(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099046
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20220627BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20220627BHJP
B25G 1/04 20060101ALI20220627BHJP
A01G 3/08 20060101ALI20220627BHJP
A01G 3/02 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
B25F5/02
B25F5/00 G
B25G1/04 B
A01G3/08 502B
A01G3/02 502B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212793
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】318001706
【氏名又は名称】京セラインダストリアルツールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】末光 大地
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇多
(72)【発明者】
【氏名】中村 和也
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA05
3C064AB01
3C064AC02
3C064BA12
3C064BB78
3C064CA54
3C064CB17
3C064CB63
3C064CB71
(57)【要約】 (修正有)
【課題】把持部が設けられた第1部材に対する、第2部材の相対位置が変化可能な電動工具において、第2部材を所望の相対位置で容易に位置決めする。
【解決手段】一態様の電動工具は、第1部材(2)と、第2部材(4)と、操作部(3)と、電動ユニットと、を備える。操作部(3)は、該操作部(3)が操作を受け付けることにより固定力を第1部材(2)または第2部材(4)のいずれか一方に働かせる固定部材と、第2部材(4)の第1部材(2)に対する相対位置が変化している変化状態において抵抗力を第1部材(2)または第2部材(4)のいずれか一方に働かせる抵抗部材(8)と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部が設けられた第1部材と、
前記第1部材に対する相対位置が変化可能な第2部材と、
前記相対位置を固定するための操作を受け付ける操作部と、
前記第2部材に接続された電動ユニットと、を備える電動工具であって、
前記操作部は、
該操作部が前記操作を受け付けることにより、前記相対位置を固定するための固定力を前記第1部材または前記第2部材のいずれか一方に働かせる固定部材と、
前記相対位置が変化している変化状態において、前記相対位置の変化に対する抵抗力を前記第1部材または前記第2部材のいずれか一方に働かせる抵抗部材と、を有する、電動工具。
【請求項2】
前記固定部材は、前記相対位置を固定するために、前記第1部材または前記第2部材のいずれか一方を第1押圧力で押圧し、
前記抵抗部材は、前記変化状態において、前記第1部材または前記第2部材のいずれか一方を第2押圧力で押圧し、
前記第2押圧力は、第1押圧力よりも小さい、請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記抵抗部材は、
前記第1部材または前記第2部材のいずれか一方を押圧する押圧部と、
前記押圧部を弾性力により付勢する付勢部と、を有する、請求項1または2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記操作部には、前記押圧部および前記付勢部を収容可能な凹部が形成されており、
前記押圧部の少なくとも一部は、前記変化状態において、前記凹部の内周面に当接する、請求項3に記載の電動工具。
【請求項5】
前記押圧部の側壁は、前記内周面と対向する対向面を有し、
前記対向面の形状は、前記内周面の形状に対応している、請求項4に記載の電動工具。
【請求項6】
前記操作部は、第1パーツと第2パーツとを含んでおり、
前記第1パーツおよび前記第2パーツは、該第1パーツと該第2パーツとが組み合わせられた状態において、前記第1部材の一部および前記第2部材の一部を覆い、
前記凹部は、前記第1パーツまたは前記第2パーツのいずれか一方に形成されている、請求項4または5に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、把持部が設けられた第1部材に対する、第2部材の相対位置が変化可能な電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
把持部が設けられた第1部材に対する、第2部材の相対位置が変化可能な電動工具として、例えば特許文献1に記載の携帯型作業機が知られている。以下、第1部材に対する第2部材の相対位置を、「相対位置」あるいは「第2部材の相対位置」と略称する。特許文献1に記載の携帯型作業機は、固定パイプと、該固定パイプよりも小径の可動パイプとが、固定パイプの前端に設けられた接続部によって接続された構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第2部材を所望の相対位置まで移動させて位置決めするとき、第2部材の第1部材に対する相対的な移動の自由度等によっては、第2部材を所望の相対位置で位置決めするのが困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る電動工具は、把持部が設けられた第1部材と、前記第1部材に対する相対位置が変化可能な第2部材と、前記相対位置を固定するための操作を受け付ける操作部と、前記第2部材に接続された電動ユニットと、を備える電動工具であって、前記操作部は、該操作部が前記操作を受け付けることにより、前記相対位置を固定するための固定力を前記第1部材または前記第2部材のいずれか一方に働かせる固定部材と、前記相対位置が変化している変化状態において、前記相対位置の変化に対する抵抗力を前記第1部材または前記第2部材のいずれか一方に働かせる抵抗部材と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、第2部材を所望の相対位置で容易に位置決めできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】符号101は、一実施形態に係る電動工具の平面図である。符号102は、前記電動工具の側面図である。
【
図2】
図1の符号101におけるII-II線の矢視断面図である。
【
図3】
図1の符号102におけるIII-III線の矢視断面図である。
【
図4】
図1の符号102におけるIV-IV線の矢視断面図である。
【
図5】一実施形態に係る抵抗部材の配置箇所周辺の拡大図である。
【
図6】符号601は、一実施形態に係る押圧部の斜視図である。符号602は、符号601のVI-VI線の矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態に係る電動工具について、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、実施形態を説明する上で必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、前記の電動工具は、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の各部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0009】
本実施形態では、電動工具としてポールヘッジトリマを例に挙げる。ヘッジトリマは、生垣、樹木等の剪定作業に用いられる電動刈り込み機である。ポールヘッジトリマは、高い場所にある枝葉等の剪定作業が可能なロングタイプのヘッジトリマである。電動工具としては、ポールヘッジトリマの他、電動式の高枝切り鋏、ポールチェーンソー、ブロワ等が想定される。
【0010】
〔1.電動工具10の概要〕
図1~
図4を参照して、一実施形態に係る電動工具10の概要について説明する。
