IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 財團法人工業技術研究院の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099203
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/049 20140101AFI20220627BHJP
【FI】
H01L31/04 562
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020215296
(22)【出願日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】109145460
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】關 旻宗
(72)【発明者】
【氏名】王 文獻
(72)【発明者】
【氏名】劉 怡君
(72)【発明者】
【氏名】謝 心心
(72)【発明者】
【氏名】▲らい▼ 秋助
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151BA11
5F151JA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】分解・リサイクル可能な太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】第1の基板12、第1の基板12に対向して配置された第2の基板14、第1の基板12と第2の基板14の間に配置された電池ユニット16、電池ユニット16と第1の基板12の間に配置された第1の熱硬化性樹脂層18、電池ユニット16と第1の熱硬化性樹脂層18の間に配置された第1の熱可塑性樹脂層20、電池ユニット16と第2の基板14の間に配置された第2の熱硬化性樹脂層22、および電池ユニット16と第2の熱硬化性樹脂層22の間に配置された第2の熱可塑性樹脂層24を含む太陽電池モジュール。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板、
前記第1の基板に対向して配置された第2の基板、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置された電池ユニット、
前記電池ユニットと前記第1の基板の間に配置された第1の熱硬化性樹脂層、
前記電池ユニットと前記第1の熱硬化性樹脂層の間に配置された第1の熱可塑性樹脂層、
前記電池ユニットと前記第2の基板の間に配置された第2の熱硬化性樹脂層、および
前記電池ユニットと前記第2の熱硬化性樹脂層の間に配置された第2の熱可塑性樹脂層を含む太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記第1の熱可塑性樹脂層および前記第2の熱可塑性樹脂層は、ジブロック水添スチレン系樹脂、トリブロック水添スチレン系樹脂、ジブロックアクリル系樹脂、またはトリブロックアクリル系樹脂を含む請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記第1の熱可塑性樹脂層および前記第2の熱可塑性樹脂層は、水添(スチレン-イソプレン)ジブロック共重合体、水添(スチレン-イソプレン-スチレン)トリブロック共重合体、水添(スチレン-ブタジエン-スチレン)トリブロック共重合体、水添(スチレン-イソプレン/ブタジエン-スチレン)トリブロック共重合体、水添(スチレン-エチレン分岐イソプレン)ジブロック共重合体、またはそれらの組み合わせを含み、ジブロック水添スチレン系樹脂またはトリブロック水添スチレン系樹脂におけるスチレンブロックは、10wt%~35wt%の重量含有量を有する請求項2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記第1の熱可塑性樹脂層および前記第2の熱可塑性樹脂層は、ポリ(メチルメタクリレート-b-イソプレン)、ポリ(メチルメタクリレート-b-ブタジエン)、ポリ(メチルメタクリレート-b-イソプレン-b-メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート-b-ブタジエン-b-メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート-b-イソプレン/ブタジエン-b-メチルメタクリレート)、またはそれらの組み合わせを含み、ジブロックアクリル系樹脂またはトリブロックアクリル系樹脂におけるメチルメタクリレートブロックは、20wt%~60wt%の重量含有量を有する請求項2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記第1の熱可塑性樹脂層および前記第1の熱硬化性樹脂層は、1:0.59~1:10の厚さ比を有し、前記第2の熱可塑性樹脂層および前記第2の熱硬化性樹脂層は、1:1~1:10の厚さ比を有する請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記第1の熱可塑性樹脂層および前記第2の熱可塑性樹脂層のうちの少なくとも1つは、0.1%~10%の拡散粒子を含み、前記拡散粒子は、ポリアクリル樹脂またはそれから誘導される共重合体を含む請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記拡散粒子は、3μm~60μmの範囲の粒子径、および1.45~1.57の範囲の屈折率を有する球状である請求項6に記載の太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記第1の熱可塑性樹脂層および前記第2の熱可塑性樹脂層のうちの少なくとも1つは、0.1%~5%の蛍光材料を更に含み、前記蛍光材料は、ピレン、ナフタレンイミド、ペリレンイミド、カルバゾール、またはアントラセンを含む請求項6に記載の太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池モジュールに関するものであり、特に、分解・リサイクル可能な太陽電池モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池モジュールの人気に伴い、太陽電池モジュールの廃棄が増えており、そのリサイクルや資源の再利用の処理問題が徐々に生じている。使用済みの太陽電池モジュールから材料を回収するには、まず太陽電池モジュールを分解する必要がある。
【0003】
従来のシリコン太陽電池モジュール構造を例にとると、その耐用年数を延ばすために、一般に、熱硬化性ポリマー、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)またはポリオレフィン(PO)をパッケージング材料として用いて、多結晶または単結晶の太陽電池を封入して固定する(encapsulate and fix)。熱硬化性ポリマーの分子間で架橋網目が起こると、パッケージングフィルムを加熱して溶融することによってガラスまたは太陽電池パネルを分離し、無傷のガラスまたは無傷の太陽電池パネルのリサイクルを達成することができなくなる。
従って、従来の方法は、モジュールを直接粉砕して分解した後、燃焼させ、パッケージングフィルムを高温で熱分解させて、ガラスと電池パネルを分離している。従って、従来のシリコン太陽電池モジュールを分解する際に直面する1つの問題は、如何にしてガラスと電池パネルを損傷することなく取り出してリサイクルし、再利用するために熱硬化性プラスチック材料を除去するかである。
【0004】
