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特開2022-99041ハンド機構、ロボットハンド及びロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099041
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】ハンド機構、ロボットハンド及びロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20220627BHJP
   B25J 15/10 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
B25J15/08 J
B25J15/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212783
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】315014671
【氏名又は名称】東京ロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098899
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 信市
(74)【代理人】
【識別番号】100163865
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 健
(72)【発明者】
【氏名】松尾 雄希
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 史朗
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707ES05
3C707ES07
3C707EU01
3C707EU02
3C707EU07
3C707HS27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】人間類似の動作を直感的に実現することができるハンド機構を提供する。
【解決手段】手掌部9と、前記手掌部の側部から延出する第一指1と、前記手掌部の先端から延出する先端指と、を備えるハンド機構であって、前記第一指は、前記手掌部に対して軸支され、前記先端指の延出方向と略平行な第一軸を中心として揺動する、第一リンクと、前記第一リンクに対して軸支され、前記第一軸に対して垂直な方向からやや傾けた第二軸を中心として揺動する、第二リンクと、を備える、ハンド機構である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手掌部と、
前記手掌部の側部から延出する第一指と、
前記手掌部の先端から延出する先端指と、を備えるハンド機構であって、
前記第一指は、
前記手掌部に対して軸支され、前記先端指の延出方向と略平行な第一軸を中心として揺動する、第一リンクと、
前記第一リンクに対して軸支され、前記第一軸に対して垂直な方向からやや傾けた第二軸を中心として揺動する、第二リンクと、を備える、ハンド機構。
【請求項2】
前記第一軸は、さらに、前記手掌部に対して平行に配置されている、請求項1に記載のハンド機構。
【請求項3】
前記第二リンクに軸支され、前記第二軸と垂直な第三軸を中心として揺動する第三リンクをさらに備える、請求項1又は2に記載のハンド機構。
【請求項4】
前記第三リンクに軸支され、前記第三リンクと連動して揺動する第四リンクをさらに備える、請求項3に記載のハンド機構。
【請求項5】
前記第一指は屈曲することで、屈曲した前記先端指の先端面と対向可能に構成されている、請求項1~3に記載のハンド機構。
【請求項6】
前記第一リンクを駆動する第一駆動ユニットは、前記手掌部に支持されている、請求項1~5に記載のハンド機構。
【請求項7】
前記第二リンクを駆動する第二駆動ユニットは、第一リンクに支持されている、請求項1~6に記載のハンド機構。
【請求項8】
前記第三リンク及び第四リンクを駆動させる第三駆動ユニットは、第二リンクに支持されている、請求項4に記載のハンド機構。
【請求項9】
前記第一駆動ユニットは、ボールねじを用いて駆動される、請求項6に記載のハンド機構。
【請求項10】
前記第二駆動ユニットは、ボールねじを用いて駆動される、請求項7に記載のハンド機構。
【請求項11】
前記第三駆動ユニットは、ボールねじを用いて駆動される、請求項8に記載のハンド機構。
【請求項12】
各前記先端指は、手掌部に配置される先端指用駆動ユニットにより、連動して屈曲又は伸展する四節リンク構造を備えている、請求項1に記載のハンド機構。
【請求項13】
前記先端指用駆動ユニットは、ボールねじを用いて駆動される、請求項12に記載のハンド機構。
【請求項14】
前記先端指は、第二指、第三指及び第四指から成る三本の指である、請求項1~13に記載のハンド機構。
【請求項15】
前記第三指の前記手掌部への付け根部分の回転軸は、前記第二指の前記手掌部への付け根部分の回転軸及び前記第四指の前記手掌部への付け根部分の回転軸と鋭角を為している、請求項14に記載のハンド機構。
【請求項16】
請求項1~15に記載のハンド機構を備えたロボットハンド。
【請求項17】
