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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099233
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】噴霧システム及び噴射部材
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20220627BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20220627BHJP
   A61L 9/14 20060101ALI20220627BHJP
   B05B 1/00 20060101ALI20220627BHJP
   B05B 12/16 20180101ALI20220627BHJP
【FI】
A61L2/18
A61L9/01 F
A61L9/14
B05B1/00 Z
B05B12/16
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148654
(22)【出願日】2021-09-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2020212059
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592250414
【氏名又は名称】株式会社テックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100154634
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 みさ子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直紀
(72)【発明者】
【氏名】中本 義範
【テーマコード(参考)】
4C058
4C180
4D073
4F033
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058BB07
4C058DD16
4C058EE29
4C058JJ07
4C058JJ24
4C180AA07
4C180CB01
4C180EA58X
4C180GG01
4C180GG06
4C180GG08
4C180HH01
4C180HH05
4D073AA04
4D073AA10
4D073BB01
4D073BB03
4D073CA19
4D073CA20
4D073CB02
4D073DC09
4D073DC25
4F033AA09
4F033BA02
4F033BA03
4F033DA01
4F033EA02
4F033EA06
4F033HA01
4F033JA06
4F033LA13
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】設計の自由度を向上させ得る噴霧システムを提供できる。
【解決手段】本発明は、次亜塩素酸水を供給する次亜塩素酸水供給部と、前記次亜塩素酸水のミストを生成するミスト生成部と、ミストを上方向へ誘導する上誘導配管と、前記上誘導配管に接続され、横方向に延びる横誘導配管と前記横誘導配管の下端よりも下方向に設けられ、ミストを下方向へ誘導する下誘導管と、前記下誘導管の下流側に設けられ、ミストを噴射する噴射部とを有するようにした。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次亜塩素酸水を供給する次亜塩素酸水供給部と、
前記次亜塩素酸水のミストを生成するミスト生成部と、
ミストを上方向へ誘導する上誘導配管と、
前記上誘導配管に接続され、横方向に延びる横誘導配管と、
前記横誘導配管の端部近傍において、ミストを下方向へ噴射する噴射部と
を備えることを特徴とする噴霧システム。
【請求項2】
前記上誘導配管の内部には、
内径を小さくする絞り部を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の噴霧システム。
【請求項3】
前記絞り部は、
中心部に形成された絞り孔と、
前記絞り孔から周囲へ向けて下向きに傾斜し、前記絞り孔の周囲のミストを通過させない周囲遮断部と、
前記周囲遮断部の周縁部に形成され、前記上誘導配管の内側との間に形成された周縁孔と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の噴霧システム。
【請求項4】
前記横誘導配管は、
外側へ向けて上向きに1~45°傾斜しており、
前記噴射部は、
前記横誘導配管の端部から横誘導配管の長さの1/3の領域の下方向の設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の噴霧システム。
【請求項5】
前記噴射部は、
前記横誘導配管に設けられた噴射孔であり、前記噴射孔の周縁には、前記横誘導配管の内側へ向けて突出する突出部
を有することを特徴とする請求項1に記載の噴霧システム。
【請求項6】
次亜塩素酸水を供給する次亜塩素酸水供給部と、
前記次亜塩素酸水のミストを生成するミスト生成部と、
ミストを上方向へ誘導する上誘導配管と、
前記上誘導配管に接続され、横方向に延びる横誘導配管と、
前記横誘導配管に風を送出するファンと、
前記横誘導配管の下端よりも下方向に設けられ、ミストを下方向へ誘導する下誘導管と、
前記下誘導管の下流側に設けられ、ミストを噴射する噴射部と
を備えることを特徴とする噴霧システム。
【請求項7】
前記噴射部は、
複数設けられている
ことを特徴とする請求項1又は6に記載の噴霧システム。
【請求項8】
前記噴射部は、
