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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099095
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】アンテナユニット
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/08 20060101AFI20220627BHJP
   H02J 50/05 20160101ALI20220627BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20220627BHJP
   H01Q 1/14 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
H01Q1/08
H02J50/05
H02J50/10
H01Q1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212856
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】511240391
【氏名又は名称】株式会社ビジョンストリーム
(71)【出願人】
【識別番号】518185565
【氏名又は名称】株式会社クリエイティブネクストデザイン
(71)【出願人】
【識別番号】520506431
【氏名又は名称】合同会社濱野工匠
(74)【代理人】
【識別番号】100134706
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文昭
(72)【発明者】
【氏名】進藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】濱野 隆雄
【テーマコード(参考)】
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J046DA04
5J047AA09
(57)【要約】
【課題】使用する状況や環境に適応する汎用性の高いアンテナユニットを提供する。
【解決手段】アンテナユニット11は、アンテナ15と保持部材とハウジング21と整合回路とを備える。アンテナ15は長尺のテープ状に形成され、導電部を有し、可撓性を有する。保持部材はアンテナ15における長手方向の一端を保持する。ハウジング21は保持部材が内部に配され、アンテナ15が収容され、アンテナ15が長手方向の他端29側から出し入れされるスリット状の出入口25が形成される。整合回路は一端が導電部と接続され、他端が電源と接続される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のテープ状に形成され、導電部を有する可撓性のアンテナと、
前記アンテナにおける長手方向の一端を保持する保持部材と、
前記保持部材が内部に配され、前記アンテナが収容され、前記アンテナが長手方向の他端側から出し入れされるスリット状のアンテナ出入口が形成されたハウジングと、
一端が前記導電部と接続され、他端が電源と接続される整合回路と、
を備えるアンテナユニット。
【請求項2】
前記整合回路は前記ハウジングに収容されている請求項1に記載のアンテナユニット。
【請求項3】
前記保持部材は、前記アンテナが巻かれる円筒形の巻芯であり、前記アンテナの前記一端を挟持する挟持部を有し、
前記ハウジングは、前記巻芯の中空部に挿通される軸を内壁に有する請求項1または2に記載のアンテナユニット。
【請求項4】
前記巻芯は、
断面がC字状であり、絶縁材料で形成され、互いの一端面の間に前記アンテナの前記一端を挟持することで保持する一対の巻芯部と、
前記アンテナの前記導電部と接する状態に前記巻芯部の一端面に設けられ、導電材料で形成された第1導電部材と、を有する請求項3に記載のアンテナユニット。
【請求項5】
前記軸の外径が前記巻芯の内径よりも小さく、
前記軸と前記巻芯との間にぜんまいばねを備え、
前記ぜんまいばねの外周面が前記巻芯の内周面に接している請求項3または4記載のアンテナユニット。
【請求項6】
前記ぜんまいばねは導電材料で形成され、
前記軸は、絶縁材料で形成され、軸心方向に延び、前記ぜんまいばねを挟持するスリットが形成され、前記スリットに導電材料で形成された第2導電部材を有する請求項5に記載のアンテナユニット。
【請求項7】
