(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099126
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】超電導コイル装置
(51)【国際特許分類】
H01F 6/06 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
H01F6/06 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212905
(22)【出願日】2020-12-22
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、未来社会創造事業「高温超電導線材接合技術の超高磁場NMRと鉄道き電線への社会実装」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】502147465
【氏名又は名称】ジャパンスーパーコンダクタテクノロジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 正敏
(72)【発明者】
【氏名】三好 康之
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 衞
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 一功
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 吉紀
(72)【発明者】
【氏名】朴 任中
(72)【発明者】
【氏名】大木 康太郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 高史
(72)【発明者】
【氏名】永石 竜起
(57)【要約】
【課題】接続部を含む超電導線材を、限られたスペースに効率よく配置する。
【解決手段】第1ガイド部60は、巻枠側ガイド部41から延びる超電導線材20を保持する。第1ガイド部60は、軸方向Zに交差する方向において巻枠側ガイド部41よりも外側に配置される。第1ガイド部60は、軸方向Zに交差する方向に延びるように設けられる。第2ガイド部70は、第1ガイド部60から延びる超電導線材20を保持可能である。第2ガイド部70は、第1ガイド部60が延びる方向に交差する方向に延びるように設けられる。超電導線材20を構成する線材どうしの接続部25は、第1ガイド部60および第2ガイド部70の少なくともいずれかに固定される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻枠と、
前記巻枠に巻かれた巻線部を有する超電導線材と、
前記巻枠から延びる前記超電導線材を保持し、前記巻枠の軸方向である巻枠軸方向に延びるように設けられる巻枠側ガイド部と、
前記巻枠側ガイド部から延びる前記超電導線材を保持し、前記巻枠軸方向に交差する方向において前記巻枠側ガイド部よりも外側に配置され、前記巻枠軸方向に交差する方向に延びるように設けられる第1ガイド部と、
前記第1ガイド部から延びる前記超電導線材を保持可能であり、前記第1ガイド部が延びる方向に交差する方向に延びるように設けられる第2ガイド部と、
を備え、
前記超電導線材を構成する線材どうしの接続部は、前記第1ガイド部および前記第2ガイド部の少なくともいずれかに固定される、
超電導コイル装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超電導コイル装置であって、
前記第2ガイド部は、前記第1ガイド部に着脱可能に取り付けられる、
超電導コイル装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の超電導コイル装置であって、
前記第1ガイド部および前記第2ガイド部を有するガイド部は、前記接続部を取り付け可能な接続部取付部を複数備える、
超電導コイル装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の超電導コイル装置であって、
前記第2ガイド部の前記第1ガイド部側の端部を第2ガイド部基端部とし、
前記第2ガイド部の前記第1ガイド部側とは反対側の端部を第2ガイド部先端部とし、
前記第2ガイド部は、前記第2ガイド部基端部から前記第2ガイド部先端部の方向に延びる前記超電導線材を、前記第2ガイド部先端部から前記第2ガイド部基端部の方向に折り返すように前記超電導線材を配置させる第2ガイド部折返部を備える、
超電導コイル装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の超電導コイル装置であって、
前記第1ガイド部の前記巻枠側ガイド部側の端部を第1ガイド部基端部とし、
前記第1ガイド部は、複数設けられ、
複数の前記第1ガイド部の、前記巻枠軸方向における前記第1ガイド部基端部の位置は、互いに異なる、
超電導コイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導線材を有する超電導コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1などに、従来の超電導コイル装置が記載されている。同文献に記載の技術では、超電導線材を構成する線材(同文献では第1部分、第2部分)どうしの接続部(同文献では接合部)が、超電導線材の巻線部(コイル)から離れた位置に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような接続部を含む超電導線材を、限られたスペースに効率よく配置することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、接続部を含む超電導線材を、限られたスペースに効率よく配置することができる超電導コイル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
超電導コイル装置は、巻枠と、超電導線材と、巻枠側ガイド部と、第1ガイド部と、第2ガイド部と、を備える。前記超電導線材は、前記巻枠に巻かれた巻線部を有する。前記巻枠側ガイド部は、前記巻枠から延びる前記超電導線材を保持し、前記巻枠の軸方向である巻枠軸方向に延びるように設けられる。前記第1ガイド部は、前記巻枠側ガイド部から延びる前記超電導線材を保持し、前記巻枠軸方向に交差する方向において前記巻枠側ガイド部よりも外側に配置され、前記巻枠軸方向に交差する方向に延びるように設けられる。前記第2ガイド部は、前記第1ガイド部から延びる前記超電導線材を保持可能であり、前記第1ガイド部が延びる方向に交差する方向に延びるように設けられる。前記超電導線材を構成する線材どうしの接続部は、前記第1ガイド部および前記第2ガイド部の少なくともいずれかに固定される。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、接続部を含む超電導線材を、限られたスペースに効率よく配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】超電導コイル装置1の概要を示す断面斜視図である。