請求項1~15に記載のハンド機構を備えたロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハンド機構、例えば、ロボットの腕の先端等に配されるロボットハンド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人間類似の動作を実現することを目的として、人間類似の構造を有するロボットハンドについて研究開発が行われている。
【0003】
この種のハンドでは、手掌部の側部に対して人の親指に相当する指が、手掌部の先端部に対して人差し指乃至薬指に相当する指が備えらえている。例えば、特許文献1には、手掌部に相当するハンド本体部の側面に対して、ハンド本体部周りに旋回し又は折り曲げられるよう制御される親指部が備えられ、ハンド本体部の先端部に対して、折り曲げられるよう制御された操作指部と補助指部が備えられたハンド機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-164831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種のロボットハンドを人間の手の動作に合わせて遠隔操作しようとする場合や、ロボットハンドに対してプログラムにより人間類似の動作を実行させようとする場合には、ロボットハンドの機構は、人間の複雑な手の機構を適切にモデル化したものであることが好ましい。このモデル化が不適切な場合、ロボットハンドの動作が人間の手の動作と直感的に対応付かなかったり、或いは、その動作に違和感が生じるおそれがある。
【0006】
しかしながら、従前のロボットハンドにおいては、人間の複雑な手構造について過度の単純化がなされ、人間の手構造のモデル化が不十分であった。その結果、ロボットハンドを直感的に動作させること等が困難であった。
【0007】
本発明は上述の技術的背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、人間類似の動作を直感的に実現すること等ができるハンド機構等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の技術的課題は、以下の構成を有するハンド機構等により解決することができる。
【0009】
すなわち、本発明に係るハンド機構は、手掌部と、前記手掌部の側部から延出する第一指と、前記手掌部の先端から延出する先端指と、を備えるハンド機構であって、前記第一指は、前記手掌部に対して軸支され、前記先端指の延出方向と略平行な第一軸を中心として揺動する、第一リンクと、前記第一リンクに対して軸支され、前記第一軸に対して垂直な方向からやや傾けた第二軸を中心として揺動する、第二リンクと、を備えている。
【0010】
このような構成によれば、第一軸の揺動中心軸である第一軸と、第二リンクの揺動中心軸である第二軸が非垂直的位置関係となっている。その結果、人間の第一指の構造に近似したハンド機構を提供することができ、これにより、人間類似の動作を直感的に実現すること等ができるハンド機構等を提供することができる。
【0011】
前記第一軸は、さらに、前記手掌部に対して平行に配置されていてもよい。
【0012】
このような構成によれば、人間と同様に、第一指を手掌部周りに旋回させることができる。
【0013】
前記第二リンクに軸支され、前記第二軸と垂直な第三軸を中心として揺動する第三リンクをさらに備える、ものであってもよい。
【0014】
このような構成によれば、第二リンクの揺動中心軸と第三リンクの揺動中心軸は直交するので、人間類似の態様で動作することができる。
【0015】
前記第三リンクに軸支され、前記第三リンクと連動して揺動する第四リンクをさらに備える、ものであってもよい。
【0016】
このような構成によれば、第三リンクと第四リンクとは連動するので、対象物を包み込むような把持を実現することができる。
【0017】
前記第一指は屈曲することで、屈曲した前記先端指の先端面と対向可能に構成されている、ものであってもよい。
【0018】
このような構成によれば、第一子の屈曲により先端指との間で対象物を把持することができる。
【0019】
前記第一リンクを駆動する第一駆動ユニットは、前記手掌部に支持されている、ものであってもよい。
【0020】
このような構成によれば、駆動ユニットが手掌部へと支持されていることから、指を小型化させたり、指にセンサ等の他の機構を格納させることができる。
【0021】
前記第二リンクを駆動する第二駆動ユニットは、第一リンクに支持されている、ものであってもよい。
【0022】
このような構成によれば、駆動ユニットが第一リンクに支持されているので、第二リンクから先端に向けた部分を小型化させたり、当該部分にセンサ等の他の機構を格納することができる。
【0023】
前記第三リンク及び第四リンクを駆動させる第三駆動ユニットは、第二リンクに支持されている、ものであってもよい。
【0024】
このような構成によれば、駆動ユニットが第二リンクに支持されているので、第三リンクから先端に向けた部分を小型化させたり、当該部分にセンサ等の他の機構を格納することができる。
【0025】
前記第一駆動ユニットは、ボールねじを用いて駆動される、ものであってもよい。
【0026】
このような構成によれば、高精度で高い把持力を出力することができる。
【0027】
