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特開2022-99138透磁率センサ、現像装置及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099138
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】透磁率センサ、現像装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20220627BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220627BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
G03G15/08 321B
G03G21/00 502
G01R33/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212920
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】514274487
【氏名又は名称】リコーインダストリアルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 聡
(72)【発明者】
【氏名】西海土 智之
(72)【発明者】
【氏名】廣田 哲郎
【テーマコード(参考)】
2G017
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2G017AD03
2G017AD69
2G017BA05
2G017CA09
2G017CB04
2G017CB15
2G017CB20
2G017CC02
2G017CD04
2H077AA03
2H077AA35
2H077AB02
2H077AB14
2H077AB15
2H077AB18
2H077AC02
2H077AE06
2H077DA10
2H077DA42
2H077DA54
2H077DB02
2H077EA03
2H270KA22
2H270LA91
2H270LD01
2H270LD05
2H270MA18
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】受信装置の仕様を変更せずに、検知対象物の仕様を変更することが可能となる透磁率センサ、現像装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】非接触型透磁率センサ26などの透磁率センサは、平面パターンコイル131などのコイル、第一コンデンサおよび第二コンデンサなどを有するLC発振回路140を備えている。このLC発振回路140は、透磁率に応じた共振周波数を出力する。また、透磁率センサは、LC発振回路140から出力された共振周波数を、所定の出力信号(例えば、電圧値V)に変換する出力変換部150を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルとコンデンサとを有するLC発振回路を用いた透磁率センサであって、
前記LC発振回路の透磁率に応じた共振周波数を所定の出力信号に変換する出力変換部を有することを特徴とする透磁率センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の透磁率センサにおいて、
前記出力変換部で前記共振周波数を所定の出力信号に変換するための変換式を記憶する記憶部と、
前記記憶部に変換式を入力する変換式入力手段とを有することを透磁率センサ。
【請求項3】
コイルとコンデンサとを有するLC発振回路を用いた透磁率センサであって、
前記LC発振回路の透磁率に応じた共振周波数を所定の出力信号に変換する変換式を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された変換式を用いて前記共振周波数を所定の出力信号に変換する出力変換部と、
前記記憶部に変換式を入力する変換式入力手段とを有する透磁率センサ。
【請求項4】
請求項2または3に記載の透磁率センサにおいて、
前記記憶部は、不揮発性メモリであることを特徴とする透磁率センサ。
【請求項5】
請求項2乃至4いずれか一項に記載の透磁率センサにおいて、
前記記憶部は、リードオンリーメモリであることを特徴とする透磁率センサ。
【請求項6】
請求項2乃至4いずれか一項に記載の透磁率センサにおいて、
前記記憶部に記憶された変換式が、前記変換式入力手段から入力された変換式に書き換えられることを特徴とする透磁率センサ。
【請求項7】
請求項2乃至6いずれか一項に記載の透磁率センサにおいて、
外部装置からシリアル通信により前記変換式を受信可能としたことを特徴とする透磁率センサ。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか一項に記載の透磁率センサであって、
前記出力変換部は、前記出力信号を受信する受信装置に応じた出力信号に変換することを特徴とする透磁率センサ。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか一項に記載の透磁率センサにおいて、
前記出力変換部は、前記共振周波数を電圧に変換することを特徴とする透磁率センサ。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれか一項に記載の透磁率センサにおいて、
前記コイルは、基板に導線をプリント配線した平面コイルであることを特徴とする透磁率センサ。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれか一項に記載の透磁率センサにおいて、
前記LC発振回路に直列に接続された抵抗部を有することを特徴とする透磁率センサ。
【請求項12】
磁性キャリアとトナーとからなる現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤収容部に収容されている現像剤中のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段とを有する現像装置において、
前記トナー濃度検知手段として、請求項1乃至11いずれか一項に記載の透磁率センサを用いたことを特徴とする現像装置。
【請求項13】
潜像担持体と、
前記潜像担持体上の潜像を現像する現像装置とを備えた画像形成装置において、
前記現像装置として、請求項12に記載の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13に記載の画像形成装置において、
