(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099298
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】ノッチシステム用ばね及び時計ノッチシステム
(51)【国際特許分類】
G04B 19/28 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
G04B19/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021205785
(22)【出願日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】20216575.9
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】599091346
【氏名又は名称】ロレックス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROLEX SA
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デヴィヤール, アーサー
(72)【発明者】
【氏名】レイズナー, ジェイムズ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多様且つ多数のノッチを得ることを可能にする、特に小型なばねと特に信頼性のあるノッチシステムを提案する。
【解決手段】n本の第1歯を含む第1歯列を含む、ばね1と、m本の第2歯を含む第2歯列を含む、第1部材2と、第1部材に対して可動に搭載される、特に回転可能に搭載される、第2部材3と、を含む、ノッチシステム100であって、第1及び第2歯列は、両者の相互作用を通じて、p個のノッチまたは割出位置を定義するよう配置され、ばね1は、少なくとも2本の弾性と、2本の弾性アームの間に、少なくとも1つの第1ピボット連結要素とを含み、第2部材は、ばねと第2部材との間に少なくとも1つのピボット連結を形成するため、少なくとも1つの第1ピボット連結要素と協働する、少なくとも1つの第2ピボット連結要素を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n本の第1歯(11a、12a;11a’、12a’;11a*、12a*)を含む第1歯列を含む、ばね(1;1’;1*)と、
m本の第2歯(22a、22b;22a’、22b’;22a*、22b*)を含む第2歯列を含む、第1部材(2;2’;2*)と、
前記第1部材(2;2’;2*)に対して可動に搭載される、特に回転可能に搭載される、第2部材(3;3’;3*)と、
を含む、ノッチシステム(100;100’;100*)であって、
前記第1及び第2歯列は、両者の相互作用を通じて、p個のノッチまたは割出位置を定義するよう配置され、
前記ばね(1;1’;1*)は、
少なくとも2本の弾性アーム(11、12;11’、12’;11*、12*)と、
前記2本の弾性アーム(11、12;11’、12’;11*、12*)の間に、少なくとも1つの第1ピボット連結要素(1b;1b’;1b*)と
を含み、
前記第2部材は、前記ばね(1;1’;1*)と前記第2部材(3;3’;3*)との間に少なくとも1つのピボット連結を形成するため、前記少なくとも1つの第1ピボット連結要素(1b;1b’;1b*)と協働する、少なくとも1つの第2ピボット連結要素(3b;3b’;3b*)を含む
ノッチシステム(100;100’;100*)。
【請求項2】
p=m×n/kであり、ここでkは自然整数であり、例えばk=1またはk=2またはk=3またはk=4であり、特に、
p=24及びn=8及びm=6、または
p=30及びn=6及びm=5、または
p=60及びn=10及びm=12、または
p=60及びn=12及びm=15、または
p=60及びn=12及びm=20、または
p=120及びn=8及びm=15、である
請求項1に記載のノッチシステム(100;100’;100*)。
【請求項3】
前記ばねの前記第1歯は、2つのピボット連結間に、特に前記弾性アームのそれぞれの中間点に位置する、
請求項1または2に記載のノッチシステム(100;100’;100*)。
【請求項4】
前記ばねは、前記ばねの前記アームの1つが装填されていないときに、当該アームは当該アームの前記第1歯の頂点からみて凸状であるよう設計される、
請求項1から3のいずれか一項に記載のノッチシステム(100;100’;100*)。
【請求項5】
前記ばねは、閉ループの形状である、及びまたは前記システムは、n本の弾性アーム及びまたはn個のピボット連結を含み、ここでn≧2である、
請求項1から4のいずれか一項に記載のノッチシステム(100;100’;100*)。
【請求項6】
前記ばねは、実質的に多角形形状を、特に正多角形形状を有する、及びまたは前記第1ピボット連結要素(1b;1b’;1b*)の前記軸をつなぐ線分は、多角形形状を、特に正多角形形状を構成する、
請求項1から5のいずれか一項に記載のノッチシステム(100;100’;100*)。
【請求項7】
前記弾性アームは、装填されていないときは、円弧の形状であり、その中心は、好ましくは、前記ばねと同軸であり、非ゼロの半径を、特に前記ばねの半径の0.2倍より大きい、または前記ばねの半径の0.3倍より大きい、または前記ばねの半径の0.4倍より大きい半径を有する、同一の第1円(C10;C10’;C10*)上に位置される、
請求項1から6のいずれか一項に記載のノッチシステム(100;100’;100*)。
【請求項8】
前記第1円(C10;C10’)は、前記ばねの半径の1.5倍より大きい、または前記ばねの半径の1.8倍より大きい、または前記ばねの半径の2倍より大きい半径を有する、
請求項7に記載のノッチシステム(100;100’)。
【請求項9】
前記第1歯(11a’、12a’)のそれぞれは、第1止め具要素(111a’、121a’)を含む、
請求項1から8のいずれか一項に記載のノッチシステム(100’)。
【請求項10】
前記弾性アーム(11’、12’)のそれぞれは、第1当接力反応要素(11b’、12b’)を含み、前記第1当接力反応要素は、例えば、各弾性アームの中間点に配置される、
請求項1から9のいずれか一項に記載のノッチシステム(100’)。
【請求項11】
前記第1部材はリングである、及びまたは前記第2歯(22a、22b;22a’、22b’;22a*、22b*)は、それぞれ、くぼみまたは部分(21a、21b;21a’、21b’;21a*、21b*)により分離される、
請求項1から10のいずれか一項に記載のノッチシステム(100;100’;100*)。
【請求項12】
前記第1及び第2歯列は、所定のときに、特にあらゆるときに、第1歯が第1接触面積内で第2歯に第1機械的作用を発揮し、前述の第1歯と異なる第1歯が第2接触面積内で前述の第2歯とは異なる第2歯に第2機械的作用を発揮するよう配置され、前記第1及び第2機械的作用は、異なる強度及びまたは異なる方向を有する、
請求項1から11のいずれか一項に記載のノッチシステム(100;100’;100*)。
【請求項13】
所定のときに、特にあらゆるときに、他の第1歯が、前記第2部材の部分またはくぼみへ、第3機械的作用を発揮する、
請求項12に記載のノッチシステム(100;100’;100*)。
【請求項14】
前記第1及び第2歯列は、前記第2部材に対する前記第1部材の割出位置が前記第1機械的作用と前記第2機械的作用により定義されるよう配置され、前記第1及び第2機械的作用は、前記第2部材に対して前記第1部材を駆動する対向トルクをもたらす、
請求項12または13に記載のノッチシステム(100;100’;100*)。
【請求項15】
時計装置(110;110’;110*)、特に
回転ベゼル(110;110’;110*)、または
回転フランジ、または
配向可能裏蓋、または
配向可能竜頭、または
表示装置、典型的には時間帯の表示装置またはプログラム可能ディスプレイの表示装置、であって、
前記装置は、請求項1から14のいずれか一項に記載のノッチシステムを含む、
時計装置(110;110’;110*)。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか一項に記載のノッチシステム及びまたは請求項15に記載の時計装置を含む、時計ケース(10;10’;10*)。
【請求項17】
請求項1から14のいずれか一項に記載のノッチシステム及びまたは請求項15に記載の時計装置及びまたは請求項16に記載のケースを含む、時計(200;200’;200*)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノッチシステム用ばねに関する。本発明はまた、当該ばねを含む、ノッチシステムに関する。本発明はまた、当該ばねまたは当該ノッチシステムを含む、時計ケースまたは時計ムーブメントに関する。本発明はまた、当該ケースまたは当該ムーブメントまたは当該ノッチシステムまたは当該ばねを含む、時計に関する。
【背景技術】
【0002】
時計分野の文献は、多数のノッチ装置、特に角度的に割出されたまたはノッチされた回転ベゼルについて、言及する。
【0003】
例として、特許文献1は、一方向回転ベゼルを開示し、その角度割り出しは、丸穴歯列に対して、当該ベゼルの回転軸に平行な方向に、戻しばねにより戻されるジャンパの形状の単独の第1ノッチ要素を介して実施される。この場合、当該ばねは、渦巻ばねの形状である。
【0004】
特許文献2は、それ自体では、双方向回転ベゼルを開示し、その角度割り出しは、単独弾性アームの形状の、ワイヤばねにより実施される。弾性アームは、その第1端部においてケース胴の環状座部に関節接合され、その自由端部は、ベゼルに形成された内歯列と協働するために設けられた、単独の第1ノッチ要素を形成する。このように、ベゼルの角度割り出しは、ばね上に形成された、単独の第1ノッチ要素によりもたらされる。特許文献2に開示されたワイヤばねは、ベゼルの回転方向に関わらず、実質的に等しい回転トルクをもたらすように設計されるという、特定の特徴を有する。このため、当該ワイヤばねは、特に、ベゼルの回転軸からみて、凹状または実質的に凹状形状を有する。
【0005】
特許文献3に開示する装置は、更に、当該ベゼルの回転軸に対して釣り合いのとれた力を保証することで、このような双方向ノッチ回転ベゼルを改善することを提案し、釣り合いの取れた力の保証は、ベゼルを操る際の心地よい感触に寄与する。このため、当該装置は、ベゼルの回転軸に中心を取る閉ループの形状のばねを採用する。ばねは、弾性アームを含み、弾性アームのそれぞれには、ノッチリングの第2ノッチ手段と協働するために設けられた第1ノッチ要素が設けられる。当該ばねは、第1ノッチ手段がベゼルの回転軸に対して半径方向に移動可能なように、そして第2ノッチ手段と協働するように、第1ノッチ手段のそれぞれに形成され配置された、第1連結手段を含む。
【0006】