前記整合回路の他端は、前記ぜんまいばねを介して前記電源に接続される請求項6に記載のアンテナユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス電力伝送は、送電側から離れている受電側へ電力を供給する技術として知られている。電力伝送の方式としては、例えば電界結合方式や磁界共鳴方式などがある。ワイヤレス電力伝送は、スマートフォンの充電や電子ペーパーを用いた広告、電子棚札への電力供給などに用いられる。
【0003】
例えば、先行文献1には、磁界共鳴方式を採用した電子棚札システムが開示されている。この電子棚札システムは、コイルに電力を送ることで磁界を発生させて、レールに配した送電部と札に設けられた受電部とで給電を行う。また、先行文献2には、電界結合方式または磁界結合方式を採用した電子棚札システムが開示されている。この電子棚札システムは、送電装置と受電装置とを備える。送電装置は、伝送線路を有し、この伝送線路は、一方向に延在し、延在方向の両端部を除く部分は絶縁被覆されており、第1の端部に設けられた入力端を介して交流電源と接続し、前記入力端を介して入力された電力を、第2の端部に向けて伝送する。受電装置は、交流電力伝送デバイスから漏洩する交流電界または交流磁界を介して、結合器により電力を受電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-014383号公報
【特許文献2】特開2013-162626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、先行文献1に記載される電子棚札システムは、備えられるコイルにより、曲げることができない。そのため、この電子棚札システムは、湾曲した棚や円柱の周囲などに設けることが難しく、使用する状況や環境に応じた汎用性に乏しい。また、電子棚札は、棚に陳列する商品等の配置替えや商品の在庫状況に応じて、設置する場所を変更することがある。しかし、先行文献2に記載される電子棚札システムは、1つの伝送線路で配置替え等に応じることができず、汎用性に乏しい。
【0006】
そこで、本発明は、使用する状況や環境に応じる汎用性に優れたアンテナユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアンテナユニットは、アンテナと保持部材とハウジングと整合回路とを備える。アンテナは長尺のテープ状に形成され、導電部を有し、可撓性である。保持部材はアンテナにおける長手方向の一端を保持する。ハウジングは保持部材が内部に配され、アンテナが収容され、アンテナが長手方向の他端側から出し入れされるスリット状のアンテナ出入口が形成される。整合回路は一端が導電部と接続され、他端が電源と接続される。
【0008】
整合回路が前記ハウジングに収容されることが好ましい。
【0009】
保持部材は、アンテナが巻かれる円筒形の巻芯であり、アンテナの一端を挟持する挟持部を有し、ハウジングは巻芯の中空部に挿通される軸を内壁に有することが好ましい。
【0010】
巻芯は、断面がC字状であり、絶縁材料で形成され、互いの一端面の間にアンテナの一端を挟持することで保持する一対の巻芯部と、アンテナの導電部と接する状態に巻芯部の一端面に設けられ、導電材料で形成された第1導電部材と、を有することが好ましい。
【0011】
軸の外径が巻芯の内径よりも小さく、軸と巻芯との間にぜんまいばねを備え、ぜんまいばねの外周面が巻芯の内周面に接していることが好ましい。
【0012】
ぜんまいばねは導電材料で形成され、軸は絶縁材料で形成され、軸心方向に延び、ぜんまいばねを挟持するスリットが形成され、このスリットに導電材料で形成された第2導電部材を有することが好ましい。
【0013】
整合回路の他端は、ぜんまいばねを介して電源に接続されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使用する状況や環境に応じる汎用性に優れたアンテナユニットを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施態様であるアンテナユニットを備える電子棚札装置の概略図である。
図2】アンテナユニットの斜視図である。
図3】アンテナユニットの概略分解図である。
図4】巻芯の説明図である。
図5】挟持部の説明図である。
図6】整合回路とぜんまいばねとの説明図である。
図7】回転軸とぜんまいばねとの概略図である。
図8】アンテナの概略図である。
