(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098955
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】ネスティングラック
(51)【国際特許分類】
B65D 19/38 20060101AFI20220627BHJP
B65G 1/14 20060101ALI20220627BHJP
B65D 21/04 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
B65D19/38 A
B65G1/14 C
B65D21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212646
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】593232402
【氏名又は名称】親和パッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】久下沼 匠
(72)【発明者】
【氏名】若林 恭平
【テーマコード(参考)】
3E006
3E063
3F022
【Fターム(参考)】
3E006AA01
3E006BA10
3E006CA05
3E006HA05
3E063AA07
3E063AA33
3E063BB02
3E063CB04
3E063CC04
3E063CD09
3E063EE01
3E063FF03
3E063FF11
3E063FF13
3F022EE02
3F022FF23
3F022MM51
(57)【要約】
【課題】積荷の荷重によって棚部が下向き傾斜することがないネスティングラックを提供する。
【解決手段】水平な基部10と、基部10の後端部から上方に向けて垂直に立設された柱部30と、柱部30に対して着脱可能に係合する水平な棚部50(70)とを有するネスティングラックである。棚部50(70)を積荷がない状態で上方に傾斜させたことを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平な基部と、当該基部の後端部から上方に向けて垂直に立設された柱部と、当該柱部に対して着脱可能に係合する水平な棚部とを有するネスティングラックであって、前記棚部を積荷がない状態で上方に傾斜させたことを特徴とするネスティングラック。
【請求項2】
前記棚部の傾斜の大きさは、当該棚部に載せる積荷の荷重で前記棚部が水平状態になる大きさであることを特徴とする請求項1のネスティングラック。
【請求項3】
前記柱部は、前記棚部を係合するための係合部を、当該柱部の高さ方向複数個所に有することを特徴とする請求項1又は2のネスティングラック。
【請求項4】
前記係合部は、上下段違いで配設された一対の係合用横桟を有すると共に、下段の係合用横桟が手前側に配設され、上段の係合用横桟が奥側に配設されていることを特徴とする請求項3のネスティングラック。
【請求項5】
前記一対の係合用横桟の相互間に対して、前記棚部の奥側基端部を斜め上方から挿し込み係合可能であることを特徴とする請求項4のネスティングラック。
【請求項6】
前記棚部の奥側基端部に、前記上段の係合用横桟の背面に係合可能な抜止め片が配設されていることを特徴とする請求項5のネスティングラック。
【請求項7】
前記棚部を前記基部に重ね合わせた状態でスタッキング可能であることを特徴とする請求項6のネスティングラック。
【請求項8】
前記棚部を裏返して前記基部に重ね合わせた状態で、前記抜止め片が前記基部の端に係合することを特徴とする請求項6又は7のネスティングラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積荷パレットを載せる棚部を柱部に対して着脱可能に装着でき、かつ当該棚部を積荷がない状態で上方に傾斜させたネティングラックに関する。
【背景技術】
【0002】
積荷パレットを段積み可能にするネスティングラックは、例えば特許文献1~3のように複数知られている。このようなネスティングラックは、不使用時はスタッキング(ネスティング)することでコンパクトに収納可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3194350号公報
【特許文献2】実用新案登録第3219511号公報
【特許文献3】特開2014-237456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のネスティングラックは、特許文献1の