同様に、特許文献4は、一または双方向回転ベゼルのノッチシステムに参加する、閉ループの形状のばねを開示する。当該ばねは、弾性アームを含むという特定の特徴を有し、弾性アームのそれぞれは、へこみの形状の第1連結手段により、長手方向端部において互いに連結される。更に、各弾性アームは、2つのへこみから等距離に配置された第1ノッチ要素を含み、第1ノッチ要素はノッチリングの第2ノッチ手段と協働するよう設計される。第1及び第2ノッチ手段は、ここでは、具体的には歯の形状である。当該装置の好ましい変形例の範囲で、ばねは、そのへこみにおいてベゼルに適合され、へこみは当該ベゼルに配置されたつまみと協働する。このため、ばねのアームは、これら適合連結に関して弾性的に変形するようにされる。より具体的には、これらアームは、同時且つ同期された態様で弾性的に変形するようにされる。このため、弾性アームのそれぞれの歯は、ノッチリングの歯と統合された態様で協働する。より具体的には、ベゼルの第1割出構成において、弾性アームの歯は、全て、ノッチリングの2つの歯の間に位置される。第2ベゼル構成において、弾性アームの歯は、全て、ノッチリングの歯の頂点に位置される。にもかかわらず、所定の弾性アームの弾性変形は、それに隣接する弾性アームの変形とは独立し、変形は当該アームの設計、特に断面のみにより定義される。更に、当該ばねは、安静時に、環状形状を有する。特に、それぞれの弾性アームは、安静時に、ベゼルの回転軸に中心を取る円の部分の形状である。このため、各アームは、ベゼルの回転軸からみて凹状形状を有する。ベゼルが第1構成から第2構成に通過すると、弾性アームのそれぞれは曲げられ、アームのそれぞれの曲率半径の減少がもたらされる。
【0007】
特許文献5は、特許文献4に開示するようなばねを採用するノッチシステムを含む、回転ベゼルを開示する。ノッチシステムは、ばねのアームが同時に変形しないように設計される。このため、ばねとノッチリングは、所定の弾性アームの1本の歯のみが、ノッチリングの歯列の歯元に位置するように配置され設計される。ここでも、所定の弾性アームの弾性変形は、それに隣接する弾性アームの変形とは独立する。当該実施形態は、ベゼルのノッチの数を最大化することを可能にする。しかしながら、これは、ノッチシステムの時期尚早な摩耗の危険を必然的に伴いかねない、ノッチリングの歯の寸法の最小化を必要とする。
【0008】
また、特許文献6も知られており、当該文献は、2つの対称アームから形成された閉ループばねと、ノッチリングとを含むノッチモバイルを開示し、両者はそれぞれ当該モバイルに中心を取る。ばねの2つの第1ノッチ手段は、ノッチリング上に形成された第2ノッチ手段と協働する。このため、(モバイルの歯車上の)ばねの第1連結手段は、第1ノッチ手段が第2ノッチ手段に対して並進移動可能なように、そしてばねのアームが弾性的に変形可能なように、2つの第1ノッチ手段に配置される。
【0009】
特許文献7は、ノッチシステムを提示し、その構造は、特許文献6の装置と同等であり、ばねがアモルファス金属合金製であるという特定の特徴を有する。(モバイルの歯車上の)ばねの第1連結手段は、同様に、ばねの2つの第1ノッチ手段に配置される。
【0010】
特許文献8は、ノッチモバイルを開示し、その閉ループばねは、ノッチリングと協働するよう設けられた、歯の形状の第1ノッチ要素を含む。当該ばねは、当該ばねに形成された穴において、モバイルの歯車に固定されるという特定の特徴を有し、当該穴は、当該ばねの歯とは異なる位置に配置される。より具体的には、ばねの穴と歯は、モバイルの軸の両側に配置される。当該ばねは、安静時に、環状形状を有する。このため、ばねは、モバイルの回転軸からみて、凹状形状を有し、モバイルの回転軸に中心を取る。ばねの歯がノッチリングの歯を越えると、ばねは曲げられ、ばねは環状形状から実質的に楕円形状へ通過させられる。このため、歯におけるまたは歯の領域におけるばねの曲率半径は、減少される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2624076号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0686897号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1431845号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第3543800号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第3608730号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第1544691号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第3379342号明細書
【特許文献8】スイス国特許出願公開第454375号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、従来技術から既知のノッチばねとノッチシステムを向上可能な、ノッチばね及びノッチシステムを提供することである。特に、本発明は、多様且つ多数のノッチを得ることを可能にする、特に小型なばねと特に信頼性のあるノッチシステムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1態様によれば、主題は以下の提案により定義される。
【0014】
1. ノッチシステム(100;100’;100*)用のばね(1;1’;1*)であって、前記ばねは、
少なくとも2本の弾性アーム(11、12;11’12’;11*、12*)と、
前記アームのそれぞれに配置された、第1ノッチ歯(11a、12a;11a’、12a’;11a*、12a*)を含む、第1歯列と、
を含み、前記ばねは、前記ばねの前記アームのうちの1つが装填されていない位置において、当該アームが当該アームの前記第1ノッチ歯の前記頂点からみて凸状であるよう設計される、ばね(1;1’;1*)。
【0015】
2. 前記ばねは、前記2本の弾性アーム(11、12;11’12’;11*、12*)の間に、少なくとも1つの第1ピボット連結要素(1b;1b’;1b*)を含む、
提案1で提案するばね(1;1’;1*)。
【0016】
3. 前記ばねは、閉ループの形状である、
提案1または2で提案するばね(1;1’;1*)。
【0017】
4. 各弾性アームは、装填されていないときには、円弧の形状であり、その前記中心は、好ましくは、前記ばねと同軸であり、非ゼロの半径を、特に前記ばねの前記半径の0.2倍より大きい、または前記ばねの前記半径の0.3倍より大きい、または前記ばねの前記半径の0.4倍より大きい半径を有する、第1円(C10;C10’;C10*)上に位置される、
提案1から3のいずれか一つで提案する記載のばね(1;1’;1*)。
【0018】
5. 前記第1円(C10;C10’)は、前記ばねの半径の1.5倍より大きい、または前記ばねの前記半径の1.8倍より大きい、または前記ばねの前記半径の2倍より大きい半径を有する、
提案4で提案するばね(1;1’)。
【0019】
6. 前記少なくとも2本の弾性アーム(11、12;11’、12’;11*、12*)は、第2ノッチ歯(22a、22b;22a’、22b’;22a*、22b*)を含む第2歯列を有する、第1部材(2;2’;2*)上に作用することが意図されるクランプを形成する、
提案1から5のいずれか一つで提案するばね(1;1’;1*)。
【0020】
7. 前記ばねは、前記ばねの前記アームのいずれか一つが第1部材(2;2’;2*)の第2ノッチ歯(22a、22b;22a’、22b’;22a*、22b*)の前記作用により装填されると、当該アームの前記曲率半径が増加するよう、または逆転するよう、設計される、
提案1から6のいずれか一つで提案するばね(1;1’;1*)。
【0021】
8. 前記第1ノッチ歯(11a’、12a’)のそれぞれは、第1止め具要素(111a’、121a’)を含む、
提案1から7のいずれか一つで提案するばね(1’)。
【0022】
9. 前記第1ノッチ歯(11、12;11’12’;11*、12*)のそれぞれは、各弾性アームの前記中間点に配置される、及びまたは各弾性アーム(11’、12’)は、第1当接力反応要素(11b’、12b’)を含み、前記第1当接力反応要素は、例えば、各弾性アームの前記中間点に配置される、
提案1から8のいずれか一つで提案するばね(1;1’;1*)。
【0023】
10. 前記ばねは、n本の弾性アーム及びまたはn個の第1ピボット連結要素を含み、ここでn≧2である、及びまたは前記ばねは、n回の回転対称を示す、
提案1から9のいずれか一つで提案するばね(1;1’;1*)。
【0024】
11. 前記ばねは、実質的に多角形形状を、特に正多角形形状を有する、及びまたは第1ピボット連結要素(1b;1b’;1b*)の前記軸をつなぐ線分は、多角形形状を、特に正多角形形状を構成する、
提案1から10のいずれか一つで提案するばね(1;1’;1*)。
【0025】
12. 提案1から11のいずれか一つで提案するばね(1;1’;1*)と、第2歯列を有する第1部材(2;2’;2*)とを含む、ノッチシステム(100;100’;100*)であって、前記ばねと前記第1部材は、互いに作用するよう配置される、
ノッチシステム(100;100’;100*)。
【0026】
13. 前記第1部材(2;2’;2*)に対して移動可能に搭載された、特に回転可能に搭載された、第2部材(3;3’;3*)、またはその逆、を含み、前記第2部材は、前記ばね(1;1’;1*)と前記第2部材(3;3’;3*)との間に少なくとも1つのピボット連結を形成するために、少なくとも1つの第1ピボット連結要素(1a、1b;1a’、1b’;1a*、1b*)と協働する少なくとも1つの第2ピボット連結要素(3a、3b;3a’、3b’;3a*、3b*)を含む、
提案12で提案するノッチシステム(100;100’;100*)。
【0027】
14. 前記第1歯列は、n本の第1歯(11a、12a;11a’、12a’;11a*、12a*)を含み、前記第1部材(2;2’;2*)は、m本の第2歯(22a、22b;22a’、22b’;22a*、22b*)を含む第2歯列を含み、ここで、例えば、
n=8及びm=6、または
n=6及びm=5、または
n=10及びm=12、または
n=12及びm=15、または
n=12及びm=20、または
n=8及びm=15、である、
提案12または13で提案するノッチシステム(100;100’;100*)。
【0028】
15. 時計装置(110;110’;110*)、特に
回転ベゼル(110;110’;110*)、または
回転フランジ、または
配向可能裏蓋、または
配向可能竜頭、または
表示装置、典型的には時間帯の表示装置またはプログラム可能ディスプレイの表示装置、であって、
前記装置は、提案1から11のいずれか一つで提案するばね及びまたは提案12から14のいずれか一つで提案するノッチシステムを含む、
時計装置(110;110’;110*)。
【0029】
16. 提案1から11のいずれか一つで提案するばね及びまたは提案12から14のいずれか一つで提案するノッチシステム及びまたは提案15で提案する時計装置を含む、時計ケース(10;10’;10*)。
【0030】
17. 提案1から11のいずれか一つで提案するばね及びまたは提案12から14のいずれか一つで提案するノッチシステム及びまたは提案15で提案する時計装置及びまたは提案16で提案するケースを含む、時計(200;200’;200*)。
【0031】
本発明の第2態様によれば、主題は以下の提案により定義される。
【0032】
