(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099184
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】車両の側部線表示装置、及びこの表示装置を用いた車両センサー調整用基準具の位置決め用装置
(51)【国際特許分類】
G01C 15/02 20060101AFI20220627BHJP
G01C 15/10 20060101ALI20220627BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
G01C15/02
G01C15/10
G01C15/00 103B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213010
(22)【出願日】2020-12-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)集会名「オートアフターマーケット仙台2020」、開催場所「アズテックミュージアム (仙台産業展示館)宮城県仙台市太白区中田町杉の下18」、開催日「2020年10月2日、3日」 (2)集会名「WEBセミナー『アフターコロナ対策・整備ショップが今やるべき事』シリーズ(ウェブ開催)(www.banzai.co.jp/web_seminar.html)、主催者:株式会社バンザイ」、開催日「2020年10月1日」 (3)集会名「WEBセミナー『アフターコロナ対策・整備ショップが今やるべき事』シリーズ(ウェブ開催)(www.banzai.co.jp/web_seminar.html)、主催者:株式会社バンザイ」、開催日「2020年10月8日」 (4)ウェブサイトの掲載日「2020年12月2日」、ウェブサイトのアドレス「https://www.youtube.com/watch?v=zBzY7ORM8_w」 (5)発行者名「株式会社バンザイ」、刊行物名「NEW エイミング効率化機器 サイドラインガイド」、頒布年月日「2020年10月14日」 (6)発行日「2020年12月10日」、刊行物「日刊自動車新聞 2020年12月10日付、第5面」
(71)【出願人】
【識別番号】000135737
【氏名又は名称】株式会社バンザイ
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(74)【代理人】
【識別番号】100081787
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】海老原 康輔
(72)【発明者】
【氏名】稲原 圭太
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両センサーを調整するための基準具を位置決めするための車両中心線を設定するのに時間がかかっていた。
【解決手段】車両センサー調整用基準具の位置決め用装置は、車両の側部線表示具と、ホイールセンター割り出し治具7と、位置決め用具とよりなり、車両の側部線表示具は、本体部に設けられた、前側の線状レーザーポインター部及び後側の線状レーザーポインター部と、基準線又は基準点からなり、ホイールセンター割り出し治具は、ベース部材の裏面に設けられ、車両に車輪のホイールを締結するための複数の締結部材のそれぞれに着脱可能に嵌合する複数の筒状部材と、ベース部材表面に、ホイールと同軸状かつ表面から突出するように設けられた柱状部材と、柱状部材に吊り下げられる下げ振りとよりなり、位置決め用具は、床面に載置される、位置合わせ用線部と罫書き部とよりなるケガキ用本体と、ケガキ用本体に着脱自在に設けた距離センサーからなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側部線表示具と、ホイールセンター割り出し治具とよりなり、
前記車両の側部線表示具は、床面に設置される本体部と、
該本体部に設けられた、前方にレーザー光が線状に照射される前側の線状レーザーポインター部及び後方にレーザー光が線状に照射される後側の線状レーザーポインター部と、
前記本体部に設けられた基準線又は基準点とよりなり、
前記前側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向と、前記後側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向と、前記基準線又は基準点とが、水平面に直交する同一平面内となるように設けられ、
