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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099318
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】遠位端アセンブリガイダンス
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20220627BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20220627BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M25/10 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021206833
(22)【出願日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】63/129,475
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/168,123
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アビグドール・ローゼンバーグ
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK38
4C160MM33
4C267AA06
4C267BB02
4C267BB27
4C267BB40
4C267BB42
4C267BB62
4C267CC19
(57)【要約】
【課題】カテーテル整列システムを提供すること。
【解決手段】一実施形態では、カテーテル整列システムは、身体部位に挿入されるカテーテルであって、身体部位内のそれぞれの位置で組織に接触するためのカテーテル電極を備える、カテーテルと、ディスプレイと、処理回路であって、カテーテルによって提供された信号を受信し、受信された信号に応答して、カテーテル電極のうちのいくつかと身体部位の組織との接触のそれぞれのレベルを評価し、カテーテル電極のうちのいくつかのそれぞれの接触レベルに応答して、カテーテル電極のうちの少なくとも1つのそれぞれの接触レベルの少なくとも1つを改善するために、カテーテルを移動させるべき方向を見つけ、受信された信号に応答してカテーテルの表現を、また、見つけられた方向に応答してカテーテルを移動させるべき方向を示す方向指標を、ディスプレイにレンダリングするための処理回路とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル整列システムであって、
生体の身体部位の中へと挿入されるように構成されたカテーテルであって、前記身体部位内のそれぞれの位置で組織と接触するように構成されたカテーテル電極を備える、カテーテルと、
ディスプレイと、
処理回路であって、
前記カテーテルによって提供された信号を受信することと、
受信された前記信号に応答して、前記カテーテル電極のうちのいくつかと前記身体部位の前記組織とのそれぞれの接触レベルを評価することと、
前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記それぞれの接触レベルに応答して、前記カテーテル電極のうちの少なくとも1つの前記それぞれの接触レベルのうちの少なくとも1つを改善するために、前記カテーテルを移動させるべき方向を見つけることと、
前記受信された信号に応答して前記カテーテルの表現を、また、見つけられた前記方向に応答して前記カテーテルを移動させるべき前記方向を示す方向指標を、前記ディスプレイにレンダリングすることと、を行うように構成された処理回路と、を含む、カテーテル整列システム。
【請求項2】
前記カテーテルが、前記カテーテル電極が配置されている拡張可能な遠位端アセンブリを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記拡張可能な遠位端アセンブリが、前記カテーテル電極が周りに配置される軸を有する膨張可能なバルーンを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記拡張可能な遠位端アセンブリが、前記カテーテル電極が周りに配置される軸を含み、前記カテーテルの前記表現が、前記拡張可能な遠位端アセンブリの2次元(2D)表現を含み、前記カテーテル電極の各々が前記2D表現の中央領域から前記2D表現の外周に向かって延在する状態で、前記軸の周りに配置された前記カテーテル電極のすべての表現を示す、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記カテーテルの前記表現が、前記カテーテルの3次元(3D)表現を含み、前記処理回路が、前記カテーテルが3D空間内で移動すべき前記方向を前記3D空間内の前記方向指標が示す状態で、前記カテーテルの前記3D表現を前記ディスプレイにレンダリングするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理回路が、
前記カテーテル電極のうちのいくつかの前記それぞれの接触レベル及び位置座標に応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの電極接触レベルの質量中心を計算することと、
計算された前記電極接触レベルの質量中心に応答して、前記カテーテルを移動させるべき前記方向を見つけることと、を行うように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理回路が、
前記カテーテル電極のうちのいくつかの前記位置座標に応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの位置に基づく質量中心を計算することと、
前記計算された電極接触レベルの質量中心から、計算された前記位置に基づく質量中心まで延在する線に応答して、前記カテーテルを移動させるべき前記方向を見つけることと、を行うように構成された、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記それぞれの接触レベルの各々が、前記組織との接触状態及び前記組織との非接触状態を示すそれぞれの2つの接触状態から選択され、
前記処理回路が、前記2つの接触状態のうちの同じ1つを有する前記それぞれの接触レベルに応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記電極接触レベルの質量中心を計算するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記それぞれの接触レベルの各々が、前記組織との接触の質のそれぞれの少なくとも3つの状態から選択され、
前記処理回路が、前記それぞれの接触レベルに応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記電極接触レベルの質量中心を重み付けされた電極接触レベルの質量中心として計算するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記それぞれの接触レベルの各々が、前記組織との接触の質のそれぞれの摺動スケールから選択され、
前記処理回路が、前記それぞれの接触レベルに応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記電極接触レベルの質量中心を重み付けされた電極接触レベルの質量中心として計算するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
カテーテル整列方法であって、
カテーテル電極が生体の身体部位内のそれぞれの位置で組織に接触するように、前記身体部位の空洞内にカテーテルを挿入することと、
前記カテーテルによって提供された信号を受信することと、
受信された前記信号に応答して、前記カテーテル電極のうちのいくつかと前記身体部位の前記組織とのそれぞれの接触レベルを評価することと、
前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記それぞれの接触レベルに応答して、前記カテーテル電極のうちの少なくとも1つの前記それぞれの接触レベルのうちの少なくとも1つを改善するために、前記カテーテルを移動させるべき方向を見つけることと、
前記受信された信号に応答して前記カテーテルの表現を、また、見つけられた前記方向に応答して前記カテーテルを移動させるべき前記方向を示す方向指標を、ディスプレイにレンダリングすることと、を含む、カテーテル整列方法。
【請求項12】
前記カテーテルが、前記カテーテル電極が配置されている拡張可能な遠位端アセンブリを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記拡張可能な遠位端アセンブリが、前記カテーテル電極が周りに配置される軸を有する膨張可能なバルーンを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記カテーテルの前記表現が、前記カテーテルの拡張可能な遠位端アセンブリの2次元(2D)表現を含み、前記カテーテル電極の各々が前記2D表現の中央領域から前記2D表現の外周に向かって延在する状態で、前記拡張可能な遠位端アセンブリの軸の周りに配置された前記カテーテル電極のすべての表現を示す、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記カテーテルの前記表現が、前記カテーテルの3次元(3D)表現を含み、前記レンダリングすることが、前記カテーテルが3D空間内で移動されるべき前記方向を前記3D空間内の前記方向指標が示す状態で、前記カテーテルの前記3D表現を前記ディスプレイにレンダリングすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記カテーテル電極の前記いくつかの前記それぞれの接触レベル及び位置座標に応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの電極接触レベルの質量中心を計算することをさらに含み、前記見つけることが、計算された前記電極接触レベルの質量中心に応答して前記カテーテルを移動させるべき前記方向を見つけることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記位置座標に応答して前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの位置に基づく質量中心を計算することをさらに含み、前記見つけることが、前記計算された電極接触レベルの質量中心から、計算された前記位置に基づく質量中心まで延在する線に応答して、前記カテーテルを移動させるべき前記方向を見つけることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記それぞれの接触レベルの各々が、前記組織との接触状態及び前記組織との非接触状態を示すそれぞれの2つの接触状態から選択され、
前記計算することが、前記2つの接触状態のうちの同じ1つを有する前記それぞれの接触レベルに応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記電極接触レベルの質量中心を計算することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記それぞれの接触レベルの各々が、前記組織との接触の質のそれぞれの少なくとも3つの状態から選択され、
前記計算することが、前記それぞれの接触レベルに応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記電極接触レベルの質量中心を重み付けされた電極接触レベルの質量中心として計算することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記それぞれの接触レベルの各々が、前記組織との接触の質のそれぞれの摺動スケールから選択され、
前記計算することが、前記それぞれの接触レベルに応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記電極接触レベルの質量中心を重み付けされた電極接触レベルの質量中心として計算することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
カテーテル保護システムであって、
遠位端を含み、生体の身体部位内に挿入されるように構成されたシースと、
遠位部分を有するシャフトを含み、拡張可能な遠位端アセンブリが前記遠位部分に遠位に配置されたカテーテルであって、前記カテーテルが、前記シースを通して挿入されるように構成され、前記遠位部分及び前記拡張可能な遠位端アセンブリが前記シースから前記身体部位内に突出し、前記カテーテルが、前記シャフト内に配置されて前記拡張可能な遠位端アセンブリに結合されたプッシャを含み、前記プッシャを前記シャフトに対して長手方向に調整すると、前記遠位端アセンブリが選択的に伸長及び短縮されるようになっている、カテーテルと、