図9】電子棚札装置のブロック図である。
図10】第1整合回路の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に示す実施形態は本発明を実施した一例であり、本発明はこの例に限定されない。図1に示す電子棚札装置10は、本発明の一例であるアンテナユニット11と電子棚札12と棚13とを備え、電子棚札12を棚13に設けて使用する。棚13は店舗での商品や倉庫での在庫品などの陳列に用いられる。棚13は、商品や在庫品などが載置される棚板13aと、棚板13aを水平に保持する複数の支柱13bとを備え、支柱13bは中空に形成されている。電子棚札装置10は、アンテナユニット11を電源14に接続して用い、電源14とアンテナユニット11とを接続する。導線L1は、中空とされている支柱13bの内部に配している。アンテナユニット11は、支柱13bに固定され、アンテナユニット11から引き出されたアンテナ15は棚13に配して固定される。電子棚札12は、アンテナ15に保持具16で保持される。アンテナ15は電源14から供給された電力を電子棚札12へ送電し、電子棚札12はアンテナ15から受電する。本例は、送電及び受電に電界結合方式を採用している。送電及び受電は、後述のようにハウジング21(図2参照)に収納されるアンテナ15とする観点から、電界結合方式により行うことが好ましい。アンテナ15についての詳細は別の図を用いて後述する。
【0017】
電子棚札12は、受電部83の第2電極86(図9参照)と電子ペーパーによる表示部85(図9参照)と出力される電力を制御する電源制御部82(図9参照)とバッテリ84(図9参照)とを備えている。電子棚札12は、第2電極86を備えることで受電装置として機能する。電子棚札12の構成はこれに限定されず、表示部85の種類やバッテリ84の種類は適宜決定すればよい。電源14は交流電源である。なお、アンテナユニット11は、屋内だけでなく屋外で使用してもよい。屋外でアンテナユニット11を使用する場合等には、電源14を直流電源に置き換えてもよい。電源14の代わりに直流電源を用いる場合には、例えば、電源14とアンテナ15との間に、直流を交流に変換する変換器を設けるとよい。保持具16は、電子棚札12をアンテナ15に着脱自在に保持できるものであればよく、例えば、アンテナ15に設けたクリップとしてもよいし、アンテナ15に突出して設けた凸部材(図示無し)であってもよい。保持具16として凸部材を用いた場合には、例えば先端が屈曲した複数の凸部材を形成し、この複数の凸部材に電子棚札12をはめ込むようにする態様がある。
【0018】
アンテナユニット11は、電源14から供給される電力を電子棚札12の受電部83(図9参照)に送電するためのものである。アンテナユニット11は、図2に示すようにハウジング21とアンテナ15とを備える。アンテナ15は可撓性を有し、長尺のテープ状に形成されており、ハウジング21はアンテナ15を収容する。ハウジング21は、棚13に設けた姿勢において上部となるハウジング上部22と、棚13に設けた姿勢において下部となるハウジング下部23とを有する。ハウジング下部23には、アンテナ出入口(以下、単に「出入口」と称する)25が形成されており、アンテナ15は、長手方向の一端49(図4参照)がハウジング21に保持され、長手方向の他端29側から出入口25において出し入れされる。他端29がハウジング21の中に入り込まないように、他端29にはストッパ26が設けられている。
【0019】
ハウジング21は、円筒形状であり、真円形状である各端面が塞がれている。ハウジング21の形状は、アンテナ15を収容する状態に応じて決定すればよい。例えば、アンテナ15を巻いた状態で収容する場合には巻いたアンテナを出し入れする観点から、ハウジング21の形状は円筒形状が好ましく、アンテナ15を折りたたんだ状態で収容する場合には矩形が好ましい。折りたたんで収容する場合のアンテナ15は、長手方向に直交する幅方向に延びた溝(図示無し)を、長手方向に等間隔に、かつ、長手方向において一方の面と他方の面とにおいて交互に形成するとよい。これにより、溝に沿って山折りとされ易く、容易に折りたたむことができる折り畳み構造となる。但し、このような収容の態様よりも、アンテナユニット11の設置箇所及び設置方法を優先してハウジング21の外形を決定してもよい。本例では、後述の通り、アンテナ15を巻いた状態でハウジング21に収容している。
【0020】