噴射口の周囲に水滴を貯留可能な水滴貯留部
を備えることを特徴とする請求項7に記載の噴霧システム。
【請求項9】
前記次亜塩素酸水供給部は、
前記次亜塩素酸水を貯留するタンクである
ことを特徴とする請求項8に記載の噴霧システム。
【請求項10】
前記次亜塩素酸水供給部は、
供給される電解質水溶液と原水とを電気分解する電気分解部である
ことを特徴とする請求項9に記載の噴霧システム。
【請求項11】
前記上誘導配管は、
径が大きい上流部と、径が小さい下流部と、前記上流部と前記下流部とを繋ぐ接続部と
を備えることを特徴とする請求項1又は6に記載の噴霧システム。
【請求項12】
前記横誘導配管の内部には、
下側を通過しようとするミストを遮断する下側遮断部
を備えることを特徴とする請求項1又は6に記載の噴霧システム。
【請求項13】
前記横誘導配管の内部には、
下流から上流へ向けて傾斜する傾斜部
を備えることを特徴とする請求項1又は6に記載の噴霧システム。
【請求項14】
次亜塩素酸のミストを上方向へ誘導する上誘導配管と、
前記上誘導配管に接続され、横方向に延びる横誘導配管と、
前記横誘導配管の下側に設けられ、前記ミストを下方向へ噴射する噴射部と、
前記上誘導配管に接続され、前記上誘導配管に風を送出するファンと
を備えることを特徴とする噴射部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば酸性電解水のミストを被噴射対象物に対して噴射可能な噴霧システムに対して好適に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、電解水などの殺菌力が高い次亜塩素酸水を噴霧する噴霧装置としては、超音波を用いてミストにした電解水を上方へ向けて噴霧するミスト噴霧装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-224856号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、かかるミスト噴霧装置では、次亜塩素酸水のミストを噴射する方向が自在に設計できれば、次亜塩素酸水のミストの活用の場を広げることができると考えられる。
【0005】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、設計の自由度を向上させ得る噴霧システム及び噴射部材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため、本発明の噴霧システムは、次亜塩素酸水を供給する次亜塩素酸水供給部と、
前記次亜塩素酸水のミストを生成するミスト生成部と、
ミストを上方向へ誘導する上誘導配管と、
前記上誘導配管に接続され、横方向に延びる横誘導配管と、
前記横誘導配管に風を送出するファンと、
前記横誘導配管の下端よりも下方向に設けられ、ミストを下方向へ誘導する下誘導管と、
前記下誘導管の下流側に設けられ、ミストを噴射する噴射部と
を備えることを特徴とする。
【0007】
さらに本発明の次亜塩素酸水を噴射する噴射部材は、次亜塩素酸のミストを上方向へ誘導する上誘導配管と、
前記上誘導配管に接続され、横方向に延びる横誘導配管と、
前記横誘導配管に風を送出するファンと、
前記横誘導配管の下端よりも下方向に設けられ、ミストを下方向へ誘導する下誘導管と、
前記下誘導管の下流側に設けられ、ミストを噴射する噴射部と
を備えることを特徴とする噴射部材。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、設計の自由度を向上させ得る噴霧システム及び噴射部材を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態における噴霧システムの構成を示す略線図(1)である。
図2】第1の実施の形態における噴霧システムの構成を示す略線図(2)である。
図3】第1の実施の形態における噴霧システムの構成を示す略線図(3)である。
図4】第1の実施の形態における噴射部材の構成を示す略線図である。
図5】第1の本実施の形態における噴射部材の断面構成を示す略線図である。
図6】第1の実施の形態における絞り部の作用を説明する略線図である。
図7】第1の実施の形態における絞り部の構成を示す略線図である。
図8】第2の実施の形態における噴霧システムの構成を示す略線図である。
図9】他の実施の形態における噴霧システムの構成を示す略線図である。
図10】第3の実施の形態における噴霧システムの構成を示す略線図である。
図11】第3の実施の形態における噴霧誘導パーツの構成を示す略線図である。
図12】第3の実施の形態における噴霧口の構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0011】
<第1の実施の形態>
図1は噴霧装置1の正面図、図2は噴霧装置1の背面図、図3は噴霧装置を右側から見た側面図である。図1~3に示すように、噴霧装置1は、筐体2と、該筐体2の上部に配置された噴射部材3とを有している。噴霧装置1は、筐体2内部の貯水タンク5に貯留された次亜塩素酸水を噴射部材3に取り付けられた噴射部44,45から下方向へ向けて噴射する。なお、図4で説明するドレイン機構については、図1~3では省略している。
【0012】
なお図示しないが、噴霧装置1は、図示しないMPU(Micro Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から構成される制御部20(図示せず)が噴霧装置1の全体を統括的に制御するようになされている。
【0013】
