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  • 特開-車両用灯具 図1
  • 特開-車両用灯具 図2
  • 特開-車両用灯具 図3
  • 特開-車両用灯具 図3A
  • 特開-車両用灯具 図3B
  • 特開-車両用灯具 図3C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099125
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/43 20180101AFI20220627BHJP
   F21S 41/43 20180101ALI20220627BHJP
   F21S 41/148 20180101ALI20220627BHJP
   F21S 45/47 20180101ALI20220627BHJP
   F21S 45/70 20180101ALI20220627BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20220627BHJP
   F21V 29/67 20150101ALI20220627BHJP
   F21V 29/89 20150101ALI20220627BHJP
   F21V 29/74 20150101ALI20220627BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20220627BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220627BHJP
【FI】
F21S45/43
F21S41/43
F21S41/148
F21S45/47
F21S45/70
F21V29/503
F21V29/67 100
F21V29/89
F21V29/74
F21W102:13
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212901
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 直穂
(57)【要約】
【課題】省スペース化を図ることができる車両用灯具を提供する。
【解決手段】光源と、光源に対向して配置されたレンズと、光源に取り付けられたヒートシンクと、を備え、ヒートシンクは、光源に取り付けられる取付部と、取付部から折り曲げられて、光源の光軸周りを覆う折り曲げ部と、を備える。ヒートシンクは、取付部よりも前方に位置する遮光部を備え、遮光部は、光源から前方または側方への漏光を遮光する。また、ヒートシンクには、ヒートシンクの表面色をブラケットの表面色に近似させる表面処理が施されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源に対向して配置されたレンズと、
前記光源に取り付けられたヒートシンクと、を備え、
前記ヒートシンクは、
前記光源に取り付けられる取付部と、
前記取付部から折り曲げられて、前記光源の光軸周りを覆う折り曲げ部と、
を備える、車両用灯具。
【請求項2】
前記ヒートシンクは、前記取付部よりも前方に位置する遮光部を備え、
前記遮光部は、光源から前方または側方への漏光を遮光する、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記光源および前記レンズを支持するブラケットを備え、
前記ヒートシンクには、前記ヒートシンクの表面色を前記ブラケットの表面色に近似させる表面処理が施されている、請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記ヒートシンクはアルミニウムにより形成され、前記表面処理はアルマイト処理である、請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
冷却ファンを備え、
前記ヒートシンクは、前記冷却ファンにより送り込まれる空気の流れの中に配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記光源は、鉛直方向下向きであって前方に傾斜するよう配置され、前記ヒートシンクの前記折り曲げ部は、前記光源から前方または側方を覆うように鉛直方向下向きに折り曲げられている、請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、灯室内に、光源、光収束型リフレクタ、投影レンズ、可動シェードを備える、車両用前照灯が開示されている。この車両用前照灯では、可動シェードが起立してすれ違いビームが形成され、可動シェードが傾倒して走行ビームが形成される。光源ユニットは、多数の放熱フィンが延出するヒートシンクを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-49730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の車両用前照灯では、ヒートシンクの放熱フィンが後方に向けて張り出しているため、装置全体のサイズが大きくなり、省スペース化を図ることが困難である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、省スペース化を図ることができる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために以下の構成によって把握される。