前記第二駆動ユニットは、ボールねじを用いて駆動される、ものであってもよい。
【0028】
このような構成によれば、高精度で高い把持力を出力することができる。
【0029】
前記第三駆動ユニットは、ボールねじを用いて駆動される、ものであってもよい。
【0030】
このような構成によれば、高精度で高い把持力を出力することができる。
【0031】
各前記先端指は、手掌部に配置される先端指用駆動ユニットにより、連動して屈曲又は伸展する四節リンク構造を備えている、ものであってもよい。
【0032】
このような構成によれば、手掌部に駆動ユニットがあることから、先端指を小型化したり先端指内にセンサ等の他の機構を格納することができる。
【0033】
前記先端指用駆動ユニットは、ボールねじを用いて駆動される、ものであってもよい。
【0034】
このような構成によれば、高精度で高い把持力を出力することができる。
【0035】
前記先端指は、第二指、第三指及び第四指から成る三本の指である、ものであってもよい。
【0036】
このような構成によれば、三本の指で対象物を包み込むように把持することができる。
【0037】
前記第三指の前記手掌部への付け根部分の回転軸は、前記第二指の前記手掌部への付け根部分の回転軸及び前記第四指の前記手掌部への付け根部分の回転軸と鋭角を為している、ものであってもよい。
【0038】
このような構成によれば、人間類似の態様で、三本の指で対象物を包み込むように把持することができる。
【0039】
また、本発明は、上述のハンド機構を備えたロボットハンドとしても観念することができる。
【0040】
さらに、本発明は上述のハンド機構を備えたロボットとしても観念することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、人間類似の動作を直感的に実現すること等ができるハンド機構等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、ロボットハンドの正面図である。
図2図2は、ロボットハンドの右側面図である。
図3図3は、閉状態のロボットハンドの正面図である。
図4図4は、第一関節部周辺の構成について説明するための斜視図である。
図5図5は、第一回転軸周りの回転の様子について表す説明図である。
図6図6は、第一駆動ユニットの動作原理について示す説明図である。
図7図7は、第一駆動ユニットを簡略化して示した模式図である。
図8図8は、第二関節部周辺の構成について説明するための斜視図である。
図9図9は、第二回転軸周りの回転の様子について表す説明図である。
図10図10は、第二駆動ユニットの動作原理について示す説明図である。
図11図11は、第二駆動ユニットを簡略化して示した模式図である。
図12図12は、第一~第三の各回転軸の配置についての説明図である。
図13図13は、第三関節部及び第四関節部の構成について説明するための斜視図である。
図14図14は、第三回転軸及び第四回転軸周りの回転の様子について表す説明図である。
図15図15は、第三駆動ユニットの動作原理について示す説明図である。
図16図16は、第三駆動ユニットを簡略化して示した模式図である。
図17図17は、ロボットハンドの第三指の斜視図である。
図18図18は、第三指の動作原理について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付の図を参照しつつ詳細に説明する。
【0044】
(1.第1の実施形態)
第1の実施形態として、本発明を、図示しないロボットの腕部の先端に備えられるロボットハンド500に対して適用した例について説明する。なお、ロボットハンド500が取り付けられる位置は限定されず、他の様々な装置や部位等に取り付けることができる。
【0045】
(1.1 ハンド機構の全体構成と動作)
図1及び図2を参照しつつ、ロボットハンド500の全体構成について説明する。図1は、完全な開状態にあるロボットハンド500の正面図であり、図2は、同状態のロボットハンド500の右側面図である。なお、開状態とは、ロボットハンド500に備えられるすべての関節を伸展状態とした状態を言う。また、これとは逆に、閉状態とは、ロボットハンド500に備えられる一部又はすべての関節を屈曲させた状態を言う。
【0046】
図1及び図2から明らかな通り、ロボットハンド500は、略直方体形状の手掌部9を中心に備えている。手掌部9の右側面からは人間の手の第一指(親指)に相当する第一指1が延出している。手掌部9の上面又は先端からは、第一指1の側から順に、人間の手の第二指(示指)に相当する第二指6、人間の手の第三指(中指)に相当する第三指7、及び、人間の手の第四指(薬指)に相当する第四指8が延出している。
【0047】
手掌部9の背面側、すなわちロボットハンド500の甲側には、甲部全体から側面にかけての範囲をカバーする甲部カバー91が取り付けられている。また、手掌部9の正面側には、図示しないアームの先端部等との連結に利用され掌のおよそ全体をカバーする略鍵穴形状を有する掌部カバー92が設けられている。
【0048】
第一指1は、手掌部9の側部から延出するように、順に、第一リンク111、第二リンク112、第三リンク113及び第四リンク114が連結され構成されている。なお、第一リンク111及び第二リンク112は、第一指カバー199によりカバーされているため、同図においては不図示であることに留意されたい。