位置追跡サブシステムであって、前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との相対位置を追跡することと、追跡された前記相対位置に応答して、前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端に入るときを見つけることと、を行うように構成された、位置追跡サブシステムと、
前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端に入ることに応答して前記拡張可能な遠位端アセンブリを伸長するように前記プッシャを自動的に作動させるように構成されたプッシャアクチュエータと、を備える、カテーテル保護システム。
【請求項22】
前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端に入ることに応答して可聴警告を提供するように構成された音出力デバイスをさらに備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記位置追跡サブシステムが、前記追跡された相対位置に応答して前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端を出るときを見つけるように構成され、
前記プッシャアクチュエータは、前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端を出ることに応答して前記拡張可能な遠位端アセンブリを短縮するように前記プッシャを自動的に作動させるように構成されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端を出ることに応答して可聴警告を提供するように構成された音出力デバイスをさらに備える、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記位置追跡サブシステムが、前記シャフトの前記遠位部分上の前記拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された近位電極と、前記生体の皮膚表面に取り付けられるように構成された体表面電極と、を含み、前記位置追跡サブシステムが、前記近位電極と前記体表面電極との間の測定された電気インピーダンスに応答して、前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との前記相対位置を追跡するように構成されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記位置追跡サブシステムが、前記身体部位において異なる周波数を有する磁場を生成するように構成された生成器コイルと、前記シャフトの前記遠位部分において前記拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された第1の磁気コイルセンサと、前記シースの前記遠位端に配置された第2の磁気コイルセンサと、を備え、前記第1の磁気コイルセンサ及び前記第2の磁気コイルセンサが、前記磁場を検出することに応答してそれぞれの電気信号を出力するように構成され、前記位置追跡サブシステムが、出力された前記電気信号に応答して前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との前記相対位置を追跡するように構成されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
カテーテル保護システムであって、
遠位端を含み、生体の身体部位内に挿入されるように構成されたシースと、
遠位部分を有するシャフトを含み、拡張可能な遠位端アセンブリが前記遠位部分に遠位に配置されたカテーテルであって、前記カテーテルが、前記シースを通して挿入されるように構成され、前記遠位部分及び前記拡張可能な遠位端アセンブリが前記シースから前記身体部位内に突出し、前記カテーテルが、前記シャフト内に配置されて前記遠位端アセンブリに結合されたプッシャを含み、前記プッシャを前記シャフトに対して長手方向に調整すると、前記遠位端アセンブリが選択的に伸長及び短縮するようになっている、カテーテルと、
位置追跡サブシステムであって、前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との相対位置を追跡することと、追跡された前記相対位置に応答して、前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端に入るときを見つけることと、を行うように構成された、位置追跡サブシステムと、
前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端に入ることに応答して、可聴警告を提供するように構成された音出力デバイスと、を備える、カテーテル保護システム。
【請求項28】
前記位置追跡サブシステムが、前記追跡された相対位置に応答して前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端を出るときを見つけるように構成され、
前記音出力デバイスが、前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端を出ることに応答して、別の可聴警告を提供するように構成されている、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記位置追跡サブシステムが、前記シャフトの前記遠位部分上の前記拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された近位電極と、前記生体の皮膚表面に取り付けられるように構成された体表面電極とを備え、前記位置追跡サブシステムが、前記近位電極と前記体表面電極との間の測定された電気インピーダンスに応答して、前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との前記相対位置を追跡するように構成されている、請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記位置追跡サブシステムが、前記身体部位において異なる周波数を有する磁場を生成するように構成された生成器コイルと、前記シャフトの前記遠位部分において前記拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された第1の磁気コイルセンサと、前記シースの前記遠位端に配置された第2の磁気コイルセンサと、を備え、前記第1の磁気コイルセンサ及び前記第2の磁気コイルセンサが、前記磁場を検出することに応答してそれぞれの電気信号を出力するように構成され、前記位置追跡サブシステムが、出力された前記電気信号に応答して前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との前記相対位置を追跡するように構成されている、請求項27に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用デバイスに関し、特に、但し限定することなく、拡張可能な遠位端アセンブリを備えたカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
広範囲にわたる医療処置は、カテーテルなどのプローブを患者の身体内に配置することを伴う。このようなプローブを追跡するために、位置感知システムが開発されてきた。磁気的位置感知は、当該技術分野において既知の方法のうちの1つである。磁気的位置感知において、磁場発生器は通常、患者の外部の既知の位置に配置される。プローブの遠位端内の磁場センサは、これらの磁場に応答して電気信号を生成し、これらの信号は、プローブの遠位端の座標位置を判定するために処理される。これらの方法及びシステムは、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、国際公開第1996/005768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455号、同第2003/0120150号及び同第2004/0068178号に記述されており、これらの開示は参照により全体が本明細書に組み込まれている(2020年12月22日に出願された先に出願された仮特許出願第63/129,475の付録も参照されたい)。位置はまた、インピーダンス又は電流ベースのシステムを使用して追跡されてもよい。
【0003】
これらのタイプのプローブ又はカテーテルが極めて有用であると証明されている医療処置の1つは、心不整脈の治療におけるものである。心不整脈及び特に心房細動は、特に老年人口では、一般的かつ危険な病状であり続けている。
【0004】
心不整脈の診断及び治療には、心組織、特に心内膜及び心容積の電気的特性をマッピングすること、並びにエネルギーの印加によって心臓組織を選択的にアブレーションすることが含まれる。そのようなアブレーションにより、不要な電気信号が心臓のある部分から別の部分へと伝播するのを停止させるか又は修正することができる。アブレーションプロセスは、非導電性の損傷部を形成することによって不要な電気経路を破壊するものである。様々なエネルギー送達の様式が、損傷部を形成する目的でこれまでに開示されており、心臓組織壁に沿って伝導ブロックを作るためのマイクロ波、レーザ、及びより一般的には無線周波エネルギーの使用が挙げられる。マッピングの後にアブレーションを行う2工程の処置において、通常、1つ以上の電気センサを含むカテーテルを心臓の内部に前進させ、複数のポイントでデータを得ることによって、心臓内の各ポイントにおける電気活動が感知及び測定される。次いで、これらのデータを利用して、このアブレーションを行うべき心内膜の標的領域を選択する。
【0005】
電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルは、心臓内の電気活動を刺激及びマッピングし、異常な電気活動が見られる部位をアブレーションするために使用される。使用時には、電極カテーテルは、主要な静脈又は動脈、例えば、大腿動脈に挿入された後、対象の心腔内へと導かれる。典型的なアブレーション処置は、その遠位端に1つ以上の電極を有するカテーテルを心腔内に挿入することを伴う。参照電極は、一般的には患者の皮膚にテープで貼り付けられるか、あるいは心臓内又は心臓付近に配置されている第2のカテーテルによって提供され得る。RF(radio frequency、高周波)電流をアブレーションカテーテルの先端電極に印加し、参照電極に向かってアブレーションカテーテルの周囲の媒質、すなわち、血液及び組織に電流が流れる。電流の分布は、組織より高い導電性を有する血液と比較した場合、組織と接触する電極表面の量に依存する。組織の加熱は、組織の電気抵抗に起因して生じる。組織が十分に加熱されると、心臓組織において細胞破壊が引き起こされ、結果として、心臓組織内に非電導性である損傷部が形成される。
【0006】
したがって、アブレーションカテーテル又は他のカテーテルを体内、特に心内膜組織近くに配置させる場合、カテーテルの遠位先端部をその組織と直接接触させることが望ましい。この接触は、例えば、遠位先端部と体組織との間の接触を測定することによって、確かめることができる。その開示内容が参照として本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2007/0100332号、同第2009/0093806号、及び同第2009/0138007号には(2020年12月22日に出願された優先仮特許出願第63/129,475の付録も参照されたい)、カテーテル内に埋め込まれた力センサを使用して、カテーテルの遠位先端部と体腔内の組織との間の接触圧力を感知する方法が記載されている。
【0007】
米国特許第5,935,079号、同第5,891,095号、同第5,836,990号、同第5,836,874号、同第5,673,704号、同第5,662,108号、同第5,469,857号、同第5,447,529号、同第5,341,807号、同第5,078,714号、及びカナダ特許出願第2,285,342号を含むいくつかの参考文献には、電極と組織との接触を判定するための方法が報告されている。これらの参考文献のうちのいくつか、例えば、米国特許第5,935,079号、同第5,836,990号、及び同第5,447,529号では、先端電極とリターン電極との間のインピーダンスを測定することによって、電極と組織との接触が判定されている。’529号特許に開示されているように、血液を通るインピーダンスは、組織を通るインピーダンスよりも一般に低いことが知られている。したがって、組織接触は、一組の電極全体のインピーダンス値を、1つの電極が組織と接触していることが分かっている時及び、1つの電極が血液のみと接触していることが分かっている時に予め測定されたインピーダンス値と比較することによって検出されている。