現在、熱硬化性プラスチックを除去する方法は2つあり、1つは酸性溶液または有機溶媒の中でEVAを分解する方法であり、もう1つは300℃~550℃の温度でシリコン太陽電池モジュールを加熱してガラス板と太陽電池モジュールを分離する方法であるが、どちらの方法も時間と労力がかかり、二次汚染を引き起こすことになる。そのため、分解が容易で、且つIEC61215の電気的検証仕様に合格することができる、上述の問題を解決できる太陽電池モジュールを提案することにより、産業界で廃棄されるモジュールの高価リサイクルの課題を解決することが急務となっている。
【0005】
従って、効率がよく、分解・リサイクル可能な太陽電池モジュールの開発が期待される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、分解・リサイクル可能な太陽電池モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、太陽電池モジュールが提供される。太陽電池モジュールは、第1の基板;第1の基板に対向して配置された第2の基板;第1の基板と第2の基板の間に配置された電池ユニット;電池ユニットと第1の基板の間に配置された第1の熱硬化性樹脂層;電池ユニットと第1の熱硬化性樹脂層の間に配置された第1の熱可塑性樹脂層;電池ユニットと第2の基板の間に配置された第2の熱硬化性樹脂層;および電池ユニットと第2の熱硬化性樹脂層の間に配置された第2の熱可塑性樹脂層を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の一実施形態による太陽電池モジュールの断面図である。
図2A図2Aは、本開示の一実施形態による太陽電池モジュールの分解試験の結果である。
図2B図2Bは、本開示の一実施形態による太陽電池モジュールの分解試験の結果である。
図2C図2Cは、本開示の一実施形態による太陽電池モジュールの分解試験の結果である。
図2D図2Dは、本開示の一実施形態による太陽電池モジュールの分解試験の結果である。
図2E図2Eは、本開示の一実施形態による太陽電池モジュールの分解試験の結果である。
図2F図2Fは、本開示の一実施形態による太陽電池モジュールの分解試験の結果である。
図2G図2Gは、本開示の一実施形態による太陽電池モジュールの分解試験の結果である。
図2H図2Hは、本開示の一実施形態による太陽電池モジュールの分解試験の結果である。
図2I図2Iは、本開示の一実施形態による太陽電池モジュールの分解試験の結果である。
図2J図2Jは、本開示の一実施形態による太陽電池モジュールの分解試験の結果である。
図2K図2Kは、本開示の一実施形態による太陽電池モジュールの分解試験の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すように、本開示の一実施形態による太陽電池モジュール10を提供する。図1は、太陽電池モジュール10の断面図である。
【0010】
図1では、太陽電池モジュール10は、第1の基板12、第2の基板14、電池ユニット16、第1の熱硬化性樹脂層18、第1の熱可塑性樹脂層20、第2の熱硬化性樹脂層22、および第2の熱可塑性樹脂層24を含む。第2の基板14は、第1の基板12と対向している。電池ユニット16は、第1の基板12と第2の基板14との間に配置される。第1の熱硬化性樹脂層18は、電池ユニット16と第1の基板12との間に配置される。第1の熱可塑性樹脂層20は、電池ユニット16と第1の熱硬化性樹脂層18との間に配置される。第2の熱硬化性樹脂層22は、電池ユニット16と第2の基板14との間に配置される。第2の熱可塑性樹脂層24は、電池ユニット16と第2の熱硬化性樹脂層22との間に配置される。即ち、本開示の太陽電池モジュール10では、電池ユニット16の両側は、第1の熱可塑性樹脂層20および第2の熱可塑性樹脂層24とそれぞれ接触している。第1の熱硬化性樹脂層18の一つ側は、第1の熱可塑性樹脂層20と接触しており、第1の熱硬化性樹脂層18のもう一つ側は、第1の基板12と接触している。第2の熱硬化性樹脂層22の一つ側は、第2の熱可塑性樹脂層24と接触しており、第2の熱硬化性樹脂層22のもう一つ側は、第2の基板14と接触している。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の基板12および第2の基板14は、ガラス、ポリオレフィン系樹脂、またはポリエステル系樹脂、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)を含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の熱硬化性樹脂層18および第2の熱硬化性樹脂層22は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)またはポリオレフィン(PO)を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の熱硬化性樹脂層18および第2の熱硬化性樹脂層22がエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む場合、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)における酢酸ビニル(VA)の重量含有量は、約25wt%~約35wt%の範囲である。いくつかの実施形態では、第1の熱硬化性樹脂層18の厚さT1bおよび第2の熱硬化性樹脂層22の厚さT2bは、約300μm~約2000μmの範囲である。いくつかの実施形態では、第1の熱硬化性樹脂層18および第2の熱硬化性樹脂層22は、硬化開始剤、酸化防止剤、架橋剤、または安定剤などの添加剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の熱硬化性樹脂層18および第2の熱硬化性樹脂層22における上述の添加剤の重量含有量は、約1wt%~約5wt%の範囲である。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性樹脂層20および第2の熱可塑性樹脂層24は、ジブロック(di-block)水添スチレン系樹脂またはトリブロック(tri-block)水添スチレン系樹脂を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性樹脂層20および第2の熱可塑性樹脂層24は、以下の共重合体、例えば、水添(スチレン-イソプレン)ジブロック共重合体、水添(スチレン-イソプレン-スチレン)トリブロック共重合体、水添(スチレン-ブタジエン-スチレン)トリブロック共重合体、水添(スチレン-イソプレン/ブタジエン-スチレン)トリブロック共重合体、水添(スチレン-エチレン分岐イソプレン)ジブロック共重合体、またはそれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ジブロック水添スチレン系樹脂またはトリブロック水添スチレン系樹脂におけるスチレンブロックの重量含有量は、約10wt%~約35wt%の範囲である。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性樹脂層20および第2の熱可塑性樹脂層24は、ジブロックアクリル系樹脂またはトリブロックアクリル系樹脂を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性樹脂層20および第2の熱可塑性樹脂層24は、以下の共重合体、例えば、ポリ(メチルメタクリレート-b-イソプレン)、ポリ(メチルメタクリレート-b-ブタジエン)、ポリ(メチルメタクリレート-b-イソプレン-b-メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート-b-ブタジエン-b-メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート-b-イソプレン/ブタジエン-b-メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート/アクリレート/メチルメタクリレート)、またはそれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ジブロックアクリル系樹脂またはトリブロックアクリル系樹脂におけるメチルメタクリレート(MMA)ブロックの重量含有量は、約20wt%~約60wt%の範囲である。