【
図2】
図1に示す第1超電導コイル10Aを示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す第1超電導コイル10Aを軸方向Zに直交する方向から見た図である。
【
図4】
図2に示す第1超電導コイル10Aの回路部13を示す図である。
【
図5】
図2に示すガイド装置40などを軸方向下側Z2から見た図である。
【
図6】
図2に示すガイド部50の1つを示す斜視図である。
【
図7】
図6に示すガイド部50などを周方向Cから見た図である。
【
図8】
図6に示す第1ガイド部60などを軸方向Zから見た図である。
【
図9】
図6に示す超電導線材20の2本の線材が横並びに配置された場合の接続部25aなどを示す斜視図である。
【
図10】
図6に示す超電導線材20の2本の線材が重なり合うように配置された場合の接続部25aなどを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図10を参照して、
図1に示す超電導コイル装置1について説明する。
【0010】
超電導コイル装置1は、超電導マグネットに用いられる。超電導コイル装置1は、超電導線材20(
図2参照)が超電導状態を維持できるように、冷却される。超電導コイル装置1は、超電導線材20が超電導状態を維持できるように超電導線材20の温度を保持する冷凍機により冷却されてもよく、冷媒(例えば液体ヘリウムなど)により冷却されてもよい。超電導コイル装置1は、図示しない低温容器(クライオスタット)に収容される。超電導コイル装置1は、円筒状である。超電導コイル装置1は、複数の層の超電導コイルを備える。層の数は、
図1に示す例では5であり、4以下でもよく、6以上でもよい。各層の超電導コイルの数は1でもよく、複数でもよい。具体的には例えば、超電導コイル装置1は、径方向内側R1から径方向外側R2の順に、第1超電導コイル10Aと、第2超電導コイル10Bと、第3超電導コイル10Cと、第4超電導コイル10Dと、第5超電導コイル10Eと、を備える。超電導コイル装置1よりも径方向内側R1には、内側空間S(空洞)が設けられてもよい。なお、「径方向内側R1」などの方向の詳細は後述する。
【0011】
第1超電導コイル10A、第2超電導コイル10B、第3超電導コイル10C、および第4超電導コイル10Dは、例えば1つずつ設けられる。第5超電導コイル10Eは、超電導コイル装置1が発生させる磁場を補正するための補正コイルである。第5超電導コイル10Eは、例えば複数設けられる。第5超電導コイル10Eの数は、
図1に示す例では4であり、3以下でもよく、5以上でもよい。補正コイルは、複数層に設けられてもよい。
【0012】
第1超電導コイル10Aは、超電導コイル装置1を構成する超電導コイルのうち最も径方向内側R1に配置される超電導コイルである。
図2に示すように、第1超電導コイル10Aは、巻枠11と、回路部13(
図4参照)と、ガイド装置40と、を備える。
【0013】
巻枠11は、超電導線材20が巻かれる部材である。巻枠11は、
図3に示すように、胴部11bと、フランジ部11cと、を備える。胴部11bは、筒状(例えば円筒状)であり、超電導線材20が巻かれる部分である。フランジ部11cは、胴部11bの軸方向上側Z1部分および軸方向下側Z2部分のそれぞれに設けられる。フランジ部11cは、胴部11bから径方向外側R2に突出する。
【0014】
(方向の定義)
巻枠11の中心軸を、巻枠中心軸11aとする。巻枠中心軸11aは、胴部11bの中心軸であって胴部11bの長手方向に延びる胴部11bの中心軸である。巻枠中心軸11aは、巻線部21(後述)の中心軸である。
図2に示すように、巻枠中心軸11aが延びる方向を、軸方向Z(巻枠軸方向)とする。軸方向Zは、例えば鉛直方向でもよく、水平方向でもよく、水平方向に対して傾いた方向でもよい。軸方向Zにおいて、巻枠11から巻枠側ガイド部41(後述)に向かう側(または向き(以下同様))を、軸方向上側Z1とし、その逆側を軸方向下側Z2とする。なお、軸方向上側Z1は、鉛直方向の上側でもよく、鉛直方向の上側でなくてもよい。巻枠中心軸11aに直交する仮想円(図示なし)であって巻枠中心軸11aを中心とする仮想円の直径方向を、径方向Rとする。軸方向Zが鉛直方向である場合、径方向Rは、水平方向である。径方向Rにおいて、巻枠中心軸11aに向かう側を径方向内側R1とし、巻枠中心軸11aから離れる側を径方向外側R2とする。上記の仮想円の円周方向を、周方向Cとする。
【0015】
回路部13は、巻線部21(後述)で磁場を発生させるための電気回路などである。
図4に示すように、回路部13は、超電導線材20と、接続部格納部31(
図3参照)と、永久電流スイッチ35と、スイッチ接続部37と、スイッチ接続部格納部39(
図5参照)と、を備える。
【0016】
超電導線材20は、冷却されることで超電導状態になることが可能な電線である。超電導線材20は、例えば高温超電導線材であり、例えばイットリウム系超電導線材などである。超電導線材20は、低温超電導線材でもよい。
図9に示すように、超電導線材20は、例えばテープ状(帯状、薄膜状)でもよく、テープ状でなくてもよい。超電導線材20の長手方向から見たとき、超電導線材20の断面は、多角形(例えば四角形、六角形など)でもよく、円形でもよい。
図4に示すように、超電導線材20は、複数の線材20a~20kを備える。
図2に示すように、超電導線材20は、巻線部21と、リード線部23と、
図4に示す接続部25a~25jと、を備える。
【0017】
複数の線材20a~20kどうしは、直列的に接続される。線材20a~20kのそれぞれは、巻線部21を含む。線材20a~20kのそれぞれは、一体的かつ連続的に形成されたものである。互いに異なる線材(例えば線材20aと線材20bなど)は、接続部25a~25jで互いに接続されたものであり、一体的かつ連続的に形成されたものではない。
【0018】
巻線部21は、
図2に示すように、巻枠11に巻かれたコイルである。
【0019】
リード線部23は、巻枠11の外に配置される。リード線部23は、巻線部21から引き出されるように配置される。リード線部23は、絶縁性を確保できるように設けられ、例えば絶縁部材に覆われる。具体的には例えば、リード線部23がテープ状の場合、リード線部23は、テープ状の絶縁部材に挟まれてもよい。上記「テープ状の絶縁部材」は、ガラステープでもよく、有機系材料のテープでもよい。
【0020】
接続部25a~25jは、
図4に示すように、線材20a~20kどうしが接続(接合)された部分(ジョイント)である。接続部25a~25jは、巻線部21を構成する線材20a~20kどうしが接続された部分(超電導コイル接続部)である。接続部25a~25jは、複数設けられる。接続部25a~25jの数は、
