(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098949
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】給電用ドローンポート
(51)【国際特許分類】
B64F 1/12 20060101AFI20220627BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220627BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20220627BHJP
B64F 1/36 20170101ALI20220627BHJP
E01F 3/00 20060101ALN20220627BHJP
【FI】
B64F1/12
B64C39/02
B64C27/08
B64F1/36
E01F3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212638
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】小野 右季
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 克之
(72)【発明者】
【氏名】▲曽▼我 隆之
(72)【発明者】
【氏名】曾我 友貴
(57)【要約】
【課題】ドローンを安全に効率よく確実に充電でき、ドローンの長距離飛行を可能とする給電用ドローンポートを提供する。
【解決手段】電力が供給されている通電支柱3の上端3aに固定され、ドローン2が離着陸可能な着陸台4と、通電支柱3から配電された電力を着陸台4に載ったドローン2の受電装置2aに給電する給電装置6と、着陸台4に着陸したドローン2又は給電装置6を、給電装置6と受電装置2aとが対面する給電位置7まで移動させる位置決め設備10と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力が供給されている通電支柱の上端に固定されドローンが離着陸可能な着陸台と、
前記通電支柱から配電された電力を前記着陸台に載った前記ドローンの受電装置に給電する給電装置と、
前記着陸台に着陸した前記ドローン又は前記給電装置を、該給電装置と前記受電装置とが対面又は接触する給電位置まで移動させる位置決め設備と、を備えた給電用ドローンポート。
【請求項2】
前記ドローンは、その側面に前記受電装置を有するものであり、
前記給電装置は、前記着陸台の上面から上方に間隔を隔てて位置し、前記受電装置へ向けて横向きに電力を供給する、請求項1に記載の給電用ドローンポート。
【請求項3】
前記ドローンは、その下面に前記受電装置を有するものであり、
前記給電装置は、前記給電位置の前記着陸台に設けられ上方へ向けて電力を供給する、請求項1に記載の給電用ドローンポート。
【請求項4】
前記着陸台は、上方から見た形状が、水平なX方向に平行に延びるX対辺と水平なY方向に平行に延びるY対辺とを有する平行四辺形であり、
前記位置決め設備は、
前記Y方向に延び、両端が前記X対辺の外側に位置し、前記着陸台の上面に沿って水平に移動可能であるX方向移動板と、
ベルトが前記給電位置を通って前記Y方向に延び該Y方向に回転するベルトコンベアと、
前記X方向移動板を前記給電位置までX方向に移動する移動板駆動装置と、を有する、請求項1、請求項2、又は請求項3のうちの何れか一項に記載の給電用ドローンポート。
【請求項5】
前記着陸台は、上方から見た形状が、水平なX方向に平行に延びるX対辺を有する形状であり、
前記位置決め設備は、
前記着陸台の上面に沿って水平に移動可能であり、両端が前記X対辺の外側に位置し、中央部が前記着陸台のX方向外方へ屈曲している一対のX方向移動板と、
前記ドローンを前記X方向移動板の双方で挟み込むまで前記X方向移動板を前記着陸台のX方向内方へ向けて移動させる移動板駆動装置と、を有し、
一対の前記X方向移動板は、上下方向に互い違いに位置している、請求項1、請求項2、又は請求項3のうちの何れか一項に記載の給電用ドローンポート。
【請求項6】
前記着陸台は、上方から見た形状が、水平なX方向に平行に延びるX対辺を有する形状であり、
前記位置決め設備は、
両端が前記X対辺の外側に位置し、前記着陸台の上面に沿って水平に移動可能であるX方向移動板と、
前記X方向移動板を前記給電位置までX方向に移動させる移動板駆動装置と、
前記給電装置を前記X方向移動板に沿って移動させる給電移動装置と、を有する、請求項2に記載の給電用ドローンポート。
【請求項7】
前記着陸台は、上方から見た形状が、水平なX方向に平行に延びるX対辺と水平なY方向に平行に延びるY対辺とを有する矩形であり、
前記給電位置は、前記着陸台の中心であり、
前記位置決め設備は、
前記Y方向に延び、前記着陸台の上面に沿ってX方向に水平に移動可能であり、両端が前記X対辺の外側に位置する1対のX方向移動板と、
前記X方向に延び、前記着陸台の上面に沿って前記Y方向に水平に移動可能である1対のY方向移動板と、
前記X方向移動板の両端と前記Y方向移動板の両端とをそれぞれ平面視で斜めに連結する4枚の連結板と、を有する水平移動ユニットと、
前記水平移動ユニットを駆動するユニット駆動装置と、を有し、
前記X方向移動板、前記Y方向移動板、及び前記連結板の両端は、鉛直軸を中心に自由回転可能にヒンジで連結されている、請求項1、請求項2、又は請求項3のうちの何れか一項に記載の給電用ドローンポート。
【請求項8】
前記ユニット駆動装置は、
前記着陸台と該着陸台の下方に間隔を隔てて固定された支持台との間に位置し、1対の前記X方向移動板の両端に鉛直軸を中心に自由回転可能に連結された1対の駆動板と、
前記支持台に設けられ、1対の前記駆動板を同期して前記X方向に水平駆動する駆動板駆動装置と、を有する、請求項7に記載の給電用ドローンポート。
【請求項9】
前記位置決め設備は、前記給電位置へ向けて下方へ傾斜する前記着陸台の傾斜面である、請求項3に記載の給電用ドローンポート。
【請求項10】
前記着陸台の周囲を囲む落下防止具を備える、請求項1~請求項9のうちの何れか一項に記載の給電用ドローンポート。
【請求項11】
前記落下防止具は、複数のパーツが着脱可能な連結器具で連結されて構成されており、
前記落下防止具と前記着陸台は、着脱可能な着脱蝶番で連結されている、請求項10に記載の給電用ドローンポート。
【請求項12】
避雷針を備える、請求項1~請求項11のうちの何れか一項に記載の給電用ドローンポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローンの長距離飛行を可能とする給電用ドローンポートに関する。
【背景技術】
【0002】
「ドローン」とは、小型の無人ヘリコプターの一種である。近年、ドローンを用いて、小型の荷物を無人で搬送したり、橋梁等の建造物を点検したり、農薬を散布したりすることが計画されている。かかるドローンを「産業用ドローン」と呼ぶ。