図1の符号101は、電動工具10の平面図である。
図1の符号102は、電動工具10の側面図である。
図2は、
図1の符号101におけるII-II線の矢視断面図である。
図3は、
図1の符号102におけるIII-III線の矢視断面図である。
図4は、
図1の符号102におけるIV-IV線の矢視断面図である。
【0011】
以下の説明では、
図1~
図3に示すように、把持部1側を後側とし、電動ユニット6側を前側とする(各図中の矢印参照)。また、
図1の符号101、
図3および
図4に示すように、電動工具10を後側(把持部1側)から見た場合の第1パーツ3a-1側を左側とし、第2パーツ3a-2側を右側とする(各図中の矢印参照)。さらに、
図1の符号102、
図2および
図4に示すように、ストッパーレバー3b側を上側とし、ハンドル1e側を下側とする第2パーツ3a-2側を右側とする(各図中の矢印参照)。
【0012】
以下の説明では、前後方向を「縦方向」と称する場合がある。また、左右方向を「横方向」と称する場合がある。さらに、上下方向を「高さ方向」と称する場合がある。
【0013】
電動工具10は、本実施形態では充電式であり、バッテリパック(不図示)を装着する構成になっている。バッテリパックは、例えば、筐体に二次電池が収容された構成の電源部である。電動工具10は、
図1に示すように、把持部1、アウターパイプ2、ストッパーレバーホルダ3、インナーパイプ4、接続部5および電動ユニット6を備える。電動工具10は、充電式でなくてもよく、例えば電源コード式であってもよい。電動工具10が電源コード式の場合、把持部1が、後述の装着部1bに替えて電源接続部(不図示)を有する他は、本実施形態の構成と同様の構成となる。電源接続部は、電源コードが接続される部分である。
【0014】
把持部1、アウターパイプ2、ストッパーレバーホルダ3、インナーパイプ4および接続部5(以下、「把持部1等」と略記する場合あり)は、正面視、側面視および平面視のいずれにおいても、この順番で直列的に配置されている。電動ユニット6と把持部1等とは、
図1の符号101に示すように、平面視で直列的に配置されている。
【0015】
<1-1.把持部1>
把持部1は、ユーザによって把持される部品である。把持部1は、
図1に示すように、ハウジング1a、装着部1b、スイッチ1c、接続部1dおよびハンドル1eを有する。ハウジング1aは、略円筒形状の筐体であり、内部にモータ(不図示)等が収容されている。また、ハウジング1aは、ユーザによって実際に把持されるグリップとして機能する。
【0016】
装着部1bは、バッテリパックが装着される部分であり、ハウジング1aの後側端部に設けられている。装着部1bの形状および大きさは、バッテリパックの被装着部分を保持できる形状および大きさであれば、どのような形状および大きさであってもよい。
【0017】
スイッチ1cは、モータのON操作およびOFF操作を受け付ける。ON操作、OFF操作ともに、ユーザがスイッチ1cを押下する動作とすることができる。スイッチ1cがON操作を受け付けることにより、モータが作動する。一方、スイッチ1cがOFF操作を受け付けることにより、モータが停止する。スイッチ1cは、
図1に示すように、ハウジング1aの前側部分1a-1の上壁に設けられている。これにより、ユーザが、ハウジング1aの後側部分1a-2を把持して作業しながら、スイッチ1cを簡単に押下できる。
【0018】
上述のようなスイッチ1cの配置を考慮して、ハウジング1aは、
図1の符号102に示すように、後側部分1a-2の方が前側部分1a-1よりも若干細くなっている。また、後側部分1a-2は、後側に向かうにつれて下側に湾曲している。これにより、スイッチ1cが前側部分1a-1の上壁に設けられた態様において、ユーザが後側部分1a-2をより把持し易くなり、ひいては作業し易くなる。以上のようなスイッチ1cの配置、および後側部分1a-2の形状はあくまで一例であり、ユーザの把持のし易さ、作業の容易さ等の観点から任意に設計変更できる。
【0019】
接続部1dは、把持部1とアウターパイプ2とを接続する部分である。接続部1dは、
図1に示すように、前後方向に延伸する筒形状の部分であり、ハウジング1aの前側端部に設けられている。接続部1dの中空部(不図示)には、アウターパイプ2の後側端部(不図示)が収容されている。そして、中空部にアウターパイプ2の後側端部が収容された状態において、接続部1dがアウターパイプ2の後側端部に固定されている。このような構造で、把持部1がアウターパイプ2の後側端部に固定されている。
【0020】
ハンドル1eは、
図1の符号102に示すように、ハウジング1aの下側に設けられている。ハンドル1eの前側端部は、接続部1dの下側部分と連結している。ハンドル1eの後側端部は、装着部1bの下側端部と連結している。ハンドル1eの本体部分1e-1は、上下方向が幅方向となる略板形状であり、ハウジング1aと同様にグリップとして機能し得る。本体部分1e-1の形状に特段の限定はなく、例えばグリップとして機能し得るような形状であればどのような形状であってもよい。把持部1はハンドル1eを有していなくてもよい。
【0021】
本実施形態では、把持部1に含まれる各部分のうち、ハウジング1a、装着部1b、接続部1dおよびハンドル1eが一体成形されている。また、一体成形された部分は、
図1の符号101に示すように、左右の2つのパーツに分割されている。これにより、把持部1のアウターパイプ2への取り付けが容易になる。本実施形態では、取り付けをさらに容易にすべく、2つのパーツが、仮想の分割面(不図示)を基準として互いに対称となる形状および大きさになっている。
【0022】
本明細書において、「対称」との記載は、視認できるレベルの非対称ではないことを意図しており、厳密に対称であることを求めない。例えば、上述の一体成形された部分を構成する2つのパーツは、対称でなくてもよい。また例えば、上述の一体成形された部分は、分割されていなくてもよい。さらには、ハウジング1a、装着部1b、接続部1dおよびハンドル1eの一部または全部が、一体成形されていなくてもよい。
【0023】
<1-2.アウターパイプ2>
アウターパイプ2は、把持部1が設けられた部材であり、本開示に係る第1部材の一例である。本実施形態では、アウターパイプ2は、
図1に示すような前後方向に延伸する直管である。具体的には、アウターパイプ2は、
図2および
図3に示すような中空部2aを有する。中空部2aには、プロペラシャフト(不図示)等が挿通されている。プロペラシャフトは、ハウジング1a内に収容されたモータと連結している。また、中空部2aには、前側の開口部2bから、インナーパイプ4が前後方向に移動可能に挿通されている。
【0024】
アウターパイプ2の形状、長さおよび厚さに特段の限定はなく、任意に設計変更できる。また、アウターパイプ2は、樹脂製または金属製としてよい。さらに、アウターパイプ2は、例えば中実の棒状部材であってもよい。アウターパイプ2の外側側面の形状については後述する。
【0025】
<1-3.ストッパーレバーホルダ3>
ストッパーレバーホルダ3は、固定操作を受け付ける部品であり、本開示に係る操作部の一例である。固定操作は、インナーパイプ4のアウターパイプ2に対する相対位置を固定するための操作である。本実施形態において、「インナーパイプ4のアウターパイプ2に対する相対位置」とは、インナーパイプ4のアウターパイプ2に対する前後方向の相対位置を指す。詳細は後述するが、インナーパイプ4は、アウターパイプ2に対する相対位置が変化可能な部材である。以下、インナーパイプ4のアウターパイプ2に対する相対位置を、「インナーパイプ4の相対位置」と略称する場合がある。
【0026】
ストッパーレバーホルダ3は、
図1~
図3に示すように、ハウジング3aおよびストッパーレバー3bを有する。また、ストッパーレバーホルダ3は、
図3に示すように、第1パーツ3a-1と第2パーツ3a-2とを含んでいる。第1パーツ3a-1および第2パーツ3a-2の詳細については後述する。
【0027】
(ハウジング3a)
ハウジング3aは、筒形状の筐体であり、前後方向に貫通した中空部を有する(
図2および
図3参照)。ハウジング3aの中空部には、
図2および
図3に示すように、アウターパイプ2の前側端部2cが収容されている。そして、ハウジング3aの中空部に前側端部2cが収容された状態において、ハウジング3aが突起部3j-1および突起部3j-2によって前側端部2cに固定されている。