図4に示す例では11であり、10以下でもよく、12以上でもよい。例えば、接続部25aは、線材20aと線材20bとが接続された部分であり、接続部25bは、線材20bと線材20cとが接続された部分であり、接続部25cは、線材20cと線材20dとが接続された部分である(接続部25d~25jも同様)。一体的かつ連続的に形成された1本の線材(例えば線材20aなど)で巻線部21全体を構成することは困難であるため、複数の線材20a~20kどうしが、接続部25a~25jで接続される。接続部25a~25jの電気抵抗ができるだけ低くなるように、線材20a~20kどうしが接続処理されることが好ましい。なお、
図2では、複数の接続部25a~25jの一部にのみ符号を付した。
【0021】
この接続部25a~25jの具体例は、次の通りである。ここでは、
図4に示す線材20a~20kがテープ状である場合について説明する。また、接続部25a~25jで接続される2本の線材の一例として、接続部25aで接続される線材20a・20bについて説明する。
図9に示すように、線材20a・20bそれぞれの厚さ方向に直交する面(幅方向および長手方向に延びる面)どうしが、同一平面上(または略同一平面状)に並ぶように配置される。この配置を、「横並び」という。これらの線材20a・20bと接続材20pとが重ね合わされる。接続材20pは、冷却されることで超電導状態になることが可能な部材であり、例えばシート状などである。この状態で、線材20a・20b、および接続材20pが熱処理されることで、線材20a・20bが、接続材20pを介して接続される。この熱処理は、例えば焼結などであり、例えば800℃程度などで行われる。熱処理によって線材20a・20bが接続されても、要求される性能が接続部25aで得られない場合がある。この場合、例えば、接続部25aが切断され、線材20a・20bが再び接続処理される場合がある。また、要求される性能が接続部25aで得られていない場合、接続部25aが切断されることなく、再度熱処理される場合がある。このように、線材20a・20bどうしの接続処理では、やり直しが行われる可能性がある。そのため、接続処理のやり直しができるように、線材20a・20bに余長分を持たせておく必要がある。
【0022】
なお、接続部25aでは、2本の線材20a・20bが、横並びに配置された状態で接続されなくてもよい。例えば、
図10に示すように、接続部25aでは、2本の線材20a・20bが、互いに重ね合わされた状態で接続されてもよい。また、これらの例は、
図4に示す線材20a~20kがテープ状である場合の接続部25a~25jの具体例であるところ、線材20a~20kはテープ状でなくてもよい。以下では、接続部25a~25jの一例として、主に、接続部25aについて説明する。下記の接続部25aに関する事項が、接続部25b~25jの少なくともいずれか(例えばすべて)に適用されてもよい。
【0023】
接続部格納部31は、
図6に示すように、接続部25aを格納する。接続部格納部31は、例えば箱状(ジョイント格納ボックス)などである。接続部格納部31は、
図6に示す例では直方体状であり、直方体状でなくてもよい。例えば、接続部格納部31は、第1格納部材31aと、第2格納部材31bと、を備える。第1格納部材31aと第2格納部材31bとは、接続部25aを挟むように配置され、接続部25aを覆う。第1格納部材31aと第2格納部材31bとは、互いに固定(例えばねじなどにより固定)される。
【0024】
永久電流スイッチ35は、
図4に示す線材20a~20kの両端部どうしを、超電導状態で接続するか、常電導状態で接続するか、を切り替えるスイッチである。
図5に示すように、永久電流スイッチ35は、後述するガイド部50(例えば第1ガイド部60)と干渉しないように配置される。
図2に示すように、永久電流スイッチ35は、例えば後述するジョイント部材43に取り付けられ、例えばジョイント部材43の軸方向下側Z2の面に取り付けられる。
図4に示すように、永久電流スイッチ35は、スイッチリード線35a・35bを備える。スイッチリード線35a・35bは、線材20a~20kの両端部に接続される。スイッチリード線35a・35bは、超電導線材20と同様に、冷却されることで超電導状態になることが可能な電線である。スイッチリード線35a・35bは、テープ状でもよく、テープ状でなくてもよい。
【0025】
スイッチ接続部37は、巻線部21を含む線材20a~20kのうち両端の線材20a・20kと、スイッチリード線35a・35bと、が接続された部分である。スイッチ接続部37は、2つ設けられる。スイッチ接続部37での接続の具体例は、接続部25aでの線材20a・20bの接続の具体例と同様である。
【0026】
スイッチ接続部格納部39(
図5参照)は、スイッチ接続部37を格納する。スイッチ接続部格納部39の構成(形状、構成など)の具体例は、接続部格納部31(
図6参照)と同様である。
図5に示すように、スイッチ接続部格納部39は、例えば後述するジョイント部材43に固定される。
【0027】
ガイド装置40は、
図2に示すように、空間効率良く接続部25a~25jを配置および保持するためのものである(
図2に示す接続部25a・25c以外の接続部25b・25d~25jについては
図4参照(以下同様))。また、
図2に示すガイド装置40は、空間効率良く接続部25a~25jを配置できるように、リード線部23をガイドする。ガイド装置40は、接続部25a~25jでの接続処理がやり直しされる場合でも、接続部25a~25jを適切に配置および保持できるように構成されることが好ましい。ガイド装置40は、巻枠側ガイド部41と、ジョイント部材43と、ガイド部固定部45と、ガイド部50と、スイッチ接続曲げ部91と、を備える。
【0028】
巻枠側ガイド部41は、巻枠11から軸方向上側Z1に離れた位置にリード線部23をガイドするように、リード線部23を保持する部分(リードガイド部)である。巻枠側ガイド部41は、軸方向上側Z1に延びるように設けられる。例えば、巻枠側ガイド部41は、巻枠11から軸方向上側Z1に延びるように設けられる。巻枠側ガイド部41は、巻枠11に対して固定される。巻枠側ガイド部41は、巻枠11と一体でもよく、巻枠11と別体でもよい。
図5に示すように、巻枠側ガイド部41は、例えば筒状である。巻枠側ガイド部41は、円筒形でもよく、角筒形でもよい。なお、巻枠側ガイド部41は、筒状でなくてもよい。巻枠側ガイド部41は、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。巻枠側ガイド部41が複数設けられる場合は、複数の巻枠側ガイド部41どうしは、例えば径方向Rに間隔をあけて配置されてもよい。
【0029】
この巻枠側ガイド部41は、