【0003】
産業用ドローンが普及するにつれ、ドローンの長距離飛行を可能にするシステムが要望されている。
しかし、ドローンは、自身に搭載したバッテリーから供給される電力でプロペラを回転させて飛行するため、バッテリーが貯蔵する電力量に飛距離が依存する。そのため、ドローンの長距離飛行を実現するには、バッテリーを充電する中継地点がドローンの飛行経路に必要となる。このような技術として、例えば特許文献1が開示されている。
【0004】
特許文献1には、飛行に異常を来したドローンを、電線や電柱に設けられた回収手段で回収するドローン運用システムが開示されている。このドローン運用システムは、ドローンのバッテリーへの充電も可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の電柱の回収手段に設けられたバッテリ電力供給手段でドローンのバッテリ充電手段を充電するには、バッテリ電力供給手段とバッテリ充電手段の位置をぴったりと合わせなければならない。
しかし、ドローンの着陸時には、ドローンにより発生するダウンウォッシュ(空気の下降流)が離上面ではね返り、離上面の上部では下降流と上昇流が混在する状態となって姿勢制御が困難となる。そのため、着陸しようとした目的の位置からずれた位置にドローンが着陸してしまうことが多々ある。
【0007】
しかし、特許文献1のドローン運用システムには、ドローンの位置を修正する手段が無く、ドローンの着陸位置が悪いと、バッテリ電力供給手段とバッテリ充電手段の位置がずれて給電効率が下がり、ひいてはドローンの充電自体ができなくなってしまう。ドローンの着陸位置がずれたからと言って、その都度、電線や電柱に設けられた回収手段まで人が出向き、位置を直すという訳にはいかない。
そのため、特許文献1のドローン運用システムでは、効率よくドローンを充電するのが難しかった。
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、ドローンを安全に効率よく確実に充電でき、ドローンの長距離飛行を可能とする給電用ドローンポートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、電力が供給されている通電支柱の上端に固定されドローンが離着陸可能な着陸台と、
前記通電支柱から配電された電力を前記着陸台に載った前記ドローンの受電装置に給電する給電装置と、
前記着陸台に着陸した前記ドローン又は前記給電装置を、該給電装置と前記受電装置とが対面又は接触する給電位置まで移動させる位置決め設備と、を備えた給電用ドローンポートが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ドローンに給電可能な給電用ドローンポートが通電支柱の上に設置されており、通電支柱は日本全国の各地に設置されているので、ドローンに給電用ドローンポートを中継させることで、ドローンの長距離飛行を実現することができる。
【0011】
また、通電支柱は通常、人が触らないように、人の届かない高さに通電器具を取り付けている。このような通電支柱の上端に給電用ドローンポートが取り付けられているので、給電用ドローンポートにも人の手が届かない。これにより、ドローンや、ドローンが運搬する荷物が盗まれるのを防ぐことができ、ドローンと荷物の安全を確保することができる。
【0012】
さらに、給電用ドローンポートが取り付けられる通電支柱は、もともと電力が供給されているため、給電用ドローンポートに必要な電力を、自身が設置された通電支柱から供給することができる。したがって、給電用ドローンポートに電気をひく費用を低く抑えることができ、送電ロスも少なく効率的である。
【0013】
その上、給電用ドローンポートは、位置決め設備を有しているので、給電時のドローンの位置を給電位置に厳密に位置決めすることができる。これにより、給電用ドローンポートの給電装置の位置とドローンが搭載する受電装置の位置とを正確に対面又は接触させることができるので、設計値通りの充電効率を確保でき、給電用ドローンポートが無人でも、確実にドローンに給電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態の給電用ドローンポートの概要図である。
【
図2】第1実施形態の給電用ドローンポートの側面図である。
【
図4】第1実施形態の給電用ドローンポートの平面図である。
【
図7】着陸台から落下防止具を取り外す手順の説明図である。
【
図8】第2実施形態の給電用ドローンポートの説明図である。
【
図9】第3実施形態の給電用ドローンポートの縦断面概略図である。
【
図10】第4実施形態の給電用ドローンポートの斜視図である。
【
図11】第4実施形態の位置決め設備の動作の説明図である。
【
図12】第5実施形態の給電用ドローンポートの斜視図である。
【
図13】第5実施形態の給電用ドローンポートの正面図である。
【
図14】第5実施形態の給電用ドローンポートの右側面断面図である。
【
図15】第5実施形態の給電用ドローンポートの動作の説明図である。
【
図16】第6実施形態の給電用ドローンポートの斜視図である。
【
図17】第6実施形態の給電用ドローンポートの動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の給電用ドローンポート1の概要図である。
この図において、1は給電用ドローンポート、2はドローン、2aは受電装置、3は通電支柱、4は着陸台、6は給電装置、9は落下防止具、10は位置決め設備、26は変圧器、27は避雷針である。
【0017】
本実施形態の給電用ドローンポート1は、電力が供給されている通電支柱3の上端3aに設けられたドローン2への給電用の給電ポートである。給電用ドローンポート1は、ドローン2が離着陸可能な着陸台4と、着陸台4に載るドローン2に給電する給電装置6と、ドローン2又は給電装置6を移動させる位置決め設備10と、を備えている。
【0018】
着陸台4は、通電支柱3の上端3aに、支持台5を介して固定されている。通電支柱3は、電力が供給されている柱状の工作物であり、例えば、街路灯や信号機を支持する支柱、電柱、ビルの屋上に設けられた広告塔、公園や駅前の広場等に設置されているモニュメントクロックや時計塔、等を想定している。これらの通電支柱3は、人Hが電線や信号機、街灯等の通電器具に触れて感電するようなことがないように、一般的に、人Hの手が届かない高さに設けられている。給電用ドローンポート1は、このような通電支柱3の上端3aに設置されることで、人Hが容易には着陸台4に届かない構成となっている。
【0019】
給電用ドローンポート1が使用する電力は、それが固定された通電支柱3から配電される。例えば、この図のように、給電用ドローンポート1は、通電支柱3から配電された電力を変圧する変圧器26を備えていてもよい。例えば、通電支柱3が電柱である場合には、この図のように、2本の低圧動力線と低圧電灯線の1本から配電を受けることが好ましい。