【0008】
参照により本明細書に組み込まれるGlianerに対する米国特許第9168004号(2020年12月22日に出願された優先仮特許出願第63/129,475の付録も参照)は、機械学習を使用してカテーテル電極接触を決定することについて記載している。’004号特許は、プローブの電極と心臓の壁との間の接触状態の表示を、接触状態又は非接触状態として記憶する工程、この電極と別の電極とを流れる電流のインピーダンス位相角の一連の判定を行う工程、一連の判定において最大位相角及び最小位相角を特定する工程、並びに極値の間の中間値としてバイナリ分類子を画定する工程によって実行される心臓カテーテル法を記載している。試験数値はヒステリシス係数によって調整されるような分類子と比較され、試験数値が調整された分類子よりも大きいか又はこれよりも小さい場合、一定状態における変更が報告される。
【0009】
参照により本明細書に組み込まれているMestの米国特許出願公開第2013/0085416号は(2020年12月22日に出願された優先仮特許出願第63/129,475の付録も参照されたい)、自動ゼロ点ゾーンの生成を提供する電気生理学カテーテルなどの力感知プローブのインビボ再較正のための方法を記載している。カテーテル又は他のプローブの遠位先端部が、患者の体腔内に配置される。組織接触がないことの検証が、心電図(ECG)又はインピーダンスデータ、蛍光透視撮像又は他のリアルタイム撮像データ及び/又は電子解剖学的マッピングシステムを用いてなされる。組織接触がないことが一旦検証されると、力センサから発せられる信号をゼログラムの力読取りに対応するように設定することで、システムがその信号を再較正し、この再較正されたベースライン読取りが用いられて、力センサデータに基づく力読取りを発生しかつ表示する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示のさらに別の実施形態によれば、カテーテル整列システムであって、生体の身体部位に挿入されるように構成されたカテーテルであって、身体部位内のそれぞれの位置で組織に接触するように構成されたカテーテル電極を備える、カテーテルと、ディスプレイと、処理回路であって、カテーテルによって提供された信号を受信することと、受信された信号に応答して、カテーテル電極のうちのいくつかと身体部位の組織とのそれぞれの接触レベルを評価することと、カテーテル電極のうちのいくつかの接触のそれぞれの接触レベルに応答して、カテーテル電極のうちの少なくとも1つのそれぞれの接触レベルのうちの少なくとも1つを改善するために、カテーテルを移動させるべき方向を見つけることと、受信された信号に応答してカテーテルの表現を、また、見つけられた方向に応答してカテーテルを移動されるべき方向を示す方向指標を、ディスプレイにレンダリングすることと、を行うように構成された処理回路と、を含む、カテーテル整列システムが提供される。
【0011】
さらに、本開示の一実施形態によれば、カテーテルが、カテーテル電極が配置されている拡張可能な遠位端アセンブリを含む。
【0012】
またさらに、本開示の一実施形態によれば、拡張可能な遠位端アセンブリが、カテーテル電極が周りに配置される軸を有する膨張可能なバルーンを含む。
【0013】
さらに、本開示の一実施形態によれば、拡張可能な遠位端アセンブリが、カテーテル電極が配置される軸を含み、カテーテルの表現が、拡張可能な遠位端アセンブリの2次元(2D)表現を含み、カテーテル電極の各々が2D表現の中央領域から2D表現の外周に向かって延在する状態で、軸の周りに配置されたカテーテル電極のすべての表現を示す。
【0014】
さらに、本開示の一実施形態によれば、カテーテルの表現が、カテーテルの3次元(3D)表現を含み、処理回路が、カテーテルが3D空間内で移動すべき方向を3D空間内の方向指標が示す状態で、カテーテルの3D表現をディスプレイにレンダリングするように構成されている。
【0015】
さらに、本開示の一実施形態によれば、処理回路が、カテーテル電極のうちのいくつかのそれぞれの接触レベル及び位置座標に応答して、カテーテル電極のうちのいくつかの電極接触レベルの質量中心を計算することと、計算された電極接触レベルの質量中心に応答して、カテーテルを移動させるべき方向を見つけることと、を行うように構成されている。
【0016】
またさらに、本開示の一実施形態によれば、処理回路が、カテーテル電極のうちのいくつかの位置座標に応答して、カテーテル電極のうちのいくつかの位置に基づく質量中心を計算することと、計算された電極接触レベルの質量中心から、計算された位置に基づく質量中心まで延在する線に応答して、カテーテルを移動させるべき方向を見つけることと、を行うように構成されている。
【0017】
加えて、本開示の一実施形態によれば、それぞれの接触レベルの各々が、組織との接触状態及び組織との非接触状態を示すそれぞれ2つの接触状態から選択され、処理回路が、2つの接触状態のうちの同じ1つを有するそれぞれの接触レベルに応答して、カテーテル電極のうちのいくつかの電極接触レベルの質量中心を計算するように構成されている。
【0018】
さらに、本開示の一実施形態によれば、それぞれの接触レベルの各々が、組織との接触の質のそれぞれの少なくとも3つの状態から選択され、処理回路が、それぞれの接触レベルに応答して、カテーテル電極のうちのいくつかの電極接触レベルの質量中心を重み付けされた電極接触レベルの質量中心として計算するように構成されている。
【0019】
さらに、本開示の一実施形態によれば、各接触レベルの各々が、組織との接触の質のそれぞれの摺動スケールから選択され、処理回路が、それぞれの接触レベルに応答して、カテーテル電極のうちのいくつかの電極接触レベルの質量中心を重み付けされた電極接触レベルの質量中心として計算するように構成されている。
【0020】
本開示の別の実施形態によれば、カテーテル整列方法であって、カテーテル電極が生体の身体部位内のそれぞれの位置で組織に接触するように、身体部位の空洞にカテーテルを挿入することと、カテーテルによって提供された信号を受信することと、受信した信号に応答して、カテーテル電極のうちのいくつかと身体部位の組織とのそれぞれの接触レベルを評価することと、カテーテル電極のうちのいくつかのそれぞれの接触レベルに応答して、カテーテル電極のうちの少なくとも1つのそれぞれの接触レベルのうちの少なくとも1つを改善するために、カテーテルを移動させるべき方向を見つけることと、受信された信号に応答してカテーテルの表現を、また、見つけられた方向に応答してカテーテルを移動させるべき方向を示す方向指標を、ディスプレイにレンダリングすることと、を含む、カテーテル整列方法も提供される。
【0021】
またさらに、本開示の一実施形態によれば、カテーテルが、カテーテル電極が配置されている拡張可能な遠位端アセンブリを含む。
【0022】
加えて、本開示の一実施形態によれば、拡張可能な遠位端アセンブリが、カテーテル電極が周りに配置される軸を有する膨張可能なバルーンを含む。
【0023】
さらに、本開示の一実施形態によれば、カテーテルの表現が、カテーテルの拡張可能な遠位端アセンブリの2次元(2D)表現を含み、カテーテル電極の各々が2D表現の中央領域から2D表現の外周に向かって延在する状態で、拡張可能な遠位端アセンブリの軸の周りに配置されたカテーテル電極のすべての表現を示す。
【0024】
さらに、本開示の一実施形態によれば、カテーテルの表現が、カテーテルの3次元(3D)表現を含み、レンダリングすることが、カテーテルが3D空間内で移動されるべき方向を3D空間内の方向指標が示す状態で、カテーテルの3D表現をディスプレイにレンダリングすることを含む。
【0025】
またさらに、本開示の一実施形態によれば、本方法は、カテーテル電極のうちのいくつかのそれぞれの接触レベル及び位置座標に応答して、カテーテル電極のうちのいくつかの電極接触レベルの質量中心を計算することを含み、見つけることは、計算された電極接触レベルの質量中心に応答してカテーテルを移動させるべき方向を見つけることを含む。
【0026】
加えて、本開示の一実施形態によれば、本方法は、カテーテル電極のうちのいくつかの位置座標に応答してカテーテル電極のうちのいくつかの位置に基づく質量中心を計算することを含み、見つけることが、計算された電極接触レベルの質量中心から、計算された位置に基づく質量中心まで延在する線に応答して、カテーテルを移動されるべき方向を見つけることを含む。
【0027】
さらに、本開示の一実施形態によれば、それぞれの接触レベルの各々が、組織との接触状態及び組織との非接触状態を示す接触のそれぞれ2つの状態から選択され、計算することが、2つの接触状態のうちの同じ1つを有する接触のそれぞれの接触レベルに応答して、カテーテル電極のうちのいくつかの電極接触レベルの質量中心を計算することを含む。
【0028】
さらに、本開示の一実施形態によれば、それぞれの接触レベルの各々が、組織との接触の質のそれぞれの少なくとも3つの状態から選択され、計算することが、それぞれの接触レベルに応答して、カテーテル電極のうちのいくつかの電極接触レベルの質量中心を重み付けされた電極接触レベルの質量中心として計算することを含む。
【0029】
またさらに、本開示の一実施形態によれば、それぞれの接触レベルの各々が、組織との接触の質のそれぞれの摺動スケールから選択され、計算することが、それぞれの接触レベルに応答して、カテーテル電極のうちのいくつかの電極接触レベルの質量中心を重み付けされた電極接触レベルの質量中心として計算することを含む。
【0030】
本開示のさらに別の実施形態によれば、カテーテル保護システムであって、遠位端を含み、生体の身体部位に挿入されるように構成されたシースと、遠位部分を有するシャフトを含み、拡張可能な遠位端アセンブリが遠位部分に遠位に配置されたカテーテルであって、カテーテルが、シースを通して挿入されるように構成され、遠位部分及び拡張可能な遠位端アセンブリがシースから身体部位内に突出し、カテーテルが、シャフト内に配置されて拡張可能な遠位端アセンブリに結合されたプッシャを含み、プッシャをシャフトに対して長手方向に調整すると、遠位端アセンブリを選択的に伸長及び短縮されるようになっている、カテーテルと、位置追跡サブシステムであって、シャフトの遠位部分とシースの遠位端との相対位置を追跡することと、追跡された相対位置に応答して、シャフトの遠位部分がシースの遠位端に入るときを見つけることと、を行うように構成された、位置追跡サブシステムと、シャフトの遠位部分がシースの遠位端に入ることに応答して拡張可能な遠位端アセンブリを伸長するようにプッシャを自動的に作動させるように構成されたプッシャアクチュエータと、を含む、カテーテル保護システムも提供される。
【0031】
加えて、本開示の一実施形態によれば、システムは、シャフトの遠位部分がシースの遠位端に入ることに応答して可聴警告を提供するように構成された音出力デバイスを含む。
【0032】
さらに、本開示の一実施形態によれば、位置追跡サブシステムが、追跡された相対位置に応答してシャフトの遠位部分がシースの遠位端を出るときを見つけるように構成され、プッシャアクチュエータは、シャフトの遠位部分がシースの遠位端を出ることに応答して拡張可能な遠位端アセンブリを短縮するようにプッシャを自動的に作動させるように構成されている。
【0033】
さらに、本開示の一実施形態によれば、システムは、シャフトの遠位部分がシースの遠位端を出ることに応答して可聴警告を提供するように構成された音出力デバイスを含む。
【0034】
またさらに、本開示の一実施形態によれば、位置追跡サブシステムが、シャフトの遠位部分上の拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された近位電極と、生体の皮膚表面に取り付けられるように構成された体表面電極と、を含み、位置追跡サブシステムが、近位電極と体表面電極との間の測定された電気インピーダンスに応答して、シャフトの遠位部分とシースの遠位端との相対位置を追跡するように構成されている。
【0035】
さらに、本開示の一実施形態によれば、位置追跡サブシステムが、身体部位において異なる周波数を有する磁場を生成するように構成された発生器コイルと、シャフトの遠位部分において拡張可能な遠位端アセンブリに近位に配置された第1の磁場センサと、シースの遠位端に配置された第2の磁気コイルセンサと、を備え、第1の磁気コイルセンサ及び第2の磁気コイルセンサが、磁場を検出することに応答してそれぞれの電気信号を出力するように構成され、位置追跡サブシステムが、出力された電気信号に応答してシャフトの遠位部分とシースの遠位端との相対位置を追跡するように構成されている。
【0036】