【0007】
(1)本発明の車両用灯具は、光源と、前記光源に対向して配置されたレンズと、前記光源に取り付けられたヒートシンクと、を備え、前記ヒートシンクは、前記光源に取り付けられる取付部と、前記取付部から折り曲げられて、前記光源の光軸周りを覆う折り曲げ部と、を備える。
【0008】
(2)上記(1)の構成において、前記ヒートシンクは、前記取付部よりも前方に位置する遮光部を備え、前記遮光部は、光源から前方または側方への漏光を遮光する。
【0009】
(3)上記(1)または(2)の構成において、前記ヒートシンクには、前記ヒートシンクの表面色を前記ブラケットの表面色に近似させる表面処理が施されている。
【0010】
(4)上記(3)の構成において、前記ヒートシンクはアルミニウムにより形成され、前記表面処理はアルマイト処理である。
【0011】
(5)上記(1)~(4)のいずれかの構成において、冷却ファンを備え、前記ヒートシンクは、前記冷却ファンにより送り込まれる空気の流れの中に配置される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、省スペース化を図ることができる車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る実施形態の車両用灯具を備えた車両の平面図である。
図2】本実施形態の車両用灯具を示す斜視図である。
図3】ロービーム用の照明ユニットを示す斜視図である。
図3A】光源の基板が取り付けられたヒートシンクを示す斜視図である。
図3B】レンズ部材と光源の位置関係を示す斜視図である。
図3C】レンズ部材と光源の位置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する。)について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る実施形態の車両用灯具を備えた車両の平面図である。
【0016】
図1に示すように、本発明に係る実施形態の車両用灯具は、車両102の前方の左右のそれぞれに設けられる車両用の前照灯101L、101Rであり、以下では単に車両用灯具と記載する。
【0017】
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
【0018】
また、実施形態及び図中において、特に断りがない場合、「前」、「後」は、各々、車両の「前進方向」、「後進方向」を示し、「上」、「下」、「左」、「右」は、各々、車両に乗車する運転者から見た方向を示す。各図において、「前」、「上」、「左」は、それぞれ矢印F、矢印U、矢印Lで示している。
【0019】
図2は、本実施形態の車両用灯具を示す斜視図である。
【0020】
図2に示すように、本実施形態の車両用灯具(前照灯101L)は、ハイビーム用の1つの照明ユニット10と、ロービーム用の3つの照明ユニット20と、照明ユニット10および照明ユニット20を支持するメインブラケット30と、メインブラケット30に取り付けられて、照明ユニット10および照明ユニット20の前面側の周囲を取り囲む形状のインナーパネルIPと、を備える。
【0021】
図3は、ロービーム用の照明ユニットを示す斜視図、図3Aは、光源の基板が取り付けられたヒートシンクを示す斜視図、図3Bは、レンズ部材と光源の基板の位置関係を示す斜視図、図3Cは、レンズ部材と光源の位置を示す縦断面図である。
【0022】
図3図3Cに示すように、ロービーム用の照明ユニット20は、基板21aと基板21aに実装されたLED21b(図3C)を有する光源21と、光源21が取り付けられたレンズ部材22と、光源21の基板21aに取り付けられたアルミニウム製のヒートシンク23と、レンズ部材22を光源21とともに支持するサブブラケット60と、を備える。照明ユニット20は、サブブラケット60を介して、メインブラケット30に対して取り付けられる。サブブラケット60は、メインブラケット30の軸部33および取付部材70(図3C)などを介して、メインブラケット30に対して取り付けられている。
【0023】
図3Bおよび図3Cに示すように、光源21の基板21aは、レンズ部材22の上部に取り付けられる。光源21に設けられたLED21bからの光は、レンズ部材22の内部を通り、レンズ部材22の前面側に形成されたレンズ22aを介して前方に向けて照射される。図3Cに示すように、光源21の基板21aは、水平面から車両前後方向に傾いて設けられ、光源21から出射される光の光軸は真下ではなく、若干、真下から車両前方に傾斜している。
【0024】
図3および図3Aに示すように、ヒートシンク23は、光源21の基板21aに密着して取り付けられた、ほぼ水平面方向に延びる板状の取付部23aと、取付部23aの左右端から下方向に折れ曲がり、サブブラケット60に沿ってほぼ垂直面方向に延びる左右一対の板状の折り曲げ部23bと、取付部23aから前方に延びる延設部23cと、延設部23cの左右端から下方向に折れ曲がり、ほぼ垂直面方向に延びる左右一対の板状の遮光部23eと、延設部23cの前端から下方向に折り曲がり、ほぼ垂直面方向に延びる板状の遮光部23dとを有する。遮光部23eおよび遮光部23dは、取付部23aよりも前方に位置する。折り曲げ部23bは、取付部23aから折り曲げられて、光源21の光軸周りを覆っている。なお、遮光部23dおよび遮光部23eは、折り曲げ部23bとともに、光源21の光軸周りを覆うように設けられ、本発明の「折り曲げ部」として機能する。