【0028】
突起部3j-1は、
図3に示すように、後述の第1パーツ3a-1の内側側面から右側突出している。突起部3j-2は、後述の第2パーツ3a-2の内側側面から左側に突出している。突起部3j-1と突起部3j-2とは、略同一の形状および大きさになっている。
【0029】
一方で、アウターパイプ2の前側端部2cは、2つの貫通孔を有する(
図3参照)。一方の貫通孔は、ハウジング3aの中空部に前側端部2cが収容された状態における、前側端部2cにおける突起部3j-1の配置箇所と対応する箇所に形成されている。他方の貫通孔は、前記の状態における、前側端部2cにおける突起部3j-2の配置箇所と対応する箇所に形成されている。そして、前記の状態において、一方の貫通孔に突起部3j-1が挿入され、他方の貫通孔に突起部3j-2が挿入されることにより、ハウジング3aが前側端部2cに固定されている。
【0030】
以上のような構造で、ストッパーレバーホルダ3がアウターパイプ2に固定されている。また、ハウジング3aの中空部には、
図2および
図3に示すように、前側の開口部3cから、インナーパイプ4が前後方向に移動可能に挿通されている。
【0031】
ハウジング3aは、アウターパイプ2の前側端部2cに固定されなくてもよい。例えば、アウターパイプ2が、インナーパイプ4における後述の中空部4aに移動可能に挿通されているのであれば、ハウジング3aは、インナーパイプ4の後側端部(不図示)に固定されてもよい。この場合、ストッパーレバーホルダ3は、インナーパイプ4に固定されることになる。また、ストッパーレバー3bは、後述の固定力Ffをアウターパイプ2に働かせることになる。つまり、後述のストッパー7は、後述の第1押圧力F1をアウターパイプ2に働かせることになる。
【0032】
ハウジング3aは、
図1の符号101、
図3および
図4に示すように、左右の2つのパーツに分割されており、一方のパーツが第1パーツ3a-1となり、他方のパーツが第2パーツ3a-2となる。つまり、本実施形態では、ハウジング3aは、第1パーツ3a-1と第2パーツ3a-2とで構成されている。
【0033】
第1パーツ3a-1および第2パーツ3a-2は、該第1パーツ3a-1と該第2パーツとが組み合わせられた状態において、アウターパイプ2の一部およびインナーパイプ4の一部を覆う。具体的には、第1パーツ3a-1および第2パーツ3a-2は、
図2および
図3に示すように、アウターパイプ2の前側端部2cを覆う。また、第1パーツ3a-1および第2パーツ3a-2は、インナーパイプ4については、該インナーパイプ4の相対位置に応じて、その後側端部から、前側端部(不図示)を除く殆どすべての部分(
図1参照)までの範囲で覆う。
【0034】
ここで、第1パーツ3a-1および第2パーツ3a-2がインナーパイプ4の後側端部を覆うのは、インナーパイプ4の相対位置が最も前側に変化した場合である。一方、第1パーツ3a-1および第2パーツ3a-2が、インナーパイプ4における前側端部を除く殆どすべての部分を覆うのは、インナーパイプ4の相対位置が最も後側に変化した場合である。
【0035】
これにより、ストッパーレバーホルダ3のアウターパイプ2への取り付けが容易になる。本実施形態では、取り付けをさらに容易にすべく、第1パーツ3a-1と第2パーツ3a-2とが、
図1の符号101および
図4に示すように、仮想の分割面(不図示)を基準として互いに対称となる形状および大きさになっている。
【0036】
例えば、第1パーツ3a-1と第2パーツ3a-2とは、対称でなくてもよい。また例えば、ハウジング3aは、第1パーツ3a-1と第2パーツ3a-2とに分割されていなくてもよい。この場合、ハウジング3aは、一体成形されていてもよいし、3つ以上のパーツに分割されていてもよい。
【0037】
第1パーツ3a-1は、
図1の符号101、
図2および
図4に示すように、第1突出部3a-3を有する。具体的には、第1突出部3a-3は、
図4に示すように、第1パーツ3a-1の上壁から上側に向けて突出しており、後述の回動部3b-2および軸部3b-3を右側から覆っている。第2パーツ3a-2は、
図1の符号102および
図4に示すように、第2突出部3a-4を有する。具体的には、第2突出部3a-4は、
図4に示すように、第2パーツ3a-2の上壁から上側に向けて突出しており、後述の回動部3b-2および軸部3b-3を左側から覆っている。
【0038】
第1突出部3a-3および第2突出部3a-4のそれぞれは、
図2に示すように、第1壁3a-5および第2壁3a-6と連結している。第1壁3a-5および第2壁3a-6は、略矩形の板形状であり、ハウジング3aの前側部分の上壁内に設けられている。第1壁3a-5は、第2壁3a-6よりも前側に配置されており、第1壁3a-5と第2壁3a-6との間には空間が形成されている。この空間は、ハウジング3aの中空部と連通している。
【0039】
(ストッパーレバー3b)
ストッパーレバー3bは、固定操作を受け付けることにより、固定力Ffをアウターパイプ2またはインナーパイプ4のいずれか一方に働かせる部品であり、本開示に係る固定部材に含まれる部品の一例である。固定力Ffは、インナーパイプ4の相対位置を固定するための力である。本実施形態では、ストッパーレバー3bは、
図4に示すように、固定力Ffをインナーパイプ4に働かせる。固定力Ffの詳細については後述する。
【0040】
ストッパーレバー3bは、
図2に示すように、レバー本体3b-1、回動部3b-2および軸部3b-3を有する。レバー本体3b-1は、
図1および
図2に示すように、略板形状の部分である。また、レバー本体3b-1は、
図1の符号101に示すように、後側端部3b-4の幅が他の部分の幅よりも広くなっている。さらに、レバー本体3b-1は、
図1の符号102および
図2に示すように、後側端部3b-4とその他の部分との連結箇所が、下側に向けて凸となるように若干湾曲している。
【0041】
本実施形態では、レバー本体3b-1の後側端部3b-4が固定操作を受け付ける。固定操作は、ユーザの指等の操作体で後側端部3b-4の上面を押下する操作となる。後側端部3b-4が固定操作を受け付けることにより、インナーパイプ4の相対位置が固定される。以下、インナーパイプ4の相対位置が固定された状態を「ロック状態」と称する。また、後側端部3b-4は解除操作も受け付ける。解除操作は、操作体で後側端部3b-4の下面を押し上げる操作となる。後側端部3b-4が解除操作を受け付けることにより、インナーパイプ4の相対位置が変化可能な状態になる。以下、インナーパイプ4の相対位置が変化可能な状態を「アンロック状態」と称する。
【0042】
レバー本体3b-1は、後側端部3b-4の幅が他の部分の幅よりも広くなっていることから、操作体を後側端部3b-4に当て易い。これにより、固定操作および解除操作が容易になる。上述のようなレバー本体3b-1の形状および大きさはあくまで一例であり、固定操作の受け付けに支障がない範囲で任意に設計変更できる。また、固定操作についても、上述のような押下の他、レバー本体3b-1の形状および大きさ等に応じて様々な操作態様を採用できる。
【0043】
回動部3b-2は、
図2および
図4に示すように、左右方向に延伸する略円筒形状の部分であり、レバー本体3b-1の前側端部と連結している。また、回動部3b-2は、第1突出部3a-3と第2突出部3a-4との間の空間に配置されている(
図1の符号101および
図4参照)。
【0044】
さらに、回動部3b-2は、
図2に示すように、第1作用部3b-5および第2作用部3b-6を有する。第1作用部3b-5は、外面が曲面形状の部分であり、ロック状態において、インナーパイプ4に固定力Ffを働かせる(
図4参照;詳細は後述)。本明細書において、「曲面」との記載は、視認できるレベルの平面、屈曲面および凹凸面ではないことを意図しており、厳密に曲面であることを求めない。第2作用部3b-6は、回動部3b-2の側面から外側に突出した、回動部3b-2の延伸方向に沿って延伸する凸部である。第1作用部3b-5と第2作用部3b-6とは、回動部3b-2において連なって形成されている。
【0045】
軸部3b-3は、
図2および
図4に示すような円柱形状の部材であり、回動部3b-2の中空部(
図4参照)に挿通されている。本明細書において、「円柱形状」との記載は、視認できるレベルの角柱形状ではないことを意図しており、厳密に円柱形状であることを求めない。回動部3b-2は、軸部3b-3を中心軸として回動可能になっている。