いくつかの実施形態では、ジブロックアクリル系樹脂またはトリブロックアクリル系樹脂におけるメチルメタクリレート(MMA)ブロックの重量含有量は、約30wt%~約50wt%の範囲である。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性樹脂層20および第2の熱可塑性樹脂層24のうちの少なくとも1つは、0.1%~10%の拡散粒子を含む。即ち、第1の熱可塑性樹脂層20と第2の熱可塑性樹脂層24のうちの一方が0.1%~10%の拡散粒子を含むか、または第1の熱可塑性樹脂層20および第2の熱可塑性樹脂層24の両方が0.1%~10%の拡散粒子を含む。いくつかの実施形態では、拡散粒子の材料の構成は、ポリアクリル樹脂またはそれから誘導される共重合体、例えばメチルポリアクリレートを含み得る。いくつかの実施形態では、拡散粒子は、約3μm~約60μmの範囲の粒子径、および約1.45~約1.57の範囲の屈折率を有する球状であり得る。開示された拡散粒子は、熱可塑性樹脂層に均一に分散されることができる。具体的には、拡散粒子は通常、モジュールの光入射面にある熱可塑性樹脂層に添加される。例えば、太陽電池モジュール10が片面で受光する太陽電池モジュールである場合、拡散粒子は、光入射面にある第1の熱可塑性樹脂層20または第2の熱可塑性樹脂層24に添加されることができる。しかしながら、太陽電池モジュール10が両面で受光する太陽電池モジュールである場合、拡散粒子は、光入射面にある第1の熱可塑性樹脂層20と第2の熱可塑性樹脂層24に同時に添加されることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性樹脂層20および第2の熱可塑性樹脂層24のうちの少なくとも1つは、0.1%~5%の蛍光材料を含む。即ち、第1の熱可塑性樹脂層20と第2の熱可塑性樹脂層24のうちの一方が0.1%~5%の蛍光材料を含むか、または第1の熱可塑性樹脂層20および第2の熱可塑性樹脂層24の両方が0.1%~5%の蛍光材料を含む。いくつかの実施形態では、蛍光材料は、紫外線を吸収し、紫外線を可視光に変換する材料特性を持っている。いくつかの実施形態では、蛍光材料の融点は、約10℃~約130℃の間である。開示された蛍光材料は、熱可塑性樹脂層に均一に分散されることができる。いくつかの実施形態では、蛍光材料は、ピレン、ナフタレンイミド、ペリレンイミド、カルバゾール、またはアントラセンを含み得る。同様に、蛍光材料は通常、モジュールの光入射面にある熱可塑性樹脂層に添加される。例えば、太陽電池モジュール10が片面で受光する太陽電池モジュールである場合、蛍光材料は、光入射面にある第1の熱可塑性樹脂層20または第2の熱可塑性樹脂層24に添加されることができる。しかしながら、太陽電池モジュール10が両面で受光する太陽電池モジュールである場合、蛍光材料は、光入射面にある第1の熱可塑性樹脂層20と第2の熱可塑性樹脂層24に同時に添加されることができる。開示された蛍光材料は、外部の紫外線を吸収し、吸収した紫外線を電池で使用されることができる可視光に変換することができる。一方では、それはパッケージング材料を紫外線による損傷から保護することができる。もう一方では、電池の光吸収率を高めることもできる。また開示された蛍光材料は、有機蛍光材であり、樹脂層に添加されると、ヘイズを増加させることなく良好な分散効果を得ることができ、パッケージング材料の透明性を維持することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、太陽電池モジュール10が片面で受光する太陽電池モジュールである場合、光入射面にある第1の熱硬化性樹脂層18または第2の熱硬化性樹脂層22は、上述の拡散粒子の0.1%~10%を含むことができる。いくつかの実施形態では、太陽電池モジュール10が両面で受光する太陽電池モジュールである場合、光入射面にある第1の熱硬化性樹脂層18と第2の熱硬化性樹脂層22は、上述の拡散粒子の0.1%~10%を同時に含むことができる。いくつかの実施形態では、上述の拡散粒子は、熱硬化性樹脂層に均一に分散されることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、太陽電池モジュール10が片面で受光する太陽電池モジュールである場合、光入射面にある第1の熱硬化性樹脂層18または第2の熱硬化性樹脂層22は、上述の蛍光材料の0.1%~5%を含むことができる。いくつかの実施形態では、太陽電池モジュール10が両面で受光する太陽電池モジュールである場合、光入射面にある第1の熱硬化性樹脂層18と第2の熱硬化性樹脂層22は、上述の蛍光材料の0.1%~5%を同時に含むことができる。いくつかの実施形態では、上述の蛍光材料は、熱硬化性樹脂層に均一に分散されることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の熱硬化性樹脂層18と第1の熱可塑性樹脂層20の総厚T1は、約0.3mm~約2.0mmである。いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性樹脂層20の厚さT1aと第1の熱硬化性樹脂層18の厚さT1bとの比は、約1:0.59~約1:10の範囲である。いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性樹脂層20の厚さT1aと第1の熱硬化性樹脂層18の厚さT1bとの比は、約1:1~約1:2の範囲である。いくつかの実施形態では、第2の熱硬化性樹脂層22と第2の熱可塑性樹脂層24の総厚T2は、約0.3mm~約2.0mmである。いくつかの実施形態では、第2の熱可塑性樹脂層24の厚さT2aと第2の熱硬化性樹脂層22の厚さT2bとの比は、約1:0.59~約1:10の範囲である。いくつかの実施形態では、第2の熱可塑性樹脂層24の厚さT2aと第2の熱硬化性樹脂層22の厚さT2bとの比は、約1:1~約1:2の範囲である。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性樹脂層20および第2の熱可塑性樹脂層24のガラス転移温度は、約15℃~約-20℃の範囲である。いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性樹脂層20および第2の熱可塑性樹脂層24のガラス転移温度は、約10℃~約-50℃の範囲である。いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性樹脂層20および第2の熱可塑性樹脂層24のメルトフローインデックスは、約1.0~約31.0の範囲である。いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性樹脂層20および第2の熱可塑性樹脂層24のメルトフローインデックスは、約1.0~約8.0の範囲である。いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性樹脂層20および第2の熱可塑性樹脂層24の硬度(タイプA)は、約30~約90の範囲である。いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性樹脂層20および第2の熱可塑性樹脂層24の硬度(タイプA)は、約35~約80の範囲である。
【0021】
本開示では、第1の熱硬化性樹脂層18および第1の熱可塑性樹脂層20は、例えば、結合または共押出しによって透明な複合パッケージングフィルムを形成する。第2の熱硬化性樹脂層22および第2の熱可塑性樹脂層24は、例えば、結合または共押出しによって透明な複合パッケージングフィルムを形成する。
