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特開2022-99013砂付き塗膜を有するアンボンドPC鋼より線
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  • 特開-砂付き塗膜を有するアンボンドPC鋼より線 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099013
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】砂付き塗膜を有するアンボンドPC鋼より線
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/80 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
E02D5/80 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212741
(22)【出願日】2020-12-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000170772
【氏名又は名称】黒沢建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】特許業務法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】黒沢 亮平
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041GA01
2D041GC05
2D041GC14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】裸線と同等な付着性能を有し、引張型グラウンドアンカーに適した砂付き樹脂塗膜を有する塗装PC鋼より線を用いて形成したアンボンドPC鋼より線を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂塗膜4に埋設した粒状物6は、最大粒径が200μmであり、75μm未満の粒子の質量割合が60パーセント未満、粒径が75μm以上の粒子の質量割合が40%以上の粒度分布を有する珪砂であり、塗装PC鋼より線1とグラウトとの付着強度が、塗装を施していない裸のPC鋼より線(裸線)とグラウトとの付着強度と略同等であり、塗装PC鋼より線1とポリエチレン被覆7との摩擦係数λ(1/m)が0.002以下であるものとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PC鋼より線の外周面にエポキシ樹脂塗膜を形成し、各素線間の隙間にエポキシ樹脂が充填され、前記エポキシ樹脂塗膜に粒状物を埋設した塗装PC鋼より線と、
前記塗装PC鋼より線を覆うポリエチレン被覆と、
前記塗装PC鋼より線と前記ポリエチレン被覆との隙間に充填された充填材と、を有し、
前記粒状物は、最大粒径が200μmであり、75μm未満の粒子の質量割合が60パーセント未満、粒径が75μm以上の粒子の質量割合が40%以上の粒度分布を有する珪砂であり、
前記塗装PC鋼より線とグラウトとの付着強度が、塗装を施していない裸のPC鋼より線とグラウトとの付着強度と略同等であり、
前記塗装PC鋼より線と前記ポリエチレン被覆との摩擦係数λ(1/m)が0.002以下であることを特徴とするアンボンドPC鋼より線。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂塗膜のクラウン部の厚さが400μm以上であることを特徴とする請求項1に記載のアンボンドPC鋼より線。
【請求項3】
引張型グラウンドアンカーの緊張材として用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンボンドPC鋼より線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引張型グラウンドアンカーの緊張材などに用いることができる砂付き塗膜を有するアンボンドPC鋼より線に関するものである。
【背景技術】
【0002】