前記ホイールセンター割り出し治具は、表面および裏面を有するベース部材と、
前記ベース部材の前記裏面に設けられ、車両に車輪のホイールを締結するための複数の締結部材のそれぞれに着脱可能に嵌合する複数の筒状部材と、
前記ベース部材の前記表面に、前記ホイールと同軸状かつ前記表面から突出するように設けられた柱状部材と、
該柱状部材に吊り下げられる下げ振りとよりなることを特徴とする車両の側部線表示装置。
【請求項2】
車両の側部線表示具と、ホイールセンター割り出し治具と、位置決め用具とよりなり、
前記車両の側部線表示具は、床面に設置される本体部と、
該本体部に設けられた、前方にレーザー光が線状に照射される前側の線状レーザーポインター部及び後方にレーザー光が線状に照射される後側の線状レーザーポインター部と、
前記本体部に設けられた基準線又は基準点とよりなり、
前記前側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向と、前記後側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向と、前記基準線又は基準点とが、水平面に直交する同一平面内となるように設けられ、
前記ホイールセンター割り出し治具は、表面および裏面を有するベース部材と、
前記ベース部材の前記裏面に設けられ、車両に車輪のホイールを締結するための複数の締結部材のそれぞれに着脱可能に嵌合する複数の筒状部材と、
前記ベース部材の前記表面に、前記ホイールと同軸状かつ前記表面から突出するように設けられた柱状部材と、
該柱状部材に吊り下げられる下げ振りとよりなり、
前記位置決め用具は、床面に載置される、位置合わせ用線部と罫書き部とよりなるケガキ用本体と、該ケガキ用本体に着脱自在に設けた距離センサーとよりなることを特徴とする車両センサー調整用基準具の位置決め用装置。
【請求項3】
車両の側部線表示具と、位置決め用具とよりなり、
前記車両の側部線表示具は、床面に設置される本体部と、
該本体部に設けられた、前方にレーザー光が線状に照射される前側の線状レーザーポインター部及び後方にレーザー光が線状に照射される後側の線状レーザーポインター部と、
前記本体部に設けられた基準線又は基準点とよりなり、
前記前側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向と、前記後側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向と、前記基準線又は基準点とが、水平面に直交する同一平面内となるように設けられ、
前記位置決め用具は、床面に載置される、位置合わせ用線部と罫書き部とよりなるケガキ用本体と、該ケガキ用本体に着脱自在に設けた距離センサーとよりなることを特徴とする車両センサー調整用基準具の位置決め用装置。
【請求項4】
前記位置決め用具のケガキ用本体は、一辺が前記位置合わせ用線部を構成し、角部が前記罫書き部を構成する、直角状の切り欠き部を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両センサー調整用基準具の位置決め用装置。
【請求項5】
前記位置決め用具の前記載置側板部に、直角に起立して連設された、起立側板部を更に有し、
前記切り欠き部を構成する平行側辺と、直交側辺は、前記載置側板部と前記起立側板部の折れ曲がり部に対して、それぞれ平行、直交して形成されることを特徴とする請求項4に記載の車両センサー調整用基準具の位置決め用装置。
【請求項6】
前記起立側板部に、前記折れ曲がり部にそれぞれ平行、直交する平行側辺、直交側辺を有する直角状の切り欠き部を更に設けたことを特徴とする請求項5に記載の車両センサー調整用基準具の位置決め用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の側部の前後方向に延びる線(サイドライン)を表示する表示装置、及びこの表示装置を用いた、車両に設けられた各種センサーの取り付け位置を調整するための基準具(ターゲット板等)を位置決めするために用いる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の車両は安全性を向上させるために、自動ブレーキシステムや自動運転システムの導入が進み、これら自動システムを制御するために、車両にはカメラや距離センサー等の各種センサーが設けられている。
