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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099218
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】水田除草機、制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01B 39/18 20060101AFI20220627BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
A01B39/18 C
A01B69/00 303M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070384
(22)【出願日】2021-04-19
(62)【分割の表示】P 2020212688の分割
【原出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】516184218
【氏名又は名称】ドローン・ジャパン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517144145
【氏名又は名称】株式会社DRONE iPLAB
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】海津 裕
【テーマコード(参考)】
2B034
2B043
【Fターム(参考)】
2B034AA07
2B034BA07
2B034BB01
2B034BC03
2B034BG01
2B034BG05
2B034HA16
2B034HB02
2B034HB14
2B043AA04
2B043AB15
2B043BA08
2B043BA09
2B043BB07
2B043DA17
2B043DC03
2B043EA32
2B043EA40
2B043EB05
2B043EB08
2B043EB10
2B043EB15
2B043EB16
2B043EB18
2B043EC02
2B043EC14
2B043EE01
(57)【要約】
【課題】コントローラの制御信号により動作する水田除草機において、特に爪車等の除草
力の高い除草部を備えた場合にも、車輪部が推進力を発揮するため、特に爪車等の除草部
による推進力が足りない場合にも十分な推進力を発揮することが可能となり、自律走行が
容易な水田除草機を提供すること。
【解決手段】本発明による水田除草機は、コントローラからの制御信号に応答して動作す
る水田除草機であって、前記水田除草機は、前記制御信号に基づく制御に応答して動作す
る第1の動力源と、前記第1の動力源の動作に応答して、前記水田除草機の機体を移動さ
せる車輪部と、前記機体に接続され、前記第1の動力源または第2の動力源により駆動し
て除草する除草部と、を備える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラからの制御信号に応答して動作する水田除草機であって、
前記水田除草機は、前記制御信号に基づく制御に応答して動作する第1の動力源と、
前記第1の動力源の動作に応答して、前記水田除草機の機体を移動させる車輪部と、
前記機体に接続され、前記第1の動力源または第2の動力源により駆動して除草する除
草部と、を備える、
ことを特徴とする水田除草機。
【請求項2】
前記除草部は、前記水田除草機を進行させる機能をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の水田除草機。
【請求項3】
前記除草部は、複数の爪を有する爪車である、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の水田除草機。
【請求項4】
前記機体の前方または後方の少なくとも何れか一方に接続され、少なくとも浮力により
前記機体の転倒を防止する転倒防止部と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水田除草機。
【請求項5】
前記転倒防止部は、前記機体の前方に設けられる前方転倒防止部と、前記機体の後方に
設けられる後方転倒防止部と、を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の水田除草機。
【請求項6】
前記水田除草機は、流体抵抗低減部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の水田除草機。
【請求項7】
前記水田除草機は、自機の位置情報を生成する位置情報生成部をさらに備え、
前記水田除草機は、前記位置情報及び受信した経路情報に基づき動作が制御される、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の水田除草機。
