(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098965
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】車両乗員検出装置および実行タイミング制御方法
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20220627BHJP
G08B 21/22 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
G08B25/04 C
G08B25/04 K
G08B21/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212663
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 信貴
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 昭彦
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086AA52
5C086BA22
5C086CA06
5C086CA09
5C086CA10
5C086CA15
5C086CA19
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA08
5C086EA40
5C086EA45
5C086FA02
5C086FA12
5C087AA12
5C087AA42
5C087DD03
5C087DD14
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG10
5C087GG37
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5C087GG84
(57)【要約】
【課題】車両内における置き去りの発生が不必要に検出されることを抑制可能な車両乗員検出装置および実行タイミング制御方法を提供する。
【解決手段】車両乗員検出装置100は、車両200と第1の乗員との相対距離を検出する距離検出部101と、車両200内における第2の乗員の存在有無を検出する乗員検出部102と、検出された相対距離に応じて、乗員検出部102における検出動作の実行タイミングを制御する実行タイミング制御部103と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と第1の乗員との相対距離を検出する距離検出部と、
前記車両内における第2の乗員の存在有無を検出する乗員検出部と、
検出された前記相対距離に応じて、前記乗員検出部における検出動作の実行タイミングを制御する実行タイミング制御部と、
を備える車両乗員検出装置。
【請求項2】
前記実行タイミング制御部は、前記車両が停車している場合、前記乗員検出部における検出動作の実行タイミングを制御する、
請求項1に記載の車両乗員検出装置。
【請求項3】
前記実行タイミング制御部は、前記相対距離に応じて、第1の実行タイミング、または、前記第1の実行タイミングより実行頻度が低い第2の実行タイミングで前記乗員検出部に前記検出動作を実行させる、
請求項1または2に記載の車両乗員検出装置。
【請求項4】
前記実行タイミング制御部は、前記相対距離が第1の距離より長い場合、前記第1の実行タイミングで前記乗員検出部に前記検出動作を実行させる一方、前記相対距離が前記第1の距離より短い場合、前記第2の実行タイミングで前記乗員検出部に前記検出動作を実行させる、
請求項3に記載の車両乗員検出装置。
【請求項5】
前記実行タイミング制御部は、開閉検出部により前記車両のドアの開閉状態が検出され、かつ、前記相対距離が前記第1の距離より長い場合、前記第1の実行タイミングで前記乗員検出部に前記検出動作を実行させる、
請求項4に記載の車両乗員検出装置。
【請求項6】
前記実行タイミング制御部は、自動ロック検出部により前記車両のドアの自動ロックが検出され、かつ、前記相対距離が前記第1の距離より長い場合、前記第1の実行タイミングで前記乗員検出部に前記検出動作を実行させる、
請求項4に記載の車両乗員検出装置。
【請求項7】
前記相対距離が前記第1の距離以上の第2の距離より長く、かつ、前記第2の乗員の存在が検出された場合、前記第2の乗員の存在が検出された旨を報知する報知部を備える、
請求項4~6の何れか一項に記載の車両乗員検出装置。
【請求項8】
前記第2の乗員の存在が検出された場合、前記相対距離が所定時間継続して前記第1の距離より長く、かつ、第2の距離より短いとき、前記第2の乗員の存在が検出された旨を報知する報知部を備える、
請求項4~6の何れか一項に記載の車両乗員検出装置。
【請求項9】
車両と第1の乗員との相対距離を検出し、
検出された前記相対距離に応じて、前記車両内における第2の乗員の存在有無を検出する乗員検出部における検出動作の実行タイミングを制御する、
実行タイミング制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両乗員検出装置および実行タイミング制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、保護者が車室内に子供を置いたまま車外に出ていき、そのまま車室内に子供が存在していることを忘れてしまう、車室内への子供の置き去り(長時間の放置)が発生し、その結果、熱中症などで重大な健康被害に至ることが発生している。
【0003】
そこで、車両内において子供が置き去りにされていることを検知し、警報を行う置き去り防止システムが車両に搭載され始めている。このようなシステムでは、保護者が車両を離れようとする動作をトリガーとして、車両内における子供等の生体の有無を検出し、車両内に生体が存在すると判定した場合に、ホーンやハザードなどの車外への警報、または保護者へのスマートフォンなどへの通知がなされる。
【0004】
例えば、特許文献1には、車両内に人が残された場合に警報を報知する乗員状態検知システムが記載されている。具体的には、乗員状態検知システムは、前方座席(運転席や助手席)から人が離れる離席状態が発生したか否かを検知し、離席状態の発生を検知したときに、車室内の検知エリア内の物体が人であると判定されれば警報を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、前方座席から例えば運転者(保護者)が離れた後、例えば荷物の出し入れを行う場合や車両を清掃するために頻繁に出入りする場合など、すなわち運転者が車両の付近にいる状況にも関わらず、離席状態の発生をトリガーとして車両内における置き去りの発生が不必要に検出されてしまい、ひいては警報が出力されてしまうという問題点があった。