図6のように、前支柱を省略して横長長尺材を容易に載せることができるようにしたものがある。このようなネスティングラックは、棚部が後端部で片持ち支持の状態になるため、積荷パレットの荷重が大きいと棚部の手前側が下方に傾斜しやすいという課題があった。このように棚部50の手前側が下向き傾斜すると、積荷パレットが不安定になる。
【0005】
そこで本発明の目的は、積荷の荷重によって棚部が下向き傾斜することがないネスティングラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明のネスティングラックは、水平な基部と、当該基部の後端部から上方に向けて垂直に立設された柱部と、当該柱部に対して着脱可能に係合する水平な棚部とを有するネスティングラックであって、前記棚部を積荷がない状態で上方に傾斜させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のネスティングラックによれば、積荷の荷重によって棚部が下向き傾斜するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本発明の一実施形態に係るネスティングラックの斜視図である。
【
図1B】棚部を取り外した状態のネスティングラックの斜視図である。
【
図1C】
図1Bのネスティングラックを後ろ側から見た斜視図である。
【
図2】棚部を(a)斜め上方から見た斜視図と(b)斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】
図1Aのネスティングラックを後ろ側から見た斜視図である。
【
図4】積荷パレットを二段積みした状態のネスティングラックの側面図である。
【
図5】変形例に係る棚部を(a)斜め上方から見た斜視図、(b)斜め下方から見た斜視図、(c)拡大した斜視図である。
【
図6】変形例に係る棚部を装着したネスティングラックを後ろ側から見た斜視図である。
【
図7A】変形例に係る棚部を裏返して基部に重ね合わせた状態の側面図である。
【
図7B】複数のネスティングラックをスタッキングした状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。なお、全図を通じて同一又は相当部分には同一符号を付することで、重複した説明を適宜省略することとする。
【0010】
(ネスティングラックの全体構成)
図1Aは本発明の一実施形態に係るネスティングラック100を示すものである。このネスティングラック100を使用して、積荷Wを載せたパレットPを鎖線で示すように二段積みすることができる。ネスティングラック100は前支柱がないので、左右方向に長尺な積荷Wでも、フォークリフトを使用してネスティングラック100の上段・下段に容易に載せることができる。
【0011】
ネスティングラック100は鋼鉄製であり、水平な基部10と、基部10の後端部から上方に向けて垂直に立設された柱部30と、柱部30に対して着脱可能に係合する水平な棚部50とを有する。柱部30は、棚部50を着脱可能に係合するための係合部としての複数本の横桟35~38を柱部30の高さ方向複数個所に有する。横桟35~38の数は、柱部30の高さに合わせて適宜増設することができる。
【0012】
従来のネスティングラックは、パレットを載せる棚部の高さが一定のものがほとんどであった。このため、下段に収容する積荷の高さに合わせて棚部の高さを変更することができず、積荷の高さが所定高を超えた場合は当該積荷が上方の棚部と干渉するためネスティングラックを使用できないこともあった。本発明のネスティングラック100は棚部50の高さを変更可能なので、積荷Wの高さを気にする必要がない。
【0013】
前記基部10は、矩形状をなす枠材11~14と、当該枠材11~14の内側に配設された2本の扁平な角パイプ15、16で構成されている。2本の扁平な角パイプ15、16によって、フォークリフトの左右一対のフォーク爪を挿し込み可能な左右一対のフォークポケットFPが形成される。
【0014】
左右の枠材11、12はネスティングラック100の前後方向に延び、前後の枠材13、14はネスティングラック100の左右方向に延びている。2本の扁平な角パイプ15、16は左右の枠材11、12と平行に配設され、角パイプ15、16の前後両端部が前後の枠材13、14に溶接等で連結されている。
【0015】
柱部30は、角パイプで構成された左右一対の主柱31、32と、当該主柱31、32の相互間に配設され、主柱31、32よりもやや細い角パイプで構成された左右一対の副柱33、34を有する。主柱31、32と副柱33、34の下端部は、それぞれ基部10に対して溶接付けされている。
【0016】