【0003】
そして、車両整備などにおいては、前記各種センサーの取り付け位置の調整や校正などのエイミング作業を行う必要がある。
【0004】
このエイミング作業では、前記各種センサーが正しくつけられているか否かを測定するためのターゲット板などの調整用基準具を、車両の前方等の所定の位置に正しく設置(正対)するために、前記調整用基準具の設置位置を設定する必要がある。
【0005】
この調整用基準具の設置位置を設定する方法は、各種の方法があるが、その一つに、車輪のホイールの中心を基準とした方法がある。
【0006】
この方法は、
図13に示すように、例えば、糸1aと逆円錐形状の重り1bとからなる下げ振り1を下げて、その糸1aが、車両4の車輪2のホイール3の中心(軸)Oを通るように調整し、該糸1aの上端を、車両4のフェンダー4a等にテープ5で貼り付けて固定し、そして、前記重り1bの下端が位置する床面6部分を、ホイール中心点Xと設定する。
【0007】
なお、4bは、車両4に、車輪2のホイール3を締結するためのホイールナット(締結部材)を示す。
【0008】
そして、
図14に示すように、前記の方法により、前記車両4の前後左右の車輪L1、L2、R1、R2において、それぞれ床面6上のホイール中心点L1X、L2X、R1X、R2Xを設定し、例えば、水糸や罫書きを利用して、左側の前後の車輪のホイール中心線L1X、L2Xを通る車両左側線LLを設定すると共に、右側の前後の車輪のホイール中心点R1X、R2Xを通る車両右側線RLを設定する。
【0009】
そして、前記車両左側線LL上の、前記左前側車輪L1のホイール中心点L1Xから、予め設定された距離だけ離れた点LSをメジャー等により測定して求め、また、前記車両右側線RL上の前記右前側車輪R1のホイール中心点R1Xから、前記予め設定された距離だけ離れた点RSをメジャーにより測定して求める。
【0010】
そして、前記点LSと点RSとを結ぶ基準線STを水糸や罫書きを利用して設定し、この基準線STが、前記車両4の正面に平行に正対した正対用基準線となる。
【0011】
そして、更に、前記点LS、RS間の中点Cをメジャー等により測定して求め、該中点Cが、調整用基準具を設置するための車両中心点となり、前記基準線ST、中心点Cを基準に、前記調整用基準具が設置されるようになる。
【0012】
しかしながら、前記ホイール中心点を設定する方法は、作業者が下げ振り1を手で持って、目視で位置調整をする必要があり、時間がかかると共に、熟練を要していた。
【0013】
また、車両によってホイールオフセットが異なり、また、下げ振りの大きさにより、フェンダー4aと車輪2の位置関係によっては、下げ振り1が車輪2に接触してしまい、下げ振り1が正確なポイントを示せない場合もあった。
【0014】
そのため、このホイール中心点を設定するために、特許文献1のように、ホイールセンター割り出し用治具を用いたものがある。
【0015】
図15~
図18は、前記ホイールセンター割り出し用治具7を示す。該治具7は、車両4に車輪2のホイール3を締結するためのホイールナット(締結部材)4bに装着されるものであって、表面8aおよび裏面8bを有する板状のベース部材8と、該ベース部材8の前記裏面8bに設けられ、前記複数のホイールナットのそれぞれに着脱可能に嵌合する複数の筒状部材9と、前記表面8aに、前記ホイール3と同軸状かつ前記表面から突出するように設けられた円柱状部材(ピン状部材)10と、前記円柱状部材10の先端に吊り下げられる下げ振り1とよりなる。
【0016】
そして、
図18に示すように、前記複数の筒状部材9をホイールナットに嵌合することにより、前記治具7が、ホイール3に装着され、この装着状態で円柱状部材10はホイール3と同軸状であるため、該円柱状部材10から吊り下げられた下げ振り1の重り1bの下端に位置する床面6部分がホイール中心点Xとなり、容易にホイール中心点Xを設定することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、前記ホイール中心点の設定は容易にできるが、その点に基づいた車両の側部線(サイドライン)LL、RLの水糸や罫書きの設定や、更に、前記正対用基準線STの設定に、手間がかかるという問題点があった。
【0019】
