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  • 特開-字消し 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099185
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】字消し
(51)【国際特許分類】
   B43L 19/00 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
B43L19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213012
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000106782
【氏名又は名称】株式会社シード
(74)【代理人】
【識別番号】100182084
【弁理士】
【氏名又は名称】中道 佳博
(74)【代理人】
【識別番号】100207136
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 有希
(74)【代理人】
【識別番号】100076820
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 健次
(72)【発明者】
【氏名】亀山 詩織
(72)【発明者】
【氏名】水口 裕太
(72)【発明者】
【氏名】藤田 悠介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 理子
(72)【発明者】
【氏名】堀 奈津美
(72)【発明者】
【氏名】別所 直哉
(57)【要約】
【課題】 消字性および折れ難さの両方に優れる字消しを提供すること。
【解決手段】 本発明の字消しは、塩化ビニル樹脂、可塑剤および充填材を含む。ここで、可塑剤は、9.2~11.0の溶解パラメータを有する化合物を含み、この溶解パラメータを有する化合物は、フタル酸エステル、安息香酸エステルおよびリン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ビニル樹脂、可塑剤および充填材を含む字消しであって、
該溶解パラメータを有する化合物が、フタル酸エステル、安息香酸エステルおよびリン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、字消し。
【請求項2】
前記塩化ビニル樹脂100質量部に対して、前記可塑剤の含有量が120質量部から200質量部であり、前記充填材の含有量が0.1質量部から225質量部である、請求項1に記載の字消し。
【請求項3】
前記塩化ビニル樹脂100質量部に対して、前記充填材の含有量が10質量部から225質量部である、請求項2に記載の字消し。
【請求項4】
前記充填材が、炭酸カルシウム、タルクおよびシリカからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1から3のいずれかに記載の字消し。
【請求項5】
JIS S 6050(2002)に準拠した硬さが55~80である、請求項1から4のいずれかに記載の字消し。
【請求項6】
長さ55mm×幅25mm×厚み11.5mmの大きさに切断された試験片の上面および下面を、長側面(長さ方向)に対して該上面を人差し指および中指で、該下面を親指で保持し、該試験片を押し潰しによる該試験片の屈曲とその解放とを1回の動作として繰り返す際の該試験片の平均折れ回数が100以上である、請求項1から5のいずれかに記載の字消し。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は字消しに関し、より詳細には消字性を有する字消しに関する。
【背景技術】
【0002】
字消し(消しゴム)は、基材樹脂の種類によって大別され、例えば、塩化ビニル樹脂からなる塩ビ字消し、スチレン系熱可塑性エラストマーまたはオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる非塩ビ字消し、および天然ゴム字消しが挙げられる。
【0003】
字消しは、紙に押し付けた際の接触面にかかる荷重が増加すると、紙と字消しとの接触面積が大きくなるので消去性が向上する。ここで、字消しの硬さが低ければこの接触面積は増えるため、消去性が向上すると考えられる。しかし、字消しを紙に押し付けて擦った際の字消しの変形が大きいと消去性はむしろ低下する。これは字消しの低い硬さが紙に押し付けた際の変形に作用し、字消しと紙との接触面にかかる荷重が余り増加せず、紙上を擦った際に紙に追従して容易に変形して摩耗しにくくなるためである。
【0004】
字消しの消字性を高めるために、例えば特許文献1は、塩化ビニル樹脂に特定の可塑剤を組み合わせ、さらに充填材を添加して適度な硬さを有する字消しを開示している。当該字消しにおいて充填材は単なる崩壊材として機能するのみである。このため、消字性を高める一方で、字消し自体が紙上の擦過の繰り返しにより容易に折れ易くなるという点が指摘されている。
【0005】
一方、特許文献2は、崩壊材を用いることなく、塩化ビニル樹脂に安息香酸エステル系可塑剤を配合して字消しを構成することを開示している。しかし、このような可塑剤と塩化ビニル樹脂との組み合わせのみで成型した字消しは依然として柔らかく、消字性を高めるためのさらなる改良が所望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-072289号公報