本開示のさらに別の実施形態によれば、カテーテル保護システムであって、遠位端を有し、生体の身体部位に挿入されるように構成されたシースと、遠位部分を有するシャフトを含み、拡張可能な遠位端アセンブリが遠位部分に遠位に配置されたカテーテルであって、カテーテルが、シースを通して挿入されるように構成され、遠位部分及び拡張可能な遠位端アセンブリがシースから身体部位に突出し、カテーテルが、シャフト内に配置されて遠位端アセンブリに結合されたプッシャを含み、プッシャをシャフトに対して長手方向に調整すると、遠位端アセンブリが選択的に伸長及び短縮するようになっている、カテーテルと、位置追跡サブシステムであって、シャフトの遠位部分とシースの遠位端との相対位置を追跡することと、追跡された相対位置に応答して、シャフトの遠位部分がシースの遠位端に入るときを見つけることと、を行うように構成された、位置追跡サブシステムと、シャフトの遠位部分がシースの遠位端に入ることに応答して、可聴警告を提供するように構成された音声出力デバイスと、を含む、カテーテル保護システムも提供される。
【0037】
さらに、本開示の一実施形態によれば、位置追跡サブシステムが、追跡された相対位置に応答してシャフトの遠位部分がシースの遠位端を出るときを見つけるように構成され、音出力デバイスが、シャフトの遠位部分がシースの遠位端を出ることに応答して、別の可聴警告を提供するように構成されている。
【0038】
さらに、本開示の一実施形態によれば、位置追跡サブシステムが、シャフトの遠位部分上の拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された近位電極と、生体の皮膚表面に取り付けられるように構成された体表面電極と、を含み、位置追跡サブシステムが、近位電極と体表面電極との間の測定された電気インピーダンスに応答して、シャフトの遠位部分及び遠位端の相対位置を追跡するように構成されている。
【0039】
またさらに、本開示の一実施形態によれば、位置追跡サブシステムが、身体部位において異なる周波数を有する磁場を生成するように構成された発生器コイルと、シャフトの遠位部分において拡張可能な遠位端アセンブリに近位に配置された第1の磁場センサと、シースの遠位端に配置された第2の磁気コイルセンサと、を含み、第1の磁気コイルセンサ及び第2の磁気コイルセンサが、磁場を検出することに応答してそれぞれの電気信号を出力するように構成され、位置追跡サブシステムが、出力された電気信号に応答してシャフトの遠位部分とシースの遠位端との相対位置を追跡するように構成されている。
【0040】
本開示のさらに別の実施形態によれば、カテーテル保護方法であって、生体の身体部位にシースを挿入することと、シースを通してカテーテルを挿入することであって、カテーテルのシャフトの遠位部分及びカテーテルの拡張可能な遠位端アセンブリが、シースから身体部位に突出する、ことと、シャフトに配置され、拡張可能な遠位端アセンブリに結合されたプッシャをシャフトに対して長手方向に調整して、拡張可能な遠位端アセンブリを選択的に伸長及び短縮することと、シャフトの遠位部分とシースの遠位端の相対位置を追跡することと、追跡された相対位置に応答して、シャフトの遠位部分がシースの遠位端に入るときを見つけることと、シャフトの遠位部分がシースの遠位端に入ることに応答して、拡張可能な遠位端アセンブリを伸長させるようにプッシャを自動的に作動させることと、を含む、カテーテル保護方法も提供される。
【0041】
加えて、本開示の一実施形態によれば、本方法は、シャフトの遠位部分がシースの遠位端に入ることに応答して、可聴警告を提供することを含む。
【0042】
さらに、本開示の一実施形態によれば、本方法は、追跡された相対位置に応答して、シャフトの遠位部分がシースの遠位端を出るときを見つけることと、シャフトの遠位部分がシースの遠位端を出ることに応答して、拡張可能な遠位端アセンブリを短縮するように、プッシャを自動的に作動させることと、を含む。
【0043】
さらに、本開示の一実施形態によれば、本方法は、シャフトの遠位部分がシースの遠位端を出ることに応答して、可聴警告を提供することを含む。
【0044】
またさらに、本開示の一実施形態によれば、追跡ことが、シャフトの遠位部分上の拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された近位電極と、生体の皮膚表面に取り付けられた体表面電極との間の測定された電気インピーダンスに応答して、シャフトの遠位部分とシースの遠位端との相対位置を追跡することを含む。
【0045】
さらに、本開示の一実施形態によれば、本方法は、身体部位に異なる周波数を有する磁場を生成することと、磁場を検出することに応答して、シャフトの遠位部分において拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された第1の磁気コイルセンサと、シースの遠位端に配置された第2の磁気コイルセンサとによってそれぞれの電気信号を出力することと、を含み、追跡することが、出力された電気信号に応答して、シャフトの遠位部分とシースの遠位端との相対位置を追跡することを含む。
【0046】
本開示のさらに別の実施形態によれば、カテーテル保護方法であって、シースを生体の身体部位に挿入することと、シースを通してカテーテルを挿入することであって、カテーテルのシャフトの遠位部分及びカテーテルの拡張可能な遠位端アセンブリが、シースから身体部位に突出する、ことと、シャフトに配置されて拡張可能な遠位端アセンブリに結合されたプッシャを、シャフトに対して長手方向に調整して、拡張可能な遠位端アセンブリを選択的に伸長及び短縮することと、シャフトの遠位部分とシースの遠位端との相対位置を追跡することと、追跡された相対位置に応答して、シャフトの遠位部分がシースの遠位端に入るときを見つけることと、シャフトの遠位部分がシースの遠位端に入ることに応答して、可聴警告を提供することと、を含む、カテーテル保護方法も提供される。
【0047】
さらに、本開示の一実施形態によれば、本方法は、追跡された相対位置に応答して、シャフトの遠位部分がシースの遠位端を出るときを見つけることと、シースの遠位端を出るシャフトの遠位部分に応答して別の可聴警告を提供することと、を含む。
【0048】
さらに、本開示の一実施形態によれば、追跡することが、シャフトの遠位部分に拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された近位電極と、生体の皮膚表面に取り付けられた体表面電極との間の測定された電気インピーダンスに応答して、シャフトの遠位部分とシースの遠位端との相対位置を追跡することを含む。
【0049】
またさらに、本開示の一実施形態によれば、本方法は、身体部位に異なる周波数を有する磁場を生成することと、磁場を検出することに応答して、シャフトの遠位部分において拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された第1の磁気コイルセンサと、シースの遠位端に配置された第2の磁気コイルセンサとによってそれぞれの電気信号を出力することと、を含み、追跡することが、出力された電気信号に応答してシャフトの遠位部分とシースの遠位端との相対位置を追跡することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から理解されよう。
図1】本発明の実施形態にかかるカテーテルベースの位置追跡及びアブレーションシステムの概略絵図である。
図2図1のシステムで使用されるバルーンカテーテルの概略絵図である。
図3図1のシステムにおいて使用するためのバルーン整列方法の工程を含むフロー図である。
図4図2のバルーンカテーテルを移動させる方向を見つけることを示す概略図である。
図5図2のバルーンカテーテルの2次元(2D)及び3次元(3D)表現、及び2D及び3Dの重ね合わされた方向指標を示す概略図である。
図6A】それぞれ展開形態及び折り畳み形態である、図2のバルーンカテーテルの概略図である。
図6B】それぞれ展開形態及び折り畳み形態である、図2のバルーンカテーテルの概略図である。
図7図1のシステムで使用する方法における例示的な工程を含むフローチャートである。
図8A】磁気コイルセンサを有するシース内に配置された、それぞれ展開状態及び折り畳み状態の図2のバルーンカテーテルの概略図である。
図8B】磁気コイルセンサを有するシース内に配置された、それぞれ展開状態及び折り畳み状態の図2のバルーンカテーテルの概略図である。
図9図8A及び図8Bのカテーテル及びシースの相対位置を追跡する方法における工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
概論
すべての活性カテーテル電極(例えば、肺静脈洞又は任意の他の身体部位を有するバルーン電極)の最適な整列及び接触は、成功したシングルショットアブレーションの確率を高める。1つの解決策は、適切なマーキング(例えば、十分な接触で電極を強調表示する)を使用して、どの電極が組織と十分に接触しているかを示すカテーテル電極の図を提供することである。そのような解決策は、電極と組織との間の接触をどのように改善するかについて医師を多少誘導するが、図は、偏向の方向及び/又はカテーテル電極と組織との間の接触を改善するためにバルーンに適用する必要がある操作行動に関してはあまり直感的ではない。
【0052】
したがって、本発明の実施形態は、カテーテル電極と身体部位の組織(例えば、生体の心腔)との接触レベルを評価し、カテーテル電極のうちの1つ以上の接触レベルを改善するために、カテーテルを移動されるべき方向を見つけ、カテーテルの表現、及び見つけられた方向に基づいてカテーテルが移動させるべき方向を示す方向指標(例えば、矢印)を、ディスプレイにレンダリングする、カテーテル整列システムを提供することによって、上記の問題を解決する。
【0053】
いくつかの実施形態では、カテーテルの表現は、カテーテル電極の各々が2D表現の中央領域から2D表現の外周に向かって延在する状態で、カテーテルの長手方向軸の周りに配置されたカテーテル電極を示す2次元(2D)表現である。
【0054】
いくつかの実施形態では、表現は、カテーテルが3D空間内で移動すべき方向を方向指標(例えば、矢印)が示す状態で、カテーテルの3次元(3D)表現を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、カテーテルを移動させるべき方向は、「電極接触レベルの質量中心」に基づいて計算され得、これは、カテーテル電極の位置座標及びカテーテル電極の評価された接触レベルに応答して計算され得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、電極接触レベルの質量中心は、異なる評価された接触レベルに従って重み付けされた、重み付けされた質量中心として計算され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、評価された接触レベルは、2つの状態(例えば、接触、非接触)を含み得、又はマルチ状態(例えば、0、1、2)、又は摺動レベルに基づいてもよい。例えば、2つの接触レベルが使用される場合、「電極接触レベルの質量中心」の計算は、電極が接触しているか否かに基づいて計算されてもよく、その結果、接触している電極には1の重みが与えられ、接触していない電極には0の重みが与えられる。
【0058】
いくつかの実施形態では、カテーテルを移動させるべき方向は、計算された電極接触レベルの質量中心から「位置に基づく質量中心」まで延在する線に応答して見つけられ得、これは、評価された接触レベルを考慮することなく計算される。
【0059】
バルーンカテーテルなどの拡張可能な遠位端アセンブリを有するカテーテルが生体の身体部位に挿入されるとき、シースは、最初に身体部位に挿入され、カテーテルは、遠位端アセンブリが折り畳まれた形態でシースに挿入される。遠位端アセンブリがシースから身体部位に前進すると、次いで、遠位端アセンブリは、例えば、膨張可能なバルーンを膨張させるか、又はバスケットを拡張することによって展開され得る。身体部位においてカテーテルの使用が完了すると、遠位端アセンブリが折り畳まれ、シース内に引き戻され、生体から出る。場合によっては、拡張可能な遠位端アセンブリは、遠位端アセンブリを伸長させて、それを折り畳むことを支援するプッシャを含む。遠位端アセンブリがシース内に引き込まれる前に折り畳まれない場合、遠位端アセンブリは損傷する可能性がある。
【0060】
したがって、本発明の実施形態は、カテーテルのシャフトの遠位部分(遠位端アセンブリよりも近位)がシースの遠位端に引き込まれているときに、プッシャを自動的に作動させて遠位端アセンブリを伸長する(遠位端アセンブリを折り畳む)、及び/又は可聴警告を医師に提供するカテーテル保護システムを含む。シースの遠位端に引き込まれるカテーテルシャフトの遠位部分は、シースの遠位端及びカテーテルシャフトの遠位部分との相対位置を追跡することに基づいて追跡され得る。
【0061】