本発明は、前記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の車両の側部線表示装置は、車両の側部線表示具と、ホイールセンター割り出し治具とよりなり、前記車両の側部線表示具は、床面に設置される本体部と、該本体部に設けられた、前方にレーザー光が線状に照射される前側の線状レーザーポインター部及び後方にレーザー光が線状に照射される後側の線状レーザーポインター部と、前記本体部に設けられた基準線又は基準点とよりなり、前記前側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向と、前記後側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向と、前記基準線又は基準点とが、水平面に直交する同一平面内となるように設けられ、前記ホイールセンター割り出し治具は、表面および裏面を有するベース部材と、前記ベース部材の前記裏面に設けられ、車両に車輪のホイールを締結するための複数の締結部材のそれぞれに着脱可能に嵌合する複数の筒状部材と、前記ベース部材の前記表面に、前記ホイールと同軸状かつ前記表面から突出するように設けられた柱状部材と、該柱状部材に吊り下げられる下げ振りとよりなることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の車両センサー調整用基準具の位置決め用装置は、車両の側部線表示具と、ホイールセンター割り出し治具と、位置決め用具とよりなり、前記車両の側部線表示具は、床面に設置される本体部と、該本体部に設けられた、前方にレーザー光が線状に照射される前側の線状レーザーポインター部及び後方にレーザー光が線状に照射される後側の線状レーザーポインター部と、前記本体部に設けられた基準線又は基準点とよりなり、前記前側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向と、前記後側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向と、前記基準線又は基準点とが、水平面に直交する同一平面内となるように設けられ、前記ホイールセンター割り出し治具は、表面および裏面を有するベース部材と、前記ベース部材の前記裏面に設けられ、車両に車輪のホイールを締結するための複数の締結部材のそれぞれに着脱可能に嵌合する複数の筒状部材と、前記ベース部材の前記表面に、前記ホイールと同軸状かつ前記表面から突出するように設けられた柱状部材と、該柱状部材に吊り下げられる下げ振りとよりなり、前記位置決め用具は、床面に載置される、位置合わせ用線部と罫書き部とよりなるケガキ用本体と、該ケガキ用本体に着脱自在に設けた距離センサーとよりなることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の車両センサー調整用基準具の位置決め用装置は、車両の側部線表示具と、位置決め用具とよりなり、前記車両の側部線表示具は、床面に設置される本体部と、該本体部に設けられた、前方にレーザー光が線状に照射される前側の線状レーザーポインター部及び後方にレーザー光が線状に照射される後側の線状レーザーポインター部と、前記本体部に設けられた基準線又は基準点とよりなり、前記前側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向と、前記後側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向と、前記基準線又は基準点とが、水平面に直交する同一平面内となるように設けられ、前記位置決め用具は、床面に載置される、位置合わせ用線部と罫書き部とよりなるケガキ用本体と、該ケガキ用本体に着脱自在に設けた距離センサーとよりなることを特徴とする。
【0023】
また、前記位置決め用具のケガキ用本体は、一辺が前記位置合わせ用線部を構成し、角部が前記罫書き部を構成する、直角状の切り欠き部を有することを特徴とする。
【0024】
また、前記位置決め用具の前記載置側板部に、直角に起立して連設された、起立側板部を更に有し、前記切り欠き部を構成する平行側辺と、直交側辺は、前記載置側板部と前記起立側板部の折れ曲がり部に対して、それぞれ平行、直交して形成されることを特徴とする。
【0025】
また、前記起立側板部に、前記折れ曲がり部にそれぞれ平行、直交する平行側辺、直交側辺を有する直角状の切り欠き部を更に設けたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の車両センサー調整用基準具の位置決め用装置の説明用側面図である。
【
図2】本発明の車両センサー調整用基準具の位置決め用装置の説明用正面図である。
