(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099226
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】スナバコンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20220627BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20220627BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20220627BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20220627BHJP
【FI】
H01G4/30 201H
H01L25/04 C
H01G4/228 W
H01G4/30 513
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021135041
(22)【出願日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】10 2020 216 473.8
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】リウ ウェイ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
5H770
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BB02
5E082BC25
5E082GG08
5H770AA21
5H770JA10X
5H770KA05X
5H770QA06
5H770QA22
(57)【要約】
【課題】スナバコンデンサを開示する。
【解決手段】スナバコンデンサは、第1電極と、第2電極と、それらの間のコンデンサコアと、導電性の第1抽出素子と、導電性の第2抽出素子と、を備える。第1抽出素子は、第1電極に電気的に結合され、第1電極の少なくとも一部およびコンデンサコアの一部を覆う。第2抽出素子は、第2電極に電気的に結合され、第2電極の少なくとも一部およびコンデンサコアの別の部分を覆う。第1抽出素子は、第2抽出素子から電気的に絶縁されている。スナバコンデンサへの熱影響が改善される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スナバコンデンサであって、
第1電極と、第2電極と、それらの間のコンデンサコアと、
前記第1電極に電気的に結合され、前記第1電極の少なくとも一部および前記コンデンサコアの一部を覆う、導電性の第1抽出素子と、
前記第2電極に電気的に結合され、前記第2電極の少なくとも一部および前記コンデンサコアの別の部分を覆う、導電性の第2抽出素子と、を備え、
前記第1抽出素子は、前記第2抽出素子から電気的に絶縁されている、スナバコンデンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のスナバコンデンサであって、前記第1抽出素子に結合された前記第1電極の端面は、前記第2抽出素子に結合された前記第2電極の端面と対向する、スナバコンデンサ。
【請求項3】
請求項1に記載のスナバコンデンサであって、前記第1抽出素子によって覆われた前記コンデンサコアの側壁は、前記第2抽出素子によって覆われた前記コンデンサコアの側壁と対向する、スナバコンデンサ。
【請求項4】
請求項1に記載のスナバコンデンサであって、前記第1抽出素子によって覆われた前記コンデンサコアの側壁は、前記第2抽出素子によって覆われた前記コンデンサコアの側壁に隣接している、スナバコンデンサ。
【請求項5】
請求項1に記載のスナバコンデンサであって、前記第1抽出素子および前記第2抽出素子は、両方ともL字形状である、スナバコンデンサ。
【請求項6】
請求項1に記載のスナバコンデンサであって、前記第1抽出素子および前記第2抽出素子の少なくとも1つは、ベース部分と、前記スナバコンデンサの長手方向に沿って前記ベース部分から延びる2つの延在部分と、を備え、前記2つの延在部分は各々、前記コンデンサコアの2つの隣接する側壁に平行に延びる、または、
前記第1抽出素子および前記第2抽出素子の少なくとも1つは、ベース部分と、前記スナバコンデンサの長手方向に沿って前記ベース部分から延びる2つの延在部分と、を備え、前記2つの延在部分は各々、前記コンデンサコアの対向する側壁に平行に延びる、スナバコンデンサ。
【請求項7】