【0007】
本発明の目的は、車両内における置き去りの発生が不必要に検出されることを抑制可能な車両乗員検出装置および実行タイミング制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車両乗員検出装置は、
車両と第1の乗員との相対距離を検出する距離検出部と、
前記車両内における第2の乗員の存在有無を検出する乗員検出部と、
検出された前記相対距離に応じて、前記乗員検出部における検出動作の実行タイミングを制御する実行タイミング制御部と、
を備える。
【0009】
本発明に係る実行タイミング制御方法は、
車両と第1の乗員との相対距離を検出し、
検出された前記相対距離に応じて、前記車両内における第2の乗員の存在有無を検出する乗員検出部における検出動作の実行タイミングを制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両内における置き去りの発生が不必要に検出されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施の形態における車両乗員検出装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施の形態における実行タイミング制御動作例を示すフローチャートである。
【
図3】第2の実施の形態における車両乗員検出装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】第2の実施の形態における実行タイミング制御動作例を示すフローチャートである。
【
図5】第3の実施の形態における車両乗員検出装置の構成例を示すブロック図である。
【
図6】第3の実施の形態における実行タイミング制御動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る第1の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、第1の実施の形態における車両乗員検出装置100の構成例を示すブロック図である。車両乗員検出装置100は、車両200に設けられており、車両200内(具体的には、車室内)における子供(本発明の「第2の乗員」に対応)の存在有無を検出する。車両200は、例えば複数の乗員が乗車可能な乗用車である。
【0013】
典型的には、車両乗員検出装置100は、車両200に保護者(本発明の「第1の乗員」に対応)および子供が乗っている状態において、保護者が車室内に子供を置いたまま車外に出ていき、そのまま車室内に子供が存在していることを忘れてしまう、車室内への子供の置き去りの発生を防止するために使用される。保護者は、車両200の運転者や当該運転者の家族である。
【0014】
本実施の形態では、車両乗員検出装置100は、車両200に搭載された車載バッテリー201からの電力供給を受けて動作する。車両200の走行時において、内燃機関(エンジン)により発生した動力がモータジェネレータに入力され、モータジェネレータを発電機として動作させて車載バッテリー201の充電が行われる。
【0015】
図1に示すように、車両乗員検出装置100は、距離検出部101、乗員検出部102、実行タイミング制御部103および報知部104を備えて構成されている。
【0016】
車両乗員検出装置100は、図示しないが、例えば、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の記憶媒体、RAM(Random Access Memory)等の作業用メモリ、および通信回路を有する。この場合、上記した各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。
【0017】
距離検出部101は、車両200と保護者との相対距離を検出する。そして、距離検出部101は、検出した相対距離を示す相対距離情報を実行タイミング制御部103および報知部104に出力する。
【0018】
本実施の形態では、距離検出部101は、保護者が所持する携帯端末300(例えば、スマートフォン、車両200のスマートキー等)と無線通信を行う無線機を有する。無線機は、携帯端末300と無線通信を行えるものであれば、特に限定されない。
【0019】
距離検出部101は、携帯端末300から送信されて無線機に受信された電波信号の受信強度に基づいて、車両200と携帯端末300との相対距離、つまり車両200と保護者との相対距離を検出する。距離検出部101は、無線機に受信された電波信号の受信強度が強くなるにつれて、車両200と保護者との相対距離が短いことを検出する一方、無線機に受信された電波の受信強度が弱くなるにつれて、車両200と保護者との相対距離が長いことを検出する。
【0020】
なお、距離検出部101は、携帯端末300と無線機との間で電波信号の送受信を行うことで検出した時間(例えば、携帯端末300と無線機との間における電波信号の往復時間)に基づいて、車両200と携帯端末300との相対距離、つまり車両200と保護者との相対距離を検出しても良い。この場合、距離検出部101は、携帯端末300と無線機との間で電波信号の送受信を行うことで検出した時間が短くなるにつれて、車両200と保護者との相対距離が短いことを検出する一方、携帯端末300と無線機との間で電波信号の送受信を行うことで検出した時間が長くなるにつれて、車両200と保護者との相対距離が長いことを検出する。
【0021】
また、電波信号の受信強度が所定レベル以上となることで、あるいは、携帯端末300と無線機との間で電波信号の送受信を行うことで検出した時間が所定値以下となることで、距離検出部101が、携帯端末300(または保護者)が車両200内にいることを検出する場合がある。この場合、例えば、車両200と携帯端末300(または保護者)との相対距離は、ゼロとなる。そして、携帯端末300(または保護者)が車両200外にいることが検出された場合に、相対距離は、正の値となる。
【0022】
乗員検出部102は、車両200内における子供の存在有無を検出する。そして、乗員検出部102は、検出した子供の存在有無を示す検出有無情報を報知部104に出力する。
【0023】
本実施の形態では、乗員検出部102は、車室内の様子を車内カメラで撮影し、撮影した映像を画像認識して検出する方法、超音波センサで超音波を送信して検出する方法、電波センサで電波を送信して検出する方法、座席内部に設置された荷重センサ、音センサまたは振動センサの検出値を取得して検出する方法、座席の座面に対する圧力を検出する感圧センサの検出値を取得して検出する方法などによって、車両200内における子供の存在有無を検出する。乗員検出部102は、車両200内における子供など乗員の存在有無を検出できるものであれば、特に限定されない。