【0049】
また、第一指1は、手掌部9側から指の先端に向けて順に、第一関節部121(所謂CM関節に相当)、第二関節部122、第三関節部123(所謂MP関節に相当)、及び、第四関節部124の4つの関節部を備えている。そのうち、第一関節部121、第二関節部122、及び、第三関節部123の3つの関節部は、それぞれ、第一回転軸101、第二回転軸102、及び、第三回転軸103を中心として能動的に回動し、残りの第四関節部124は受動的に回動する。すなわち、これらの構造により指を折り曲げて物を把持するような動作が可能となる。
【0050】
第二指6は、手掌部9の先端から延出するように、順に、第一リンク611、第二リンク612、及び、第三リンク613が連結されて構成されている。
【0051】
また、第二指6は、手掌部9側から指の先端に向けて順に、第一関節部621(所謂MP関節に相当)、第二関節部622、第三関節部623の3つの関節部を備えている。そのうち、第一関節部621は、第一回転軸601を中心として能動的に回動し、残りの第二関節部622及び第三関節部623は受動的に回動する。すなわち、これらの構造により指を折り曲げて物を把持するような動作が可能となる。
【0052】
第三指7は、手掌部9の先端から延出するように、順に、第一リンク711、第二リンク712、及び、第三リンク713が連結されて構成されている。
【0053】
また、第三指7は、手掌部9側から指の先端に向けて順に、第一関節部721(所謂MP関節に相当)、第二関節部722、第三関節部723の3つの関節部を備えている。そのうち、第一関節部721は、第一回転軸701を中心として能動的に回動し、残りの第二関節部722及び第三関節部723は受動的に回動する。すなわち、これらの構造により指を折り曲げて物を把持するような動作が可能となる。
【0054】
第四指8は、手掌部9の先端から延出するように、順に、第一リンク811、第二リンク812、及び、第三リンク813が連結されて構成されている。
【0055】
また、第四指8は、手掌部9側から指の先端に向けて順に、第一関節部821(所謂MP関節に相当)、第二関節部822、第三関節部823の3つの関節部を備えている。そのうち、第一関節部821は、第一回転軸801を中心として能動的に回動し、残りの第二関節部822及び第三関節部823は受動的に回動する。すなわち、これらの構造により指を折り曲げて物を把持するような動作が可能となる。
【0056】
なお、同図から明らかな通り、手掌部9の先端部付近に設けられた、第二指6の第一回転軸601、第三指7の第一回転軸701及び第四指8の第一回転軸801は互いに平行ではなく互いに鋭角を為している。すなわち、同図にあって、第三指7の第一回転軸701は手掌部9の付け根側の面に対して平行となっているものの、その左右の第二指6の第一回転軸601と第四指8の第一回転軸801は、左右均等に、それぞれ側部側にやや傾いて配置されている。
【0057】
このような構成によれば、各指が手掌部9の中心に向けて折り曲げられるので、人間類似の態様で対象物を把持することができる。
【0058】
以上の関節部とリンクを備えたロボットハンド500は、その関節部を回動させることにより、開閉することができる。
【0059】
図3は、完全な閉状態のロボットハンド500の正面図である。同図で示されるように、第一指1、第二指6、第三指7及び第四指8をそれぞれ折り曲げることで、所望の対象物を把持するよう指先を近付けることができる。
【0060】
なお、同図においては、第一指1の先端は、第二指6の先端、第三指7の先端及び第四指8の先端と略垂直をなすように描かれているものの、第一指1の第二関節部122を回動させることにより、第一指1の先端を各指、すなわち、第二指6の先端、第三指7の先端及び第四指8の先端と対向させることができる。
【0061】
このような構成によれば、対象物を指先でつまむような巧みな動作を実現することができる。
【0062】
(1.2 第一指1の構成と動作)
以下、第一指1の構成と動作について関節毎に詳述する。
【0063】
(第一関節部)
まず、図4図7を参照しつつ、第一指1の第1関節部121に係る構成と動作について詳述する。
【0064】
図4は、第一関節部121周辺の構成について説明するための斜視図である。なお、同図においては、説明のため、甲部カバー91、第一指カバー199等のカバー並びに他の指等は不図示とされている。
【0065】
同図から明らかな通り、手掌部9の略中央には、第一駆動軸131を一辺とする枠部材901が備えられている。これにより、第一指1は、手掌部9に対して支持される。なお、この第一駆動軸131は、第一回転軸101をもたらすものである。
【0066】
枠部材901の中央には、略円筒状の第一サーボモータ135が配置され、その出力回転軸は、枠部材901の左側面に設けられた孔部から突出している。突出した出力回転軸の先端には、小径の第一平歯車136が取り付けられている。
【0067】
第一サーボモータ135の直下には、第一サーボモータ135の長手方向と平行にボールねじを構成する第一ねじ軸138が配置されている。この第一ねじ軸138の一端は、第一サーボモータ135の一端と共に軸支されており、一方、他端は、左側面の孔部から突出している。また、この突出した第一ねじ軸138の端部には、相対的に大径の第二平歯車137が、小径の第一平歯車136と噛合するよう取り付けられている。