主柱31、32と副柱33、34の背面側には、傾斜ブレース39、39がX字状に溶接付けされている。当該傾斜ブレース39、39によって、柱部30の左右方向の剛性が補強される。
【0017】
柱部30の高さ方向上端部と中間部の2個所に、上下段違いの一対の係合用横桟(35、36)(37、38)で構成された係合部が配設されている。係合用横桟(35、36)(37、38)の両端部と中間部は、主柱31、32と副柱33、34にそれぞれ溶接付けされている。
【0018】
係合用横桟(35、36)(37、38)は、下段の係合用横桟36、38が手前側に配設され、上段の係合用横桟35、37が奥側に配設されている。これら係合用横桟(35、36)(37、38)の上下間隔は、後述する棚部50の水平部材51~54の上下幅とほぼ同じに設定されている。
【0019】
棚部50は
図2(a)(b)に示すように、ネスティングラック100の前後方向に延びる4本の水平部材51~54と、当該水平部材51~54の手前側端部を左右方向に連結する第1連結材55と、水平部材51~54の奥側基端部を左右方向に連結する第2連結材56を有する。内側2本の水平部材52、53の長手方向中間部は、第3連結材57によって相互に連結されている。この第3連結材57は、水平部材52、53ないし棚部50を補強するためのものであるが、柱部30に対して棚部50を着脱する際の把手としても利用可能である。
【0020】
第2連結材56は、水平部材51~54の奥側基端部の下側に配設されている。そして、
図3のように棚部50を柱部30の中間高さの係合用横桟37、38に装着すると、第2連結材56の中央部前面が下段の係合用横桟38に当接する。これにより、棚部50が奥側に位置ズレするのが左右一対の副柱33、34で規制される。
【0021】
4本の水平部材51~54は角パイプで構成され、水平部材51~54の奥側基端部の角パイプ開口が矩形のプラグ板58で閉塞されている。このプラグ板58の上端部58aは抜止め片として機能するもので、水平部材51~54の上面から所定長さで垂直に立ち上がっている。当該上端部58aと前記第2連結材56との間隔は、係合用横桟(35、36)(37、38)の前後方向離間幅に合わせて設定されている。
【0022】
そして、
図3のように棚部50を柱部30の係合用横桟37、38に装着した状態で、抜止め片としての4つの上端部58aが係合用横桟37に係合当接する。これにより、棚部50が手前側に位置ズレするのが係合用横桟37で規制される。
【0023】
次に、前述した棚部50を、柱部30の係合用横桟37、38に係合する方法を
図3を参照して説明する。
図3で一点鎖線で示すように、棚部50の奥側基端部を、斜め下方に傾斜した状態で矢印(1)の方向で係合用横桟37、38の間に挿し込む。そして棚部50の奥側基端部にある抜止め片としての4つの上端部58aを係合用横桟37の背面側に係合させた後、棚部50を矢印(2)の方向に下げ、
図4のようにほぼ水平に保持する。
【0024】
この状態で、4本の水平部材51~54の奥側基端部が、係合用横桟37の下面と係合用横桟38の上面にそれぞれ当接して支持される。また棚部50の第2連結材56が手前側の係合用横桟38に当接する。
【0025】
外側2本の水平部材51、54の奥側基端部は主柱31、32の内側に位置し、内側2本の水平部材52、53の奥側基端部は副柱33、34の両側に位置する。したがって、棚部50の前後移動が係合用横桟37、38で規制され、棚部50の左右移動が主柱31、32と副柱33、34で規制される。
【0026】
(積荷パレットの段積み)
以上のように棚部50を装着したネスティングラック100を使用して、積荷Wを搭載したパレットPを段積みした状態を
図4に示す。棚部50にパレットPの荷重が作用した状態で棚部50が水平になるように、パレットPなしで棚部50を装着した時は棚部50の手前側がやや上方に傾斜しているのが望ましい。
【0027】
そこで、
図4の水平線HLに対して、パレットPなしで棚部50を装着した時の棚部50の延長線OLが、角度θで上方に傾斜するようにしている。棚部50にパレットPの荷重が作用した状態で棚部50の手前側が下向き傾斜になると、パレットPが不安定になるからである。
【0028】
角度θの大きさは、棚部50にパレットPの荷重が作用した状態でθ=0(水平状態)となるのが理想である。但し、棚部50の手前側が上向き傾斜になり過ぎなければ、棚部50にパレットPの荷重が作用した状態で0<θ(上向き傾斜)となっても構わない。通常は、0.5°<θ<10°の範囲に設定しておけば、積荷Wを載せたパレットPの荷重で棚部50の手前側が下向き傾斜になることはない。
【0029】
(棚部の変形例)
次に、棚部の変形例を