筐体2は、貯水タンク5と、ミスト生成部4とが収納されている。貯水タンク5は、次亜塩素酸水を貯留するタンクであり、その構成は制限されず、公知のタンクを使用することができる。例えば10リットル程度のガロンボトルを初めとする10~100リットル容量のタンクが好適に設置される。なお、図2以降ではミスト生成部4と貯水タンク5とを省略している。
【0014】
ミスト生成部4は、貯水タンク5と隣接して設けられており、貯水タンク5に貯留されている次亜塩素酸水をミスト(霧状の微細水滴)にして噴射部材3へと供給する。ミスト生成部4のミスト生成方法に制限はないが、超音波方式、気化方式又は加熱によるスチーム方式が好適に使用される。
【0015】
貯水タンク5に貯留される次亜塩素酸水としては、特に制限はなく、電気分解により生成された電解水や次亜塩素酸ナトリウムを溶解させpH調整した次亜塩素酸溶解水を適宜選択して使用することができる。電解水としては、pH2~6.5の酸性電解水、pH6.5~8の中性電解水、酸性または中性電解水を水道水で希釈したもののいずれを使用しても良く、噴射の用途に応じた電解水が使用される。例えば、除菌を目的にする場合には、酸性電解水が好適に使用される。酸性電解水は、次亜塩素酸ナトリウム水と比較して低い塩素濃度で同等の殺菌効果を得ることが可能である。酸性電解水を使用する場合の塩素濃度は、安全性と殺菌力を担保するため、5~50ppm、特に10~30ppmであることが好ましい。
【0016】
噴射部材3は、上方向へ延びる上誘導配管31の上端に横方向へ延びる横誘導配管32,33がそれぞれ接続され、全体としてT字形状を有している。なお、「上方向へ延びる」とは、鉛直上方向から±45°の範囲で前後左右方向に傾斜を有していても良い。また、「横方向へ延びる」とは、水平方向から±45°の範囲で上下方向に傾斜を有していても良い。
【0017】
上誘導配管31は、上流である下方向から下流である上方向へ向けて、大径部31A、中継部31B、小径部31Cを有している。大径部31Aは小径部31Cより径が大きく、下から上方向へ向けて径が小さくなる中継部31Bによって両者が接続されている。
【0018】
上誘導配管31の上端には、横方向へ延びる横誘導配管32,33が接続されている。なお、図では横誘導配管32,33が左右方向に延びているが、前後方向に延びていても良い。
【0019】
横誘導配管32,33の左右端部には、下誘導配管34,35が接続されている。下誘導配管34,35は、配管の方向を下方向へ変える。下誘導配管34,35の下方向の末端には、ミストを噴射する噴射部44,45が形成されている。
【0020】
また、上誘導配管31の下方向末端の近傍には、風を送出するファン6に接続されたファン配管7が接続されている。なお、下方向末端の近傍とは、上誘導配管31の上流側末端から20cm以内にファン配管7の下端が位置することを言う。
【0021】
従って、ミスト生成部4から上誘導配管31に供給されるミストは、ファン6からの風に付勢され、ファン6からの風と共に横誘導配管32,33に送出されると共に、下誘導配管34,35を通って噴射部44,45から下向きに噴射される。ファン6による付勢の効果で、ミストは速やかに噴射口44D,45Dから噴射される。ファン6の上流側(図では後方向)には、後述する下側遮断部42,43と同様のC型形状を有する下側遮断部(図示しない、ギャップ形成部は設けられてない)が設置されており、ファン6の後側へ水滴が行くのを抑制している。また、ファン6の後側には、風塵の混入防止用のメッシュが設置されてもよい。
【0022】
ここで、ミスト(微細水滴)は、衝突を繰り返すと徐々に大きくなって水滴となり、下に落ちてしまうという特性を有している。上方向にミストを噴射する場合には、水滴がそのまま配管を伝って貯水タンクに戻るようにできる。しかしながら、横方向及び下方向へミストを移動させると、移動に伴って水滴が発生し、横誘導配管の内部に溜ったり、噴射部から水滴がしたたり落ちてしまうという問題が発生する。
【0023】
そこで本願発明では、水滴の発生を抑制したり、水滴を貯水タンク5に戻るようにしたりすることにより、噴射部45から落ちる水滴を低減している。
【0024】
図4に、噴射部材3の内部構造及を破線でドレイン構造を示している。また、図5(A)~(D)に、図4におけるA-A‘~D-D’断面をそれぞれ示している。
【0025】
図4及び図5に示すように、大径部31Aの下端近傍(下端から10cm以内)には、絞り部41が設置されている。図6に示すように、絞り部41は、中心部分に小径部31Cより内径が小さい(好ましくは直径が小径部31Cの70~30%)径を有する絞り孔41Aを備える円筒部41Dと、絞り孔41Aから外側へ向けて僅か(3~20°)に下方向に傾斜する周囲遮断部41Bと、周囲遮断部41Bの周縁部に形成された複数(図では4個)の周縁孔41Cとを有している。例えば、絞り孔41Aの内径DAが16mm、大径部31Aの内径及び周囲遮断部41Bの外径DBが60mm、周囲遮断部41Bの厚さTが15mmに設計される。
【0026】
従って、上方向に進むミストは、周囲遮断部41Bによって一部は反射されて貯水タンク5へと戻り、中心部分のミストが勢い良く絞り孔41Aから噴出する。このとき、周縁付近に位置し、衝突確率が高いミストと、周囲遮断部41Bによって反射されたミストのうち、重量の大きい大きめのミストは絞り孔41Aを通過することができず、小さいミストが選択的に絞り孔41Aを通過することができる。また、下流側から伝わって下る水滴を、周縁孔41Cから貯水タンク5へと戻すことができる。周縁孔41Cの形状や大きさに制限は無いが、例えば周縁孔41Cは、底辺が三角形状の切り欠きとして形成される。
【0027】
図7に示すように、絞り部41は、絞り孔41Aからミストを上昇させると共に、ファン6から送出される風の方向を前方向から上方向へ偏向する。このとき、ミストは径の小さい絞り孔41Aから勢いよく噴出するため、押し戻されることなく上方向へと進行できる。また、周囲遮断部41Bから突出する円筒部41Dを有することにより、風の進行方向に乱れを形成し、風にミストを巻き込んで上昇させることができる。