前記透磁率センサは、現像装置内の現像剤が新品のとき、前記出力信号を補正する補正値の算出を行うことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透磁率センサ、現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コイルとコンデンサとを有するLC発振回路を備えた透磁率センサが知られている。
【0003】
特許文献1には、上記透磁率センサとして、LC発振回路が出力する透磁率に応じた共振周波数を、受信装置としての制御部に出力するものが記載されている。この特許文献1には、磁性キャリアとトナーとからなる現像剤を収容する検知対象物と現像装置の現像剤収容部に透磁率センサを設け、画像形成装置の制御部は、透磁率センサから出力された出力信号としての共振周波数を受信し、受信した共振周波数に基づいて、現像剤中のトナー濃度を検知することが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、透磁率センサが透磁率を検知する現像装置などの検知対象物の仕様が変更された場合、制御部などの受信装置の仕様も変更する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、コイルとコンデンサとを有するLC発振回路を備えた透磁率センサであって、前記LC発振回路から出力された透磁率に応じた共振周波数を、所定の出力信号に変換する出力変換部を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、受信装置の仕様を変更せずに、検知対象物の仕様を変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の主要部を示す概略構成図。
図2】イエローの作像手段の概略構成を示す拡大図。
図3】非接触型透磁率センサの斜視図。
図4】非接触型透磁率センサの内部構成について説明するブロック図。
図5】接触型透磁率センサについて説明する図。
図6】非接触型透磁率センサについて説明する図。
図7】参考例の装置構成について説明する図。
図8】本実施形態の装置構成について説明する図。
図9】磁性体からの距離と透磁率センサの出力信号との関係を示すグラフ。
図10】各磁性体からの距離における透磁率センサの出力信号の測定方法について説明する図。
図11図9に示すグラフから作成した散布図。
図12】変形例1の非接触型透磁率センサを用いた概略構成図。
図13】変形例1の非接触型透磁率センサのブロック図。
図14】変形例2の非接触型透磁率センサを用いた概略構成図。
図15】変形例2の非接触型透磁率センサのブロック図。
図16】変形例3の透磁率センサのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を、画像形成装置である電子写真方式のカラー画像形成装置(以下、「画像形成装置」という。)に適用した一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の主要部を示す概略構成図である。この画像形成装置は、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の各色の画像を形成するための4組の作像手段1Y,1C,1M,1Bkを備えている。以下、各符号の添字Y、C、M、Bkは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラック用の部材であることを示す。これら4組の作像手段1Y,1C,1M,1Bkは、像担持体としての中間転写ベルト6の表面移動方向(図1中の矢印A方向)における上流側から順に配置されている。この作像手段1Y,1C,1M,1Bkは、それぞれ、潜像担持体としてのドラム状の感光体11Y,11C,11M,11Bkを有する感光体ユニット10Y,10C,10M,10Bkと、現像装置20Y,20C,20M,20Bkとを備えている。また、各作像手段1Y,1C,1M,1Bkの配置は、各感光体ユニット内の感光体11Y,11C,11M,11Bkの回転軸が平行になるように且つ中間転写ベルト6の表面移動方向に所定のピッチで配列するように、設定されている。
【0009】
4つの感光体11Y,11C,11M,11Bkのうち、最下流側にあるブラック用の感光体11Bkのみ中間転写ベルト6に常に接触している転写ニップ常接状態であり、残りの感光体11M,11C,11Yは中間転写ベルト6に対して接離可能となっている。転写紙上にカラー画像を形成する場合、4つの感光体11Y,11C,11M,11Bkは、それぞれ中間転写ベルト6に当接する。一方、転写紙上にブラックの単色画像を形成する場合、各カラー用の感光体11Y,11C,11Mを中間転写ベルト6から離間させ、ブラックトナーによるトナー像が形成されるブラック用の感光体11Bkのみを中間転写ベルト6に当接させるようにする。
【0010】
各作像手段1Y,1C,1M,1Bkによって形成された感光体11Y,11C,11M,11Bk上のトナー像は、中間転写ベルト6上に順次重ね合わされて1次転写される。この重なり合って得られるカラー画像は、中間転写ベルト6の表面移動に伴って2次転写ローラ3との間の2次転写部に搬送される。また、本画像形成装置は、上記作像手段1Y,1C,1M,1Bkのほか、その下方に光書込手段たる光書込ユニットが配置されており、さらにその下に給紙カセットが配置されている。図1中の一点鎖線は、転写紙の搬送経路を示している。給紙カセットから給送された転写紙は、搬送ガイドによってガイドされながら搬送ローラで搬送され、レジストローラ5が設けられている一時停止位置に送られる。転写紙は、レジストローラ5により所定のタイミングで2次転写部に供給される。そして、中間転写ベルト6上に形成されたカラー画像が、転写紙上に2次転写され、転写紙上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙は、定着ユニット7でトナー像が定着された後、排紙トレイなどに排出される。
【0011】