【0025】
このように、ヒートシンク23は、連続した多数の板状の部位が一体形成されて構成されているため、全体として大きな表面積を確保でき、優れた冷却性を獲得できる。すなわち、光源21の基板21aからの熱が、ヒートシンク23の取付部23aを介してヒートシンク23の全体に伝わることにより、ヒートシンク23全体として冷却効果を発揮する。
【0026】
また、左右一対の折り曲げ部23bがサブブラケット60の外周形状に沿ってほぼ垂直面方向に延びているので、照明ユニット20をコンパクトに構成することができる。例えば、折り曲げ部23bに相当するヒートシンク23の板状の部位が上方や後方に延びる場合には、照明ユニット20の大型化を招く。しかし、本実施形態では、折り曲げ部23bがサブブラケット60の外周形状に沿って形成されているので、照明ユニット20の省スペース化、小型化を図ることができる。
【0027】
さらに、延設部23cの前端から下方向に折り曲がって形成された遮光部23d、左右一対の折り曲げ部23bおよび遮光部23eは、光源21からの漏光を遮光する本発明の「遮光部」として機能する。図2に示すように、照明ユニット20は、インナーパネルIPの後方に配置されるが、遮光部23dは、レンズ部材22と、インナーパネルIPとの間の間隙を前後方向に区画する位置にある。このため、光源21の側から、レンズ部材22とインナーパネルIPとの間の間隙を介して前方に射出された漏光が、遮光部23dによって効果的に遮蔽される。また、左右一対の折り曲げ部23bおよび遮光部23eは、光源21の側からの横方向への漏光を効果的に遮蔽する。これにより、車両の前方または斜め方向への漏光が効果的に抑制される。
【0028】
漏光部の機能に関し、上記のように、光源21の基板21aは、水平面から車両前後方向に傾いて設けられ、光源21から出射される光の光軸は、車両前方に傾斜している。このように光源21の光軸が傾斜して設置されていると、光軸が鉛直方向に沿って真下を向いて設置されている場合と比較して、車両前方に光源21からレンズ部材22を介さずに出射される直射光が漏れ易い配置となる。そのため、本実施形態では、車両前方をヒートシンク23の遮光部23dで覆い、遮光することで、不要な光が灯具から車両前方に出射されることを防止している。
【0029】
また、ヒートシンク23の側面を構成する折り曲げ部23bおよび遮光部23eは、ヒートシンク23の前面を構成する遮光部23dと同様に、光源21からの直射光が不要な光として灯具外に出射されることを抑制している。それと同時に、本実施形態では、レンズ部材22は、「全反射を用いて偏光するレンズ」として機能し、このようなレンズにより、光源21からの光を配光パターンとして照射している。このため、レンズ部材22において全反射しきれなかった光がレンズ部材22の側方から漏れ出てしまうことがあり、とくに、レンズ部材22の入射面付近、レンズ部材22の反射面付近においては強い光が照射されており、漏れ出ることもある。本実施形態では、レンズ部材22の側方を覆うように折り曲げ部23bおよび遮光部23e部を設けることで、レンズ部材22の入射面や反射面、および側方から漏れてしまう光が灯具外へ照射されることを抑制している。
【0030】
また、ヒートシンク23には、アルマイト処理により、その表面色をサブブラケット60の表面色に近似させる表面処理が施されている。このため、光源21からの漏光が抑制されることと相まって、インナーパネルIPとレンズ部材22との隙間を介して遮光部23dなどが前方から視認することが困難となるため、デザイン性に優れた車両用灯具を提供することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によれば、ヒートシンク23は、光源21に取り付けられる取付部23aと、取付部23aから折り曲げられて、サブブラケット60の外周に沿って延びる折り曲げ部23bと、を備えるので、ヒートシンク23により照明ユニット20の大型化が抑制され、車両用灯具の省スペース化、小型化を図ることができる。また、ヒートシンク23は、折り曲げ部23b、遮光部23eおよび遮光部23dを備えるので、光源21からの漏光を効果的に遮光することができる。さらに、ヒートシンク23はアルマイト処理により、その表面色がブラケット60の表面色に近似したものとされているため、デザイン性に優れた車両用灯具を提供することができる。
【0032】
上記実施形態では、前照灯のロービーム用の照明ユニット20への適用を例示しているが、本発明の適用範囲は任意である。例えば、本発明は、照明ユニット10のような前照灯のハイビーム用の照明ユニットにも適用でき、さらに、前照灯以外の照明ユニットにも適用できる。
【0033】
以上、具体的な実施形態を基に本発明の説明を行ってきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、技術的思想を逸脱することのない変更や改良を行ったものも発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0034】
10 ハイビーム用の照明ユニット
20 ロービーム用の照明ユニット
21 光源
22 レンズ部材
22a レンズ
23 ヒートシンク
23a 取付部
23b 折り曲げ部
23d 遮光部
23e 遮光部
30 メインブラケット
101L、101R 前照灯
図1
図2
図3
図3A
図3B
図3C