18. n本の第1歯11a、12a;11a’、12a’;11a*、12a*を含む第1歯列を含む、ばね1;1’;1*と、
m本の第2歯22a、22b;22a’、22b’;22a*、22b*を含む第2歯列を含む、第1部材2;2’;2*と、
前記第1部材2;2’;2*に対して可動に搭載される、特に回転可能に搭載される、第2部材3;3’;3*と、
を含む、ノッチシステム100;100’;100*であって、
前記第1及び第2歯列は、両者の相互作用を通じて、p個のノッチまたは割出位置を定義するよう配置され、
前記ばね1;1’;1*は、
少なくとも2本の弾性アーム11、12;11’、12’;11*、12*と、
前記2本の弾性アーム11、12;11’、12’;11*、12*の間に、少なくとも1つの第1ピボット連結要素1b;1b’;1b*と、
を含み、
前記第2部材は、前記ばね1;1’;1*と前記第2部材3;3’;3*との間に少なくとも1つのピボット連結を形成するため、前記少なくとも1つの第1ピボット連結要素1b;1b’;1b*と協働する、少なくとも1つの第2ピボット連結要素3b;3b’;3b*を含む
ノッチシステム100;100’;100*。
【0033】
19. p=m×n/kであり、ここでkは自然整数であり、例えばk=1またはk=2またはk=3またはk=4であり、特に、
p=24及びn=8及びm=6、または
p=30及びn=6及びm=5、または
p=60及びn=10及びm=12、または
p=60及びn=12及びm=15、または
p=60及びn=12及びm=20、または
p=120及びn=8及びm=15、である
提案18で提案するノッチシステム100;100’;100*。
【0034】
20. 前記ばねの前記第1歯は、2つのピボット連結間に、特に前記弾性アームのそれぞれの前記中間点に位置する、
提案18または19で提案するノッチシステム100;100’;100*。
【0035】
21. 前記ばねは、前記ばねの前記アームの1つが装填されていないときに、当該アームは当該アームの前記第1歯の前記頂点からみて凸状であるよう設計される、
提案18から20のいずれか一つで提案するノッチシステム100;100’;100*。
【0036】
22. 前記ばねは、閉ループの形状である、及びまたは前記システムは、n本の弾性アーム及びまたはn個のピボット連結を含み、ここでn≧2である、
提案18から21のいずれか一つで提案するノッチシステム100;100’;100*。
【0037】
23. 前記ばねは、実質的に多角形形状を、特に正多角形形状を有する、及びまたは前記第1ピボット連結要素1b;1b’;1b*の前記軸をつなぐ線分は、多角形形状を、特に正多角形形状を構成する、
提案18から22のいずれか一つで提案するノッチシステム100;100’;100*。
【0038】
24. 前記弾性アームは、装填されていないときは、円弧の形状であり、その前記中心は、好ましくは、前記ばねと同軸であり、非ゼロの半径を、特に前記ばねの前記半径の0.2倍より大きい、または前記ばねの前記半径の0.3倍より大きい、または前記ばねの前記半径の0.4倍より大きい半径を有する、同一の第1円C10;C10’;C10*上に位置される、
提案18から23のいずれか一つで提案するノッチシステム100;100’;100*。
【0039】
25. 前記第1円(C10;C10’)は、前記ばねの半径の1.5倍より大きい、または前記ばねの前記半径の1.8倍より大きい、または前記ばねの前記半径の2倍より大きい半径を有する、
提案24で提案するノッチシステム100;100’。
【0040】
26. 前記第1歯11a’、12a’のそれぞれは、第1止め具要素111a’、121a’を含む、
提案18から25のいずれか一つで提案するノッチシステム100’。
【0041】
27. 前記弾性アーム11’、12’のそれぞれは、第1当接力反応要素11b’、12b’を含み、前記第1当接力反応要素は、例えば、各弾性アームの前記中間点に配置される、
提案18から26のいずれか一つで提案するノッチシステム100’。
【0042】
28. 前記第1部材はリングである、及びまたは前記第2歯22a、22b;22a’、22b’;22a*、22b*は、それぞれ、くぼみまたは部分21a、21b;21a’、21b’;21a*、21b*により分離される、
提案18から27のいずれか一つで提案するノッチシステム100;100’;100*。
【0043】
29. 前記第1及び第2歯列は、所定のときに、特にあらゆるときに、第1歯が第1接触面積内で第2歯に第1機械的作用を発揮し、前述の第1歯と異なる第1歯が第2接触面積内で前述の第2歯とは異なる第2歯に第2機械的作用を発揮するよう配置され、前記第1及び第2機械的作用は、異なる強度及びまたは異なる方向を有する、
提案18から28のいずれか一つで提案するノッチシステム100;100’;100*。
【0044】
30. 所定のときに、特にあらゆるときに、他の第1歯が、前記第2部材の部分またはくぼみへ、第3機械的作用を発揮する、
提案29で提案するノッチシステム100;100’;100*。
【0045】
31. 前記第1及び第2歯列は、前記第2部材に対する前記第1部材の割出位置が前記第1機械的作用と前記第2機械的作用により定義されるよう配置され、前記第1及び第2機械的作用は、前記第2部材に対して前記第1部材を駆動する対向トルクをもたらす、
提案29または30で提案するノッチシステム100;100’;100*。
【0046】
32. 時計装置110;110’;110*、特に
回転ベゼル110;110’;110*、または
回転フランジ、または
配向可能裏蓋、または
配向可能竜頭、または
表示装置、典型的には時間帯の表示装置またはプログラム可能ディスプレイの表示装置、であって、
前記装置は、提案18から31のいずれか一つで提案するノッチシステムを含む、
時計装置110;110’;110*。
【0047】
33. 提案18から31のいずれか一つで提案するノッチシステム及びまたは提案32で提案する時計装置を含む、時計ケース10;10’;10*。
【0048】
34. 提案18から31のいずれか一つで提案するノッチシステム及びまたは提案32で提案する時計装置及びまたは提案33で提案する時計ケースを含む、時計200;200’;200*。
【0049】
本発明の第3態様によれば、主題は以下の提案で定義される。
【0050】
35. 少なくとも2本の弾性アーム11、12;11’、12’;11*、12*と、
前記アーム11、12;11’、12’;11*、12*のそれぞれに配置された、第1ノッチ歯11a、12a;11a’、12a’;11a*、12a*を含む、第1歯列と、
前記2つの弾性アーム11、12;11’、12’;11*、12*の間に位置された、少なくとも1つの第1ピボット連結要素1b;1b’、1b*と、
を含む、ノッチシステム100;100’用のばね1;1’;1*。
【0051】
36.前記少なくとも2本の弾性アーム11、12;11’、12’;11*、12*は、第2ノッチ歯22a、22b;22a’、22b’;22a*、22b*を含む第2歯列を有する、第1部材2;2’;2*上に作用することが意図されるクランプを形成する、
提案35で提案するばね1;1’;1*。
【0052】
37. 前記ばねは、前記ばねの前記アームの1つが装填されていないときに、当該アームは当該アームの前記第1歯の前記頂点からみて凸状であるよう設計される、
提案35または36で提案するばね1;1’;1*。
【0053】
38. 前記ばねは、前記アームが第1部材2;2’;2*の第2ノッチ歯22a、22b;22a’、22b’;22a*、22b*の前記作用により装填されると、前記ばねの前記アームのいずれか一つの前記曲率半径が増加するよう、または逆転するよう、設計される、
提案35から37のいずれか一つで提案するばね1;1’;1*。
【0054】
39.前記第1ノッチ歯11a’、12a’のそれぞれは、第1止め具要素111a’、121a’を含む、
提案35から38のいずれか一つで提案するばね1’。
【0055】
40. 弾性アーム11’、12’のそれぞれは、第1当接力反応要素11b’、12b’を含み、前記第1当接力反応要素は、例えば、各弾性アームの前記中間点に配置される、
提案35から39のいずれか一つで提案するばね1’。
【0056】
41. 前記ばねは、n個の弾性アームを含み、ここでn≧2である、及びまたは前記ばねは、n回の回転対称を示す、
提案35から40のいずれか一つで提案するばね1;1’;1*。
【0057】
42. 前記ばねは、閉ループ状の形状を示す、
提案35から41のいずれか一つで提案するばね1;1’;1*。
【0058】
43. 前記ばねは、実質的に多角形形状を、特に正多角形形状を有する、及びまたは前記第1ピボット連結要素1b;1b’;1b*の前記軸をつなぐ線分は、多角形形状を、特に正多角形形状を構成する、
提案35から42のいずれか一つで提案するばね1;1’;1*。
【0059】
44. 提案35から43のいずれか一つで提案するばね1;1’;1*と、第2歯列を有する第1部材2;2’;2*とを含む、ノッチシステム100;100’;100*であって、前記ばねと前記第1部材は、互いに作用するように配置される、
ノッチシステム100;100’;100*。
【0060】
45. 前記第1部材2;2’;2*に対して可動に搭載される、特に回転可能に搭載される、第2部材3;3’;3*を含み、前記第2部材は、前記ばね1;1’;1*と前記第2部材3;3’;3*との間に少なくとも1つのピボット連結を形成するため、前記少なくとも1つの第1ピボット連結要素と協働する、少なくとも1つの第2ピボット連結要素3a、3b;3a’、3b’;3a*、3b*を含む
提案44で提案するノッチシステム100;100’;100*。
【0061】
46. 前記第1歯列は、n本の第1歯11、12;11’、12’;11*、12*を含み、前記第1部材2;2’;2*は、m本の第2歯22a、22b;22a’、22b’;22a*、22b*を含む第2歯列を含み、ここで、例えば、
n=8及びm=6、または
n=6及びm=5、または
n=10及びm=12、または
n=12及びm=15、または
n=12及びm=20、または
n=8及びm=15、である、
提案44または45で提案するノッチシステム100;100’;100*。
【0062】
47. 時計装置110;110’;110*、特に
回転ベゼル、または
回転フランジ、または
配向可能裏蓋、または
配向可能竜頭、または
表示装置、典型的には時間帯の表示装置またはプログラム可能ディスプレイの表示装置、であって、
前記装置は、提案35から43のいずれか一つで提案するばね及びまたは提案44から46のいずれか一つで提案するノッチシステムを含む、
時計装置110;110’;110*。
【0063】
48. 提案35から43のいずれか一つで提案するばね及びまたは提案44から46のいずれか一つで提案するノッチシステム及びまたは提案47で提案する時計装置を含む、時計ケース10;10’;10*。
【0064】
49. 提案35から43のいずれか一つで提案するばね及びまたは提案44から46のいずれか一つで提案するノッチシステム及びまたは提案47で提案する時計装置及びまたは提案48で提案するケースを含む、時計200;200’;200*。
【0065】
本発明の第4態様によれば、主題は以下の提案で定義される。
【0066】
50. ノッチシステム100”;100’”用のばね1”;1’”であって、前記ばねは、
