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特開2022-99032流体パッケージおよび流体パッケージの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099032
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】流体パッケージおよび流体パッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/30 20060101AFI20220627BHJP
   B65D 30/10 20060101ALI20220627BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20220627BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
B65D81/30 C
B65D30/10 Y
B65D33/38
B65D33/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212771
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】温井 康介
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 健太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 栄一
(72)【発明者】
【氏名】坂口 愛
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064BA21
3E064BC20
3E064EA30
3E064FA03
3E064GA04
3E064HA06
3E064HB02
3E064HH00
3E064HM01
3E064HN05
3E064HS04
3E067AA03
3E067AB01
3E067AB26
3E067AB96
3E067AB99
3E067AC01
3E067BA12A
3E067BB14A
3E067CA07
3E067CA11
3E067CA12
3E067CA15
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB15
3E067EE20
3E067EE59
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
3E067GA01
3E067GD01
3E067GD07
(57)【要約】
【課題】流体に外光が照射されない構成で、スパウトのパウチに対する溶着具合を容易に確認することができる流体パッケージおよび流体パッケージの製造方法を提供する。
【解決手段】流体パッケージは、流体が充填される充填室と充填室の周囲を閉塞するパウチ用溶着部とを有すると共に遮光性を備える遮光部を有するパウチと、充填室とパウチの外部とを連通する連通路を有すると共にパウチ用溶着部の一部に溶着されるスパウト用溶着部を有するスパウトとを備え、パウチ用溶着部は、充填室から離間し、かつスパウト用溶着部の少なくとも一部に重なる透明部を有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が充填される充填室と前記充填室の周囲を閉塞するパウチ用溶着部とを有すると共に遮光性を備える遮光部を有するパウチと、
前記充填室と前記パウチの外部とを連通する連通路を有すると共に前記パウチ用溶着部の一部に溶着されるスパウト用溶着部を有するスパウトと、を備え、
前記パウチ用溶着部は、前記充填室から離間し、かつ前記スパウト用溶着部の少なくとも一部に重なる透明部を有している、流体パッケージ。
【請求項2】
前記パウチの前記充填室は2枚のフィルムを前記パウチ用溶着部において溶着することにより形成されている、請求項1に記載の流体パッケージ。
【請求項3】
前記パウチ用溶着部は、前記スパウト用溶着部に隣接する隣接部を有し、
前記透明部は、前記スパウト用溶着部の一部から前記パウチ用溶着部の前記隣接部に亘る領域に配置されている、請求項1又は2に記載の流体パッケージ。
【請求項4】
前記スパウトは、前記パウチの、前記連通路の延伸方向に直交する方向である幅方向における中央に溶着され、
前記パウチ用溶着部は、前記スパウトの前記幅方向の両側のうち少なくとも片側に設けられて所定の情報を示す情報開示領域を有しており、