【0046】
軸部3b-3の一端は、
図4に示すように、第1突出部3a-3に取り付けられている。具体的には、第1突出部3a-3は、内側部分に、外側に向けて凹となる凹部を有する。そして、この凹部に、軸部3b-3の一端が収容されている。また、軸部3b-3の他端は、第2突出部3a-4の内部に取り付けられる。具体的には、第2突出部3a-4は、内側部分に、外側に向けて凹となる凹部を有する。そして、この凹部に、軸部3b-3の他端が収容されている。
【0047】
ストッパーレバー3bは、ロック状態では、
図1および
図2に示すように、レバー本体3b-1の先端が後側かつ前後方向と平行な方向を向くように配置される。本明細書において、「平行」との記載は、視認できるレベルで基準面あるいは基準線と交差しないことを意図しており、厳密に平行であることを求めない。また、ストッパーレバー3bは、アンロック状態では、
図2に示すように、レバー本体3b-1の先端が上側を向くように配置される(図中の破線部分参照)。
【0048】
ストッパーレバー3bは、アンロック状態においてレバー本体3b-1の後側端部3b-4が固定操作を受け付けることにより、回動部3b-2が軸部3b-3を中心に上側から下側に向けて回動し、
図1、
図2および
図4に示すようなロック状態になる。ロック状態では、
図2および
図4に示すように、回動部3b-2の第1作用部3b-5が後述のストッパーブロック7aの上面7a-1を押圧する。
【0049】
一方、ストッパーレバー3bは、ロック状態において後側端部3b-4が解除操作を受け付けることにより、回動部3b-2が下側から上側に向けて回動し、アンロック状態になる。アンロック状態では、
図2に示すように、回動部3b-2の第2作用部3b-6が後述のストッパーブロック7aの上面7a-1を押圧する(図中の破線部分参照)。
【0050】
<1-4.ストッパー7>
ストッパー7も、固定操作を受け付けることにより、固定力Ffをアウターパイプ2またはインナーパイプ4のいずれか一方に働かせる部品であり、本開示に係る固定部材に含まれる部品の一例である。つまり、本実施形態では、本開示に係る固定部材がストッパーレバー3bとストッパー7をと含む構成になっている。具体的には、ストッパー7は、インナーパイプ4の相対位置を固定するために、アウターパイプ2またはインナーパイプ4のいずれか一方を第1押圧力F1で押圧する部材である。
【0051】
本実施形態では、ストッパー7は、
図4に示すように、インナーパイプ4を第1押圧力F1で押圧する。また、ストッパー7は、
図2および
図4に示すように、回動部3b-2の直下の空間3dに収容されている。空間3dは、上述のように、第1壁3a-5と第2壁3a-6との間に形成されている。ストッパー7は、ストッパーブロック7aおよびストッパーゴム7bを有する。
【0052】
ストッパーブロック7aは、縦方向の長さおよび横方向の長さに比して高さ方向の長さが短い、略直方体形状の部材である。具体的には、ストッパーブロック7aは、上面7a-1側の各縁が外側に凸となるように湾曲している。ストッパーブロック7aの形成材料としては、例えばゴム、一般的な樹脂材料等の弾性材料が挙げられる。但し、ストッパーブロック7aは弾性材料で形成されていなくてもよい。
【0053】
ストッパーブロック7aは、
図2に示すように、ストッパー7が空間3dに収容された状態において、上面7a-1が、回動部3b-2における第1作用部3b-5または第2作用部3b-6のいずれか一方によって押圧される。具体的には、ストッパーブロック7aは、
図2および
図4に示すように、ロック状態では上面7a-1が第1作用部3b-5によって押圧される。
【0054】
ストッパーゴム7bは、縦方向の長さに比して横方向の長さが長く、かつ高さ方向の長さが最も短い、矩形の板形状のゴム製部材である。ストッパーゴム7bの形成材料であるゴム材料は、例えば一般的なゴム材料であってもよい。本明細書において、「矩形」との記載は、視認できるレベルで台形、平行四辺形、あるいは五角形以上の多角形でないことを意図しており、厳密に矩形であることを求めない。
【0055】
ストッパーゴム7bは、
図4に示すように、ストッパーブロック7aの下面7a-2側の部分に埋設されている。また、ストッパーゴム7bは、
図2に示すように、ロック状態およびアンロック状態のいずれにおいても、下面7b-1がインナーパイプ4の外側側面4bに当接する。
【0056】
ストッパー7は、ロック状態では、
図2に示すように、ストッパーブロック7aにおける第1作用部3b-5との当接部分が下側に若干凹む程度まで、第1作用部3b-5によって押圧される。これにより、ストッパー7がインナーパイプ4に向けて押圧される。そして、
図4に示すように、インナーパイプ4の外側側面4bにおける、ストッパーブロック7aの下面7a-2およびストッパーゴム7bの下面7b-1と当接する当接面4b-1に、第1押圧力F1が作用する。
【0057】
このとき、ストッパーブロック7aおよびストッパーゴム7bにおけるインナーパイプ4との当接部分は、
図2および
図4に示すように、上側に若干凹む程度まで変形する。つまり、ストッパーブロック7aおよびストッパーゴム7bは、ロック状態においてインナーパイプ4と面接触する。本明細書において、「面接触」との記載は、視認できるレベルで、互いに接触する2つの接触面のいずれにも凹凸が存在しないことを意図しており、厳密に面接触であることを求めない。
【0058】
ストッパー7を第1作用部3b-5によってどの程度押圧するかは、インナーパイプ4の相対位置の固定に必要な第1押圧力F1の大きさに応じて任意に変更できる。必要な第1押圧力F1の大きさによっては、例えば、ストッパーブロック7aおよびストッパーゴム7bがインナーパイプ4と線接触する程度の第1押圧力F1になるように、ストッパー7を第1作用部3b-5で押圧してもよい。
【0059】
「ストッパーブロック7aおよびストッパーゴム7bがインナーパイプ4と線接触する」とは、下面7a-2および下面7b-1が、インナーパイプ4における外側側面4bの上側の頂辺と接触することを指す。上側の頂辺は、インナーパイプ4の外側側面4bにおいて最も上側に配置された辺であり、前後方向に延伸している。
【0060】
また、本明細書において、「線接触」との記載は、視認できるレベルで面接触でないことを意図しており、厳密に線接触であることを求めない。例えば、下面7a-2および下面7b-1がインナーパイプ4の頂辺と接触した場合において、ストッパー7の重力等によって頂辺がさらに押圧され、頂辺近傍が若干変形して面接触の部分が生じたとしても、視認できるレベルでなければなお「線接触」と言える。
【0061】
この第1押圧力F1によって、インナーパイプ4の相対位置が固定される。具体的には、ロック状態において、インナーパイプ4がアウターパイプ2に対して前後方向に移動(以下、「相対的移動」)しようとしても、当接面4b-1に、インナーパイプ4の相対的移動の方向と反対方向の第1静止摩擦力(不図示)が作用する。この第1静止摩擦力により、インナーパイプ4の相対的移動が規制され、結果としてインナーパイプ4の相対位置が固定される。
【0062】
換言すれば、ストッパーレバー3bは、ストッパー7を介して間接的に、インナーパイプ4を第1押圧力F1で押圧する。また、第1作用部3b-5がストッパーブロック7aを押圧することに起因して第1押圧力F1が生じることから、第1作用部3b-5がストッパーブロック7aを押圧する力が、
図4に示すように固定力Ffとなる。
【0063】
ここで、ストッパーゴム7bの下面7b-1は、
図2および
図4に示すように、ストッパーブロック7aの下面7a-2と面一になっている。本明細書において、「面一」との記載は、視認できるレベルで面と面とが段差を形成しないことを意図しており、厳密に面一であることを求めない。このように、下面7a-2と下面7b-1とが面一になっていることから、ストッパー7とインナーパイプ4と当接面積が増大して静止摩擦係数が大きくなり、第1静止摩擦力が大きくなる。これにより、ロック状態において、インナーパイプ4が所望の相対位置からずれ難くなる。
【0064】
また、ストッパーゴム7bの形成材料となるゴムの硬さを、ストッパーブロック7aの形成材料の硬さと同等以下にしてもよい。これにより、下面7b-1とインナーパイプ4の外側側面4bとの当接箇所における静止摩擦係数が、下面7a-2と外側側面4bとの当接箇所における静止摩擦係数以上になり易くなる。よって、ストッパー7の前後方向の両端部に生じる静止摩擦力の大きさが、ストッパー7の前後方向の中央部に生じる静止摩擦力の大きさ以上になり易くなる。