【0022】
本開示の太陽電池モジュール10が耐候性試験を経た後、太陽電池モジュール10は、例えば、熱解離法または化学解離法によってさらに分解されることができることに留意されたい。いくつかの実施形態では、熱解離法は、450℃の温度で太陽電池モジュール10にベーキングを行って、太陽電池モジュール10を分解している。いくつかの実施形態では、化学解離法は、40℃以下の温度で溶媒に太陽電池モジュール10を浸漬し、太陽電池モジュール10を分解している。いくつかの実施形態では、化学解離法で使用される溶媒は、トルエン、2-トルエン、ヘキサン、またはシクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒を含み得る。
【0023】
開示された太陽電池モジュールは、電池ユニットと従来の熱硬化性パッケージング材料層との間に熱可塑性樹脂層が追加されており、その材料は、ジブロックまたはトリブロック水添スチレン系樹脂またはジブロックまたはトリブロックアクリル系樹脂を含み得る。この構造設計は、電池モジュールに、高光透過率、低吸水率、高絶縁耐候性、および耐PID性、耐湿性、耐熱性、耐紫外線性などの特性を持たせることを可能にし、電池モジュールのニーズに応えることができるようになる。また、簡単な熱解離法や化学解離法で簡単に分解・リサイクルをすることができるため、クラックが発生しにくく、分解しやすいという利点がある。
【0024】
本開示の太陽電池モジュールでは、特定の含有量(例えば、0.1%~10%)の拡散粒子を熱可塑性樹脂層に添加することにより、電池内の光の拡散効果(拡散係数27以上)を向上させることができ、この散乱特性を導入することにより、電池の光利用効率を向上させることができる。拡散粒子を添加しても、開示された太陽電池モジュールは、依然として高い光透過率を備えた光学特性を有する。
【0025】
本開示では、特定の含有量の拡散粒子を熱可塑性樹脂層に添加することに加えて、特定の含有量(例えば、0.1%~5%)の蛍光材料を熱可塑性樹脂層に同時に添加してもよい。拡散粒子は電池の反射光を再び電池内に導くことができることに加え、蛍光材料は、さらに外部の紫外線を吸収してそれを電池が利用できる可視光に変換し、電池の受光量を増やすことができる。従って、パッケージング前後の電池モジュールの電力利得を従来の電池モジュールと比較すると、本開示の太陽電池モジュールは、より良い電力利得を得ることができる。
【0026】
調製例1
【0027】
光拡散複合フィルム(拡散粒子を含む)の調製
【0028】
100kgのトリブロックアクリル系樹脂(クラレ、LA2140、メルトフローインデックス:31g/10分(190℃、2.16kgf))および3kgの拡散粒子(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.から購入。材料: ポリアクリル樹脂、粒子径:10μm、屈折率:1.49)をシングルスクリューミキサー(日本MEISEI KINZOKUMFG.CO.,LTD.、モデル:FRP-V32C)を用いて造粒した。上述のシングルスクリューミキサーの温度は、145℃、150℃、150℃、および145℃の4段階に分けた。プレス機(GANG LING MACHINERY MACHINERY CO.,LTD.、モデル:HP-50)を用いて150℃で10分間予熱した後、150℃で10分間圧縮(圧力:100kg/cm2)し、光拡散性複合フィルムとしてフィルムを形成した。
【0029】
調製例2
【0030】
光拡散複合フィルム(拡散粒子および蛍光材料を含む)の調製
【0031】
100kgのトリブロックアクリル系樹脂(クラレ、LA2140、メルトフローインデックス:31g/10分(190℃、2.16kgf))および3kgの拡散粒子(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.から購入。材料: ポリアクリル樹脂、粒子径:10μm、屈折率:1.49)および0.1kgのカルバゾール(NISSOKU TECHNO FINE CHEMICAL CO.,LTD.から購入)蛍光材料をシングルスクリューミキサー(日本MEISEI KINZOKUMFG.CO.,LTD.、モデル:FRP-V32C)を用いて造粒した。上述のシングルスクリューミキサーの温度は、145℃、150℃、150℃、および145℃の4段階に分けた。プレス機(GANG LING MACHINERY MACHINERY CO.,LTD.、モデル:HP-50)を用いて150℃で10分間予熱した後、150℃で10分間圧縮(圧力:100kg/cm2)し、光拡散性・蛍光性複合フィルムとして熱可塑性フィルムを形成した。
【0032】
実施例1
【0033】
太陽電池モジュールの物性試験(熱可塑性樹脂層は、厚さ200μmの水添スチレン系樹脂である)
【0034】
本実施例では、図1に示される太陽電池モジュール10に物性試験が行われた。モジュール構造では、関連する構成要素の材料と寸法を以下に説明する:第1の基板(背面板)12は、厚さが約0.31mmの太陽電池背面板である。第2の基板(前面板)14は、厚さが約3.2mmの透明ガラスである。電池ユニット16の厚さは約180μmである。第1の熱硬化性樹脂層18は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さが約400μmである。第1の熱可塑性樹脂層20は、水添(スチレン-ブタジエン-スチレン)トリブロック共重合体(SEBS)(Asahi Chemical Co.,Ltd.から購入。S.O.E(商標)S1611; ガラス転移温度: 9℃;メルトフローインデックス: 4g/10分(190℃; 2.16kgf))であり、厚さは約292μmである。第2の熱硬化性樹脂層22は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さは約400μmである。第2の熱可塑性樹脂層24は、水添(スチレン-ブタジエン-スチレン)トリブロック共重合体(SEBS)(Asahi Chemical Co.,Ltd.から購入。S.O.E(商標)S1611; ガラス転移温度:9℃; メルトフローインデックス: 4g/10分(190℃; 2.16kgf))であり、厚さは約292μmである。第1の熱硬化性樹脂層18と第1の熱可塑性樹脂層20の総厚T1は、約692±3μmである。第2の熱硬化性樹脂層22と第2の熱可塑性樹脂層24の総厚T2は、約692±3μmである。太陽電池モジュール10に以下の物性試験、全光線透過率(total light transmittance)(%)、ヘイズ(haze)(%)、黄色度(yellowness index; YI)、水蒸気透過率(water vapor transmission rate; WVTR)(g/m2-day)、引張破断強度(tensile strength at break)(MPa)、剥離強度(peeling strength)(N)、および体積抵抗(volume resistance; VR)(Ω・cm)を含む物性試験を行った。その試験結果は表1に示される。
【0035】
実施例2
【0036】
太陽電池モジュールの物性試験(熱可塑性樹脂層は、厚さ400μmの水添スチレン系樹脂である)
【0037】