【0020】
また、この図に示すように、給電用ドローンポート1には、着陸台4の周囲を囲むように落下防止具9が設けられていることが好ましい。落下防止具9は、ドローン2を通さない大きさの網目のネットや柵であることが好ましい。落下防止具9がネットや柵であることにより、通電支柱3にかかる強風の影響を抑えながら、ドローン2が風に煽られて着陸台4から落下するのを防ぐことができる。この落下防止具9は、作業員が給電用ドローンポート1のメンテナンスをしやすいように、ネット又は柵の一部が着脱可能に設けられていることが好ましい。
【0021】
さらに、給電用ドローンポート1は、落下防止具9又は着陸台4に、避雷針27を備えていることが好ましい。避雷針27には、グランドワイヤ27aが取り付けられている。
この構成により、避雷針27があることで、ドローン2や給電用ドローンポート1自身を、雷から守ることができる。
【0022】
ドローン2は、給電装置6から電力を受け取る受電装置2aを有している。受電装置2aは、例えばこの図のようにドローン2の下面に設けられていてもよい。
【0023】
この図の給電装置6は、着陸台4の給電位置7の上面4aに設けられ、通電支柱3から配電された電力を、上方へ向けて供給する。給電位置7とは、着陸台4に載ったドローン2の受電装置2aと給電装置6とが対面又は接触する位置である。給電装置6は、給電側と受電側が接触する接触給電装置であってもよいが、非接触給電装置である方が、より好ましい。給電装置6が接触給電型である場合の給電位置7は、給電側と受電側のコネクタが接触する位置である。給電装置6が非接触給電型である場合の給電位置7は、給電装置6の送信側コイルとドローン2が搭載する受電装置2aの受信側コイルとが同軸で対面する位置である。
【0024】
また、この図の給電用ドローンポート1は、着陸したドローン2を給電位置7まで移動させる位置決め設備10を備える。これにより、位置決め設備10の駆動によってドローン2の受電装置2aと給電位置7の位置を合わせることができる。
【0025】
図2は、第1実施形態の給電用ドローンポート1の側面図である。この図において、4は着陸台、4aはその上面、5は支持台、6は給電装置、6aは送信側コイル、9は落下防止具、10は位置決め設備、13は水平移動ユニット、11はX方向移動板、24はユニット駆動装置、24aは駆動板、24bは水平移動金具である。なお、駆動板駆動装置25は、この図では省略している。
【0026】
給電装置6が接触給電装置の場合はもちろん、非接触給電装置の場合であっても、ドローン2が搭載する受電装置2aと給電用ドローンポート1が搭載する給電装置6との位置が正確に合っていなければ、効率よく給電することは出来ない。
【0027】
例えば給電装置6が非接触給電装置である場合には、電磁誘導方式であってもよい。この場合、給電装置6の送信側コイル6aと受電装置2aの受信側コイル2bとが同軸で対面することにより、送信側コイル6aへの通電によって生じた磁界35によって、受信側コイル2bに電気が流れる。これにより、送信側コイル6aと受信側コイル2bとが離れていても、給電装置6から受電装置2aへ電力を供給することができる。
【0028】
このように、給電用ドローンポート1がドローン2を充電するためには、給電時のドローン2の位置を正確に位置決めすることが肝要となる。
【0029】
また、通電支柱3の上端3aには、支持台5が固定されており、この支持台5に着陸台4が固定されている。着陸台4は、支持台5から上方に間隔を隔てて設けられており、着陸台4と支持台5との間の空間が、様々な装置を配置するスペースとなっている。
【0030】
図3は、支持台5の平面図である。
支持台5は、通電支柱3の上端3aに被せて固定した円筒形状の柱取り付け部5aと、柱取り付け部5aの上に水平に組まれた形鋼5bであってもよい。形鋼5bは、例えば井桁状に組まれていてもよい。
支持台5は、この図のX方向両端部から上方に延びる連結金具5cで、上下方向に一定の間隔を隔てて、着陸台4を支持している。またこの例で、6つの連結金具5cは、着陸台4と支持台5のX方向両端部のみに位置しており、左右の連結金具5cの間には、X方向及びY方向に干渉物のない中空空間が形成されている。
【0031】
図4は、第1実施形態の給電用ドローンポート1の平面図である。この図において、4aは着陸台4の上面、4bはX対辺、4cはY対辺、5は支持台、6は給電装置、7は給電位置、10は位置決め設備である。落下防止具9は、この図では省略している。
また、位置決め設備10において、13は水平移動ユニットであり、11はX方向移動板、14はY方向移動板、15は連結板、16はヒンジである。
【0032】
着陸台4は、上方から見た形状が、水平なX方向に平行に延びるX対辺4bと、水平なY方向に平行に延びるY対辺4cと、を有する矩形の板となっている。また、本実施形態の給電装置6は、着陸台4の中心に設けられており、給電位置7が着陸台4の中心Mに配置されている。
【0033】
この図の位置決め設備10は、着陸台4の上面4aに沿って水平に移動可能な水平移動ユニット13を有する。水平移動ユニット13は、ドローン2を上面4aの中心Mまで水平移動させる機能を有する。
この例で、水平移動ユニット13は、1対のX方向移動板11、1対のY方向移動板14、及び4枚の連結板15を有する。
【0034】
1対のX方向移動板11は、この図のY方向に水平に延び、両端11aがX対辺4bの外側に位置する。
1対のY方向移動板14は、この図のX方向に水平に延びている。
4枚の連結板15は、X方向移動板11の両端11aとY方向移動板14の両端とをそれぞれ平面視で斜めに連結する。
さらに、X方向移動板11、Y方向移動板14、及び連結板15の両端は、鉛直軸を中心に自由回転可能にヒンジ16で連結されている。
【0035】
また、この図において、1対のX方向移動板11の両端11aは、X方向に移動可能な4つの水平移動金具24bに固定されている。さらに、4つの水平移動金具24bは、X対辺4bの外側に位置する。
【0036】
上述した構成により、4つの水平移動金具24bを互いに同期させてX方向内方に移動することにより、待機位置(実線)からセンタ位置(破線)まで、1対のX方向移動板11を互いに平行を維持したままX方向内方に移動することができる。
また、これに連動して連結板15とヒンジ16で連結された1対のY方向移動板14を互いに平行を維持したままY方向内方に移動することができる。
【0037】
図5は、ユニット駆動装置24の説明図である。
図5(A)は
図2のA-A矢視図であり、
図5(B)は
図5(A)のB-B矢視図である。
この図において、位置決め設備10は、さらに、水平移動ユニット13を駆動するユニット駆動装置24を有する。
【0038】
この例で、ユニット駆動装置24は、1対の駆動板24aと駆動板駆動装置25を有する。
