(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099140
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】監視システム、物体認識装置、監視方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20220627BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20220627BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
G06T7/00 660Z
H04N7/18 D
H04N7/18 K
B60R11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212922
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅見 浩司
(72)【発明者】
【氏名】山田 和輝
(72)【発明者】
【氏名】中村 太一
【テーマコード(参考)】
3D020
5C054
5L096
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BB02
3D020BC04
3D020BD05
3D020BE03
5C054CE11
5C054FA07
5C054FC00
5C054FC12
5C054HA18
5C054HA26
5L096BA02
5L096CA04
5L096CA18
(57)【要約】
【課題】コストの増加等を抑制しつつ、監視領域の死角を減少させる。
【解決手段】本実施形態の監視システムは、所定の撮像領域の撮像画像を取得する撮像部と、撮像領域に配置され、光を反射させる反射部と、撮像画像のうち反射部以外の領域に対応する実像画像に対する物体認識処理の結果と、撮像画像のうち反射部の設置領域に対応する鏡像画像に対する物体認識処理の結果とに基づき、撮像領域に存在する物体に関する情報を生成する処理部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の撮像領域の撮像画像を取得する撮像部と、
前記撮像領域に配置され、光を反射させる反射部と、
前記撮像画像のうち前記反射部以外の領域に対応する実像画像に対する物体認識処理の結果と、前記撮像画像のうち前記反射部の設置領域に対応する鏡像画像に対する物体認識処理の結果とに基づき、前記撮像領域に存在する物体に関する情報を生成する処理部と、
を備える監視システム。
【請求項2】
前記処理部は、前記実像画像から認識された物体と前記鏡像画像から認識された物体とが同一の物体であるか否かを判定する異同判定処理と、前記異同判定処理の結果に基づき、前記撮像領域に存在する物体の数を計測する計測処理とを行う、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記反射部は、電気信号に応じて画像を表示させるディスプレイであり、
前記鏡像画像は、前記画像が表示されていない状態の前記ディスプレイに反射された画像である、
請求項1又は2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記撮像領域は、移動体の室内であり、
前記物体は、前記室内に存在する搭乗者である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記移動体は、公共交通機関である、
請求項4に記載の監視システム。
【請求項6】
撮像部から所定の撮像領域の撮像画像を取得する取得部と、
前記撮像画像のうち、前記撮像領域に配置され光を反射させる反射部以外の領域に対応する実像画像に対する物体認識処理の結果と、前記撮像画像のうち前記反射部の設置領域に対応する鏡像画像に対する物体認識処理の結果とに基づき、前記撮像領域に存在する物体に関する情報を生成する処理部と、
を備える物体認識装置。
【請求項7】
所定の撮像領域の撮像画像を取得する工程と、
前記撮像画像のうち、前記撮像領域に配置され光を反射させる反射部以外の領域に対応する実像画像に対する物体認識処理の結果と、前記撮像画像のうち前記反射部の設置領域に対応する鏡像画像に対する物体認識処理の結果とに基づき、前記撮像領域に存在する物体に関する情報を生成する工程と、
を含む監視方法。
【請求項8】
コンピュータに、
所定の撮像領域の撮像画像を取得する処理と、