【特許文献2】特開2011-110894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、消字性および折れ難さの両方に優れる字消しを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、塩化ビニル樹脂、可塑剤および充填材を含む字消しであって、
該可塑剤が、9.2~11.0の溶解パラメータを有する化合物を含み、
該溶解パラメータを有する化合物が、フタル酸エステル、安息香酸エステルおよびリン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、字消しである。
【0009】
1つの実施形態では、上記塩化ビニル樹脂100質量部に対して、上記可塑剤の含有量は120質量部から200質量部であり、上記充填材の含有量は0.1質量部から225質量部である。
【0010】
さらなる実施形態では、上記塩化ビニル樹脂100質量部に対して、上記充填材の含有量は10質量部から225質量部である。
【0011】
1つの実施形態では、上記充填材は、炭酸カルシウム、タルクおよびシリカからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0012】
1つの実施形態では、本発明の字消しにおけるJIS S 6050(2002)に準拠した硬さは55~80である。
【0013】
1つの実施形態では、本発明の字消しにおける長さ55mm×幅25mm×厚み11.5mmの大きさに切断された試験片の上面および下面を、長側面(長さ方向)に対して上面を人差し指および中指で、下面を親指で保持し、該試験片を押し潰しによる該試験片の屈曲とその解放とを1回の動作として繰り返す際の該試験片の平均折れ回数は100回以上である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、優れた消字性を保持するとともに折れ難く、かつ粘りのある使用感を提供することができる。これにより、不意に折れないように注意しながら使用するという精神的負担から解放され、より少ない操作で文字や線図等の消字を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の字消しから作製した試験片の平均折れ回数を測定する際の試験片の屈曲と解放とを繰り返す動作を説明するための写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳述する。
【0017】
本発明の字消しは、基材樹脂として塩化ビニル樹脂を含有する。
【0018】
塩化ビニル樹脂は、例えば650~4000、好ましくは800~2500、より好ましくは1100~1500の平均重合度を有する塩化ビニル樹脂である。本発明において、塩化ビニル樹脂の平均重合度が650未満であると、得られる字消しの硬さが低下するとともに、十分な消字性が得られないことがある。塩化ビニル樹脂の平均重合度が4000を上回ると、得られる字消しはクズが出にくく、消字性が劣ることがある。
【0019】
塩化ビニル樹脂は、塩化ビニルのホモポリマーであるか、または構成単位として塩化ビニルを主として含みかつ酢酸ビニル、エチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等のコモノマーとして含むコポリマーであってもよい。本発明では、消字性を向上させることができるという理由から、塩化ビニル樹脂は塩化ビニルのホモポリマーで構成されていることが好ましい。
【0020】
本発明では、基材樹脂として、後述する字消しの消字性や折れ難さを損なわない限りにおいて、上記塩化ビニル樹脂以外に他の樹脂またはゴムを含有していてもよい。他の樹脂としては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ナイロン系熱可塑性エラストマー、および塩素化ポリエチレンコポリマー架橋体アロイ、ならびにそれらの組み合わせなどの熱可塑性エラストマーが挙げられる。他のゴムとしては、例えば、天然ゴムおよび合成ゴム、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。合成ゴムの具体的な例としては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、およびアクリロニトリルブタジエンゴム、ならびにそれらの組み合わせなどのジエン系ゴム;やブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロヒドリンゴム、およびフッ素ゴム、ならびにそれらの組み合わせなどの非ジエン系ゴムが挙げられる。
【0021】
本発明の字消しはまた可塑剤を含有する。
【0022】
可塑剤は、得られる字消しに対して適切な柔軟性と摩擦抵抗を付与するために添加されている。本発明の字消しを構成する可塑剤は、9.2~11.0、好ましくは9.4~10.5、より好ましくは9.6~10.0の溶解パラメータ(sp値)を有する化合物を含む。可塑剤としてこのような範囲の溶解パラメータを有する化合物を含むことにより、当該可塑剤は塩化ビニル樹脂との相溶性を高め、消字性が向上しかつ折れ難い字消しを提供することができる。
【0023】