図5(a)~(c)を参照して説明する。
図5の棚部70は、ネスティングラック100の前後方向に延びる4本の水平部材71~74と、水平部材71~74の手前側端部を左右方向に連結する第1連結材75と、水平部材51~54の奥側基端部を左右方向に連結する第2連結材76を有する。
【0030】
棚部70の奥側基端部には、
図2と同様にプラグ板78が取り付けられている。当該プラグ板78の上端部78aは、棚部70を
図6のように柱部30装着した状態で、係合用横桟37の背面側に係合して棚部70の抜止め片として機能する。
【0031】
第2連結材76は棚部70の上面と下面に突出していないので、柱部30から取り外した棚部70を、
図7Aのように基部10に重ね合わせて
図7Bのようにスタッキング(ネスティング)するのに好都合である。これに対して
図2の棚部50は、第2連結材56が棚部50の下面に突出しているので、棚部50を裏返して基部10に重ね合わせると、第2連結材56が上側に突出してしまう。したがって、
図7Bのようにスタッキング(ネスティング)するときに第2連結材56が邪魔になる。
【0032】
(ネスティングラックのスタッキング)
図5の棚部70は以上のように構成され、当該棚部70は
図6のようにネスティングラック100の柱部30に装着することができる。また、ネスティングラック100の不使用時(収納時)には、
図7Aのように棚部70を裏返して基部10に重ね合わせ、この状態のネスティングラック100を、
図7Bのように複数台(図示例では6台)スタッキング(ネスティング)する。
【0033】
図7A、
図7Bにおいて、棚部70の抜止め片としての上端部78aは基部10の枠材14背面に係合し、また第2連結材76の中央部分は左右一対の副柱33、34基端部に当接する。また、前述した棚部50と同様に、外側2本の水平部材71、74の奥側基端部は主柱31、32の内側に位置し、内側2本の水平部材72、73の奥側基端部は副柱33、34の両側に位置する。したがって、棚部50の前後移動が係合用横桟37、38で規制され、棚部50の左右移動が主柱31、32と副柱33、34で規制される。このように、棚部70の前後左右の位置ズレが防止されるので、安定姿勢で多層スタッキング(ネスティング)が可能である。
【0034】
なお、柱部30の左右方向の剛性を補強する傾斜ブレース39、39は、柱部30の背面側にやや張り出した形になる。このため、
図7Bのようにスタッキングすると柱部30相互間に僅かではあるが、傾斜ブレース39、39の厚み分の隙間ができる。
【0035】
しかしながら、傾斜ブレース39、39なしでも柱部30の左右方向の剛性が確保できれば、傾斜ブレース39、39は省略可能である。したがって、その場合は
図7Bのスタッキング状態で柱部30相互間の隙間を完全になくすことができ、多層スタッキングの安定姿勢をより良好にすることができる。
【0036】
また、ネスティングラック100の基部10には左右一対のフォークポケットFPがあるので、フォークリフトの左右一対のフォーク爪を、
図7Bの最下段のネスティングラック100のフォークポケットFPに挿し込んで持ち上げることで、スタッキングした複数台のネスティングラック100を一括移動することができる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、前記実施形態では柱部30の係合部としての係合用横桟(35、36)(37、38)を高さ方向2箇所に配設したが、このような係合用横桟(35、36)(37、38)は柱部30の高さ方向2箇所以上に配設してもよいことは勿論である。
【0038】
また、係合用横桟(35、36)(37、38)以外で棚部50(70)の係合部を構成することも可能であり、例えば柱部30の主柱31、32や副柱33、34の内側面に形成した係合突起で、棚部50(70)の奥側端部に形成した被係合部を係合する構成も可能である。その他、棚部50(70)は前述したように格子状とするほか、単純な一枚板で構成することも可能である。
【0039】
また、基部10や棚部50(70)を、入れ子式に相互係合する伸縮可能部材を使用して前後方向に伸縮可能に構成することも可能である。こうすることで、積荷やパレットの奥行サイズ変更に対応することができる。
【符号の説明】
【0040】
10:基部 11~14:枠材
15、16:角パイプ 30:柱部
31、32:主柱 33、34:副柱
35~38:係合用横桟 39:傾斜ブレース
50、70:棚部 51~54:水平部材
58:プラグ板 58a:上端部(抜止め片)
71~74:水平部材 78:プラグ板
78a:上端部(抜止め片) 100:ネスティングラック
P:パレット W:積荷