前記撮像画像のうち、前記撮像領域に配置され光を反射させる反射部以外の領域に対応する実像画像に対する物体認識処理の結果と、前記撮像画像のうち前記反射部の設置領域に対応する鏡像画像に対する物体認識処理の結果とに基づき、前記撮像領域に存在する物体に関する情報を生成する処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、監視システム、物体認識装置、監視方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両等の移動体の室内を撮像した撮像画像に基づき、移動体の室内の状況(例えば搭乗者の状態等)を監視するシステムが利用されている。例えば、監視領域の死角を減少させることを目的として、車室内に設置されたレールに沿ってカメラ移動させたり、車室内に複数のカメラを設置したりする構成が開示されている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-142375号公報
【特許文献2】特開2020-136748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術のようにカメラを変位させたり、カメラの台数を増加させたりすることにより監視領域の死角を減少させることが可能である。しかしながら、このような手法によると、新たな設備の追加が必要となり、コストの増加等の問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明の実施形態は、コストの増加等を抑制しつつ、監視領域の死角を減少させることが可能な監視システム、物体認識装置、監視方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態としての監視システムは、所定の撮像領域の撮像画像を取得する撮像部と、撮像領域に配置され、光を反射させる反射部と、撮像画像のうち反射部以外の領域に対応する実像画像に対する物体認識処理の結果と、撮像画像のうち反射部の設置領域に対応する鏡像画像に対する物体認識処理の結果とに基づき、撮像領域に存在する物体に関する情報を生成する処理部と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、反射部に映る鏡像を利用して物体を検知できる。これにより、撮像部の変位、追加等を行うことなく、監視領域の死角を減少させることができる。
【0008】
また、処理部は、実像画像から認識された物体と鏡像画像から認識された物体とが同一の物体であるか否かを判定する異同判定処理と、異同判定処理の結果に基づき、撮像領域に存在する物体の数を計測する計測処理とを行ってもよい。
【0009】
これにより、撮像領域に存在する物体の数を正確に計測できる。
【0010】
また、反射部は、電気信号に応じて画像を表示させるディスプレイであり、鏡像画像は、画像が表示されていない状態の表示装置に反射された画像であってもよい。
【0011】
これにより、室内に設置されているディスプレイを反射部として利用できる。
【0012】
また、撮像領域は、移動体の室内であり、物体は、室内に存在する搭乗者であってもよい。
【0013】
これにより、車両等の移動体の搭乗員を監視できる。
【0014】
また、移動体は、公共交通機関であってもよい。
【0015】
上述した監視システムは、不特定多数又は特定の搭乗者が乗降するバス、電車、飛行機、船舶等の公共交通機関において特に好適に利用され得る。
【0016】
また、本発明の他の実施形態としての物体認識装置は、撮像部から所定の撮像領域の撮像画像を取得する取得部と、撮像画像のうち、撮像領域に配置され光を反射させる反射部以外の領域に対応する実像画像に対する物体認識処理の結果と、撮像画像のうち反射部の設置領域に対応する鏡像画像に対する物体認識処理の結果とに基づき、撮像領域に存在する物体に関する情報を生成する処理部と、を備える。
【0017】
また、本発明の他の実施形態としての監視方法は、所定の撮像領域の撮像画像を取得する工程と、撮像画像のうち、撮像領域に配置され光を反射させる反射部以外の領域に対応する実像画像に対する物体認識処理の結果と、撮像画像のうち反射部の設置領域に対応する鏡像画像に対する物体認識処理の結果とに基づき、撮像領域に存在する物体に関する情報を生成する工程と、を含む。
【0018】