シースの遠位端の相対位置は、任意の好適な方法を使用して追跡され得る。いくつかの実施形態では、電気インピーダンスは、カテーテルシャフトの遠位部分上に位置する電極と生体の皮膚表面に取り付けられた体表面電極との間の測定された電気インピーダンスに基づいて相対位置を追跡するために使用される。測定された電気インピーダンスは、近位電極がシース内に引き込まれると増加し、それによってシースの遠位端とシャフトの遠位端との間の相対位置の指標を提供する。いくつかの実施形態では、シースの遠位端及びカテーテルのシャフトの遠位部分は各々、それぞれの位置センサ、例えば、磁気位置センサを含む。次いで、位置センサによって提供される信号に応答して相対位置を計算することができる。
【0062】
システムの説明
ここで、本発明の実施形態にかかるカテーテルベースの位置追跡及びアブレーションシステム20の概略絵図である図1を参照する。本発明の一実施形態によるバルーンカテーテル40の概略絵図である図2も参照する。
【0063】
位置追跡及びアブレーションシステム20は、図1の差し込み図25に示されかつさらに詳細に図2に示されるバルーンカテーテル40の位置を判定するために使用される。バルーンカテーテル40は、シャフト22と、シャフト22の遠位端に装着される膨張可能バルーン45と、を含む。カテーテル40は、生体の身体部位内に挿入されるように構成されている。典型的には、バルーンカテーテル40は、例えば、左心房における心臓組織の空間的アブレーションなどの治療処置に使用される。
【0064】
位置追跡及びアブレーションシステム20は、感知電極52(シャフト22に配置された近位電極52a及び膨張可能なバルーン45の遠位端に配置された遠位電極52b)と近位電極52aのすぐ近位に装着された磁気センサ50とに基づくバルーンカテーテル40のシャフト22の位置及び配向を判定することができる。近位電極52a、遠位電極52b、及び磁気センサ50は、シャフト22を通って延びるワイヤによって、コンソール24内の様々なドライバ回路に接続されている。いくつかの実施形態では、遠位電極52bは省略されてもよい。
【0065】
シャフト22は、長手方向軸51を画定する。軸51上の中心点58は、膨張可能バルーン45の球体形状の原点であり、膨張可能バルーン45の公称位置を画定する。カテーテル40は、膨張可能なバルーン45上に、又は長手方向軸51の周りの任意の好適な拡張可能な遠位端アセンブリ上に配置された複数のカテーテル電極55を含む。いくつかの実施形態では、カテーテル電極55は、膨張可能バルーン45の周囲に配置され、感知電極52a及び52bよりも大きな面積を占めている。カテーテル電極55は、その身体部位内のそれぞれの場所で組織と接触するように構成されている。組織、例えば心臓組織をアブレーションするために、高周波電力がカテーテル電極55に供給されてもよい。
【0066】
典型的には、配置されたカテーテル電極55は、膨張可能バルーン45の赤道に沿って均等に分布され、この赤道は、シャフト22の遠位端の長手方向軸51に対して略垂直に整列されている。
【0067】
図2に示されている図は、純粋に概念を明確化する目的のために選択されている。感知電極52及びカテーテル電極55の他の構成も可能である。磁気センサ50には、追加の機能が含まれてもよい。明確にするために、灌漑ポートなど、本発明の開示された実施形態に関連しない要素は省略されている。
【0068】
医師30は、カテーテルの近位端の近傍のマニピュレータ32を使用してシャフト22を操作すること及び/又はシース23からの偏向によって、バルーンカテーテル40を患者28の心臓26内の標的位置に誘導する。バルーンカテーテル40がシース23に挿入され、膨張可能バルーン45は収縮している間、バルーンカテーテル40がシース23から後退した後にのみ、膨張可能バルーン45は膨張し、意図した機能的形状に復帰する。バルーンカテーテル40を収縮構成で収容することにより、シース23も、標的位置へ向かう間の血管外傷を最小限に抑える役割を果たす。
【0069】
コンソール24は、処理回路41、典型的には汎用コンピュータと、好適なフロントエンドと、ケーブル39を通って患者28の胸部及び患者の背側に延びるワイヤによって取り付けられた体表面電極49において信号を生成する、及び/又は体表面電極49から信号を受信するインタフェース回路44と、を含む。
【0070】
システム20は、コンソール24内に少なくとも部分的に配置された磁気感知サブシステムを含み得る位置追跡サブシステム47を含む。患者28は、磁場発生コイル42を含むパッドによって生成された磁場内に置かれ、この磁場発生コイルは、コンソール24に配置されたユニット43によって駆動される。コイル42によって発生した磁場は、磁気センサ50内に指向性信号を生成し、次いで、この信号は対応する電気入力として処理回路41に供給される。
【0071】
いくつかの実施形態では、処理回路41は、感知電極52(及び/又は体表面電極49)、磁気センサ50、及びカテーテル電極55から受信した位置信号を使用して、心室内などの器官内のバルーンカテーテル40の位置を推定する。いくつかの実施形態では、処理回路41は、電極52、55から受信した位置信号と以前に取得した磁気位置較正位置信号とを相関させて、心室内のバルーンカテーテル40の位置を推定する。感知電極52及びカテーテル電極55の位置座標は、他の入力の中でも、電極52、55と表面電極49との間で測定されるインピーダンス、又は電流分布の割合に基づいて、処理回路41によって判定され得る。コンソール24は、心臓26内のカテーテル位置の遠位端を示すディスプレイ27を駆動する。
【0072】
電流分布測定値及び/又は外部磁場を使用する位置感知の方法は、様々な医療用途で、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,California)により製造されるCarto(登録商標)システムに実装されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、同第6,332,089号、同第7,756,576号、同第7,869,865号、及び同第7,848,787号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号、及び同第2004/0068178(A1)号に詳述されている。
【0073】
Carto(登録商標)3システムは、有効電流位置(Active Current Location、ACL)のインピーダンスベースの位置追跡方法を適用する。いくつかの実施形態では、上述したACL法を使用して、処理回路41は、感知電極52及びカテーテル電極55の位置を推定する。いくつかの実施形態では、電極52、55から受信された信号は、感知電極52、55によって測定されたインピーダンス(又は他の電気的値)を、磁気位置較正位置信号から以前に取得された位置とマッピングするマトリックスと相関させる。
【0074】
いくつかの実施形態では、磁気センサを含まないカテーテルを可視化するために、処理回路41は、独立電流位置(ICL)法と称される電気信号ベースの方法を適用することができる。ICL方法では、処理回路41は、ある体積のバルーンカテーテル40の各ボクセルについて、局所スケーリング係数を計算する。この係数は、投げなわ形状のカテーテルのような、既知の空間的関係を有する複数の電極を備えたカテーテルを使用して決定される。
【0075】
処理回路41は、本明細書に記載される機能を実行するために、典型的にはソフトウェアでプログラムされる。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができる、あるいは代替的に又は追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的実体的媒体上に提供及び/又は記憶することができる。
【0076】
図1は、簡潔性及び明瞭性のために、本開示の技術に関する要素のみを示す。システム20は、典型的には、開示される技術には直接関連しないために図1及び対応する説明から意図的に省略されている、追加のモジュール及び要素を含む。バルーン遠位端アセンブリは、単なる例として説明されており、任意の好適な遠位端アセンブリ、例えば、バスケット遠位端アセンブリが代わりに使用されてもよい。
【0077】
システム20はまた、図7を参照してより詳細に説明される、可聴警告を提供するように構成された音出力デバイス48を含み得る。
【0078】
ここで図3を参照するが、これは、図1のシステム20において使用するためのバルーン整列方法における各工程を含むフローチャート300である。
【0079】
処理回路41(図1)は、カテーテル40によって提供される信号を受信する(ブロック302)ように構成されている。信号は、カテーテル電極55から処理回路41へ、又はカテーテル電極55によって提供される信号を検出する体表面電極49から、又は力センサ若しくは温度センサから直接提供され得る。処理回路41は、受信された信号に応答して、カテーテルーテル電極55のうちのいくつか(一部又は全て)と身体部位の組織とのそれぞれの接触レベルを評価(ブロック304)するように構成されている。言い換えれば、処理回路41は、カテーテル電極55の各々又はカテーテル電極55のサブセットの各電極(例えば、活性電極のみ)の接触レベルを評価する。
【0080】
接触レベルを、以下により詳細に説明するように、インピーダンス測定、温度測定、力測定若しくは圧力測定又はIEGMトレースの分析を含む様々な方法に基づいて評価してもよい。
【0081】
カテーテル電極55のうちのいずれか1つが、心臓26の組織と完全に又は部分的に接触してもよい。いくつかの場合には、カテーテル電極55のうちのいずれか1つが、様々な濃度の血液などの別の液体を介して組織と接触してもよい。組織とのカテーテル電極55のいずれか1つの接触(完全な又は部分的な接触、あるいは別の液体による接触)のレベルを、カテーテル40によって供給される信号に基づいて評価することができる。
【0082】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語「接触レベル」は、本明細書では、カテーテル電極55のうちの1つと組織との間の電気的接触の程度の定量的指標として定義される。以下でより詳細に説明するように、「接触レベル」は、例えば測定された電気インピーダンスを用いて直接的に、又は例えば接触力、圧力若しくはIEGM振幅(心臓内電位図)を用いて間接的に表現することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、カテーテル40は、カテーテル電極55と体表面電極49との間のインピーダンスを表示する信号を供給してもよい。インピーダンスの表示は接触レベルを表すため、カテーテル電極55のうちの1つと体表面電極49との間のインピーダンスの値が高いほど、そのカテーテル電極55と組織との間の接触レベルが高いことを示す。インピーダンスの値は、カテーテル電極55のうちのいずれか1つと組織との間の十分な接触を表すと考えられる最低限の接触レベルを定義するように選択することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、カテーテル上のカテーテル電極55のうちの1つとこれらの電極のうちの別の1つとの間のインピーダンスを、接触レベルの尺度としてとして使用してもよい。上記の背景技術の項で述べた’529特許に開示されているように、血液を通るインピーダンスは、組織を通るインピーダンスよりも一般に低いことが知られている。したがって、組織接触は、一組の電極全体のインピーダンス値を、1つの電極が組織と十分に接触していることが分かっている時及び、1つの電極が血液のみと接触していることが分かっている時に予め測定されたインピーダンス値と比較することによって評価することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、カテーテル電極55の各々の温度センサ(例えば、熱電対)は、接触レベルの尺度として使用され得る。各電極55上の温度センサは、バルーン45内の灌漑流体の温度とバルーンの外側の血液又は組織の温度との重ね合わせを感知する。灌漑流体は、血液よりも冷却される。電極が組織と接触していない場合、電極の表面を横切る血流は、電極を外側から温め、電極の温度センサによって感知された全温度はより高くなる。電極が組織に接触し、血流が遮断されると、電極の内側の灌漑流体は、電極によって感知された温度をより低くする。したがって、電極55の各々で感知された温度値は、接触レベルの尺度として使用され得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、参照により本明細書に組み込まれている(2020年12月22日に出願された優先仮特許出願第63/129,475の付録も参照)、Gliner他に対する米国特許第9168004号の方法を、機械学習ベースの方法を使用した接触レベルの評価に使用してもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、カテーテル40は、力センサ又は圧力センサからの信号を供給してもよい(図示せず)。力又は圧力の表示は、接触レベルの表示を提供するため、力又は圧力の値が高いほど、カテーテル電極55の1つと組織との間の接触レベルが高いことを示す。力又は圧力の値は、カテーテル電極55のうちのいずれか1つと組織との間の十分な接触を表すと考えられる最低限の接触レベルを定義するように選択することができる。これらの実施形態は、任意の好適な力又は圧力センサ、並びに力又は圧力を測定するための任意の好適な方法を使用し得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、生成されたIEGMトレースを使用して、カテーテル電極55のうちのいずれか1つと組織との間の接触レベルを評価してもよい。カテーテル電極55のうちの1つに関連付けられているIEGMトレースの最大振幅は、そのカテーテル電極55と組織との間の接触レベルを示すため、IEGMトレースの最大振幅の値が大きいほど、そのカテーテル電極55と組織との間の接触レベルが高いことを示す。IEGMトレースの振幅の値は、カテーテル電極のうちのいずれか1つと組織との間の十分な接触を表すと考えられる最低限の接触レベルを定義するように選択することができる。