【0028】
横誘導配管32,33の分岐部分(上誘導配管31との接続部分)の近傍(左右方向の接続部より20cm以内)には、下側遮断部42,43が設置されている。下側遮断部42,43は、外側が横誘導配管32,33とほぼ同一径、中心部がくり抜かれたドーナツ形状において、上側が60~150°(図では約90°)の切り欠きを有するC型形状を有している。中心部の直径は、横誘導配管32,33の内径の70~30%である。また、下側遮断部42,43の下側には、横誘導配管32,33との隙間を形成するギャップ形成部42B,43Bが形成されている。
【0029】
下側遮断部42,43は、重量が軽くて上側に位置するミスト及び衝突確率が小さい中心近傍のミストを選択的に通過させると共に、下流側から伝わって下る水滴を、ギャップ形成部42B,43Bから貯水タンク5へと戻すことができる。
【0030】
横誘導配管32,33には、下流側から上流側に向かって下方向へ傾斜する傾斜部46,47が設置されている。傾斜部46、47は、下流側から伝わって下る水滴を上流側へ誘導し、ギャップ形成部42B,43Bを介して貯水タンク5へと戻すことができる。なお、このギャップ形成部42B,43Bは、傾斜部46,47が設置された場合のみ設けられる。すなわち傾斜部46,47が設置されないときには、下側遮断部42,43の下方向は横誘導配管32,33と接触して設けられる。
【0031】
横誘導配管32,33の左右末端(下流側)には、ミストの方向を下側へ変える下誘導配管34,35が形成されている。下誘導配管34,35は、外側が緩やかな曲線を描いており、ミストを滑らかなカーブでミストの方向を下方向へ変化させる。下誘導配管34,35の下端には、噴射部44,45が接続されている。
【0032】
噴射部45は、上下方向が開放された中心円筒44A,45Aと、該中心円筒44A,45Aから上方向へ向かって広がる誘導部44F,45Fを有している。中心円筒44A,45Aの外側に形成された底面45Bと中心円筒44A,45Aの上端との位置に差異が生じる。言い換えると、底面45Bに形成された孔に対して逆円錐形の本体部分(誘導部44E,45E)と、円錐の先端から伸びる足である中心円筒44A,45Aを有するじょうご形状の先端が噴出口45Dとして設置されている。
【0033】
このため、底面45Bと中心円筒44A,45Aの上端との差異に応じた水滴貯留部44C,45Cが形成される。水滴貯留部45Cには、下誘導配管34,35より下流で発生する水滴を貯留することができ、水滴を中心円筒44A,45Aの下方向の開口部である噴射口45Dから落ちることを抑制できる。
【0034】
貯留部45には、貯留される水滴を排出するドレイン機構が設けられている。貯留部45の底面45Bには底面孔44E,45Eが設けられており、ドレイン管51,52がそれぞれ接続されている。ドレイン管51,52は、連結部53で連結され、共通排出管54の排出口54Aから排出される。共通排出管54の先端部分は、ドレインタンク55に挿入されており、水滴はドレインタンク55に貯留される。
【0035】
また、ドレイン機構(底面孔44E,45E、ドレイン管51,52、連結部53、共通排出管54、ドレインタンク55)を設けない構成としても良い。この場合、例えば噴射部44,45は、ネジなどの係止部で取り外し可能な状態で嵌合されており、噴射部44,45のみを簡単に取り外すようにすれば、水滴貯留部44C,45Cに貯留された次亜塩素酸水を簡単に廃棄できる。
【0036】
<第2の実施の形態>
次に、図8を用いて第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、次亜塩素酸水が上方向へ向けて噴射部144から噴出される点が第1の実施の形態と相違している。第1の実施の形態と対応する箇所に100を加算した符号を附し、同一箇所についての説明を省略する。
【0037】
噴霧装置101では、10~15cm程度の長さを有する上誘導配管131に対して、左右方向に延びる横誘導配管132が接続されている。図示しないが、上誘導配管131の内部には、第1の実施の形態と同様、絞り部41が設置されている(図6参照)。また、横誘導配管133において、下誘導配管134を有さない右側の根元(上誘導配管131側)近傍には、ドレイン管151が接続されている。
【0038】
また、横誘導配管133の先端側には、ファン106及び送風配管107が接続されており、上方向から下方向へむけて風が送出される。これにより、ファン106の風上(右方向)から外側にしたたり落ちる液滴を減少させることができる。
【0039】
噴霧装置101では、下誘導配管134の下方向に延びる垂直配管162と、床面に対して平行(床面から±10°以内)に配置された第1平行配管163、さらに床面に対して平行に延びる第2平行配管164が設置されている。第2平行配管164の先端(左方向)には、複数の孔である噴射部144が形成されている。
【0040】
噴射部144は、例えば第2平行配管164において、上方向に設けられたり、上方向から所定の噴射角度をつけて設けられる。例えば、噴射角度が45°で前後方向に2つ噴射口が設けられることにより、斜め上方向に向けて次亜塩素酸水を広域噴射することが可能である。また、噴射角度が90°で前後方向に2つ噴射口が設けられることにより、床面に対してほぼ平行に次亜塩素酸水を噴射することが可能である。
【0041】
噴射部144は、長手方向に複数又は複数セット設けられてもよい。この場合、例えば長手方向に20~100cm程度離隔して噴射部144が設けられること好ましい。噴射部144のサイズや個数に制限は無く、噴霧装置101の出力などに応じて適宜選択される。噴射口144としては、直径が4~10mm、個数が4~20個程度設けられることが好ましい。例えば前後方向に2つ並べられた直径5mm程度の孔を3列、合計で6個設けることができる。