少なくとも2本の弾性アーム11”、12”;11’”、12’”と、
前記アームのそれぞれに配置された、第1ノッチ歯11a”、12a”;11a’”、12a’”を含む、第1歯列と、
を含み、前記アームは、前記第1ノッチ歯の前記頂点からみて、2つの凹状パーツ118”、119”;118’”、119’”を含む形状を有する、
ばね。
【0067】
51. 前記2つの凹状パーツは、互いを結合して、
前記凹状部が角度β”、β’”を、例えば60°から120°の間の角度β”、β’”または90°に等しいまたは約90°に等しい角度を形成する接線を有する、及び
前記第1歯を構成する、
領域を形成する、
提案50で提案するばね。
【0068】
52. 前記凹状パーツは、
前記円C1”、C1’”の前記半径の0.05倍または0.1倍以上で前記円C1”、C1’”の前記半径の0.3倍以下の曲率半径を有する、及びまたは
前記凹状パーツは、前記アームの前記端部において前記円C1”、C1’”と接するまたは実質的に接する、
提案50または51で提案するばね。
【0069】
技術的または論理的に両立しない場合を除き、主題は、第1、第2、第3、及び第4態様内の特徴のあらゆる組み合わせを含んでもよい。
【0070】
添付の図面は、時計の3つの実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】
図1は、時計の第1実施形態の概略図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態にかかる、ばねと第1部材の図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態にかかる、ばねの詳細図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態にかかる、ばねの形状を定義する図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態にかかる、ばねの形状を定義する図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態にかかる、第1部材を定義する図である。
【
図7】
図7は、第1形態にかかる、時計の作動シーケンスを図示する、部分図である。
【
図8】
図8は、第1形態にかかる、時計の作動シーケンスを図示する、部分図である。
【
図9】
図9は、第1形態にかかる、時計の作動シーケンスを図示する、部分図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態にかかる、ばねと第1部材の図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態にかかる、ばねの詳細図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態にかかる、ばねの形状を定義する図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態にかかる、ばねの形状を定義する図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態にかかる、第1部材を定義する図である。
【
図16】
図16は、第2形態にかかる、時計の作動シーケンスを図示する部分図である。
【
図17】
図17は、第2形態にかかる、時計の作動シーケンスを図示する部分図である。
【
図18】
図18は、第2形態にかかる、時計の作動シーケンスを図示する部分図である。
【
図22】
図22は、第4実施形態にかかる、ばねの詳細図である。
【
図24】
図24は、第5実施形態にかかる、ばねの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
時計200の第1実施形態を、
図1から9を参照して以下に説明する。
【0073】
時計200は、例えば小型時計であり、特に腕時計である。
【0074】
時計200は、自身を外部環境から保護するために、時計ケーシングまたはケース10内に搭載されることが意図される、時計ムーブメントを含む。
【0075】
時計ムーブメントは、電子式ムーブメントであってもよく、機械式ムーブメント、特に自動式ムーブメントであってもよい。
【0076】
時計200、特に時計ケース10は、時計装置110を含む。時計装置は、回転ベゼルまたは回転フランジまたは配向可能裏蓋または配向可能竜頭といった、外部装置であってもよい。代替的に、時計装置は、ムーブメントの装置、特に、ノッチシステムを用いてあらかじめ定めた角度ピッチにわたり表示部材を移動させることを可能にする、典型的には時間帯用表示装置またはプログラム可能ディスプレイの表示装置である、時間情報表示用装置の調節用装置であってもよい。
【0077】
時計200、特に時計ケース10または時計装置110は、ノッチシステム100を含む。
【0078】
ノッチシステム100は、
- 第1部材2と、
- 第2部材3と、
- ばね1と、
を含む。
【0079】
好ましくは、本実施形態において、第1部材2は、時計ケースのケース胴または時計ケースのケース胴に固定された要素である。より具体的には、第1部材2は、時計ケースのケース胴4に取り付けられたリング2であってもよい。リング2は、ケース胴4の環状座部に固定されてもよい。
【0080】
例えば、第1部材は、環状形状を有してもよい。例えば、第2部材は、環状形状を有してもよい。
【0081】
好ましくは、本実施形態において、第2部材3は、ケース胴4に対して、即ち第1部材2に対して回転可能な、回転ベゼルである。
【0082】
好ましくは、本実施形態において、ばね1は、第2部材3と機械的に連結される。
【0083】
ばね1は、軸A1を含む。当該軸A1は、ばね1または第2部材3の対称軸である、または第1部材2に対するばね1のまたは第2部材3の回転軸である。このように、第2部材3は、軸A1周りに、第1部材2に対してピボット連結で搭載される。
【0084】
第1部材2は、軸A2を含む。当該軸A2は、第1部材2の対称軸である。
【0085】
軸A1とA2は、一致するまたは実質的に一致する。
【0086】
ノッチシステムは、第1部材に対する、第2部材の運動におけるノッチまたは割出位置を定義することを可能にする。
【0087】
このため、ばね1は、第1ノッチ要素、特に第1ノッチ歯11a、12a、13a、14a、15a、16a、17a、18aを含み、第1部材2は、第2ノッチ要素、特に第2ノッチ歯22a、22b、22c、22d、22e、22fを含む。
【0088】
ばね1及び第1部材2は、異なるノッチまたは割出位置または割出された位置を定義するために、互いに作用するよう配置される。特に、第1歯列は、ノッチシステムの異なるノッチまたは割出位置または割出された位置を定義するために、第2歯列に作用するよう配置される。
【0089】
好ましくは、第1歯列はn本の歯を含み、第2歯列はm本の歯を含み、第1及び第2歯列は、両者の相互作用を通じて、p個のノッチまたは割出位置または割出された位置を定義するよう配置され、ここでp=m×n/kであり、kは自然整数であり、例えばk=1またはk=2またはk=3またはk=4である。
【0090】
例えば、
p=24及びn=8及びm=6、または
p=30及びn=6及びm=5、または
p=60及びn=10及びm=12、または
p=60及びn=12及びm=15、または
p=60及びn=12及びm=20、または
p=120及びn=8及びm=15、
である。
【0091】
従って、第1部材2に対して第2部材3が完全な回転にわたり回転移動されると、p個のノッチまたは割出位置または割出された位置が感じられる。
【0092】
ばね1は、
- 少なくとも2本の弾性アーム11、12、13、14、15、16、17、18と、
- 第1ノッチ要素、特にアーム11、12、13、14、15、16、17、18のそれぞれに配置された、第1ノッチ歯11a、12a、13a、14a、15a、16a、17a、18aを含む第1ノッチ歯列と、
を含む。
【0093】
好ましくは、アーム11、12、13、14、15、16、17、18の1つが装填されていないときは、そのノッチ要素の頂点からまたはその第1ノッチ歯11a、12a、13a、14a、15a、16a、17a、18aの頂点からみた場合、凸状の形状を有する。
【0094】
特に、これらアームの1つは、当該アームが装填されていないときは、当該アームのノッチ要素の頂点からまたは第1ノッチ歯の頂点からみた場合、凸状の形状を有する。
【0095】
特に、当該アームは、ばねが第1部材2の周りにまたはその外側に配置されると、軸A1または軸A2からみると、凸状である。
【0096】
好ましくは、ばねはn本のアームを含み、ここでn≧2である。特に、
図1から9を参照して説明された第1実施形態の変形例において、n=8である。このように、ばね1は、8本のアーム11、12、13、14、15、16、17、18を含み、そのそれぞれは第1ノッチ要素を、特に第1ノッチ歯11a、12a、13a、14a、15a、16a、17a、18aを含む。
【0097】
これら第1ノッチ歯は、軸A1周りに角度α12で延長する。これら第1ノッチ歯は、更に、軸A1周りに角度α11で間隔があけられる。これら第1ノッチ歯は、好ましくは、軸周りに角度α11+α12で、一定間隔で配置される。
【0098】
好ましくは、ばねの少なくとも2本の弾性アームは、第1部材2に作用することが意図されるクランプを形成する。換言すれば、少なくとも2本の弾性アームは、そのデザインとその配置を理由として、好ましくは第1部材2に反対の力を発揮する。これは、特にばね1に対して第1部材2に対する適切な張力を予め与えることを可能にする、特に第1及び第2連結要素により可能になる。
【0099】
有利には、ノッチシステム100は、双方向である。このため、特に回転の両方向に、第1部材2上に旋回可能な態様で搭載された、第2「被ノッチ」部材3を採用することも可能である。
【0100】
好ましくは、ばねは、閉ループの形状である。好ましくは、ばねは、軸A1に中心を取る閉ループの形状である。換言すれば、様々なアームが、有利には、その端部において互いに機械的に連結される。より詳細には、ばねの各所定のアームは、その端部のそれぞれにおいて、所定のアームの近隣のまたは隣接するアームの一端部に連結される。
【0101】
好ましくは、ばね1は、少なくとも2本の弾性アーム11、12の間に、少なくとも1つの第1ピボット連結要素1bを含む。第1ピボット連結要素1bは、好ましくは、それぞれ2つの隣接するまたは連続するまたは近隣の弾性アームの間に据えられるまたは位置される。有利には、ばね1は、アーム11、12、13、14、15、16、17、18と同数の第1ピボット連結要素1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1hを含み、第1ピボット連結要素は、アームのそれぞれの端部のそれぞれに配置される。換言すれば、同一の第1ピボット連結要素が、2つの近隣のまたは隣接するアームの2つの端部に配置される。
【0102】
好ましくは、第1ピボット連結要素は、軸A1に中心を取る同一の円C1上に配置される。慣例により、当該円C1の半径を、ばねの外側半径またはばねの半径と称する。好ましくは、第1ピボット連結要素は、軸A1及びA2に平行な軸の、穴である。好ましくはこれら穴の軸は、円C1上に配置される。