【0068】
第一ねじ軸138には、ボールねじを形成するよう第一ナット部材139が摺動可能に取り付けられている。後述するように、第一ナット部材139は、駆動力を伝達する第一伝達リンク140を介して、第一リンク111と連結されている。
【0069】
なお、第一サーボモータ135から第一伝達リンク140へと至る一連の部材を第一駆動ユニットと称することがある。
【0070】
このように、第1関節部121を回動させる第一駆動ユニットは、手掌部9に支持されている。これにより、第一指1の小型化や第一指1内にセンサ等の機構を格納するスペースの確保等を行うことができる。
【0071】
第一リンク111は、第一駆動軸131、すなわち、第一回転軸101を中心として回転するよう軸支されており、第一サーボモータ135からの駆動力を受けて自在に回転する。なお、第一駆動軸131の上端には、第一駆動軸131の回転角度を検出するアブソリュートエンコーダ132が配置されている。
【0072】
図5は、第一回転軸101周りの回転の様子について表す説明図である。図5(a)は、第一リンクが45°の位置にある場合のロボットハンド500の状態を示しており、図5(b)は、第一リンクが90°の位置にある場合のロボットハンド500の状態を示している。なお、同図においては、完全な開状態にある時の第一リンク111の角度を0°としている。
【0073】
続いて、図6及び図7を参照しつつ、第一リンク111の駆動原理について説明する。図6は、第一駆動ユニットの動作原理について示す説明図である。
【0074】
図6から明らかな通り、第一サーボモータ135が駆動されると、第一平歯車136が回転する。この回転は第二平歯車137を介して第一ねじ軸138へと伝達され、第一ねじ軸138が連動して回転する。
【0075】
第一ねじ軸138が回転すると、第一ナット部材139はその回転に応じてねじ軸138に沿って並進運動する。この並進運動は、連結される第一伝達リンク140へと伝達されて、第一伝達リンク140を第一ねじ軸に平行な方向に並進運動させる。
【0076】
このとき、第一伝達リンク140は、第一ナット部材139に対して、第一ねじ軸と垂直な方向に摺動可能な態様にて第一軸部材141を介して軸支されている(並進拘束)。これにより、第一伝達リンク140は、並進運動に合わせて、第一ねじ軸138と垂直な方向にも移動する。
【0077】
このような二次元的に移動する第一伝達リンク140は、第一リンク111と第二軸部材を介して回動可能に連結されていることから、第一リンクは、第一駆動軸131を中心として回転することとなる。
【0078】
このように、ボールねじを用いて駆動力を発生させる構成によれば、高い精度と把持力を実現することができる。
【0079】
図7は、第一駆動ユニットを簡略化して示した模式図である。なお、図7はあくまで原理の説明のための模式図であり、実際のロボットハンド500を構成する部品の形状等とは必ずしも一致しない点に留意されたい。
【0080】
同図から明らかな通り、第一ナット部材139が第一ねじ軸138上を並進運動すると、それに連動して第一伝達リンク140が並進運動する。この第一伝達リンク140からの力は、第一リンク111の端部へと伝達され、第一リンク111において第一駆動軸131を中心とした回転が実現される。
【0081】
すなわち、以上の構成により、第一指1の第1関節部121は、第二指6、第三指7及び第四指8の延在方向と平行又は略平行な軸周りに回動(旋回)することができるよう構成されている。
【0082】
(第二関節部)
次に、図8図12を参照しつつ、第2関節部122に係る構成と動作について詳述する。
【0083】
図8は、第二関節部122周辺の構成について説明するための斜視図である。
【0084】
同図から明らかな通り、第一リンク111には、さらに、第二回転軸102を中心として揺動可能な態様で第二リンク112が連結されている。
【0085】
ここで、第二回転軸102は第一回転軸101とは垂直ではなく、垂直よりやや他の指側へと傾いている、すなわち鋭角を為している点に留意されたい。
【0086】
このような構成によれば、人間類似の動作を直感的に実現すること等ができるハンド機構等を提供することができる。
【0087】
第二リンク112の基端側の第二回転軸102の近傍内部には、図示しない第二サーボモータ152が配置され、その出力軸は同図下側から突出している。突出した出力軸の先端には小径の第三平歯車153が取り付けられている。
【0088】
この第三平歯車153は、相対的に大径の第四平歯車154と噛合し、回転力を伝達する。第四平歯車154は、ボールねじを構成する第二ねじ軸151と連結されており、第二ねじ軸151を連動して回転させる。
【0089】
第二ねじ軸151が回転すると、第二ナット部材155が、第二ねじ軸151に沿って並進運動する。後述するように、この第二ナット部材155の移動により第二回転軸102を中心とした第二リンク112の揺動が実現される。
【0090】
第二リンク112の中央付近には、揺動角度を検出するためのアブソリュートエンコーダ155が設けられている。
【0091】
なお、第二サーボモータ152から第2リンク112における揺動を生じさせる一連の部材を第二駆動ユニットと称することがある。