請求項1に記載のスナバコンデンサであって、前記第1抽出素子は、前記第1電極にはんだ付け/焼結されている、および/または、前記第2抽出素子は、前記第2電極にはんだ付け/焼結されている、スナバコンデンサ。
【請求項8】
請求項7に記載のスナバコンデンサであって、前記第1抽出素子は、前記第1電極に超音波はんだ付けされている、および/または、前記第2抽出素子は、前記第2電極に超音波はんだ付けされている、スナバコンデンサ。
【請求項9】
請求項7に記載のスナバコンデンサであって、前記第1抽出素子は、銀によって前記第1電極に焼結されている、および/または、前記第2抽出素子は、銀によって前記第2電極に焼結されている、スナバコンデンサ。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載のスナバコンデンサを備えるパワーモジュールであって、前記スナバコンデンサは、前記パワーモジュール内部に設けられ、
前記パワーモジュールは、少なくとも1つのパワー半導体素子と、第1導電層と、前記パワー半導体素子をそれらの間で挟むように構成された第2導電層と、を備え、
前記第1抽出素子は前記第1導電層に電気的に結合され、前記第2抽出素子は前記第2導電層に電気的に結合され、
前記第1抽出素子の熱膨張係数は、前記第1導電層の熱膨張係数と前記第1電極の熱膨張係数との間であり、前記第2抽出素子の熱膨張係数は、前記第2電極の熱膨張係数と前記第2導電層の熱膨張係数との間である、パワーモジュール。
【請求項11】
請求項10に記載のパワーモジュールであって、前記スナバコンデンサは、前記パワー半導体素子に隣接して配置されている、パワーモジュール。
【請求項12】
請求項10に記載のパワーモジュールであって、
前記パワーモジュールの動作温度は、-40℃~150℃であり、および/または
前記第1導電層と前記第2導電層との間の電圧は、300V~800Vであり、および/または
前記第1導電層と前記第2導電層との間の電流は、100A~1000Aである、パワーモジュール。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載のパワーモジュールであって、前記スナバコンデンサはMLCCである、パワーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スナバコンデンサ(snubber capacitor)、特にパワーモジュール内部に設けられたスナバコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
パワーデバイス(例えばSiC、GaNなどの、WBG(wide bandgap/ワイドバンドギャップ)半導体、)は、電源用途のように高速で効率的なスイッチングが要求される用途において、ますます普及が進んでいる。さらに、パワーデバイスは、通常、パワーモジュールパッケージおよび周囲の回路の浮遊インダクタンスによって干渉される。パワーデバイスの高速スイッチング能力は、高い「dv/dt」を引き起こす。その結果、スイッチオフ時に、パワーデバイスのドレイン端子とソース端子との間に大きなサージ電圧およびEMI(Electromagnetic Interference/電磁干渉)ノイズが生じる。
【0003】
この電圧サージを平滑化してノイズを低減するために、
図1に示すようにスナバコンデンサCcが追加される。
図2を参照すると、スナバコンデンサがある場合とない場合の、2つの電圧波形が各々示される。破線で示されるように、電圧サージはスナバコンデンサによって平滑化される。したがって、スナバコンデンサは、WBG半導体用途において不可避な素子となる。
【0004】
次に
図3を参照すると、従来のインバータの設計がブロック図で示される。インバータは、ACコネクタ101と、DCコネクタ102と、WBGパワーデバイスなどの複数のパワーデバイス1031を備えるパワーモジュール103と、パワーモジュール103に隣接するスナバコンデンサ104と、を備える。スナバコンデンサ104は、パワーデバイス1031に可及的に近づけて設ける必要がある。従来のインバータでは、スナバコンデンサが、パワーデバイスの一部に隣接して設けられているのみである。そのため、スナバコンデンサの平滑化効果が制限されている。
【0005】
また、MLCC(Multi-layer Ceramic Capacitor/多層セラミックコンデンサ)は、その適切な容量値のために、従来のインバータの設計で一般的に使用されている。MLCCは、2つの外部電極と、誘電体電極および内部電極を備えるコンデンサコアと、を備える。
