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  • 特開-バウムクーヘン焼成機 図1
  • 特開-バウムクーヘン焼成機 図2
  • 特開-バウムクーヘン焼成機 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099118
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】バウムクーヘン焼成機
(51)【国際特許分類】
   A21B 5/04 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
A21B5/04
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212891
(22)【出願日】2020-12-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 放送日:令和2年12月3日22時~ 番組名:テレビ東京 カンブリア宮殿 〔刊行物等〕放送日:令和2年12月10日22時~ 番組名:テレビ東京 カンブリア宮殿 〔刊行物等〕 掲載年月日:令和2年12月3日 掲載アドレス:https:/www.youtube.com/watch?v=xcJrqUDkLD0
(71)【出願人】
【識別番号】592141019
【氏名又は名称】株式会社ユーハイム
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100194777
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 憲治
(72)【発明者】
【氏名】河本 英雄
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で小型化でき、且つ、生地垂れによる動作不良を防止できるバウムクーヘン焼成機を提供する。
【解決手段】バウムクーヘン焼成機1は、回転可能な麺棒2、焼成位置のヒータ4、水平移動機構7、麺棒2と水平移動機構7との間に配された受け部材10、受け部材10に載置された昇降機構9及び昇降機構9に載置された生地容器8を備える。麺棒2は、水平移動機構7により連結部材6及びアーム5を介して矢印A方向に水平移動し、焼成位置と生地Wの塗布位置とを往復する。生地Wの塗布位置において、昇降機構9が生地容器8を持ち上げて麺棒2に生地Wを塗布する。かかる構成により、簡易な構造で小型化できる。また、受け部材10は、麺棒2からの生地垂れを受ける。これにより、生地垂れによる水平移動機構7の動作不良を防止できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バウムクーヘン焼成機であって、
麺棒と、
前記麺棒を回転させる回転機構と、
焼成位置に配され、前記麺棒に塗布された生地を焼成するヒータと、
前記焼成位置と前記麺棒に生地を塗布する塗布位置との間を往復するように前記麺棒を水平移動させる水平移動機構と、
前記生地を収容する生地容器と、
前記塗布位置に配され、前記生地容器を昇降する昇降機構と、
前記水平移動機構を覆うように前記麺棒と前記水平移動機構との間に配され、前記昇降機構を載置する受け部材とを備える、バウムクーヘン焼成機。
【請求項2】
請求項1に記載のバウムクーヘン焼成機であって、
前記受け部材は、着脱可能である、バウムクーヘン焼成機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバウムクーヘン焼成機であって、
前記受け部材は、前記焼成位置にある麺棒の軸心よりも奥側に向かって延びている、バウムクーヘン焼成機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のバウムクーヘン焼成機であって、
前記バウムクーヘン焼成機は、さらに、支持台を備え、
前記受け部材は、前記支持台によって支持されている、バウムクーヘン焼成機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のバウムクーヘン焼成機であって、