1対の駆動板24aは、着陸台4と支持台5の間に位置し、1対のX方向移動板11の両端11aに水平移動金具24bを介して鉛直軸を中心に自由回転可能に連結されている。
また、駆動板駆動装置25は、支持台5に設けられ、1対の駆動板24aを同期してX方向に水平駆動する。駆動板駆動装置25は、この例では、1対の直線ガイド25aと、1対のボールねじ駆動装置25bとからなる。
駆動板24aには、ボールねじ駆動装置25bのボールねじと歯合するボールナットが固定されており、ボールねじを介してボールナットをX方向に水平駆動する。
【0039】
上述した位置決め設備10の構成により、駆動板駆動装置25で1対の駆動板24aを同期してX方向に水平駆動することにより、4つの水平移動金具24bを互いに同期させてX方向に移動させることができる。
従って、1対のX方向移動板11を、平行を維持してX方向内方に移動し、同時に、1対のY方向移動板14を、平行を維持してY方向内方に移動することができる。これにより、X方向移動板11とY方向移動板14を待機位置から給電位置7を近接して囲むセンタ位置まで着陸台4の上面4aに沿って移動でき、上面4aに載るドローン2を上面4aの中心Mまで水平移動させることができる。
なお、ドローン2は、着陸台4の上面4aに沿って自由に移動するようになっていることが好ましい。
【0040】
着陸台4と支持台5との間の空間には、給電装置6、制御装置8、通信装置17も設けられている。給電装置6は、着陸台4の上面4aより上まで磁界35が届くのであれば、着陸台4より下方に設けられていてもよく、着陸台4の上面4aと面一に、上面4aに露出していてもよい。給電装置6は、通電支柱3に配線された電線に接続されており、通電支柱3から供給された電力を着陸台4に載ったドローン2の受電装置2aに給電する。また、位置決め設備10や制御装置8も、通電支柱3から供給された電力によって作動する。
【0041】
制御装置8は、給電用ドローンポート1の動作を制御する。制御装置8には、給電装置6や駆動板駆動装置25、通信装置17も接続されており、その制御を受ける。
【0042】
この構成により制御装置8は、通信装置17によるドローン2との通信によって、ドローン2の着陸を誘導し、着陸を検知した後に、駆動板駆動装置25を駆動してドローン2を給電位置7へ水平移動させる。次いで、給電装置6に電力を供給してドローン2の受電装置2aに給電する。
【0043】
ドローン2の充電を検知した後に、制御装置8は、再度、駆動板駆動装置25を駆動して水平移動金具24bをセンタ位置から待機位置まで移動させ、1対のX方向移動板11を互いに平行を維持したままX方向外方へ移動してドローン2を解放する。
【0044】
これにより、通電支柱3の上端3aに設置された給電用ドローンポート1で、自動的にドローン2のバッテリーを充電することができる。
【0045】
図6は、落下防止具9の構成の説明図である。
図6(A)は、落下防止具9の側面図である。
落下防止具9は、折り畳んで、着陸台4から取り外せる構造となっていることが好ましい。例えば、
図6(A)に記載した落下防止具9の場合は、着陸台4を囲むネットが複数のパーツ9a,9bに分かれており、それらを金具で連結した構造となっている。この図の落下防止具9の場合、上下に隣接するパーツ9a,9bは、蝶番29で連結されており、左右に隣接するパーツ同士は、着脱可能な連結器具30で連結されている。左右に隣接するパーツ9a,9bを連結する連結器具30は、例えば、ファスナーやパチン錠であってもよい。なお、上下に隣接するパーツ9a,9bの連結は、必ずしも蝶番29でなくてもよく、連結器具30で連結されていてもよい。
【0046】
落下防止具9は、水平移動金具24bが通る隙間31を開けて、着陸台4に固定される。落下防止具9と着陸台4の連結には、着脱蝶番28が使用されることが好ましい。
図6(B)は、着脱蝶番28の説明図である。着脱蝶番28は、例えば、この図のように、管28aの中で軸28bをスライドさせるつまみ28cを有してもよい。この場合、落下防止具9を取り外すときに、つまみ28cを軸方向内方へ動かすことによって、軸28bを管28aから外せるようになっている。着脱蝶番28の一方の羽28dは落下防止具9に固定され、他方の羽28dは着陸台4に固定される。落下防止具9を着陸台4に取り付けやすくするためには、つまみ28cが落下防止具9の内側に位置する方が良い。
【0047】
図7は、着陸台4から落下防止具9を取り外す手順の説明図である。手順は、
図7(A)から
図7(E)へ進行する。作業員が給電用ドローンポート1のメンテナンスをする際には、落下防止具9を一時、取り外す必要がある。作業員は、周囲の電線に接触しないように気を付けながら、高所で作業するため、落下防止具9の着脱作業の行いやすさは、重要である。
まず、作業員は、落下防止具9の上側のパーツ9aの連結器具30を解除する(
図7(A))。それにより、蝶番29によって、上側のパーツ9aが落下防止具9の外側に向けて折り畳まれ、蝶番29によって、下側のパーツ9bの上端から垂れ下がる(
図7(B))。
【0048】
次に、上側のパーツ9aを折り畳んだまま、下側のパーツ9bの連結器具30を解除し(
図7(C))、下側のパーツ9bを手前から下方へ回転させると(
図7(D))、作業員の手の届く位置に、着脱蝶番28のつまみ28cが露出する(
図7(D))。
これにより、無理なく作業員がつまみ28cに接近できる。作業員は、つまみ28cを動かし、下側のパーツ9bを着陸台4から外す(
図7(E))。
【0049】
このように、落下防止具9は、分解可能であり、パーツ9a,9bを小さく折り畳むことができるので、高所で電線が近くにあっても、電線に接触しないように作業しやすい。そのため、給電用ドローンポート1のメンテナンス作業を、安全に行うことができる。
【0050】
さらに、本実施形態の給電用ドローンポート1は、図示しない鳥用警報装置を備えていてもよい。鳥用警報装置で、空中から接近する物体についてドローン2であるか否かを判断し、その物体がドローン2でない場合に、鳥が嫌がる警戒音(例えば烏の警戒声、猛禽類の鳴き声、等)を流してもよい。
これにより、着陸台4の上に鳥が営巣するのを防ぐことができる。
【0051】
本実施形態の給電用ドローンポート1は、通電支柱3の上端3aに固定されているので、人Hが容易に給電用ドローンポート1に近付くことができない。したがって、ドローン2や、ドローン2が運搬する荷物が盗まれるのを防ぐことができ、ドローン2と荷物の安全を確保することができる。
【0052】
その上、給電用ドローンポート1を通電支柱3に設けるので、給電用ドローンポート1に必要な電力を、それが設置された通電支柱3から供給することができる。したがって、給電用ドローンポート1に電気をひく費用を低く抑えることができるとともに、送電ロスを抑えることができる。
【0053】
また、通電支柱3は、日本全国の広い範囲で設置されているため、それらの通電支柱3に給電用ドローンポート1を設置することにより、充電用の中継地点を数多く確保でき、容易にドローン2の長距離飛行を実現することができる。