【0042】
第1平行配管163及び第2平行配管164は、設置具169A,169Bによって床面に固定配置されているが、設置具169Bが設置具169Aより高さを有するため、全体として第2平行配管164の先端から第1平行配管163の根元、つまり上流側へ向けて下方向にわずか(10°以内)に傾斜している。また、第1平行配管163の右方向にはドレイン管152が接続されており、第1平行配管163及び第2平行配管164内で発生した液滴はドレイン管152を伝って回収される。なお、第1平行配管163の根元側を筐体102に接続し、貯水タンク104(図示せず)に戻したり、排水を貯留してもよい。
【0043】
また、噴霧装置101では、上誘導配管131、横誘導配管132、下誘導配管134,垂直配管162,第1平行配管163,第2平行配管164と、下流へ行くに従って管の径(すなわち断面積)が小さくなっている。これにより、液滴となって徐々に減少するミストを断面積が小さくなる事に伴う高圧力化で相殺し、噴射部144から噴出するミストの勢いを維持できる。例えば、上誘導配管131の直径が7.6cmであるのに対し、第2平行配管164の直径は1.6cmであり、上誘導配管131の直径と第2平行配管164の直径との比率は、20:1~2:1、より好ましくは15:1~3:1程度であることが好ましい。また、第1平行配管163,第2平行配管164は、合計で1~10m、好ましくは2~8m程度の長さに設定される。
【0044】
<第1及び第2の実施の形態の動作及び効果>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて課題及び効果等を示しつつ説明する。なお、以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
【0045】
以上の構成によれば、本発明の噴霧システム(噴霧装置1)は、
次亜塩素酸水を供給する次亜塩素酸水供給部(貯水タンク5)と、
前記次亜塩素酸水のミストを生成するミスト生成部(ミスト生成部4)と、
ミストを上方向へ誘導する上誘導配管(上誘導配管31)と、
前記上誘導配管に接続され、横方向に延びる横誘導配管(横誘導配管32,33)と、
前記横誘導配管に風を送出するファン(ファン6)と
前記横誘導配管の下端よりも下方向に設けられ、ミストを下方向へ誘導する下誘導管(下誘導管34,35)と、
前記下誘導管の下流側に設けられ、ミストを噴射する噴射部(噴射部44,45)とを備えることを特徴とする。
【0046】
これにより、噴霧システムでは、重力の関係により上方向に進行する次亜塩素酸水のミストを下方向へ向けて噴霧できるため、ユーザが誤って次亜塩素酸水を大量に吸い込むことを未然に防止でき、安全性を高めることができる。また、足下など下半身に集中的に次亜塩素酸水を噴霧することもできる。なお、安全性を高めるために、噴射部は床面から130cm、さらには100cm以下に設置されることが好ましい。
【0047】
噴霧システムにおいて、前記噴射部は、
複数設けられていることを特徴とする。
【0048】
これにより、噴霧システムでは、複数箇所から次亜塩素酸水を下方向へ向けて噴霧できるため、設計の自由度を向上させ得る。
【0049】
噴霧システムにおいて、前記噴射部は、
噴射口の周囲に水滴を貯留可能な水滴貯留部を備えることを特徴とする。
【0050】
これにより、噴霧システムでは、水滴を噴射部内に留め、下向きに噴射するときに噴射部から水滴がしたたり落ちることを抑制することができる。
【0051】
噴霧システムにおいて、前記次亜塩素酸水供給部は、
前記次亜塩素酸水を貯留するタンクであることを特徴とする。
【0052】
これにより、噴霧システムでは、簡易な構成で次亜塩素酸水を噴霧できる。
【0053】
噴霧システムにおいて、
前記次亜塩素酸水供給部は、
供給される電解質水溶液と原水とを電気分解する電気分解部であることを特徴とする。
【0054】
これにより、噴霧システムでは、電気分解によって次亜塩素酸水を生成できるため、次亜塩素酸水を別途準備する必要がない。
【0055】
噴霧システムにおいて、前記上誘導配管は、
径が大きい上流部と、径が小さい下流部と、前記上流部と前記下流部とを繋ぐ接続部と
を備えることを特徴とする。
【0056】
これにより、噴霧システムでは、上誘導配管において大きい径から小さい径へと変化させることができ、ミストを勢いよく上昇させることができる。
【0057】
噴霧システムにおいて、前記上誘導配管の内部には、
内径を小さくする絞り部が形成されている
ことを特徴とする。
【0058】
これにより、噴霧システムでは、ミストの中心部分を選択的に上昇させることができる。
【0059】
噴霧システムにおいて、前記絞り部は、
中心部に形成された絞り孔と、
前記絞り孔から周囲へ向けて下向きに傾斜し、前記絞り孔の周囲のミストを通過させない周囲遮断部と、
前記周囲遮断部の周縁部に形成され、前記上誘導配管の内側との間に形成された周縁孔とを備えることを特徴とする。
【0060】
これにより、噴霧システムでは、ミストの中心部分を選択的に上昇させることができると共に、周縁孔から重さのある水滴を次亜塩素酸水供給部に戻すことができる。
【0061】
噴霧システムにおいて、
前記横誘導配管の内部には、
下側を通過しようとするミストを遮断する下側遮断部を備えることを特徴とする。
【0062】
これにより、噴霧システムでは、粒子径の小さい中心部と上側のミストを選択的に通過させることができ、後段における水滴の発生を抑制できる。
【0063】
噴霧システムにおいて、前記横誘導配管の内部には、