前記バウムクーヘン焼成機は、さらに、一対のアームと連結部材とを備え、
前記水平移動機構は、前記焼成位置側又は前記塗布位置側のいずれか一方に設けられた駆動装置と、前記駆動装置によって回転する第1プーリと、前記塗布位置側又は前記塗布位置側のいずれか他方に設けられた第2プーリと、前記第1プーリ及び第2プーリに巻き付けられ、前記連結部材に固定されたベルトと、前記ベルトの回転移動方向に沿って延びるレールと、前記連結部材に固定され、前記レールに沿って摺動する摺動部材とを含み、
前記連結部材は、前記一対のアームの各々の下端部を支持して前記一対のアームと前記水平移動機構とを連結し、
前記一対のアームは、各々の上端部において前記麺棒の両端部を回転可能に支持し、
前記麺棒は、前記ベルトの回転移動に伴って、前記連結部材及び一対のアームとともに前記焼成位置と前記塗布位置との間を往復するように水平移動する、バウムクーヘン焼成機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、主として家庭及び小規模店舗で用いられる小型のバウムクーヘン焼成機に関する。
【背景技術】
【0002】
バウムクーヘン焼成機は、バウムクーヘンの生地を塗布した麺棒をヒータが配された焼成位置で回転させる。これにより、生地の外周面が一周の全体にわたって略均一に焼き上げられる。外周面が焼き上がると、バウムクーヘン焼成機は、その上からさらに生地を塗布し、焼成位置で回転させる。このように、生地の塗布と、焼成位置での回転による生地の外周面の焼き上げとを繰り返すことで、年輪のような層構造を有するバウムクーヘンが焼き上がる。
【0003】
特開2012-090550号公報(特許文献1)は、焼成度と色調などの均一なバウムクーヘンを焼成できる電気加熱式のバウムクーヘン焼成機を開示している。このバウムクーヘン焼成機は、弧状に移動する麺棒保持アームを生地塗布位置と生地焼成位置との中間点である生地予熱位置でも一旦停止させる。麺棒上の生地は、生地予熱位置でヒータにより予熱が加えられる。麺棒保持アームが生地焼成位置に到達すると、麺棒上の生地は、ヒータの加熱と、ヒータ及び生地焼成位置の綿棒の間に存在する遠赤外線放射パネルからの輻射熱とによって短時間で焼成される。これにより、このバウムクーヘン焼成機は、生地の焼成度と色調などの全体的に均一なバウムクーヘンを得ることができる。
【0004】
特開2017-216985号公報(特許文献2)は、省電力でバウムクーヘンを焼成できる電気加熱式バウムクーヘン焼成機を開示している。このバウムクーヘン焼成機は、直動スライダーによって心棒を直動移動させ、この直動移動を利用して同時に開閉扉を進行方向へと円弧運動にて開閉させている。これにより、心棒の移動に伴う焼成炉前面の開口時間を少なくし、焼成に必要な熱量と排熱を抑えることができる。
【0005】
特開2010-207122号公報(特許文献3)は、家庭用の小型のバウムクーヘン焼成機を開示している。このバウムクーヘン焼成機は、据付けフレームと、据付けフレームの中間部から起立する支柱に往復円弧運動可能に枢着された左右一対の麺棒保持アームと、回転自在に軸受けされた水平な1本の麺棒と、据付けフレームの中間部よりも前に設置された生地皿と、据付けフレームの中間部よりも後ろに設置された加熱装置とを備えている。このバウムクーヘン焼成機は、麺棒保持アームを据付けフレームの前後方向へ往復円弧運動させることにより、麺棒に対する生地の塗布と加熱を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-090550号公報
【特許文献2】特開2017-216985号公報
【特許文献3】特開2010-207122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のバウムクーヘン焼成機は、その底面に設置されたキャスターからその天井面までの高さが比較的大きいため、全体として大型である。また、その構造は複雑であり、比較的高価となる。そのため、このバウムクーヘン焼成機は、家庭又は小規模店舗等で気軽に利用できなかった。
【0008】