【0089】
各接触レベルの各々は、組織との接触状態及び組織との非接触状態を示す接触のそれぞれ2つの状態から選択され得る。言い換えれば、電極は、2つの状態(接触又は非接触)のうちの1つを有することができ、異なる電極は、異なる接触状態を有し得る。例えば、測定値(例えば、インピーダンス、温度、又は力)が所与の限界よりも低い(又は高い)場合、評価された接触レベルは、接触状態であり得、測定値が所与の限界よりも高い(又は低い)場合、評価された接触レベルは、非接触状態であり得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、各接触レベルの各々は、組織との接触の質のそれぞれの複数の状態(例えば、少なくとも3つの状態)から選択される(例えば、非接触、弱い接触、強い接触)。例えば、各状態は、所与の限界(例えば、インピーダンス、温度、又は力)に関連付けられ得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、各接触レベルの各々は、組織との接触の質のそれぞれの摺動スケールから選択される。例えば、接触レベルは、インピーダンス、温度、又は力などの接触の尺度に等しいか、又は比例し得る。
【0092】
図2のバルーンカテーテル40を移動させるべき方向を見つけることを示す概略図である図4を参照する。図3もまた参照されたい。図4は、長手方向軸51(図2)に沿った点から、膨張可能なバルーン45の遠位先端よりも遠位に見たカテーテル40の概略図を示している。簡略化のために、各カテーテル電極55にはラベル付与されている(例えば、1~10)。接触レベルが所与の限界を超えている電極55は、より厚い境界(例えば、電極1~4、及び9~10)で強調表示される。一方、接触レベルが所与の限界未満である電極は、より薄い境界(例えば、電極5~8)で示されている。
【0093】
処理回路41(図1)は、一部又はすべてのカテーテル電極(例えば、電極1~4、9~10、又はすべての電極55)のそれぞれの評価レベルに応じて、1つ以上のカテーテル電極55のそれぞれの接触レベルを改善するためにカテーテル40を移動させるべき方向400(例えば、電極5~8に向かう方向、特に図4の例では電極6と7の間)を見つける(ブロック306)ように構成される。
【0094】
いくつかの実施形態では、方向400は、所与のレベルを超える接触レベルと、カテーテル40を移動させるために、典型的には長手方向軸51に対して参照される、対応する方向とを有する電極の異なる組み合わせを列挙する、事前に入力されたルックアップテーブルを使用することによって見つけられ得る。すなわち、グラフィカルユーザインターフェースは、バルーンを「バルーンの長手方向軸(又は中心軸)に対して横方向に」又は「電極6及び7に向かう方向に」移動させるようにオペレータに示すことができる(テキスト又は図)。
【0095】
いくつかの実施形態では、方向400は、カテーテル電極55の全体的な接触方向を示す、電極接触レベルの質量中心402(例えば、重み付けされた質量中心)を計算することに基づいて見つけられ得る。次いで、方向400は、電極接触レベルの質量中心402をカテーテル電極55の位置に基づく質量中心406に接続する線404に基づいて見つけることができる。位置に基づく質量中心406は、個々のカテーテル電極55の接触レベルに関係なく、カテーテル電極55の質量中心を示す。
【0096】
したがって、処理回路41(図1)は、それぞれのカテーテル電極55のそれぞれの接触レベル及び位置座標のそれぞれのレベルに応答して、カテーテル電極55の一部又はすべての電極接触レベルの質量中心402を計算するように構成されている(ブロック308)。例えば、電極接触レベルの質量中心402は、質量中心の計算に含まれるカテーテル電極55の接触レベルに従って重み付けされた任意の剛体又は本体の標準的な質量中心として計算され得る。処理回路41は、計算された電極接触レベルの質量中心402に応答してカテーテル40が移動されるべき方向400を見つけるように構成されている。
【0097】
それぞれ接触レベルの各々が、組織との接触状態及び組織との非接触状態を示すそれぞれの2つの接触状態から選択される場合、処理回路41は、2つの接触状態の同じ状態(例えば、すべてが接触状態の電極、又はすべてが非接触状態の電極)を有するそれぞれの接触レベルに応答して、カテーテル電極55の一部又はすべての電極接触レベルの質量中心402を計算するように構成されている。言い換えれば、電極接触レベルの質量中心402は、接触状態を有するカテーテル電極55(例えば、電極1~4、及び9~10)の質量中心として計算され得る。あるいは、電極接触レベルの質量中心402は、非接触状態を有するカテーテル電極55(例えば、電極5~8)の質量中心として計算され得る。
【0098】
各接触レベルの各々が、組織との接触の質のそれぞれの複数の状態(例えば、少なくとも3つの状態)から選択されるとき、処理回路41は、カテーテル電極55のうちの一部又はすべての電極接接触レベルの質量中心402を、それぞれのカテーテル電極55のそれぞれの接触レベル及び位置座標に応答して重み付けされた電極接触レベルの質量中心として計算するように構成され得、より大きな重み付けが、より高い質の接触でカテーテル電極55になされる。
【0099】
接触のそれぞれのレベルの各々が、組織との接触の質のそれぞれの摺動スケールから選択されるとき、処理回路41は、カテーテル電極55の一部又はすべての電極接接触レベルの質量中心402を、それぞれの接触レベルに応答して、重み付けされた電極接触レベルの質量中心として計算するように構成され得、より大きな重み付けが、より高い質の接触でカテーテル電極55になされる。
【0100】
処理回路41は、それぞれのカテーテル電極55の位置座標に応答して(すなわち、個々のカテーテル電極55の接触レベルに関係なく)、カテーテル電極55のそれぞれの一部又はすべての位置に基づく質量中心406の線計算するように構成されている(ブロック310)。処理回路41は、計算された電極接触レベルの質量中心402から計算された位置に基づく質量中心406まで延在する線404に応答してカテーテル40が移動されるべき方向400を見つけるように構成されている。方向400の配向は、一般に、線404と平行であり、電極接触レベルの質量中心402から離れている。
【0101】
図4のカテーテル40の図は、カテーテル40の2D図を示す。上記の計算は、3D空間における配向を有する3D方向400を計算するために実行され得る。例えば、電極接触レベルの質量中心402、線404、及び位置に基づく質量中心406は、カテーテル電極55の3D位置座標に基づいて3D空間で計算され得る。図4の例は、バルーンカテーテルに関して提示されている。方向400は、任意の好適なカテーテル、例えばバスケットカテーテルについて計算され得る。
【0102】
ここで、図5を参照する。図5は、図2のバルーンカテーテル40の2次元(2D)表現500及び3次元(3D)表現502及び2D及び3Dの重ね合わされた方向指標504を示す概略図である。図3もまた参照されたい。
【0103】
処理回路41(図1)は、(カテーテル40によって提供され、処理回路41が、カテーテル40及び膨張可能なバルーン45の位置座標を計算するために使用され得る)受信信号に応答して、ディスプレイ27(図1)にカテーテル40の表現(例えば、2D表現500及び/又は3D表現502)、また、見つかった方向400(図4)に応答して移動されるべき方向を示す重ね合わされた方向指標504をレンダリングするように構成されている(図1)。
【0104】
2D表現500は、カテーテル電極55の各々が、2D表現500の中央領域508から2D表現500の外周510に向かって延在している状態で、カテーテル40の長手方向軸の周りに配置されたカテーテル電極55(図2)のそれぞれの表現506を示す、カテーテル40の拡張可能な遠位端アセンブリ(例えば、膨張可能なバルーン45)の表現である。組織と十分に接触している各カテーテル電極55の表現506は、より厚い境界で強調表示される。
【0105】
3D表現502は、各カテーテル電極55の表現512を含む。処理回路41は、3D空間の方向指標504がディスプレイ27(図1)にカテーテル40が3D空間内で移動されるべき方向を示すカテーテル40の3D表現502をレンダリングするように構成されている。
【0106】
次に、図2のカテーテル40の展開状態及び折り畳み状態をそれぞれ示す概略図である図6A図6Bを参照する。ここで図7を参照すると、図7は、図1のシステム20で使用する方法における例示的な工程を含むフローチャート700である。
【0107】
シース23は、遠位端600を有し、生体(例えば、図1の患者28)の身体部位602に挿入されるように構成されている(ブロック702)。カテーテル40のシャフト22は、遠位部分604及び遠位部分604に遠位に配置される拡張可能な遠位端アセンブリ606(例えば、膨張可能なバルーン45)を有する。カテーテル40は、(図6Aに示すように)遠位部分604及び拡張可能な遠位端アセンブリ606がシース23から身体部位602に突出している状態で、シース23を通して挿入されるように構成される(ブロック704)。カテーテル40は、シャフト22に対して長手方向にプッシャ608を調整すると、拡張可能な遠位端アセンブリ606が選択的に伸長及び短縮されるように、シャフト22内に配置され、拡張可能な遠位端アセンブリ606に結合されたプッシャ608を含む。
【0108】
位置追跡サブシステム47(図1)は、シャフト22の遠位部分604とシース23の遠位端600との相対位置を追跡するように構成されている(ブロック706)。決定ブロック708において、位置追跡サブシステム47は、追跡された相対位置に応答して、遠位部分604がシース23の遠位端600内に現在あるかどうかを判定するように構成されている。遠位部分604がシース23の遠位端600内に現在存在しない場合(分岐712)、位置追跡サブシステム47は、シャフト22の遠位部分604が、追跡された相対位置に応答してシース23の遠位端600に入るときを見つけるように構成されている(ブロック710)。システム20は、シャフト22の遠位部分604がシース23の遠位端600に入ることに応答して、拡張可能な遠位端アセンブリ606を伸長するために、プッシャ608(位置追跡サブシステム47からのコマンドで)を自動的に作動するように構成されたプッシャアクチュエータ610を含む(ブロック714)。追加的又は代替的に、音出力デバイス48(図1)が、シャフト22の遠位部分604がシース23の遠位端600に入ることに応答して、(位置追跡サブシステム47からのコマンドで)可聴警告を提供するように構成されている。
【0109】
遠位部分604が現在シース23の遠位端600にある場合(分岐716)、位置追跡サブシステム47は、任意選択的に、シャフト22の遠位部分604が、追跡された相対位置に応答してシース23の遠位端600を出るときを見つけるように構成される(ブロック718)。プッシャアクチュエータ610は、任意選択的に、シャフト22の遠位部分604がシース23の遠位端600を出ることに応答して、拡張可能な遠位端アセンブリ606を短縮するために、自動的にプッシャ608を(位置追跡サブシステム47からのコマンドで)作動するように構成されている(ブロック720)。追加的又は代替的に、音出力デバイス48は、シャフト22の遠位部分604がシース23の遠位端600を出ることに応答して、任意選択的に、(位置追跡サブシステム47からのコマンドで)可聴警告を提供するように構成される。
【0110】
いくつかの実施形態では、位置追跡サブシステム47は、シャフト22の遠位部分604上の拡張可能な遠位端アセンブリ606の近位に配置された近位電極52a、また、生体の皮膚表面(例えば、図1の患者28)に取り付けられるように構成されている体表面電極49(図1)を含む。位置追跡サブシステム47は、近位電極52aと体表面電極49との間の測定された電気インピーダンスに応答して、シャフト22の遠位部分604及びシース23の遠位端600の相対位置を追跡するように構成されている。近位電極52aと体表面電極49との間の測定された電気インピーダンスが所与の限界を超えていることは、近位電極52aがシース23によって覆われており、したがってシャフト22の遠位部分604がシース23内に入るか、又はシース23内にあることを示す。