図2に示すように、巻枠11から延びる(延びるように配置される)リード線部23を保持する。例えば、巻枠側ガイド部41に保持されるリード線部23は、巻枠側ガイド部41に巻かれ、例えば、巻枠11に巻かれる巻線部21に比べて疎に巻かれる。巻枠側ガイド部41に保持されるリード線部23は、例えば樹脂(例えばエポキシ樹脂など)などにより巻枠側ガイド部41に固定される。なお、巻枠側ガイド部41に保持されるリード線部23は、巻枠側ガイド部41に巻かれなくてもよく、例えば軸方向Zに延びるように配置されてもよい。
【0030】
ジョイント部材43は、複数のガイド部50を一体的に支持する部材である。ジョイント部材43は、巻枠側ガイド部41に支持(固定)される。例えば、ジョイント部材43は、巻枠側ガイド部41の軸方向上側Z1端部に固定される。「端部」は、端およびその近傍を含む(以下同様)。ジョイント部材43は、巻枠側ガイド部41から、軸方向Zに交差する方向の外側に延びるように設けられる。「軸方向Zに交差する方向」は、軸方向Zに直交する方向でもよく、軸方向Zに対して傾斜する方向でもよい。例えば、ジョイント部材43は、巻枠側ガイド部41から径方向外側R2に延びるように設けられる。以下では、軸方向Zに交差する方向が、径方向Rである場合について説明する。下記の径方向Rに関する説明を、軸方向Zに交差する方向に関する説明としてもよい。例えば、ジョイント部材43は、軸方向Zから見たとき、円形または略円形でもよく、多角形または略多角形でもよい。ジョイント部材43は、例えば板状(ジョイントプレート)である。ジョイント部材43は、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。ジョイント部材43が複数設けられる場合は、複数のジョイント部材43は、互いに軸方向Zに並ぶように、軸方向Zに間隔をあけて配置されてもよい。
【0031】
ガイド部固定部45は、ジョイント部材43に対してガイド部50を固定(支持)する。ガイド部固定部45は、ジョイント部材43とガイド部50(さらに詳しくは後述する第1ガイド部60)との間に配置される。例えば、ガイド部固定部45は、棒状でもよく、ブロック状などでもよい。ガイド部固定部45は、軸方向Zに延びるように設けられてもよく、軸方向Zに延びるように設けられなくてもよい。なお、
図2では、複数のガイド部固定部45のうち一部にのみ符号を付した。
【0032】
ガイド部50は、巻枠側ガイド部41から離れた位置にリード線部23をガイドするように、リード線部23を保持する。ガイド部50は、ジョイント部材43よりも軸方向下側Z2に配置されてもよく、ジョイント部材43よりも軸方向上側Z1に配置されてもよい。以下では、ガイド部50がジョイント部材43よりも軸方向下側Z2に配置される場合について説明する。ガイド部50は、複数設けられる。ガイド部50の数は、
図5に示す例では10であり、9以下でもよく、11以上でもよい。以下では、主に1つのガイド部50について説明する。
図6に示すように、ガイド部50は(さらに詳しくは複数のガイド部50のそれぞれは)、第1ガイド部60と、第2ガイド部70と、連結部80と、を備える。
【0033】
第1ガイド部60は、巻枠側ガイド部41(
図2参照)から、軸方向Zに交差する方向の外側(例えば径方向外側R2)にリード線部23をガイドするように、リード線部23を保持する。
図8に示すように、第1ガイド部60は、巻枠側ガイド部41よりも径方向外側R2に配置される。第1ガイド部60は、巻枠側ガイド部41との間に、径方向Rに隙間をあけて配置される。第1ガイド部60と巻枠側ガイド部41との隙間の大きさは、リード線部23を配置可能な大きさに設定される。なお、巻枠側ガイド部41から第1ガイド部60にわたるようにリード線部23が配置可能であれば、第1ガイド部60は、巻枠側ガイド部41に接触してもよい。
図2に示すように、第1ガイド部60は、ジョイント部材43に対して固定される。第1ガイド部60は、ジョイント部材43との間に軸方向Zの隙間をあけて配置されてもよく、具体的にはガイド部固定部45を介してジョイント部材43に固定されてもよい。第1ガイド部60は、ジョイント部材43と接触してもよく、ジョイント部材43に直接的に(ガイド部固定部45を介さずに)固定されてもよい(
図3参照)。第1ガイド部60は、例えば略直方体状などである。
【0034】
この第1ガイド部60は、
図5に示すように、径方向Rに延びるように設けられる。第1ガイド部60の長手方向は、径方向Rである。
図8に示すように、第1ガイド部60は、巻枠側ガイド部41から延びるリード線部23を保持する。
図8ではリード線部23を二点鎖線で示した。第1ガイド部60は、第1ガイド部60に沿うようにリード線部23を保持する。第1ガイド部60は、第1ガイド部60が延びる方向にリード線部23が延びるように、リード線部23を保持する。第1ガイド部60の巻枠側ガイド部41側(例えば径方向内側R1)の端部を、第1ガイド部基端部60bとする。第1ガイド部60の巻枠側ガイド部41とは反対側(例えば径方向外側R2)の端部を、第1ガイド部先端部60tとする。第1ガイド部基端部60bの軸方向Zにおける位置(例えば高さレベル)を、基端部軸方向位置P60b(
図3参照)とする。第1ガイド部60は、第1本体部61と、傾斜部62と、第1ガイド部曲げ部65と、第1接続部取付部67(接続部取付部)と、を備える。
【0035】
複数の第1ガイド部60は、
図5に示すように、巻枠中心軸11aを中心に放射状または略放射状に配置される。そのため、複数の第1ガイド部基端部60b(
図8参照)は、互いに近接して配置される。そのため、ジョイント部材43に取り付け可能な第1ガイド部60の数が制限される。すると、接続部25a~25jの数(1つのガイド装置40当たりの接続部25a~25jの数)が制限される。また、複数の第1ガイド部基端部60bが互いに近接して配置される結果、第1ガイド部基端部60bの近傍のリード線部23(
図8参照)は、互いに近接して配置され、互いに干渉する(接触する、例えば引っ掛かる)おそれがある。そこで、ジョイント部材43にできるだけ多くのガイド部50を取り付けることができるように、また、リード線部23(
図3参照)どうしの干渉を抑制できるように、
図3に示す基端部軸方向位置P60bが設定される。具体的には、複数の第1ガイド部60の基端部軸方向位置P60bは、互いに異なる。すなわち、複数の第1ガイド部基端部60bは、軸方向Zにずれるように配置される。さらに詳しくは、
図5に示すように軸方向Zから見たときに周方向Cに隣り合う第1ガイド部60どうしの基端部軸方向位置P60b(
図3参照)は、互いに異なる。なお、軸方向Zから見たときに周方向Cに隣り合っていない第1ガイド部60どうしの基端部軸方向位置P60b(
図3参照)は、互いに異ならなくてもよい。具体的には、
図3に示す例では、基端部軸方向位置P60bが、複数種類(
図3に示す例では3種類、3レベル)ある。各種類(各レベル)の基端部軸方向位置P60bを持つ第1ガイド部60が、複数(
図2に示す例では3または4)あってもよい。