特許文献2のバウムクーヘン焼成機は、特に、心棒を直動移動させるための直動スライダーが設置されている。そのため、バウムクーヘン焼成機の左右の幅は、比較的大きくなる。また、直動スライダーの構造は複雑であり、比較的高価となる。そのため、このバウムクーヘン焼成機は、家庭又は小規模店舗等で気軽に利用できなかった。
【0009】
特許文献3のバウムクーヘン焼成機は、小型ではあるものの、麺棒保持アームを往復円弧運動させる機構を備える。この機構は複雑であり、比較的高価となる。また、心棒の移動時又は生地の焼成時に、麺棒に塗布された生地が垂れて付着すると、回転アームを含む往復円弧運動機構及び加熱装置が動作不良となる原因となった。
【0010】
そこで、本開示は、簡易な構造で小型化でき、且つ、生地垂れによる動作不良を防止できるバウムクーヘン焼成機を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、バウムクーヘン焼成機に関する。バウムクーヘン焼成機は、麺棒を備えてよい。麺棒を回転させる回転機構を備えてよい。焼成位置に配され、麺棒に塗布された生地を焼成するヒータを備えてよい。焼成位置と麺棒に生地を塗布する塗布位置との間を往復するように麺棒を水平移動させる水平移動機構を備えてよい。生地を収容する生地容器を備えてよい。塗布位置に配され、生地容器を昇降する昇降機構を備えてよい。水平移動機構を覆うように麺棒と水平移動機構との間に配され、昇降機構を載置する受け部材を備えてよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示のバウムクーヘン焼成機によれば、簡易な構造で小型化でき、且つ、生地垂れによる動作不良を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態におけるバウムクーヘン焼成機の外観斜視図である。
図2図2は、図1に示すバウムクーヘン焼成機から生地容器、昇降機構及び受け部材を取り外した状態を示す外観斜視図である。
図3図3は、図1に示すバウムクーヘン焼成機において、焼成位置で停止した麺棒と受け部材との関係を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態におけるバウムクーヘン焼成機は、麺棒を備えてよい。麺棒を回転させる回転機構を備えてよい。焼成位置に配され、麺棒に塗布された生地を焼成するヒータを備えてよい。焼成位置と麺棒に生地を塗布する塗布位置との間を往復するように麺棒を水平移動させる水平移動機構を備えてよい。生地を収容する生地容器を備えてよい。塗布位置に配され、生地容器を昇降する昇降機構を備えてよい。水平移動機構を覆うように麺棒と水平移動機構との間に配され、昇降機構を載置する受け部材を備えてよい。
【0015】
これにより、簡易な構造で小型化することができる。また、受け部材を設けたことにより、生地垂れによって生地が水平移動機構に付着することがなく、生地垂れによる動作不良を防止することができる。
【0016】
前記受け部材は、着脱可能であってよい。これにより、麺棒から受け部材に生地が垂れた際、受け部材を取り外して容易に清掃することができる。
【0017】
受け部材は、焼成位置にある麺棒の軸心よりも奥側に向かって延びていてよい。これにより、受け部材は、十分に生地垂れを受け止めることができる。すなわち、より確実に生地垂れによる水平移動機構の動作不良を防止することができる。
【0018】
バウムクーヘン焼成機は、さらに、支持台を備えてよい。受け部材は、支持台によって支持されてよい。これにより、支持台に従って受け部材を設置すればよいため、受け部材を設置する際の位置決めを容易にすることができる。
【0019】
バウムクーヘン焼成機は、さらに、一対のアームと連結部材とを備えてよい。水平移動機構は、焼成位置側又は塗布位置側のいずれか一方に設けられた駆動装置と、駆動装置によって回転する第1プーリと、塗布位置側又は塗布位置側のいずれか他方に設けられた第2プーリと、第1プーリ及び第2プーリに巻き付けられ、連結部材に固定されたベルトと、ベルトの回転移動方向に沿って延びるレールと、連結部材に固定され、レールに沿って摺動する摺動部材とを含んでよい。連結部材は、一対のアームの各々の下端部を支持して一対のアームと水平移動機構とを連結してよい。一対のアームは、各々の上端部において麺棒の両端部を回転可能に支持してよい。麺棒は、ベルトの回転移動に伴って、連結部材及び一対のアームとともに焼成位置と塗布位置との間を往復するように水平移動してよい。これにより、水平移動機構による麺棒の水平移動を簡易な構造で実現することができ、バウムクーヘン焼成機を小型化することができる。