図2は、上記作像手段1Y,1C,1M,1Bkのうち、イエローの作像手段1Yの概略構成を示す拡大図である。他の作像手段1M,1C,1Bkは、イエローの作像手段1Yと同じ構成となっている。作像手段1Yは、上述したように、感光体ユニット10Y及び現像装置20Yを備えている。感光体ユニット10Yは、感光体11Yのほか、その感光体表面をクリーニングするクリーニングブレード13Y、その感光体表面を一様帯電する帯電手段たる帯電ローラ15Y等を備えている。また、感光体ユニット10Yは、感光体表面に潤滑剤を塗布するとともに、感光体表面を除電する機能を有する潤滑剤塗布兼除電ブラシローラ12Yも備えている。この潤滑剤塗布兼除電ブラシローラ12Yは、ブラシ部が導電性繊維で構成され、その芯金部には除電バイアスを印加するための除電用電源が接続されている。また、感光体ユニット10Yは、感光体表面の電位を測定する電位センサ40Yを備えている。上記帯電ローラ15Yや上記光書込ユニットによって潜像形成手段が構成されている。
【0012】
上記構成の感光体ユニット10Yにおいて、感光体11Yの表面は、電圧が印加された帯電ローラ15Yにより一様帯電される。この感光体11Yの表面に光書込ユニットで変調及び偏向されたレーザー光Lが走査されながら照射されると、感光体11Yの表面に静電潜像が形成される。この感光体11Y上の静電潜像は、後述の現像装置20Yで現像されてイエローのトナー像となる。感光体11Yと中間転写ベルト6とが対向する1次転写部では、感光体11Y上のトナー像が中間転写ベルト6上に転写される。トナー像が転写された後の感光体11Yの表面は、感光体クリーニング手段としてのクリーニングブレード13Yでクリーニングされた後、潤滑剤塗布兼除電ブラシローラ12Yで所定量の潤滑剤が塗布されるとともに除電され、次の静電潜像の形成に備えられる。
【0013】
上記現像装置20Yは、上記静電潜像を現像するための現像剤として、磁性キャリア及び負帯電のトナーを含む二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という)を使用している。また、この現像装置20Yは、現像ケースの感光体側の開口から一部露出するように配設された現像剤担持体としての非磁性材質からなる現像スリーブ22Yを備えている。また、現像装置20Yは、現像スリーブ22Yの内部に固定配置された磁界発生手段としてマグネットローラ、攪拌搬送部材としての攪拌搬送スクリュー23Y,24Y、現像ドクタ25Yも備えている。さらに、現像装置20Yは、トナー濃度検知手段である透磁率センサ26Y、トナー補給手段としての粉体ポンプ27Y等も備えている。現像スリーブ22Yには現像電界形成手段としての現像バイアス電源により負の直流電圧DC(直流成分)が印加され、現像スリーブ22Yが感光体11Yの金属基体層に対して所定電圧にバイアスされている。
【0014】
現像ケース内に収容された現像剤が攪拌搬送スクリュー23Y,24Yで攪拌搬送されることによりトナーが摩擦帯電される。そして、第1攪拌搬送スクリュー23Yが配置された第1攪拌搬送路内の現像剤の一部が現像スリーブ22Yの表面に担持され、現像ドクタ25Yで層厚が規制された後、感光体11Yと対向する現像領域に搬送される。現像領域では、現像スリーブ22Y上の現像剤中のトナーが現像電界によって感光体11Y上の静電潜像に付着し、トナー像となる。その後、現像領域を通過した現像剤は、現像スリーブ22Y上の現像剤離れ極位置で現像スリーブ22Yから離れ、第1攪拌搬送路に戻る。第1攪拌搬送路をその下流端まで搬送された現像剤は、第2攪拌搬送スクリュー24Yが配置された第2攪拌搬送路の上流端へ移動し、第2攪拌搬送路内でトナー補給を受ける。その後、第2攪拌搬送路をその下流端まで搬送された現像剤は、第1攪拌搬送路の上流端へ移動する。第2攪拌搬送路の底部を構成する現像ケース部分には、透磁率センサ26Yが設置されている。
【0015】
現像ケース内の現像剤のトナー濃度は、画像形成に伴うトナー消費により低下する。そのため、トナー濃度は、透磁率センサ26Yの出力信号に基づいて、必要によりトナーボトル30Y(図1参照)から粉体ポンプ27Yによりトナーが補給されることで適正な範囲に制御される。透磁率センサ26Yは、現像剤に接触せずに透磁率を検知する非接触型透磁率センサである。
【0016】
図3は、非接触型透磁率センサ26の斜視図である。
非接触型透磁率センサ26は、基板130を有しており、この基板130の図中上面の検知面130aには、平面パターンコイル131と、パターン抵抗132とが形成されている。パターン抵抗132は、平面パターンコイル131と直列に接続され、検知面130aにパターニングされている。平面パターンコイル131は平面上に螺旋状に形成された信号線のパターンである。また、パターン抵抗132は、平面上につづら折状に形成された信号のパターンであり、これらのパターンによって現像剤の透磁率を検知する機能が実現される。
【0017】
図4は、非接触型透磁率センサ26の内部構成について説明するブロック図である。
図4に示すように、非接触型透磁率センサ26は、コルピッツ型の発振回路を基本とするLC発振回路140を備えている。LC発振回路140は、上述した平面パターンコイル131、パターン抵抗132の他に、第一コンデンサ133および第二コンデンサ134を有している。また、非接触型透磁率センサ26は、フィードバック抵抗135、アンバッファIC136、137、出力端子138を有している。
【0018】
基板130上に平面状にパターニングされた信号線によって構成される平面パターンコイル131は、コイルによって得られるインダクタンスLを有する。平面パターンコイル131は、コイルが形成された平面に対向する空間の透磁率によってインダクタンスLの値が変化する。その結果、非接触型透磁率センサ26は、平面パターンコイル131のコイル面が対向する空間の透磁率に応じた周波数の信号を発振する。
【0019】
平面パターンコイル131と同様に基板上に形成された信号線のパターンによって構成されたパターン抵抗132は、つづら折り状に形成されたパターンであり、これによって直線状のパターンよりも電流の流れにくい状態を作り出している。図4に示すように、平面パターンコイル131とパターン抵抗132とは直列に接続されている。
【0020】
第一コンデンサ133及び第二コンデンサ134は、平面パターンコイル131と共にコルピッツ型LC発振回路を構成する容量である。従って、第一コンデンサ133及び第二コンデンサ134は、平面パターンコイル131及びパターン抵抗132と直列に接続される。平面パターンコイル131、パターン抵抗132、第一コンデンサ133及び第二コンデンサ134によって構成されるループによって共振電流ループが構成される。
【0021】
フィードバック抵抗135は、バイアス電圧を安定化させるために挿入される。アンバッファIC136及びアンバッファIC137の機能により、共振電流ループの一部の電位の変動が、共振周波数に応じた矩形波として出力端子138から出力される。このような構成により、非接触型透磁率センサ26は、インダクタンスL、抵抗値RP、第一コンデンサ133及び第二コンデンサ134の静電容量Cに応じた周波数で発振する。