【0092】
このように、第二関節部122を回動させる第二駆動ユニットは、第一リンク111に支持されているので、第二関節部の揺動機能を第一指1内に集約することができる。
【0093】
図9は、第二回転軸102周りの回転の様子について表す説明図である。図9(a)は第一指1が第二指6に最も近い位置にある場合のロボットハンド500の状態を示しており、図9(b)は、第一指1が第二指6から最も遠い位置にある場合のロボットハンド500の状態を示している。
【0094】
続いて、図10及び図11を参照しつつ、第二リンク112の揺動原理について説明する。図10は、第二駆動ユニットの動作原理について示す説明図である。
【0095】
図10から明らかな通り、図示しない第二サーボモータ152を駆動させると、小径の第三平歯車153が回転する。この第3平歯車153の回転は、相対的に大径の第四平歯車154が回転する。
【0096】
この第四平歯車154が回転すると、その中心軸である第二ねじ軸151が回転する。
【0097】
この第二ねじ軸151が回転すると、略コの字型又は略U字型の第二ナット部材155が第二ねじ軸151に沿って並進運動する。
【0098】
第二ナット部材155の開放端には、当該開放端に支持された軸部を備え他端を回転指示部材157により第二リンク112に対して軸支された、第二伝達リンク156が取り付けられている。第二伝達リンク156の軸部は、第二ナット部材155の並進運動に伴って、その軸方向に摺動する。
【0099】
このような構成によれば、第二伝達リンク156は第二リンク112へと支持されていることから、第二ナット部材155の並進運動に伴って、第二リンク112、第三リンク113及び第四リンク114は、第二回転軸102を中心として一体的に揺動することとなる。
【0100】
また、ボールねじを用いて駆動力を発生させる構成によれば、高い精度と把持力を実現することができる。
【0101】
図11は、第二駆動ユニットを簡略化して示した模式図である。なお、同図はあくまで原理の説明のための模式図であり、実際のロボットハンド500を構成する部品の形状等とは必ずしも一致しない点に留意されたい。
【0102】
同図から明らかな通り、第一リンク111には、第二回転軸102を中心として揺動するよう第二リンク112の一端が連結されている。また、ボールねじを構成する第二ねじ軸151は第1リンクに対して回転支持されている。
【0103】
この状態において、第二ねじ軸151が回転すると、第二ナット軸部材155がその軸に沿って並進移動する。
【0104】
また、第二伝達リンク156の一端は、第二ナット軸部材155により並進拘束されており、一方のその他端は第二リンク112へと回動自在に支持されている。そのため、第二ナット軸部材155が移動すると、第二伝達リンク156は、第二ナット軸部材155日して図中の矢印の方向に並進移動し、これにより、第二リンクは第二回転軸102を中心として揺動する。
【0105】
図12は、開状態にあるロボットハンド500を右側面から観察したときの、第一~第三の各回転軸101~103の配置についての説明図である。同図から明らかな通り、第一回転軸101と第二回転軸102とは直行せず、手掌部9の先端側に対してやや傾いてθ(<90°)を為して配置されている。このような構成は人間の手の構造と類似している。すなわち、人間の手においても、第一指(親指)の先端の腹を為す面は、手を開いた状態において、手掌部と平行ではなくやや先端側に傾いて配置されている。また、第二回転軸102と第三回転軸103とは直行して配置されている。
【0106】
このような構成によれば、人間類似の動作を直感的に実現すること等ができるハンド機構等を提供することができる。
【0107】
(第三関節部及び第四関節部)
次に、図13図16を参照しつつ、第三関節部122及び第四関節部に係る構成と動作について詳述する。
【0108】
図13は、第三関節部123及び第四関節部124の構成について説明するための斜視図である。
【0109】
同図から明らかな通り、第二リンク112の甲部側には、第二リンク112の長手方向と略水平に略円筒状の第三サーボモータ161が配置されている。第三サーボモータ161の下端は所定の支持筐体に支持され、支持筐体からは第三サーボモータ161の出力軸に取り付けられた小径の第五平歯車162が突出している。この第五平歯車162は、相対的に大径の第六平歯車163と噛合している。
【0110】
第六平歯車163は、その中心でボールねじの一部を形成する図示しない第三ねじ軸164と結合されている(図15参照)。第三ねじ軸164には、図示しない第三ナット部材175が連結されており(図15参照)、第三ナット部材175は、ボルト176を介して、第三ねじ軸164の軸方向に摺動可能な第三伝達リンク165と連結されている。
【0111】
第三伝達リンク165は、第一連結軸167を介して、U字型伝達リンク171の一端と連結されている。U字型伝達リンク171は、その中腹において第二連結軸169にて支持されると共に、第三リンク113、第四リンク114の内部を通じて第四連結軸177にて第四関節部124と連結されている。
【0112】
また、第三リンク113の付け根は、第三連結軸170を介して、第二リンク112へと揺動自在に連結されている。また、第三リンク113の先端は、第五連結軸178を介して第四リンク114へと連結されている。