下流から上流へ向けて傾斜する傾斜部を備えることを特徴とする。
【0064】
これにより、噴霧システムでは、横誘導配管で発生する水滴を次亜塩素酸水供給部に戻すことができる。
【0065】
本発明の噴射部材において、次亜塩素酸のミストを上方向へ誘導する上誘導配管と、
前記上誘導配管に接続され、横方向に延びる横誘導配管と、
前記横誘導配管の下側に設けられ、前記ミストを下方向へ噴射する噴射部と、
前記上誘導配管に接続され、前記上誘導配管に風を送出するファンと
を備えることを特徴とする噴射部材。
【0066】
これにより、噴射部材では、一般的に上側に噴出口のある噴霧装置を利用して次亜塩素酸水を下方向へ向けて噴霧できる。
【0067】
<第3の実施の形態>
次に、図10図12を用いて第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、噴射部材の形状が第1の実施の形態と相違している。第1の実施の形態と対応する箇所に200を加算した符号を附し、同一箇所についての説明を省略する。
【0068】
図10に示すように、本実施の形態の噴霧装置201は、筐体202の高さが40cm、床から上端までの距離が100cm程度であり、噴射部材203にファンを使用していない。
【0069】
また、貯水タンクとミスト生成部204とが一体的に設置されており、貯水タンク205の底面にミスト生成部204が設けられている。筐体202の上面には、固定孔202Aが形成されており、上誘導配管231が挿入され固定される。
【0070】
筐体202の上面から貯水タンク205に対して挿入された噴射部材203を取り外した後、筐体202の上面(図示しない)を取り外すことにより貯水タンク205の上面の一部又は全部が開口し、当該開口から貯水タンク205に対して電解水が補充される。
【0071】
ミスト生成部204の上部には、ミスト経路部204Aが接続されており、ミスト経路部204Aの上部と上誘導配管231が接続されている。ミスト生成部204によって生成されたミストはミスト生成部204内に設置されたファンによる風に乗って、ミスト経路部204Aを通って上誘導配管231へ供給される。
【0072】
ミスト経路部204Aの上部には、絞り部241(図6参照)が設置されている。絞り部241は、第1の実施の形態における絞り部41とほぼ同一構成であり、例えば外径が70mm、絞り孔241Aの直径が20-50mm(外径に対して1/4~3/4程度)、周縁孔部241Cの直径方向の長さ7mm、円周方向の幅が8mmに形成されている。
【0073】
言い換えると、ミスト経路部204Aの上端を絞り部241が覆っており、絞り孔241Aがミスト経路部204Aの排出口となり、上誘導配管231へ向かうミストの出口を小さく絞っている。絞り孔241Aの上端は、上誘導配管231の下端231Kとほぼ同位置に配置されており、絞り孔241Aからから噴出したミストは上誘導配管231へと誘導される。
【0074】
上誘導配管231へと導入されたミストは、上方向へと進行する。上誘導配管231の上部(上端近傍)、すなわち横誘導配管232,233との接続部分の直前、噴霧誘導パーツ249が設置されている。なお上誘導配管231の上端近傍とは、噴霧誘導パーツ249の上端が、接続部分の下端から10cm以内であることをいう。
【0075】
図11に示すように、噴霧誘導パーツ249は、全体としてドーム形状を有しており、上方向の天面中心部に位置する開口249Aと、上方向へ向けて直径が小さくなる曲線部249Bと、円柱形状を有する円筒部249Cとを有している。
【0076】
噴霧誘導パーツ249には、曲線部249Bと円筒部249Cとの上下方向の境界部分に、矩形状の8つのドレイン孔249Dが形成されている。
【0077】
噴霧誘導パーツ249の各部分のサイズに制限はなく、上誘導配管231の外径に合わせて、適宜設計されることが望ましい。例えば、噴霧誘導パーツ249の全体直径が70mm、開口249Aの直径は25mm、ドレイン孔249の下端が噴霧誘導パーツ249の下端から10mmの位置にくるように配置され、ドレイン孔249が上下方向に10mm、左右方向に4mmのサイズで形成される。
【0078】
噴霧誘導パーツ249は、絞り部241と同様、中心部分におけるミストを通過させるとともに、ドレイン孔249を介して落ちてきた水滴を下方向へと誘導する。また絞り部241と比して、曲線部249Bの径が緩やかに小さくなっており、絞り部241よりも多くの割合のミストが上方向へと誘導される。
【0079】
言い換えると、絞り部241では急激に径を絞るとともに排出口の面積を限定することにより、絞り口241Aから勢いよくミストを噴出するとともに、絞り口241Aが高さを有することによりミストを上方向へと噴出する。これに対し、噴霧誘導パーツ249では、曲線部249Bに沿って誘導されたミストを開口249Aから噴出するが、開口249Aは高さを有さないため、左右方向へミストが広がり、自然と横誘導配管232,233へと誘導される。
【0080】
横誘導配管232,233は、中心(上誘導配管231)に向かって下がるように例えば15°程度傾斜した状態で上誘導配管231に接続されている。すなわち、上誘導配管231を通過したミストは、上誘導配管231からわずかに上方向へ向けて分岐する2つの横誘導配管232,233へと誘導される。
【0081】
横誘導配管232,233が傾斜することにより、横誘導配管232,233内部で発生した水滴は、上誘導配管231を介して貯水タンク205へと戻される。
【0082】
横誘導配管232,233の内側表面(図示せず)には、小さな凹凸(表面粗さRa=1~100μm)が形成されている。この凹凸は、粒径の大きくなったミストを集めて大きな液滴にする役割を担う。
【0083】