【0024】
例えば電波センサで電波を送信して検出する方法について説明すると、乗員検出部102は、電波センサと、信号処理装置とを有する。電波センサは、車室内に取り付けられた電波式のセンサであり、例えば後部座席が検知エリアに入るように設置されている。電波センサは、車室内の検知エリア(例えば、後部座席の周囲)に電波(送信波)を送信し、検知エリア内の物体で反射された電波(反射波)を受信して、物体に応じたセンサ信号を出力する。信号処理装置は、例えば車両200のダッシュボード内に収納されており、電波センサから出力されるセンサ信号を受け取る。そして、信号処理装置は、電波センサから受け取ったセンサ信号を信号処理することで、検知エリア内の物体が人(子供)であるか否かを判定する。乗員検出部102は、信号処理装置の判定結果に基づいて、車両200内における子供の存在有無を検出する。
【0025】
実行タイミング制御部103は、距離検出部101から出力された相対距離情報に示される相対距離に応じて、乗員検出部102における検出動作の実行タイミングを制御する。本実施の形態では、実行タイミング制御部103は、車両200が停車している場合、すなわち車室内への子供の置き去りが発生する可能性がある場合、乗員検出部102における検出動作の実行タイミングを制御する。なお、車両200が停車している場合としては、駐車時等で車両200が内燃機関(エンジン)を完全に停止している場合や、信号待ちやその他の条件で車両200が内燃機関(エンジン)を一時的に停止して燃料消費を抑制する、いわゆるアイドリングストップを行っている場合や、車両200が内燃機関(エンジン)を停止していない場合が含まれる。
【0026】
実行タイミング制御部103は、距離検出部101から出力された相対距離情報に示される相対距離に応じて、第1の実行タイミング(例えば、アクティブモードと称される)、または、第1の実行タイミングより実行頻度が低い第2の実行タイミング(例えば、スリープモードと称される)で乗員検出部102に検出動作を実行させる。実行頻度とは、例えば単位時間当たりの検出動作の実行回数を言う。
【0027】
実行タイミング制御部103は、相対距離が第1の距離(例えば、5m)より長い場合、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる一方、相対距離が第1の距離以下である場合、第2の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる。本実施の形態では、第2の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させるとは、単位時間当たりの検出動作の実行回数が0回であり、検出動作を完全に停止させることを意味している。
【0028】
相対距離が第1の距離以下である場合としては、携帯端末300を所持する保護者が車両200に乗っている場合や、保護者が例えばトランクを開けて荷物の出し入れを行ったり車両200を清掃するために頻繁に出入りしたりする等、車両200の付近にいる場合が挙げられる。これらの場合、保護者にとって目の届く範囲に子供がいるため、車室内への子供の置き去りは発生していないと想定される。そこで本実施の形態では、実行タイミング制御部103は、乗員検出部102に検出動作を完全に停止させることによって車両200内における置き去りの発生が不必要に検出されることを抑制している。さらに言えば、車載バッテリー201からの電力供給を受けて動作する車両乗員検出装置100において、不必要な検出動作の実行を停止させる分だけ、電力の消費を抑制することができる。
【0029】
報知部104は、距離検出部101から出力された相対距離情報に示される相対距離が第2の距離より長く、かつ、乗員検出部102から出力された検出有無情報に子供の存在が示されている場合、子供の存在が検出された旨を報知する。第2の距離は、第1の距離より長く、例えば20~30mである。車両200と保護者との相対距離が第2の距離より長い場合としては、携帯端末300を所持する保護者が車室内に子供を置いたまま車外に出ていき、そのまま車室内に子供が存在していることを忘れてしまう、車室内への子供の置き去りが実際に発生していると想定される場合が挙げられる。
【0030】
本実施の形態では、報知部104は、携帯端末300を通じて子供の存在が検出された旨を保護者に報知することによって、車室内への子供の置き去りが発生していることを通知する。なお、報知部104は、車両200と保護者との相対距離に応じて、車両200のヘッドランプやテールランプを点滅させたり、車両200のクラクションを鳴らしたり、公共機関(例えば、警察署や児童相談所)への緊急通報を行ったりすることで、車両200内における子供の存在が検出された旨を報知しても良い。
【0031】
相対距離が第1の距離より長く、かつ、第2の距離より短い場合、乗員検出部102は、車両200内における子供の存在有無を検出する動作を行う。一方、報知部104は、乗員検出部102から出力された検出有無情報に子供の存在が示されている場合であっても、子供の存在が検出された旨の報知動作を停止する。これにより、相対距離が第1の距離より長く、かつ、第2の距離より短い場合に車両200内における子供の存在が検出されているとき、報知部104は、車両200と保護者との相対距離が第2の距離より長くなったことをトリガーとして迅速に、子供の存在が検出された旨を報知することができる。
【0032】
なお、距離検出部101は、携帯端末300から送信された電波信号が無線機に受信されなくなった場合(すなわち、携帯端末300と無線機との間の通信が途切れた場合)、車両200と保護者との相対距離が第2の距離より長いことを検出しても良い。また、第1の距離と第2の距離とは同じ距離であっても良い。この場合、報知部104は、距離検出部101から出力された相対距離情報に示される相対距離が第1の距離より長く、かつ、乗員検出部102から出力された検出有無情報に子供の存在が示されている場合、子供の存在が検出された旨を報知する。これにより、より早い段階で子供の存在が保護者に報知され、車室内への子供の置き去りが実際に発生することを防止することができる。
【0033】
次に、
図2のフローチャートを参照して、車両乗員検出装置100の実行タイミング制御動作例(本発明の「実行タイミング制御方法」に対応)について説明する。なお、
図2に示す処理は、車両200が停車している場合に実行される。
【0034】