【0065】
以上のことから、ロック状態では、前記の両端部に生じる静止摩擦力によって、インナーパイプ4が所望の相対位置からずれ難くなる。また、アンロック状態では、インナーパイプ4の相対的移動が、前記の両端部に生じる静止摩擦力によって支障をきたすレベルまで規制され難くなる。
【0066】
また、ストッパーブロック7aは、
図2に示すように、ストッパー7が空間3dに収容された状態において、第1壁3a-5と対向する側面が該第1壁3a-5に当接し、第2壁3a-6と対向する側面が該第2壁3a-6に当接する。このような構造になっていることで、変化状態において、ストッパー7がインナーパイプ4に追従して本来の設置位置からずれてしまうことを抑えることができ、ストッパー7の損傷等も低減できる。「変化状態」は、インナーパイプ4の相対位置が変化している状態であり、本実施形態では、アンロック状態において、インナーパイプ4が実際に相対的移動を行っていることを指す。
【0067】
上述したストッパー7の構成要素、構造、形状、大きさ、材質および配置はあくまで一例であり、インナーパイプ4に対して第1押圧力F1を適正に負荷できる範囲で任意に設計変更できる。また、ストッパー7は、空間3dに収容された状態において、第1壁3a-5または第2壁3a-6のいずれか一方に当接してもよく、あるいは第1壁3a-5および第2壁3a-6のいずれにも当接しなくてもよい。また、ストッパー7は、単一の部材で構成されてもよい。
【0068】
さらに、電動工具10はストッパー7を有していなくてもよい。この場合、例えば、ロック状態では、第1作用部3b-5がインナーパイプ4を固定力Ffで直接押圧し、アンロック状態では、第2作用部3b-6がインナーパイプ4を直接押圧してもよい。この場合の固定力Ffは、第1押圧力F1に相当する。また、この場合であれば、ハウジング3aは、第1壁3a-5または第2壁3a-6のいずれか一方のみを有していてもよい。あるいは、ハウジング3aは、第1壁3a-5および第2壁3a-6の両方を有していなくてもよい。
【0069】
さらに、固定力Ffは、第1作用部3b-5がインナーパイプ4を押圧する力でなくてもよい。例えば、ラックアンドピニオン、ラチェットのような構造を採用して固定力Ffを働かせてもよく、あるいはインナーパイプ4の相対的移動を付勢するバネを設けて固定力Ffを働かせてもよい。
【0070】
<1-5.抵抗部材8>
ストッパーレバーホルダ3は、抵抗部材8を有する。本実施形態では、抵抗部材8は、
図3および
図4に示すように、ハウジング3aの第1パーツ3a-1に設けられている。抵抗部材8は、変化状態において、抵抗力Frをアウターパイプ2またはインナーパイプ4のいずれか一方に働かせる部材である。本実施形態では、抵抗部材8は、抵抗力Frをインナーパイプ4に働かせる。
【0071】
抵抗力Frは、インナーパイプ4の相対位置の変化に対する抵抗力である。本実施形態では、
図3および
図4に示すように、変化状態においてインナーパイプ4の相対的移動の方向と反対方向に作用する第1動摩擦力が、抵抗力Frとなる。但し、抵抗力Frは、第1動摩擦力でなくてもよい。例えば、ラックアンドピニオン、ラチェットのような構造を採用して抵抗力Frを働かせてもよく、あるいはインナーパイプ4の相対的移動を付勢するバネを設けて抵抗力Frを働かせてもよい。抵抗部材8の詳細については後述する。
【0072】
<1-6.インナーパイプ4>
インナーパイプ4は、アウターパイプ2に対する相対位置が変化可能な部材であり、本開示に係る第2部材の一例である。本実施形態では、インナーパイプ4は、
図1~
図4に示すような前後方向に延伸する直管である。具体的には、インナ―パイプ4は、
図2および
図3に示すような中空部4aを有する。中空部4aには、アウターパイプ2の中空部2aに挿通されたプロペラシャフト等が挿通されている。また、インナーパイプ4は、ハウジング3aの中空部を貫通している。
【0073】
インナーパイプ4が中空部2aに挿通された状態において、インナーパイプ4の外側側面4bとアウターパイプ2の内側側面との間には若干の隙間が生じる。また、インナーパイプ4がハウジング3aの中空部を貫通した状態において、外側側面4bと、ハウジング3aにおける前側部分の内側側面との間にも若干の隙間が生じる。これらの隙間が生じることにより、インナーパイプ4は、アンロック状態において前後方向に移動可能となる。
【0074】
インナーパイプ4は、
図2に示すように、ロック状態では、外側側面4bの当接面4b-1がストッパー7によって押圧される。一方、アンロック状態では、ストッパー7が当接面4b-1から離間する。そのため、インナーパイプ4は、アンロック状態では、当接面4b-1がストッパー7によって押圧されない。
【0075】
但し、インナーパイプ4は、アンロック状態においても、当接面4b-1がストッパー7によって押圧されてもよい。これにより、変化状態においても当接面4b-1に摩擦力が生じることから、インナーパイプ4の相対位置の意図しない変化を低減できる。よって、インナーパイプ4を、アウターパイプ2に対して意図通りに位置決めすることが容易になる。
【0076】
本実施形態では、インナーパイプ4の外側側面4bは全面に亘って曲面であるが、外側側面4bを構成する各領域によって曲率が異なる。具体的には、外側側面4bは、
図4に示すように、当接面4b-1を含む上側領域の曲率が、全領域の中で最も小さい。次に、第1パーツ3a-1の本体部分と対向する左側領域、および第2パーツ3a-2の本体部分と対向する右側領域の曲率が小さい。上側領域の曲率と、左側領域および右側領域の各曲率とは微差である。次に、左側領域および右側領域の各下側部分から下側領域にかけての曲率が小さい。上側領域と、左側領域および右側領域との各連結領域の曲率が、全領域の中で最も大きい。
【0077】
このように、ストッパー7から押圧される上側領域の曲率が最も小さいことから、同一の第1押圧力F1が作用した場合における当接面4b-1の面積が大きくなり、インナーパイプ4に対して固定力Ffが働き易くなる。また、抵抗部材8によって押圧される左側領域(
図4参照)の曲率も、上側領域の曲率と略同一であることから、同一の第2押圧力F2が作用した場合における当接面4b-2の面積が大きくなる。これにより、インナーパイプ4に対して抵抗力Frが働き易くなる。第2押圧力F2および当接面4b-2の詳細については後述する。
【0078】
本実施形態では、図示しないものの、アウターパイプ2における内側側面および外側側面の各形状は、インナーパイプ4の外側側面4bの形状に対応している。よって、例えばストッパーレバーホルダ3がインナーパイプ4に固定され、ストッパー7および抵抗部材8がアウターパイプ2を押圧する場合、上述した理由と同様の理由により、アウターパイプ2に対して固定力Ffおよび抵抗力Frが働き易くなる。
【0079】
インナーパイプ4の形状、長さおよび厚さに特段の限定はなく、任意に設計変更できる。したがって、アウターパイプ2における内側側面および外側側面の各形状が、インナーパイプ4の外側側面4bの形状に対応していなくてもよい。また、インナーパイプ4は、樹脂製または金属製としてよい。さらに、インナーパイプ4は、例えば中実の棒状部材であってもよい。
【0080】
<1-7.接続部5>
接続部5は、インナーパイプ4と電動ユニット6とを接続する部品である。接続部5は、
図1に示すような略矩形の棒状部品であり、接続部5の延伸方向に沿って延伸する中空部(不図示)を有する。この中空部は、接続部5を貫通している(
図1参照)。
【0081】
また、この中空部には、アウターパイプ2の中空部2aおよびインナーパイプの中空部4aに挿通されたプロペラシャフト等が挿通されている。そして、接続部5における後側の開口部から、インナーパイプ4の前側端部(不図示)が挿通されることにより、この前側端部が接続部5の中空部に収容されている。このような構造で、接続部5とインナーパイプ4とが接続されている。
【0082】
また、接続部5は、インナーパイプ4に対する相対位置が変化可能である。具体的には、接続部5は、インナーパイプ4に対する接続部5の相対位置が変化可能な接続部アンロック状態において、インナーパイプ4に対して前後方向に相対的に移動できる。一方、接続部ロック状態にすると、インナーパイプ4に対する接続部5の相対位置が固定される。接続部ロック状態および接続部アンロック状態の設定および解除は、