【請求項8】
前記第1の動力源は、前記機体の左右に設けられ、それぞれ前記車輪部に接続され、互
いに異なる回転方向へ制御が可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の水田除草機。
【請求項9】
前記除草部は、前記第2の動力源により駆動され、前記水田除草機を進行させる機能を
有し、
前記水田除草機は、前記除草部による推進力により回転する前記車輪部の回転速度また
は回転数の少なくとも何れか一方を含む回転パラメータを検出する回転パラメータ検出部
をさらに備え、
前記回転パラメータ検出部により、前記回転パラメータが所定値を超えていないと判定
された場合に、前記第1の動力源により前記車輪部を駆動するよう動作制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の水田除草機。
【請求項10】
コントローラからの制御信号に応答して動作する水田除草機の制御方法であって、
前記水田除草機は、前記制御信号に基づく制御に応答して動作する第1の動力源と、
前記第1の動力源の動作に応答して、前記水田除草機の機体を移動させる車輪部と、
前記機体に接続され、第2の動力源により駆動して除草すると共に、前記水田除草機を
進行させる除草部と、
前記除草部による推進力により回転する前記車輪部の回転速度または回転数の少なくと
も何れか一方を含む回転パラメータを検出する回転パラメータ検出部と、を備え、
前記回転パラメータ検出部により、前記回転パラメータが所定値を超えていないと判定
された場合に、前記第1の動力源により前記車輪部を駆動するよう動作制御する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項11】
コントローラからの制御信号に応答して動作する水田除草機の制御方法を実行させるプ
ログラムであって、
前記水田除草機は、前記制御信号に基づく制御に応答して動作する第1の動力源と、
前記第1の動力源の動作に応答して、前記水田除草機の機体を移動させる車輪部と、
前記機体に接続され、第2の動力源により駆動して除草すると共に、前記水田除草機を
進行させる除草部と、
前記除草部による推進力により回転する前記車輪部の回転速度または回転数の少なくと
も何れか一方を含む回転パラメータを検出する回転パラメータ検出部と、を備えるもので
あって、
前記回転パラメータ検出部により、前記回転パラメータが所定値を超えていないと判定
された場合に、前記第1の動力源により前記車輪部を駆動するよう動作制御する制御方法
を前記水田除草機に実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田除草機、制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水田除草機は、ハンドルや持ち手で作業者に操作される水田除草機が主であった
が、昨今の農業人口減少に伴い水田除草作業の自動化が課題となっている。特許文献1に
は、コントローラ制御による自律走行水田除草機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016―152775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記例示した自律走行水田除草機は、樹脂等により形成されたブラシに
より除草を行うものであり、当該ブラシが例えば樹脂製である場合には、その可撓性から
水田や雑草の状況によっては必ずしも除草力が十分ではなかった。
【0005】
そこで、樹脂製のブラシに代えて、例えば中耕除草機のような水田除草機に備えられて
いる金属製の爪車と呼ばれる構成を備えることを出願人は検討した。爪車とは、例えば動
力源により回転するローラ状の車に櫛歯状に複数の爪が突設されたものであり、当該爪に
より除草するものである。しかしながら、鋭意検討の結果、従来の中耕除草機では人によ
り持ち手での操作が前提とされているところ、自律走行水田除草機においては、水田の土
の水分量が多い場合には、泥がスラリー状になり、爪車だけでは推進力が足りず、単独で
の自律走行が難しい場合があった。
【0006】
そこで、本発明は、コントローラの制御信号により動作する水田除草機において、特に
爪車等の除草力の高い除草部を備えた場合にも自律走行が容易な水田除草機を提供するこ
とを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、コントローラからの制御信号に応答して動作する水田除草機であって
、前記水田除草機は、前記制御信号に基づく制御に応答して動作する第1の動力源と、前
記第1の動力源の動作に応答して、前記水田除草機の機体を移動させる車輪部と、前記機