【0020】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。図中同一及び相当する構成については同一の符号を付し、同じ説明を繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化又は模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。なお、説明の都合上、生地を塗布する塗布位置側を前側、生地を焼成する焼成位置側を奥側と称する場合がある。また、説明において左右は、前側からみた左右である。
【0021】
図1に示すように、バウムクーヘン焼成機1は、麺棒2、回転機構3、ヒータ4、一対のアーム5、連結部材6、水平移動機構7、生地容器8、昇降機構9、受け部材10及び支持台11を備える。
【0022】
麺棒2は、バウムクーヘンの生地を積層して回転する。麺棒2は、詳細は後述するが、ヒータ4の焼成位置と生地容器8の塗布位置とを往復するように、図1に示す矢印A方向(前後方向)に水平移動する。麺棒2は、回転機構3によって回転できるように、一対のアーム5の各々の上端部において支持されている。
【0023】
回転機構3は、モータ31と、モータ31の出力軸に設けられた歯車32と、歯車32に噛み合い、麺棒2に設けられた歯車33とを含む。モータ31の出力軸の回転運動が歯車32及び歯車33を介して麺棒2に伝達され、麺棒2が回転する。麺棒2の回転速度は、麺棒2に塗布された生地を適切に焼成できるように決定され、図示しない制御部によって制御される。回転機構3は、これに限られるものではなく、麺棒2を回転させることができればよい。回転機構3は、手動で麺棒3を回転させるものであってもよい。なお、モータ31、後述するモータ71及び昇降機構9に電力を供給する電源は、図示が省略されている。
【0024】
ヒータ4は、麺棒2に塗布された生地を焼成する加熱装置、例えば、赤外線カーボンランプヒーターである。ヒータ4は、焼成位置、すなわち、バウムクーヘン焼成機1の奥側に配される。ヒータ4は、これに限定されるものではなく、生地を焼成できればよい。
【0025】
一対のアーム5の各々は、上下方向に延びて設けられている。一対のアーム5は、各々の上端部において、麺棒2の両端部を回転可能に支持している。
【0026】
図2に示すように、連結部材6は、一対のアーム5の各々の下端部を支持している。連結部材6は、その上面において留め具61によってベルト74に固定されている。すなわち、連結部材6は、一対のアーム5とベルト74とを連結している。これにより、麺棒2は、ベルト74が塗布位置側と焼成位置側とを往復移動するのに伴って連結部材6及び一対のアーム5とともに水平移動する。
【0027】
水平移動機構7は、麺棒2の下方に配置され、モータ71、プーリ72、プーリ73、ベルト74、一対のレール75及び摺動部材76を含む。モータ71は、駆動装置であり、焼成位置側、すなわち奥側に設けられている。なお、駆動装置は、モータ71に限られるものではなく、手動でプーリ72を回転させるものであってもよい。モータ71の回転速度は、麺棒2に適切に生地を塗布でき、麺棒2に塗布された生地を適切に焼成できるように図示しない制御部によって制御される。
【0028】
プーリ72は、モータ71の出力軸に設けられており、モータ71の出力軸の回転に伴って回転する。
【0029】
プーリ73は、塗布位置側、すなわち前側に設けられている。プーリ73は、詳細には図示しないが、ベルト74を収容するフランジを外周に有するベアリングである。ベアリングは、軸支され、ベルト74の移動によって回転する。プーリ73は、ベルト74の移動によって回転可能に軸支されていれば、特に限定されるものではない。なお、奥側のモータ71及びプーリ72、並びに、前側のプーリ73とは逆に配置されてもよい。すなわち、前側にモータ71及びプーリ72を設け、奥側にプーリ73を設けてもよい。