可塑剤に含まれ得る上記範囲の溶解パラメータを有する化合物の例としては、安息香酸エステル、リン酸エステル、およびフタル酸エステル、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。安息香酸エステルの具体的な例としては、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエートならびにそれらの組み合わせが挙げられる。リン酸エステルの具体的な例としては、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェートならびにそれらの組み合わせが挙げられる。フタル酸エステルの具体的な例としては、フタル酸ベンジルブチルが挙げられる。本発明においては、自然環境により優しい材料であり、それにより製品訴求力を高めることができるという点から、安息香酸エステルを用いることが好ましい。
【0024】
本発明において、可塑剤には、上記溶解パラメータを有する化合物に加えて、その他の可塑剤を含んでいてもよい。その他の可塑剤は、上記溶解パラメータの範囲(9.2~11.0)を満足しないものであり、例えば、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)(sp値9.0)、フタル酸ジオクチル(DOP)(sp値8.9)、アジピン酸ジオクチル(DOA)(sp値8.5)ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0025】
本発明において、可塑剤を構成し得る上記範囲の溶解パラメータを有する化合物の含有量は、可塑剤の全体質量を基準として好ましくは40質量%~100質量%、より好ましくは70質量%~100質量%である。可塑剤に上記範囲の溶解パラメータを有する化合物がこのような割合で含まれていることにより、当該可塑剤は塩化ビニル樹脂との相溶性を高め、消字性が向上しかつ折れ難い字消しを提供することができる。
【0026】
本発明において可塑剤の含有量は必ずしも限定されないが、上記塩化ビニル樹脂100質量部に対して、好ましくは120質量部~200質量部、より好ましくは140質量部~180質量部である。可塑剤の含有量が120質量部を下回ると、得られる字消しは硬く、粘着性が低下することで消字性が低下することがある。可塑剤の含有量が200質量部を上回ると、字消しの硬さが低下し、柔らか過ぎて使いづらくなることがある。
【0027】
本発明の字消しはまた充填材を含有する。
【0028】
充填材は、上記塩化ビニル樹脂と可塑剤との組み合わせに対して所定の硬さを提供し、得られる字消しを紙に押し付けて擦った際に字消しと紙との接触面に適度な荷重がかかる役割を果たす。
【0029】
このような充填材の例としては、炭酸カルシウム(例えば、重質炭酸カルシウムおよび軽質炭酸カルシウム)、タルク、シリカ、珪藻土、酸化マグネシウム、セリサイト、石英粉末、モンモリロナイト、および貝殻粉末(例えば、ホタテ、カキ、シジミなど)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。字消しへの汎用性に優れ、上記塩化ビニル樹脂と可塑剤との組み合わせに対して、さらに良好な消字性を提供することができるという理由から、炭酸カルシウム、タルクおよびシリカ、ならびにそれらの組み合わせが好ましい。
【0030】
本発明において充填材の含有量は必ずしも限定されないが、上記塩化ビニル樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部~225質量部、より好ましくは10質量部~225質量部、さらに好ましくは50質量部~180質量部である。充填材の含有量が0.1質量部を下回ると、得られる字消しは柔らかく、紙に押し付けて擦った際に大きく変形する一方で消字性が低下することがある。充填材の含有量が225質量部を上回ると、得られる字消しが硬くなり、紙上での擦過を続けることにより字消し表面の割れを生じたり折れ易くなることがある。
【0031】
本発明の字消しは、上記塩化ビニル、可塑剤および充填材の組み合わせから達成される消字性および折れ難さを阻害しない範囲において他の成分を含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば安定剤および着色剤ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0032】
安定剤は、樹脂成形分野において一般的に使用されるものであり、塩化ビニル樹脂の熱安定剤であることが好ましい。塩化ビニル樹脂の熱安定剤の例としては、バリウム、亜鉛、カルシウムなどの金属とステアリン酸、ラウリン酸、リシノール酸、ナフテン酸、2-エチルヘキソイン酸などの有機酸との金属石鹸が挙げられる。安定剤の他の例としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、および光安定剤が挙げられる。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、および硫黄系酸化防止剤が挙げられる。紫外線吸収剤の例としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、およびオキザニリド系紫外線吸収剤が挙げられる。光安定剤の例としては、種々のヒンダードアミン系光安定剤、シュウ酸誘導体、サリチル酸誘導体、およびヒドラジン誘導体が挙げられる。
【0033】
着色剤は、塩化ビニル樹脂に対して汎用されるものであることが好ましい。着色剤の例としては、無機系顔料、有機系顔料、分散染料、および反応染料が挙げられる。
【0034】
上記他の成分の含有量は特に限定されず、当業者によって適宜選択され得る。
【0035】
本発明の字消しは、以下の様々な物性的特徴を有する。
【0036】