横誘導配管232,233の端部近傍には、噴射口244D,245Dが形成されている。なお横誘導配管232,233の端部近傍とは、噴射口244D,245Dの外側の端部が横誘導配管232,233の長さの1/5以下、さらには1/10以下の距離に位置していることをいう。なお、以下、噴射口245Dについて説明するが、噴射口244Dについても構成は同じである。
【0084】
図12に示すように、噴射口245Dは、横誘導配管233の底面から内側へむけて突出する楕円柱形状の壁部245Dbを有しており、壁部245Dbの中心に孔部245Daが形成されている。この壁部245Dbの高さは、孔部245Daの前後方向の端部における横誘導配管233の内面の高さよりも高く形成されている。
【0085】
このため、横誘導配管233において孔部245Daよりも右方向で発生した水滴は、壁部245Dbの前後方向を伝って左側へと誘導され、上誘導配管231を介して貯水タンク205へと戻される。
【0086】
また、噴射口245Dの外側には、横誘導配管233の底面から内側へ向けて滑らかに凹む楕円形状の凹部245Dcが形成されている。これにより、凹部245Daの形状に沿って、孔部245Daからミストが水平方向に大きく拡散されながら噴射される。
【0087】
<第3の実施の形態の動作及び効果>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて課題及び効果等を示しつつ説明する。なお、以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
【0088】
本発明の噴霧システム(噴霧装置201)においては、次亜塩素酸水を供給する次亜塩素酸水供給部(貯水タンク205)と、
前記次亜塩素酸水のミストを生成するミスト生成部(ミスト生成部204)と、
ミストを上方向へ誘導する上誘導配管(上誘導配管231)と、
前記上誘導配管に接続され、横方向に延びる横誘導配管(横誘導配管232,233)と、
前記横誘導配管の端部近傍において、ミストを下方向へ噴射する噴射部(噴射口245D)とを備えることを特徴とする。
【0089】
これにより、噴霧システムでは、下方向へ向けてミストを噴射することができるため、ユーザが多量のミストを吸い込むことを極力防止することができ、安全性を高めることができる。
【0090】
また、噴霧システムにおいて、前記横誘導配管は、
外側へ向けて上向きに1~45°傾斜しており、
前記噴射部は、
前記横誘導配管の端部から横誘導配管の長さの1/3の領域の下方向に設けられていることを特徴とする。
【0091】
これにより、横誘導配管において発生した水滴は、横誘導配管の傾斜に沿って上誘導配管へ戻るように誘導することができる。
【0092】
噴霧システムにおいて、前記噴射部は、
前記横誘導配管に設けられた噴射孔であり、前記噴射孔の周縁には、前記横誘導配管の内側へ向けて突出する突出部(壁部245Db)を有することを特徴とする。
【0093】
これにより、横誘導配管において噴射部よりも上側において発生した水滴を突出部の脇を伝わせて上誘導配管へと戻すことができ、水滴が噴射部から滴下されることを防止することができる。
【0094】
<他の実施の形態>
上述実施形態では、次亜塩素酸水供給部として、貯水タンク5を使用したが、本発明はこれに限られない。例えば、1室型の電解槽や、アノード電極を有するアノード室及びカソード電極を有するカソード室を備える2室型、又はアノード室及びカソード室に加えて電解質水溶液が供給される中間室を備える3室型の電解槽を有する電気分解部を用いても良い。
【0095】
上述実施形態では、電気分解によって生成された電解水を噴射するようにしたが、本発明はこれに限らず、ファインバブルを含有する気泡電解水を噴射しても良い。なお、気泡電解水は、電気分解前又は電気分解後に、化学処理剤を使用しない物理的衝突作用(高速旋回方式、圧力開放方式、ベンチュリー方式など、若しくはこれらの組み合わせ)によって、ナノオーダー(1~999nm)のナノバブルを1ミリリットル当たり10の7乗個以上含有する電解水をいう。
【0096】
上述実施形態では、下誘導配管35の下に噴射口45Dを有する噴射部45が設置されたが、本発明はこれに限られない。例えば、横誘導配管の末端近傍の下側に噴射口が設けられても良い。また、絞り部41、下側遮断部42,43、傾斜部46,47、水滴貯留部44C,45C、ドレイン機構は必須ではなく、適宜選択して用いられる。また、絞り部41、下側遮断部42,43、傾斜部46,47の構成や設置位置は適宜変更できる。
【0097】
上述実施形態では、噴射口44D,45Dが2つ設けられたが、本発明はこれに限られず、任意の数だけ設けることができる。例えば、図9に示す噴霧装置1Xのように、上誘導配管31から前方向に横誘導配管33が延び、噴射口45Dが一つだけ設けられても良い。また、図示しないが、例えば噴射口を3又は4以上設けても良い。
【0098】
上述実施形態では、上誘導配管31が筐体2の外側に位置するようにしたが、本発明はこれに限られない。例えば、筐体2内に設けられても良く、筐体2内でミスト生成部4に接続された上誘導配管31に対して、横誘導配管33が接続され、筐体2から横誘導配管33が横方向に突出するようにしても良い。
【0099】
上述実施形態では、次亜塩素酸水供給部としての貯水タンク5と、ミスト生成部としてのミスト生成部4と、上誘導配管としての上誘導配管31と、横誘導配管としての横誘導配管32,33と、噴射部としての噴射口45Dと、ファンとしてのファン6とによって本発明の噴霧システムとしての噴霧装置1とを構成するようにしたが、本発明はこの限りではなく、その他種々の構成による次亜塩素酸水供給部と、上誘導配管と、横誘導配管と、噴射部と、ファンとによって本発明の次亜塩素酸水噴霧システムを構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、例えば人間や物などに次亜塩素酸水を噴霧する噴霧装置に使用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 :噴霧装置