【0111】
図8A及び図8Bを参照する。図8A及び図8Bは、磁気コイルセンサ800を有するシース23内にそれぞれ配置された展開状態及び折り畳み状態の図2のバルーンカテーテル40の概略図である。図9を参照する。図9は、図8A及び図8Bのカテーテル40及びシース23の相対位置を追跡する方法における工程を示すフローチャート900である。
【0112】
位置追跡サブシステム47(図1)は、身体部位602に異なる周波数を有する磁場を生成するように構成されている(ブロック902)磁場発生器コイル42(図1)、シャフト22の遠位部分604において、拡張可能な遠位端アセンブリ606(例えば、膨張可能なバルーン45)の近位に配置されている磁気コイルセンサ50、シース23の遠位端600に配置された磁気コイルセンサ800を含む。
【0113】
磁気センサ50及び磁気コイルセンサ800は、磁場発生器コイル42によって生成された磁場を検出することに応答して、それぞれの電気信号を出力するように構成されている(ブロック904)。位置追跡サブシステム47は、出力された電気信号に応答して、シャフト22の遠位部分604とシース23の遠位端600との相対位置(例えば、図8Aの距離d)を追跡するように構成されている(ブロック906)。
【0114】
プッシャアクチュエータ610は、拡張可能な遠位端アセンブリ606を伸長して又は短縮するために、(図1の位置追跡サブシステム47からのコマンドで)プッシャ608を自動的に作動させるように構成されている。追加的又は代替的に、音出力デバイス48(図1)は、遠位部分604と遠位端600との間の追跡された相対位置に応答して、可聴警告を提供するように構成されている。
【0115】
本明細書で使用するとき、任意の数値又は数値の範囲について「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書において説明されるその意図された目的に沿って機能することを可能にする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば「約90%」は、72%~108%の値の範囲を指し得る。
【0116】
本発明の様々な特徴が、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されており、これらが単一の実施形態に組み合わされて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴が、別々に又は任意の好適な部分組み合わせで提供されてもよい。
【0117】
上に記載される実施形態は、例として引用されており、本発明は、上記の明細書に具体的に図示及び記載されたものによって限定されない。むしろ本発明の範囲は、上記の明細書で説明される様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0118】
〔実施の態様〕
(1) カテーテル整列システムであって、
生体の身体部位の中へと挿入されるように構成されたカテーテルであって、前記身体部位内のそれぞれの位置で組織と接触するように構成されたカテーテル電極を備える、カテーテルと、
ディスプレイと、
処理回路であって、
前記カテーテルによって提供された信号を受信することと、
受信された前記信号に応答して、前記カテーテル電極のうちのいくつかと前記身体部位の前記組織とのそれぞれの接触レベルを評価することと、
前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記それぞれの接触レベルに応答して、前記カテーテル電極のうちの少なくとも1つの前記それぞれの接触レベルのうちの少なくとも1つを改善するために、前記カテーテルを移動させるべき方向を見つけることと、
前記受信された信号に応答して前記カテーテルの表現を、また、見つけられた前記方向に応答して前記カテーテルを移動させるべき前記方向を示す方向指標を、前記ディスプレイにレンダリングすることと、を行うように構成された処理回路と、を含む、カテーテル整列システム。
(2) 前記カテーテルが、前記カテーテル電極が配置されている拡張可能な遠位端アセンブリを含む、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記拡張可能な遠位端アセンブリが、前記カテーテル電極が周りに配置される軸を有する膨張可能なバルーンを含む、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記拡張可能な遠位端アセンブリが、前記カテーテル電極が周りに配置される軸を含み、前記カテーテルの前記表現が、前記拡張可能な遠位端アセンブリの2次元(2D)表現を含み、前記カテーテル電極の各々が前記2D表現の中央領域から前記2D表現の外周に向かって延在する状態で、前記軸の周りに配置された前記カテーテル電極のすべての表現を示す、実施態様2に記載のシステム。
(5) 前記カテーテルの前記表現が、前記カテーテルの3次元(3D)表現を含み、前記処理回路が、前記カテーテルが3D空間内で移動すべき前記方向を前記3D空間内の前記方向指標が示す状態で、前記カテーテルの前記3D表現を前記ディスプレイにレンダリングするように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0119】
(6) 前記処理回路が、
前記カテーテル電極のうちのいくつかの前記それぞれの接触レベル及び位置座標に応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの電極接触レベルの質量中心を計算することと、
計算された前記電極接触レベルの質量中心に応答して、前記カテーテルを移動させるべき前記方向を見つけることと、を行うように構成された、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記処理回路が、
前記カテーテル電極のうちのいくつかの前記位置座標に応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの位置に基づく質量中心を計算することと、
前記計算された電極接触レベルの質量中心から、計算された前記位置に基づく質量中心まで延在する線に応答して、前記カテーテルを移動させるべき前記方向を見つけることと、を行うように構成された、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記それぞれの接触レベルの各々が、前記組織との接触状態及び前記組織との非接触状態を示すそれぞれの2つの接触状態から選択され、
前記処理回路が、前記2つの接触状態のうちの同じ1つを有する前記それぞれの接触レベルに応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記電極接触レベルの質量中心を計算するように構成されている、実施態様6に記載のシステム。
(9) 前記それぞれの接触レベルの各々が、前記組織との接触の質のそれぞれの少なくとも3つの状態から選択され、
前記処理回路が、前記それぞれの接触レベルに応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記電極接触レベルの質量中心を重み付けされた電極接触レベルの質量中心として計算するように構成されている、実施態様6に記載のシステム。
(10) 前記それぞれの接触レベルの各々が、前記組織との接触の質のそれぞれの摺動スケールから選択され、
前記処理回路が、前記それぞれの接触レベルに応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記電極接触レベルの質量中心を重み付けされた電極接触レベルの質量中心として計算するように構成されている、実施態様6に記載のシステム。
【0120】
(11) カテーテル整列方法であって、
カテーテル電極が生体の身体部位内のそれぞれの位置で組織に接触するように、前記身体部位の空洞内にカテーテルを挿入することと、
前記カテーテルによって提供された信号を受信することと、
受信された前記信号に応答して、前記カテーテル電極のうちのいくつかと前記身体部位の前記組織とのそれぞれの接触レベルを評価することと、
前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記それぞれの接触レベルに応答して、前記カテーテル電極のうちの少なくとも1つの前記それぞれの接触レベルのうちの少なくとも1つを改善するために、前記カテーテルを移動させるべき方向を見つけることと、
前記受信された信号に応答して前記カテーテルの表現を、また、見つけられた前記方向に応答して前記カテーテルを移動させるべき前記方向を示す方向指標を、ディスプレイにレンダリングすることと、を含む、カテーテル整列方法。
(12) 前記カテーテルが、前記カテーテル電極が配置されている拡張可能な遠位端アセンブリを含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記拡張可能な遠位端アセンブリが、前記カテーテル電極が周りに配置される軸を有する膨張可能なバルーンを含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記カテーテルの前記表現が、前記カテーテルの拡張可能な遠位端アセンブリの2次元(2D)表現を含み、前記カテーテル電極の各々が前記2D表現の中央領域から前記2D表現の外周に向かって延在する状態で、前記拡張可能な遠位端アセンブリの軸の周りに配置された前記カテーテル電極のすべての表現を示す、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記カテーテルの前記表現が、前記カテーテルの3次元(3D)表現を含み、前記レンダリングすることが、前記カテーテルが3D空間内で移動されるべき前記方向を前記3D空間内の前記方向指標が示す状態で、前記カテーテルの前記3D表現を前記ディスプレイにレンダリングすることを含む、実施態様11に記載の方法。
【0121】
(16) 前記カテーテル電極の前記いくつかの前記それぞれの接触レベル及び位置座標に応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの電極接触レベルの質量中心を計算することをさらに含み、前記見つけることが、計算された前記電極接触レベルの質量中心に応答して前記カテーテルを移動させるべき前記方向を見つけることを含む、実施態様11に記載の方法。
(17) 前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記位置座標に応答して前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの位置に基づく質量中心を計算することをさらに含み、前記見つけることが、前記計算された電極接触レベルの質量中心から、計算された前記位置に基づく質量中心まで延在する線に応答して、前記カテーテルを移動させるべき前記方向を見つけることを含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記それぞれの接触レベルの各々が、前記組織との接触状態及び前記組織との非接触状態を示すそれぞれの2つの接触状態から選択され、
前記計算することが、前記2つの接触状態のうちの同じ1つを有する前記それぞれの接触レベルに応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記電極接触レベルの質量中心を計算することを含む、実施態様16に記載の方法。
(19) 前記それぞれの接触レベルの各々が、前記組織との接触の質のそれぞれの少なくとも3つの状態から選択され、
前記計算することが、前記それぞれの接触レベルに応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記電極接触レベルの質量中心を重み付けされた電極接触レベルの質量中心として計算することを含む、実施態様16に記載の方法。
(20) 前記それぞれの接触レベルの各々が、前記組織との接触の質のそれぞれの摺動スケールから選択され、
前記計算することが、前記それぞれの接触レベルに応答して、前記カテーテル電極のうちの前記いくつかの前記電極接触レベルの質量中心を重み付けされた電極接触レベルの質量中心として計算することを含む、実施態様16に記載の方法。
【0122】
(21) カテーテル保護システムであって、
遠位端を含み、生体の身体部位内に挿入されるように構成されたシースと、