【0113】
なお、第三サーボモータ161から第四連結軸177に至る一連の駆動系を以下第三駆動ユニットと称することがある。
【0114】
以上の構成により、第三関節部123及び第四関節部124の折り曲げ動作が実現される。
【0115】
図14は、第三回転軸103及び第四回転軸104周りの回転の様子について表す説明図である。図14(a)は、開状態にあるロボットハンド500を示しており、図14(b)は、第三関節部123及び第四関節部124のみが閉状態のロボットハンド500を示している。
【0116】
続いて、図15及び図16を参照しつつ、第三リンク113及び第四リンク114の揺動原理について説明する。図15は、第三駆動ユニットの動作原理について示す説明図である。
【0117】
図15(a)から明らかな通り、第一指1が伸展している状態においては、第三ねじ軸164は、第二リンク112の長手方向と略平行に配置されている。なお、第三ねじ軸163には、ボールねじを形成するよう第三ナット部材175が取り付けられ、ナット部材175には、ボルト176を介して第三伝達リンク165が連結されている。また、第三ねじ軸164を支持する筐体は、第五回転軸174を介して回動自在に第二リンク112へと連結されている。
【0118】
この状態において、第三サーボモータ161が駆動されると、第五平歯車162及び第六平歯車163が回転し、第三ねじ軸164を回転させる。これにより、第三ナット部材175が第三ねじ軸に沿って並進運動する。
【0119】
図15(b)は、第三ねじ軸164の回転により、第三ナット部材175が所定量移動した状態を表している。同図から明らかな通り、第三ナット部材175が移動したことにより、第三伝達リンク165を下から押し上げるような動作となる。このとき、第三ねじ軸164等は、第六回転軸174を中心として回動する。
【0120】
第三伝達リンク165は、第三ナット部材175によって下から押し上げられると、U字型伝達リンク171の一端を上方向に押し上げることとなる。このとき、U字型伝達リンク171はその途中において第二連結軸169により第二リンク112へと軸支されている。従って、U字型伝達リンク171の他端は、押し下げられることとなる。この押し下げられたU字型伝達リンク171の他端は、第四連結軸177により第四リンク114へと連結されているので、第四関節部124における折り曲げが生じる。
【0121】
また、U字型伝達リンク171が第二連結軸169を中心として回転すると、第三リンク113は、第四リンク114に従動するようにして、第三連結軸170を中心として揺動する。すなわち、第三関節部123における折り曲げが生じる。
【0122】
図15(c)は、図15(b)の状態から、さらに第三ナット部材175が第三ねじ軸164に対して上昇した場合の状態について示している。同図の状態にあっては、第三ナット部材175は、第三ねじ軸164の上限の位置に配置されている。また、第三伝達リンク165はさらに上方に押し上げられると共に、第三ねじ軸164等は、第六回転軸174を中心として鉛直方向からさらに傾くよう回動している。
【0123】
この伝達リンク165の上昇により、U字型伝達リンク171の一端はさらに押し上げられ、U字型伝達リンク171の他端はさらに押し下げられる。これにより、第四関節部はさらに折り曲げられる。また、これに伴って、第三リンク113は、第三連結軸170を中心としてさらに揺動する。すなわち、第三関節部123における折り曲げが生じる。
【0124】
このように、ボールねじを用いて駆動力を発生させる構成によれば、高い精度と把持力を実現することができる。
【0125】
図16は、第三駆動ユニットを簡略化して示した模式図である。なお、同図はあくまで原理の説明のための模式図であり、実際のロボットハンド500を構成する部品の形状等とは必ずしも一致しない点に留意されたい。
【0126】
同図から明らかな通り、第二リンク112には第三ねじ軸164が軸支されており、第三ナット部材175は、この第三ねじ軸164に沿って上下に並進運動する。第三ナット部材175は第三伝達リンク165の下端と連結されており、第三伝達リンク165は、第三ナット部材175と共に上下運動する。
【0127】
第三伝達リンク165の上端は、U字型伝達リンク171の一端と回動自在に連結されており、U字型伝達リンク171の中央付近は第二リンク112に対して揺動可能に軸支されているため、第三伝達リンク165の一端が押し上げられると、その他端が押し下げられる。
【0128】
この押し下げに伴なって、第三連結軸177と回動可能に連結された第四リンク114は手掌側へと折り曲げられる。また、この折り曲げに伴い、第三リンク113も第三連結軸170を中心に手掌側へと揺動する。
【0129】
このような構成によれば、第三駆動系は第二リンク112へと支持されており、また、1つの駆動系により第三関節部113及び第四関節部114の2つの関節部を駆動させるので、第三リンク113及び第四リンク114の内部構成を簡略化することができる。これにより、指先を小型化することが出来ると共に、指先にセンサを取り付ける空間等を設けることができる。
【0130】