まず、実行タイミング制御部103は、距離検出部101から出力された相対距離情報を取得する(ステップS100)。次に、実行タイミング制御部103は、距離検出部101から出力された相対距離情報に示される相対距離が第1の距離以下であるか否かについて判定する(ステップS110)。判定の結果、相対距離が第1の距離以下である場合(ステップS110、YES)、実行タイミング制御部103は、第2の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる、すなわち乗員検出部102に検出動作を完全に停止させる(ステップS120)。
【0035】
次に、車両乗員検出装置100は、距離検出部101による相対距離の検出を継続するか否かについて判定する(ステップS130)。判定の結果、距離検出部101による相対距離の検出を継続しない場合(ステップS130、NO)、車両乗員検出装置100は
図2における処理を終了する。
【0036】
一方、距離検出部101による相対距離の検出を継続する場合(ステップS130、YES)、車両乗員検出装置100は、距離検出部101による次の検出タイミングまで、所定時間待機する(ステップS140)。その後、処理はステップS100の前に戻る。
【0037】
ステップS110の判定処理に戻って、相対距離が第1の距離以下でない、すなわち第1の距離より長い場合(ステップS110、NO)、実行タイミング制御部103は、相対距離が第2の距離以下であるか否かについて判定する(ステップS150)。
【0038】
判定の結果、相対距離が第2の距離以下である場合(ステップS150、YES)、実行タイミング制御部103は、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させているか否かについて判定する(ステップS160)。判定の結果、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させている場合(ステップS160、YES)、処理はステップS180に遷移する。乗員検出部102による子供の存在有無の検出は1回行われていれば良く、車載バッテリー201からの電力供給を受けて動作する車両乗員検出装置100において、不必要な検出動作の実行を停止させて電力の消費を抑制するためである。
【0039】
一方、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させていない場合(ステップS160、NO)、実行タイミング制御部103は、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる(ステップS170)。次に、報知部104は、乗員検出部102から出力された検出有無情報を参照し、子供の存在が検出されたか否かについて判定する(ステップS180)。
【0040】
判定の結果、子供の存在が検出されていない場合(ステップS180、NO)、処理はステップS130に遷移する。一方、子供の存在が検出された場合(ステップS180、YES)、車両乗員検出装置100は、距離検出部101により検出された相対距離が所定時間(例えば、10分)継続して第1の距離より長く、かつ、第2の距離以下であるという条件を満たしている否かについて判定する(ステップS190)。
【0041】
判定の結果、距離検出部101により検出された相対距離が所定時間継続して第1の距離より長く、かつ、第2の距離以下であるという条件を満たしていない場合(ステップS190、NO)、処理はステップS130に遷移する。一方、距離検出部101により検出された相対距離が所定時間継続して第1の距離より長く、かつ、第2の距離以下であるという条件を満たしている場合(ステップS190、YES)、報知部104は、子供の存在が検出された旨を報知する(ステップS200)。これにより、保護者が車室内に子供を置いたまま車外に出ている時間が長くなり、そのまま車室内に子供が存在していることを忘れてしまう可能性がある場合でも、子供の存在が保護者に報知され、車室内への子供の置き去りが実際に発生することを防止することができる。ステップS200の処理が完了することによって、処理はステップS130に遷移する。
【0042】
ステップS150の判定処理に戻って、相対距離が第2の距離以下でない、すなわち第2の距離より長い場合(ステップS150、NO)、実行タイミング制御部103は、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させているか否かについて判定する(ステップS210)。判定の結果、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させている場合(ステップS210、YES)、処理はステップS240に遷移する。乗員検出部102による子供の存在有無の検出は1回行われていれば良く、車載バッテリー201からの電力供給を受けて動作する車両乗員検出装置100において、不必要な検出動作の実行を停止させて電力の消費を抑制するためである。
【0043】
一方、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させていない場合(ステップS210、NO)、実行タイミング制御部103は、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる(ステップS220)。
【0044】
次に、報知部104は、乗員検出部102から出力された検出有無情報を参照し、子供の存在が検出されたか否かについて判定する(ステップS240)。判定の結果、子供の存在が検出された場合(ステップS240、YES)、報知部104は、子供の存在が検出された旨を報知する(ステップS250)。ステップS250の処理が完了することによって、処理はステップS130に遷移する。一方、子供の存在が検出されていない場合(ステップS240、NO)、処理はステップS130に遷移する。
【0045】
以上詳しく説明したように、第1の実施の形態の車両乗員検出装置100は、車両200と保護者(第1の乗員)との相対距離を検出する距離検出部101と、車両200内における子供(第2の乗員)の存在有無を検出する乗員検出部102と、距離検出部101により検出された相対距離に応じて、乗員検出部102における検出動作の実行タイミングを制御する実行タイミング制御部103とを備える。
【0046】