引張型グラウンドアンカーは、アンカー頭部と、アンカー自由長部およびアンカー体長部で構成されるアンカー長部と、で構成される。
【0003】
アンカーの緊張材としては、表面に合成樹脂塗膜(被膜ともいう)が形成されたPC鋼より線がよく使われている。この種のPC鋼より線には主に以下の2つのタイプがある。
【0004】
タイプ1としては、特許文献1の図3に示すように、PC鋼より線の心線と側線の全外周面にそれぞれエポキシ樹脂被膜が形成されるものである。このタイプ1は、心線と側線とを1本1本単独で塗装した後に、より合わせたものであるため、側線相互間の螺旋状溝が裸線と同じように形成され、固化材(コンクリートやグラウト)との高い付着力が得られる。
【0005】
タイプ2としては、特許文献1の図6に示すように、PC鋼より線の表面にエポキシ樹脂被膜を形成し、素線間の隙間にエポキシ樹脂を充填したものである。このタイプ2では、螺旋状溝部分が樹脂被膜に埋もれて浅くなり、タイプ1と比較して、固化材との付着力が低くなる。
【0006】
この問題を解決するため、樹脂被膜の表面に砂状粒子を吹き付けて表面の付着性能を高める方法が特許文献に開示されている。その中で、上記課題に対して具体的な構成を示しており、実用性が高いものは、下記特許文献2である。特許文献2においては、被覆層(本願の塗膜に相当)に埋設された粒状体の粒度分布、摩擦係数、及び、グラウトとの付着強度が特定され、特許が認められている。また、特許文献3にも同様な課題に対する解決手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3172486号公報
【特許文献2】特許第3612478号公報
【特許文献3】特許第3833658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明は、引張型グラウンドアンカーに用いることができる上記タイプ2の塗装PC鋼より線に限定し、上記タイプ1を対象外とする。特許文献2又は3では、PC鋼より線の被覆層(塗膜層または被膜層)に粒子を付けることに関して、グラウトとの付着性能と、シースとの低摩擦性という相反する2つの要素を、両要素が偏らず、中間的になるように粒子の粒度分布を限定している。
【0009】
ところが、このようにした塗装PC鋼より線とグラウトとの付着強度は、塗装を施していない裸のPC鋼より線(裸線ともいう)とグラウトとの付着強度の90%程度に留まり、それと同等な付着強度が得られなかった。引張型グラウンドアンカーにとっては、付着性能が命とも言えるものであり、裸線と同等な付着性能を有する塗装PC鋼より線の開発が課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本願発明の第1の態様は、
PC鋼より線の外周面にエポキシ樹脂塗膜を形成し、各素線間の隙間にエポキシ樹脂が充填され、前記エポキシ樹脂塗膜に粒状物を埋設した塗装PC鋼より線と、
前記塗装PC鋼より線を覆うポリエチレン被覆と、
前記塗装PC鋼より線と前記ポリエチレン被覆との隙間に充填された充填材と、を有し、
前記粒状物は、最大粒径が200μmであり、75μm未満の粒子の質量割合が60パーセント未満、粒径が75μm以上の粒子の質量割合が40%以上の粒度分布を有する珪砂であり、
前記塗装PC鋼より線とグラウトとの付着強度が、塗装を施していない裸のPC鋼より線とグラウトとの付着強度と略同等であり、
前記塗装PC鋼より線と前記ポリエチレン被覆との摩擦係数λ(1/m)が0.002以下であることを特徴とするアンボンドPC鋼より線である。
【0011】
また、第2の態様は、
前記エポキシ樹脂塗膜のクラウン部の厚さが400μm以上であることを特徴とする第1の態様に記載のアンボンドPC鋼より線である。
【0012】
また、第3の態様は、
引張型グラウンドアンカーの緊張材として用いられることを特徴とする第1又は第2の態様に記載のアンボンドPC鋼より線である。
【発明の効果】
【0013】