ハウジング21は、ハウジング上部22及びハウジング下部23に分離する。このように分離自在なハウジング21であることでハウジング21の内部やアンテナ15のメンテナンスが容易である。ハウジング21は分離する構造に限られず、使用する状況や環境に合わせて決定すればよい。
【0021】
ハウジング下部23はアンテナ15の収容部として、ハウジング上部22は蓋として、それぞれ機能する。出入口25は、ハウジング下部23の周方向の面である側面に、スリット状に形成されている。本例では巻いた状態の長尺のアンテナ15の幅方向を図2における上下方向に一致させてアンテナ15が収容されており、出入口25の延びた方向がアンテナ15の幅方向に一致するように出入口25が形成されている。これにより、巻いた状態で収容されるアンテナ15は、容易に、しかも折り曲げを抑制されながら出し入れされる。また、屋外で使用する場合等にアンテナ15に付着した異物を除去するために、出入口25に、例えばブラシ状に起毛した起毛材28を設けてもよく、本例でも設けてある。そのため、アンテナ15の出し入れによって汚れが起毛材28で除去される。また、漏電を防止する観点から、起毛材28に加えて、あるいは代わりに、例えばゴム製の枠材を出入口25に設けてもよい。
【0022】
アンテナ15の他端29に設けられたストッパ26は、アンテナ15を引き出す際に、例えば作業者が指先等で挟持する引出部材として機能する。ハウジング21から離れる方向に向けてストッパ26を引くことにより、収容されているアンテナ15が引き出される。また、ストッパ26に対してハウジング21から離れる方向に付与した力を解除することにより、アンテナ15が巻き戻される。これにより、アンテナ15の引き出しを容易かつ迅速に開始することができる。ストッパ26は出入口25より大きいものであればよい。また、ストッパ26はアンテナ15の短手方向の長さ(幅)より長く延びたものを使用しているが、アンテナ15の他端29をハウジング21の外部にとどめておくことができれば形状やサイズは適宜決定することができる。アンテナ15の他端29にフランジ(図示無し)を形成して、フランジに対応する形状でストッパ26に溝(図示無し)を形成することで、ストッパ26がアンテナ15の他端29に嵌合される。
【0023】
ストッパ26は、引き出したアンテナ15が起立した姿勢で棚13(図1参照)に設置される場合に、アンテナ15を引き出した姿勢で保持するための姿勢保持部材として機能する。この場合は、使用する棚13の形状に合わせてストッパ26の形状を決定すればよい。
【0024】
図3に示すように、アンテナユニット11は、円筒形の巻芯31を備え、アンテナ15は巻芯31に巻回されてハウジング下部23に収容される。巻芯31は円筒形状であり、断面が真円形状である。真円形状にすることで、アンテナ15に折り目がつかずに巻芯31にアンテナ15が巻回される。これにより、長期的に保管した場合でもアンテナ15に折り目がつかないから、長期に亘って使用及び保管をすることができる。ハウジング下部23の内部における底面には起立した姿勢の回転軸32が形成されている。回転軸32は、周方向に回転しないようにハウジング下部23の底面の内壁に固定されており、巻芯31の中空部に挿通され、巻芯31の回転中心になる軸の一例である。回転軸32は、真円形である底面の中心と回転軸32の軸心とが直線上に重なって位置している。巻芯31を回転軸32に取り付けることでハウジング21の内部に配し、これにより、巻かれたアンテナ15はハウジング下部23に収容される。収容する際には、アンテナ15の他端29を出入口25からハウジング下部23の外へ出し、他端29にストッパ26を取り付け、ハウジング上部22をハウジング下部23に取り付ける。
【0025】
巻芯31は、図4に示すように、軸心方向に延びた円柱状の支柱部材41と、円筒を軸心方向に沿って概ね半割りした形状、すなわち軸心方向に直交する断面形状がC字状の一対の巻芯部42、43とを有する。巻芯部42、43はそれぞれ、一方の端部が支柱部材41に支持され、支持部材41を中心に回動する。これにより、巻芯31は、巻芯部42、43の支柱部材41に支持されている側とは反対側の端部が互いに離れた状態である開状態と、接した状態である閉状態とになる。この例の巻芯31は、閉状態に巻芯部42、43が付勢されており、アンテナ15の長手方向の一端49を挟持した状態で、閉状態とされる。閉状態において巻芯部42、43がアンテナ15を挟持する部位を挟持部45(図5参照)とし、アンテナ15と接する面を挟持面46とする。挟持面46にアンテナ15の一端49が挟持されて巻芯31に保持される。このように、巻芯31は、アンテナ15の一端49を保持する保持部材の一例である。保持する方法は本例の挟持に限られず、はんだ付けやねじ、ボルトとナット、接着剤等により、アンテナ15を巻芯31に保持させてもよい。