体に接続され、前記第1の動力源または第2の動力源により駆動して除草する除草部と、
を備える、ことを特徴とする水田除草機が得られる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コントローラの制御信号により動作する水田除草機において、特に爪
車等の除草力の高い除草部を備えた場合にも自律走行が容易な水田除草機を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1にかかる水田除草機の側面図であり、車輪部を省略している図である。
図2】本発明の実施形態1にかかる水田除草機の一例の側面図である。
図3】本発明の実施形態1にかかる水田除草機の一例の背面図である。
図4】本発明の実施形態1にかかる水田除草機の一例の上面図である。
図5図1の制御部のハードウェア構成のブロック図の一例である。
図6】本発明の実施形態1にかかる車輪部の一例の側面図である。
図7】本発明の実施形態1にかかる車輪部の一例の前面図である。
図8】本発明の実施形態1にかかる水田除草機の他の例の上面図である。
図9】本発明の実施形態2にかかる水田除草機の一例の側面図である。
図10】本発明の実施形態2にかかる水田除草機の一例の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による水田除草機、
制御方法、プログラムは、以下のような構成を備える。
[項目1]
コントローラからの制御信号に応答して動作する水田除草機であって、
前記水田除草機は、前記制御信号に基づく制御に応答して動作する第1の動力源と、
前記第1の動力源の動作に応答して、前記水田除草機の機体を移動させる車輪部と、
前記機体に接続され、前記第1の動力源または第2の動力源により駆動して除草する除
草部と、を備える、
ことを特徴とする水田除草機。
[項目2]
前記除草部は、前記水田除草機を進行させる機能をさらに有する、
ことを特徴とする項目1に記載の水田除草機。
[項目3]
前記除草部は、複数の爪を有する爪車である、
ことを特徴とする項目1または2のいずれかに記載の水田除草機。
[項目4]
前記機体の前方または後方の少なくとも何れか一方に接続され、少なくとも浮力により
前記機体の転倒を防止する転倒防止部と、をさらに備える、
ことを特徴とする項目1乃至3のいずれかに記載の水田除草機。
[項目5]
前記転倒防止部は、前記機体の前方に設けられる前方転倒防止部と、前記機体の後方に
設けられる後方転倒防止部と、を含む、
ことを特徴とする項目4に記載の水田除草機。
[項目6]
前記水田除草機は、流体抵抗低減部をさらに有する、
ことを特徴とする項目1乃至5のいずれかに記載の水田除草機。
[項目7]
前記水田除草機は、自機の位置情報を生成する位置情報生成部をさらに備え、
前記水田除草機は、前記位置情報及び受信した経路情報に基づき動作が制御される、
ことを特徴とする項目1乃至6のいずれかに記載の水田除草機。
[項目8]
前記第1の動力源は、前記機体の左右に設けられ、それぞれ前記車輪部に接続され、互
いに異なる回転方向へ制御が可能である、
ことを特徴とする項目1乃至7のいずれかに記載の水田除草機。
[項目9]
前記除草部は、前記第2の動力源により駆動され、前記水田除草機を進行させる機能を
有し、
前記水田除草機は、前記除草部による推進力により回転する前記車輪部の回転速度また
は回転数の少なくとも何れか一方を含む回転パラメータを検出する回転パラメータ検出部
をさらに備え、
前記回転パラメータ検出部により、前記回転パラメータが所定値を超えていないと判定
された場合に、前記第1の動力源により前記車輪部を駆動するよう動作制御する、
ことを特徴とする項目1乃至8のいずれかに記載の水田除草機。
[項目10]
コントローラからの制御信号に応答して動作する水田除草機の制御方法であって、
前記水田除草機は、前記制御信号に基づく制御に応答して動作する第1の動力源と、
前記第1の動力源の動作に応答して、前記水田除草機の機体を移動させる車輪部と、
前記機体に接続され、第2の動力源により駆動して除草すると共に、前記水田除草機を
進行させる除草部と、
前記除草部による推進力により回転する前記車輪部の回転速度または回転数の少なくと
も何れか一方を含む回転パラメータを検出する回転パラメータ検出部と、を備え、
前記回転パラメータ検出部により、前記回転パラメータが所定値を超えていないと判定
された場合に、前記第1の動力源により前記車輪部を駆動するよう動作制御する、
ことを特徴とする制御方法。
[項目11]
コントローラからの制御信号に応答して動作する水田除草機の制御方法を実行させるプ
ログラムであって、
前記水田除草機は、前記制御信号に基づく制御に応答して動作する第1の動力源と、
前記第1の動力源の動作に応答して、前記水田除草機の機体を移動させる車輪部と、
前記機体に接続され、第2の動力源により駆動して除草すると共に、前記水田除草機を