【0103】
ばねの第1ピボット連結要素の軸を連結する線分は、多角形を、特に正多角形を形成する。このため、ばねは、実質的に、多角形形状を、特に正多角形形状を有する。これは、ばねが装填されていないまたは予め張力を与えられていないときに、換言すればばねがノッチシステムから除去された(これにより弾性アームは全て同一の曲率半径を示す)ときに、明白である。
【0104】
図1から9に示す第1実施形態の変形例において、ばねの第1ピボット連結要素の軸を連結する線分は、八角形Oを形成する。このため、ばねは、実質的に八角形形状を有する。特に、ばねが装填されていないまたは予め張力を与えられていないときに、ばねは、ばねのアームのそれぞれの凸状形状を理由として、実質的に星形の形状を有する。
【0105】
一般的に、ばねは、好ましくは、n回の回転対称を示す。
【0106】
第2部材3は、軸A1またはA2に平行な軸周りの、ばね1と第2部材3との間の少なくとも1つのピボット連結を形成するために、少なくとも1つの第1ピボット連結要素1bと協働することが意図される、少なくとも1つの第2ピボット連結要素3bを含む。有利には、第2部材3は、ばね1が含む第1ピボット連結要素1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1hと同数の、第2ピボット連結要素3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3hを含む。好ましくは、第2ピボット連結要素は、軸A1またはA2に平行な、ピンまたはペグまたは突起である。
【0107】
このように、第1及び第2ピボット連結要素は、ばね1の第2部材3に対する関節接合を形成する。その結果、各弾性アームは、その端部のそれぞれにおいて、第2部材により保持され第2部材に関節接合される、梁を構成する。
【0108】
第1及び第2連結要素は、特に、ばね1に対して第1部材2に対する適切な張力を予め与える一方で、第2部材3に対するばね1のピボット連結を構成することを可能にする。
【0109】
好ましくは、
図4及び5に示すように、弾性アームは、装填されていないときは、円弧C11の形状であり、その中心A11は好ましくは軸A1上に中心を取る(すなわち、ばねと同軸である)同一の第1円C10上に位置され、非ゼロの半径を有する、特に上記で定義された円C1の半径(すなわち、ばねの半径)の1.5倍より大きい半径を有する、または円C1の半径(すなわち、ばねの半径)の1.8倍より大きい半径を有する、または円C1の半径(すなわち、ばねの半径)の2倍より大きい半径を有する。
図1から9に図示する第1実施形態の変形例において、第1円C10は、円C1の半径の2.3倍またはばねの半径の2.3倍に等しい半径を有する。
【0110】
例として、
図4は、ばね1のアーム11を図示し、その中央部は、円C11の一部に一致し、その中心A11は、ばね1の外側、特に円C1の外側に位置する。
【0111】
有利には、ノッチシステムは、特にばねは、ばねのアームのいずれか一つの曲率半径が、当該アームが第1部材2の作用により、特に第2ノッチ要素の作用により装填されると、増加する、または反転するように設計される。アーム14及び18のこのような変形は、
図2に図示される。また有利には、当該構成において、それぞれアーム14及び18に隣接するアーム13、15、及び11、17のそれぞれの曲率半径は、アーム14及び18の曲率半径より小さい。
【0112】
上述の通り、ばね1は、第1ノッチ歯列を形成する、第1ノッチ歯または突起の形状を取ることができる、第1ノッチ要素11a、12aを含む。これら歯または突起は、ばねの内側に向けてまたはばね軸A1に向けて方向づけられてもよい。これら歯または突起は、例えば、軸A1及びA2に垂直な平面において実質的に台形の形状の断面を有する。
【0113】
代替的に、これら突起は、これら区域におけるアームの断面の著しい変化なくして、アームの方向の急激且つ局所的な変化により構成されてもよい。
【0114】
第2部材2は、第2ノッチ歯列を形成する、第2ノッチ歯または突起といった第2ノッチ要素22a、22bを含む。これら第2歯または突起は、例えば、軸A1及びA2に垂直な平面において実質的に台形の形状の断面を有し、特にドーム型の外側歯形を含む。
【0115】
有利には、第1ノッチ要素11a、12aのそれぞれは、ばねの弾性アームのそれぞれの中間点に、すなわち旋回要素から実質的に等距離で、配置される。より具体的には、第1ノッチ要素11aは、第1旋回要素1a及び1bから等距離で配置される。より具体的には、第1ノッチ要素12aは、第1旋回要素1b及び1cから等距離で配置される。このように、ばねを形成するアームがn本存在するため、ばね上にn個の第1ノッチ要素が存在する。
【0116】
第1部材2は、m個の第2ノッチ要素を含む。好ましくは、n≠mである。例えば、
図1から9に図示する第1実施形態の例では、m=6でn=8である。このように、第1部材2は、6つの第2ノッチ要素22a、22b、22c、22d、22e、22fを含む。
【0117】
当該例において、ノッチシステムは、第1部材2に対する第2部材3の完全な回転について、24個のノッチまたは割出位置を生成する。
【0118】
第1部材2上で、第2ノッチ要素は、それぞれ軸A2周りに角度α22で角度的に延長する。好ましくは、第2ノッチ要素は、軸A2周りに一定間隔で分配される。隣接するまたは連続するまたは近隣の2つの第2ノッチ要素は、窪みまたは第1部分21a、21b、21c、21d、21e、21fにより分離される。各部分21は、軸A2周りに角度α21で角度的に延長する。
【0119】
好ましくは、部分21aから21fは、半径r1を有する軸A2の円柱の一部である。
【0120】
第2ノッチ要素は、部分21aから21fから突出する、丸突出部22aから22fの形状であってもよい。このように、第2ノッチ要素は、ばね1の第1ノッチ要素の障害物を形成するよう、第1半径r1から第2半径r2に延長してもよい。比率r2/r1は、特にノッチ感覚に関連する。この特定の例において、当該比率は、例えば、約1.04である。
【0121】
α11、α12、及びα21、α22の値は、特にノッチシステムのノッチ頻度を定義することを可能にする。特に、これらの値は、ノッチシステムのノッチの数を定義することを可能にする。それぞればね1と第1部材2上の同一の角度α12とα22について、ノッチの数pは、特に以下の関係で定義されてもよい。
(α12+α22)/2=360/p、ここでα12及びα22は角度として測定される。
【0122】
好ましくは、α21の角度範囲は、角度範囲α22より厳密に大きい、または1.5×α22以上であってもよい。
【0123】
本実施形態において、第1ノッチ要素は、
図3に示すように、ばねを通過する(即ち軸A1に垂直な)平面P1内で、ばねの軸A1を通過する直線D1に対して軸対称を示す。
【0124】
本実施形態において、第2ノッチ要素は、
図6に示すように、第1部材を通過する(即ち軸A2に垂直な)平面P2内で、軸A2を通過する直線D2に対して軸対称を示す。
【0125】
好ましくは、第1部材は、m回の回転対称を示す。
【0126】
有利には、ノッチシステムは、特に第1及び第2ノッチ要素は、所定の時間に、特にいつでも、第1接触面積内で、所定の第1ノッチ要素が所定の第2ノッチ要素に第1機械的作用を発揮し、第2接触面積内で、所定の第1ノッチ要素以外の第1ノッチ要素が所定の第2ノッチ要素以外の第2ノッチ要素に第2機械的作用を発揮するよう配置され、第1及び第2機械的作用は、異なる強度及びまたは異なる方向を有する。
【0127】
また好ましくは、所定の時間にまたはいつでも、2つの第1ノッチ要素とは異なる、第1ノッチ要素は、第1部材2の部分21aから21fに第3機械的作用を発揮する。
【0128】
ノッチシステムは、特に第1及び第2ノッチ要素は、第1部材に対する第2部材の割出位置が、第1機械的作用により及び第2機械的作用により定義されるように配置され、第1及び第2機械的作用は、第1部材2に対して第2部材3を駆動する対向トルクをもたらす。
【0129】
第1及び第2部材2、3の相対運動中、ばね1の少なくとも2本の弾性アームは、第1部材2の作動により、特に第2ノッチ要素の効果により、その関節接合または共通のピボット連結周りに移動する、また共通の関節接合またはピボット連結に対して弾性変形する、特定の特徴を有する。このため、第1部材2に対する第2部材3の少なくとも1つの作動段階において、アーム11及び12は、第1及び第2連結要素1b及び3bにより形成された関節接合またはピボット連結に対して、振動して変形する。
【0130】
こうしたアーム11、12、13、14、15、16、17、18の振動及び弾性変形は、第1ノッチ要素11a、12a、13a、14a、15a、16a、17a、18aと、第1部材2の第2ノッチ要素22a、22b、22c、22d、22e、22fとの協働により得られる。
【0131】
第1ノッチ要素と第2ノッチ要素との間の協働を用いてばね1のアームが弾性変形すると、当該アームの曲率半径の増加をもたらし、第1ノッチ要素が第2ノッチ要素の頂点に、すなわち第1部材2の半径r2に位置されると、アームは、直線状または実質的に直線状のデザイン、または凹形デザイン(曲率半径が無限大を通過した後に減少する)を示すことができる。アームの変形が増加すると、当該アームの第1ノッチ要素経由で第1部材2に対してアームが付与する機械的作用の強度が増加する。
【0132】
好ましくは、アームが支持する第1ノッチ要素と第1部材の第2ノッチ要素との間の協働を用いてばね1のアームが弾性変形すると、第1ノッチ要素は、ばね1の第1連結手段を通過する円C1の外に出ない。これは、有利には、特に小型のノッチシステムを提案することを可能にする。
【0133】
図7から9は、システム100のノッチが生成される方法を示すために、第1部材2に関する、ばね1の異なる構成を図示する。単純化のため、ばね1が関節接合される第2部材3は、これら図では図示されない。
【0134】
図7は、第1構成にあるシステムの一部を図示し、ばね1の第1ノッチ要素11aは、太い矢印で示す第2部材3の回転の第1方向で、第1部材2の第2ノッチ要素22aと角度的に当接する一方で、同じ第1ノッチ要素11aは、第1部材2の第1部分21aに対して半径方向に重みをかける。これは、第1部材2に対する第2部材3(図示せず)の第1安定角度構成である。当該第1構成は、回転の第1方向への第2部材3の旋回の後に、そして第2部材3の閾値回転トルクに従って、得られる。当該第1構成において、アーム11は、ばね1の軸A1からまたは第1部材2の軸A2からみて凸状形状を有する。関節接合1a、3aにおいてアーム11に連結されたアーム18の第1ノッチ要素18aは、自身では第2ノッチ要素22fの頂点に対して、即ち直線D2を通過する第2ノッチ要素22fの中央帯内の半径r2において第2ノッチ要素22fに対して、半径方向に重みをかける。当該第1構成において、アーム18は、直線状または実質的に直線状の形状を有する。更に、関節接合1b、3bにおいてアーム11に連結されたアーム12の第1ノッチ要素12aは、自身では、第1部分21bに対して半径方向に重みをかける。当該第1構成において、アーム12は、ばね1の軸A1からまたは第1部材2の軸A2からみて凸状形状を有する。
【0135】