【0026】
巻芯部42、43は絶縁材料で形成されており、挟持部45には第1導電部材47が設けられ、第1導電部材47によって挟持面46が構成されている。第1導電部材47は、挟持面46の全面を成しており、これにより、アンテナ15の一端49と挟持面46とが接している全面に第1導電部材47が接触する。
【0027】
巻芯31に挟持されるアンテナ15は、図5に示すように、第1電極51と、第1電極51を被覆し、絶縁材料で形成された第1絶縁材料部52とを備え、アンテナ15の一端49(図4参照)には第1絶縁材料部52で被覆されていない部分がある。アンテナ15の長手方向において、第1電極51が第1絶縁材料部52で被覆されずに露呈している部分が巻芯31に挟持される対象部位としての挟持位置53である。
【0028】
挟持部45は挟持位置53を挟持し、挟持面46は挟持位置53と接触する。図5は被覆されている第1電極51が見易いように挟持位置53における第1電極51よりも上側の第1絶縁材料部52の部分を二点鎖線で描き、内部の第1電極51を実線で示している。すなわち、挟持位置53の上側の第1電極51は実際には露出していない。挟持位置53のアンテナ15の長手方向における長さL2は、第1導電部材47がアンテナ15と接している挟持面46の幅L3より小さく形成されている。本例では、アンテナ15の厚み方向を上下方向とした場合に、上面と底面とを除く全ての面が同一の厚みの絶縁材料を取り除いて第1電極51が露出されて、挟持位置53となっている。アンテナ15の厚み方向を上下方向とした場合の上面と底面と絶縁材料を取り除いて挟持位置53とすることで、挟持位置53の厚みが薄くなるため、挟持する力を強くしすぎなくてよくなる。これにより、第1電極51の断線や巻芯31の破損を防ぐことができる。また、第1電極51の図5における上面と底面とを絶縁被覆させておくことで、第1電極51が第1導電部材47と接触せずにむき出しとなっている部分がなくなり、漏電等の危険性が軽減される。
【0029】
挟持位置53はアンテナ15の端縁を含めた一定領域としてもよい。なお、図5においては、アンテナ15の厚みを、巻芯部42、43の厚みに対して大きく誇張して描いてある。
【0030】
図6に示すように、巻芯部42、43の各内部には第1整合回路61(図9参照)が形成された回路基板62が埋設されており、巻芯31の中空部にはぜんまいばね63が設けられている。第1整合回路61は、それぞれの第1電極51における抵抗を表す複素数であるインピーダンス値をマッチングするためのものである。回路基板62は全面が絶縁材料で形成された巻芯部42、43に覆われるように埋設され、周方向に延びて配される。周方向に延びた回路基板62に備えられた第1整合回路61の一端91(図10参照)が第1導電部材47と接している。第1整合回路61の支柱部材41側の他端92(図10参照)は、一部が巻芯部42、43から露出箇所65として露出している。露出箇所65を覆う状態で、ぜんまいばね63のばね端部66が接合されている。露出箇所65とばね端部66とは、互いに対応した形状及び大きさとなっている。これにより、ばね端部66が露出箇所65に隙間なく接合される。
【0031】
回路基板62は、巻芯部42、43の各々の内部に配することに限定されず、アンテナユニット11の外部に設けてもよい。アンテナユニット11の外部に設ける場合には、電源14とアンテナ15との間に設けておくことが電源14を別のものに交換する等の作業の際に、電源のみを交換すればよいので作業が簡単であり好ましい。
【0032】
渦巻状のぜんまいばね63における外側のばね端部66は回路基板62と接合され、これにより第1整合回路61(図9参照)の他端92と電気的に接続する。ぜんまいばね63により、アンテナ15には一端49側を引く力が付与され、アンテナ15は巻芯31に巻回されてハウジング21に収容される。ぜんまいばね63の短手方向の長さ(幅)は、巻芯31の中空部に収まる長さであればよい。また、ぜんまいばね63としての機能、この例では引き出したアンテナ15を巻き取る機能を損なわなければ長手方向の長さは限定されない。
【0033】