このように構成した本実施の形態によれば、車両200と保護者との相対距離に応じて、乗員検出部102における検出動作の実行タイミングが制御される。そのため、例えば、車両200と保護者との相対距離が短い場合、すなわち保護者にとって目の届く範囲に子供が存在し車室内への子供の置き去りが発生していないと想定される場合、乗員検出部102における検出動作が不必要に実行されることを抑制することができる。ひいては、車両乗員検出装置100に電力供給を行う車載バッテリー201において、乗員検出部102の検出動作に係る不必要な電力消費を抑制することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、実行タイミング制御部103は、車両200が停車している場合、検出された相対距離に応じて、乗員検出部102における検出動作の実行タイミングを制御する。この構成により、車両200が停車していない場合、すなわち車両200が走行しており車室内への子供の置き去りが発生することが想定されない場合、乗員検出部102における検出動作が不必要に実行されることを抑制することができる。
【0048】
また、本実施の形態では、実行タイミング制御部103は、相対距離が第1の距離より長い場合、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる一方、相対距離が第1の距離より短い場合、第1の実行タイミングより実行頻度が低い第2の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる。この構成により、相対距離が第1の距離より短い場合、すなわち保護者にとって目の届く範囲に子供が存在し車室内への子供の置き去りが発生していないと想定される場合、第1の実行タイミングより実行頻度が低い第2の実行タイミングで乗員検出部102の検出動作が実行される。そのため、車両200と保護者との相対距離に関係なく乗員検出部102の検出動作が第1の実行タイミングで実行される場合と比べて、乗員検出部102における検出動作が不必要に実行されることを抑制することができる。
【0049】
また、本実施の形態では、報知部104は、車両200と保護者との相対距離が第2の距離より長く、かつ、乗員検出部102により子供の存在が検出された場合、子供の存在が検出された旨を報知する。この構成により、相対距離が第2の距離以下である場合、すなわち保護者が車両200からある程度遠ざかっているものの、車室内への子供の置き去りが発生していると想定しきれない場合、報知部104における報知動作が不必要に実行されることを抑制することができる。ひいては、車両乗員検出装置100に電力供給を行う車載バッテリー201において、報知部104の報知動作に係る不必要な電力消費を抑制することができる。
【0050】
次に、本発明に係る第2の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図3は、第2の実施の形態における車両乗員検出装置100の構成例を示すブロック図である。なお、第1の実施の形態と共通する構成については、説明を省略する。
【0051】
車両乗員検出装置100は、車両200の外に保護者および子供がいる状態において、保護者の知らない間に、ドアの鍵が開いている車両200に子供が乗り込んでしまい、そのまま保護者が車室内に子供が存在していることに気づかない、車室内への子供の置き去りの発生を防止するために使用される。
【0052】
図3に示すように、車両200は、
図1に示す車両200と比べて、開閉検出部202をさらに備えている。
【0053】
開閉検出部200は、車両200のドアが開いているか閉じているかの状態を検出する。そして、開閉検出部202は、車両200のドアが開いているか閉じているかの状態情報を車両乗員検出装置100の実行タイミング制御部103に出力する。実行タイミング制御部103は、開閉検出部202から出力されたドアが開いているか閉じているかの状態情報より、車両200のドアの開閉を判断する。なお、ここでいう「開閉」とは、ドアが一旦開けられ、その後に閉められる挙動、あるいは、開けられたまま放置されたドアが閉められる挙動を意味している。
【0054】
実行タイミング制御部103は、開閉検出部202から出力されたドアの状態情報と、距離検出部101から出力された相対距離情報とを参照し、車両200のドアの開閉が検出され、かつ、車両200と保護者との相対距離が第1の距離より長い場合、保護者の知らない間に車両200に子供が乗り込んでいることが想定されるため、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる。一方、実行タイミング制御部103は、車両200のドアの開閉が検出されていない場合、車両200に子供が乗り込んでいないことが想定されるため、車両200と保護者との相対距離に関係なく、乗員検出部102に検出動作を完全に停止させる。
【0055】
次に、
図4のフローチャートを参照して、車両乗員検出装置100の実行タイミング制御動作例について説明する。なお、
図4に示す処理は、車両200が停車している場合に実行される。
【0056】
まず、実行タイミング制御部103は、開閉検出部202から出力されたドアの状態情報により車両200のドアの開閉が検出されたか否かについて判定する(ステップS300)。判定の結果、車両200のドアの開閉が検出されていない場合(ステップS300、NO)、車両200に子供が乗り込んでいないことが想定されるため、処理はステップS340に遷移する。
【0057】
一方、車両200のドアの開閉が検出された場合(ステップS300、YES)、車両200に子供が乗り込んだことが想定されるため、実行タイミング制御部103は、距離検出部101から出力された相対距離情報を取得する(ステップS310)。次に、実行タイミング制御部103は、距離検出部101から出力された相対距離情報に示される相対距離が第1の距離以下であるか否かについて判定する(ステップS320)。
【0058】
判定の結果、相対距離が第1の距離以下である場合(ステップS320、YES)、実行タイミング制御部103は、第2の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる、すなわち乗員検出部102に検出動作を完全に停止させる(ステップS330)。
【0059】
次に、車両乗員検出装置100は、開閉検出部202から出力されたドアの状態情報によるドアの開閉の検出を継続するか否かについて判定する(ステップS340)。判定の結果、開閉検出部202から出力されたドアの状態情報によるドアの開閉の検出を継続しない場合(ステップS340、NO)、車両乗員検出装置100は
図4における処理を終了する。
【0060】
一方、開閉検出部202から出力されたドアの状態情報によるドアの開閉の検出を継続する場合(ステップS340、YES)、車両乗員検出装置100は、開閉検出部202による次の検出タイミングまで、所定時間待機する(ステップS350)。その後、処理はステップS300の前に戻る。