【0054】
また、給電用ドローンポート1は、位置決め設備10を有しているので、給電時のドローン2の位置を厳密に位置決めすることができる。これにより、給電用ドローンポート1の給電装置6の位置とドローン2が搭載する受電装置2aの位置とを正確に合わせることができるので、設計値通りの充電効率を確保することができる。
【0055】
さらに、位置決め設備10でドローン2の脚2dを固定することにより、又は落下防止具9を着陸台4の周囲に張り巡らすことにより、ドローン2が着陸台4から落下するのを防止できる。
【0056】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態の給電用ドローンポート1の説明図である。
図8(A)は縦断面概略図であり、
図8(B)は着陸台4の斜視図である。この図において、4は着陸台、4aは着陸台4の上面、4dは傾斜面、5は支持台、6は給電装置、6aは送信側コイル、9は落下防止具、10は位置決め設備である。
本実施形態の位置決め設備10は、給電位置7へ向けて下方へ傾斜する着陸台4の傾斜面4dである。この図の給電位置7は、着陸台4の中心Mにあるが、本実施形態の給電位置7はこれに限らない。着陸台4からドローン2が落ちないのであれば、給電位置7が着陸台4の辺縁にあってもよい。
【0057】
この給電用ドローンポート1で充電するドローン2の脚2dの下端には、自由回転可能なローラ2cが付いていることが好ましい。ローラ2cは、キャスターのように全方向に回転可能であることが好ましい。
【0058】
本実施形態の位置決め設備10は、傾斜面4dであるため、駆動装置を有さない。これにより、位置決め設備10の作動に電力を使わないので、給電用ドローンポート1の維持費用を抑えることができ、メンテナンスの頻度を減らすことができる。また、構成が単純なので、給電用ドローンポート1が壊れにくい。モータやアクチュエータが不要なので、その分の製造費用を抑えることもできる。また、ドローン2が自重で傾斜面4dを転がることを利用しているので、ドローン2の大小に関わらず、全てのドローン2を給電位置7に集めることができる。
【0059】
本実施形態の給電用ドローンポート1では、例えば、ドローン2が、着陸台4に他のドローン2が着陸していないことを検知して、給電用ドローンポート1の誘導なしに自力で着陸台4に着陸してもよい。ドローン2が着陸台4に着陸すると、脚2dの先端のローラ2cが重力によって傾斜面4dで転がり、ドローン2が給電位置7に移動する。
給電装置6が非接触給電型である場合は、給電装置6の送信側コイル6aとドローン2の受電装置2aの受信側コイル2bが対面したことを感知して制御装置8が始動し、送信側コイル6aへの電力供給を開始してもよい。給電装置6が接触給電型である場合には、受電装置2aと給電装置6の接触を、制御装置8の始動のトリガとしてもよい。
その他の本実施形態の構成及び効果は、第1実施形態と同様である。
【0060】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態の給電用ドローンポート1の縦断面概略図である。
この図に示すように、本実施形態の給電用ドローンポート1は、給電装置6が着陸台4の上面4aから上方に間隔を隔てて位置し、横向きに電力を供給する点で、第1実施形態とは異なる。本実施形態の非接触給電型の給電装置6が例えば電磁誘導方式である場合、磁束が給電装置6から真横へ向けて発生する。この給電装置6で給電するドローン2の受電装置2aは、ドローン2の側面に取り付けられている。
【0061】
給電装置6は、位置決め設備10におけるドローン2が給電位置7にあるときに受電装置2aに対面又は接触する位置に固定されていることが好ましい。例えば、位置決め設備10が第1実施形態と同じものである場合、X方向移動板11やY方向移動板14の中央部に給電装置6が固定されていてもよい。
これにより、ドローン2が給電位置7に位置するときの受電装置2aに対面又は接触する位置に、容易に給電装置6を位置させることができる。受電装置2aと対面又は接触した給電装置6は、受電装置2aへ向けて横向きに電力を供給する。
【0062】
ドローン2は、自身が東西南北のどの方向に向いているかを検出する磁気方位センサーを内蔵しているため、目的の方位に受電装置2aを向けて着陸できる。したがって、給電装置6は、1箇所にあればよい。例えば全ての給電用ドローンポート1を、北に給電装置6が位置する構成に統一しておけば、ドローン2が常に北に受電装置2aを向けて着陸することで、容易に受電装置2aと給電装置6との位置を合わせることができる。
【0063】
しかし給電用ドローンポート1の構成は、これに限らない。
例えば、給電位置7を囲むように複数の給電装置6が設けられていてもよい。例えば位置決め設備10が第1実施形態のものである場合、全てのX方向移動板11とY方向移動板14の中央部に給電装置6を設けてもよい。これにより、ドローン2がどの方向を向いて着陸したとしても、位置決め設備10がドローン2を給電位置7へ水平移動するだけで、容易に受電装置2aと給電装置6の位置を合わせることができる。
もしくは、給電用ドローンポート1は旋回装置を備え、受電装置2aが給電装置6に向くようにドローン2を旋回させてもよい。
【0064】
上述した構成により、着陸台4の上面4aから上方に離れた位置に給電装置6を設けることができるので、上面4aの近くに磁界35が発生したり、給電側のコネクタが上面4aに露出したりするのを防ぐことができる。これにより、異種金属への給電による発熱を防止することができる。
【0065】
つまり、ドローン2が飛行する街や山には、カラスのように、光る物を集める習性をもつ鳥がいる。このような鳥は、よくガラスや金属を拾って、雨樋に隠したり、巣に持ち帰ったりしている。したがって、給電用ドローンポート1が人Hの手が届かない高さにあるにもかかわらず、釘やヘアピン、硬貨等の金属が、着陸台4の上に置かれてしまう可能性がある。
例えば給電装置6が非接触給電型である場合、送信側コイル6aの近くに金属物があると、磁界35によって発熱してしまう。給電装置6が接触給電型である場合には、異種金属が給電側のコネクタに接触した状態で給電装置6が給電すると、コネクタや異種金属がペルチェ効果によって発熱する。
【0066】
本実施形態の給電用ドローンポート1は、給電装置6が、着陸台4の上面4aから上方に離れた位置にあるので、着陸台4の上に落ちている金属類が磁界35の影響を受けるのを防ぐことができ、もしくは給電側のコネクタに接触するのを防ぐことができる。
したがって、給電用ドローンポート1は、異種金属による予期せぬ発熱を防ぐことができる。
その他の本実施形態の構成及び効果は、第1実施形態と同様である。
【0067】
(第4実施形態)