本例はぜんまいばね63によりアンテナ15(図6参照)を巻き取る例であるが、ぜんまいばね63を用いずに巻き取る構成としてもよい。ぜんまいばね63を用いずにアンテナ15を巻き取る例としては、挟持部45を備えない例えば円筒状の巻芯(図示無し)に、ハウジング21(図2参照)の外部へ延びたハンドル(図示無し)を設け、ハンドルの回転に伴って巻芯を周方向に回転させる構成が挙げられる。この構成は、手動でアンテナ15を巻き取るものである。具体的には、巻芯の軸心方向における一端にハンドルを固定し、巻芯の周面にアンテナ15の一端49(図4参照)を固定する。ハンドルが巻芯に固定されているので、ハンドルを回すことで巻芯が回動し、他端29側に引き出されたアンテナ15が巻芯31に巻回される。なお、アンテナ15を折りたたみ式でハウジング21に収容する場合には、ハウジング21の内部に固定された固定部(図示無し)を設け、この固定部にアンテナ15の一端49を固定すればよい。上記の巻芯または固定部に対するアンテナ15の一端49の固定は、前述のような、はんだ付けやねじ、ボルトとナット、接着剤等のいずれの手法を用いてもよい。
【0034】
回転軸32の外径は巻芯31の内径より小さいため、ぜんまいばね63は、巻芯31と回転軸32との間に設けられる。ぜんまいばね63の外周面が巻芯31に接し、ぜんまいばね63の内周面にあるばね中心67が回転軸32に接する。ぜんまいばね63は導電材料で形成されている。これにより、ばね端部66が回路基板62と電気的に接続され、ぜんまいばね63は回転軸32とも電気的に接続される。
【0035】
ぜんまいばね63は、図7に示すように、ばね中心67を回転軸32に形成されているスリット71に挟持されることよって固定されている。回転軸32は、断面半円の半円柱状に形成された第1軸部32aと第2軸部32bとを有し、スリット71は、第1軸部32aと第2軸部32bとの間の隙間として形成されている。すなわち、スリット71は、回転軸32の図7における天面と底面との一方から他方に向かって延びている。ただし、スリット71は、回転軸32の天面と底面との間の一部に、ばね中心67が入る程度の範囲で設けられていればよい。
【0036】
第1軸部32aと第2軸部32bとのスリット71を画定している面には、アンテナユニット11の外部の電源14と導線L1により電気的に接続される第2導電部材72が設けられている。これにより、電源14から送られた電力は、第2導電部材72を介して、ぜんまいばね63へと送られる。本例では、ぜんまいばね63と第2導電部材72とを接触させることで電気的に接続しているが、電気的な接続はこれに限定されない。例えば、スリップリング(図示無し)を設けることで、第1整合回路61(図9参照)の他端92がスリップリングを介して電源に接続される。スリップリングは、小型のものや中空型のものが一般的に知られているところ、スリップリングの種類は、アンテナ15の大きさやハウジング21の大きさに合わせて適宜決定すればよい。
【0037】
アンテナ15は、図8で示すように、第1絶縁材料部52で被覆された第1電極51を2つ有する。アンテナ15は、長さL4が900mmで、幅L5が30mmで、厚みL6が1.6mmである。第1電極51は、長さが895mmで幅L7が12mmで、厚みが0.1mmである。また、アンテナ15は可撓性を有している。アンテナ15の長さ及び幅は使用する状況や環境に合わせて適宜決定すればよい。アンテナ15の厚みは巻いて収容する観点から薄いものが好ましい。なお、図8においては、アンテナ15の厚みを第1電極51の幅L7に対して大きく誇張して描いてある。また、図8においては、図の煩雑化を避けるために、挟持位置52(図5参照)の図示は略している。
【0038】
第1電極51は、幅L5の方向における断面積が広いほど送電する効率、すなわち単位時間あたりの送電量が向上する。そのため、第1電極51は、線状や棒状のものよりも、厚みがこれらと同程度でも断面積がこれらよりも大きく形成することができる板状やシート状等のものが好ましい。また、収容する観点からも薄く扁平した板状やシート状等であることが好ましい。本例のアンテナ15は、第1電極51を2つ備えるが、第1電極51は3つでもよい。アンテナ15を曲げたり、折り畳んだりする観点から、第1絶縁材料部52は弾性変形するものが好ましく、例えば、シリコーンなどが好ましい。
【0039】