【0061】
ステップS320の判定処理に戻って、相対距離が第1の距離以下でない、すなわち第1の距離より長い場合(ステップS320、NO)、実行タイミング制御部103は、相対距離が第2の距離以下であるか否かについて判定する(ステップS360)。
【0062】
判定の結果、相対距離が第2の距離以下である場合(ステップS360、YES)、実行タイミング制御部103は、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させているか否かについて判定する(ステップS370)。判定の結果、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させている場合(ステップS370、YES)、処理はステップS390に遷移する。乗員検出部102による子供の存在有無の検出は1回行われていれば良く、車載バッテリー201からの電力供給を受けて動作する車両乗員検出装置100において、不必要な検出動作の実行を停止させて電力の消費を抑制するためである。
【0063】
一方、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させていない場合(ステップS370、NO)、実行タイミング制御部103は、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる(ステップS380)。次に、報知部104は、乗員検出部102から出力された検出有無情報を参照し、子供の存在が検出されたか否かについて判定する(ステップS390)。
【0064】
判定の結果、子供の存在が検出されていない場合(ステップS390、NO)、処理はステップS340に遷移する。一方、子供の存在が検出された場合(ステップS390、YES)、車両乗員検出装置100は、距離検出部101により検出された相対距離が所定時間(例えば、10分)継続して第1の距離より長く、かつ、第2の距離以下であるという条件を満たしている否かについて判定する(ステップS400)。
【0065】
判定の結果、距離検出部101により検出された相対距離が所定時間継続して第1の距離より長く、かつ、第2の距離以下であるという条件を満たしていない場合(ステップS400、NO)、処理はステップS340に遷移する。一方、距離検出部101により検出された相対距離が所定時間継続して第1の距離より長く、かつ、第2の距離以下であるという条件を満たしている場合(ステップS400、YES)、報知部104は、子供の存在が検出された旨を報知する(ステップS410)。これにより、保護者の知らない間に車両200に子供が乗り込んでしまい、そのまま保護者が車室内に子供が存在していることに長い時間気づかない可能性がある場合でも、子供の存在が保護者に報知され、車室内への子供の置き去りが実際に発生することを防止することができる。ステップS410の処理が完了することによって、処理はステップS340に遷移する。
【0066】
ステップS360の判定処理に戻って、相対距離が第2の距離以下でない、すなわち第2の距離より長い場合(ステップS360、NO)、実行タイミング制御部103は、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させているか否かについて判定する(ステップS420)。判定の結果、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させている場合(ステップS420、YES)、処理はステップS440に遷移する。乗員検出部102による子供の存在有無の検出は1回行われていれば良く、車載バッテリー201からの電力供給を受けて動作する車両乗員検出装置100において、不必要な検出動作の実行を停止させて電力の消費を抑制するためである。
【0067】
一方、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させていない場合(ステップS420、NO)、実行タイミング制御部103は、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる(ステップS430)。
【0068】
次に、報知部104は、乗員検出部102から出力された検出有無情報を参照し、子供の存在が検出されたか否かについて判定する(ステップS440)。判定の結果、子供の存在が検出された場合(ステップS440、YES)、報知部104は、子供の存在が検出された旨を報知する(ステップS450)。ステップS450の処理が完了することによって、処理はステップS340に遷移する。一方、子供の存在が検出されていない場合(ステップS440、NO)、処理はステップS340に遷移する。
【0069】
このように構成した第2の実施の形態によれば、開閉検出部202から出力されたドアの状態情報により車両200のドアの開閉が検出された場合、車両200と保護者との相対距離に応じて、乗員検出部102における検出動作の実行タイミングが制御される。そのため、例えば、車両200と保護者との相対距離が短い場合、すなわち保護者にとって目の届く範囲に子供が存在し車室内への子供の置き去りが発生していないと想定される場合、乗員検出部102における検出動作が不必要に実行されることを抑制することができる。ひいては、車両乗員検出装置100に電力供給を行う車載バッテリー201において、乗員検出部102の検出動作に係る不必要な電力消費を抑制することができる。
【0070】
次に、本発明に係る第3の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図5は、第3の実施の形態における車両乗員検出装置100の構成例を示すブロック図である。なお、第1の実施の形態と共通する構成については、説明を省略する。
【0071】
車両乗員検出装置100は、第2の実施の形態と同様に、車両200の外に保護者および子供がいる状態において、保護者の知らない間に、ドアの鍵が開いている車両200に子供が乗り込んでしまい、そのまま保護者が車室内に子供が存在していることに気づかない、車室内への子供の置き去りの発生を防止するために使用される。
【0072】
図5に示すように、車両200は、
図1に示す車両200と比べて、自動ロック検出部203をさらに備えている。
【0073】
自動ロック検出部203は、車両200のドアにおける自動ロックの発生有無を検出する。そして、自動ロック検出部203は、自動ロックの発生有無を示す自動ロック有無情報を実行タイミング制御部103に出力する。ここで、車両200のドアにおける自動ロックとは、当該ドアが閉じられた後に所定時間が経過するタイミングで当該ドアを自動的に施錠する制御が実行されることである。