粒子の大きさと粒度分布を合理的かつ適切に定めて付着性能を強化した塗装PC鋼より線を形成することによって、引張型グラウンドアンカーの緊張材として使用する場合でも、裸のPC鋼より線と同等な付着性能が得られる。また、アンカー体長部では2重防錆構造(エポキシ樹脂塗膜およびグラウト)となる。これにより、安定したアンカー性能が得られると共に、経済的かつ合理的な引張型アンカーとなり、かつ、耐食性、耐久性が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本願の実施形態に係るアンボンドPC鋼より線の断面図である。図1(a)は砂付き樹脂塗膜を有する塗装PC鋼より線の断面図、図1(b)は当該塗装PC鋼より線の外周にPE被覆をしたアンボンドPC鋼より線の断面図を示している。
図2】本願の実施形態に係る砂付きエポキシ樹脂塗膜形成加工ラインの塗装装置を示す側面図である。
図3】本願の実施形態に係る砂付き樹脂塗膜を有するアンボンドPC鋼より線を使用した引張型グラウンドアンカーを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1(a)は本願の実施形態に係る砂付き樹脂塗膜を有する塗装PC鋼より線1の断面を示している。塗装PC鋼より線1は、6本の側線2と1本の心線3の計7本の素線で形成される、7本よりのPC鋼より線である。塗装PC鋼より線1は、素線の外周面全体にエポキシ樹脂塗膜4を形成し、各素線の間にはエポキシ樹脂5が充填されている。エポキシ樹脂塗膜4の表面には、粒状物として珪砂6が埋設され、珪砂6の一部がエポキシ樹脂塗膜4の表面から突出して露出している。エポキシ樹脂塗膜4のクラウン部4aの塗膜厚は、400μm以上1200μm以下の範囲とすることが好ましい。
なお、樹脂は、エポキシとすることが好ましいが、他の合成樹脂とすることもできる。
【0016】
図1(b)は、砂付き樹脂塗膜を有する塗装PC鋼より線1の外周をポリエチレン被覆(以下、「PE被覆7」とする)で覆い、塗装PC鋼より線1とPE被覆7の隙間に充填材8を充填して形成されたアンボンドPC鋼より線10を示している。充填材8としてはグリース又はワックスを用いることができる。
【0017】
アンボンドPC鋼より線10の摩擦係数λ、つまり、砂付き樹脂塗膜を有する塗装PC鋼より線1とPE被覆7との摩擦係数λ(1/m)は、本願発明の限定した用途(引張型グラウンドアンカーの緊張材として使用)に合わせて、λ≦0.002とする。
【0018】
珪砂6の好ましい粒度分布を表1に示す。
【表1】
【0019】
この粒度分布を用いた塗装PC鋼より線1とグラウトとの付着試験を行った結果、同一試験条件で実施した裸線の試験結果との比較において、塗装PC鋼より線1の付着強度は、裸線の付着強度の97%以上であり、裸線と略同等の付着強度を得られることが確認された。
【0020】
また、塗装PC鋼より線1を用いて、外周に押出成形方式でPE被覆7を形成したアンボンドPC鋼より線10の摩擦性能の確認試験(塗装PC鋼より線1とPE被覆7との摩擦係数測定試験)を行った。その結果として、摩擦係数λ(1/m)が、λ=0.0011から0.0014であり、0.002以下であることが確認された。
【0021】
これらの試験結果により、本願発明の粒状物の設定値等によって、所要の付着性能と摩擦係数が得られることが確認できた。ただし、表1に示す珪砂の代わりに、マイカ、カオリンを用いても良い。
【0022】
次に、塗装PC鋼より線1の砂付きエポキシ樹脂塗膜形成方法と加工ラインの塗装装置11について、図2とともに説明する。
【0023】
7本よりのPC鋼より線の素線12は、1本の心線3に対して6本の側線2が、螺旋状により合わされたものである。素線12は、アンコイラー装置14に巻きコイル状に取られている。アンコイラー装置14は塗装装置11の始端部側にセットされる。
【0024】
セットされたアンコイラー装置14から素線12が引き出され、緩解装置15を介して心線3により合わされている側線2がより戻される。より戻された側線2は、樹脂塗膜4の形成加工中においては、長さ方向に所定間隔をもって配設された複数の拡開維持装置17によって、心線3から所定間隔に広げられた状態に維持される。
【0025】
拡開維持装置17の次には、拡開した心線3と側線2の表面の汚れや錆を除去するためのショットブラスト装置18が配設される。ショットブラスト装置18によるショットブラストの後に、静電粉体塗装法による塗装を行う。
【0026】