【0022】
そして、インダクタンスLは、平面パターンコイル131の近傍における磁性体の存在やその濃度によっても変化する。従って、非接触型透磁率センサ26の共振周波数により、平面パターンコイル131近傍の空間における透磁率を判断することが可能となる。
【0023】
また、つづら折り状に形成されたパターン抵抗132を設けることで、コイルのインダクタンスに影響を与えずに、所望の温度特性が得られるような回路抵抗にすることができる。
【0024】
図5は、接触型透磁率センサについて説明する図である。
接触型透磁率センサ126は、センサ検出部126aが約4mm程度の円筒突起形状となっている。この突起状のセンサ検出部126aを現像ケース200の貫通孔200aに差し込んでセンサ検出部126aが直接現像ケース内部の現像剤に接触して透磁率を検知する。
【0025】
この接触型透磁率センサ126を用いる場合は、センサ検出部126aの根本部にシール材126b(一般に目の細かいスポンジ)を貼り付ける。そして、貫通孔200aとセンサ検出部126aとの隙間をシール材126bで埋めてシールすることで、現像ケース200内部の現像剤の外部流出を防いでいる。
【0026】
しかし、経時の使用によりシール材126bが劣化するなどして、貫通孔200aとセンサ検出部126aとの隙間から現像剤が漏れ出しやすい。現像剤が現像ケース外へ漏れ出すと、画像形成装置内に拡散し、装置内を汚してしまう。特にキャリアは磁性体に絶縁コートされた約50μm程度の粉体なので、マグネットに引きつられる特性を有している。そのため、キャリアは、磁性体を有するモータ内部に侵入しやすい。キャリアがモータに侵入すると回転軸を受けるベアリング部に混入し、ベアリング部にダメージを与えたり、負荷が重くなったりする。その結果、回転ムラや異常音など発生する場合も有る。また、現像剤が、用紙搬送ローラの表面に付着するとトナーにより用紙を汚したり、摩擦係数が低減し正しい搬送ができなくなったりする。
【0027】
また、接触型透磁率センサ126は、センサ検出部126aにフェライトなどの磁性材料からなるコアなどを有しており、部品点数が多く、コストが高いというデメリットもある。さらに、接触型透磁率センサは、トナー濃度を精度よく検知できる範囲が狭いため、現像剤等、現像装置の仕様が変更された場合は、トナー濃度を精度よく検知できる範囲から外れてしまう場合がある。よって、現像装置の仕様が変更された場合は、トナー濃度を精度よく検知できる範囲が異なる接触型透磁率センサへ変更する必要が生じる。
【0028】
図6は、非接触型透磁率センサ26について説明する図である。
非接触型透磁率センサ26は、図5に示した接触型透磁率センサ126とは異なり、直接現像剤に接触せずに透磁率を検知できる。従って、非接触型透磁率センサ26は、図6に示すように、現像ケース200に貫通孔を開けずに、現像ケース200の外面に両面テープ26aで貼り付けるだけで透磁率を良好に検知できる。よって、接触型透磁率センサ126とは異なり、貫通孔から現像剤が漏れ出すことがなく、現像剤の漏れ出しによるモータの不具合、装置の汚れおよび用紙搬送不良の発生を抑制することができる。
【0029】
また、非接触型透磁率センサ26のセンサ検知部は、基板に平面パターンコイル131を形成した構成であり、フェライトコアなどの磁性体を有さない。その結果、接触型透磁率センサ126よりも部品点数を削減することができ、接触型透磁率センサ126よりも安価であるという特徴もある。さらに、非接触型透磁率センサ26は、精度よくトナー濃度を検知できるトナー濃度検知範囲が接触型透磁率センサ126よりも広く、1種類のセンサで様々な特性の現像装置に対応が可能となり、一品種大量生産が可能となり、安価にできるという利点もある。
【0030】
図6では、両面テープで非接触型透磁率センサ26を現像ケースに取り付けているが、例えば、スナップフィットにより非接触型透磁率センサ26を現像ケースに取り付けてもよい。
【0031】
図7は、参考例の装置構成について説明する図である。
図7に示すように、参考例においては、非接触型透磁率センサ26から画像形成装置の受信装置としての制御部100へ周波数fが出力信号として出力される。制御部100は、非接触型透磁率センサ26から受信した所定の周波数fで発振される矩形波をデジタルカウントし、そのカウント値と、トナー補給アルゴリズム(不図示)とに基づいて、トナーボトル30の駆動を制御するトナー補給回路101を有している。
【0032】
トナー補給アルゴリズムは、予め実験で求めた周波数fと検知対象物の状態である現像装置のトナー濃度との関係に基づいて、現像装置内のトナー濃度を把握する。そして、把握したトナー濃度に基づいて、トナーボトル30を所定時間回転駆動し、トナーボトルから所定量のトナーを現像装置20に補給する。これにより、現像装置の現像剤中のトナー濃度が一定に保たれる。
【0033】
上述した接触型透磁率センサ126は、透磁率に応じた電圧を制御部100に出力する。そのため、接触型透磁率センサ126を用いて現像装置の現像剤中のトナー濃度を検知する構成の画像形成装置の制御部のトナー補給回路のトナー補給アルゴリズムは、透磁率センサから受信した透磁率に応じた電圧値に基づいて、トナー濃度を把握する。そして、把握したトナー濃度に基づいて、トナーボトル30を所定時間回転駆動し、トナーボトルから所定量のトナーを現像装置20に補給する。
【0034】
上述したように、接触型透磁率センサ126については、貫通孔200aからの現像剤の漏れ出し、センサが高価である等の不具合がある。そこで、トナー濃度を検知する透磁率センサを、接触型透磁率センサ126からこのような不具合が生じない非接触型透磁率センサ26に変更することが考えられる。しかしながら、接触型透磁率センサ126は透磁率に応じた電圧値を出力信号(アナログ信号)として出力するのに対し、非接触型透磁率センサ26は透磁率に応じた矩形波の周波数を出力信号(デジタル信号)として出力する。そのため、接触型透磁率センサ126から非接触型透磁率センサ26へ変更する場合は、制御部のアナログ入力方式からデジタルカウント入力方式の変更、ソフトで構成されるトナー補給アルゴリズム(不図示)を変更する必要がある。
【0035】