前記透明部は、前記幅方向において前記情報開示領域よりも前記スパウトの近くに配置されている、請求項1乃至3の何れか1項に記載の流体パッケージ。
【請求項5】
前記スパウトは、前記パウチの、前記連通路の延伸方向に直交する方向である幅方向における中央に溶着され、
前記充填室と前記スパウトとの間に、前記幅方向における寸法が前記充填室の前記幅方向における寸法よりも短いバッファ部が形成されており、
前記透明部は、前記幅方向において前記バッファ部よりも前記スパウトの近くに配置されている、請求項1乃至4の何れか1項に記載の流体パッケージ。
【請求項6】
前記透明部は、前記連通路の延伸方向に直交する方向である幅方向において前記スパウトの両側に配置された第1透明部および第2透明部を含む、請求項1乃至5の何れか1項に記載の流体パッケージ。
【請求項7】
前記スパウト用溶着部は当該スパウト用溶着部の外周に複数の凹凸部を有し、
前記透明部の一部は前記複数の凹凸部のうち少なくとも一部と重なっている、請求項1乃至6の何れか1項に記載の流体パッケージ。
【請求項8】
前記遮光部は前記透明部の周囲の少なくとも一部に設けられ、
前記スパウトのうち前記連通路の延伸方向に沿う外周面は、前記透明部と前記遮光部との境界線に対して平行である、請求項1乃至7の何れか1項に記載の流体パッケージ。
【請求項9】
前記流体パッケージは、前記パウチを巻き取る巻取機構を搭載した装着部に着脱可能であり、
前記パウチは、前記装着部に装着されたときに、前記巻取機構により、前記連通路の延伸方向に沿って巻き取られるように構成されている、請求項1乃至8の何れか1項に記載の流体パッケージ。
【請求項10】
流体が充填される充填室と前記充填室の周囲を閉塞するパウチ用溶着部とを有すると共に遮光性を備える遮光部を有するパウチと、前記充填室と前記パウチの外部とを連通する連通路を有すると共に前記パウチ用溶着部の一部に溶着されるスパウト用溶着部を有するスパウトとを備え、前記パウチ用溶着部が前記充填室から離間し、かつ前記スパウト用溶着部の少なくとも一部に重なる透明部を有する流体パッケージの製造方法であって、
前記スパウトのうち前記連通路の延伸方向に沿う外周面が前記透明部と前記遮光部との境界線に対して平行となるように前記スパウトを前記パウチに位置決めした状態で溶着し、
前記スパウトにニードルを刺して前記充填室に流体を分注し、
前充填室に流体を分注した後、前記ニードルを介して前記充填室の脱気を行い、
前記ニードルを抜いた後、前記透明部を介して前記スパウトの前記パウチに対する溶着具合を確認する、流体パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体パッケージおよび流体パッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、表面部および裏面部と、表面部と裏面部との間に折り込まれた側面ガセット部とを有し、表面部、裏面部および側面ガセット部が遮光性を有する1枚のフィルムから形成されたパウチが開示されている。このパウチにおいては、側面ガセット部に透光性を有する透光部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-179385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のパウチでは、上述の通り透光部が側面ガセット部に形成されているため、表裏面に対する側面ガセット部の接着部分を、当該透光部を介して確認することでその接着良否を検査することはできる。しかしながら、途中の内容物が視界を悪くするため透光部から離れたスパウトのパウチに対する溶着具合は、透光部を介して確認することはできない。また、透光部を介して光が入射するため、内容物に光が照射されてしまうので好ましくない。
【0005】
そこで、本発明は、流体に外光が照射されない構成で、スパウトのパウチに対する溶着具合を容易に確認することができる流体パッケージおよび流体パッケージの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の流体パッケージは、流体が充填される充填室と前記充填室の周囲を閉塞するパウチ用溶着部とを有すると共に遮光性を有するパウチと、前記充填室と前記パウチの外部とを連通する連通路を有すると共に前記パウチ用溶着部の一部に溶着されるスパウト用溶着部を有するスパウトと、を備え、前記パウチ用溶着部は、前記充填室から離間し、かつ前記スパウト用溶着部の少なくとも一部に重なる透明部を有しているものである。