静電粉体塗装法による塗装を行う粉体塗装装置19としては、例えば、熱硬化性の合成樹脂粉体を供給して静電塗装を行うものがある。好ましくは、熱硬化性エポキシ樹脂粉体を、拡開されている心線3と側線2の表面に、静電気により均等に付着させる。熱硬化性エポキシ樹脂粉体の付着前に素線12(側線2と心線3)を前加熱装置20により加熱し、熱硬化性エポキシ樹脂粉体の付着後に素線12を中間加熱装置21により再度加熱することで、素線12に付着した熱硬化性エポキシ樹脂粉体が一時的に溶融状態(ゲル状)になって心線3及び側線2の各外周面を覆う。なお、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂以外に、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等を採用することもできる。
【0027】
心線3及び側線2の外周面を覆った樹脂層が硬化する前、即ち、溶融状態(ゲル状)にある間に緩閉装置22により心線3に側線2をより合わせることによって、より合わされた心線3と側線2とのより合わせの隙間に樹脂が充填される。
【0028】
次いで、粒状物としての珪砂6を、吹き付け装置23によって、溶融状態(ゲル状)にある樹脂層の表面に付着させる。また、後加熱装置24によって、熱硬化性樹脂を硬化させてエポキシ樹脂塗膜4が形成される。さらに、エポキシ樹脂塗膜4の表面に珪砂6が固着されて砂付き樹脂塗膜を有する塗装PC鋼より線1が形成される。
【0029】
その後、冷却装置25を通し塗装PC鋼より線1を速やかに常温に戻し、膜厚測定装置26により塗装PC鋼より線1の塗膜の膜厚を測定する。膜厚測定装置26は、膜厚が許容値を超えると警報と信号を発する。また、ピンホール検出装置27によって塗膜のピンホールの有無を検出する。ピンホール検出装置27はピンホールが検出された位置にマーキングを施す。これらの検査後に、上下に無端ベルトが配された引取装置28によって塗膜を傷つけないように塗装PC鋼より線1を送り出し、巻取装置29が塗装PC鋼より線1を巻き取る。
【0030】
塗装PC鋼より線1のクラウン部4aの塗膜の膜厚を400μm以上とすることで、粉状物の最大粒径が200μm、粒径75μm以上の粒子の質量割合が40%以上の粒度分布を有する珪砂6を吹き付けても、一時的に溶融状態(ゲル状)となった未硬化樹脂層を、珪砂6が貫通して素線12まで到達するのを防ぐことができる。これにより、防錆層としての樹脂塗膜の形成が確保されると共に、上記特許文献2及び3に比べて、付着力が一層強化される。しかも、引張型グラウンドアンカーの自由長部となる部分において、アンボンド状態(PE被覆と隙間潤滑充填)とし、かつ、塗装PC鋼より線1とPE被覆7との摩擦係数λ(1/m)が0.002以下にしてある。これにより、引用文献2において、緊張材とシースとの摩擦係数λが0.004であり、本願発明の2倍と大きいことにより、導入された緊張力の損失が大きくなるという問題も解消される。また、上記特許文献2及び3に開示された従来技術よりも粒径が比較的大きい珪砂6を使用して、エポキシ樹脂塗膜4が溶融状態(ゲル状)にあるときに珪砂6を吹き付けて付着させることによって、珪砂6が未硬化樹脂層に所定の深さまで埋め込まれて、硬化した樹脂塗膜4にしっかりと埋設されて固着されるとともに、樹脂層の表面より所要の高さで突出するため、所定の摩擦係数が得られる。しかも、施工時に珪砂6が脱落するのを防ぐこともできる。
【0031】
押し出し成型法によって塗装PC鋼より線1の外周にPE被覆7を形成することについては、従来技術と相違はないため、図示と詳しい説明は省略する。
【0032】
次に、本願発明のアンボンドPC鋼より線10を用いて、引張型グラウンドアンカー30を構築する方法を図3と共に説明する。
【0033】
最初に、緊張材としてのアンボンドPC鋼より線10の、アンカー自由長部31となる部分を、PE被覆7が付いたアンボンドの状態、アンカー体長部32となる部分を、PE被覆7を剥離して砂付き樹脂塗膜を有する塗装PC鋼より線1を露出した状態にしておく。また、緊張材の頭部(アンカー頭部)にも同様に、所定の長さまでPE被覆7を剥離して塗装PC鋼より線1を露出した状態にしておく。次に、この状態のアンボンドPC鋼より線10を、所要の本数、結束具33によって束ねて削孔内に挿入する。挿入されたアンボンドPC鋼より線10の頭部においては、露出されている塗装PC鋼より線1に定着具34を取り付け、仮止めしておく。