一般的に、制御部100を設計する部署と、現像装置20を設計する部署は異なっており、現像装置20の透磁率センサを、接触型透磁率センサ126から非接触型透磁率センサ26へ仕様変更する場合は、次のようなプロセスとなる。すなわち、まず、現像装置20を設計する部署で、トナー濃度と非接触型透磁率センサ26が出力する透磁率に応じた周波数との関係を示すデータなどからなる仕様書を作成する。その作成された仕様書に基づいて、制御部100を設計する部署が、制御部100が受信する透磁率に応じた周波数に対応するトナーボトル30の駆動時間(トナー補給量)などを設計する。例えば、トナー濃度と周波数との関係では、トナー補給がうまくできないなどの不具合がある場合は、その旨を現像装置20を設計する部署に伝える。現像装置20を設計する部署は、必要であれば透磁率センサの開発メーカに設計変更を依頼するなどにして、現像装置20の仕様を変更する。このような作業を繰り返し行って現像装置20や制御部100などの仕様が変更される。そのため、接触型透磁率センサ126から非接触型透磁率センサ26に変更することのメリットよりも、仕様変更にかかる費用の増大や、仕様変更にかかる時間の増大などのデメリットの方が大きい。よって、接触型透磁率センサ126から非接触型透磁率センサ26への仕様変更が困難な問題が生じていた。
【0036】
また、現像装置20の仕様変更には、接触型透磁率センサ126から非接触型透磁率センサ26に変更するような仕様変更以外にも、例えば、検知対象物たる現像装置を変更する仕様変更もある。現像装置の仕様変更には、例えば、磁性キャリアであればキャリアの直径、表面コート剤塗布厚み、中心の金属球またはフェライト球の透磁率などの仕様変更が挙げられる。また、トナーであれば処方、誘電率、粉体サイズのなどの仕様変更が挙げられる。また、現像装置内へ収容する現像剤の充填量、攪拌速度、攪拌方式などの仕様変更も挙げられる。さらには、攪拌搬送スクリュー23,24の形状、軸径、攪拌搬送スクリュー23Y,24Yにスクレーパを有する場合はスクレーパ形状などの仕様変更も挙げられる。このように、現像装置の仕様変更は、多岐にわたり、これらが新機種、あるいはシリーズ展開時に仕様変更が生じる事が多々あった。
【0037】
このような現像装置の仕様変更によって、トナー濃度と透磁率との関係が変わることがある。その結果、制御部へ出力される透磁率に応じた周波数fとトナー濃度の関係も変わってしまう。例えば、仕様変更前は、トナー濃度7%のときの透磁率に応じた周波数がα[Hz]であったものが、仕様変更によってトナー濃度7%のときの透磁率に応じた周波数がβ[Hz]に変わることがある。そのため、周波数fとトナー濃度との関係に基づいて、トナー補給制御を行うトナー補給アルゴリズム(不図示)を変更する必要が生じてしまう。
【0038】
そこで、本実施形態の非接触型透磁率センサ26は、出力変換部を設け、制御部100へ出力する出力信号を、制御部100に応じた出力信号に変換するようにした。以下、本実施形態の特徴部について、具体的に説明する。
【0039】
図8は、本実施形態の装置構成について説明する図である。
なお、図8は、接触型透磁率センサ126の出力信号(透磁率に応じた電圧値:アナログ信号)に基づいてトナー補給制御を行うトナー補給回路101を備えた制御部100に対応する出力信号(透磁率に応じた電圧値:アナログ信号)に出力変換部150で変換する場合について説明する。
【0040】
図8に示すように、本実施形態の非接触型透磁率センサ26は、出力変換部150を有している。出力変換部150は、LC発振回路140から出力された透磁率に応じた周波数fを、制御部100に対応する出力信号として、透磁率に応じた電圧値Vに変換する。また、本実施形態の非接触型透磁率センサ26は、透磁率に応じた周波数fを電圧値Vに変換する変換式が記憶された記憶部たる不揮発性メモリ152を有している。
また、本実施形態の非接触型透磁率センサ26は、不揮発性メモリ152に記憶されている変換式を書き換えるための変換式入力手段たる入力端子151を備えている。
【0041】
図9は、磁性体からの距離と透磁率センサの出力信号との関係を示すグラフである。図中●は、非接触型透磁率センサ26の出力信号(周波数f)と磁性体からの距離の関係を示しており、図中■は、接触型透磁率センサ126の出力信号(電圧V)と磁性体からの距離との関係を示している。
【0042】
図9に示すグラフは、図10に示すように、磁性体210と透磁率センサの検知面とのギャップを0~3mmの間に0.15mm刻みに変更して、出力信号を測定した。なお、非接触型透磁率センサ26においては、検知面は、平面パターンコイル131の形成面であり、接触型透磁率センサ126においては、検知面は、センサ検出部126aの頂面である。ギャップは、透磁率センサの検知面上に厚みが既知の透明板ガラスを載せてその上から磁性体210を載せることで、精度よく透磁率センサと磁性体210との間のギャップを規定のギャップにできる。出力信号測定後は、厚みが0.15mm厚い透明板ガラスに変更して出力信号を測定する。このような作業を繰り返すことで、図9に示すグラフを得ることができる。
【0043】
図9に示すように、非接触型透磁率センサ26について、磁性体210とのギャップが広がる(透磁率が低い)ほど、周波数fが大きくなる特性を有している。これに対し、接触型透磁率センサ126は、磁性体210とのギャップが広がる(透磁率が低い)ほど、電圧値Vが大きくなる特性を有している。
このように、非接触型透磁率センサ26と接触型透磁率センサ126とで、出力する単位、特性が全く異なる。
【0044】
図9に示す得られたグラフからLC発振回路140から出力された周波数fを電圧Vに変換する変換式を作成する。具体的には、図9に示す測定データを基に、横軸に非接触型透磁率センサ26の出力値(周波数f)、縦軸に接触型透磁率センサ126の出力値(電圧V)とし、図11に示すような散布図を作成する。この図11に示す散布図から、例えば、エクセルを用いて近似曲線を作成し、その近似曲線の近似式を得る。この近似式を変換式として、入力端子151を介して入力し、不揮発性メモリ152に記憶する。
【0045】
本実施形態では、近似式は5次関数まで求めた。図11に示す×は、近似式(変換式)用いて計算した結果を示している。図11に示すように、図中〇で示す測定データに基づく散布図の曲線と、図中×で示す近似式から計算した結果とはかなり近い値となり、高い近似状態が確認できる。なお、本実施形態では、近似式としての変換式は5次関数まで求めたが、例えば、単調増加の範囲に絞ってもっと低次の関数で近似式を求めてもよい。また、上述では、エクセルを用いて近似式を求めたが、高級言語のMATLAB(登録商標)など使用し近似式(変換式)を作成してもよい。
【0046】