また、本発明の他の実施形態としてのプログラムは、コンピュータに、所定の撮像領域の撮像画像を取得する処理と、撮像画像のうち、撮像領域に配置され光を反射させる反射部以外の領域に対応する実像画像に対する物体認識処理の結果と、撮像画像のうち反射部の設置領域に対応する鏡像画像に対する物体認識処理の結果とに基づき、撮像領域に存在する物体に関する情報を生成する処理と、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施形態に係る監視システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るECUのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るECUの機能構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る撮像画像、実像画像、及び鏡像画像の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るカメラと仮想カメラとの関係の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る監視システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用、結果、及び効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0021】
図1は、実施形態に係る監視システム1の構成の一例を示す図である。本実施形態に係る監視システム1は、不特定多数又は特定の搭乗者が乗降するバス、電車、飛行機、船舶等の公共交通機関(移動体)の室内Rを監視するものである。監視システム1は、カメラ11(撮像部)、ディスプレイ12(表示部)、及びECU(Electronic Control Unit)13(物体認識装置)を備える。
【0022】
カメラ11は、室内Rを撮像可能な位置に設置され、室内Rの撮像画像を取得する機器である。カメラ11は、例えばレンズ、イメージセンサ、マイクロプロセッサ等を利用して構成される。カメラ11は、ECU13からの制御信号に応じて動作し、取得した画像データをECU13に出力する。カメラ11は、例えば、室内Rの壁面、天井等に設置される。
【0023】
ディスプレイ12は、所定の画像を表示させる機器であり、カメラ11の撮像範囲に設置される。ディスプレイ12は、電気信号(ECU13からの制御信号等)に応じて様々な画像を切り替えられるように構成され、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)、マイクロプロセッサ等を利用して構成される。ディスプレイ12は、例えば、搭乗者Pへ向けた広告画像等を表示可能なデジタルサイネージ等であり得る。また、ディスプレイ12は、室内Rの光を反射させる反射領域Arとしても作用する。例えば、ディスプレイ12は、画像が表示されていない非表示状態において黒色画面となり、この非表示状態において反射領域Arとして作用する。
【0024】
ECU13は、監視システム1を制御するための各種処理を行う情報処理装置である。ECU13は、カメラ11及びディスプレイ12を制御する。ECU13は、カメラ11により取得された撮像画像(画像データ)に基づき、室内Rの監視に関する各種処理を行う。ECU13は、例えば、撮像画像の記録、搭乗者Pの人数の算出、異常の検知等を行う。また、ECU13は、ディスプレイ12に表示される画像を切り替える処理を行う。ECU13は、ディスプレイ12を画像が表示されない非表示状態にすることができる。
【0025】
図2は、実施形態に係るECU13のハードウェア構成の一例を示す図である。ECU13は、カメラコントローラ51、ディスプレイコントローラ61、及び解析ユニット71を備える。
【0026】
カメラコントローラ51は、CPU(Central Processing Unit)55、ROM(Read Only Memory)56、RAM(Random Access Memory)57等を備える。カメラコントローラ51は、適宜なインターフェース及びコンピュータネットワークを介してカメラ11とデータ通信可能に接続している。また、カメラコントローラ51は、バスを介してディスプレイコントローラ61及び解析ユニット71とデータ通信可能に接続している。CPU55は、ROM56等に記憶されたプログラムに従い、RAM57を作業領域として使用し、カメラ11を制御するための各種演算処理を行う。カメラコントローラ51は、カメラ11により取得された撮像画像の記録等を実行する。なお、撮像画像等を含む画像データは、ECU13の内部又は外部に備えられた適宜な記憶装置に記憶される。
【0027】
ディスプレイコントローラ61は、CPU65、ROM66、RAM67等を備える。ディスプレイコントローラ61は、適宜なインターフェース及びコンピュータネットワークを介してディスプレイ12とデータ通信可能に接続する。また、ディスプレイコントローラ61は、バスを介してカメラコントローラ51及び解析ユニット71とデータ通信可能に接続している。CPU65は、ROM66等に記憶されたプログラムに従い、RAM67を作業領域として使用し、ディスプレイ12を制御するための各種演算処理を行う。ディスプレイコントローラ61は、ディスプレイ12に表示される画像を切り替える処理等を実行する。