【0007】
本発明に従えば、透明部がスパウト用溶着部の少なくとも一部に重なるように設けられているので、当該透明部を介してスパウトのパウチに対する溶着具合を容易に確認することができる。また、上記の通り透明部がスパウト用溶着部の少なくとも一部に重なるように設けられているため、外光が流体に照射されることもない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、流体に外光が照射されない構成で、スパウトのパウチに対する溶着具合を容易に確認することができる流体パッケージおよび流体パッケージの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る流体パッケージを示す斜視図である。
図2図1の流体パッケージの部分平面図である。
図3図2のIII-III線断面図である。
図4】透明部とスパウト用溶着部との位置関係を示す平面図である。
図5】パウチを巻き取る巻取機構を示す図である。
図6】本実施形態の流体パッケージの製造方法を示すフローチャートである。
図7図2のIII-III線断面の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る流体パッケージについて図面を参照して説明する。以下に説明する流体パッケージは本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除および変更が可能である。
【0011】
図1は本発明の一実施形態に係る流体パッケージ100を示す斜視図である。図1において、互いに直交する方向を延伸方向および幅方向とする。本実施形態において、延伸方向とは後述のスパウトの連通路が延在する方向である。この延伸方向において、後述のスパウトの側を前方とし、その逆側を後方とする。また、幅方向において上記スパウトに向かって右側を右方とし、その逆側を左方とする。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の流体パッケージ100は、例えば2枚のフィルムで構成されるパウチ10および例えば樹脂材料からなるスパウト20を備えている。パウチ10は流体が充填される充填室1を有している。本実施形態の流体パッケージ100が例えば特開2009-56695号公報に示されるようなインクジェット記録装置に供給するインクを貯留する流体パッケージである場合には、充填室1には流体として紫外線硬化型のインクが充填される。また、パウチ10には、所定の情報として流体に関する情報を示す情報開示領域14が設けられている。なお、情報開示領域14については後述する。
【0013】
図2図1の流体パッケージの部分平面図である。また、図3図2のIII-III線断面図である。
【0014】
図2に示すように、本実施形態のパウチ10は当該パウチ10にスパウト20が溶着された状態で充填室1の周囲を閉塞するパウチ用溶着部2を有している。このパウチ10の充填室1は、可撓性を有する2枚のフィルム10a,10b(図3)をパウチ用溶着部2において溶着することで形成される。パウチ用溶着部2は、充填室1の前部1aを先細り状に形成することに起因して当該パウチ用溶着部2の前方部分の幅(幅方向における長さ)が当該前方部分以外の部分の幅よりも大きくなるように形成されている。
【0015】
また、パウチ10は遮光性を有する遮光部3を有する。流体として紫外線硬化型のインクを充填する場合には、パウチ10は当該インクが硬化しない程度の遮光率を有する素材で形成される。図2において遮光部3の領域をハッチング(斜線)にて図示している。なお、パウチ用溶着部2の領域と遮光部3の領域とが全部重複してもよいし、部分的に重複してもよい。
【0016】
スパウト20は、パウチ10に対して当該パウチ10の幅方向における中央に溶着されている。この場合、スパウト20は、パウチ10の幅方向中央と当該スパウト20の幅方向中央とが一致するようにパウチ10に対して溶着されてもよい。或いは、スパウト20が当該スパウト20の幅方向中央がパウチ10の幅方向中央から幅方向に所定距離(例えばスパウト20の幅方向における最大寸法分に相当する距離)ずれた状態でパウチ10に対して溶着された態様も、スパウト20がパウチ10に対して当該パウチ10の幅方向における中央に溶着されたものに含まれる。スパウト20は、その前端部がパウチ10の前端から突出するように配置される。スパウト20は、管状に形成されており、充填室1とパウチ10の外部とを連通する連通路11を有している。また、スパウト20はパウチ用溶着部2の前部に溶着されるスパウト用溶着部12を有している。なお、流体として紫外線硬化型のインクを充填室1に充填する場合には、スパウト20に遮光性を持たせるため、スパウト20は遮光性を有する素材で構成されたり、当該スパウト20に黒色の塗料を塗ったりする。