出力変換部150は、LC発振回路140から出力された透磁率に応じた周波数fと、不揮発性メモリ152に記憶された上述ようにして求められた変換式(近似式)とに基づいて周波数fを電圧値Vに変換する。そして、出力変換部150は、この変換した電圧値Vを出力信号として制御部100へ出力する。
【0047】
これにより、制御部100は、非接触型透磁率センサ26から、出力信号として透磁率に応じた電圧値Vを受信する。これにより、制御部100のトナー補給回路101として、接触型透磁率センサ126の出力信号(透磁率に応じた電圧値:アナログ信号)に基づいてトナー補給制御を行うトナー補給回路101をそのまま利用して、トナー補給制御を行うことができる。よって、現像装置20として接触型透磁率センサ126から非接触型透磁率センサ26へ変更する仕様変更を行った場合でも、制御部100については、アナログ入力方式からデジタルカウント入力方式の変更、ソフトで構成されるトナー補給アルゴリズム(不図示)などの変更をする必要がない。その結果、接触型透磁率センサ126から非接触型透磁率センサ26に変更することによる費用の増大や、仕様変更にかかる時間の増大を抑えることができる。よって、容易に接触型透磁率センサ126から非接触型透磁率センサ26への変更が可能となり、非接触型透磁率センサ26の利点(現像剤の漏れ出し防止、装置のコストダウンを図れるという利点)を得ることができる。
【0048】
また、制御部100の仕様変更をしないで済むため、既に市場に出回っている画像形成装置に対しても、接触型透磁率センサ126を用いた現像装置から、非接触型透磁率センサ26を用いた現像装置に交換することができる。これにより、現像装置のアップグレードを容易に行うことができる。
【0049】
また、上述したように、非接触型透磁率センサは、精度よくトナー濃度を検知できるトナー濃度検知範囲が広い。そのため、接触型透磁率センサ126から本実施形態の非接触型透磁率センサ26に変更することで、現像装置の仕様が変更されても、仕様変更後のトナー濃度検知範囲を、透磁率センサの精度よくトナー濃度を検知できるトナー濃度検知範囲に収めることができる。これにより、現像装置の仕様が変更されても、透磁率センサを変更する必要が無くなる。
【0050】
また、例えば、現像装置20の現像剤が変更され、現像剤中のトナー濃度と透磁率との関係が変わった場合も、同様に近似式を作成し、その近似式を変換式として入力端子151を介して、不揮発性メモリ152に記憶する。具体的には、変更前の現像剤の各トナー濃度における非接触型透磁率センサ26の出力値(周波数f)を測定する。同様にして変更する現像剤の各トナー濃度における非接触型透磁率センサ26の出力値(周波数f)を測定する。そして、横軸を変更前の現像剤の各トナー濃度における非接触型透磁率センサ26の出力値、縦軸を変更する現像剤の各トナー濃度における非接触型透磁率センサ26の出力値として散布図を作成し、その散布図から近似式を得る。そして、得られた近似式を変換式として、入力端子151を介して不揮発性メモリ152に記憶する。
【0051】
これにより、LC発振回路140から出力された変更後の現像剤のトナー濃度に対応する周波数fが出力変換部150で変換式により、変更前の現像剤のトナー濃度に対応する周波数fに変換され、制御部100へ出力される。これにより、制御部100は、トナー補給回路101のトナー補給アルゴリズム(変更前の現像剤のトナー濃度と周波数fとの関係)をそのまま用いてトナー補給制御を行うことができる。よって、現像装置20として現像剤の仕様変更を行った場合でも、制御部100については、仕様変更をする必要がない。なお、上述では、現像剤について説明したが、現像剤中のトナー濃度と非接触型透磁率センサ26の周波数との関係が変わるような現像装置20の仕様変更が行われたときは、同様にして変換式を求めて、不揮発性メモリ152の変換式の書き換えを行う。
【0052】
また、非接触型透磁率センサ26は、部品点数が少なく、すべて電気部品で構成されているため、摩耗劣化する部品もないため寿命は5年以上あり、場合によっては10年程度ある。一方、メカニカル部品が大半の現像装置は、非接触型透磁率センサ26に比べて寿命が大幅に短い。そのため、非接触型透磁率センサ26について、現像装置20の寿命が来たとしても再利用可能である。
【0053】
本実施形態の非接触型透磁率センサ26は、画像形成装置の制御部100に対応する出力信号に変換することが可能であり、不揮発性メモリ152に記憶されている変換式も書き換え可能となっている。よって、再利用前の現像剤とは異なる特性の現像剤が収容された現像装置20に再利用された場合は、不揮発性メモリ152に記憶されている変換式を、この再利用される装置の現像剤の特性や、制御部のトナー補給回路に対応する変換式に書き換える。これにより、容易に非接触型透磁率センサ26の再利用を行うことができる。
【0054】
また、本実施形態の非接触型透磁率センサを用いることで、例えば、制御部100を設計する部署から、トナー補給がうまく行える最適なトナー濃度と透磁率センサの出力信号との関係を取得し、現像装置設計部署で、実験等を行って、取得したトナー濃度と出力信号との関係となるように、変換式を設計することが可能となる。このように、現像装置設計部署で、トナー濃度と出力信号との関係の最適化を図ることができ、現像装置の設計部署、制御部の設計部署、透磁率センサのメーカとの間で何度もやり取りを行って、最適化を図る必要がなくなり、開発工数、開発コストの低減を図ることができる。
【0055】
次に、本実施形態の非接触型透磁率センサ26の変形例について説明する。
【0056】
[変形例1]
図12は、変形例1の非接触型透磁率センサを用いた概略構成図であり、図13は、変形例1の非接触型透磁率センサのブロック図である。
この変形例1は、出力変換部150を、不揮発性メモリを備えた1チップCPUとしたものである。
1チップCPUの出力変換部150は、図13に示すように、演算手段としてのCPU150aと、不揮発性メモリ150bと、読み出し手段150cと、書き込み手段150dと、出力レジスタ150eとを備えている。
【0057】
読み出し手段150cは、不揮発性メモリ150bから変換式を読み出すものであり、CPU150aは、変換式と、LC発振回路140から出力された周波数とに基づいて演算して、電圧データを求めるものである。書き込み手段150dは、CPUの演算で求めた電圧データを出力レジスタ150eに書き込むものであり、出力レジスタは、電圧データをアナログ変換部153するものである。アナログ変換部153は、電圧データを電圧値Vに変換し、制御部100へ出力する。
【0058】
[変形例2]
図14は、変形例2の非接触型透磁率センサ26を用いた概略構成図であり、図15は、変形例2の非接触型透磁率センサのブロック図である。