遠位部分を有するシャフトを含み、拡張可能な遠位端アセンブリが前記遠位部分に遠位に配置されたカテーテルであって、前記カテーテルが、前記シースを通して挿入されるように構成され、前記遠位部分及び前記拡張可能な遠位端アセンブリが前記シースから前記身体部位内に突出し、前記カテーテルが、前記シャフト内に配置されて前記拡張可能な遠位端アセンブリに結合されたプッシャを含み、前記プッシャを前記シャフトに対して長手方向に調整すると、前記遠位端アセンブリが選択的に伸長及び短縮されるようになっている、カテーテルと、
位置追跡サブシステムであって、前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との相対位置を追跡することと、追跡された前記相対位置に応答して、前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端に入るときを見つけることと、を行うように構成された、位置追跡サブシステムと、
前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端に入ることに応答して前記拡張可能な遠位端アセンブリを伸長するように前記プッシャを自動的に作動させるように構成されたプッシャアクチュエータと、を備える、カテーテル保護システム。
(22) 前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端に入ることに応答して可聴警告を提供するように構成された音出力デバイスをさらに備える、実施態様21に記載のシステム。
(23) 前記位置追跡サブシステムが、前記追跡された相対位置に応答して前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端を出るときを見つけるように構成され、
前記プッシャアクチュエータは、前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端を出ることに応答して前記拡張可能な遠位端アセンブリを短縮するように前記プッシャを自動的に作動させるように構成されている、実施態様21に記載のシステム。
(24) 前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端を出ることに応答して可聴警告を提供するように構成された音出力デバイスをさらに備える、実施態様23に記載のシステム。
(25) 前記位置追跡サブシステムが、前記シャフトの前記遠位部分上の前記拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された近位電極と、前記生体の皮膚表面に取り付けられるように構成された体表面電極と、を含み、前記位置追跡サブシステムが、前記近位電極と前記体表面電極との間の測定された電気インピーダンスに応答して、前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との前記相対位置を追跡するように構成されている、実施態様21に記載のシステム。
【0123】
(26) 前記位置追跡サブシステムが、前記身体部位において異なる周波数を有する磁場を生成するように構成された生成器コイルと、前記シャフトの前記遠位部分において前記拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された第1の磁気コイルセンサと、前記シースの前記遠位端に配置された第2の磁気コイルセンサと、を備え、前記第1の磁気コイルセンサ及び前記第2の磁気コイルセンサが、前記磁場を検出することに応答してそれぞれの電気信号を出力するように構成され、前記位置追跡サブシステムが、出力された前記電気信号に応答して前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との前記相対位置を追跡するように構成されている、実施態様21に記載のシステム。
(27) カテーテル保護システムであって、
遠位端を含み、生体の身体部位内に挿入されるように構成されたシースと、
遠位部分を有するシャフトを含み、拡張可能な遠位端アセンブリが前記遠位部分に遠位に配置されたカテーテルであって、前記カテーテルが、前記シースを通して挿入されるように構成され、前記遠位部分及び前記拡張可能な遠位端アセンブリが前記シースから前記身体部位内に突出し、前記カテーテルが、前記シャフト内に配置されて前記遠位端アセンブリに結合されたプッシャを含み、前記プッシャを前記シャフトに対して長手方向に調整すると、前記遠位端アセンブリが選択的に伸長及び短縮するようになっている、カテーテルと、
位置追跡サブシステムであって、前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との相対位置を追跡することと、追跡された前記相対位置に応答して、前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端に入るときを見つけることと、を行うように構成された、位置追跡サブシステムと、
前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端に入ることに応答して、可聴警告を提供するように構成された音出力デバイスと、を備える、カテーテル保護システム。
(28) 前記位置追跡サブシステムが、前記追跡された相対位置に応答して前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端を出るときを見つけるように構成され、
前記音出力デバイスが、前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端を出ることに応答して、別の可聴警告を提供するように構成されている、実施態様27に記載のシステム。
(29) 前記位置追跡サブシステムが、前記シャフトの前記遠位部分上の前記拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された近位電極と、前記生体の皮膚表面に取り付けられるように構成された体表面電極とを備え、前記位置追跡サブシステムが、前記近位電極と前記体表面電極との間の測定された電気インピーダンスに応答して、前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との前記相対位置を追跡するように構成されている、実施態様27に記載のシステム。
(30) 前記位置追跡サブシステムが、前記身体部位において異なる周波数を有する磁場を生成するように構成された生成器コイルと、前記シャフトの前記遠位部分において前記拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された第1の磁気コイルセンサと、前記シースの前記遠位端に配置された第2の磁気コイルセンサと、を備え、前記第1の磁気コイルセンサ及び前記第2の磁気コイルセンサが、前記磁場を検出することに応答してそれぞれの電気信号を出力するように構成され、前記位置追跡サブシステムが、出力された前記電気信号に応答して前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との前記相対位置を追跡するように構成されている、実施態様27に記載のシステム。
【0124】
(31) カテーテル保護方法であって、
シースを生体の身体部位に挿入することと、
前記シースを通してカテーテルを挿入することであって、前記カテーテルのシャフトの遠位部分及び前記カテーテルの拡張可能な遠位端アセンブリが、前記シースから前記身体部位内に突出する、ことと、
前記シャフト内に配置されて前記拡張可能な遠位端アセンブリに結合されたプッシャを、前記シャフトに対して長手方向に調整して、前記拡張可能な遠位端アセンブリを選択的に伸長及び短縮することと、
前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との相対位置を追跡することと、
追跡された前記相対位置に応答して、前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端に入るときを見つけることと、
前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端に入ることに応答して、前記拡張可能な遠位端アセンブリを伸長するように前記プッシャを自動的に作動させることと、を含む、カテーテル保護方法。
(32) 前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端に入ることに応答して、可聴警告を提供することをさらに含む、実施態様31に記載の方法。
(33) 前記追跡された相対位置に応答して、前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端を出るときを見つけることと、
前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端を出ることに応答して、前記拡張可能な遠位端アセンブリを短縮するように、前記プッシャを自動的に作動させることと、をさらに含む、実施態様31に記載の方法。
(34) 前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端を出ることに応答して、可聴警告を提供することをさらに含む、実施態様33に記載の方法。
(35) 前記追跡することが、前記シャフトの前記遠位部分上の前記拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された近位電極と、前記生体の皮膚表面に取り付けられた体表面電極との間の測定された電気インピーダンスに応答して、前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との前記相対位置を追跡することを含む、実施態様31に記載の方法。
【0125】
(36) 前記身体部位に異なる周波数を有する磁場を生成することと、
前記磁場を検出することに応答して、前記シャフトの前記遠位部分において前記拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された第1の磁気コイルセンサと、前記シースの前記遠位端に配置された第2の磁気コイルセンサとによってそれぞれの電気信号を出力することと、をさらに含み、前記追跡することが、出力された前記電気信号に応答して、前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との前記相対位置を追跡することを含む、実施態様31に記載の方法。
(37) カテーテル保護方法であって、
シースを生体の身体部位に挿入することと、
前記シースを通してカテーテルを挿入することであって、前記カテーテルのシャフトの遠位部分及び前記カテーテルの拡張可能な遠位端アセンブリが、前記シースから前記身体部位内に突出する、ことと、
前記シャフト内に配置されて前記拡張可能な遠位端アセンブリに結合されたプッシャを、前記シャフトに対して長手方向に調整して、前記拡張可能な遠位端アセンブリを選択的に伸長及び短縮することと、
前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との相対位置を追跡することと、
追跡された前記相対位置に応答して、前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端に入るときを見つけることと、
前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端に入ることに応答して、可聴警告を提供することと、を含む、カテーテル保護方法。
(38) 前記追跡された相対位置に応答して、前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端を出るときを見つけることと、
前記シャフトの前記遠位部分が前記シースの前記遠位端を出ることに応答して別の可聴警告を提供することと、をさらに含む、実施態様37に記載の方法。
(39) 前記追跡することが、前記シャフトの前記遠位部分上の前記拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された近位電極と、前記生体の皮膚表面に取り付けられた体表面電極との間の測定された電気インピーダンスに応答して、前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との前記相対位置を追跡することを含む、実施態様37に記載の方法。
(40) 前記身体部位に異なる周波数を有する磁場を生成することと、
前記磁場を検出することに応答して、前記シャフトの前記遠位部分において前記拡張可能な遠位端アセンブリの近位に配置された第1の磁気コイルセンサと、前記シースの前記遠位端に配置された第2の磁気コイルセンサとによってそれぞれの電気信号を出力することと、をさらに含み、前記追跡することが、出力された前記電気信号に応答して、前記シャフトの前記遠位部分と前記シースの前記遠位端との前記相対位置を追跡することを含む、実施態様37に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
【外国語明細書】