(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099346
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】紙葉類搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65H 5/22 20060101AFI20220628BHJP
G07D 11/16 20190101ALI20220628BHJP
【FI】
B65H5/22 A
G07D11/16 101Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213043
(22)【出願日】2020-12-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】591085972
【氏名又は名称】日本ゲームカード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】野口 哲
【テーマコード(参考)】
3E040
3E141
3F049
【Fターム(参考)】
3E040AA01
3E040DA08
3E040FG01
3E040FG12
3E141AA01
3E141DA08
3E141FG01
3E141FG12
3F049AA01
3F049DB11
3F049FA05
3F049LA08
3F049LA10
3F049LB04
(57)【要約】
【課題】紙葉類の搬送能力を著しく低下させずに搬送中の紙葉類の衝突合流を防げる排他制御が可能な紙葉類搬送システムを提供する。
【解決手段】最上流の搬送流発生装置31から最下流の紙幣回収装置32に至る搬送路21の適所に複数設けた紙幣送り込み装置6は、搬送制御部32cと通信回線5を介して通信可能で、紙幣送り込み装置32が紙幣PMを搬送路21へ送り込みたいという要求である紙幣搬送要求電文を受信した搬送制御部32cは、搬送処理中の紙幣送り込み装置がなく、電文送信元の紙幣送り込み装置4の上流側に紙幣PMがないときのみ、紙幣搬送許可を与える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を上流から下流へ導く搬送路を形成する搬送管と、前記搬送管内に搬送流を発生させる搬送流発生装置と、前記搬送管内に前記紙葉類を送り込む複数の紙葉類送り込み装置と、前記搬送管の最下流に設けられて前記紙葉類を回収する紙葉類回収装置と、を備える紙葉類搬送システムにおいて、
前記紙葉類送り込み装置による紙葉類送り込み動作の可否を判断して、複数の前記紙葉類送り込み装置による前記紙葉類送り込み動作が同時に実行されることを防ぐ排他制御が可能な搬送制御部を備え、
前記紙葉類送り込み装置には、前記搬送制御部へ紙葉類搬送要求電文を送信すると共に前記搬送制御部からの紙葉類搬送許可電文を受信し、該紙葉類搬送許可電文の受信に基づいて前記紙葉類送り込み動作を実行する送り込み制御手段を設け、
前記搬送制御部は、前記紙葉類搬送要求電文を受けた前記紙葉類送り込み装置へ前記紙葉類搬送許可電文を送信しようとするとき、前記紙葉類送り込み動作を実行中の前記紙葉類送り込み装置がないという第1搬送許可条件、および前記紙葉類搬送要求電文の送信元である前記紙葉類送り込み装置に対応させて予め設定した衝突合流回避範囲内に搬送中の前記紙葉類がないという第2搬送許可条件の成否を判定し、前記第1搬送許可条件および前記第2搬送許可条件の両方が成立したときのみ前記紙葉類搬送要求電文の送信元である前記紙葉類送り込み装置へ前記紙葉類搬送許可電文を送信することで、前記排他制御を行うようにしたことを特徴とする紙葉類搬送システム。
【請求項2】
前記紙葉類送り込み装置は、
前記搬送路へ前記紙葉類を送り込む紙葉類挿入口と、
前記送り込み制御手段によって前記紙葉類挿入口を開閉可能なバルブと、
を備え、
前記送り込み制御手段が実行する前記紙葉類送り込み動作は、前記バルブを制御して前記紙葉類挿入口を開いて前記紙葉類を前記搬送路内へ送り込んだ後に前記バルブを制御して前記紙葉類挿入口を閉じる一連の動作とし、
全ての前記紙葉類送り込み装置における前記紙葉類挿入口の下流適所には、前記搬送路内にて搬送中の前記紙葉類を検出可能な搬送中紙葉類検出手段を設けた、
ことを特徴とする請求項1に記載の紙葉類搬送システム。
【請求項3】
前記紙葉類送り込み装置の前記送り込み制御手段は、前記紙葉類送り込み動作中に前記紙葉類挿入口より前記搬送路内へ送り込んだ前記紙葉類が、前記搬送中紙葉類検出手段により検出された後に検出されなくなることで、前記紙葉類の前記搬送路内への送り込みが終了したと判定するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の紙葉類搬送システム。
【請求項4】
前記搬送制御部は、前記紙葉類搬送要求電文の送信元である前記紙葉類送り込み装置よりも下流側にある前記紙葉類送り込み装置によって、直前に前記紙葉類送り込み動作が実行されていた場合には、衝突合流回避範囲内に搬送中の前記紙葉類が無いとみなして前記第2搬送許可条件が成立していると判定し、前記紙葉類搬送要求電文の送信元である前記紙葉類送り込み装置よりも上流側にある前記紙葉類送り込み装置によって、直前に前記紙葉類送り込み動作が実行されていた場合には、前記紙葉類搬送要求電文の送信元である前記紙葉類送り込み装置に対応する前記搬送中紙葉類検出手段により前記紙葉類の通過を検出することで、前記第2搬送許可条件が成立したと判定するようにしたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の紙葉類搬送システム。