図4を参照すると、MLCC104は、はんだ材料6によって銅パターン層114上にはんだ付けされている。MLCCの下に、ギャップ118が存在する。熱樹脂112は、銅パターン層114とピンフィン冷却部材110との間に設けられている。(当業者であれば、銅パターンと冷却部材との間には絶縁材料があり、この場合、熱樹脂112が絶縁材料として使用されることを理解されたい。)この設計では、MLCC104によって発生される熱は、はんだ材料6を通してのみ放散することができる。その結果、不所望な熱伝導効率が発生する。場合によっては、スナバコンデンサが、熱状態が悪い場合に焼損さえする。
【発明の概要】
【0006】
スナバコンデンサの熱状態を改善し、平滑化効果を高めるために、スナバコンデンサが開示される。スナバコンデンサは、第1電極と、第2電極と、それらの間のコンデンサコアと、導電性の第1抽出素子と、導電性の第2抽出素子と、を備える。第1抽出素子は、第1電極に電気的に結合され、第1電極の少なくとも一部およびコンデンサコアの一部を覆う。第2抽出素子は、第2電極に電気的に結合され、第2電極の少なくとも一部およびコンデンサコアの別の部分を覆う。第1抽出素子は、第2抽出素子から電気的に絶縁されている。この設計によって、抽出素子は、スナバコンデンサと、スナバコンデンサに結合された素子(インバータの外部コネクタ、パワーモジュールの導電層の回路パターンなど)との間の接触面積を拡大する。これにより、スナバコンデンサの放熱性が改善される。
【0007】
本発明の別の態様によれば、第1抽出素子に結合された第1電極の端面は、第2抽出素子に結合された第2電極の端面と対向する。
【0008】
本発明の別の態様によれば、第1抽出素子によって覆われたコンデンサコアの側壁は、第2抽出素子によって覆われたコンデンサコアの側壁と対向する。
【0009】
本発明の別の態様によれば、第1抽出素子によって覆われたコンデンサコアの側壁は、第2抽出素子によって覆われたコンデンサコアの側壁に隣接している。電圧サージを平滑化し、EMIノイズを減少させるために、このスナバコンデンサを、パワーモジュールのパワー素子の近傍に設けることができる。
【0010】
本発明の別の態様によれば、第1抽出素子および第2抽出素子は、両方ともL字形状である。これらの抽出素子によって、スナバコンデンサを、垂直又は水平のいずれかでパワーモジュール内部に設けることができる。
【0011】
本発明の別の態様によれば、第1抽出素子および第2抽出素子の少なくとも1つは、ベース部分と、スナバコンデンサの長手方向に沿ってベース部分から延びる2つの延在部分と、を備える。この2つの延在部分は各々、コンデンサコアの2つの隣接する側壁に平行に延びる。代替的な実施形態において、第1抽出素子および第2抽出素子の少なくとも1つは、ベース部分と、スナバコンデンサの長手方向に沿ってベース部分から延びる2つの延在部分と、を備える。2つの延在部分は各々、コンデンサコアの対向する側壁に平行に延びる。隣接する延在部分を備えるスナバコンデンサは、主に、パワーモジュール内部で内部のスナバコンデンサとして使用される。一方、対向する延在部分を備えるスナバコンデンサは、パワーモジュール外部で使用される。これらの抽出素子によって、スナバコンデンサの放熱面積が明らかに増加される。これによって、スナバコンデンサへの熱影響が改善される。また、スナバコンデンサは、温度変化に起因する応力変化の影響を受けにくくなっている。
【0012】
本発明の別の態様によれば、第1抽出素子は、第1電極にはんだ付け/焼結されている。および/または、第2抽出素子は、第2電極にはんだ付け/焼結されている。
【0013】
本発明の別の態様によれば、第1抽出素子は、第1電極に超音波はんだ付けされている。および/または、第2抽出素子は、第2電極に超音波はんだ付けされている。
【0014】
本発明の別の態様によれば、第1抽出素子は、銀によって第1電極に焼結されている。および/または、第2抽出素子は、銀によって第2電極に焼結されている。
【0015】
本発明の別の態様によれば、パワーモジュールが開示される。パワーモジュールは、上述のスナバコンデンサを備える。スナバコンデンサは、パワーモジュール内部に設けられている。パワーモジュールは、少なくとも1つのパワー半導体素子と、第1導電層と、パワー半導体素子をそれらの間で挟むように構成された第2導電層と、を備える。第1抽出素子は、第1導電層に電気的に結合されている。第2抽出素子は、第2導電層に電気的に結合されている。第1抽出素子の熱膨張係数は、第1導電層の熱膨張係数と第1電極の熱膨張係数との間である。第2抽出素子の熱膨張係数は、第2電極の熱膨張係数と第2導電層の熱膨張係数との間である。この設計では、電極から導電層への熱移行が十分に緩やかであるため、応力の不均一な分布を回避できる。したがって、スナバコンデンサを、パワーモジュール内にしっかりと固定することができる。また、スナバコンデンサと導電層との間の接触面積が十分に大きいため、放熱が改善される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、スナバコンデンサは、パワー半導体素子に隣接して配置されている。