【0030】
ベルト74は、プーリ72とプーリ73とに巻き付けられている。ベルト74は、モータ71の回転運動及び逆回転運動が伝達され、焼成位置と塗布位置との間を往復運動する。ベルト74は、上述した通り、留め具61によって連結部材6に固定されている。
【0031】
一対のレール75は、ベルト74の回転移動方向に沿って延びている。ベルト74は、左右方向において、一方のレール75と他方のレール75との間に位置している。各々のレール75は、断面視略コ字型の形状を有し、その開口部を連結部材6側に向けて配置されている。各々のレール75の開口端は、断面視コ字型の内側に延びるフランジを有する。各々のレール75は、前側及び奥側の内底面にストッパ751を有する。ストッパ751は、摺動部材76がレール75から外れるのを防止している。
【0032】
一対の摺動部材76は、一対のレール75の各々に配置されている。各々の摺動部材76は、対応するレール75の内側に嵌り込んでおり、レール75に沿って摺動する。各々の摺動部材76の上面は、連結部材6の下面に固定されている。各々の摺動部材76の下面には、レール75のフランジに係止する係止部材が形成されている。摺動部材76の係止部材は、レール75から摺動部材76が外れるのを防止している。このようにレール75を設けたことにより、連結部材6及び一対のアーム5を介する麺棒2の水平移動を安定化させることができる。
【0033】
レール75に対応する摺動部材76は、ベルト74の左右両側に設けられている。これにより、麺棒2の水平移動をより安定化させることができる。レール75及び摺動部材76は、これに限られず、1つのレール75及び摺動部材76を設けてもよく、3つ以上のレール75及び摺動部材76を設けてもよい。
【0034】
本実施形態では、上述の水平移動機構7によって麺棒2を水平移動させたが、麺棒2を水平移動させることができれば、これに限られるものではない。
【0035】
図1に示すように、生地容器8は、生地Wを収容している。生地容器8は、昇降機構9に載置されている。生地容器8は、昇降機構9から着脱可能である。これにより、生地容器8を昇降機構9から取り外して容易に生地Wを生地容器8内に充填及び補充することできる。
【0036】
昇降機構9は、図示しないモータを有する電動ジャッキであり、生地容器8を図示の矢印B方向(上下方向)に昇降させる。麺棒2が水平移動して塗布位置で停止した際、昇降機構9が上昇することによって生地容器8が持ち上げられ、麺棒2に生地Wを塗布することができる。麺棒2が塗布位置にない場合、昇降機構9は下降位置で停止している。昇降機構9は、受け部材10に載置されている。昇降機構9は、電動ジャッキに限られず、生地容器8を載置して昇降させることができれば種々変更可能であり、ノブ式ジャッキ等の手動の昇降機構9を用いることもできる。
【0037】
受け部材10は、平板状の形状を有する。受け部材10は、水平移動機構7を覆うように、麺棒2と水平移動機構7との間に配される。本実施形態において、受け部材10は、トレイであり、底部と底部の外周から上方に延びる外周壁とを有する。受け部材10は、左右方向において一対のアーム5の間に配置されている。昇降機構9は、受け部材10の底部上面において、塗布位置に配置されている。受け部材10は、図1及び図2に示すように、その四隅の下方に配置された支持台11によって支持され、水平移動機構7の上方に位置付けられる。
【0038】
支持台11は、受け部材10を位置決めするためのガイド111を有する。ガイド111は、受け部材10の載置面から鉛直に延びる壁部である。壁部は、受け部材10を支持台11に載置したとき、受け部材10の外周の一部に沿って設けられる。ガイド111は、受け部材10の位置決めを容易にできればよく、壁部に限られるものではない。ガイド111は、支持台11に設置された受け部材10の位置ズレを抑制する。また、支持台11の設置場所をガイドとして、受け部材10を設置してもよい。すなわち、支持台11自体をガイドとすることもできる。