【0036】
第1本体部61は、
図8に示すように、径方向Rに延びるように設けられる部材である。第1本体部61は、例えば略直方体状などの部材である(
図6参照)。
【0037】
傾斜部62は、巻枠側ガイド部41と第1溝部63との間でリード線部23が折れ曲がらないようにリード線部23をガイドおよび保持する。傾斜部62は、リード線部23が折れ曲がることによる劣化を抑制する。傾斜部62は、第1ガイド部基端部60bに設けられ、例えば第1ガイド部基端部60bの周方向Cの両側に設けられる。傾斜部62は、巻枠側ガイド部41の外面(例えば外周面)から第1溝部63にリード線部23が滑らかに延びるように、リード線部23を配置できるような形状を有する。傾斜部62は、第1溝部63が延びる方向(例えば径方向R)に対して傾斜する。傾斜部62は、第1ガイド部基端部60bの近傍の巻枠側ガイド部41の外面に対して傾斜する。傾斜部62は、湾曲した形状を有し、例えば軸方向Zから見たときに弧状である。傾斜部62にガイドされるリード線部23は、傾斜部62に沿うように配置される。
【0038】
第1溝部63は、リード線部23を収容し、リード線部23をガイドおよび保持する。第1溝部63は、第1本体部61に設けられる。
図6に示すように、第1溝部63は、例えば軸方向Zに凹み、さらに詳しくは、第1本体部61の軸方向下側Z2の面から軸方向上側Z1に凹む。
図8に示すように、第1溝部63は、第1ガイド部60が延びる方向(例えば径方向R)に延びるように設けられる。第1溝部63に収容されたリード線部23は、第1溝部63が延びる方向(例えば径方向R)に延びるように配置される。第1溝部63は、第1溝部基端側部分63aと、第1溝部本体部63bと、を備える。
【0039】
第1溝部基端側部分63aは、第1溝部63の第1ガイド部基端部60b側の部分(例えば径方向内側R1部分)である。第1溝部基端側部分63aでは、2本の線材(例えば線材20a・20b)は、周方向Cに互いに対向するように配置される。第1溝部基端側部分63aに収容された2本の線材20a・20bのそれぞれの幅方向は、軸方向Zまたは略軸方向Zである(
図7に示すリード線部23を参照)。
【0040】
第1溝部本体部63bは、第1溝部基端側部分63aよりも第1ガイド部先端部60t側(例えば径方向外側R2)に設けられる。第1溝部本体部63bの周方向Cの幅は、第1溝部基端側部分63aの周方向Cの幅よりも広い。第1溝部本体部63bでは、2本の線材20a・20bのそれぞれは、第1溝部基端側部分63a側から第1ガイド部先端部60t側(例えば径方向内側R1から径方向外側R2)に向かって、約90度ひねられたように配置される。その結果、第1溝部本体部63bの径方向外側R2部分に収容された2本の線材20a・20bのそれぞれの幅方向は、周方向Cまたは略周方向Cとなる。また、第1溝部本体部63bの径方向外側R2部分に収容された2本の線材20a・20bどうしは、横並びに配置され、周方向Cまたは略周方向Cに並ぶように配置される。
【0041】
第1ガイド部曲げ部65は、
図7に示すように、第1ガイド部60が延びる方向(例えば径方向R)から第2ガイド部70が延びる方向(例えば軸方向Z)にリード線部23が曲がるように、リード線部23をガイドする。第1ガイド部曲げ部65は、第1本体部61に設けられる。第1ガイド部曲げ部65は、例えば第1ガイド部先端部60tに設けられる。第1ガイド部曲げ部65は、リード線部23が折れ曲がらないようにリード線部23をガイドできるような形状を有する。具体的には、第1ガイド部曲げ部65は、周方向Cから見て弧状の部分を有し、例えば周方向Cから見て円形状などである。第1ガイド部曲げ部65は、例えば円柱状などである(
図6参照)。第1ガイド部曲げ部65は、第1本体部61に対して回転可能(例えばローラ)でもよく、第1本体部61に固定されてもよい。
図8に示すように、第1ガイド部曲げ部65では、2本の線材20a・20bは、横並びに配置され、
図7に示すように、第1ガイド部曲げ部65に沿って(例えば第1ガイド部曲げ部65の外周面に沿って)配置される。なお、第1ガイド部曲げ部65が第1本体部61に設けられることに代えて、第1ガイド部曲げ部65と同様の部材が第2本体部71に設けられてもよい。
【0042】
第1接続部取付部67(
図6参照)は、接続部25aを取り付け可能な部分である(
図7において二点鎖線で示す接続部25aおよび接続部格納部31を参照)。
図6に示す第1接続部取付部67は、接続部格納部31を介して、接続部25aを取り付け可能な部分である。第1接続部取付部67は、第1本体部61に設けられる。例えば、第1接続部取付部67は、第1本体部61の軸方向下側Z2の面に設けられる。第1接続部取付部67は、第1本体部61の1か所にのみ設けられてもよく、第1本体部61の複数か所に設けられてもよく、
図6に示す例では2か所に設けられ、3か所以上設けられてもよい。第1接続部取付部67が複数か所に設けられる場合は、複数か所の第1接続部取付部67どうしは、第1ガイド部60が延びる方向(例えば径方向R)に間隔をあけて配置される。例えば、第1接続部取付部67は、第1本体部61のうち第1溝部63の周方向C外側の両側部分に設けられ。具体的には例えば、第1接続部取付部67は、雌ねじを有する。
【0043】
第2ガイド部70は、第1ガイド部60から、第1ガイド部60が延びる方向に交差する方向(例えば軸方向Z)にリード線部23をガイドするように、リード線部23を保持する。「第1ガイド部60が延びる方向に交差する方向」は、第1ガイド部60が延びる方向に直交する方向でもよく、第1ガイド部60が延びる方向に対して傾斜する方向でもよい。以下では、第1ガイド部60が延びる方向に交差する方向が、軸方向Zである場合について説明する。下記の第2ガイド部70についての軸方向Zに関する説明を、第1ガイド部60が延びる方向に交差する方向に関する説明としてもよい。第2ガイド部70は、第1ガイド部60に対してジョイント部材43とは反対側(例えば軸方向下側Z2)に配置される。第2ガイド部70は、第1ガイド部60に取り付けられる。第2ガイド部70は、第1ガイド部先端部60tに取り付けられてもよく、第1ガイド部60のうち第1ガイド部先端部60tよりも径方向内側R1の位置に取り付けられてもよい。
図3に示すように、第2ガイド部70は、複数の第1ガイド部60のそれぞれに取り付けられる。なお、第2ガイド部70が取り付けられない第1ガイド部60があってもよい。
図7に示すように、第2ガイド部70は、第1ガイド部60に接触し、例えば第1ガイド部60の軸方向下側Z2の面に接触する。
【0044】
この第2ガイド部70は、軸方向Zに延びるように設けられる。第2ガイド部70の長手方向は、軸方向Zである。