進行させる除草部と、
前記除草部による推進力により回転する前記車輪部の回転速度または回転数の少なくと
も何れか一方を含む回転パラメータを検出する回転パラメータ検出部と、を備えるもので
あって、
前記回転パラメータ検出部により、前記回転パラメータが所定値を超えていないと判定
された場合に、前記第1の動力源により前記車輪部を駆動するよう動作制御する制御方法
を前記水田除草機に実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【0011】
<実施形態1の詳細>
以下、本発明の実施形態1にかかる水田除草機について、図面を参照しながら説明する
。なお、添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号及び名
称が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省
略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施
形態にも適用可能である。
【0012】
図1-4に示される構成を一例として、本実施の形態による水田除草機100について
説明する。ここで、便宜的に、水田除草機100の前後方向(長さ方向)をx軸方向、横
方向(幅方向)をy軸方向、上下方向(高さ方向)をz軸方向として説明する。図示され
るように、水田除草機100は、制御部110と枠部120、第1の動力源130、支持
部140、除草部150(以下、具体例として爪車150という。)、爪160、第2の
動力源170、転倒防止部180、車輪部190を有している。なお、水田除草機100
全体を総称して、機体と呼称することがある。
【0013】
制御部110は、作業者が操作するコントローラ(不図示)からの制御信号を受信し、
第1の動力源130及び第2の動力源170(例えば電気を燃料とするモータ、ガソリン
等を燃料とするエンジン、または、モータとエンジンを協働させるハイブリッド型など)
を動作させ、機体の前方または後方に機体を進行させることが可能である。
【0014】
ここで、図5では制御部110のハードウェア構成について例示する。制御部110は
、制御部110または第1の動力源130及び第2の動力源170に電気や燃料などから
発生するエネルギーを供給するエネルギー供給源220に接続されている。なお、エネル
ギー供給源220は、制御部110内部に備えられていてもよいし、外部から制御部11
0に接続されて備えられていてもよい。また、エネルギー供給源220は、エネルギーを
蓄積するエネルギー蓄積手段(例えばバッテリーまたはタンクなど。不図示)を備えてい
てもよい。
【0015】
また、制御部110は、少なくとも動力源制御部210を備える。そして、動力源制御
部210は、送受信部211、処理部212、記憶部213、センサ類214を備える。
【0016】
制御部110は、1つ以上の外部のコントローラ(例えば、送受信機(プロポ)49、
端末、表示装置、または他の遠隔の制御器)からのデータを受け取るおよび/またはデー
タを送信するように構成された送受信部211を備える。送受信部211は、有線通信ま
たは無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができるが、有線通信の場合、
通信ケーブルを考慮して作業ルート等を検討する必要があるため、作業の利便性を考慮す
ると無線通信がより好ましい。
【0017】
処理部212は、送受信部211から受信したデータや、後述する記憶部213に記憶
されたデータやセンサ類214からのデータを基にデータ処理を実施し、例えば動力源1
30に接続された制御線230を介して動力源130を制御するための制御信号を送信す
る。
【0018】
記憶部213は、1つ以上のステップを行うために制御部110が実行可能であるロジ
ック、コード、および/またはプログラム命令を記憶している。また、記憶部213は、
例えば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離可能な媒体または外
部の記憶装置を含んでいてもよい。センサ類214から取得したデータは、記憶部213
に直接に伝達されかつ記憶されてもよい。
【0019】
センサ類214は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPSセンサ、近
接センサ(例えば、ライダー)、またはビジョン/イメージセンサ(例えば、カメラ)を
含み得る。特に、転倒防止の観点から慣性センサを少なくとも備えることが好ましく、例
えば慣性センサのデータを用いて、処理部212により動力源130の動作を調節し(例
えば、動力源130の負荷が大きくなった場合には、動力源130の駆動力を弱めるなど
)、慣性などによる転倒を防止する。