本実施例では、図1に示される太陽電池モジュール10に物性試験が行われた。モジュール構造では、関連する構成要素の材料と寸法を以下に説明する:第1の基板(背面板)12は、厚さが約0.31mmの太陽電池背面板である。第2の基板(前面板)14は、厚さが約3.2mmの透明ガラスである。電池ユニット16の厚さは約180μmである。第1の熱硬化性樹脂層18は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さが約400μmである。第1の熱可塑性樹脂層20は、水添(スチレン-ブタジエン-スチレン)トリブロック共重合体(SEBS)(Asahi Chemical Co.,Ltd.から購入。S.O.E(商標)S1611; ガラス転移温度: 9℃; メルトフローインデックス: 4g/10分(190℃; 2.16kgf))であり、厚さは約511μmである。第2の熱硬化性樹脂層22は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さは約400μmである。第2の熱可塑性樹脂層24は、水添(スチレン-ブタジエン-スチレン)トリブロック共重合体(SEBS)(Asahi Chemical Co.,Ltd.から購入。S.O.E(商標)S1611; ガラス転移温度:9℃; メルトフローインデックス: 4g/10分(190℃; 2.16kgf))であり、厚さは約511μmである。第1の熱硬化性樹脂層18と第1の熱可塑性樹脂層20の総厚T1は、約911±3μmである。第2の熱硬化性樹脂層22と第2の熱可塑性樹脂層24の総厚T2は、約911±3μmである。太陽電池モジュール10に以下の物性試験、全光線透過率(%)、ヘイズ(%)、黄色度(YI)、水蒸気透過率(WVTR)(g/m2-day)、引張破断強度(MPa)、剥離強度(N)、および体積抵抗(VR)(Ω・cm)を含む物性試験を行った。その試験結果は表1に示される。
【0038】
実施例3
【0039】
太陽電池モジュールの物性試験(熱可塑性樹脂層は、アクリル系樹脂である)
【0040】
本実施例では、図1に示される太陽電池モジュール10に物性試験が行われた。モジュール構造では、関連する構成要素の材料と寸法を以下に説明する:第1の基板(背面板)12は、厚さが約0.31mmの太陽電池背面板である。第2の基板(前面板)14は、厚さが約3.2mmの透明ガラスである。電池ユニット16の厚さは約180μmである。第1の熱硬化性樹脂層18は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さが約400μmである。第1の熱可塑性樹脂層20は、トリブロックアクリル系樹脂(LA2140; KURARAY Co.,Ltd.から購入; メルトフローインデックス: 31g/10分(190℃; 2.16kgf))であり、厚さは約320μmである。第2の熱硬化性樹脂層22は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さは約400μmである。第2の熱可塑性樹脂層24は、トリブロックアクリル系樹脂(LA2140; KURARAY Co.,Ltd.から購入; メルトフローインデックス: 31g/10分(190℃; 2.16kgf))であり、厚さは約320μmである。第1の熱硬化性樹脂層18と第1の熱可塑性樹脂層20の総厚T1は、約720μmである。第2の熱硬化性樹脂層22と第2の熱可塑性樹脂層24の総厚T2は、約720μmである。太陽電池モジュール10に以下の物性試験、全光線透過率(%)、ヘイズ(%)、黄色度(YI)、水蒸気透過率(WVTR)(g/m2-day)、引張破断強度(MPa)、剥離強度(N)、および体積抵抗(VR)(Ω・cm)を含む物性試験を行った。その試験結果は表1に示される。
【0041】
比較例1
【0042】
太陽電池モジュールの物性試験(EVAパッケージのみを用いる)
【0043】
本比較例では、特定の太陽電池モジュール(熱硬化性樹脂層が電池ユニットおよび基板と同時に接触している)で物性試験が行われる。モジュール構造では、関連する構成要素の材料と寸法を以下に説明する:第1の基板(背面板)12は、厚さが約0.31mmの太陽電池背面板である。第2の基板(前面板)14は、厚さが約3.2mmの透明ガラスである。電池ユニットの厚さは約180μmである。第1の熱硬化性樹脂層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さが約400μmである。第2の熱硬化性樹脂層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さが約400μmである。上述の太陽電池モジュールに以下の物性試験、全光線透過率(%)、ヘイズ(%)、黄色度(YI)、水蒸気透過率(WVTR)(g/m2-day)、引張破断強度(MPa)、剥離強度(N)、および体積抵抗(VR)(Ω・cm)を含む物性試験を行った。その試験結果は表1に示される。
【0044】
比較例2
【0045】
太陽電池モジュールの物性試験(POパッケージのみを用いる)
【0046】
本比較例では、特定の太陽電池モジュール(熱硬化性樹脂層が電池ユニットおよび基板と同時に接触している)で物性試験が行われる。モジュール構造では、関連する構成要素の材料と寸法を以下に説明する:第1の基板(背面板)は、厚さが約0.31mmの太陽電池背面板である。第2の基板(前面板)は、厚さが約3.2mmの透明ガラスである。電池ユニットの厚さは約180μmである。第1の熱硬化性樹脂層は、ポリオレフィン(polyolefin; PO)(TF4; HANGHZHOU FIRST APPLIED MATERIALIATERS CO.,Ltd.から購入)であり、厚さは約400μmである。第2の熱硬化性樹脂層は、ポリオレフィン(polyolefin; PO)(TF4; HANGHZHOU FIRST APPLIED MATERIALIATERS CO.,Ltd.から購入)であり、厚さは約400μmである。上述の太陽電池モジュールに以下の物性試験、全光線透過率(%)、ヘイズ(%)、黄色度(YI)、水蒸気透過率(WVTR)(g/m2-day)、引張破断強度(MPa)、剥離強度(N)、および体積抵抗(VR)(Ω・cm)を含む物性試験を行った。その試験結果は表1に示される。
【0047】
比較例3
【0048】
太陽電池モジュールの物性試験(SEBSパッケージのみを用いる)
【0049】
本比較例では、特定の太陽電池モジュール(熱可塑性樹脂層が電池ユニットおよび基板と同時に接触している)で物性試験が行われる。モジュール構造では、関連する構成要素の材料と寸法を以下に説明する: 第1の基板(背面板)は、厚さが約0.31mmの太陽電池背面板である。第2の基板(前面板)は、厚さが約3.2mmの透明ガラスである。電池ユニットの厚さは約180μmである。第1の熱可塑性樹脂層は、水添(スチレン-ブタジエン-スチレン)トリブロック共重合体(SEBS)(Asahi Chemical Co.,Ltd.から購入。S.O.E(商標)S1611; ガラス転移温度: 9℃; メルトフローインデックス: 4g/10分(190℃; 2.16kgf))であり、厚さは約424μmである。第2の熱可塑性樹脂層は、水添(スチレン-ブタジエン-スチレン)トリブロック共重合体(SEBS)(Asahi Chemical Co.,Ltd.から購入。S.O.E(商標)S1611; ガラス転移温度: 9℃; メルトフローインデックス: 4g/10分(190℃; 2.16kgf))であり、厚さは約424μmである。上述の太陽電池モジュールに以下の物性試験、全光線透過率(%)、ヘイズ(%)、黄色度(YI)、水蒸気透過率(WVTR)(g/m2-day)、引張破断強度(MPa)、剥離強度(N)、および体積抵抗(VR)(Ω・cm)を含む物性試験を行った。その試験結果は表1に示される。
【0050】
比較例4
【0051】
太陽電池モジュールの物性試験(EVAとSEBSの混合(hybrid)パッケージを用いる)
【0052】