第1ノッチ要素11aによる第2ノッチ要素22aの通過、すなわち第1部材2の半径r1から半径r2への通過は、第2部材3を駆動する閾値トルクよりも高い第2部材3の回転トルクを達成するために、第1部材2に対する第2部材3の回転トルクの増加を必要とする。このため、関節接合1a、3a及び1b、3bのそれぞれは、アーム内の応力を最小化する一方で、アーム11を最適に変形させることを可能にする。このトルクの増加は、ノッチの開始を特徴づける要素11aと22aとの協働により少なくとも部分的にもたらされる。この増加は、第1ノッチ要素と第2ノッチ要素の形状により、多かれ少なかれ急激または直線状である。
【0136】
図8は、回転の第1方向における第2部材の回転に続き第2ノッチ要素を部分的に通過した後に、第2ノッチ要素22aの頂点の上流で、第1ノッチ要素11aが第2ノッチ要素22aに対して半径方向に重みをかける、第2構成にあるシステムの一部を図示する。当該第2構成において、アーム11は、直線状または実質的に直線状の形状を有する。当該第2構成において、アーム12の第1ノッチ要素12aは、第1部分21bに対して半径方向に重みをかけ続け、このためアーム12はばね1の軸A1からまたは第1部材2の軸A2からみて凸状形状を維持する。当該第2構成において、アーム18の第1ノッチ要素18aは、第2ノッチ要素22fに対しては半径方向に重みをかけ続け、このためアーム18は直線状または実質的に直線状の形状を維持する。にもかかわらず、当該第2構成において、第1ノッチ要素18aは、第2ノッチ要素22fの頂点を通過し、アーム18はその弾性変形により蓄積した弾性ポテンシャルエネルギーを復元する状態にある。
【0137】
第2ノッチ要素22fに対する第1ノッチ要素18aの配置により、第2部材3は、閾値より低いトルクの影響下で、回転の第1方向へ回転駆動されることが可能である。このトルクの減少は、ノッチの最後を特徴づける要素18aと22fとの協働により少なくとも部分的にもたらされる。当該減少は、第1ノッチ要素と第2ノッチ要素の形状により、多かれ少なかれ急激または直線状である。
【0138】
図9は、ノッチの終了後のシステムの一部を図示する。当該第3構成において、第1ノッチ要素11aが第2ノッチ要素22aの頂点に位置する中、第1ノッチ要素18aは、第2ノッチ要素22fを通過後に、第1部材の部分21aに半径方向に重みをかける。第1ノッチ要素12aは、自身では、第1部材2の第2ノッチ要素22bに角度的に当接する一方、同じ第1ノッチ要素12aは、第1部材2の第1部21bに対して半径方向に重みをかける。
【0139】
当該第3構成は、上述の第1ノッチに続き、第1ノッチ要素12aによる第2ノッチ要素22bの通過が第2ノッチの開始を少なくとも部分的に開始することから、第1構成と同等である。当該第2ノッチの終了が、第1ノッチ要素11aによる第2ノッチ要素22aから部分21bへの通過により少なくとも部分的に特徴付けられる。
【0140】
当該記載は、所定のノッチが、所定の第2ノッチ要素と協働する所定の第1ノッチ要素により、または異なる第2ノッチ手段と同時に且つ同期された態様で協働する第1ノッチ手段により、排他的に定義されているものではないことを示す。本発明にかかるノッチシステムにおいて、ノッチは、
- 所定の第1ノッチ要素と所定の第2ノッチ要素との間の第1協働、
- 他の所定の第1ノッチ要素と他の所定の第2ノッチ要素との間の第2協働、そして場合により
- 最初の二つとは異なる、少なくとも1つの他の第1ノッチ要素と、第1部材の所定の第1部分との間の第3協働、
の結合により定義されてもよい。
【0141】
より具体的には、上述の第2構成において、第1ノッチ要素11aは、第2ノッチ要素22aの頂点の上流で第2ノッチ要素22aに対して半径方向に重みをかけてもよく、他の第1ノッチ要素18aは、第2ノッチ要素22fの頂点の下流で第2ノッチ要素22fに対して半径方向に重みをかけてもよく、更に他の第1ノッチ要素12aは、部分21bに重みをかけてもよい。このため、ノッチシステムの所定の構成において、ばねの第1ノッチ要素は、第1部材2の第2ノッチ要素に関して全てが同様に配置されているものではないことから、ばねの第1ノッチ要素は、全てが同時に且つ同期した態様で第2ノッチ要素と働くものではない。これは、ばねにより、特に第1ノッチ要素により、第1部材に発揮されるいくつかの機械的作用であって、
- (主としてアームの変形の度合いで判断される)異なる強度、及びまたは
- 異なる方向(方向は、ばねの第1部材2との接点における軸A1及びA2に沿った半径方向に対する角度で判断される)、
を有する機械的作用をもたらす。
【0142】
もちろん、ノッチの開始は、所定の第1ノッチ要素と所定の第2ノッチ要素との間の、1以上の第1協働により定義されてもよい。このため、所定の第1ノッチ要素と所定の第2ノッチ要素との間に複数の第1協働があってもよく、これら第1協働は同時且つ同期される、すなわちこれら第1協働は、強度と方向(方向は、ばねの第1部材2との接点における軸A1及びA2に関する半径方向に対する角度で判断される)に関して等しいまたは実質的に同一の機械的作用を同時に生成することを意味する。
【0143】
図1から9に示す実施形態において、ノッチシステムの第1構成において、第1ノッチ要素15aは、第1ノッチ要素11aが第2ノッチ要素22aに対して配置されるのと同じように、第2ノッチ要素22dに対して角度的に当接して配置される。これは、より具体的には、上述の第1構成のノッチシステムを示す
図2で見ることができる。
【0144】
このため、ノッチの開始は、より具体的には、要素11aと22a、そして15aと22dの、それぞれの間の、同時且つ同期の協働により判断される。更に、ノッチの終了は、要素18aと22f、そして14aと22cの、それぞれの間の、同時且つ同期の協働により判断される。
【0145】
図1から9に示す実施形態において、ノッチシステムは双方向である、即ち上述のようにノッチを第2部材3の回転の第1方向に定義することも可能であるが、ノッチシステムの同一の要素または同等の要素により、ノッチを第2部材3の回転の第2方向に定義することも可能であることを意味する。
【0146】
時計200’の第2実施形態を、
図10から18を参照して以下に説明する。
【0147】
好ましくは、第2実施形態は、以下に説明する特徴においてのみ、第1実施形態と異なる。
【0148】
このため、第2実施形態の要素の参照番号は、(同一または実質的に同一の構造及びまたは同一または実質的に同一の機能を有する)第1実施形態の要素の参照番号から、アポストロフィー「’」の追加により派生する。
【0149】
主として、第2実施形態は、ノッチシステム100’が一方向である点において、第1実施形態と異なる。このため、第2実施形態は、特に回転の一方向のみに、第1部材2’周りに旋回される、第2「被ノッチ」部材3’を採用することが可能になる。
【0150】
図10から18を参照して以下に説明する第2実施形態の当該特定の変形例において、ノッチシステムは、第1部材2’に対する第2部材3’の完全な回転について、120のノッチまたは割出位置を生成する。
【0151】
この特定の変形例において、第1部材は、m個の第2ノッチ要素を含み、ここでm=15である。このため、この場合の第1部材2’は、15個の第2ノッチ要素22a’、22b’、22c’、22d’、22e’、22f’、22g’、22h’、22i’、22j’、22k’、22l’、22m’、22n’、22o’を含む。第1実施形態のばね1同様、この場合のばね1’は、それぞれ第1ノッチ要素を、特に第1ノッチ歯11a’、12a’、13a’、14a’、15a’、16a’、17a’、18a’を含む、8本のアーム11’、12’、13’、14’、15’、16’、17’、18’を含む。
【0152】
第1部材2’に対する第2部材3’の一方向回転機能を実現するため、ノッチシステム100’は、第1部材2’に対する第2部材3’のあらゆる意図しない回転を回避するための、第1角度止め具要素と第2角度止め具要素とを含むという特定の特徴を有する。
【0153】
より具体的には、
- 各第1ノッチ要素11a’、12a’、13a’、14a’、15a’、16a’、17a’、18a’は、その法線方向が第1軸A1に対して正放線または実質的に正放線である、第1側面といった第1止め具要素111a’、121a’、131a’、141a’、151a’、161a’、171a’、181a’を含んでもよい、及び
-各第2ノッチ要素22a’から22o’は、その法線方向が第1軸A1に対して実質的に正放線である、第2側面といった第2止め具要素を含んでもよい。
【0154】
これら第1及び第2止め具要素は、所定の回転方向における、第1部材2’に対する第2部材3’の回転を防止するため、障害により協働する。
【0155】
このため、第1ノッチ要素は、非対称であるという特定の特徴を有する。より具体的には、第1ノッチ要素が軸対称を示す、ばねの平面P1’を通りばねの軸A1’を通る直線は存在しない。
【0156】
同様に、第2ノッチ要素は、非対称であるという特定の特徴を有する。より具体的には、第2ノッチ要素22’が軸対称を示す、第1部材の平面P2’を通り第1部材の軸A2’を通る直線は存在しない。
【0157】
好ましくは、各弾性アーム11’、12’、13’、14’、15’、16’、17’、18’ は、第1当接力反応要素11b’、12b’、13b’、14b’、15b’、16b’、17b’、18b’を含み、第1当接力反応要素は、例えば、各弾性アームの中間点に配置される。当接力反応要素は、所定の回転方向において第1部材2’に対する第2部材3’の回転を阻止するために、第1及び第2止め具要素が障害により協働する際に、止め具表面31b’、32b’、33b’、34b’、35b’、36b’、37b’、38b’と協働するよう設けられる。
【0158】
好ましくは、第1ノッチ要素は、ばね1’の表面上に、特にばね1’の内面上に設けられ、第1当接力反応要素は、ばね1’の他の表面上に、特にばね1’の反対面上に、特にばね1’の外面上に設けられる。
【0159】
このように、ばね1’の第1ノッチ要素と第1部材2’の第2ノッチ要素の設計の結果、ノッチシステム100’は一方向である。このため、第2部材3’は、第1部材2’に対して、そして結果としてケース胴4’に対して、回転の一方向のみに旋回するよう搭載される。この回転の方向は、
図16から18に点線の矢印で示す回転の方向に対応する。
【0160】
加えて、この場合、ばね1’と第2部材3’との間のピボット連結は、第2部材3’上に設けられた(第2ピボット連結要素として働く)突出部3a’から3h’と協働するために、ばね1’上に設けられた(第1ピボット連結要素として働く)へこみ1a’から1h’により実現される。もちろん、へこみを穴に、突出部をピンやペグに、交換することも十分に可能である。
【0161】
第1及び第2連結要素は、第2部材3’に対するばね1’のピボット連結を、特に2つの連続する弾性アームを連結するピボット連結を構成しつつ、特に第1部材2’に対してばね1’に予め適切な張力を与えることを可能にする。
【0162】
図10から18に示す例において、第2部材2’は同様に、第1部材2’の第1半径r1上に配置された、15個の第1環状部分21a’から21o’を含む。第2ノッチ要素22a’から22o’は、自身では、