また、人間の手においても第三関節部113及び第四関節部は連動するように折り曲げられることから、自然な折り曲げ動作を実現することができる。すなわち、人間類似の動作を直感的に実現すること等ができるハンド機構等を提供することができる。
【0131】
(1.3 第一指1以外の指の構成と動作)
次に、図17及び図18を参照しつつ、第一指1以外の指、すなわち、第二指6、第三指7及び第四指8の構成と動作について説明する。第二指6、第三指7及び第四指8の構成は、リンク長等を除いて略同一の構成を備えている。そのため、以下では、特に第三指7の構成を例に説明する。
【0132】
図17は、ロボットハンド500の第三指7の斜視図である。同図から明らかな通り、第三指は、手掌部9に対して固定される側面略L字型の支持部品737を備えている。
【0133】
このように、支持部品737がL字型形状を備えていることにより、手掌部9において第一子1を含む他の機構のための空間を設けることができる。
【0134】
支持部品737の甲部側には、サーボモータ731が配置されている。また、支持部品737の上端からは、一リンク711、第二リンク712及び第三リンク713が、それぞれ、第二連結軸741、第三連結軸748及び第四連結軸750を介して連結されている。なお、第二連結軸747には、その回転角度を検出するアブソリュートエンコーダ738が備えられている。
【0135】
なお、同図にあっては、サーボモータ731からの駆動力を伝達するリンクは、手掌部9側をカバーする第一カバー781と、甲部側をカバーする第二カバー780により保護されている。
【0136】
次に、図18を参照しつつ、第三指7の動作について説明する。
【0137】
図18は、第三指7の動作原理について説明するための説明図である。同図から明らかな通り、サーボモータ731が駆動されると、その出力軸に取り付けられた小径の平歯車である第一平歯車732が回転する。この回転に伴い、第一平歯車732と噛合する大径の平歯車である第二平歯車733が従動的に回転する。
【0138】
第二平歯車733が回転するとその中心と連結されボールねじを構成するねじ軸741が回転する。この回転を受けて、略ひしゃく型のナット部材742は上下に並進運動する。
【0139】
このように、ボールねじを用いることにより駆動力を発生させる構成によれば、物体把持の際の把持力を確保することができる。
【0140】
一方、支持部品737の上端には、その中央を第五連結軸746により回動可能に支持されたV字型伝達リンク745が設けられている。V字型伝達リンク745は、その一端において第七連結軸744を介してナット部材742へと回転自在に連結され、その他端において第二リンク712の付け根と連結されている。
【0141】
この状態において、ナット部材742が上昇すると、V字型伝達リンク745のナット部材742との連結端が引き上げられることとなる。また、V字型伝達リンク745は第五連結軸746の辺りを中心として回転し、逆側の端部、すなわち、V字型伝達リンク745と第二リンク712の付け根との連結端が押し下げられることとなる。これにより、第一リンク711は前方へと折り曲がる。
【0142】
また、上述の通り、第二リンク712は第三連結軸748により回動自在に第一リンク711に対して軸支されていることから、V字型伝達リンク745により第二連結リンクがその根元において押し下げられると、第二リンクは第三連結軸748を中心として揺動する。
【0143】
なお、このとき、サーボモータの下端を支える支持板735は、回動自在に支持部品737の下端に連結されていることから、ナット部材742から受ける反力により回動するよう構成されている。
【0144】
すなわち、以上の構成によれば、一つのサーボモータからの駆動力を利用して、第一関節部721と第二関節部722を連動させて折り曲げることができる。
【0145】
なお、同図の例にあっては、第二リンク712と第三リンク713との間は固定されている。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されず、第三関節部713もさらに連動するような構成としてもよい。
【0146】
(2.変形例)
上述の実施形態においては、ロボットハンド15の構成として、手掌部9から人間の手の第二指(示指)に相当する第二指6、人間の手の第三指(中指)に相当する第三指7、及び、人間の手の第四指(薬指)に相当する第四指8が延出するものとしたが、本発明はこのような構成に限定されない。従って、例えば、小指に相当する第五指をさらに備えてもよいし、それ以上の指を備えてもよい。また、それとは逆に、第三指と第四子など、より少ない本数であってもよい。
【0147】
また、ロボットハンド15の各指の関節数は上述の実施形態に限定されず、上述の関節数よりも多くても少なくてもよい。
【0148】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。また、上記の実施形態は、矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明は、少なくともロボットハンド、ロボット等を製造する産業において利用可能である。
【符号の説明】
【0150】
1 第一指
6 第二指
7 第三指
8 第四指
9 手掌部
500 ロボットハンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18