この変形例2は、出力変換部150を、不揮発性メモリを備えた1チップCPUとするとともに、制御部100とのシリアル通信により、変換式を書き換え可能としたものである。
制御部100とのシリアル通信による変換式の書き換えは、例えば、画像形成装置の操作部の操作、画像形成装置に接続されたパソコンおよびUSBメモリなどの外部機器から画像形成装置に変換式が入力される。制御部100は、非接触型透磁率センサ26とシリアル通信を行い、入力された変換式を非接触型透磁率センサ26へ送信する。非接触型透磁率センサ26は、変換式を受信したら、変換式書き換え動作を実行し、不揮発性メモリ150bに受信した変換式を書き込む。これにより、制御部100との通信により不揮発性メモリ150bの変換式の書き換えが行われる。
【0059】
このように、制御部100との通信で変換式の書き換えを行えるようにすることで、次の利点を得ることができる。すなわち、作像システム全体の動作を変更するような場合において、CDやUSBメモリなどのメディアから制御ソフトをインストールするとともに、変更後の動作に対応した変換式もインストールする。そして、作像システム全体の動作を変更するとともに、その変更に対応する変換式に書き換えることができる。これにより、作像システム全体の動作変更後に、非接触型透磁率センサの入力端子151から変換式を入力して変換式の書き換えを行う場合に比べて、作業の簡素化を図ることができる。
【0060】
また、制御部100から不揮発性メモリ150bへの変換式の書き込みがシリアル通信で行われる。シリアル通信とすることで少ない信号線での非接触型透磁率センサとの通信が可能であり、装置のコストを抑えることができる。
【0061】
[変形例3]
図16は、変形例3の非接触型透磁率センサのブロック図であり、この変形例3は、出力変換部150で非接触型透磁率センサの出力値を補正する補正値の算出を行うようにしたものである。
図16に示すように、この変形例3の非接触型透磁率センサは、補正値算出部150fを有している。補正値算出部150fは、シリアル通信により制御部100から補正値算出コマンドを受信すると、補正値算出を動作を実行する。また、この変形例3の非接触型透磁率センサは、不揮発性メモリ150bに制御部100へ出力する出力信号を補正する補正値が記憶されている。
【0062】
例えば、現像ケースの製造誤差により、非接触型透磁率センサ26が取り付けられる箇所の厚みが規定の厚みと異なる場合がある。また、組み付け誤差により、現像ケースと非接触型透磁率センサの検知面(平面パターンコイル131)との間に微小隙間が生じることもある。その結果、トナー濃度と非接触型透磁率センサからの出力信号(この変形例3では、電圧値V)との関係に誤差が生じることがある。例えば、現像剤中のトナー濃度が7%のときに非接触型透磁率センサの出力値として2.5Vが本来の値とすると、2.3Vとなるような誤差である。このような誤差を補正するために、不揮発性メモリ150bは、電圧を補正する補正値を記憶しており、変換式に基づいて変換した電圧値を補正値により補正する。
【0063】
この補正値は、現像装置内の現像剤が交換されたときや、新品の現像剤が収容された現像装置に交換されたときなどに、交換初期動作モードを実行時に求められる。この変形例3では、この補正値の算出が出力変換部150で行われる。
【0064】
交換初期動作モードは、現像装置内の新品の現像剤を所定時間、所定の速度で攪拌搬送して、現像装置内のトナーおよびキャリアを摩擦帯電させ、所定の帯電量にまでチャージアップさせ、現像に使用可能な状態(初期剤)にするモードである。
【0065】
この変形例3では、制御部100は、交換初期動作モードを実行すると、シリアル通信を行って、出力変換部150に補正値算出コマンドを送信する。出力変換部150の補正値算出部150fは、この補正値算出コマンドを受信したら、交換初期動作モード実行中、LC発振回路140からの周波数を取得し、CPU150aにより周波数の平均値を演算させる。次に、出力変換部150のCPU150aは、周波数fを変換式により変換し、電圧値Vを演算する。次に、CPU150aは、求めた電圧値Vと、予め不揮発性メモリ150bに記憶されている初期の現像剤のトナー濃度に対応する電圧値とを比較し、電圧値を補正する補正値を求める。求めた補正値は、不揮発性メモリ150bに記憶される。不揮発性メモリ150bに補正値を記憶したら、補正値算出部150fは、制御部100に補正値算出動作終了信号をシリアル通信で制御部100へ送信する。制御部100は、透磁率センサから補正値算出動作終了信号を受信したら、交換初期動作モードを終了する。
【0066】
このように、変形例3では、透磁率センサ自ら補正値を算出して、不揮発性メモリ150bに記憶することができ、制御部100側の負荷を低減することができる。また、上述では、変換式で変換後の電圧値を補正値で補正しているが、LC発振回路140から出力される周波数fを補正値で補正してもよい。
【0067】
なお、上述では、変換式を記憶した不揮発性メモリは、何度も読み込み/書き込み可能な不揮発性メモリであるが、不揮発性メモリとして1回しか書き込みできないリードオンリーメモリを用いてもよい。これによれば、透磁率センサの不揮発性メモリに不正にアクセスして、不正に変換式が書き換えられるのを防止できる。また、何度も読み込み/書き込み可能な不揮発性メモリを用いる場合に比べて、装置を安価にすることができる。
【0068】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
コイルとコンデンサとを有するLC発振回路140を用いた非接触型透磁率センサ26などの透磁率センサであって、LC発振回路140の透磁率に応じた共振周波数を所定の出力信号に変換する出力変換部150を有する。
従来、透磁率センサのLC発振回路から出力された透磁率に応じた共振周波数を、出力信号としてそのまま受信装置へ出力していた。透磁率センサが透磁率を検知する現像装置などの検知対象物の仕様が変更されると、制御部などの受信装置へ出力される透磁率に応じた共振周波数とトナー濃度などの装置の状態との関係が変わる場合がある。その結果、受信装置が予め記憶している共振周波数と装置の状態との関係と、検知対象物の仕様変更後の共振周波数と装置の状態との関係とが異なってくる。よって、検知対象物の仕様が変更されたときは、受信装置の共振周波数と装置の状態との関係を変更し、受信装置の仕様も変更する必要があった。