【0017】
本発明の別の態様によれば、パワーモジュールの動作温度は、-40℃~150℃である。第1導電層と第2導電層との間の電圧は、300V~800Vである。第1導電層と第2導電層との間の電流は、100A~1000Aである。
【0018】
本発明の別の態様によれば、スナバコンデンサはMLCCである。
【0019】
実施形態の他の態様および利点は、説明される実施形態の原理を例として示す添付の図面と併せて解釈される以下の詳細な説明から明らかになる。
【0020】
記載される実施形態およびその利点は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって最もよく理解することができる。これらの図面は、記載される実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、記載される実施形態に対して当業者が行うことができる形態および詳細のいかなる変更をも、決して制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】パワーデバイスを使用する電源回路を示す図である。
【
図2】スナバコンデンサの有無による2つの電圧波形の各々を示す図である。
【
図3】スナバコンデンサがパワーモジュールに隣接して設けられている従来のインバータを示す図である。
【
図4】ピンフィン冷却部材を備えるスナバコンデンサ装置の断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態によるスナバコンデンサの斜視図である。
【
図6】
図5のスナバコンデンサの抽出素子の斜視図である。
【
図7】本発明の第2実施形態によるスナバコンデンサの斜視図である。
【
図8】本発明の第2実施形態によるスナバコンデンサの別の斜視図である。
【
図9】
図7のスナバコンデンサの抽出素子の斜視図である。
【
図10】本発明の第2実施形態による抽出素子の別の斜視図である。
【
図11】本発明の第2実施形態による両面冷却装置を備えるパワーモジュールの図である。
【
図13】本発明の第3実施形態によるスナバコンデンサの斜視図である。
【
図14】
図13のスナバコンデンサの抽出素子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明において、異なる実施形態のスナバコンデンサは、主に、インバータのパワーモジュール、または電気自動車のインバータなど、自動車産業で使用される。スナバコンデンサは、パワーモジュール内部に、またはパワーモジュールに隣接して設けられる。PCB用途とは異なり、パワーモジュールの動作条件は、はるかにより厳しい。例えば、パワー力モジュールの動作温度は、-40℃~150℃の範囲である。第1導電層(正極性を表す)と第2導電層(負極性を表す)との間の電圧は、300V~800Vである。第1導電層と第2導電層との間の電流は、100A~1000Aである。したがって、上記の要求を満たすためには、コンデンサに対する温度の影響を考慮する必要がある。
【0023】
最初に、
図5~
図6を参照すると、スナバコンデンサ1は、第1電極11と、第2電極12と、その間のコンデンサコア10と、を備える。スナバコンデンサは、導電性の第1抽出素子21および導電性の第2抽出素子22を更に備える。第1抽出素子21は、第1電極11に電気的に結合され、第1電極11の少なくとも一部およびコンデンサコア10の一部を覆う。第2抽出素子22は、第2電極12に電気的に結合され、第2電極12の少なくとも一部およびコンデンサコア10の別の部分を覆う。短絡を防止するために、第1抽出素子21は、第2抽出素子22から電気的に絶縁されている。例えば、スナバコンデンサの長手方向(L)における、第1抽出素子21と第2抽出素子22との間の最短距離は、少なくとも1mmである。
【0024】
主に