図15に示すように、第1部材2’の第2半径r2上に配置された頂点を含む。比率r2/r1は、特にノッチ感覚に関連する。この特定の例において、当該比率は約1.02である。
【0163】
図10から18に示す例において、第1部材2’の軸A2’から測定される、第1部分21’の角度範囲α21’ は、この場合、同じ軸A2’から測定される、第2ノッチ要素22’の角度範囲α22’の約3倍である。α21’とα22’の値は、特にノッチ頻度を定義することを可能にする。
【0164】
図16から18は、装置100’のノッチがどのように生成されるかを示すために、第1部材2’に関するばね1’の異なる構成を図示する。単純化のため、ばね1’が関節接合される第2部材3’は、これら図面では図示されない。
【0165】
図16は、ばね1’の第1ノッチ要素11a’が、点線の矢印で示される第2部材3’の回転の方向において、第1部材2’の第2ノッチ要素22a’に対して角度的に当接する、ノッチシステムの第1構成の部分を図示し、ここで同じ第1ノッチ要素11a’は、第1部材2’の第1部分21b’に対して半径方向に重みをかける。これは、第1部材2’に対する第2部材3’の第1安定角度構成である。第1構成は、所定の回転方向への第2部材3’の旋回に続き、そして第2部材3’の閾値回転トルクに従って、達成される。当該第1構成において、アーム11’は、ばね1’の軸A1’からまたは第1部材2’の軸A2’から見て、凸状形状を有する。第1関節接合1b’、3b’によりアーム11’に連結されたアーム12’の第1ノッチ要素12a’は、自身では、第2ノッチ要素22c’の頂点に対して、すなわち第1部材2’の半径r2において第2ノッチ要素22c’に対して、角度的に重みをかける。当該第1構成において、アーム12’は、直線状または実質的に直線状の形状を有する。更に、第2関節接合1a’、3a’によりアーム11’に接合されたアーム18’の第1ノッチ要素18a’は、自身では、第1部分21o’に対して半径方向に重みをかける。当該第1構成において、アーム18’は、ばね1’の軸A1’からまたは第1部材2’の軸A2’からみて、凸状形状を有する。
【0166】
第1ノッチ要素11a’による第2ノッチ要素22a’の通過、即ち第1部材2’の半径r1から半径r2への通過は、第2部材3’を駆動するための閾値トルクよりも高い第2部材3’の回転トルクを達成するために、第2部材3’の回転トルクの増加を必要とする。このため、関節接合1a’、3a’及び1b’、3b’のそれぞれは、アーム11’内の応力を最小化する一方で、アーム11’を最適に変形することを可能にする。要素11a’及び22a’の協働によりもたらされるトルクの増加は、ノッチの開始を特徴づける。当該増加は、第1ノッチ要素と第2ノッチ要素の形状により、多かれ少なかれ急激または直線状である。
【0167】
図17は、第2部材3’の回転方向における回転に続き、第2ノッチ要素を部分的に通過した後の、第2ノッチ要素22a’の頂点のわずかに上流で、第1ノッチ要素11a’が第2ノッチ要素22a’に対して角度的に重みをかける、ノッチシステムの第2構成の部分を図示する。当該第2構成において、アーム11’は、直線状または実質的に直線状の形状を有する。当該第2構成において、アーム18’の第1ノッチ要素18a’は、第1部分21o’に対して半径方向に重みをかけたままであり、このためアーム18’は、ばね1’の軸A1’からまたは第1部材2’の軸A2’からみて、凸状形状を維持する。当該第2構成において、アーム12’の第1ノッチ要素12a’は、第2ノッチ要素22c’に対して半径方向に重みをかけたままであり、このためアーム12’は直線状または実質的に直線状の形状を維持する。にもかかわらず、当該第2構成において、第1ノッチ要素12a’は第2ノッチ要素22c’の頂点を通過しており、このためアーム12’は、その弾性変形により蓄積した弾性位置エネルギーを復元する用意ができている。
【0168】
第2ノッチ要素22c’に対する第1ノッチ要素12a’の配置を理由として、第2部材3’は、閾値より低いトルクの影響下で、自身の回転方向に回転駆動されることができる。要素12a’と22c’の協働によりもたらされるトルクの減少は、ノッチの終了を特徴づける。当該減少は、第1ノッチ要素と第2ノッチ要素の形状により、多かれ少なかれ急激または直線状である。
【0169】
図18は、ノッチの終了後のノッチシステムの部分を図示する。当該第3構成において、第1ノッチ要素12a’は、第2ノッチ要素22c’を通過後に、第1部材の部分21c’に対して半径方向に重みをかける一方、第1ノッチ要素11a’は、第2ノッチ要素22a’の頂点に位置する。第1ノッチ要素18a’は、自身では、第1部材2’の第2ノッチ要素22n’に対して角度的に当接する一方、同じ第1ノッチ要素18a’は、第1部材2’の第1部分21o’に対して角度的に重みをかける。
【0170】
当該第3構成は、上述の第1ノッチに続き、第1ノッチ要素18a’による第2ノッチ要素22n’の通過が第2ノッチの開始を始めることから、第1構成と同等である。当該第2ノッチの終了は、第1ノッチ要素11a’の第2ノッチ要素22a’から部分21a’への通過により特徴づけられる。
【0171】
当該記述は、所定のノッチは、所定の第2ノッチ要素と協働する所定の第1ノッチ要素により、または異なる第2ノッチ手段と同時に且つ同期された態様で協働する第1ノッチ手段により、排他的に定義されているものではないことを示す。本発明にかかるノッチシステムにおいて、ノッチは、
- 所定の第1ノッチ要素と所定の第2ノッチ要素との間の第1協働、及び
- 他の所定の第1ノッチ要素と他の所定の第2ノッチ要素との間の第2協働、及び場合により
- 最初の二つとは異なる、少なくとも1つの他の第1ノッチ要素と、第1部材の所定の第1部分との間の第3協働、
の結合により定義されてもよい。
【0172】
より具体的には、上述の第2実施形態において、第1ノッチ要素11a’は、第2ノッチ要素22a’の頂点の上流で第2ノッチ要素22a’に対して半径方向に重みをかけてもよく、第1ノッチ要素12a’は第2ノッチ要素22c’の頂点の下流で第2ノッチ要素22c’に対して半径方向に重みをかけてもよく、第3の第1ノッチ要素18a’が部分21o’に重みをかけてもよい。このため、ノッチシステムの所定の構成において、ばねの第1ノッチ要素は、第1部材2の第2ノッチ要素に関して全てが同様に配置されているものではないことから、ばねの第1ノッチ要素は、全てが同時に且つ同期した態様で第2ノッチ要素と働くものではない。
【0173】
時計200*の第3実施形態を、
図19及び20を参照して以下に説明する。
【0174】
好ましくは、第3実施形態は、以下に説明する特徴においてのみ、第1実施形態と異なる。
【0175】
このため、第3実施形態の要素の参照番号は、(同一または実質的に同一の構造及びまたは同一または実質的に同一の機能を有する)第1実施形態の要素の参照番号から、アスタリスク「*」の追加により派生する。
【0176】
図1から9に示す第1実施形態の例にあるように、n=8、及びm=6である。このため、第3実施形態の当該特定の変形例において、ノッチシステムは、第1部材2*に対する第2部材3*の完全な回転について、24個のノッチまたは割出位置を生成する。
【0177】
主として、第3実施形態は、第1部材2*が、ばね1*が関節接合される第2部材3*の外側に搭載される点で、第1実施形態と異なる。このため、第2ノッチ要素は、内側に向けられる。第2ノッチ要素は、例えば、内歯列を形成する。またこのため、装填されていない状態において、ばね1*のアーム11*は、軸A1*またはA2*からみて凹状である。しかしながら、好ましくは、アーム11*は、非装填状態では、第1ノッチ要素の頂点からみて凸状である。
【0178】
好ましくは、
図20に示すように、弾性アームは、ばねが装填されていない位置においては、円弧C11*の形状であり、その中心A11*は、好ましくは、軸A1*に中心を取る(即ちばねと同軸である)同一の第1円C10*上に位置し、非ゼロの半径、特にばね1*の第1連結要素の軸を通る円C1*の半径(即ちばねの半径)の0.2倍より大きい、または円C1*の半径(即ちばねの半径)の0.3倍より大きい、または円C1*の半径(即ちばねの半径)の0.4倍より大きい半径を有する。好ましくは、半径は、ばね1*の第1連結要素の軸を通る円C1*の半径(即ちばねの半径)の0.9倍または0.8倍より小さい。
【0179】
好ましくは、自身が支持する第1ノッチ要素と、第1部材2*の第2ノッチ要素22a*、22b*との間の協働によりばね1*のアーム11*、12*が弾性変形すると、第1ノッチ要素11a*、12a*は、円C1*の内側に移動しない。これは、有利には、特に小型のノッチシステムを提案することを可能にする。
【0180】
時計200”の第4実施形態を、
図21及び22を参照して以下に説明する。
【0181】
好ましくはまたは実質的に、第4実施形態は以下に説明する特徴において第1実施形態と異なる。
- ばねを第2部材3”に機械的に連結するピボット連結1b”、3b”は、第2実施形態のように実施される、及びまたは、
- アーム11”の形状、及びまたは
- 第1ノッチ歯11a”の形状。
【0182】
このため、第4実施形態の要素の参照番号は、(同一または実質的に同一の構造及びまたは同一または実質的に同一の機能を有する)第1実施形態の要素の参照番号から、符号「”」の追加により派生する。
【0183】
時計200’”の第5実施形態を、
図23及び24を参照して以下に説明する。
【0184】
好ましくはまたは実質的に、第5実施形態は以下に説明する特徴において第2実施形態と異なる。
- ばねを第2部材3’”に機械的に接続するピボット連結1b’”、3b’”は、第1実施形態のように実施される、及びまたは、
- アーム11’”の形状。
【0185】
このため、第5実施形態の要素の参照番号は、(同一または実質的に同一の構造及びまたは同一または実質的に同一の機能を有する)第2実施形態の要素の参照番号から、「’」を符号「’”」により代替することにより派生する。
【0186】
第4及び第5実施形態において、アームは、好ましくは、第1ノッチ歯の頂点からみて、2つの凹状パーツ118”、119”;118’”、119’”を含む形状を有する。2つの凹状パーツは、互いを結合して、
- 凹状パーツが角度β”、β’”を、例えば60°から120°の間の角度または90°に等しいまたは約90°に等しい角度β”、β’”を形成する接線を有する、及び
- 第1歯を構成する、
領域を形成する。
【0187】
好ましくは、凹状パーツは、
- 円C1”、C1’”の半径の0.05倍または0.1倍以上で円C1”、C1’”の半径の0.3倍以下の曲率半径を有する、及びまたは
- 凹状パーツは、アームの端部において円C”、C’”と接するまたは実質的に接する。
【0188】
実施形態または変形例を問わず、ばね1、1’、1*、1”、1’”のアームは、軸A1、A1’、A1*、A1”、A1’”を基準として半径方向に関して対称または実質的に対称であってもよい。代替的に、ばね1、1’、1*、1”、1’”のアームは、軸A1、A1’、A1*、A1”、A1’”を基準として半径方向に関して非対称であってもよい。このため、凹状パーツ118”、119”;118’”、119’”の曲率半径は、とりわけ等しくても等しくなくてもよい。
【0189】