例えば、本発明の字消しでは、JIS S 6050(2002)(プラスチック字消し)に準拠した硬さが好ましくは55~80、より好ましくは60~75である。当該硬さがこのような範囲を満足することにより、得られる字消しは、消字を必要とする紙面との間に適度な摩擦力と粘着性を得ることができ、結果として消字性が高く、使用し易い字消しを得ることができる。
【0037】
あるいは、本発明の字消しでは、長さ50mm×幅25mm×厚み11.5mmの大きさに切断された試験片の上面および下面を、長側面(長さ方向)に対して上面を人差し指および中指で、下面を親指で保持し(図1の(a))、該試験片を押し潰しによる該試験片の屈曲(図1の(b))とその解放(図1の(a))とを1回の動作として繰り返す際の該試験片の平均折れ回数が好ましくは100回以上、より好ましくは200回以上である。このような試験片の平均折れ回数は、2個の試験片を作製し、上記屈曲と解放との動作を試験片が折れるまでの回数を測定し、得られた回数の平均値として算出される。当該平均折れ回数がこのような範囲を満足することにより、得られる字消しは、消字にあたり容易には折れ難く、実用性に耐え得る十分な強度を有する。
【0038】
本発明の字消しは、上記成分を溶融混練した後、加熱成形することにより製造することができる。当該成形の方法としては、例えばプレス成形、射出成形、押出成形が挙げられる。具体的な例としては、本発明の字消しは、上記成分をブレンダーにて混練してゾルを作製し、脱泡後に金型に入れてゲル化させ、その後所定の圧力でプレスすることにより製造され得る。成形温度は必ずしも限定されないが、例えば100℃~130℃、好ましくは110℃~120℃であり、加熱時間は例えば20分間~40分間である。冷却後、金型から取り出すことにより、本発明の字消しを得ることができる。
【実施例0039】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
後述する実施例および比較例で得られたサンプルについて、それぞれ以下の評価を行った。
【0041】
(硬さ)
JIS S 6050(2002)に準拠して、得られたサンプルの硬さを測定した。
【0042】
(HB鉛筆消字率)
JIS S 6050(2002)に準拠して、得られたサンプルのHB鉛筆消字率を測定した。
【0043】
(平均折れ回数)
サンプルを、長さ55mm×幅25mm×厚み11.5mmの大きさに切断して試験片を作製し、得られた試験片の上面および下面を、長側面(長さ方向)に対して上面を人差し指および中指で、下面を親指で保持し(図1の(a))、該試験片を押し潰しによる該試験片の屈曲(図1の(b))とその解放(図1の(a))とを1回の動作として繰り返し、当該試験片が折れるまでの回数を測定した。この測定を2個の試験片について行い、それらの平均値を平均折れ回数とした。
【0044】
(実施例1:サンプル(E1)の作製)
ペースト状塩化ビニル樹脂(新第一塩ビ株式会社製PQ140;平均重合度1210~1410)100質量部、可塑剤(株式会社ADEKA製PN6120;安息香酸エステル系可塑剤,sp値9.8)160質量部、安定剤(塩化ビニル樹脂用)1質量部、炭酸カルシウム(日東粉化工業株式会社製NS1000)およびシリカ(東ソー・シリカ株式会社製VN3)10質量部を、115℃に設定したニーダーで30分間混錬した後、押出機で成形し、サンプル(E1)を得た。このサンプル(E1)の平均厚みは11.5mmであった。サンプル(E1)の評価結果を表1に示す。
【0045】
(実施例2~3および比較例1~2:サンプル(E2)~(E3)および(C1)~(C2)の作製)
表1に示す種類および量のペースト状塩化ビニル樹脂、可塑剤、充填材および安定剤ならびに成形条件を使用したこと以外は実施例1と同様にして、対応するサンプル(E2)、(E3)、(C1)および(C2)を作製した。これらのサンプルについて、冷却後の熱収縮により厚み方向の平均厚みはいずれも11.5mmであった。サンプル(E2)、(E3)、(C1)および(C2)の評価結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示すように、実施例1~3および比較例1~2で作製されたサンプル(E1)~(E3)、(C1)および(C2)はいずれも、略同等の硬さを有し、消字率も良好であった。一方、実施例1~3で作製されたサンプル(E1)~(E3)は、比較例1~2のサンプル(C1)~(C2)よりも平均折れ回数が格段に高い値を示していた。このことから、実施例1~3で作製されたサンプル(E1)~(E3)は、比較例1~2のサンプル(C1)~(C2)と比較して消字率に優れるとともに折れ難い粘りのある字消しであったことがわかる。
【0048】
(実施例4~10:サンプル(E4)~(E10)の作製)
表1に示す種類および量のペースト状塩化ビニル樹脂、可塑剤、充填材および安定剤ならびに成形条件を使用したこと以外は実施例1と同様にして、対応するサンプル(E4)~(E10)を作製した。これらのサンプルについて、冷却後の熱収縮により厚み方向の平均厚みはいずれも11.5mmであった。サンプル(E4)~(E10)の評価結果を表1に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
表2に示すように、充填材の含有量を増加させるほど(実施例4~8)平均折れ回数は低下する傾向にあるが、例えば実施例8のように炭酸カルシウムの含有量を非常に高く設定しても、得られたサンプル(E8)は、上記表1の比較例1および2のサンプル(C1)および(C2)よりも平均折れ回数が高い値を示しており、折れ難いものであったことがわかる。
図1