本比較例では、特定の太陽電池モジュール(EVAとSEBSの混合樹脂層が電池ユニットおよび基板と同時に接触している)で物性試験が行われる。モジュール構造では、関連する構成要素の材料と寸法を以下に説明する: 第1の基板(背面板)12は、厚さが約0.31mmの太陽電池背面板である。第2の基板(前面板)14は、厚さが約3.2mmの透明ガラスである。電池ユニット16の厚さは約180μmである。第1の樹脂層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(KA40; Polyolefin Companyから購入)と水添(スチレン-ブタジエン-スチレン)トリブロック共重合体(SEBS)(Asahi Chemical Co.,Ltd.から購入。S.O.E(商標)S1611; ガラス転移温度: 9℃; メルトフローインデックス: 4g/10分(190℃; 2.16kgf))との混合層であり、厚さは約400μmである。第2の樹脂層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(KA40; Polyolefin Companyから購入)と水添(スチレン-ブタジエン-スチレン)トリブロック共重合体(SEBS)(Asahi Chemical Co.,Ltd.から購入。S.O.E(商標)S1611; ガラス転移温度: 9℃; メルトフローインデックス: 4g/10分(190℃; 2.16kgf))との混合層であり、厚さは約400μmである。上述の太陽電池モジュールに以下の物性試験、全光線透過率(%)、ヘイズ(%)、黄色度(YI)、水蒸気透過率(WVTR)(g/m2-day)、引張破断強度(MPa)、剥離強度(N)、および体積抵抗(VR)(Ω・cm)を含む物性試験を行った。その試験結果は表1に示される。
【表1】
【0053】
表1の試験結果から、本開示の太陽電池モジュール(実施例1~3)では、その複合パッケージング材料の熱可塑性樹脂層の材料が、水添スチレン系樹脂(SEBSなど)またはアクリルブロック共重合体樹脂(アクリルブロック共重合体など)であるか否かにかかわらず、測定されたヘイズ、水蒸気透過率、体積抵抗などのデータによると、モジュール構造が高い光透過率、低い吸水率、高い断熱性、および耐候性を有するという要件をすべて満たしていることがわかる。
【0054】
また、熱可塑性樹脂層と熱硬化性樹脂層との厚み比が1:0.59~1:10のとき、熱分解プロセスにおいて電池パネルはクラックを発生しなかった(実施例1~3)。比較例1および2では、熱硬化パッケージングフィルムのみのモジュールに450℃で行われた熱分解プロセスで、提供された太陽電池モジュールが試験後にクラックが生じたことを示している。比較例3では、熱可塑性SEBSのみでモジュールがパッケージングされており、ガラスとの接着性が低いため、後続のモジュールの電気的(electrical)PID試験は、電力損失が5%以下でなければならないという基準をクリアできていない。比較例4は、2つの混合樹脂から作製されたパッケージングフィルムを更に示しており、その光透過率はわずか54.97%であり、パッケージングフィルムの光透過率が85%以上でなければならないという基準を満たしておらず、明らかにパッケージングフィルムにして実施例と比較することはできない。しかしながら、本開示の太陽電池モジュール(実施例1~3)では、その複合パッケージング材料の熱可塑性樹脂層の材料が、水添スチレン系樹脂(SEBSなど)またはアクリルブロック共重合体樹脂(アクリルブロック共重合体など)であるか否かにかかわらず、熱分解法による分解の過程で、クラックを生じることなくスムーズに分解することができ、本開示のモジュール構造が容易に分解できるという利点があることを証明している。
【0055】
実施例4
【0056】
太陽電池モジュールの物性試験(熱可塑性樹脂層は、トリブロックアクリル系樹脂と拡散粒子を含む)
【0057】
本実施例では、図1に示される太陽電池モジュール10に物性試験が行われた。モジュール構造では、関連する構成要素の材料と寸法を以下に説明する:第1の基板(背面板)12は、厚さが約0.31mmの太陽電池背面板である。第2の基板(前面板)14は、厚さが約3.2mmの透明ガラスである。電池ユニット16の厚さは約180μmである。第1の熱硬化性樹脂層18は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さが約400μmである。第1の熱可塑性樹脂層20は、トリブロックアクリル系樹脂(LA2140; KURARAY Co.Ltd.から購入; メルトフローインデックス:31g/10分(190℃; 2.16kgf))および3%の球状拡散粒子(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.から購入; 材料: ポリアクリレート樹脂、粒子サイズ: 10μm、屈折率: 1.49)を含み、厚さは約292μmである。第2の熱硬化性樹脂層22は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さは約400μmである。第2の熱可塑性樹脂層24は、トリブロックアクリル系樹脂(LA2140; KURARAY Co.Ltd.から購入; メルトフローインデックス:31g/10分(190℃; 2.16kgf))および3%の球状拡散粒子(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.から購入; 材料: ポリアクリレート樹脂、粒子サイズ: 10μm、屈折率: 1.49)を含み、厚さは約292μmである。第1の熱硬化性樹脂層18と第1の熱可塑性樹脂層20の総厚T1は、約692±3μmである。第2の熱硬化性樹脂層22と第2の熱可塑性樹脂層24の総厚T2は、約692±3μmである。太陽電池モジュール10に以下の、ヘイズ(haze)(%)、全光透過率(total light transmittance)(%)、および拡散係数(diffusion factor)を含む物性試験が行われ、その試験結果は表2に示される。また、太陽電池モジュール10にパッケージング前後の電力利得(%)の試験を行った。その試験結果は表3に示される。光透過率の測定方法はASTMD1003であり、ヘイズの測定方法はASTMD1003である。最大電力の測定方法はIEC60891であり、短絡電流の測定方法はIEC60891であり、開回路電圧の測定方法はIEC60891である。
【0058】
実施例5
【0059】
太陽電池モジュールの物性試験(熱可塑性樹脂層は、トリブロックアクリル系樹脂、拡散粒子、および蛍光材料を含む)
【0060】
本実施例では、図1に示される太陽電池モジュール10に物性試験が行われた。モジュール構造では、関連する構成要素の材料と寸法を以下に説明する:第1の基板(背面板)12は、厚さが約0.31mmの太陽電池背面板である。第2の基板(前面板)14は、厚さが約3.2mmの透明ガラスである。電池ユニット16の厚さは約180μmである。第1の熱硬化性樹脂層18は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さが約400μmである。第1の熱可塑性樹脂層20は、トリブロックアクリル系樹脂(LA2140; KURARAY Co.Ltd.から購入; メルトフローインデックス:31g/10分(190℃; 2.16kgf))、3%の球状拡散粒子(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.から購入; 材料: ポリアクリレート樹脂、粒子サイズ: 10μm、屈折率: 1.49)、および0.1%のカルバゾール(carbazole)蛍光材料(NISSOKU TECHNO FINE CHEMICAL CO.,LTD.から購入、融点: 80℃)を含み、厚さは約292μmである。第2の熱硬化性樹脂層22は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さは約400μmである。第2の熱可塑性樹脂層24は、トリブロックアクリル系樹脂(LA2140; KURARAY Co.Ltd.から購入; メルトフローインデックス: 31g/10分(190℃; 2.16kgf))、3%の球状拡散粒子(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.から購入; 材料: ポリアクリレート樹脂、粒子サイズ: 10μm、屈折率: 1.49)、および0.1%のカルバゾール(carbazole)蛍光材料(NISSOKU TECHNO FINE CHEMICAL CO.,LTD.から購入、融点: 80℃)を含み、厚さは約292μmである。第1の熱硬化性樹脂層18と第1の熱可塑性樹脂層20の総厚T1は、約692±3μmである。第2の熱硬化性樹脂層22と第2の熱可塑性樹脂層24の総厚T2は、約692±3μmである。太陽電池モジュール10に以下の、ヘイズ(haze)(%)、全光透過率(total light transmittance)(%)、および拡散係数(diffusion factor)を含む物性試験が行われ、その試験結果は表2に示される。また、太陽電池モジュール10にパッケージング前後の電力利得(%)の試験を行った。その試験結果は表3に示される。