アンテナ15はさらに金属で形成されたグランド部材(図示無し)を備えてもよい。グランド部材は、電気回路及び電子回路における基準の電位を定めるための部材であるから、その機能を損なわなければ、形状やアンテナ15の内部における位置等は適宜決定すればよい。本例においてグランド部材を設ける場合には、当該グランド部材はアンテナ15における第1電極51の基準の電位を定めるために、アンテナ15の内部に配される。グランド部材は、シート状の金属で形成され、グランド部材の長手方向が第1電極51の長手方向と平行になるように配されていればよい。特に、第1電極51が2つのときにグランド部材を設けることで磁束の漏れが軽減する。磁束の漏れが軽減することにより給電効率が向上する。
【0040】
電子棚札12は、図9に示すように、電源制御部82と受電部83とバッテリ84と表示部85とを有する。受電部83が電源制御部82に接続され、電源制御部82がバッテリ84と表示部85に接続される。電源制御部82は、受電部83が受電した電力をバッテリ84若しくは表示部85へ出力するよう制御し、また、電流及び電圧を一定に保つよう制御する、いわゆるレギュレータとして機能する。電源制御部82が受電部83と表示部85とバッテリ84とに接続されることで、受電部83から電源制御部82に送られた電力をバッテリ84へ出力し、若しくは、表示部85に出力する。バッテリ84は、電源制御部82から出力された電力により蓄電する。電源制御部82はまた、バッテリ84に蓄えられた電力を、表示部85へ出力するよう制御する。これにより、受電部83から電源制御部82へ電力の供給がない場合でも、電源制御部82がバッテリ84の電力を表示部85へ供給するから、表示部85は所定の情報を表示する。
【0041】
受電部83は、第2電極86と第2絶縁材料部(図示無し)と第2整合回路87と整流部88とを有する。第2電極86は第2絶縁材料部で被覆されている。第2電極86は第2整合回路87及び整流部88に接続されて電源制御部82へ電力が供給される。第2電極86が第2絶縁材料部により被覆されているから、作業者が受電部83に触れたとしても感電しない。また、受電部83は第2整合回路87が共振回路として機能するため、アンテナ15から送られた電力を受電する。整流部88は、交流電力を直流電力に変換するためのものである。例えば、インバータなどである。
【0042】
電源14は第1整合回路61と接続され、第1整合回路61は第1電極51と接続される。第1電極51と第2電極86とが電気的に接続されることで、アンテナユニット11は受電部83と電気的に接続される。第2電極86に供給された電力は、第2整合回路87を介して整流部88と接続され、電力が交直変換される。整流部88が接続される電源制御部82と表示部85とが電気的に接続されている。これにより、表示部85に電力が供給されるから、表示部85に所定の情報が表示される。また、電源制御部82にはバッテリ84が接続されている。整流部88により電力が交直変換され、かつ、バッテリ84が電源制御部82と電気的に接続されているから、バッテリ84が蓄電される。電源14からの電力が第1整合回路61及び第2整合回路87を介することで、インピーダンスのマッチングが図られる。
【0043】
第1整合回路61は、図10に示すように、一端91が第1導電部材47と電気的に接続し、他端92がぜんまいばね63と電気的に接続する。電源14からぜんまいばね63に送られた電力は、回路基板62にある第1整合回路61を介して、第1導電部材47へ送られる。これにより、第1導電部材47に電気的に接続しているアンテナ15へ電力が供給される。第2整合回路87は、一端が第2電極86と接続され、他端が整流部88と接続される。第2整合回路87の構造は、第1整合回路61と同様であるため省略する。
【0044】
次に上記構成の作用を説明する。巻芯31に長手方向の一端49が保持された状態でハウジング21に収容されてあるアンテナ15は、ストッパ26により他端29がハウジング21の外部に出た状態で保持される。アンテナ15は、図2に示すように、ストッパ26をハウジング21から離れる方向に移動させることで、巻芯31に巻かれているテープ状のアンテナ15が巻き出され、他端29側からハウジング21の外へ引き出される。出入口25は、スリット状に形成されており、アンテナ15は折り曲げを抑制された状態で円滑に引き出される。ハウジング21とストッパ26とを棚13の所定の位置に保持することで、アンテナ15は所定の長さに引き出した状態で配される。このように、アンテナ15は、テープ状に形成されており、ハウジング21から引き出される長さが自在に設定されるので、湾曲した棚(図示無し)などの設置対象に設置しやすく、アンテナユニット11は、使用する状況や環境等に応じた態様で設置され、汎用性に優れる。