図1に示すロック/アンロック調整部5aを操作することで行われる。
【0083】
本実施形態では、ロック/アンロック調整部5aは、略円板形状のつまみになっている。ロック/アンロック調整部5aを紙面向かって時計回りに回すことにより、接続部5は接続部ロック状態になる。一方、ロック/アンロック調整部5aを紙面向かって反時計回りに回すことにより、接続部5は接続部アンロック状態になる。但し、接続部5は、インナーパイプ4に対する相対位置が不変であってもよい。
【0084】
図1の符号101に示す接続部5の前側端部5bは、2つの突起部(不図示)を有する。具体的には、前側端部5bの左側側面から、一方の突起部が突出している。また、前側端部5bの右側側面から、他方の突起部が突出している。そして、前記の左側側面から突出した一方の突起部は、後述の接続壁6b-1の内側部分に形成された孔(不図示)に挿入されている。また、前記の右側側面から突出した他方の突起部は、後述の接続壁6b-2の内側部分に形成された孔(不図示)に挿入されている。このような構造で、接続部5と電動ユニット6とが接続されている。
【0085】
接続部5の形状および構造、接続部5とインナーパイプ4との接続態様、ならびに接続部5と電動ユニット6との接続態様は上述の例に限定されず、任意に設計変更できる。例えば、接続壁6b-1が一方の突起部を有し、接続壁6b-2が他方の突起部を有してもよい。この場合、前側端部5bの両側面側の部分に、1つずつ孔が形成されることになる。
【0086】
<1-8.電動ユニット6>
電動ユニット6は、インナーパイプ4に接続されたユニットである。具体的には、電動ユニット6は、上述のように接続部5を介してインナーパイプ4の前側端部と接続している。本実施形態では、電動ユニット6が
図1に示すような刃体ユニットの場合を例に挙げて説明する。電動ユニット6としては、刃体ユニットの他、ブロワ等が想定される。
【0087】
電動ユニット6は、
図1に示すように、ハウジング6a、接続部6bおよび刈刃6cを有する。ハウジング6aは、内部に変換機構(不図示)等が収容された筐体である。変換機構は、ハウジング1aの内部に収容されたモータの回転を前後方向の往復運動に変換するものであり、プロペラシャフトと連結している。接続部6bは、ハウジング6aと接続部5とを接続する部分であり、ハウジング6aの後側端部に設けられている。接続部6bは、接続壁6b-1および接続壁6b-2を含んでいる。
【0088】
接続壁6b-1、接続壁6b-2ともに、ハウジング6aの後側端部から後側に向けて突出している。また、接続壁6b-1と接続壁6b-2との間には、
図1の符号101に示すような空間6b-3が形成されている。そして、接続壁6b-1の孔に接続部5の突起部の一方が挿入され、接続壁6b-2の孔に接続部5の突起部の他方が挿入された状態において、接続部5の前側端部5bが空間6b-3に収容されている。前側端部5bが空間6b-3に収容された状態において、ハウジング6aは、接続部5の2つの突起部を中心軸として回動可能になっている。つまり、電動ユニット6が、前記の2つの突起部を中心軸として回動可能になっている。
【0089】
刈刃6cは、ハウジング6aの前側の先端に、着脱可能に取り付けられる。具体的には、ハウジング6aの前側の先端は、ハウジング6a内の空間と連通する開口部(不図示)を有する。そして、この開口部に刈刃6cの基端部(不図示)が挿入されることにより、該基端部が、ハウジング6a内の空間に収容された変換機構に取り付けられる。モータの回転は、プロペラシャフトを介して変換機構に伝達され、変換機構で前後方向の往復運動に変換される。そして、変換機構で変換された前後方向の往復運動が刈刃6cに伝達されることにより、刈刃6cが前後方向に往復運動する。
【0090】
刈刃6cは、上刃、および上刃よりも下側に配置される下刃を有する。上刃と下刃とは、互いに相対的な往復運動を行う。例えば、刈刃6cは、上刃または下刃のいずれか一方を可動刃とし、他方を固定刃として、可動刃が固定刃に対して前後方向に往復運動する構成にしてもよい。また例えば、刈刃6cは、上刃および下刃の両方を可動刃とし、一方の運動方向が他方の運動方向と反対方向になるように、上刃および下刃のそれぞれが前後方向に往復運動する構成にしてもよい。
【0091】
〔2.抵抗部材8の構造、配置および機能〕
図3~
図6を参照して、一実施形態に係る抵抗部材8の構造、配置および機能について説明する。
図5は、抵抗部材8の配置箇所周辺の拡大図である。
図6の符号601は、押圧部8aの斜視図である。
図6の符号602は、符号601のVI-VI線の矢視断面図である。
図5は、第1パーツ3a-1と第2パーツ3a-2とが組み合わさる前の抵抗部材8の状態を図示している。つまり、
図5は、インナーパイプ4がハウジング3aの中空部を貫通する前の抵抗部材8の状態を図示している。
【0092】
<2-1.抵抗部材8の構造>
抵抗部材8は、変化状態において、アウターパイプ2またはインナーパイプ4のいずれか一方を第2押圧力F2で押圧する部材である。本実施形態では、抵抗部材8は、
図3および
図4に示すように、変化状態においてインナーパイプ4を第2押圧力F2で押圧する。ストッパーレバーホルダ3がインナーパイプ4に固定され、インナーパイプ4に対するアウターパイプ2の相対位置が変化可能な場合であれば、抵抗部材8は、変化状態においてアウターパイプ2を第2押圧力F2で押圧してもよい。つまり、この場合であれば、抵抗部材8は、抵抗力Frをアウターパイプ2に働かせてもよい。抵抗部材8は、
図3~
図6に示すように、押圧部8aおよび付勢部8bを有する。
【0093】
(押圧部8a)
押圧部8aは、外形が略円板形状の部分であり、アウターパイプ2またはインナーパイプ4のいずれか一方を押圧する。本実施形態では、押圧部8aは、インナーパイプ4がハウジング3aを貫通した状態においてインナーパイプ4を押圧する。押圧部8aは、
図5および
図6に示すように、底壁8a-1、側壁8a-2および突起部8a-3を有する。
【0094】
底壁8a-1は、円板形状の部分であり、縁が面取りされている。このように縁が面取りされていることで、押圧部8aが後述の凹部3e内の空間3gに収容される過程で、底壁8a-1の縁が凹部3eの開口部に引っ掛かって押圧部8aが空間3gに収容され難くなるのを低減できる。
【0095】
底壁8a-1は、当接面8a-4を有する。本実施形態では、当接面8a-4は、インナーパイプ4がハウジング3aを貫通した状態においてインナーパイプ4に当接する面であり、
図5および
図6の符号602に示すような平面である。本明細書において、「平面」との記載は、視認できるレベルの曲面ではないこと、あるいは視認できるレベルの凹凸を有していないことを意図しており、厳密に平面であることを求めない。
【0096】
また、底壁8a-1の当接面8a-4は、
図3および
図4に示すように、押圧部8aがインナーパイプ4を第2押圧力F2で押圧している状態において、インナーパイプ4の外側側面4bにおける左側領域と面接触する。ここで、前記の左側領域において、当接面8a-4と面接触する部分が、当接面4b-2となる。
【0097】
但し、底壁8a-1の当接面8a-4は、押圧部8aがインナーパイプ4を第2押圧力F2で押圧している状態において、インナーパイプ4の外側側面4bの当接面4b-2と線接触してもよい。「底壁8a-1の当接面8a-4がインナーパイプ4の外側側面4bの当接面4b-2と線接触する」とは、当接面8a-4が当接面4b-2の頂辺と接触することを指す。当接面4b-2の頂辺は、当接面4b-2において最も左側に配置された辺であり、前後方向に延伸している。
【0098】
これにより、抵抗部材8がアウターパイプ2またはインナーパイプ4のいずれか一方と面接触する場合と比較して、第2押圧力F2が小さくなり、ひいては抵抗力Frが小さくなる。よって、インナーパイプ4の位置決めのし易さと、インナーパイプ4の円滑な移動とを両立できる。「面接触」および「線接触」の本明細書における各意義については、前述のとおりである。
【0099】
側壁8a-2は、