図10は、第4実施形態の給電用ドローンポート1の斜視図である。この図において、10は位置決め設備、11はX方向移動板、12はベルトコンベア、21は移動板駆動装置、22はコンベア駆動装置である。なお、この図では、制御装置8と落下防止具9の記載を省略している。また、この図は、給電位置7が着陸台4の中心Mである場合を例示している。
本実施形態の給電用ドローンポート1は、位置決め設備10の構成が、第1実施形態又は第3実施形態のそれと異なる。
【0068】
本実施形態の着陸台4は、上方から見た形状が、水平なX方向に平行に延びるX対辺4bと水平なY方向に平行に延びるY対辺4cとを有する平行四辺形となっている。着陸台4は、図のように、平面視で見た形状が矩形でもよい。
【0069】
本実施形態の位置決め設備10は、X方向移動板11、ベルトコンベア12、移動板駆動装置21、及びコンベア駆動装置22を備える。
【0070】
X方向移動板11は、この図のY方向に水平に延び、両端11aがX対辺4bの外側に位置し、着陸台4の上面4aに沿って水平に移動可能に設けられている。この図では、給電装置6は、X方向移動板11に取り付けられている。
また、この実施形態においては、着陸台4の上面4aだけでなく、ベルトコンベア12の上面も、ドローン2の離着陸面となっている。
【0071】
この図では1対のX方向移動板11が同期して水平移動するように設けられているが、これに限らない。例えば給電位置7が着陸台4のX方向一端部にある場合、一つのX方向移動板11が着陸台4のX方向両端部間を往復できるように設けられており、着陸台4のX方向他端部には着陸台上をY方向に横切る固定板が固定されていることが好ましい。この場合、X方向移動板11に押されるドローン2の移動を、ベルト上で固定板がせき止める。
【0072】
X方向移動板11の両端11aは、第1実施形態と同様に、X方向に移動可能な4つの水平移動金具24bに固定されている。さらに、4つの水平移動金具24bは、X対辺4bの外側に位置し、X方向移動板11からX方向内方へ突き出ている。
【0073】
移動板駆動装置21は、この水平移動金具24bをX方向に移動させる。
この図の例において、移動板駆動装置21は、一対の誘導レール21a、一対の無端状チェーン21b、及びチェーン回転用アクチュエータ21cを有する。
【0074】
一対の誘導レール21aは、水平移動金具24bをX方向に誘導する。一対の無端状チェーン21bは、4つの水平移動金具24bを牽引して互いに同期させながらX方向内方に移動させる。無端状チェーン21bは、給電用ドローンポート1のY方向両端部に一対設けられており、X方向両端部でY方向に延びる一対の軸21dに掛け回されている。X方向の両側に配置された水平移動金具24bのうちの一方(図で右側の水平移動金具24b)は、掛け回された無端状チェーン21bにおける上側のチェーンに連結されており、他方(図で左側の水平移動金具24b)は、下側のチェーンに連結されている。
チェーン回転用アクチュエータ21cは、無端状チェーン21bを回転させる。
【0075】
この構成により、チェーン回転用アクチュエータ21cが一方の無端状チェーン21bを回転させることにより、1対の無端状チェーン21bが同期して回転し、一対のX方向移動板11を同期させながらX方向内方と外方の間を往復させることができる。
したがって、移動板駆動装置21は、X方向移動板11を給電位置7までX方向に移動させることができる。また、水平移動金具24bがX方向移動板11からX方向内方へ突き出ているため、着陸台4のY方向端部に着陸したドローン2がX方向移動板11に押されてY方向端部から落下するのを防ぐことができる。
【0076】
なお、本実施形態の移動板駆動装置21の構成は、これに限らず、第1実施形態のユニット駆動装置24と同様の構成であってもよい。
【0077】
着陸台4に着陸したドローン2のY方向の水平移動は、ベルトコンベア12で行う。
ベルトコンベア12は、ベルト12aが給電位置7を通る位置に設けられる。給電位置7が着陸台4の中心Mにある場合はベルトコンベア12も着陸台4のX方向の中心に位置し、給電位置7が着陸台4のX方向端部にある場合にはベルトコンベア12もその端部に位置する。
ベルトコンベア12のベルト12aは、Y方向に延び、コンベア駆動装置22によってY方向に回転する。ベルト12aは、対候性のあるものであることが好ましい。また、ベルト12aの下面にブラシを設置することで、着陸台4を常に正常に保つようにすることが好ましい。
【0078】
コンベア駆動装置22とチェーン回転用アクチュエータ21cは、いずれも制御装置8によって制御される。コンベア駆動装置22とチェーン回転用アクチュエータ21cは、防水仕様のモータであることが好ましい。
上述した構成によって、位置決め設備10は、ドローン2をX方向移動板11とベルトコンベア12で給電位置7へ水平移動させる。
【0079】
図11は、第4実施形態の位置決め設備10の動作の説明図である。この図では、ドローン2のプロペラの記載と、移動板駆動装置21の記載を省略している。
図11は、
図11(A)から
図11(D)にかけて、時間が経過する。また、
図11(E)と
図11(F)は、位置決め設備10がベルトコンベア12を2台有する場合の 給電用ドローンポート1の平面図である。
図11(A)に示すように、ドローン2は、磁気方位センサーによって、給電装置6が取り付けられている方のX方向移動板11(この図の右側のX方向移動板11)に受電装置2aを向けて、着陸台4に着陸している。
【0080】
制御装置8は、通信装置17でドローン2の着陸を検知後に、X方向移動板11を動かし、ドローン2を移動させる(
図11(B))。そのまま、ドローン2の両側を挟むまで(例えば、チェーン回転用アクチュエータ21cの動きに抵抗が出るまで)移動板駆動装置21を動かす。これにより、
図11(C)のように、受電装置2aを図の右側に向けたまま、ドローン2がベルト12aの上で一対のX方向移動板11と水平移動金具24bに囲まれた状態となる。この状態で、ドローン2は、X方向の移動を一対のX方向移動板11によって制限されている。
【0081】
次いで制御装置8は、コンベア駆動装置22を駆動し、ドローン2をX方向移動板11に沿ってY方向に移動させる。水平移動金具24bがX方向移動板11からX方向内方へ突き出てY方向に動くドローン2をせき止めるため、ドローン2は、着陸台4のY方向両端部から落下しない。制御装置8は、例えば給電装置6と受電装置2aの対面又は接触を検知するまでベルト12aの正転と逆回転を繰り返すことで、ドローン2を給電位置7へ水平移動させてもよい。例えば、給電装置6の通電の変化や磁界35の大きさの変化を検知することで、給電装置6と受電装置2aの対面又は接触を検知することが好ましい。制御装置8は、給電装置6と受電装置2aの対面又は接触を検知した時点でコンベア駆動装置22の駆動を停止し、給電装置6による給電を開始する。
【0082】
もしくは、
図11(E)と