図6に示すように、第2ガイド部70は、例えば略直方体状などである。第2ガイド部70は、第1ガイド部60から延びるリード線部23を保持可能である。第2ガイド部70は、第2ガイド部70に沿うようにリード線部23を保持する。第2ガイド部70は、第2ガイド部70が延びる方向にリード線部23が延びるように、リード線部23を保持する。第2ガイド部70は、第1ガイド部60に着脱可能に取り付けられる(連結部80の説明を参照)。なお、第2ガイド部70は、第1ガイド部60に対して着脱可能でなくてもよく、第1ガイド部60と一体的に構成されてもよい。第2ガイド部70の第1ガイド部60側(例えば軸方向上側Z1)の端部を、第2ガイド部基端部70bとする。第2ガイド部70の第1ガイド部60側とは反対側(例えば軸方向下側Z2)の端部を、第2ガイド部先端部70tとする。第2ガイド部70は、第2本体部71と、第2溝部73と、第2ガイド部折返部75と、第2接続部取付部77(接続部取付部)と、を備える。
【0045】
第2本体部71は、軸方向Zに延びるように設けられる部材である。第2本体部71は、例えば略直方体状などの部材である。
【0046】
第2溝部73は、リード線部23を収容し、リード線部23をガイドおよび保持する。第2溝部73は、第2本体部71に設けられる。第2溝部73は、例えば径方向Rに凹み、さらに詳しくは、第2本体部71の径方向内側R1の面から径方向外側R2に凹む。第2溝部73は、第2ガイド部70が延びる方向(例えば軸方向Z)に延びるように設けられる。第2溝部73に収容されたリード線部23(すなわち2本の線材20a・20b)は、第2溝部73が延びる方向(軸方向Z)に延びるように配置される。第2溝部73に収容された2本の線材20a・20bは、横並びに配置される。第2溝部73に収容された2本の線材20a・20bのそれぞれの幅方向は、例えば周方向Cである。
【0047】
第2ガイド部折返部75は、リード線部23が折り返される(Uターンする)部分である。第2ガイド部折返部75は、リード線部23の余長分が長くても、リード線部23をガイド部50に保持(格納)可能とする部分である。さらに詳しくは、第2ガイド部折返部75は、第2ガイド部基端部70bから第2ガイド部先端部70tの方向に延びるリード線部23を、第2ガイド部先端部70tから第2ガイド部基端部70bの方向に折り返すようにリード線部23を配置させる。上記「第2ガイド部基端部70bから第2ガイド部先端部70tの方向」は、具体的には軸方向下側Z2の向き、または略軸方向下側Z2の向きである。上記「第2ガイド部先端部70tから第2ガイド部基端部70bの方向」は、具体的には軸方向上側Z1の向き、または略軸方向上側Z1の向きである。例えば、第2ガイド部折返部75は、軸方向下側Z2に延びるリード線部23を、軸方向上側Z1に折り返すように、リード線部23を配置させる。第2ガイド部折返部75は、第2本体部71に取り付けられる。第2ガイド部折返部75は、例えば第2溝部73の内側などに配置される。
【0048】
この第2ガイド部折返部75は、
図7に示すように、リード線部23が折れ曲がらないようにリード線部23をガイドできるような形状を有する。第2ガイド部折返部75の形状の具体例は、第1ガイド部曲げ部65と同様であり、例えば円柱状などである(
図6参照)。第2ガイド部折返部75は、1つの第2ガイド部70に、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。第2ガイド部折返部75が複数設けられる場合、リード線部23が折り返される位置の選択肢を複数にすることができ、リード線部23の余長分をできるだけたるませずに格納することができる。第2ガイド部折返部75は、第2本体部71に対して回転可能(例えばローラ)でもよく、第2本体部71に固定されてもよい。
図6に示すように、第2ガイド部折返部75では、2本の線材20a・20bは、横並びに配置され、第2ガイド部折返部75に沿って(例えば第2ガイド部折返部75の外周面に沿って)配置される。第2ガイド部折返部75で折り返されたリード線部23は、折り返される前のリード線部23(第2溝部73に収容されたリード線部23)よりも、径方向内側R1に配置される。
【0049】
第2接続部取付部77は、接続部25aを取り付け可能な部分である。第2接続部取付部77は、接続部格納部31を介して、接続部25aを取り付け可能な部分である。なお、接続部25aが第1接続部取付部67に取り付けられる場合は、接続部25aは、第2接続部取付部77に取り付けられなくてもよい。第2接続部取付部77は、第2本体部71に設けられる。具体的には例えば、第2接続部取付部77は、第2本体部71の径方向内側R1の面に設けられる。第2接続部取付部77は、第2本体部71の1か所にのみ設けられてもよい。第2接続部取付部77は、第2本体部71の複数か所に設けられてもよく、
図6に示す例では4か所に設けられ、2か所、3か所、または5か所以上に設けられてもよい。第2接続部取付部77が複数か所に設けられる場合は、複数の第2接続部取付部77どうしは、軸方向Zに間隔をあけて配置される。例えば、第2接続部取付部77は、第2溝部73の周方向C外側の両側に設けられる。具体的には例えば、第2接続部取付部77は、雌ねじを有する。
【0050】
連結部80は、第1ガイド部60に第2ガイド部70を着脱可能に取り付けおよび固定する。連結部80は、第1本体部61と第2本体部71とを連結する。例えば、連結部80は、第1ガイド部先端部60tと第2ガイド部基端部70bとを連結する。具体的には例えば、連結部80は、板状部材80aと、締結部材80bと、を備える。板状部材80aは、2つ設けられる。2つの板状部材80a・80aは、第1本体部61および第2本体部71を周方向Cに挟むように配置される。締結部材80bは、第1本体部61および第2本体部71に板状部材80aを締結および固定する。具体的には例えば、締結部材80bは、雄ねじを有する部材などである。
【0051】
スイッチ接続曲げ部91は、
図5に示すように、スイッチリード線35a・35b、および巻枠側ガイド部41から延びる線材20a・20kを曲げて配置するように、これらの線をガイドする。スイッチ接続曲げ部91は、例えばジョイント部材43に取り付けられる。例えば、スイッチ接続曲げ部91は2つ設けられ、線材20aとスイッチリード線35aとをガイドするスイッチ接続曲げ部91、および、線材20kとスイッチリード線35bとをガイドするスイッチ接続曲げ部91、が設けられる。スイッチ接続曲げ部91は、1つのみ設けられてもよく、3つ以上設けられてもよい。スイッチ接続曲げ部91は、リード線部23が折れ曲がらないようにリード線部23をガイドできるような形状を有する。具体的には、スイッチ接続曲げ部91は、軸方向Zから見て弧状の部分を有し、例えば軸方向Zから見て円形状などである。スイッチ接続曲げ部91は、例えば円柱状などである(
図2参照)。スイッチ接続曲げ部91は、ジョイント部材43に対して回転可能(例えばローラ)でもよく、ジョイント部材43に固定されてもよい。スイッチ接続曲げ部91では、線材20aおよびスイッチリード線35aは、横並びに配置され、スイッチ接続曲げ部91に沿って(例えばスイッチ接続曲げ部91の外周面に沿って)配置される(線材20bおよびスイッチリード線35bも同様)。なお、