図6の符号601に示すような円筒形状の壁であり、底壁8a-1における当接面8a-4の反対側の面8a-8(以下、「背面8a-8」)から延伸している。具体的には、側壁8a-2は、背面8a-8の縁から、該背面8a-8を取り囲むように延伸している。本明細書において、「円筒」との記載は、視認できるレベルの角筒ではないこと、あるいは視認できるレベルで外側表面に凹凸を有していないことを意図しており、厳密に円筒であることを求めない。
【0100】
側壁8a-2は、先端の内側部分の全域に亘って面取りが施されている。また、側壁8a-2は、
図5および
図6に示すような対向面8a-5を有する。対向面8a-5は、
図3~
図5に示すように、その少なくとも一部が、後述の凹部3eにおける内周面3e-1と対向する。また、対向面8a-5の形状は、
図3~
図5に示すように内周面3e-1の形状に対応している。これにより、対向面8a-5の形状が内周面3e-1の形状に対応していない場合と比較して、電動工具10を組み立てる過程で押圧部8aを凹部3e内の空間3gに収容し易くなる。よって、抵抗部材8の収容に関する手間が削減されて電動工具10の組み立てが容易になる。
【0101】
突起部8a-3は、底壁8a-1の背面8a-8の中央から突出している部分である。「背面8a-8の中央から突出」とは、突起部8a-3の突出方向の中心軸(不図示)上に背面8a-8の中心(不図示)が配置されるように、突起部8a-3が突出していることを指す。本明細書において、「中央」との記載は、視認できるレベルで中央からずれていないことを意図しており、厳密に中央であることを求めない。
【0102】
突起部8a-3は、
図6の符号601に示すような第1突起部8a-6および第2突起部8a-7を有する。第1突起部8a-6および第2突起部8a-7はともに、略矩形の板形状の部分であり、先端が丸みを帯びている。また、第1突起部8a-6と第2突起部8a-7とは同一の大きさであり、底壁8a-1の背面8a-8の中央で略直交するように形成されている。本明細書において、「同一の大きさ」との記載は、視認できるレベルで大きさが異ならないことを意図しており、厳密に同一の大きさであることを求めない。本実施形態では、突起部8a-3の高さ、つまり第1突起部8a-6および第2突起部8a-7の各高さが、
図3~
図6に示すように側壁8a-2の高さよりも低くなっている。
【0103】
押圧部8aの形成材料としては、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂、ゴムが挙げられる。底壁8a-1、側壁8a-2および突起部8a-3の形状、大きさ、配置等は、上述の例に限定されない。例えば、底壁8a-1および側壁8a-2については、後述の凹部3eの形状、大きさ、およびインナーパイプ4の形状、大きさ等に応じて任意に設計変更できる。また、突起部8a-3については、底壁8a-1の形状、大きさ、および後述の付勢部8bの形状、大きさに応じて任意に設計変更できる。
【0104】
(付勢部8b)
付勢部8bは、押圧部8aを弾性力により付勢する部分である。本実施形態では、付勢部8bは、
図3~
図6に示すようなコイルバネを含むが、押圧部8aを弾性力により付勢するものであればコイルバネを含んでいなくてもよい。例えば、押圧部8aの突起部8a-3の高さを、付勢部8bのコイルバネの自然長と同程度まで長くすることで、該突起部8a-3を付勢部8bの代替部分にできる。この場合、突起部8a-3は、合成樹脂またはゴム等の弾性材料で形成される。前記の代替部分は、例えば底壁8a-1および側壁8a-2と一体成形されてもよく、あるいは底壁8a-1および側壁8a-2とは別体の樹脂成型体であってもよい。
【0105】
付勢部8bは、
図5に示すように、一端の開口部から押圧部8aの突起部8a-3が挿入され、突起部8a-3が付勢部8bの内部に収容されることにより、押圧部8aに取り付けられる。ここで、付勢部8bが押圧部8aに取り付けられた状態において、付勢部8bのコイルバネの内面が突起部8a-3の側面に当接する。これにより、押圧部8aが付勢部8bから外れ難くなる。
【0106】
付勢部8bは、他端が後述の凹部3eに取り付けられる(取り付けの詳細については後述)。ここで、付勢部8bのコイルバネの自然長は、
図5に示すように、凹部3eの内周面3e-1の高さ(凹部3eの深さ)よりも長くなっている。これにより、抵抗部材8が設けられた第1パーツ3a-1と第2パーツ3a-2とが組み合わせられる前の状態(以下、「初期状態」)において、底壁8a-1および側壁8a-2の一部が凹部3eから突出する。よって、インナーパイプ4がハウジング3aの中空部を貫通した状態において付勢部8bが十分に収縮し、必要な大きさの第2押圧力F2を得易くなる。
【0107】
付勢部8bの形状、構造、大きさ等は上述の例に限定されない。例えば、付勢部8bのコイルバネの内外径については、押圧部8aの突起部8a-3の大きさに応じて任意に設計変更できる。また、コイルバネの巻数および自然長、コイルバネを形成する線材の線径については、必要とする第2押圧力F2の大きさ等に応じて任意に設計変更できる。
【0108】
さらには、抵抗部材8が付勢部8bを有していなくてもよい。この場合、例えば押圧部8aを上述の弾性材料で形成し、インナーパイプ4がハウジング3aの中空部を貫通した状態において、側壁8a-2の先端を後述の凹部3eの底面3e-2に当接させることで、押圧部8aに付勢部8bの機能を併有させてもよい。付勢部8bの機能を併有する押圧部8aとしては、例えば中実の柱状体でもよい。
【0109】
以上のように、抵抗部材8が押圧部8aおよび付勢部8bを有することから、適正な第2押圧力F2を発生させる部材を付勢部8bとして選定することができる。これにより、アウターパイプ2またはインナーパイプ4のいずれか一方に好適な抵抗力Frを働かせるための、抵抗部材8の設計上の自由度が高まる。
【0110】
<2-2.抵抗部材8の配置>
ストッパーレバーホルダ3には、
図4~
図6に示すような凹部3eが形成されている。凹部3eは、押圧部8aおよび付勢部8bを収容可能な凹部である。具体的には、凹部3eは、
図1の符号102および
図3に示すように、ハウジング3aの第1パーツ3a-1の前側部分に形成されている。より詳細には、凹部3eは、
図3~
図5に示すように、第1パーツ3a-1の前側部分における内側側面からインナーパイプ4に向けて突出するように形成されている。
【0111】
図5に示す凹部3e内の空間3gは、
図3に示すように、その前後が第3壁3a-7と第4壁3a-8とで挟まれている。第3壁3a-7および第4壁3a-8は、ともに、第1パーツ3a-1の前側部分における内側側面からインナーパイプ4に向けて突出する略矩形の板形状の部分である。第3壁3a-7は、第4壁3a-8よりも前側に配置されている。
【0112】
押圧部8aの少なくとも一部は、変化状態において、
図5に示す凹部3eの内周面3e-1に当接する。本実施形態では、
図3に示すように、押圧部8aの側壁8a-2が、変化状態において、第3壁3a-7における側壁8a-2と対向する面、および第4壁3a-8における側壁8a-2と対向する面のそれぞれに当接する。第3壁3a-7における側壁8a-2と対向する面、および第4壁3a-8における側壁8a-2と対向する面は、それぞれ内周面3e-1に含まれている。これにより、変化状態において、押圧部8aが押圧対象(インナーパイプ4)に追従して本来の設置位置からずれてしまうことを抑えることができ、抵抗部材8の損傷等も低減できる。
【0113】
また、凹部3eは、第1パーツ3a-1の前側部分において、当接面4b-2の面積が最大になるような上下方向の位置に形成できる(
図4参照)。当接面4b-2は、インナーパイプ4の外側側面4bの一部であり、
図5および
図6の符号602に示す押圧部8aの当接面8a-4と当接する。第1パーツ3a-1における凹部3eの形成位置に特段の限定はなく、第2押圧力F2がインナーパイプ4に適切に作用する位置であれば、凹部3eはどのような位置に形成されてもよい。
【0114】
凹部3e内の空間3gは、
図5に示すように、凹部3eの内周面3e-1と底面3e-2とで取り囲まれるように形成されている。内周面3e-1の形状は、上述した通り側壁8a-2の対向面8a-5の形状に対応している。また、底面3e-2の外形および大きさは、平面視における側壁8a-2の外形および大きさに対応している。さらに、底面3e-2の縁は、全域に亘って、該底面3e-2における他の領域よりも外側に向けて窪んでいる。この底面3e-2の縁の形状および大きさは、側壁8a-2の先端の形状および大きさに略対応している。
【0115】