【0028】
解析ユニット71は、CPU75、ROM76、RAM77等を備える。解析ユニット71は、バスを介してカメラコントローラ51及びディスプレイコントローラ61とデータ通信可能に接続している。CPU75は、ROM76等に記憶されたプログラムに従い、RAM77を作業領域として使用し、カメラ11により取得された撮像画像を解析し、室内Rの状況を示す監視情報を生成する。
【0029】
なお、
図2に示すハードウェア構成は例示であり、ECU13の構成は上記に限定されるものではない。例えば、上記においては、カメラ11を制御するユニット(カメラコントローラ51)と、ディスプレイ12を制御するユニット(ディスプレイコントローラ61)と、撮像画像の解析を行うユニット(解析ユニット71)とが分割された構成を例示したが、これらのユニットを統合してもよいし、更に分割してもよい。
【0030】
図3は、実施形態に係るECU13の機能構成の一例を示す図である。ECU13は、取得部101、表示制御部102、及び処理部103を備える。これらの機能的構成要素101~103は、例えば、
図2に示すECU13を構成するハードウェア及びソフトウェアの協働により実現される。
【0031】
取得部101は、カメラ11が室内Rを撮像して得られた撮像画像を取得する。本実施形態に係る取得部101は、後述する表示制御部102からディスプレイ12が非表示状態になるタイミングを示す通知を受け取り、当該通知に基づきディスプレイ12が非表示状態になっているときの撮像画像を取得する。
【0032】
表示制御部102は、ディスプレイ12の表示を制御する。表示制御部102は、ディスプレイ12に表示される画像を切り替えたり、ディスプレイ12を画像が表示されていない非表示状態にしたりする。本実施形態に係る表示制御部102は、ディスプレイ12が非表示状態になるタイミングを示す通知を取得部101に出力する。
【0033】
処理部103は、取得部101により取得された撮像画像に基づき室内Rの状況に関する監視情報を生成する。本実施形態に係る処理部103は、実像処理部111、鏡像処理部112、異同判定部113、及び計測部114を備える。
【0034】
実像処理部111は、撮像画像のうちディスプレイ12の反射領域Ar以外の領域に対応する画像(以下、実像画像と記載する)に対する物体認識処理を行う。
【0035】
鏡像処理部112は、撮像画像のうちディスプレイ12の反射領域Arに対応する画像(以下、鏡像画像と記載する)に対する物体認識処理を行う。
【0036】
図4は、実施形態に係る撮像画像201、実像画像211、及び鏡像画像212の一例を示す図である。
図4に例示する撮像画像201には、室内Rに存在する搭乗者Pの実像Prと、反射領域Arに映る搭乗者Pの鏡像Pmとが含まれている。
【0037】
実像画像211は、撮像画像201のうち反射領域Ar以外の領域に対応する画像である。実像画像211には、搭乗者Pの実像Prが含まれている。鏡像画像212は、撮像画像201のうち反射領域Arに対応する画像である。鏡像画像212には、搭乗者Pの鏡像Pmが含まれている。反射領域Arは、カメラ11とディスプレイとの3次元的位置関係に基づき幾何学的に求められる。なお、本例の鏡像画像212は、撮像画像201における反射領域Arの位置に対して水平方向に反転しているが、鏡像画像212の形態はこれに限定されるものではない。
【0038】
実像処理部111は、上記のような実像画像211に対して、物体認識処理(搭乗者Pの存否を認識する処理等)を行う。鏡像処理部112は、上記のような鏡像画像212に対して物体認識処理を行う。本実施形態に係る実像処理部111及び鏡像処理部112は、人の頭部の存否、位置、形状的特徴等を検出する。
【0039】
図3に戻り、異同判定部113は、実像処理部111により認識された搭乗者(実像Pr)と、鏡像処理部112により認識された搭乗者(鏡像Pm)とが、同一の搭乗者Pであるか否かを判定する異同判定処理を行う。異同判定部113は、カメラ11とディスプレイ12(反射領域Ar)との位置関係を示す位置関係情報、実像処理部111による処理結果、鏡像処理部112による処理結果等に基づき異同判定処理を行う。
【0040】
図5は、実施形態に係るカメラ11と仮想カメラ11iとの関係の一例を示す図である。
図5において、カメラ11と、ディスプレイ12と、搭乗者Pと、仮想カメラ11iとの関係が例示されている。カメラ11は、搭乗者Pの姿がディスプレイ12(反射領域Ar)に反射された鏡像Pmを含む鏡像画像212(