【0020】
センサ類214は、上記GPSセンサのような自機の位置情報を生成する位置情報生成
部を含んでいてもよい。制御部110は、当該位置情報と、送受信部211がコントロー
ラ等から受信した経路情報とに基づき、当該経路情報が示す経路(特に水田上の経路)を
水田除草機100が自律走行するように動作制御してもよい。
【0021】
ここで、図1-4に戻り、水田除草機100について説明する。枠部120は、例えば
金属製であって、制御部110や支持部140、爪車150、第2の動力源170、転倒
防止部180を支持している。なお、枠部120は、図1に図示されない構成をさらに支
持するように構成されていてもよい。
【0022】
第1の動力源130は、支持部140を介して枠部120に接続されており、車輪部1
90を動作させるものである。その具体的な構成については、上述のとおり、例えば電気
を燃料とするモータ、ガソリン等を燃料とするエンジン、または、モータとエンジンを協
働させるハイブリッド型などの様々な形態であってよい。
【0023】
また、左右の第1の動力源130は、左右の車輪部190を互いに異なる回転方向へ制
御可能である。このような構成とすることにより、水田除草機100の進行方向を変えた
り、その場で回転したりすることが容易となる。
【0024】
車輪部190は、例えば第1の動力源130により回転する車輪である。より好適には
図6及び図7に示されるような機体後方側に傾斜したフィン191のある車輪であって
もよい。
【0025】
第2の動力源170は、爪車150を動作させるものであり、その具体的な構成につい
ては、上述のとおり、例えば電気を燃料とするモータ、ガソリン等を燃料とするエンジン
、または、モータとエンジンを協働させるハイブリッド型などの様々な形態であってよい
。本実施形態では第1の動力源130とは別の構成としているが、第1の動力源130の
エネルギーを考慮して共通化可能であるならば、第2の動力源170を備えずに、第1の
動力源130のみとしてもよい。
【0026】
また、左右の第2の動力源170は、左右の爪車150を互いに異なる回転方向へ制御
可能である。従来、左右の爪車は同じ回転方向にしか動作しなかったため、持ち手により
進行方向を変更していたが、このような構成とすることにより、水田除草機100の進行
方向を変えたり、その場で回転したりすることがさらに容易となる。
【0027】
爪車150は、例えば第2の動力源170により回転するローラ状の車に、櫛歯状に複
数の爪160が突設されたものであり、爪160は機体後方へ屈曲した形状である。爪車
150は、例えばチェーン及び歯車(不図示)で第2の動力源170と接続され、第2の
動力源170の動作に応答して回動し、機体を前方または後方に移動させる。なお、爪車
150及び爪160の形状は、除草機能を有する形状であれば、これに限らない。
【0028】
爪車150は、例えば前方爪車の櫛歯状の爪の数を、後方爪車の櫛歯状の爪の数よりも
多くしてもよい。これにより、爪車150による除草効果が高まる。また、図1-4の後
方爪車の構成に代えて、図8に例示されるように、後方の爪車が、例えば動力源130に
より回転するローラ状の車に、爪160の代わりに板状の複数の羽根163が突設された
羽根車153としてもよい。
【0029】
また、上記実施形態に代えて、例えば第2の動力源170を前方爪車141と後方爪車
142とで個別に複数設けたり、チェーンに接続される歯車のギア比を前後の爪車で変え
たりするなどして、前方爪車の回転数を、後方爪車の回転数よりも多くするなどしてもよ
い。
【0030】
転倒防止部180は、水田除草機100の前方または後方の少なくとも何れか一方に設
けられており、例えば中心部が空洞(中空)である円筒状の形状であるが、これに限らず
、例えば球体、長球状、立方体、直方体、円柱といった形状であってもよい。そして、転
倒防止部180が空気を多く含んでいて浮力を生じやすい素材(例えば、発泡素材など)
により構成されている。これにより、例えば水田に張られた水に対して浮力が生じ、水田
除草機100が機体後方に転倒しそうな場合に機体を転倒しないように支持することが可
能である。また、転倒防止部180自体の内部を中空(例えば、発泡素材、プラスチック
素材、ゴム素材など)としてもよく、この場合にも上記同様の効果を奏する。
【0031】
また、図1等に例示される水田除草機100では、転倒防止部180として、機体前方
に設けられた前方転倒防止部及び機体後方に設けられた後方転倒防止部を備えている。こ
れにより、機体が前方及び後方の両方向に進行する場合や始動時及び停止時の両方におい
て、前方及び後方の両方向に対しても転倒防止効果が得られる。なお、主な進行方向や、
機体の重心等により、転倒しやすい方向が決まっている場合などには、前方転倒防止部と
後方転倒防止部とが、少なくとも形状、大きさ、素材、浮力のいずれか1つを互いに異な