【0045】
アンテナ15の他端29にはストッパ26が設けられているため、ストッパ26を手指などで引っ張ることでアンテナ15は出入口25から迅速に引き出され、設置の作業性がよい。
【0046】
アンテナ15は巻芯31に一端49が保持された状態で巻回され、巻芯31は、ハウジング21に固定された回転軸32に一方向と逆方向とのそれぞれに回転自在に取り付けられている。これにより、巻芯31は回転軸32に支持された状態で、回転軸32を回転中心として回転するから、アンテナ15の引き出しに伴って巻芯31が一方向に回転する。また、巻芯31が逆方向に回転することでアンテナ15が巻芯31に巻き取られる。アンテナ15はテープ状に形成され、巻芯31に巻き取ることができる程度の可撓性を有するので、アンテナ15はハウジング21から出てこない状態に収容される。そのため、アンテナユニット11は、小さくまとまった状態になり、保管や搬送、設置作業等の各場面において便利である。
【0047】
巻芯31は、図4に示すように、支柱部材41を回転中心にして巻芯部42、43が動くことにより、挟持部45が開閉する。巻芯部42、43は巻芯31を閉状態にする閉じ位置側に付勢されているから、挟持面46はアンテナ15の挟持位置53を挟持した状態で保持する。ただし、挟持部45は挟持位置53を挟持した状態で保持するためのものであるから、挟持した状態で保持する構成であれば巻芯部42、43は閉じ位置側に付勢される構成でなくてもよい。
【0048】
挟持部45は、挟持位置53において露出している第1電極51に第1導電部材47が接した状態で、アンテナ15を保持している。これにより、第1導電部材47と第1電極51とが電気的に接続される。
【0049】
図6に示すように、第1導電部材47は第1整合回路61(図9参照)と接合され、第1整合回路61は、露出箇所65でばね端部66と接合されている。露出箇所65により、第1整合回路61が巻芯部42、43から露出される。そのため、ばね端部66が露出箇所65に接する。つまり、ばね端部66が露出箇所65から露出している第1整合回路61と接することになる。これにより、ばね端部66から第1整合回路61を介して第1導電部材47へ電力が送られる。そして、第1導電部材47に電気的に接続した第1電極51へ電力が送られる。このようにして、アンテナ15に電力が送られる。
【0050】
第1整合回路61が形成されている回路基板62は、巻芯31の内部に埋設されている。そのため、外力による負荷によって第1整合回路61が破損してしまうことが防止される。
【0051】
ぜんまいばね63が巻芯31の内側に設けられ、ばね端部66は露出箇所65と接合されている。ぜんまいばね63が設けられているから、出入口25から引き出されていたアンテナ15の部分は、巻芯31に巻き取られてハウジング21へ収容される。回転軸32の回転によりばね中心67が回転した場合には、ぜんまいばね63の長手方向における内巻き部68(図6参照)がばね中心67の回転方向に向けて巻き回され、ばねとしての力が発生する。しかし、ばね端部66は回転しないため、第1整合回路61との接続が損なわれない。つまり、巻芯31が回転運動しても第1整合回路61との電気的な接続は保たれる。
【0052】
ぜんまいばね63は導電材料で形成されており、ばね中心67は、回転軸32のスリット71において挟持されている。図7に示すように、スリット71には電源14と接続される第2導電部材72が設けられているので、電源14から供給された電力は、第2導電部材72からばね中心67へ送られる。ぜんまいばね63は、第1整合回路61と電気的に接続しているから、第1導電部材47を介して第1整合回路61と電気的に接続しているアンテナ15に導通し、送電する。
【符号の説明】
【0053】
10 電子棚札装置
11 アンテナユニット
12 電子棚札
13 棚
13a 棚板
13b 支柱
14 電源
15 アンテナ
16 保持具
21 ハウジング
25 アンテナ出入口
26 ストッパ
28 起毛材
31 巻芯
32 回転軸
42、43 巻芯部
45 挟持部
47 第1導電部材
51 第1電極
52 第1絶縁材料部
53 挟持位置
61 第1整合回路
63 ぜんまいばね
71 スリット
72 第2導電部材
82 電源制御部
83 受電部
84 バッテリ
85 表示部
86 第2電極
87 第2整合回路
88 整流部
L1 導線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10