図4参照)を実際に取得する実在のカメラである。仮想カメラ11iは、ディスプレイ12(反射領域Ar)が存在しないと仮定した場合に鏡像画像212を取得可能な仮想のカメラである。仮想カメラ11iのパラメータ(設置位置、姿勢等)の値は、ディスプレイ12の位置を基準としてカメラ11のパラメータに対して対称の値となる。このような仮想カメラ11iを想定することにより、室内Rを複数のカメラ(本例では実在のカメラ11及び仮想カメラ11i)で撮像している状況を疑似的に形成できる。
【0041】
異同判定部113は、カメラ11及び仮想カメラii1の幾何学的制約(エビポーラ距離、サンプソン距離等)、実像処理部111及び鏡像処理部112による物体認識処理結果(頭部の位置、形状的特徴等)に基づき、実像Prと鏡像Pmとに対する異同判定処理を行う。当該異同判定処理は、仮想カメラ11iを想定することを除き、一般的なカメラ環境における物体マッチングと同等の既存技術を利用して実現され得る。
【0042】
計測部114は、異同判定部113による判定結果に基づき、室内Rに存在する搭乗者Pの人数を計測する。処理部103は、搭乗者Pの人数を含む監視情報を生成する。
【0043】
図6は、実施形態に係る監視システム1における処理の一例を示すフローチャートである。室内Rを監視する監視処理の実行中において、取得部101は、ディスプレイ12が非表示状態か否かを判定する(S101)。当該判定は、例えば表示制御部102からの通知に基づき行われ得る。非表示状態でない場合(S101:No)、ステップS101に戻り、非表示状態である場合(S101:Yes)、取得部101は、カメラ11から撮像画像201を取得する(S102)。
【0044】
取得部101により取得された撮像画像201は、処理部102により実像画像211と鏡像画像212とに分離される(S103)。実像処理部111は、実像画像211に対する物体認識処理を実行し(S104)、鏡像処理部112は、鏡像画像212に対する物体認識処理を実行する(S105)。異同判定部113は、実像処理部111により認識された搭乗者(実像Pr)と鏡像処理部112により認識された搭乗者(鏡像Pm)とが同一の搭乗者Pであるか否かを判定する異同判定処理を実行する(S106)。計測部114は、異同判定処理の結果に基づき室内Rに存在する搭乗者Pの人数を計測する計測処理を実行する(S107)。処理部102は、計測処理の結果を含む監視情報を生成する(S108)。
【0045】
上記実施形態によれば、ディスプレイ12に映る鏡像を利用して室内Rに存在する物体(搭乗者P等)を検知できる。これにより、カメラ11の変位、追加等を行うことなく(コストの増加等を抑制しつつ)、監視領域の死角を減少させることができる。
【0046】
なお、上記実施形態は一実施例であり、上記に限定されるものではない。上記実施形態においては、反射部の一例として、ディスプレイ12(デジタルサイネージ)を利用する例を示したが、反射部はこれに限定されるものではない。例えば、鏡等の光を反射させることが可能な部材を適宜利用してもよい。
【0047】
また、別の用途として、搭乗者(乗客)の状態、例えば手摺の把持の有無をより正確に判定することもできる。この場合、実像画像211と鏡像画像212のそれぞれで搭乗者の手摺把持の有無を推定した後、異同判定処理の結果に基づいて実像と鏡像の判定結果を合成(例えば論理和)することで、状態推定に対する死角の影響を低減することができる。
【0048】
また、別の用途として、三次元での物体の位置・姿勢の推定がある。この場合、実像画像211と鏡像画像212のそれぞれで物体の特徴点(例えば搭乗者の骨格点)を検出した後、異同判定処理にて同一と判定された物体同士の対応する特徴点で三角測量を行うことで、単一のカメラでも物体の三次元的な位置と姿勢を推定できる。
【0049】
上記実施形態の機能を実現するためのプログラムは、ECU13に搭載されたプロセッサ(例えばカメラコントローラ51、ディスプレイコントローラ61、解析ユニット71等)にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0050】
また、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0051】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1…監視システム、11…カメラ(撮像部)、11i…仮想カメラ、12…ディスプレイ(反射部)、13…ECU(物体認識装置)、51…カメラコントローラ、61…ディスプレイコントローラ、71…解析ユニット、101…取得部、102…表示制御部、103…処理部、111…実像処理部、112…鏡像処理部、113…異同判定部、114…計測部、P…搭乗者、Pm…鏡像、Pr…実像、R…室内