図6を参照すると、第1抽出素子21および第2抽出素子22は、両方ともL字形状である。第1抽出素子21は、ベース部分211と、スナバコンデンサの長手方向(L)に沿ってベース部分211から延びる延在部分212と、を備える。第2抽出素子22は、ベース部分221と、スナバコンデンサの長手方向に沿ってベース部分221から延びる延在部分222と、を備える。第1抽出素子21を例にとると、ベース部分211は延在部分212に対して直角をなす。第1電極11は、ベース部分211に結合され、ベース部分211によって覆われている。コンデンサコア10の一方の側壁は、延在部分212によって部分的に覆われている。第1抽出素子21に結合された第1電極11の端面は、第2抽出素子22に結合された第2電極12の端面と対向する。第1抽出素子によって覆われたコンデンサコアの側壁は、第2抽出素子によって覆われたコンデンサコアの側壁と対向する。
【0025】
この実施形態において、第1抽出素子21は第1電極11にはんだ付けされている。第2抽出素子22は第2電極22にはんだ付けされている。より詳細には抽出素子21、22は、電極に超音波はんだ付けされている。他の好適な実施形態において、抽出素子21、22を、銀によって電極11、12に焼結させることができる。
【0026】
パワーエレクトロニクス用途において、例えば、スナバコンデンサをインバータにおいて適用することができる。スナバコンデンサは、パワーモジュールの近くに設けられ、パワーモジュール内部のパワー半導体素子のスイッチングの間の電圧サージを平滑化する。抽出素子の助けによって、スナバコンデンサを銅パターン層上に着実に固定することができる。一方、放熱面積の増加によって、熱影響も改善される。この用途では、第1抽出素子によって覆われたコンデンサコアの側壁は、第2抽出素子によって覆われたコンデンサコアの側壁に隣接している。
【0027】
次に、
図7~
図10を参照すると、本発明の第2実施形態によるスナバコンデンサが図示される。L字形状の抽出素子の代わりに、第1抽出素子31および第2抽出素子32の各々は、ベース部分311、321と、スナバコンデンサの長手方向(L)に沿ってベース部分311、321から延びる2つの延在部分312、322と、を備える。2つの延在部分312、322は各々、コンデンサコア10の隣接する側壁に平行に延びる。
【0028】
用途によっては、スナバコンデンサは、(
図7~
図8に示すように)パワーモジュール内部に設けられたMLCCである。次に、
図11~
図12を参照すると、パワーモジュールは、少なくとも1つのパワー半導体素子9(SiCデバイスなど)と、第1導電層81と、パワー半導体素子9をそれらの間で挟むように構成された第2導電層82と、を備える。第1導電層81および第2導電層82の両方は、ピンフィン構造を備える冷却装置7に結合されている。第1抽出素子31は、第1導電層81に電気的に結合されている。第2抽出素子32は、第2導電層82に電気的に結合されている。スナバコンデンサ1は、パワー半導体素子9に隣接して設けられている。その結果、パワー半導体素子のスイッチオンおよびオフの間に生じる電圧サージが平滑化され、EMIノイズが低減される。第1抽出素子31の熱膨張係数は、第1導電層の熱膨張係数と第1電極11の熱膨張係数との間である。第2抽出素子32の熱膨張係数は、第2電極12の熱膨張係数と第2導電層の熱膨張係数との間である。したがって、これらの抽出素子は、電極からパワーモジュールの(第1および第2導電層に結合された)バスバーへの緩やかな熱移行を提供し、応力の不均一な分布を防止する。したがって、スナバコンデンサは、パワーモジュール内部であっても、しっかりと固定される。この設計では、異なる熱影響に起因するスナバコンデンサにおける応力の不均一な分布が回避される。したがって、スナバコンデンサの寿命が延びる。
【0029】
次に
図13~
図14を参照すると、第3実施形態によるスナバコンデンサおよび抽出素子が示される。第1抽出素子41は、ベース部分411と、スナバコンデンサの長手方向に沿ってベース部分411から延びる2つの延在部分412a、412bと、を備える。一方の延在部分412aは、コンデンサコアの上面に平行に延びる。他方の延在部分412bは、コンデンサコアの底面に平行に延びる。第2抽出素子42は、ベース部分421と、スナバコンデンサの長手方向に沿ってベース部分421から延びる2つの延在部分421a、421bと、を備える。延在部分421a、421bは、コンデンサコアの隣接する側壁を覆う。長手方向に沿った延在部分412aと延在部分421bとの間の距離は、少なくとも1mmである。
【0030】
いくつかの代替的な構造素子が、好適な実施形態のために提案されている。したがって、本発明を特定の実施形態を参照して説明してきたが、この説明は、本発明を例示するものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、当業者は、種々の変形および応用を想到することができる。
【外国語明細書】