【0074】
実行タイミング制御部103は、自動ロック検出部203から出力された自動ロック有無情報と、距離検出部101から出力された相対距離情報とを参照し、自動ロックの発生が検出され、かつ、車両200と保護者との相対距離が第1の距離より長い場合、保護者の知らない間に車両200に子供が乗り込んでいることが想定されるため、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる。一方、実行タイミング制御部103は、自動ロックの発生が検出されていない場合、車両200に子供が乗り込んでいないことが想定されるため、車両200と保護者との相対距離に関係なく、乗員検出部102に検出動作を完全に停止させる。
【0075】
次に、
図6のフローチャートを参照して、車両乗員検出装置100の実行タイミング制御動作例について説明する。なお、
図6に示す処理は、車両200が停車している場合に実行される。
【0076】
まず、実行タイミング制御部103は、自動ロック検出部203により自動ロックの発生が検出されたか否かについて判定する(ステップS500)。判定の結果、自動ロックの発生が検出されていない場合(ステップS500、NO)、車両200に子供が乗り込んでいないことが想定されるため、処理はステップS540に遷移する。
【0077】
一方、自動ロックの発生が検出された場合(ステップS500、YES)、車両200に子供が乗り込んだことが想定されるため、実行タイミング制御部103は、距離検出部101から出力された相対距離情報を取得する(ステップS510)。次に、実行タイミング制御部103は、距離検出部101から出力された相対距離情報に示される相対距離が第1の距離以下であるか否かについて判定する(ステップS520)。
【0078】
判定の結果、相対距離が第1の距離以下である場合(ステップS520、YES)、実行タイミング制御部103は、第2の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる、すなわち乗員検出部102に検出動作を完全に停止させる(ステップS530)。
【0079】
次に、車両乗員検出装置100は、自動ロック検出部203による自動ロックの発生の検出を継続するか否かについて判定する(ステップS540)。判定の結果、自動ロック検出部203による自動ロックの発生の検出を継続しない場合(ステップS540、NO)、車両乗員検出装置100は
図6における処理を終了する。
【0080】
一方、自動ロック検出部203による自動ロックの発生の検出を継続する場合(ステップS540、YES)、車両乗員検出装置100は、自動ロック検出部203による次の検出タイミングまで、所定時間待機する(ステップS550)。その後、処理はステップS500の前に戻る。
【0081】
ステップS520の判定処理に戻って、相対距離が第1の距離以下でない、すなわち第1の距離より長い場合(ステップS520、NO)、実行タイミング制御部103は、相対距離が第2の距離以下であるか否かについて判定する(ステップS560)。
【0082】
判定の結果、相対距離が第2の距離以下である場合(ステップS560、YES)、実行タイミング制御部103は、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させているか否かについて判定する(ステップS570)。判定の結果、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させている場合(ステップS570、YES)、処理はステップS590に遷移する。乗員検出部102による子供の存在有無の検出は1回行われていれば良く、車載バッテリー201からの電力供給を受けて動作する車両乗員検出装置100において、不必要な検出動作の実行を停止させて電力の消費を抑制するためである。
【0083】
一方、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させていない場合(ステップS570、NO)、実行タイミング制御部103は、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる(ステップS580)。次に、報知部104は、乗員検出部102から出力された検出有無情報を参照し、子供の存在が検出されたか否かについて判定する(ステップS590)。
【0084】
判定の結果、子供の存在が検出されていない場合(ステップS590、NO)、処理はステップS540に遷移する。一方、子供の存在が検出された場合(ステップS590、YES)、車両乗員検出装置100は、距離検出部101により検出された相対距離が所定時間(例えば、10分)継続して第1の距離より長く、かつ、第2の距離以下であるという条件を満たしている否かについて判定する(ステップS600)。
【0085】
判定の結果、距離検出部101により検出された相対距離が所定時間継続して第1の距離より長く、かつ、第2の距離以下であるという条件を満たしていない場合(ステップS600、NO)、処理はステップS540に遷移する。一方、距離検出部101により検出された相対距離が所定時間継続して第1の距離より長く、かつ、第2の距離以下であるという条件を満たしている場合(ステップS600、YES)、報知部104は、子供の存在が検出された旨を報知する(ステップS610)。これにより、保護者の知らない間に車両200に子供が乗り込んでしまい、そのまま保護者が車室内に子供が存在していることに長い時間気づかない可能性がある場合でも、子供の存在が保護者に報知され、車室内への子供の置き去りが実際に発生することを防止することができる。ステップS610の処理が完了することによって、処理はステップS540に遷移する。
【0086】
ステップS560の判定処理に戻って、相対距離が第2の距離以下でない、すなわち第2の距離より長い場合(ステップS560、NO)、実行タイミング制御部103は、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させているか否かについて判定する(ステップS620)。判定の結果、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させている場合(ステップS620、YES)、処理はステップS640に遷移する。乗員検出部102による子供の存在有無の検出は1回行われていれば良く、車載バッテリー201からの電力供給を受けて動作する車両乗員検出装置100において、不必要な検出動作の実行を停止させて電力の消費を抑制するためである。
【0087】