【
図3】本発明の車両の側部線表示具の斜視図である。
【
図4】本発明の車両センサー調整用基準具の位置決め用装置の説明用平面図である。
【
図5】本発明の車両センサー調整用基準具の位置決め用装置の説明用斜視図である。
【
図6】(a)本発明の位置決め用具の平面図である。(b)本発明の位置決め用具の側面図である。(c)本発明の位置決め用具の背面図である。
【
図7】本発明の位置決め用具の距離センサーを取り外した状態の斜視図である。
【
図8】本発明の車両センサー調整用基準具の位置決め用装置の使用方法を説明する平面図である。
【
図9】本発明の車両センサー調整用基準具の位置決め用装置の使用方法を説明する平面図である。
【
図10】本発明の車両センサー調整用基準具の位置決め用装置の使用方法を説明する平面図である。
【
図11】本発明の車両センサー調整用基準具の位置決め用装置の使用方法を説明する平面図である。
【
図12】本発明の車両センサー調整用基準具の位置決め用装置の使用方法を説明する平面図である。
【
図13】従来の車両のホイール中心点を求める方法の説明用側面図である。
【
図14】従来の車両の中心点を求める方法の説明用平面図である。
【
図15】従来のホイールセンター割り出し用治具を分解した説明用斜視図である。
【
図16】従来のホイールセンター割り出し用治具の裏面側から見た説明用斜視図である。
【
図17】従来のホイールセンター割り出し用治具の表面側から見た説明用斜視図である。
【
図18】従来のホイールセンター割り出し用治具を車輪に取付けた状態の説明用斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面によって本発明の実施例を説明する。
【0028】
なお、従来例と同じ部分には同じ符号を付け、説明を省略する。
【実施例0029】
(1.全体構造の説明)
【0030】
図1及び
図2は、本発明の車両センサー調整用基準具の位置決め用装置11を示す。該車両センサー調整用基準具の位置決め用装置11は、車両の側部線表示装置12と、車両センサー調整用基準具の位置決め用具13とよりなり、前記車両の側部線表示装置12は、車両の側部線表示具14と、前記従来のホイールセンター割り出し治具7とよりなる。
【0031】
なお、前記車両センサー調整用基準具の位置決め用装置11は、前記治具7を省略して、車両センサー調整用基準具の位置決め用具13と、前記車両の祖側部線表示具14とにより構成するようにしてもよい。
【0032】
(1.1.車両の側部線表示具14の説明)
【0033】
前記車両の側部線表示具14は、
図3に示すように、矩形箱状の本体部15と、該本体部15の上面に表示された直線状の基準線16(又は基準点16a)と、前記本体部15の前面に設けられた、前方にレーザー光が上下方向の線状に照射される前側の線状レーザーポインター部17と、前記本体部15の後面に設けられた、後方にレーザー光が上下方向の線状に照射される後側の線状レーザーポインター部18とよりなる。
【0034】
また、前記前側の線状レーザーポインター部17のレーザー光の線状の照射方向と、前記後側の線状レーザーポインター部18のレーザー光の線状の照射方向と、前記基準線16(又は基準点16a)とは、水平面(床面)に直交する同一平面内となるように設けられる。
【0035】
即ち、
図4に示すように、前記前後の線状レーザーポインター部17、18から照射されたレーザー光が、それぞれ床面6などの被照射物に照射された時に、該床面6に表示された線17a、18aと前記基準線16とが、平面視において直線状に表示されるように、前記前後の線状レーザーポインター部17、18と前記基準線16(又は基準点16a)が設けられる。
【0036】
(1.2.ホイールセンター割り出し用治具7の説明)
【0037】
次に、前記従来のホイールセンター割り出し用治具7の詳細について説明する。
【0038】
該治具7は、前述したように、
図15~
図18に示すように、板状のベース部材8と、該ベース部材8の前記裏面8bに設けられ、前記複数のホイールナット(締結部材)のそれぞれに着脱可能に嵌合する複数の筒状部材9と、前記表面8aに、前記ホイール3と同軸状かつ前記表面から突出するように設けられた円柱状部材10と、前記円柱状部材10に吊り下げられる下げ振り1とよりなる。
【0039】