実施形態または変形例を問わず、第1ノッチ歯は、好ましくは、ばねのアームによってのみ保持され、ばねは、各アームの端部においてピボット連結を介して第1部材または第2部材と連結される。このため、第1ノッチ歯は、好ましくは、第1部材または第2部材とアームを介して機械的に連結される。特に、第1ノッチ歯は、好ましくは、第1部材または第2部材と、直接には機械的に連結されない。とりわけ、第1ノッチ歯は、第1部材または第2部材と、軸A1、A1’、A1*、A1”、A1’”に対して半径方向または実質的に半径方向に向けられた滑動連結のような、滑動連結を介して、直接には機械的に連結されない。
【0190】
好ましくは、
- 第1ノッチ歯と、
- 第1または第2部材と
の間に存在する唯一の直接の機械的連結は、第1及び第2歯がノッチを実施するために協働する構成における、第2ノッチ歯上の局所的軸受(点状または線状)である。
【0191】
第4及び第5実施形態において、アームは、主として凸状または凸状中央パーツを有する。第4及び第5実施形態において、アームは、ばねを第2部材に連結するピボット連結においてばねと接し外側の円と一体にまたは主として内側に延長する。第4及び第5実施形態において、パーツ118”、119”;118’”、119’”をピボット連結1a”、1b”;1a’”、1b’”に連結するアーム11”、11’”のパーツは、ばねを第2部材に連結するピボット連結の軸を通過する円の半径と実質的に等しい曲率半径を有する。
【0192】
実施形態または変形例を問わず、ばね1、1’、1*、1”、1’”は、Nivaflexといった鋼製であってもよい。代替的に、ばねはニッケルまたはニッケルリン合金製であってもよい。代替的に、ばねはシリコン製であってもよい。また代替的に、ばねは金属ガラス製であってもよい。もちろん、ばねは代替的に、その他素材、特にその他弾性素材製であってもよい。ばねは、例えば、打ち抜きまたはワイヤ切断といった機械的処理により製造されてもよい。ばねはまた、光造形法、LIGA処理、DRIEエッチング処理、射出成形処理またはレーザ切断処理により製造されてもよい。
【0193】
最初の2つの実施形態において、ノッチシステムは、第2部材3、3’、3”、3’”に機械的に連結された、特に関節接合された、ばね1、1’、1”、1’”を含み、第2部材3、3’、3”、3’”は、第1部材2、2’、2”、2’”に対して可動であり、第1部材は例えばリング2、2’、2”、2’”であり、リングはケース胴4、4’、4”、4’”の一部であるまたはケース胴4、4’、4”、4’”に適合される。しかしながら、第1部材2*が第2部材3*に対して可動に搭載されるように、配置を逆転させる可能性も十分にある。この場合、第1部材2*は、例えば、回転ベゼル部分に対応してもよい。この場合、ばね1*は、第2部材3*に機械的に連結され、特に関節接合され、第2部材3*は、例えばケース胴4*の一部であるまたはケース胴4*に適合されるリング3*である。
【0194】
互いに対して第1及び第2部材を操るのに必要なトルクは、使い道の性質によって可変である、特に第1部材及びまたは第2部材により保証された機能によって可変である。配向可能裏蓋(即ち、ケース胴に対して角度的に割出されたもの)の場合、トルクは、特に、回転ベゼルまたは回転フランジを回転させるのに必要なトルクよりも高いトルクである。
【0195】
ノッチシステムは、ケース胴に対して配向可能な(即ち、ケース胴に対して角度的に割出された)竜頭に適用されるために、小型化されてもよい。
【0196】
ノッチシステム100、100’、100*、100”、100’”はまた、時計ムーブメントのノッチモバイルに適用されるために活用されてもよい。この場合、第2部材3、3’、3”、3’”または第1部材2*は、時計ムーブメントの調節機構のモバイルであってもよく、第1部材2、2’、2”、2’”または第2部材3*は、より具体的には表示部材と、典型的には時間帯の表示部材またはプログラム可能ディスプレイと噛み合うモバイルであってもよく、その逆であってもよい。
【0197】
実施形態または変形例を問わず、第1及び第2ノッチ要素は、特に第1ノッチ歯及び第2ノッチ歯は、複数の形状であってもよい。
【0198】
実施形態または変形例を問わず、ノッチは、特許文献5の装置の場合のように所定の第2ノッチ要素と協働する所定の第1ノッチ要素により、または例えば特許文献3の装置の場合のように第2ノッチ要素と同時且つ同期された態様で協働する全ての第1ノッチ要素により、排他的に定義されるものではない。
【0199】
具体的に、実施形態または変形例を問わず、ノッチまたは割出位置は、少なくとも、
- 所定の第1ノッチ要素と所定の第2ノッチ要素との間の第1協働と、
- 他の所定の第1ノッチ要素と他の所定の第2ノッチ要素との間の第2協働と、
の結合により定義される。
【0200】
有利には、当該結合はまた、最初の2つとは異なる少なくとも1つの他の第1ノッチ要素と、第1部材の窪みまたは部分、特に円筒の部分との間の第3協働を含む。
【0201】
好ましくは、実施形態または変形例を問わず、ノッチシステムは、第2部材に対する第1部材の、またはその逆の、完全な回転にわたり均等に分配されたノッチを生成するよう設計される、即ち第2部材に対する第1部材の運動は各ノッチ間で同一であることを意味する。また好ましくは、ノッチは予め定められ、第1または第2部材の角度位置に関わらず同一のままである、即ちノッチの通過を可能にする閾値トルクは問題となるノッチに関わらず同一のままであることを意味する。代替的に、ノッチシステムは、ノッチが異なる強度の閾値トルクに関連するように設計されてもよい。更に、ノッチ頻度は、第2部材に対する第1部材の、またはその逆の、完全な回転にわたり変化してもよい、即ち第2部材に対する第1部材の運動は2つの連続するノッチの間で変化してもよいことを意味する。このようなシステムは、全てが同一ではない形状の第2ノッチ要素を含む第1部材、及びまたは全てが同一ではない形状の第1ノッチ要素を含むばね、を含んでもよい。更に、角度範囲α11及びまたは角度範囲α12は変化してもよい。角度範囲α21及びまたは角度範囲α22もまた変化してもよい。
【0202】
本明細書中、「割り出し」「角度割り出し」、または「部材の割り出し」は、第2部材に対する第1部材の、またはその逆の、様々な安定角度位置を定義するものと理解される。これら安定位置は、不安定のまたは安定性の低い中間位置の連続により分離されてもよい。2つの安定位置または2つの割出位置または2つの割出された位置の間で、第1部材は、不安定のまたは安定性の低い中間位置の連続を一時的に通過する。第1または第2部材は、第1または第2部材に対して閾値トルクよりも高いトルクが与えられた場合にのみ、安定位置を離れることができるが、第1または第2部材は、第1または第2部材に対して閾値トルクよりも低いトルクが与えられると、不安定のまたは安定性の低い中間位置を離れることができる。
【0203】
本明細書中、「アーム」は、好ましくは、最大寸法軸に沿った形状の最大寸法が、当該最大寸法軸に垂直な寸法のそれぞれの少なくとも10倍以上または15倍以上である、あらゆる細長い形状を意味するものと理解される。代替的にまたは加えて、本明細書中、「アーム」は、好ましくは、ばねの輪郭を定義することに少なくとも部分的に関与する、あらゆる細長い形状を意味するものと理解される。このため、アームの連なりは、実質的にばねの輪郭を、特に閉ループを定義する。
【0204】
本明細書中、「ばねのアームが装填されていない位置」とは、好ましくは、アームの第1ノッチ要素が第2ノッチ要素と協働しない、またはアームの第1ノッチ要素が2つの連続する第2ノッチ要素の間の窪みに、特に第2部材の円筒の部分に対して位置されることを意味するものと理解される。
【0205】
本明細書中、「ノッチシステム」は、好ましくは、第2部材に対する第1部材の(またはその逆の)運動の進路にわたり分配されたノッチまたは割出位置の完成された一式を定義するシステムを意味するものと理解される。ノッチは、第2部材に対して第1部材を(またはその逆を)移動させるために克服することが必要な、閾値トルクに関して特徴づけられてもよい。ノッチの開始は、当該閾値トルクに対するトルクの増加により特徴づけられてもよい。ノッチの終了は、当該閾値トルクに対するトルクの減少により特徴づけられてもよい。克服すべきトルクの変化は、第2部材に対する第1部材の(またはその逆の)運動に対して多かれ少なかれ急激であってもよい。当該閾値トルクから始まり、第2部材に対して第1部材を(またはその逆を)駆動するのに必要なトルクは、次のノッチまでまたは次の割出位置まで、様々な方法で変化してもよい。特に、トルクは、その後相殺され、次のノッチまたは次の割出位置を定義するため、マイナスの値に減少されてもよい。好ましくは、ノッチの数は、2の倍数である。
【0206】
本明細書中、「ノッチ」は、第1割出位置とそれに続く割出位置の間の運動を意味するものと理解される。
【0207】
上述のノッチシステムは、弾性アームと当該ばねの第1連結手段が設けられるという特定の特徴を有する、戻りばねを採用し、第1連結手段は、弾性アームの変形を最大化する一方、弾性アーム内の応力を最小化するよう配置され設計される。より具体的には、当該第1連結手段は、弾性アームの長手方向端部のそれぞれに配置され、全ての弾性アームを、互いに対して移動することを可能にしつつ、連結することを可能にする。更に、当該弾性アームのそれぞれは、2つの第1連結手段の間に設けられた第1ノッチ要素を含むという特定の特徴を有し、当該第1ノッチ要素は、当該アームの弾性変形をもたらすために、ノッチリングの第2ノッチ手段と協働するために設けられる。
【0208】
このようなノッチシステムは、その簡素性及び小型化を理由として、有利には時計外部装置の、特にノッチ付回転ベゼルの定義に、または時計ムーブメントのノッチモバイルの定義に、用いることができる。
【0209】
上述のノッチシステムは、従来技術から既知の欠点を克服することを可能にする。特に、上述のノッチシステムは、第1及び第2ノッチ手段を含み、その寸法またはフォーマットは、当該装置により生成されるノッチの数に対して最大化され、当該第1及び第2ノッチ手段は、ノッチシステムにより生成されるノッチの頻度より少ない頻度で、装填可能である。
【0210】
更に、上述のノッチシステムは、所定の回転軸に対して釣り合った力を生成するという利点を有し、これはこのようなノッチシステムを含む時計装置を操る際の心地よい感覚に寄与する。
【0211】
最後に、上述のノッチシステムは、特に小型であるという利点を有する。このような設計は、例えば、断面が最小化された環状座部を含むケース胴が設けられたケース内に配置された回転ベゼルの定義のために、及びまたは、例えば、取り付けられた回転ベゼルの定義のために、特に有利である。
【0212】
その小型性を理由に、上述のノッチシステムはまた、時計ムーブメント内に一体化されることに対して特に良好に適合する。これらシステムは、例えば、このようなノッチシステムにより予め定められた角度ピッチにわたり表示部材を移動可能にする、時間帯といった時間情報を表示する装置を調節する装置であってもよい。
【符号の説明】
【0213】
1 ばね
1b 第1ピボット連結要素
2 第1部材
3 第2部材
3a、3b 第2ピボット連結要素
10 時計ケース
11、12 アーム
11a、12a 第1ノッチ要素
11b’、12b’ 第1当接力反応要素
21a、22a 部分
22a、22b 第2ノッチ要素
100 ノッチシステム
110 時計装置
200 時計
【外国語明細書】