一方、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させていない場合(ステップS620、NO)、実行タイミング制御部103は、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる(ステップS630)。
【0088】
次に、報知部104は、乗員検出部102から出力された検出有無情報を参照し、子供の存在が検出されたか否かについて判定する(ステップS640)。判定の結果、子供の存在が検出された場合(ステップS640、YES)、報知部104は、子供の存在が検出された旨を報知する(ステップS650)。ステップS650の処理が完了することによって、処理はステップS540に遷移する。一方、子供の存在が検出されていない場合(ステップS640、NO)、処理はステップS540に遷移する。
【0089】
このように構成した第3の実施の形態によれば、自動ロック検出部203により自動ロックの発生が検出された場合、車両200と保護者との相対距離に応じて、乗員検出部102における検出動作の実行タイミングが制御される。そのため、例えば、車両200と保護者との相対距離が短い場合、すなわち保護者にとって目の届く範囲に子供が存在し車室内への子供の置き去りが発生していないと想定される場合、乗員検出部102における検出動作が不必要に実行されることを抑制することができる。ひいては、車両乗員検出装置100に電力供給を行う車載バッテリー201において、乗員検出部102の検出動作に係る不必要な電力消費を抑制することができる。
【0090】
なお、上記第1~第3の実施の形態では、距離検出部101は、保護者が所持する携帯端末300と無線機との間における無線通信状態(例えば、受信強度)に基づいて、車両200と保護者との相対距離を検出する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、距離検出部101は、車室外の様子を車外カメラで撮影し、撮影した映像を画像認識することによって、当該映像に含まれる保護者と車両200との相対距離を検出しても良い。
【0091】
また、上記第1~第3の実施の形態では、実行タイミング制御部103は、車両200が停車している場合、距離検出部101により検出された相対距離に応じて、乗員検出部102における検出動作の実行タイミングを制御する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、実行タイミング制御部103は、車両200が停車しているか否かに関わらず、検出された相対距離に応じて、乗員検出部102における検出動作の実行タイミングを制御しても良い。
【0092】
また、上記第1~第3の実施の形態では、実行タイミング制御部103は、車両200と保護者との相対距離に応じて、実行頻度の異なる2種類の実行タイミング(第1の実行タイミング、第2の実行タイミング)で乗員検出部102に検出動作を実行させる例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、実行タイミング制御部103は、車両200と保護者との相対距離に応じて、実行頻度の異なる3種類以上の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させても良い。この場合、実行タイミング制御部103は、車両200と保護者との相対距離が長くなるにつれて実行頻度が段階的に増加する実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させても良い。
【0093】
また、上記第1~第3の実施の形態では、第2の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させるとは、単位時間当たりの検出動作の実行回数が0回であり、検出動作を完全に停止させることを意味している例について説明したが、本発明はこれに限らない。要は、第2の実行タイミングは第1の実行タイミングより実行頻度が低ければ良く、単位時間当たりの検出動作の実行回数を1回以上に設定して、検出動作を完全に停止させなくても良い。
【0094】
また、上記第1~第3の実施の形態では、携帯端末300が1つ、すなわち保護者が1人である例について説明したが、本発明はこれに限らない。保護者は、複数人で良く、例えば運転者とその家族の2人でも良い。この場合、距離検出部101は、複数の保護者が所持する複数の携帯端末300とそれぞれ無線通信を行う無線機を有し、車両200と複数の携帯端末300との相対距離、つまり車両200と複数の保護者との相対距離をそれぞれ検出する。
【0095】
そして、実行タイミング制御部103は、距離検出部101により検出された複数の相対距離の全てが第1の距離より長い場合、第1の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる一方、複数の相対距離のうち1つでも第1の距離以下である場合、第1の実行タイミングより実行頻度が低い第2の実行タイミングで乗員検出部102に検出動作を実行させる。これにより、複数の相対距離のうち1つでも第1の距離以下である場合、すなわち少なくとも1人の保護者にとって目の届く範囲に子供が存在し車室内への子供の置き去りが発生していないと想定される場合、第2の実行タイミングで乗員検出部102の検出動作が実行される。そのため、複数の相対距離のうち1つでも第1の距離以下である場合においても乗員検出部102の検出動作が第1の実行タイミングで実行される場合と比べて、乗員検出部102における検出動作が不必要に実行されることを抑制することができる。
【0096】
また、報知部104は、距離検出部101により検出された複数の相対距離の全てが第2の距離より長く、かつ、乗員検出部102により子供の存在が検出された場合、子供の存在が検出された旨を報知する。これにより、複数の相対距離のうち1つでも第2の距離以下である場合、すなわち保護者が車両200からある程度遠ざかっているものの、車室内への子供の置き去りが発生していると想定しきれない場合、仮に子供の存在が検出されても、その旨の報知動作は実行されない。そのため、複数の相対距離のうち1つでも第2の距離以下である場合においても報知部104の報知動作が実行される場合と比べて、報知部104の報知動作が不必要に実行されることを抑制することができる。
【0097】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0098】
100 車両乗員検出装置
101 距離検出部
102 乗員検出部
103 実行タイミング制御部
104 報知部
200 車両
201 車載バッテリー
202 開閉検出部
203 自動ロック検出部
300 携帯端末