図11(F)のように、ベルトコンベア12がY方向に2台並べられていてもよい。2台のベルトコンベア12のベルト12aを着陸台4のY方向内方へ向けて回転させることにより、ドローン2がどの位置にあったとしても、2台のベルトコンベア12の繋ぎ目12bの位置にドローン2が移動する。この図の例では、給電位置7が着陸台4の中心Mであるため、2台のベルトコンベア12の繋ぎ目12bが着陸台4の中心Mに配置されている。この構成では、ベルト12aを一定時間回転させればドローン2が給電位置7に移動するため、給電装置6と受電装置2aの対面又は接触の検知機構が不要である。制御装置8は、ベルト12aを一定時間回転させたことでドローン2が給電位置7にあると判断し、給電装置6による給電を開始する。
【0083】
なお、本実施形態の給電装置6の位置は、この図のように、X方向移動板11に取り付けられていてもよい。もしくは、給電装置6は、第1実施形態のように着陸台4の上面4aの下や、ベルトコンベア12のベルト12aの間、又はベルトコンベア12の繋ぎ目12bの下に設けられていてもよい。
【0084】
上述した構成により本実施形態の給電用ドローンポート1は、給電位置7を着陸台4の中心Mに限定しなくて済む。例えば、給電用ドローンポート1が設置される環境に応じて、給電位置7の位置を着陸台4の中心Mにも、着陸台4の端部にも、自由に設置することができる。また、一対のX方向移動板11でドローン2を挟み込むまでチェーン回転用アクチュエータ21cを駆動し、挟み込んだ時点でチェーン回転用アクチュエータ21cを止めるので、ドローン2の大小に関わらず、全てのドローン2を給電位置7に集めることができる。X方向移動板11と固定板でドローン2を挟む場合も同様である。
その他の本実施形態の構成及び効果は、第1実施形態又は第3実施形態と同様である。
【0085】
(第5実施形態)
図12は、第5実施形態の給電用ドローンポート1の斜視図である。
図13は、第5実施形態の給電用ドローンポート1の正面図である。
図13(A)は、X方向移動板11が待機位置にあるときの図であり、
図13(B)はX方向移動板11がセンタ位置にあるときの図である。
図14は、第5実施形態の給電用ドローンポート1の右側面断面図である。
図14(A)は、
図13(B)のC-C矢視図であり、
図14(B)は、
図14(A)のD部分の拡大図である。なお、これらの図は、落下防止具9の記載を省略している。また、
図14(B)においては、支持台5と連結金具5cの記載も省略している。
【0086】
本実施形態の着陸台4は、上方から見た形状が、水平なX方向に平行に延びるX対辺4bを有する形状となっている。平面視で見た着陸台4の形状は、台形でも、平行四辺形でも、矩形でもよい。
本実施形態の位置決め設備10は、着陸台4の上面4aに沿って水平に移動可能であり、両端11aがX対辺4bの外側に位置し、X方向移動板11を有する点が、第4実施形態と同様である。しかし、X方向移動板11の形状は、第4実施形態のそれとは異なる。
【0087】
図12で示すように、本実施形態のX方向移動板11は、一対設けられており、各X方向移動板11の中央部11bが両端11aよりも着陸台4のX方向外方へ屈曲している。言い換えると、平面視で給電用ドローンポート1を見たときに、不等号の「<」(小なり)の形状に屈曲している左側のX方向移動板11と、「>」(大なり)の形状に屈曲している右側のX方向移動板11とが、着陸台4の上で向かい合っている。
【0088】
1対のX方向移動板11の両端11aは、第4実施形態と同様に、X方向に移動可能な4つの水平移動金具24bに固定され、無端状チェーン21bによって牽引される。
また、一対のX方向移動板11は、
図13に示すように、上下方向に互い違いに位置している。その上、
図14(B)に示すように、1対のX方向移動板11のうちの一方に固定された2つの水平移動金具24bが他方に固定された水平移動金具24bよりもY方向外方に位置する。
【0089】
本実施形態の移動板駆動装置21は、給電用ドローンポート1のY方向両端部に2本ずつ、合計4本の誘導レール21aを有する点が、第4実施形態とは異なる。この図では、4つの水平移動金具24bのうちY方向内方にある水平移動金具24bがそのY方向外方に回転ローラ24cを自由回転可能に有し、その回転ローラ24cがY方向内方に開口する誘導レール21aの溝の中でX方向に転動する。同様に、Y方向外方に開口する誘導レール21aには、Y方向外方に位置する水平移動金具24bのY方向内方に回転可能に取り付けられた回転ローラ24cが嵌め込まれ、誘導レール21aの溝の中でX方向に転動する。
移動板駆動装置21は、この構成により、一対のX方向移動板11の双方でドローン2を挟み込むまで、X方向移動板11を、着陸台4のX方向内方へ向けて移動させる。
その他の移動板駆動装置21の構成は、第4実施形態と同様である。
【0090】
この構成により、チェーン回転用アクチュエータ21cの駆動によって無端状チェーン21bが回転すると、Y方向内方にある水平移動金具24bとY方向外方にある水平移動金具24bとが、Y方向の中心ですれ違う。一対のX方向移動板11の設置される高さが上下方向にずれているので、水平移動金具24bがすれ違っても、X方向移動板11同士がぶつかることはない。
【0091】
次に、第5実施形態の給電用ドローンポート1の動作について説明する。この図では、ドローン2のプロペラの記載と、移動板駆動装置21の記載を省略している。
図15は、第5実施形態の給電用ドローンポート1の動作の説明図である。
図15(A)から
図15(D)にかけて、時間が経過する。
制御装置8は、通信装置17でドローン2の着陸を検知後に、一対のX方向移動板11を移動板駆動装置21でX方向内方へ動かす。制御装置8は、一対のX方向移動板11でドローン2を挟み込むまでチェーン回転用アクチュエータ21cを駆動し、一対のX方向移動板11がドローン2を両側から挟み込んだことを感知した時点で、チェーン回転用アクチュエータ21cを止める。例えば、チェーン回転用アクチュエータ21cの動きに抵抗が生じたときに、制御装置8が、一対のX方向移動板11がドローン2を両側から挟み込んだと判断してもよい。
【0092】
チェーン回転用アクチュエータ21cを止めた後に、
図15(D)のように、給電装置6で給電を開始する。給電が終了した後は、制御装置8は、チェーン回転用アクチュエータ21cを逆回転し、X方向移動板11を待機位置へ戻す。
【0093】
上述した構成により、一対のX方向移動板11をX方向内方へ動かすことによって、
図15(C)のように、ドローン2を屈曲した一対のX方向移動板11に沿って着陸台4の中心Mへ向けて水平移動させることができる。一対のX方向移動板11が中央部11bで屈曲しているので、X方向移動板11をX方向に動かし挟むだけで、ドローン2の四方を囲い込むことができる。その上、X方向移動板11にはリンク等の可動部分が無いため、頑丈で、壊れにくい。また本実施形態の位置決め設備10の駆動装置は、チェーン回転用アクチュエータ21cのみであるため、第4実施形態よりも動力が少なくて済む。また、X方向移動板11がドローン2を挟み込むまでチェーン回転用アクチュエータ21cが駆動するので、第2実施形態と第4実施形態と同様に、ドローン2の大きさに関わらず、全てのドローン2を着陸台4の中心Mに集めることができる。