【0061】
比較例5
【0062】
太陽電池モジュールの物性試験(熱可塑性樹脂層は、拡散粒子または蛍光物質を含まない水添スチレン系樹脂である)
【0063】
本比較例では、図1に示される太陽電池モジュール10に物性試験が行われた。モジュール構造では、関連する構成要素の材料と寸法を以下に説明する:第1の基板(背面板)12は、厚さが約0.31mmの太陽電池背面板である。第2の基板(前面板)14は、厚さが約3.2mmの透明ガラスである。電池ユニット16の厚さは約180μmである。第1の熱硬化性樹脂層18は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さが約400μmである。第1の熱可塑性樹脂層20は、トリブロックアクリル系樹脂(LA2140; KURARAY Co.Ltd.から購入; メルトフローインデックス: 31g/10分(190℃; 2.16kgf))を含み、厚さは約292μmである。第2の熱硬化性樹脂層22は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さは約400μmである。第2の熱可塑性樹脂層24は、トリブロックアクリル系樹脂(LA2140; KURARAY Co.Ltd.から購入; メルトフローインデックス:31g/10分(190℃; 2.16kgf))を含み、厚さは約292μmである。第1の熱硬化性樹脂層18と第1の熱可塑性樹脂層20の総厚T1は、約692±3μmである。第2の熱硬化性樹脂層22と第2の熱可塑性樹脂層24の総厚T2は、約692±3μmである。太陽電池モジュール10に以下の、ヘイズ(haze)(%)、全光透過率(total light transmittance)(%)、および拡散係数(diffusion factor)を含む物性試験が行われ、その試験結果は表2に示される。また、太陽電池モジュール10にパッケージング前後の電力利得(%)の試験を行った。その試験結果は表3に示される。
【0064】
比較例6
【0065】
太陽電池モジュールの物性試験(EVAパッケージのみを用いる)
【0066】
本比較例では、特定の太陽電池モジュール(熱硬化性樹脂層が電池ユニットおよび基板と同時に接触している)で物性試験が行われる。モジュール構造では、関連する構成要素の材料と寸法を以下に説明する:第1の基板(背面板)は、厚さが約0.31mmの太陽電池背面板である。第2の基板(前面板)は、厚さが約3.2mmの透明ガラスである。電池ユニットの厚さは約180μmである。第1の熱硬化性樹脂層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さが約400μmである。第2の熱硬化性樹脂層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さが約400μmである。上述の太陽電池モジュールに以下の、ヘイズ(haze)(%)、全光透過率(total light transmittance)(%)、および拡散係数(diffusion factor)を含む物性試験が行われ、その試験結果は表2に示される。また、上述の太陽電池モジュールにパッケージング前後の電力利得(%)の試験を行った。その試験結果は表3に示される。
【0067】
比較例7
【0068】
太陽電池モジュールの物性試験(電池に導光バーを貼り付け、EVAパッケージを用いる)
【0069】
本比較例では、特定の太陽電池モジュール(熱硬化性樹脂層が電池ユニットおよび基板と同時に接触している)で物性試験が行われる。モジュール構造では、関連する構成要素の材料と寸法を以下に説明する:第1の基板(背面板)は、厚さが約0.31mmの太陽電池背面板である。第2の基板(前面板)は、厚さが約3.2mmの透明ガラスである。電池ユニットの厚さは約180μmである(電池ユニットの表面に導光バーを貼り付ける)。第1の熱硬化性樹脂層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さが約400μmである。第2の熱硬化性樹脂層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)であり、厚さが約400μmである。上述の太陽電池モジュールに以下の、ヘイズ(haze)(%)、全光透過率(total light transmittance)(%)、および拡散係数(diffusion factor)を含む物性試験が行われ、その試験結果は表2に示される。また、上述の太陽電池モジュールにパッケージング前後の電力利得(%)の試験を行った。その試験結果は表3に示される。
【0070】
比較例8
【0071】
太陽電池モジュールの物性試験(EVAに拡散粒子を加えたパッケージのみを用いる)
【0072】
本比較例では、特定の太陽電池モジュール(熱硬化性樹脂層が電池ユニットおよび基板と同時に接触している)で物性試験が行われる。モジュール構造では、関連する構成要素の材料と寸法を以下に説明する:第1の基板(背面板)は、厚さが約0.31mmの太陽電池背面板である。第2の基板(前面板)は、厚さが約3.2mmの透明ガラスである。電池ユニットの厚さは約180μmである。第1の熱硬化性樹脂層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)および3%の球状拡散粒子(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.から購入; 材料: ポリアクリレート樹脂、粒子サイズ: 10μm、屈折率: 1.49)であり、厚さが約400μmである。第2の熱硬化性樹脂層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(SKC、EF2N)および3%の球状拡散粒子(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.から購入; 材料: ポリアクリレート樹脂、粒子サイズ: 10μm、屈折率: 1.49)であり、厚さが約400μmである。上述の太陽電池モジュールに以下の、ヘイズ(haze)(%)、全光透過率(total light transmittance)(%)、および拡散係数(diffusion factor)を含む物性試験が行われ、その試験結果は表2に示される。また、上述の太陽電池モジュールにパッケージング前後の電力利得(%)の試験を行った。その試験結果は表3に示される。
【表2】
【表3】
【0073】
表2の試験結果から、本開示の太陽電池モジュール(例えば、実施例4および実施例5)では、特定の含有量の拡散粒子を熱可塑性樹脂層に加えると、電池内の光の拡散効果を大幅に向上させることができ(拡散係数が27以上に達する)、且つ測定されたヘイズ、全光透過率、および他のデータによれば、本開示の太陽電池モジュールは、依然として高い光透過率の光学特性を有することがわかる。
【0074】