らせていてもよい。
【0032】
以上の構成により、コントローラの制御信号により動作する水田除草機において、特に
爪車等の除草力の高い除草部を備えた場合にも、車輪部190が推進力を発揮するため、
特に爪車等の除草部による推進力が足りない場合にも十分な推進力を発揮することが可能
となり、自律走行が容易な水田除草機を提供することができる。
【0033】
<実施形態2の詳細>
以下、本発明の実施形態2にかかる水田除草機について、図9及び図10を参照しなが
ら説明する。本実施形態の水田除草機100は、流体抵抗低減部300及び当該流体抵抗
低減部300を模した転倒防止部310を備える。
【0034】
流体抵抗低減部170及び転倒防止部310は、水等の流体抵抗を低減して水田除草機
100を進行しやすくする形状であればよく、例えば船底のような略V字形状または湾曲
形状であってもよい。また、船のように上面に凹部を有してもよいし、輪郭のみ船形状で
あってもよい。
【0035】
また、図9及び図10に示されるように、流体抵抗低減部300の一部に貫通部を設け
、貫通部内に上述の転倒防止部180を備えるようにしてもよい。図9及び図10は、構
成の多様性を示すために、流体抵抗低減部300及び転倒防止部310、転倒防止部18
0をまとめて備えているが、これに限らず、前方または後方のいずれかに流体抵抗低減部
300または転倒防止部310を備えるようにしてもよいし、転倒防止部180を併用し
なくてもよい。
【0036】
<実施形態3の詳細>
以下、本発明の実施形態3にかかる水田除草機100について説明する。実施形態3に
おいては、第1の動力源130と第2の動力源170の制御について詳細を記載する。
【0037】
上記実施形態1においても記載したとおり、制御部110は、当該位置情報と、送受信
部211がコントローラ等から受信した経路情報とに基づき、経路情報が示す経路(特に
水田上の経路)を水田除草機100が自律走行するように動作制御する。
【0038】
この時、第1の動力源130及び車輪部190による推進力と、第2の動力源170及
び爪車150による推進力がそれぞれ発生するため、例えば爪車150の推進力を車輪部
190の推進力で補うようにしてもよい。
【0039】
より具体的には、水田除草機100において、車輪部190回転速度や回転数などの回
転パラメータを検出する回転パラメータ検出部を設けてもよい。そして、爪車150の推
進力のみでは車輪部190の回転パラメータが第1の所定値を超えない場合に、車輪部1
90を駆動させて、当該回転パラメータが第1の所定値を超えるように補う補助動作制御
を行ってもよい。この時、第1の所定値を超えた第2の所定値までは補助動作制御を継続
するようにしたり、第1の所定よりも低い第3の所定値までは補助動作制御を中止するよ
うにしてもよい。
【0040】
さらに具体的には、従来型の除草機のように爪車150はエンジン(第2の動力源17
0)で一定回転数で駆動させておき、爪車150による推進力により車輪部190が回転
する際の回転パラメータを検出し、例えば水田の土の水気が多く爪車150での推進力で
は車輪部190の回転パラメータが所定値(例えば、第1の所定値)に満たない場合には
、さらにモータ(第1の動力源130)により車輪部190を回転させることで、当該回
転パラメータが所定値となるように補助動作制御を行うようにしてもよい。反対に、爪車
150のみの推進力により車輪部190が回転している場合には、車輪部190に設けら
れたモータが発電機として作用し、当該モータに接続されたバッテリーを充電することが
可能となる。
【0041】
以上の構成により、コントローラの制御信号により動作する水田除草機において、特に
爪車等の除草力の高い除草部を備えた場合にも、適切なタイミングで車輪部または除草部
が推進力を発揮することが可能となり、自律走行が容易な水田除草機を提供することがで
きる。
【0042】
なお、実施形態1-3においては、水田除草機を例示したが、これに限らず、適用可能
であれば何れの農業機械であってもよい。その場合、転倒防止部は、浮力ではなく、物理
的に転倒が抑えられればそれでもよい。
【0043】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定
して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良
することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0044】
100 水田除草機
110 制御部
120 枠部
130 第1の動力源
140 支持部
150 機体移動部(爪車)
160 爪
170 第2の動力源
180 転倒防止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10