凹部3eにおける、底面3e-2を含む底部は、
図5に示すような空間3hを有している。空間3hは、底部の略中央に形成されており、底面3e-2側が開放されている。また、底部を形成する底面3h-2には、リブ3fが設けられている(
図3および
図4も参照)。リブ3fは、底面3h-2からインナーパイプ4に向けて突出している、略円筒形状の部分である。リブ3fの先端の縁は、丸みを帯びている。
【0116】
このように、付勢部8bがリブ3fに取り付けられることにより、付勢部8bが倒れ難くなる。また、空間3hを形成する内周面3h-1とリブ3fの側面との間に形成される隙間の幅は、付勢部8bのコイルバネを形成する線材の線径と略同一になっている。さらに、リブ3fが付勢部8bの内部に収容された状態において、付勢部8bのコイルバネが内周面3h-1およびリブ3fの側面に当接する。これらにより、付勢部8bがリブ3fから外れ難くなる。
【0117】
以上のように、リブ3fが、付勢部8bにおける押圧部8aが取り付けられていない側の端の開口部から挿入され、付勢部8bの内部に収容されることにより、抵抗部材8が凹部3eに取り付けられる。
【0118】
抵抗部材8は、初期状態では、
図5に示すように、押圧部8aにおける底壁8a-1および側壁8a-2の一部が凹部3eから突出している。そして、インナーパイプ4をハウジング3aの中空部に貫通させることにより、押圧部8aがインナーパイプ4によって押圧され、付勢部8bのコイルバネが圧縮される。このような挙動を経て、押圧部8aは、
図3および
図4に示すように、そのすべての部分が凹部3e内の空間3gに収容される。
【0119】
「押圧部8aのすべての部分が凹部3e内の空間3gに収容される」とは、押圧部8aの空間3gへの収容が完了した状態において、底壁8a-1の当接面8a-4が、凹部3eの先端面よりも空間3gの内部側に配置されていることを指す。但し、押圧部8aの空間3gへの収容が完了した状態において、押圧部8aの一部が凹部3eから突出してもよい。
【0120】
ここで、上述した通り、凹部3eの内周面3e-1の形状が側壁8a-2の対向面8a-5の形状に対応している。これにより、押圧部8aは、該押圧部8aが空間3gに収容される過程で、内周面3e-1によって空間3gにスムーズに案内される。つまり、内周面3e-1が、押圧部8aを空間3gに案内するガイド部としての役割を果たす。
【0121】
以上のことから、押圧部8aは、インナーパイプ4がハウジング3aの中空部を貫通するように配置された時点で、インナーパイプ4の外側側面4bにおける左側領域を押圧する位置に配置されることになる。つまり、押圧部8aは、インナーパイプ4がハウジング3aの中空部を貫通するように配置されて以降は、インナーパイプ4の相対位置の変化如何に拘らず前記の左側領域を押圧することになる。但し、押圧部8aは、少なくとも変化状態において、インナーパイプ4のいずれかの部分を押圧するものであればよい。
【0122】
抵抗部材8の配置は、上述の例に限定されない。例えば、第2パーツ3a-2に抵抗部材8を設けてもよい。言い換えれば、凹部3eは、第1パーツ3a-1または第2パーツ3a-2のいずれか一方に形成されていればよい。これにより、第1パーツ3a-1と第2パーツ3a-2とを組み合わせる前に、抵抗部材8を凹部3e内の空間3gに収容しておくことができる。よって、ストッパーレバーホルダ3の組み立てに関する手間が削減されて、電動工具10の組み立てが容易になる。
【0123】
また例えば、第1パーツ3a-1および第2パーツ3a-2の両方に抵抗部材8を設けてもよい。さらには、第1パーツ3a-1および第2パーツ3a-2の少なくとも一方に、複数個の抵抗部材8を設けてもよい。
【0124】
<2-3.抵抗部材8の機能>
抵抗部材8は、上述の通り、インナーパイプ4の相対位置の変化如何に拘らず、押圧部8aがインナーパイプ4の外側側面4bにおける左側領域、具体的には当接面4b-2を押圧する。したがって、(i)ロック状態では、インナーパイプ4が相対的移動を行おうとしても、前記の左側領域における当接面4b-2に、インナーパイプ4の相対的移動の方向と反対方向の第2静止摩擦力(不図示)が作用する。この第2静止摩擦力によっても、インナーパイプ4の相対的移動が規制される。このことから、抵抗部材8は、ロック状態においては、インナーパイプ4の相対位置での固定を強固にする補助部材として機能する。
【0125】
次に、(ii)アンロック状態であり、かつ変化状態でない場合は、ロック状態に比べてインナーパイプ4の相対位置が変化し易くなる。その点、抵抗部材8の押圧部8aがインナーパイプ4を押圧していることから、インナーパイプ4の相対的移動が意図せず始まるのを第2静止摩擦力によって低減できる。このことから、抵抗部材8は、アンロック状態であり、かつ変化状態でない場合においては、インナーパイプ4の相対位置の意図しない変化を低減する機能を発揮する。
【0126】
次に、(iii)変化状態では、
図3および
図4に示すように、押圧部8aが当接面4b-2を第2押圧力F2で押圧する。この押圧によって、当接面4b-2に、インナーパイプ4の相対的移動の方向と反対方向の第1動摩擦力が抵抗力Frとして作用する。この抵抗力Frにより、インナーパイプ4のアウターパイプ2に対する自由な移動が規制される。つまり、抵抗部材8を用いれば、変化状態において抵抗力Frが生じることから、インナーパイプ4の相対位置の意図しない変化を低減できる。よって、抵抗部材8は、変化状態においては、インナーパイプ4をアウターパイプ2に対して意図通りに位置決めするのを容易にする機能を発揮する。
【0127】
押圧部8aがインナーパイプ4の外側側面4bの当接面4b-2を押圧する押圧力は、付勢部8bのコイルバネが圧縮される方向と反対方向に作用する弾性力に相当する。そして、前記の(i)~(iii)のいずれの状態においても、コイルバネの縮みは同一のため、前記の(iii)の状態において当接面4b-2を押圧する第2押圧力F2は、前記の(i)および(ii)の状態において当接面4b-2を押圧する押圧力と同一になる。つまり、押圧部8aは、前記の(i)~(iii)のいずれの状態においても当接面4b-2を第2押圧力F2で押圧する。
【0128】
厳密に言えば、前記の(iii)の状態では、インナーパイプ4の相対的移動の過程で該インナーパイプ4に微細な振動等が生じることから、コイルバネの縮みもこの振動等の影響を受けて若干変動する。そのため、前記の(iii)の状態のときに生じる第2押圧力F2は一定値にならない。しかしながら、これらの変化、変動はどれも誤差のレベルであることから、本明細書ではこれらの変化、変動が生じないものと見做す。
【0129】
本実施形態では、第2押圧力F2が第1押圧力F1よりも小さくなるように、付勢部8bのコイルバネの内外径および巻数、コイルバネを形成する線材の線径が設計されている。具体的には、前記の(i)の状態において、インナーパイプ4の外側側面4bの当接面4b-2に作用する第2押圧力F2が、当接面4b-1に作用する第1押圧力F1より小さくなる。これにより、インナーパイプ4が抵抗部材8によって移動困難な程度に押圧されることを低減できる。よって、インナーパイプ4の位置決めのし易さと、インナーパイプ4の円滑な移動とを両立できる。但し、第2押圧力F2が第1押圧力F1以上であってもよい。
【0130】
〔付記事項〕
以上、本開示に係る発明について、諸図面および実施形態に基づいて説明してきた。しかし、本開示に係る発明は上述した実施形態等に限定されるものではない。すなわち、本開示に係る発明は本開示で示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示に係る発明の技術的範囲に含まれる。つまり、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。また、これらの変形または修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【符号の説明】
【0131】
1 把持部
2 アウターパイプ(第1部材)
3 ストッパーレバーホルダ(操作部)
3a-1 第1パーツ
3a-2 第2パーツ
3b ストッパーレバー(固定部材)
3e 凹部
3e-1 内周面
4 インナーパイプ(第1部材)
6 電動ユニット
8 抵抗部材
8a 押圧部
8a-2 側壁
8a-5 対向面
8b 付勢部
10 電動工具
F1 第1押圧力
F2 第2押圧力
Ff 固定力
Fr 抵抗力