【0017】
パウチ用溶着部2はスパウト用溶着部12に隣接する隣接部13を有している。また、パウチ用溶着部2は、スパウト20の幅方向の両側のうち少なくとも片側に設けられ且つ流体に関する情報を示す情報開示領域14を有している。本実施形態では、情報開示領域14はスパウト20の両側に設けられている。なお、上記流体に関する情報は、当該流体がインクである場合には例えばインクの色や消費期限、充填量等を示す情報を含む。
【0018】
また、充填室1とスパウト20との間に、幅方向における長さが充填室1の幅方向における幅よりも小さいバッファ部15が形成されている。バッファ部15は充填室1の前部1aを取り囲むように円環状に形成された空間である。バッファ部15はパウチ10の巻き取り易さを確保する観点およびパウチ10とスパウト20との隙間から流体が漏れるのを防ぐ観点から設けられるものである。
【0019】
ここで、パウチ用溶着部2は、充填室1から離間し且つスパウト用溶着部12の少なくとも一部に重なる透明部4を有している。遮光部3は透明部4の周囲の少なくとも一部に設けられる。スパウト20のうち延伸方向に沿う外周面12bは、透明部4と遮光部3との境界線L1に対して平行である。透明部4は、例えば、無色透明であってもよく、有色透明であってもよく、或いは半透明であってもよい。透明部4は、スパウト20の外周面12bおよび境界線L1の位置が外部から把握できる程度の遮光性を有するものであればよい。
【0020】
透明部4は、連通路11の幅方向において、スパウト20の両側に配置された第1透明部4aおよび第2透明部4bを含む。以下、単に透明部4と記載するときは、当該透明部4に第1透明部4aおよび第2透明部4bが含まれることとする。
【0021】
図2において、第1透明部4aはスパウト用溶着部12の一部に重なっており、具体的には当該第1透明部4aの右部分とスパウト用溶着部12の一部とが重なっている。また、第2透明部4bはスパウト用溶着部12の一部に重なっており、具体的には当該第2透明部4bの左部分とスパウト用溶着部12の一部とが重なっている。このような構成によって、パウチ用溶着部2の一部に溶着されたスパウト用溶着部12の溶着具合を第1透明部4aおよび第2透明部4bを介して確認することができるようになっている。
【0022】
本実施形態において、透明部4の他構成要素に対する位置関係は次の通りである。第1透明部4aは幅方向において右方の情報開示領域14よりもスパウト20の側に配置されている。また、第2透明部4bは幅方向において左方の情報開示領域14よりもスパウト20の側に配置されている。
【0023】
また、第1透明部4aおよび第2透明部4bは、幅方向においてバッファ部15よりもスパウト20の側に配置されている。さらに、第1透明部4aおよび第2透明部4bは、スパウト用溶着部12の一部からパウチ用溶着部2の上記隣接部13に亘る領域に配置されている。
【0024】
図4に示すように、スパウト用溶着部12は当該スパウト用溶着部12の外周に複数の凹凸部12aを有している。凹凸部12aのうち凹部分はスパウト用溶着部12の外周から連通路11の側に凹んで形成される。第1透明部4aは複数の凹凸部12aのうち少なくとも一部と重なるように配置されている。なお、第2透明部4bとスパウト用溶着部12との位置関係も同様である。
【0025】
続いて、本実施形態の流体パッケージ100のパウチ10の巻き取り方法について説明する。図5に示すように、流体パッケージ100は遮光性を備えるパッケージケース50内に設置される。パッケージケース50は例えば特許第6372369号公報に示されるような機構を備えるプリンタに装着可能なパッケージケースであってもよい。パッケージケース50内の下部には板バネ70が設けられている。板バネ70は延伸方向に延在し、当該延伸方向の前方に付勢力を生じるように構成されている。板バネ70の前端はパッケージケース50内の下部に固定され、当該板バネ70の後端は軸部材である巻取機構60に巻回された状態で固定される。巻取機構60は幅方向に延在し、当該幅方向の両端に突出部61がそれぞれ設けられている。各突出部61はパッケージケース50の各側壁に延伸方向に移動自在にそれぞれ支持されている。