例えば、受け部材10の四隅に対応させて支持台10を設置し、4つの支持台11の位置と受け部材10の四隅の位置とを合わせることにより受け部材10の位置決めすることもできる。これにより、支持台10に従って受け部材10を設置すればよいため、受け部材10を設置する際の位置決めが容易になる。受け部材10は、麺棒2から垂れた生地を受け止める。これにより、水平移動機構7への生地垂れによって生じる動作不良を防止することができる。また、受け部材10は、支持台11に着脱可能に配置されている。これにより、受け部材10に生地Wが垂れた際、受け部材10を支持台11から取り外して容易に清掃することができる。なお、受け部材10は、生地垂れが水平移動機構7に悪影響するのを防止し、かつ、昇降機構9を載置できれば、これに限定されるものではない。
【0039】
麺棒2に塗布された生地Wは、通常、麺棒2の回転運動によって垂れを抑制しているが、垂れる場合もある。その場合、生地Wは、麺棒2に積層された生地Wの最下端、すなわち、麺棒2の軸心Cの真下近傍から垂れ易い。図3に示すように、受け部材10は、焼成位置で水平移動を停止した麺棒2の軸心Cよりもヒータ4側、すなわち奥側まで延びている。これにより、受け部材10は、十分に生地垂れを受け止めることができ、より確実に生地垂れによる水平移動機構7の動作不良を防止することができる。また、受け部材10は、この生地垂れによる動作不良の防止という観点から、左右方向において、少なくとも一対のレール75を覆うように構成されるのがよい。
【0040】
上述の通り、水平移動機構7は、麺棒2の下方に配置されている。これにより、バウムクーヘン焼成機1の左右の幅を小さくすることができる。また、水平移動機構7を覆う受け部材10に昇降機構9を載置している。これにより、水平移動機構7と昇降機構9とを干渉させることなく、コンパクトに各機構を配置することができる。このように、バウムクーヘン焼成機1は、簡易な構成で小型化することができ、また、麺棒を円弧往復運動させる従来技術に比べて安価に製造することができる。これにより、バウムクーヘン焼成機1は、家庭又は小規模店舗等であっても気軽に利用することができる。さらに、受け部材10は、水平移動機構7を覆うように麺棒2と水平移動機構7との間に配置されている。そのため、麺棒2からの生地垂れを受け部材10によって受け止めることができる。これにより、生地垂れによる水平移動機構7の動作不良を防止することができる。
【0041】
次に、図1を用いて、本開示のバウムクーヘン焼成機1を用いたバウムクーヘンの焼成手順について説明する。図1に示す麺棒2は、焼成位置と塗布位置との中間点に位置する。麺棒2は、焼成作業中、回転機構3によって回転している。麺棒2は、水平移動機構7によって矢印Aの塗布位置側、すなわち、前側に向かって水平移動する。麺棒2の水平移動は、塗布位置で停止する。塗布位置とは、麺棒2に生地Wを塗布するために麺棒2の水平移動が停止する位置である。その後、昇降機構9によって生地容器8が上昇し、麺棒2の周りに生地Wが塗布される。必要な生地Wが麺棒2に塗布されると、生地容器8が下降する。そして、麺棒2は、矢印Aの焼成位置側、すなわち、奥側に向かって水平移動する。麺棒2の水平移動は、焼成位置で停止する。焼成位置とは、麺棒2に塗布された生地Wを焼成するために麺棒2の水平移動が停止する位置である。麺棒2に塗布された生地Wは、焼成位置において、ヒータ4の加熱によって焼成される。生地Wが焼成されると、麺棒2は、再度塗布位置まで水平移動し、焼成された生地Wの周りに新たな生地Wが塗布される。このように、麺棒2の周りに生地Wを塗布して焼成することを繰り返すことにより、年輪のように積層されたバウムクーヘンを焼成することができる。
【0042】
以上、実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1:バウムクーヘン焼成機、2:麺棒、3:回転機構、4:ヒータ、5:アーム、6:連結部材、7:水平移動機構、8:生地容器、9:昇降機構、10:受け部材、11:支持台、31:モータ、32:歯車、33:歯車、61:留め具、71:モータ、72:プーリ、73:プーリ、74:ベルト、75:レール、76:摺動部材、111:ガイド、A:矢印、B:矢印、C:軸心、W:生地
図1
図2
図3