【0034】
その後、アンボンドPC鋼より線10と削孔との隙間にグラウト35を注入して硬化させる。グラウト35が硬化してアンカー体長部32と付着し、一体化した後に、アンカー頭部にてアンボンドPC鋼より線10から露出した塗装PC鋼より線1を、定着具34を用いて緊張定着する。
【0035】
本実施形態にかかるアンボンドPC鋼より線10は、アンカー自由長部31に配置されるPE被覆7と塗装PC鋼より線1との摩擦係数λ(1/m)を非常に小さくしてあるため、緊張時の緊張力の損失が生じるのを防ぎながら、所定のプレストレスを導入することができる。また、アンカー体長部32において、塗装PC鋼より線1とグラウト35との摩擦係数が、裸線とグラウトとの摩擦係数の97%以上であり、裸線の摩擦係数と略同等であることによって、緊張材を長くする必要が無く、上記特許文献2及び3に開示された従来技術よりも経済的で安全性の高い引張型グラウンドアンカー30となる。
【0036】
なお、本願発明に係る砂付き樹脂塗膜を有する塗装PC鋼より線は、引張型グラウンドアンカーに適用することが最適であるが、その他、プレテンション方式でPC構造部の緊張材とすることもできる。
【符号の説明】
【0037】
1 塗装PC鋼より線
2 側線
3 心線
4 エポキシ樹脂塗膜
4a クラウン部
5 エポキシ樹脂
6 珪砂
7 PE被覆
8 充填剤
10 アンボンドPC鋼より線
11 樹脂塗膜形成加工ラインの塗装装置
12 素線
14 アンコイラー装置
15 緩解装置
17 拡開維持装置
18 ショットブラスト装置
19 粉体塗装装置
20 前加熱装置
21 中間加熱装置
22 緩閉装置
23 吹き付け装置
24 後加熱装置
25 冷却装置
26 膜圧測定装置
27 ピンホール検出装置
28 引取装置
29 巻取装置
30 引張型グラウンドアンカー
31 アンカー自由長部
32 アンカー体長部
33 結束具
34 定着具
35 グラウト
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PC鋼より線の外周面にエポキシ樹脂塗膜を形成し、各素線間の隙間にエポキシ樹脂が充填され、前記エポキシ樹脂塗膜に粒状物を埋設した塗装PC鋼より線と、
前記塗装PC鋼より線を覆うポリエチレン被覆と、
前記塗装PC鋼より線と前記ポリエチレン被覆との隙間に充填された充填材と、を有し、
前記粒状物は、最大粒径が200μmであり、75μm未満の粒子の質量割合が60パーセント以下、粒径が75μm以上の粒子の質量割合が40%以上の粒度分布を有する珪砂であり、
前記塗装PC鋼より線とグラウトとの付着強度が、塗装を施していない裸のPC鋼より線とグラウトとの付着強度と略同等であり、
前記塗装PC鋼より線と前記ポリエチレン被覆との摩擦係数λ(1/m)が0.002以下であることを特徴とするアンボンドPC鋼より線。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂塗膜のクラウン部の厚さが400μm以上であることを特徴とする請求項1に記載のアンボンドPC鋼より線。
【請求項3】
引張型グラウンドアンカーの緊張材として用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンボンドPC鋼より線。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記課題を解決する本願発明の第1の態様は、
PC鋼より線の外周面にエポキシ樹脂塗膜を形成し、各素線間の隙間にエポキシ樹脂が充填され、前記エポキシ樹脂塗膜に粒状物を埋設した塗装PC鋼より線と、
前記塗装PC鋼より線を覆うポリエチレン被覆と、
前記塗装PC鋼より線と前記ポリエチレン被覆との隙間に充填された充填材と、を有し、
前記粒状物は、最大粒径が200μmであり、75μm未満の粒子の質量割合が60パーセント以下、粒径が75μm以上の粒子の質量割合が40%以上の粒度分布を有する珪砂であり、
前記塗装PC鋼より線とグラウトとの付着強度が、塗装を施していない裸のPC鋼より線とグラウトとの付着強度と略同等であり、
前記塗装PC鋼より線と前記ポリエチレン被覆との摩擦係数λ(1/m)が0.002以下であることを特徴とするアンボンドPC鋼より線である。