これに対し、態様1では、LC発振回路から出力された透磁率に応じた共振周波数を出力変換部で、制御部100などの受信装置に対応する出力信号に変換することが可能となる。これにより、例えば、検知対象物の仕様が変更され、共振周波数と検知対象物の状態との関係が変わった場合でも、透磁率に応じた出力信号を、受信装置が予め記憶している仕様変更前の出力信号と装置の状態との関係に対応する出力信号に出力変換部で変換して受信装置に出力することができる。これにより、受信装置の仕様を変更せずに、透磁率センサからの出力信号に基づいて、良好に仕様変更後の検知対象物の状態を把握することが可能となる。よって、受信装置の仕様を変更せずに、検知対象物の仕様を変更することが可能となる。
【0069】
(態様2)
態様1において、出力変換部150で共振周波数を所定の出力信号に変換するための変換式を記憶する不揮発性メモリ152などの記憶部と、記憶部に変換式を入力する入力端子151などの変換式入力手段とを有する。
これによれば、実施形態で説明したように、入力端子151などの変換式入力手段を介して不揮発性メモリ152などの記憶部に変換式を記憶させることができる。
【0070】
(態様3)
コイルとコンデンサとを有するLC発振回路140を用いた非接触型透磁率センサ26などの透磁率センサであって、LC発振回路140の透磁率に応じた共振周波数を所定の出力信号に変換する変換式を記憶する不揮発性メモリ152などの記憶部と、記憶部に記憶された変換式を用いて共振周波数を所定の出力信号に変換する出力変換部150などの変換部と、記憶部に変換式を入力する入力端子151などの変換式入力手段とを有する。
【0071】
(態様4)
態様2または3において、記憶部は、不揮発性メモリである。
これによれば、記憶部に記憶された変換式が、装置の電源OFFで消えることがない。
【0072】
(態様5)
態様2乃至4いずれかにおいて、不揮発性メモリ152などの記憶部は、リードオンリーメモリである。
これによれば、実施形態で説明したように、不正に変換式が書き換えられるのを防止できる。また、何度も読み込み/書き込み可能な不揮発性メモリを用いる場合に比べて、装置を安価にすることができる。
【0073】
(態様6)
態様2乃至4いずれかにおいて、不揮発性メモリ152などの記憶部に記憶された変換式が、入力端子151などの変換式入力手段から入力された変換式に書き換えられる。
これによれば、非接触型透磁率センサ26などの透磁率センサが再利用されたときに、不揮発性メモリ152などの記憶部に記憶されている再利用前の画像形成装置に対応する変換式を、再利用される画像形成装置に対応する変換式に書き換えることができる。これにより、容易に透磁率センサを再利用することができる。
【0074】
(態様7)
態様2乃至6いずれかにおいて、画像形成装置などの外部装置からシリアル通信により変換式を受信可能とした。
これによれば、変形例2で説明したように、少ない信号線で画像形成装置などの外部装置と通信を行うことができ、装置のコストダウンを図ることができる。
【0075】
(態様8)
態様1乃至7いずれかにおいて、出力変換部150などの変換部は、出力信号を受信する制御部100などの受信装置に応じた出力信号に変換する。
これによれば、実施形態で説明したように、制御部100などの受信装置の仕様を変更せずに、現像装置などの検知対象物の仕様の変更を行うことができる。
【0076】
(態様9)
態様1乃至8いずれかにおいて、出力変換部150などの変換部は、共振周波数を電圧に変換する。
これによれば、接触型透磁率センサ126に対応する制御部100などの受信装置に対応した出力信号を受信装置に出力することができ、受信装置の仕様を変更することなく、透磁率センサの変更を行うことができる。
【0077】
(態様10)
態様1乃至9いずれかにおいてコイルは、基板に導線をプリント配線した平面コイルである。
これによれば、実施形態で説明したように、磁性体を用いずに、透磁率を検知することが可能となり部品点数の削減を図ることができ、コストダウンを図ることができる。また、非接触で透磁率を検知することが可能となり、現像装置などの検知対象装置に貫通孔を設けずに透磁率の検出を行うことができる。
【0078】
(態様11)
態様1乃至10いずれかにおいて、LC発振回路140に直列に接続されたパターン抵抗132などの抵抗部を有する。
これによれば、実施形態で説明したように、コイルのインピーダンスを変更することなく、回路抵抗の調整が可能にできる。
【0079】
(態様12)
磁性キャリアとトナーとからなる現像剤を収容する現像剤収容部と、現像剤収容部に収容されている現像剤中のトナー濃度を検知する透磁率センサなどのトナー濃度検知手段とを有する現像装置において、トナー濃度検知手段として、態様1乃至11いずれかの透磁率センサを用いた。
これによれば、画像形成装置の制御部100の仕様を変更せずに、現像装置の仕様の変更が可能となる。
【0080】
(態様13)
潜像担持体と、潜像担持体上の潜像を現像する現像装置とを備えた画像形成装置において、現像装置として、態様12の現像装置を用いた。
これによれば、現像装置の仕様変更を容易に行うことができる。
【0081】
(態様14)
態様13において、透磁率センサなどの透磁率センサは、現像装置内の現像剤が新品のとき、出力信号を補正する補正値の算出を行う。
これによれば、変形例3で説明したように、画像形成装置で補正値を算出する場合に比べて画像形成装置の制御部100側の負荷を低減することができる。
【符号の説明】
【0082】
20 :現像装置
26 :非接触型透磁率センサ
30 :トナーボトル
100 :制御部
101 :トナー補給回路
126 :接触型透磁率センサ
126a :センサ検出部
130 :基板
130a :検知面
131 :平面パターンコイル
132 :パターン抵抗
133 :第一コンデンサ
134 :第二コンデンサ
135 :フィードバック抵抗
137 :アンバッファ
138 :出力端子
140 :LC発振回路
150 :出力変換部
150a :CPU
150b :不揮発性メモリ
150c :読み出し手段
150d :書き込み手段
150e :出力レジスタ
150f :補正値算出部
151 :入力端子
152 :不揮発性メモリ
153 :アナログ変換部
200 :現像ケース
V :電圧値
f :周波数
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特許第6572519号公報
図1
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図3
図4
図5
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