明したが、これらは各機能部の実装の一例に過ぎない。例えば、1つの装置に実装されると説明された複数の機能部が複数の別々の装置に亘って実装されることもあり得るし、逆に複数の別々の装置に亘って実装されると説明された機能部が1つの装置に実装されることもあり得る。
【0145】
また、以上のようなポンプ装置は、以下の[1]~[12]に示すように、表現してもよい。
【0146】
[1]マイコンとスピーカを搭載した制御部を有し、ポンプの運転状況や故障等の情報をスピーカから音声にて通知することができるポンプ装置。
【0147】
[2]上記[1]において、無線又は有線で接続されている外部装置からの信号に基づいて音声通知するポンプ装置。
【0148】
[3]上記[1]又は[2]において、下記運転状況において音声通知内容を変えるポンプ装置。
(i)正常運転時:現在の消費電力(又は電流値)、かつ/又は、運転周波数(又は回転速度)、(ii)正常停止時:メンテナンス情報(各種部品交換時期、オーバーホールまであと何か月)、(iii)異常発生時:異常内容。
【0149】
[4]上記[3]において、(iii)異常発生時、異常内容音声通知後、対処方法例についても音声通知するポンプ装置。
【0150】
[5]上記[3]又は[4]において、通常は静音状態としたいため、(iii)異常発生時以外は音声通知スイッチをONにしないと、ポンプの運転状況を音声にて通知させないポンプ装置。
【0151】
[6]マイコンとマイクとスピーカとAI機能を搭載した制御部を有し、ポンプの運転状況を音声にて通知する機能と、マイクにて問い合わせした内容について回答する機能を有するポンプ装置。
【0152】
[7]上記[1]又は[6]において、スピーカ及び/又はマイクを有線又は無線接続で外付けしたポンプ装置。
【0153】
[8]上記[6]において、マイクにて問い合わせせずに自動的に音声通知するのは(iii)異常発生時のみで、正常時の運転状況(消費電力、運転周波数)やメンテナンス情報(各種部品交換時期、オーバーホールまであと何か月)や異常発生時の対処方法例はマイクからの問い合わせにて回答するポンプ装置。
【0154】
[9]上記[6]又は[8]において、マイクからの問い合わせに対して、ポンプ運転指示に関する事項は実行させないポンプ装置。
【0155】
[10]上記[6]において、制御部は通信機能(無線又は有線)を有し、制御部マイコン内にある情報以外のクラウドサーバ等の情報を含めてAI解析して回答する、ポンプ装置。
【0156】
[11]上記[1]~[10]のいずれかにおいて、異常時の音声を聞き取り易くするために、(3)異常発生時は正常時と比べ,音程は高く、音圧は大きくするポンプ装置。
【0157】
[12]上記[1]~[11]のいずれかにおいて、設定や音声問い合わせにより、外国語と判断した場合は自動的に外国語変換するポンプ装置。
【0158】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0159】
1・・・ポンプ装置、11・・・ポンプ、12・・・モータ、13・・・吸込管、14・・・吐出管、15・・・合流管、16・・・逆止弁、17・・・圧力センサ、18・・・流量センサ、19・・・アキュムレータ、20・・・制御盤、21・・・インバータ、22・・・制御基板、23・・・記憶部、24・・・制御部、24a,44b,55b・・・処理部、24b・・・ポンプ制御部、25,41,51・・・通信部、26,52・・・入力部、27,42・・・インタフェース、28・・・スピーカ、29・・・マイク、40・・・サーバ装置、43,54・・・メモリ、44,55・・・プロセッサ、44a・・・管理部、50・・・通信端末、53・・・表示部、55a・・・通信制御部、T1・・・異常警報通知テーブル、T2・・・対策通知テーブル、T3・・・交換目安通知テーブル、T4・・・点検事項確認テーブル。