【0094】
なお、図に例示した第5実施形態の給電装置6はX方向移動板11に取り付けられ、受電装置2aはドローン2の側面に設けられているが、第1実施形態のように、着陸台4に給電装置6が設けられ、ドローン2の下面に受電装置2aが設けられていてもよい。
その他の本実施形態の構成及び効果は、第4実施形態と同様である。
【0095】
(第6実施形態)
図16は、第6実施形態の給電用ドローンポート1の斜視図である。
本実施形態の給電用ドローンポート1は、給電装置6が移動可能な点が、他の実施形態とは異なる。
【0096】
本実施形態の着陸台4は、上方から見た形状が、水平なX方向に平行に延びるX対辺4bをもつ形状となっている。例えば、平面視で見た着陸台4の形状は、台形でも、平行四辺形でも、矩形でもよい。
【0097】
本実施形態の位置決め設備10は、例えば、第4実施形態と同様であってもよい。つまり位置決め設備10は、両端がX対辺4bの外側に位置し、着陸台4の上面4aに沿って水平に移動可能であるX方向移動板と、X方向移動板11を給電位置7までX方向に移動させる移動板駆動装置21とを有する。X方向移動板11は、第4実施形態と同様に、Y方向に直線状に延びた板であることが好ましいが、X方向外方へ湾曲した板であってもよい。
【0098】
本実施形態の給電用ドローンポート1が、第4実施形態の給電用ドローンポート1と異なる点は、ベルトコンベア12とコンベア駆動装置22を有さない代わりに、給電移動装置23を有する点である。
【0099】
給電移動装置23は、給電装置6をX方向移動板11に沿って移動させる装置である。
この図の例の給電移動装置23は、例えば、リニアガイド23aと給電移動用アクチュエータ23bを有する。給電移動用アクチュエータ23bは、例えば図のように、ボールねじ23cとモータ23dを有してもよい。もしくは、給電移動用アクチュエータ23bは、直動シリンダであってもよい。
【0100】
次に、第6実施形態の給電用ドローンポート1の動作について説明する。
図17は、第6実施形態の給電用ドローンポート1の動作の説明図である。
図17(A)から
図17(D)にかけて、時間が経過する。また、この図では、ドローン2のプロペラの記載と、移動板駆動装置21の記載を省略している。
制御装置8は、通信装置17でドローン2の着陸を検知した後に、一対のX方向移動板11を移動板駆動装置21でX方向内方へ動かす(
図17(A)、
図17(B))。ドローン2は、磁気方位センサーによって、給電装置6が取り付けられたX方向移動板11(図の右側のX方向移動板11)に受電装置2aを向けて着陸している。そのままX方向移動板11がドローン2を挟むことによって、受電装置2aと図の右側のX方向移動板11が平行になる(
図17(C))。
【0101】
制御装置8は、一対のX方向移動板11がドローン2を両側から挟み込んだことを感知した時点で、チェーン回転用アクチュエータ21cを止める。
次いで、制御装置8は、給電移動装置23のモータ23dを駆動し、給電装置6をY方向に往復させ(
図17(C))、給電装置6と受電装置2aの間の通電が一番大きくなった位置に給電装置6を止める(
図17(D))。その給電装置6の位置が給電位置7である。その後、制御装置8は、給電装置6から受電装置2aへ給電を開始する。
【0102】
給電が終了した後に、制御装置8は、チェーン回転用アクチュエータ21cを逆回転し、X方向移動板11を待機位置へ戻す。また、給電移動装置23を駆動して給電装置6の位置を戻す。
【0103】
この構成により、本実施形態の給電用ドローンポート1は、ドローン2の移動を最小限にして受電装置2aに給電することができる。
その他の本実施形態の構成及び効果は、第4実施形態と同様である。
【0104】
上述した本発明によれば、ドローン2に給電可能な給電用ドローンポート1が通電支柱3の上に設置されており、通電支柱3は日本全国各地に設置されている。これにより、ドローン2に各地の給電用ドローンポート1を中継させることで、ドローン2の長距離飛行を実現することができる。
【0105】
また、通電支柱3は通常、人Hが触らないように、人Hが届かない高さに通電器具を取り付けている。このような通電支柱3の上端3aに給電用ドローンポート1が取り付けられているので、給電用ドローンポート1にも人Hの手が届かない。これにより、ドローン2や、ドローン2が運搬する荷物が盗まれるのを防ぐことができ、ドローン2と荷物の安全を確保することができる。
【0106】
さらに、給電用ドローンポート1が取り付けられる通電支柱3は、もともと電力が供給されているため、給電用ドローンポート1に必要な電力を、自身が設置された通電支柱3から供給することができる。したがって、給電用ドローンポート1に電気をひく費用を低く抑えることができ、送電ロスも少なく、効率的である。
【0107】
その上、給電用ドローンポート1は、位置決め設備10を有しているので、給電時のドローン2の位置を給電位置7に厳密に位置決めすることができる。これにより、給電用ドローンポート1の給電装置6の位置とドローン2が搭載する受電装置2aの位置とを正確に対面又は接触させることができるので、設計値通りの充電効率を確保でき、確実にドローン2に給電することができる。
【0108】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0109】
1 給電用ドローンポート、
2 ドローン、2a 受電装置、2b 受信側コイル、
2c ローラ、2d 脚、
3 通電支柱、3a 上端、
4 着陸台、4a 上面、4b X対辺、
4c Y対辺、4d 傾斜面、
5 支持台、5a 柱取り付け部、5b 形鋼、
6 給電装置、6a 送信側コイル、7 給電位置、
8 制御装置、9 落下防止具、
10 位置決め設備、
11 X方向移動板、11a 両端、11b 中央部、
12 ベルトコンベア、12a ベルト、12b 繋ぎ目、
13 水平移動ユニット、14 Y方向移動板、
15 連結板、16 ヒンジ、17 通信装置、
21 移動板駆動装置、
21a 誘導レール、21b 無端状チェーン、
21c チェーン回転用アクチュエータ、
21d 軸、22 コンベア駆動装置、
23 給電移動装置、23a リニアガイド、
23b 給電移動用アクチュエータ、
23c ボールねじ、23d モータ、
24 ユニット駆動装置、24a 駆動板、
24b 水平移動金具、24c 回転ローラ、
25 駆動板駆動装置、25a 直線ガイド、
25b ボールねじ駆動装置、26 変圧器、
27 避雷針、27a グランドワイヤ、
28 着脱蝶番、28a 管、28b 軸、28c つまみ、
29 蝶番、30 連結器具、31 水平移動金具が通る隙間、
35 磁界、H 人、M 着陸台の上面の中心