【0026】
上記の構成において、スパウト20をパッケージケース50内に設けられた装着部51に装着し、パウチ10を板バネ70上に配置する。このとき、パウチ10の後端は巻取機構60と板バネ70とに挟持される。この状態でパウチ10内のインクが外部に導出されることで当該パウチ10の厚みが薄くなっていくのに伴って、巻取機構60は板バネ70の付勢力により延伸方向の前方に移動しつつパウチ10を巻き取る。なお、板バネ70の代わりにプリンタ内に設けられたモータによりパウチ10を巻き取る動力を生じさせてもよい。
【0027】
続いて、本実施形態における流体パッケージ100の製造方法についてフローチャートを用いて説明する。
【0028】
最初に、スパウト20のうち連通路11の延伸方向に沿う外周面12bが透明部4と遮光部3との境界線L1に対して平行となるように当該スパウト20をパウチ10に位置決めした状態で溶着する(溶着工程:ステップS1)。
【0029】
次に、スパウト20にニードルを刺して充填室1に流体を分注する(分注工程:ステップS2)。充填室1に流体を分注した後、ニードルを介して充填室1の脱気を行う(脱気工程:ステップS3)。
【0030】
その後、ニードルを抜いた後、透明部4を介してスパウト20のパウチ10に対する溶着具合を確認する(溶着具合確認工程:ステップS4)。
【0031】
以上のように、本実施形態の流体パッケージ100によれば、透明部4がスパウト用溶着部12の少なくとも一部に重なるように設けられているので、当該透明部4を介してスパウト20のパウチ10に対する溶着具合を容易に確認することができる。また、上記の通り、透明部4が充填室1から離間してスパウト用溶着部12の少なくとも一部に重なるように設けられているため、外光が流体に照射されることもない。
【0032】
また、本実施形態では、パウチ10の充填室1は2枚のフィルム10a,10bをパウチ用溶着部2において溶着することにより形成されている。このように2枚のフィルム10a,10bの溶着によりマチの無い流体パッケージ100を形成することで、当該流体パッケージ100を巻き取り易くする。
【0033】
また、本実施形態では、透明部4はスパウト用溶着部12の一部からパウチ用溶着部2の隣接部13に亘る領域に配置されている。これにより、特に、パウチ10に対するスパウト20の溶着不良で漏れ易い領域を確認し易くなる。
【0034】
また、本実施形態では、透明部4は幅方向において情報開示領域14よりもスパウト20の側に配置されている。この点につき、スパウト20をパウチ10に溶着する際には、透明部4の端部(つまり透明部4と遮光部3との境界線L1)とスパウト20との平行具合を見ることでスパウト20の溶着時の姿勢を決めている。上述の通り、透明部4が情報開示領域14よりもスパウト20の側に配置されることで、透明部4の端部が情報開示領域14と重なることを回避することができるため、スパウト20の溶着時に当該スパウト20の姿勢を確認し易くする。
【0035】
また、本実施形態では、透明部4は幅方向においてバッファ部15よりもスパウト20の近くに配置されている。これにより、スパウト20の近くに透明部4を位置付けることができ、スパウト20の溶着時に当該スパウト20の姿勢を確認し易くする。なお、上記の「近く」とは、例えば図2において透明部4bの右端が、左方のバッファ部15の右端よりも右方に位置する態様を含む主旨であり、また、同図において透明部4aの左端が、右方のバッファ部15の左端よりも左方に位置する態様を含む主旨である。
【0036】
また、本実施形態では、透明部4は幅方向においてスパウト20の両側に配置された第1透明部4aおよび第2透明部4bを含んでいる。これにより、スパウト20の幅方向両側において当該スパウト20のパウチ10に対する溶着具合を容易に確認することができる。
【0037】
また、本実施形態では、第1透明部4aは複数の凹凸部12aのうち少なくとも一部と重なるように配置されており、第2透明部4bは複数の凹凸部12aのうち少なくとも一部と重なるように配置されている。凹凸部12aはスパウト20のパウチ10に対する溶着時に当該スパウト20の樹脂を凹凸部12aに逃がすことで溶着を強固にするためのものである。この場合、スパウト20のパウチ10に対する溶着時に凹凸部12aに逃がした樹脂を第1透明部4aおよび第2透明部4bを介して見ることで、スパウト20のパウチ10に対する溶着具合を確認することができる。
【0038】