2 :筐体
3 :噴射部材
4 :ミスト生成部
5 :貯水タンク
6 :ファン
7 :ファン配管
31 :上誘導配管
32,33:横誘導配管
34,35:下誘導配管
41 :絞り部
42,43:下側遮断部
46,47:傾斜部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次亜塩素酸水を供給する次亜塩素酸水供給部と、
前記次亜塩素酸水のミストを生成するミスト生成部と、
ミストを上方向へ誘導する上誘導配管と、
前記上誘導配管に接続され、横方向に延びる横誘導配管と、
前記横誘導配管の端部近傍において、ミストを下方向へ噴射する噴射部と
前記上誘導配管の内部に設けられ、内径を小さくする絞り部と
を備えることを特徴とする噴霧システム。
【請求項2】
前記絞り部は、
中心部に形成された絞り孔と、
前記絞り孔から周囲へ向けて下向きに傾斜し、前記絞り孔の周囲のミストを通過させない周囲遮断部と、
前記周囲遮断部の周縁部に形成され、前記上誘導配管の内側との間に形成された周縁孔と
を備えることを特徴とする請求項に記載の噴霧システム。
【請求項3】
前記横誘導配管は、
外側へ向けて上向きに1~45°傾斜しており、
前記噴射部は、
前記横誘導配管の端部から前記横誘導配管の長さの1/3の領域の下方向の設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の噴霧システム。
【請求項4】
前記噴射部は、
前記横誘導配管に設けられた噴射孔であり、前記噴射孔の周縁には、前記横誘導配管の内側へ向けて突出する突出部
を有することを特徴とする請求項1に記載の噴霧システム。
【請求項5】
次亜塩素酸水を供給する次亜塩素酸水供給部と、
前記次亜塩素酸水のミストを生成するミスト生成部と、
ミストを上方向へ誘導する上誘導配管と、
前記上誘導配管に接続され、横方向に延びる横誘導配管と、
前記横誘導配管の内部に設けられ、下側を通過しようとするミストを遮断する下側遮断部と、
前記横誘導配管に風を送出するファンと、
前記横誘導配管の下端よりも下方向に設けられ、ミストを下方向へ誘導する下誘導管と、
前記下誘導管の下流側に設けられ、ミストを噴射する噴射部と
を備えることを特徴とする噴霧システム。
【請求項6】
前記噴射部は、
複数設けられている
ことを特徴とする請求項1又は5に記載の噴霧システム。
【請求項7】
前記噴射部は、
噴射口の周囲に水滴を貯留可能な水滴貯留部
を備えることを特徴とする請求項6に記載の噴霧システム。
【請求項8】
前記次亜塩素酸水供給部は、
前記次亜塩素酸水を貯留するタンクである
ことを特徴とする請求項7に記載の噴霧システム。
【請求項9】
前記次亜塩素酸水供給部は、
供給される電解質水溶液と原水とを電気分解する電気分解部である
ことを特徴とする請求項8に記載の噴霧システム。
【請求項10】
前記上誘導配管は、
径が大きい上流部と、径が小さい下流部と、前記上流部と前記下流部とを繋ぐ接続部と
を備えることを特徴とする請求項1又は5に記載の噴霧システム。
【請求項11】
前記横誘導配管の内部には、
下側を通過しようとするミストを遮断する下側遮断部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の噴霧システム。
【請求項12】
前記横誘導配管の内部には、
下流から上流へ向けて傾斜する傾斜部
を備えることを特徴とする請求項1又は5に記載の噴霧システム。
【請求項13】
次亜塩素酸のミストを上方向へ誘導する上誘導配管と、
前記上誘導配管に接続され、横方向に延びる横誘導配管と、
前記上誘導配管の内部に設けられ、内径を小さくする絞り部と、
前記横誘導配管の下側に設けられ、前記ミストを下方向へ噴射する噴射部と、
前記上誘導配管に接続され、前記上誘導配管に風を送出するファンと
を備えることを特徴とする噴射部材。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
かかる課題を解決するため、本発明の噴霧システムは、
次亜塩素酸水を供給する次亜塩素酸水供給部と、
前記次亜塩素酸水のミストを生成するミスト生成部と、
ミストを上方向へ誘導する上誘導配管と、
前記上誘導配管に接続され、横方向に延びる横誘導配管と、
前記横誘導配管の端部近傍において、ミストを下方向へ噴射する噴射部と
前記上誘導配管の内部に設けられ、内径を小さくする絞り部と
を備えることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
さらに、本発明の噴霧システムは、次亜塩素酸水を供給する次亜塩素酸水供給部と、
前記次亜塩素酸水のミストを生成するミスト生成部と、
ミストを上方向へ誘導する上誘導配管と、
前記上誘導配管に接続され、横方向に延びる横誘導配管と、
前記横誘導配管の内部に設けられ、下側を通過しようとするミストを遮断する下側遮断部と、
前記横誘導配管に風を送出するファンと、
前記横誘導配管の下端よりも下方向に設けられ、ミストを下方向へ誘導する下誘導管と、
前記下誘導管の下流側に設けられ、ミストを噴射する噴射部と
また、本発明の次亜塩素酸水を噴射する噴射部材は、次亜塩素酸のミストを上方向へ誘導する上誘導配管と、
前記上誘導配管に接続され、横方向に延びる横誘導配管と、
前記上誘導配管の内部に設けられ、内径を小さくする絞り部と、
前記横誘導配管の下側に設けられ、前記ミストを下方向へ噴射する噴射部と、
前記上誘導配管に接続され、前記上誘導配管に風を送出するファンと
を備えることを特徴とする噴射部材である。