前記ベース部材8には、例えば、前記筒状部材9を固定するためのボルト31が螺合される取付ネジ孔19が複数設けられ、該取付ネジ孔19は、前記筒状部材9が、車両の各ホイールナットに装着できるように、前記円柱状部材10を中心として同心円状に配置されている。
【0040】
なお、車両のホイールナットの位置は、車両に応じて、所望の半径に等間隔に、例えば、5個、又は、4個、設けられるため、前記ベース部材8には、複数の車両に対応できるように、複数組の複数の取付ネジ孔19を設けてもよい。
【0041】
また、前記筒状部材9は、前記ホイールナットが篏合して挿入される、円筒状の凹部20を有し、該凹部20が、車両に応じたホイールナットを篏合できるように、内径が異なる複数の筒状部材9が用意され、車両に応じて付け替えられる。
【0042】
また、前記筒状部材9の凹部20の底面に、マグネット32を設け、車両の金属製ホイールナットに、容易に着脱できるように形成してもよい。
【0043】
また、前記円柱状部材10は、
図5に示すように、その先端部が、前記基準線表示具14の設定に支障がない範囲にまで、外方に延び、また、該先端部には、例えば、
図15に示すように、前記下げ振り1の上端を引っ掛けられるように、1または、軸方向に所望距離離間した複数の周方向に形成された溝21が形成される。
【0044】
また、前記下げ振り1は、糸1aと逆円錐形状の重り1bとよりなり、例えば、前記糸1aの上端には、前記溝21に係合可能な輪部を有し、また、前記糸1aには、長さ調整のためのステーなどの長さ調整具が設けられている。
【0045】
(1.3.車両センサー調整用基準具の位置決め用具13の説明)
【0046】
前記車両センサー調整用基準具の位置決め用具13は、例えば、
図6(a)~図(c)、
図7に示すように、前記照射されたレーザー光に位置合わせするための位置合わせ用線部と、罫書き(マーキング)ができる罫書き部とを有するケガキ用本体22と、距離センサー23とよりなる。
【0047】
前記ケガキ用本体22は、例えば、矩形板状の載置側板部24と、該載置側板部24の一辺から直角に起立して連設された、矩形状の起立側板部25と、前記載置側板部24の一方の角に設けた、ケガキ用直角状の切り欠き部26と、前記起立側板部25の一方の角に設けた、ケガキ用直角状の切り欠き部27とよりなり、前記各直角状の切り欠き部26、27を構成する平行側辺(一方の辺)26a、27aと直交側辺(他方の辺)26b、27bの各2辺は、前記載置側板部24と前記起立側板部25とが連設された折曲がり部(折れ曲がり線)28に、それぞれ平行、直交するように形成されている。
【0048】
そして、前記切り欠き部26の直交側辺26bが、前記位置合わせ用線部となり、前記切り欠き部26の角部26cが罫書き部となる。
【0049】
なお、前記ケガキ用本体22の起立側板部25から、切り欠き部27を省略してもよく、更には、前記起立側板部25自体も省略してもよい。
【0050】
また、前記ケガキ用本体22の位置合わせ用線部を、前記本体22上に表示した単なる直線状の線とし、罫書き部を、その線上に設けた、少なくとも点を罫書き可能な孔などに形成してもよい。
【0051】
また、前記距離センサー23は、前記罫書き部から、前記ホイール中心点との距離を測定するものであり、該距離センサー23は、例えば、前記載置側板部24上に載置すると共に、該距離センサー23の尾部23aを、前記起立側板部25の面に当接させて位置させることにより、前後方向に位置決めができるようになり、そして、前記尾部23aが当接する前記起立側板部と前記罫書き部との距離は既知であるから、前記罫書き部から、前記ホイール中心点との距離を測定できるようになる。
【0052】
(2.車両センサー調整用基準具の位置決め装置の設定方法の説明)
【0053】
次に、本発明の車両センサー調整用基準具の位置決め用装置の設置の方法とその効果について説明する。
【0054】
なお、下記は、調整用基準具を、車両の前方に設置する場合の方法を説明するが、調製用基準具を、車両の後方に設置する場合も同様である。
【0055】
各種センサーが調整される車両を整備ストールの所定の位置に入庫する。
【0056】
(2.1.車両の側部線の表示方法の説明)
【0057】
作業者は、例えば、前記車両の左側線LLと、右側線RLとを床面6にそれぞれ表示させるために、
図1及び
図2に示すように、例えば、車両4の前後左右の4つの車輪のホイール3に、前記治具7のベース部材8をそれぞれ装着し、前記円柱状部材10の所望の溝21に前記下げ振り1を吊り下げる。
【0058】