また、本実施形態では、スパウト20のうち延伸方向に沿う外周面12bは、透明部4と遮光部3との境界線L1に対して平行である。この点につき、仮にスパウト20がパウチ10に対してずれて溶着されると、流体パッケージ100の巻き取りを行う場合に、スパウト20を装着部51に装着した状態でパウチ10がパッケージケース50に入らないことがある。ここでは、上記のように外周面12bが境界線L1に対して平行となるようにスパウト20をパウチ10に対して位置決めすることができ、また適切に位置決めされた状態でスパウト20をパウチ10に対して溶着することができる。これによって、パウチ10がパッケージケース50に入らなくなる事態を防ぐことができる。
【0039】
また、本実施形態では、上述の通りスパウト20をパウチ10に対して適切に位置決めした状態で溶着することができる。そのため、流体パッケージ100の巻き取りの際に、パウチ10がパッケージケース50の側壁に接触し摩擦が生じることでパウチ10を巻き取り難くなるような事態が起きない。
【0040】
さらに、本実施形態では、スパウト20にニードルを刺して充填室1に流体を分注した後、ニードルを介して充填室1の脱気を行い、その後、ニードルを抜いた後、透明部4を介してスパウト20のパウチ10に対する溶着具合を確認する。この点、スパウト20のパウチ10に対する溶着が不十分である場合、上記脱気をした際にスパウト20とパウチ10との隙間から流体が漏れてくることがある。そこで、本実施形態の透明部4を介してスパウト20のパウチ10に対する溶着具合を確認することで、スパウト20とパウチ10との隙間からの漏れを未然に防ぐことができる。
【0041】
(変形例)
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば以下の通りである。
【0042】
上記実施形態では、透明部4として第1透明部4aと第2透明部4bを設けたが、これに限定されるものではなく、第1透明部4aおよび第2透明部4bのうち少なくとも一方を設けるようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、パウチ10の充填室1を2枚のフィルム10a,10bで形成したが、これに限定されるものではなく、1枚のフィルムで充填室1を形成してもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、透明部4がスパウト用溶着部12の一部に重なるように構成したが、これに限定されるものではなく、透明部4をスパウト用溶着部12の全部に重なるように構成してもよい。
【0045】
さらに、上記実施形態では、情報開示領域14をスパウト20の幅方向両側に設けたが、これに限らず、情報開示領域14をスパウト20の幅方向片側にのみ設けてもよいし、当該情報開示領域14を設けなくともよい。
【0046】
また、上記実施形態では、流体として紫外線硬化型のインクを用いる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば清涼飲料水や液体洗剤、食用油等の他の流体を用いてもよい。
【0047】
また、以下の変形例を採用してもよい。図7に示すように、フィルム10aのうち幅方向に延在する部分における第1透明部4aの端部と、フィルム10bのうち幅方向に延在する部分における第1透明部4aの端部とは、当該幅方向にずれている。同様に、フィルム10aのうち幅方向に延在する部分における第2透明部4bの端部と、フィルム10bのうち幅方向に延在する部分における第2透明部4bの端部とは、当該幅方向にずれている。この点につき、もしフィルム10aとフィルム10bとの貼り合わせがずれたことで表裏の各第1透明部4aの端部や各第2透明部4bの端部がそれぞれ幅方向にずれた場合でも、フィルム10aおよびフィルム10bの何れか一方で遮光部3の領域(幅方向の領域)を確保することが可能となる。このため、フィルム10aおよびフィルム10bのうち透明部が幅方向にずれた方のフィルムを廃棄せずに済む。
【符号の説明】
【0048】
1 充填室
2 パウチ用溶着部
3 遮光部
4 透明部
4a 第1透明部
4b 第2透明部
10 パウチ
10a,10b フィルム
11 連通路
12 スパウト用溶着部
12a 凹凸部
12b スパウトの外周面
13 隣接部
14 情報開示領域
15 バッファ部
20 スパウト
51 装着部
60 巻取機構
100 流体パッケージ
L1 透明部と遮光部との境界線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7