図5では、線材20a・20k、およびスイッチリード線35a・35bを二点鎖線で示した。
【0052】
(超電導線材20の配置作業)
超電導線材20の配置作業の具体例は、次の通りである。
図2に示すように、巻線部21から延ばされたリード線部23が、上記のように巻枠側ガイド部41および第1ガイド部60に配置される。ここで、
図6に示す線材20a・20bどうしは、上記のように熱処理により接続されるところ、第1超電導コイル10A(
図2参照)全体を加熱炉に入れることはできない。そのため、第1超電導コイル10A全体ではなく、線材20a・20bだけを加熱炉に引き込む必要がある。そこで、第2ガイド部70が第1ガイド部60から取り外された状態で、線材20a・20bが、第1ガイド部60から外(例えば径方向外側R2)に延ばされる。第1ガイド部60から延ばされた線材20a・20bどうしが、熱処理によって接続され、接続部25aが形成される。この接続部25aが、接続部格納部31に格納される。線材20a・20b(リード線部23)が、第1ガイド部曲げ部65で曲げられ、第2ガイド部70が、連結部80により第1ガイド部60に取り付けおよび固定される。線材20a・20bが、第2溝部73に収容され、第2ガイド部折返部75で折り返される。そして、接続部格納部31が、第2接続部取付部77に取り付けおよび固定される。
【0053】
上記のように、接続部25aの接続処理が、1回または複数回やり直しされる場合があり、また、接続処理がやり直しされない場合がある。そのため、リード線部23の余長分は、様々な長さになり得る。また、リード線部23の余長分が、できるだけたるまないようにガイド部50に格納されることが好ましい。そこで、リード線部23の余長分の長さに応じて、複数の第2接続部取付部77から、接続部25aの(接続部格納部31の)適切な取り付け位置が選択される。また、リード線部23の余長分の長さに応じて、複数の第2ガイド部折返部75から、適切な折り返し位置が選択される。また、リード線部23の余長分の長さによっては、第1ガイド部曲げ部65から軸方向下側Z2に延びるリード線部23が第2ガイド部折返部75で折り返されることなく、接続部25aが第2ガイド部70に取り付けられてもよい。また、リード線部23の余長分の長さによっては、リード線部23が第2ガイド部70に通されることなく、接続部25aが第1接続部取付部67に取り付けられてもよい。リード線部23は、例えば、接着剤、樹脂(例えばエポキシ樹脂など)、パテ、テープ、ワックス、または粘土などにより、ガイド部50および巻枠側ガイド部41(
図2参照)に固定(または補強)されてもよい。
【0054】
図2に示すように、ガイド部50は、複数設けられる。複数のガイド部50は、周方向Cに互いに間隔をあけて配置される。さらに詳しくは、第1ガイド部60の径方向外側R2部分および第2ガイド部70は、周方向Cに互いに間隔をあけて配置される。接続部格納部31(接続部25a~25j)は、複数のガイド部50のそれぞれに保持される。その結果、複数の接続部25a~25jは、周方向Cに互いに間隔をあけて配置される。また、複数の接続部25a~25jは、第1ガイド部60よりも軸方向下側Z2に配置可能である。よって、第1ガイド部60を含む平面であって軸方向Zに直交する平面内にのみ、リード線部23および複数の接続部25a~25jが配置される場合に比べ、リード線部23どうし、および複数の接続部25a~25jどうしを、間隔をあけて配置することができる。また、リード線部23を整然と配置することができる。
【0055】
図5に示すスイッチリード線35a・35bと、線材20a・20kと、が熱処理によって接続され、スイッチ接続部37(
図4参照)が形成される。スイッチ接続部37が、スイッチ接続部格納部39に格納される。スイッチ接続部37で接続された線材(例えば線材20aとスイッチリード線35aと)が、スイッチ接続曲げ部91で曲げられ、スイッチ接続曲げ部91から径方向内側R1に延びるように配置される。スイッチ接続部格納部39が、例えばジョイント部材43に固定される。スイッチ接続部格納部39は、線材20a・20kができるだけたるまない位置に配置されることが好ましい。
図5に示す例では、スイッチ接続部格納部39は、スイッチ接続曲げ部91よりも径方向内側R1に配置され、永久電流スイッチ35よりも径方向内側R1に配置され、巻枠側ガイド部41よりも径方向外側R2に配置される。
図5に示す例では、スイッチリード線35a・35bは、たるんだ状態であり、例えばジョイント部材43に固定される。具体的には例えば、スイッチリード線35a・35bは、樹脂によりジョイント部材43に固定される。この樹脂は、例えばエポキシ樹脂などであり、具体的には例えば固化前にエタノールなどを混ぜて柔らかくしたエポキシ樹脂などである。なお、固化後のエポキシ樹脂は、スイッチリード線35a・35bをジョイント部材43に適切に固定できる程度に十分固くなる。
【0056】
巻枠側ガイド部41から径方向外側R2に引き出された線材20a・20kは、例えばジョイント部材43に固定され、例えば樹脂により固定される(スイッチリード線35a・35bのジョイント部材43への固定と同様)。線材20a・20kがジョイント部材43に固定される場合、巻枠側ガイド部41から線材20a・20kが引き出される位置は、軸方向Zにおいてジョイント部材43にできるだけ近い位置であることが好ましい。この場合、線材20a・20kをジョイント部材43に、より確実に固定することができる。
【0057】
線材20aおよびスイッチリード線35aから最も近い第1ガイド部60を、第1ガイド部60Aとする。第1ガイド部60Aは、線材20aおよびスイッチリード線35aのジョイント部材43への固定スペースを確保できるように配置されることが好ましい。また、第1ガイド部60Aは、線材20aおよびスイッチリード線35aの、ジョイント部材43への固定の作業を容易に行うことができるように配置されることが好ましい。具体的には、
図2に示すように、第1ガイド部60Aは、ジョイント部材43よりも軸方向下側Z2に離れていることが好ましい。例えば、第1ガイド部60Aは、ガイド部固定部45を介してジョイント部材43に固定されることが好ましい。例えば、
図3に示すように、基端部軸方向位置P60bが複数種類(例えば3レベル)あるところ、
図2に示す第1ガイド部60Aの基端部軸方向位置P60b(
図3参照)は、最も軸方向下側Z2の基端部軸方向位置P60bであることが好ましい。
図5に示す線材20kおよびスイッチリード線35bから最も近い第1ガイド部60についても、第1ガイド部60Aと同様に配置されることが好ましい。
【0058】
(第1の発明の効果)
図1に示す超電導コイル装置1による効果は、次の通りである。超電導コイル装置1は、
図2に示すように、巻枠11と、超電導線材20と、巻枠側ガイド部41と、第1ガイド部60と、第2ガイド部70と、を備える。超電導線材20は、巻枠11に巻かれた巻線部21を有する。