次に、前記車両の側部線表示具14の前後の線状レーザーポインター部17、18からそれぞれ線状にレーザー光を照射させる。
【0059】
そして、
図4、
図5に示すように、例えば、左前側ホイールに装着した治具7に下げられた下げ振り1の重り1bの下端が、前記側部線表示具14の前記基準線16上(又は中心点16a上)に位置するように、前記側部線表示具14を床面6に載置すると共に、前記床面6に照射された前記後側の線状レーザーポインター部18からのレーザー光の線が、左後側ホイールに装着された治具7の下げ振り1の糸1aに一致するように、前記側部線表示具14を水平面に対して回転(傾動)させる。
【0060】
そして、前記床面6に照射された、前記前後の線状レーザーポインター部17、18からのレーザー光の線17a、18aからなる直線を左側線LLとして表示させることができるようになる。
【0061】
また、右前側ホイールに装着した治具7の下げ振り1の下端に側部線表示具14を設置して、前記と同様にして、右側線RLを表示させるようにする。
【0062】
なお、調整用基準具を車両の後方に設置する場合など、基準線ST、中心点Cを、車両の後方に設定するような場合には、前記側部線表示具14を後側ホイール側に設置し、前記と同様に、是木側部側表示具14を設定し、車両の後方側に、それぞれ左側線LL、右側線RLを表示させるようにする。
【0063】
なお、2台の側部線表示具14を用いて、左側線LLと右側線RLを求めるようにしてもよい。
【0064】
本発明によれば、容易に、調整用基準具を設置するための左側線LL、右側線RLを床面に表示できるようになる。
【0065】
(2.2.車両センサー調整用基準具の位置決め具13の設置方法の説明)
【0066】
次に、
図8に示すように、車両の前方の前記左側線LL上の床面6に、例えば、距離センサー23を取り外したケガキ用本体22の載置側板部24を載置し、該ケガキ用本体22の載置側板部24の切り欠き部26の直交側辺26b(位置合わせ用線部)が、前記基準線LL上に一致させるように、前記ケガキ用本体22を水平面に対して回転(傾動)させるようにする。
【0067】
そして、前記直交側辺26bが、前記基準線LLに一致させた状態で、
図9に示すように、前記ケガキ用本体22に距離センサー23を取り付け、該距離センサー23を用いて、前記載置板部24の切り欠き部26の角部26cと前記L1Xとの距離が、予め設定された所望の距離となるように、前記ケガキ用本体22を移動させて設置するようにする。
【0068】
なお、前記折れ曲がり部28と角部26cとの距離aを、前記側部表示具14の本体部15の前面15aと前記ホイール中心点Xとの距離bと同じにすることにより、前記距離センサー23の尾部23aを、前記折れ曲がり部28に当接させて、前記距離センサー23の尾部23aと前記本体部15の前面15aとの距離Aを測定することにより、該距離Aが、前記角部26cからホイール中心点Xまでの距離と一致するようになる。
【0069】
次に、前記ケガキ用本体22から、必要があれば、前記距離センサー23を前記本体から取り除き、前記切り欠き部26部分を露出させ、該切り欠き部6の直角を利用して、
図10に示すように、床面(必要に応じて、テープ等を貼りその上)にL字状の線29を罫書くようにし、その角部(罫書き部)が点LSと設定できるようになる。
【0070】
同様に、点RSを求める場合には、右側線RL上に、ケガキ用本体22を設置し、切り欠き部を利用して、L字状の線30を罫書くことにより、その角部を点RSと設定できるようになる。
【0071】
なお、前記右側線RL上の床面6に、ケガキ用本体22を載置する場合には、
図11に示すように、前記ケガキ用本体22の起立側板部25を床面6に載置することにより、点LSを求めるのと同様に、点RSを求めることができるようになる。
【0072】
そして、
図12に示すように、前記点LSと、点RSを、水糸または罫書き等により結び基準線STを設定し、この基準線STが、前記車両3の正面に平行に正対した正対用基準線となり、そして、前記点LS、RS間の中点Cを距離センサー等により求め、前記基準線上STの車両中心点として設定され、この基準線ST、中心点Cを基準に、前記調整用基準具を設置するようにする。
【0073】
なお、前記の方法により、前記点LS、点RSを求めた後において、前記中支点Cを求める方法は、上記方法以外の方法を用いてもよい。
【0074】
本発明によれば、容易に、車両中心点を求めるための点LS、RSを設定できるようになる。