表3の試験結果から、本開示の太陽電池モジュールでは、特定の含有量の拡散粒子を熱可塑性樹脂層に加える(例えば、実施例4)、または特定の含有量の拡散粒子および蛍光材料を熱可塑性樹脂層に同時に加える(例えば、実施例5)と、拡散粒子は電池の反射光を再び電池内に導くことができ、蛍光材料は、さらに外部の紫外線を吸収してそれを電池が利用できる可視光に変換し、電池の受光量を増やすことができる。従って、パッケージング前後の電池モジュールの電力利得を比較例5~7で提供された電池モジュールと比較すると、結果は、本開示の太陽電池モジュールがより良い電力利得を得ることができることを示している。
【0075】
実施例6
【0076】
太陽電池モジュールのPID試験
【0077】
比較例4では、2つの材料を直接混合して製膜された光透過率が表1に示すように、54.97%しかなかったため、太陽電池パッケージングフィルムの光透過率が85%以上でなければならないという要件を満たすのに不十分であるため、実施例1~3および比較例1~3で提供された太陽電池モジュールのみに電圧誘起劣化(PID)試験を行う。即ち、温度85℃、相対湿度85%、入力電圧1000Vの条件において、各電池モジュールの電力損失の程度を試験した。その結果を以下の表4に示している。
【表4】
【0078】
表4の試験結果から、本開示の太陽電池モジュール(実施例1~3)では、その複合パッケージング材料の熱可塑性樹脂層の材料が、水添スチレン系樹脂(SEBSなど)またはアクリルブロック共重合体樹脂(アクリルブロック共重合体など)であるか否かにかかわらず、測定された電力損失(試験時間96hrまたは288hr後)のデータによると、熱可塑性樹脂層を増加しても太陽電池モジュールの効率が低下しないことが証明されていることがわかる。
【0079】
実施例7
【0080】
太陽電池モジュールの湿熱劣化試験
【0081】
実施例1で提供された太陽電池モジュールに湿熱劣化試験を行った。即ち、温度85℃、相対湿度85%、試験時間1000時間の条件において、上述の電池モジュールの電力損失(power loss)の程度を試験した。その結果を以下の表5に示している。
【表5】
【0082】
表5の試験結果から、本開示の太陽電池モジュール(実施例1)では、その複合パッケージング材料の熱可塑性樹脂層の材料が、水添スチレン系樹脂(SEBSなど)のとき、測定された電力損失(試験時間1000hr後)のデータによると、モジュール構造には、湿熱劣化に強いという利点があることが証明されていることがわかる。
【0083】
実施例8
【0084】
太陽電池モジュールのUV劣化試験
【0085】
実施例1で提供された太陽電池モジュールにUV劣化試験を行った。即ち、15kWh/m2の累積のUV照度の条件において、上述の電池モジュールの電力損失の程度を試験した。その結果を以下の表6に示している。
【表6】
【0086】
表6の試験結果から、本開示の太陽電池モジュール(実施例1)では、その複合パッケージング材料の熱可塑性樹脂層の材料が、水添スチレン系樹脂(SEBSなど)のとき、測定された電力損失(15kWh/m2のUV照射後)のデータによると、モジュール構造には、UV劣化に強いという利点があることが証明されていることがわかる。
【0087】
実施例9
【0088】
太陽電池モジュールの分解試験
【0089】
本実施例では、異なる厚さの熱可塑性樹脂層と熱硬化性樹脂層を有する太陽電池モジュールに熱解離プロセスを用いて、熱分解を行った後の太陽電池モジュールのクラックの状態を試験する。450℃の温度の条件において、太陽電池モジュールにベーキングを行い、太陽電池モジュールがスムーズに分解できるか、またはクラックを生じるかを観察する。以下の11グループの太陽電池モジュールに試験を行った。試験結果を図2A図2Kに示している。11グループの太陽電池モジュールのパッケージングフィルムの構成材料とフィルムの厚さは以下のとおりである。
【0090】
グループ1: 熱可塑性SEBSの厚さは220μm、熱硬化性EVAの厚さは1,040μm、熱可塑性SEBSと熱硬化性EVAの厚さ比は1:4.73、総厚は1,260μmである。
【0091】
グループ2: 熱可塑性SEBSの厚さは440μm、熱硬化性EVAの厚さは1,040μm、熱可塑性SEBSと熱硬化性EVAの厚さ比は1:2.36、総厚は1,480μmである。
【0092】
グループ3: 熱可塑性SEBSの厚さは220μm、熱硬化性EVAの厚さは1,560μm、熱可塑性SEBSと熱硬化性EVAの厚さ比は1:7.09、総厚は1,780μmである。
【0093】
グループ4: 熱可塑性SEBSの厚さは440μm、熱硬化性EVAの厚さは1,560μm、熱可塑性SEBSと熱硬化性EVAの厚さ比は1:3.55、総厚は2,000μmである。
【0094】
グループ5: 熱可塑性SEBSの厚さは880μm、熱硬化性EVAの厚さは520μm、熱可塑性SEBSと熱硬化性EVAの厚さ比は1:0.59、総厚は1,400μmである。
【0095】
グループ6: 熱可塑性SEBSの厚さは880μm、熱硬化性EVAの厚さは1,040μm、熱可塑性SEBSと熱硬化性EVAの厚さ比は1:1.18、総厚は1,920μmである。
【0096】
グループ7: 熱可塑性SEBSの厚さは40μm、熱硬化性EVAの厚さは400μm、熱可塑性SEBSと熱硬化性EVAの厚さ比は1:10、総厚は440μmである。
【0097】
グループ8: 熱可塑性トリブロックアクリルの厚さは250μm、熱硬化性EVAの厚さは400μm、熱可塑性トリブロックアクリルと熱硬化性EVAの厚さ比は1:1.6、総厚は650μmである。
【0098】
グループ9: 熱可塑性SEBSの厚さは30μm、熱硬化性EVAの厚さは400μm、熱可塑性SEBSと熱硬化性EVAの厚さ比は1:13.33、総厚は430μmである。
【0099】
グループ10: 熱可塑性SEBSの厚さは10μm、熱硬化性EVAの厚さは400μm、熱可塑性SEBSと熱硬化性EVAの厚さ比は1:40、総厚は410μmである。
【0100】
グループ11: 熱硬化性EVAの厚さは400μm、総厚は400μmである。
【0101】
試験結果によれば、熱可塑性樹脂層と熱硬化性樹脂層の厚さ比が1:0.59~1:10のとき、熱分解プロセスにおいて電池パネルはクラックを発生しなかった(図2A図2Hに示されるように)。しかしながら、モジュールが熱硬化性パッケージングフィルムのみを含む、または熱可塑性樹脂層と熱硬化性樹脂層の厚さ比が1:10より大きいとき、クラックを発生した(図2I~2Kに示されるように)。
【0102】
本開示は、熱硬化性樹脂層(EVAなど)および熱可塑性樹脂層(SEBSなど)から構成された複合パッケージングフィルムを提供し、モジュールを保護して長寿命化を図ることができるだけでなく、モジュールを分解しているとき、熱可塑性の特性により、適切な温度において溶融したパッケージングフィルムをガラスおよび無傷の電池と分離することができ、その後の高付加価値リサイクルに役立つことができる。
【0103】
本開示は、例として及び望ましい実施の形態によって記述されているが、本開示は開示された実施形態に限定されるものではない。逆に、当業者には自明の種々の変更及び同様の配置をカバーするものである。よって、添付の特許請求の範囲は、最も広義な解釈が与えられ、全てのこのような変更及び同様の配置を含むべきである。
【符号の説明】
【0104】
10 太陽電池モジュール
12 第1の基板
14 第2の基板
16 電池ユニット
18 第1の熱硬化性樹脂層
20 第1の熱可塑性樹脂層
22 第2の熱硬化性樹脂層
24 第2の熱可塑性樹脂層
T1 第1の熱硬化性樹脂層と第1の熱可塑性樹脂層の総厚
T1a 第1の熱可塑性樹脂層の厚さ
T1b 第1の熱硬化性樹脂層の厚さ
T2 第2の熱硬化性樹脂層と第2の熱可塑性樹脂層の総厚
T2a 第2の熱可塑性樹脂層の厚さ
T2b 第2の熱硬化性樹脂層の厚さ
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
【外国語明細書】