【0059】
[構成1-1]巻枠側ガイド部41は、巻枠11から延びる超電導線材20を保持する。巻枠側ガイド部41は、巻枠11の軸方向Z(巻枠軸方向)に延びるように設けられる。
【0060】
[構成1-2]第1ガイド部60は、巻枠側ガイド部41から延びる超電導線材20を保持する(
図6参照)。第1ガイド部60は、軸方向Zに交差する方向において巻枠側ガイド部41よりも外側(例えば径方向外側R2)に配置される。第1ガイド部60は、軸方向Zに交差する方向(例えば径方向R)に延びるように設けられる。
【0061】
[構成1-3]
図6に示すように、第2ガイド部70は、第1ガイド部60から延びる超電導線材20を保持可能である。第2ガイド部70は、第1ガイド部60が延びる方向に交差する方向(例えば軸方向Z)に延びるように設けられる。
【0062】
[構成1-4]超電導線材20を構成する線材20a・20bどうしの接続部25aは、第1ガイド部60および第2ガイド部70の少なくともいずれかに固定される。
【0063】
図2に示すように、上記[構成1-1]の巻枠側ガイド部41は、巻枠11から軸方向Zに離れた位置で、超電導線材20を保持することができる。上記[構成1-2]の第1ガイド部60は、軸方向Zに交差する方向における外側(例えば径方向外側R2)に巻枠側ガイド部41から離れた位置で、超電導線材20を保持することができる(
図6参照)。
図6に示すように、上記[構成1-3]の第2ガイド部70は、第1ガイド部60が延びる方向に交差する方向(例えば軸方向Z)に第1ガイド部60から離れた位置で、超電導線材20を配置することができる。そして、上記[構成1-4]では、接続部25aは、第1ガイド部60および第2ガイド部70の少なくともいずれかに固定される。したがって、接続部25aを含む超電導線材20を、限られたスペースに効率良く配置することができる。例えば、軸方向Zに交差する方向に延びる平面であって第1ガイド部60を含む平面にのみ超電導線材20が配置される場合(第2ガイド部70が設けられない場合)に比べ、接続部25aを含む超電導線材20を効率よく(例えば整然と)配置することができる。また、例えば、接続部25a~25j(
図4参照)が複数設けられる場合でも、複数の接続部25a~25j、および複数の接続部25a~25jから延びる超電導線材20(リード線部23)を、限られたスペースに効率良く(例えば整然と)配置することができる。
【0064】
(第2の発明の効果)
[構成2]第2ガイド部70は、第1ガイド部60に着脱可能に取り付けられる。
【0065】
上記[構成2]により、第2ガイド部70が第1ガイド部60から取り外された状態で、超電導線材20に関する作業(例えば接続処理に関する作業など)を行うことができる。よって、この作業の作業性を向上させることができる。
【0066】
(第3の発明の効果)
[構成3]第1ガイド部60および第2ガイド部70を有するガイド部50は、接続部25aを取り付け可能な接続部取付部(第1接続部取付部67、第2接続部取付部77)を複数備える。
【0067】
上記[構成3]では、ガイド部50への接続部25aの取り付け可能な位置が、複数ある。よって、超電導線材20の長さ(さらに詳しくは余長分の長さ)に応じて、接続部25aの取り付け位置を選択することができる。よって、第1ガイド部60および第2ガイド部70に保持される超電導線材20が、できるだけたるまないように、接続部25aをガイド部50に取り付けることができる。
【0068】
(第4の発明の効果)
第2ガイド部70の第1ガイド部60側の端部を第2ガイド部基端部70bとする。第2ガイド部70の第1ガイド部60側とは反対側の端部を第2ガイド部先端部70tとする。
【0069】
[構成4]第2ガイド部70は、第2ガイド部折返部75を備える。第2ガイド部折返部75は、第2ガイド部基端部70bから第2ガイド部先端部70tの方向に延びる超電導線材20を、第2ガイド部先端部70tから第2ガイド部基端部70bの方向に折り返すように超電導線材20を配置させる。
【0070】
上記[構成4]により、第1ガイド部60および第2ガイド部70に保持される超電導線材20の長さ(さらに詳しくは余長分の長さ)が長くても、超電導線材20を第2ガイド部折返部75で折り返すことができる。よって、超電導線材20が、できるだけたるまないように、第1ガイド部60および第2ガイド部70に超電導線材20を保持させることができる。
【0071】
(第5の発明の効果)
図3に示すように、第1ガイド部60の巻枠側ガイド部41側の端部を第1ガイド部基端部60bとする。第1ガイド部60は、複数設けられる。
【0072】
[構成5]複数の第1ガイド部60の、軸方向Zにおける第1ガイド部基端部60bの位置(基端部軸方向位置P60b)は、互いに異なる。
【0073】
上記[構成5]により、複数の第1ガイド部60の、第1ガイド部基端部60bに保持される超電導線材20どうしを、軸方向Zにずらして配置ことができる。よって、複数の第1ガイド部60の、第1ガイド部基端部60bに保持される超電導線材20どうしが干渉することを抑制することができる。
【0074】
上記[構成5]により、複数の第1ガイド部60の、第1ガイド部基端部60bどうしを、軸方向Zにずらして配置することができる。よって、すべての第1ガイド部60の基端部軸方向位置P60bが同じ(軸方向Zにおける位置が同じ)である場合に比べ、第1ガイド部60の数を多くすることができる。その結果、接続部25a~25j(
図4参照)の数を多くすることができる。
【0075】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、上記実施形態の各構成要素の配置や形状が変更されてもよい。例えば、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。
【0076】
上記実施形態では、
図1に示す超電導コイル装置1のうち最も径方向内側R1の第1超電導コイル10Aについて説明した。一方、第1超電導コイル10Aよりも径方向外側R2の超電導コイル(第2超電導コイル10Bなど)が、上記のガイド装置40などを備えてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 超電導コイル装置
11 巻枠
20 超電導線材
20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i、20j、20k 線材
21 巻線部
25a、25b、25c、25d、25e、25f、25g、25h、25i、25j 接続部
41 巻枠側ガイド部
60 第1ガイド部
60b 第1ガイド部基端部
67 第1接続部取付部(接続部取付部)
70 第2ガイド部
70b 第2ガイド部基端部
70t 第2ガイド部先端部
75 第2ガイド部折返部
77 第2接続部取付部(接続部取付部)
Z 軸方向(巻枠軸方向)