【請求項5】
投入口より投入された前記紙葉類の真贋を判定する真贋判定動作を行い、投入された前記紙葉類を偽物と判定した場合は前記投入口より返却し、前記投入口より投入された前記紙葉類を本物と判定しても排出動作抑制信号が入力されている間は前記紙葉類を取込側へ排出せず、前記排出動作抑制信号が入力されなくなった場合は本物と判定した前記紙葉類を前記取込側へ排出する紙葉類識別装置を、全ての前記紙葉類送り込み装置に対応させて設け、
前記紙葉類送り込み装置の前記送り込み制御手段は、前記紙葉類識別装置へ前記排出動作抑制信号を常時出力しておき、前記紙葉類識別装置が前記真贋判定動作を行うことで前記搬送制御部へ前記紙葉類搬送要求電文を送信し、前記搬送制御部から前記紙葉類搬送許可電文を受けることで前記排出動作抑制信号を停止し、前記紙葉類識別装置から本物と判定された前記紙葉類を前記取込側へ排出させて受け入れ、前記紙葉類送り込み動作を実行するようにしたことを特徴とする請求項1~請求項4の何れか1項に記載の紙葉類搬送システム。
【請求項6】
前記紙葉類送り込み装置の前記送り込み制御手段は、前記紙葉類送り込み動作を開始してから所定の紙葉類受け入れ猶予期間内に、前記紙葉類識別装置より前記紙葉類を受け取れなかった場合は、前記紙葉類送り込み動作を中止して前記搬送制御部へ紙葉類搬送中止電文を送信し、受信済みである前記紙葉類搬送許可電文をキャンセルするようにしたことを特徴とする請求項5に記載の紙葉類搬送システム。
【請求項7】
前記紙葉類送り込み装置には、
前記紙葉類識別装置の前記取込側と連結される紙葉類受け入れ口と、
前記投入口より投入された前記紙葉類に対して前記紙葉類識別装置が前記真贋判定動作を行うときに、前記紙葉類受け入れ口より前記紙葉類の一部が入ってくる紙葉類受け入れ通路と、
前記紙葉類が前記紙葉類受け入れ通路へ入ることに基づいて、前記紙葉類識別装置が前記真贋判定動作を行っている状態を検出する真贋判定動作検出手段と、
を設け、
前記送り込み制御手段は、前記真贋判定動作検出手段からの検出情報に基づいて、前記紙葉類識別装置により前記真贋判定動作が実行されているか否かを判定し、前記真贋判定動作が実行されていると判定した場合には前記搬送制御部へ前記紙葉類搬送要求電文を送信するようにしたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の紙葉類搬送システム。
【請求項8】
前記真贋判定動作検出手段は、前記紙葉類識別装置が前記真贋判定動作を実行する際に前記紙葉類受け入れ通路へ浅く入った前記紙葉類を検出する第1紙葉類センサと、前記紙葉類識別装置が前記真贋判定動作を実行する際に前記紙葉類受け入れ通路へ深く入った前記紙葉類を検出する第2紙葉類センサと、を含み、
前記送り込み制御手段は、前記第1紙葉類センサによる前記紙葉類の検出状態と前記第2紙葉類センサによる前記紙葉類の検出状態との組み合わせから、前記紙葉類識別装置による前記真贋判定動作の実行を判定するようにしたことを特徴とする請求項7に記載の紙葉類搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類を上流から下流へ導く搬送路を形成する搬送管と、搬送管内に搬送流を発生させる搬送流発生装置と、搬送管内に紙葉類を送り込む複数の紙葉類送り込み装置と、搬送管の最下流に設けられて紙葉類を回収する紙葉類回収装置と、を備える紙葉類搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄いプラスチック製あるいは紙製のカードや紙幣といった紙葉類を搬送するとき、ベルトやローラを用いて紙葉類を挟み込んで送り出す紙葉類搬送装置が知られており、市場にも普及している。例えば、パチンコやスロットマシン等の遊技機が設置された遊技場においては、遊技機に隣接させて遊技媒体貸出装置等が設けられており、この遊技媒体貸出装置内に紙幣を収納せず、紙葉類回収装置の機能を備える紙幣金庫部等まで搬送して管理する場合に紙葉類搬送システムが用いられる。遊技場の紙葉類搬送システムでは、遊技媒体貸出装置等の紙幣識別部により判別された紙幣を取り込み、ベルトやローラから成る搬送機構によって、遊技機を設置した遊技島の島端に取り付けられた紙幣金庫部まで搬送するのである。
【0003】
このような紙葉類搬送システムでは、ベルトやローラ等で紙幣を挟み込む機構を使って搬送している為に、ベルトやローラの継ぎ渡し部分にて紙幣詰まりがしばしば発生するという問題があった。紙幣詰まりを解消するためには、遊技機で遊技中の遊技者に遊技を中断してもらい、遊技島内の不具合箇所を特定し、詰まった紙幣を取り除かなければならず、来店客に迷惑をかけると共に、遊技店員にとっての負担も少なくなかった。
【0004】
近年においては、搬送管内に搬送用の空気流を発生させ、空気流に乗せて紙幣を搬送する紙葉類搬送システムが提案されている。空気流により紙幣を搬送するなら、ベルトやローラといった機構を使わないので、機構部分で紙幣が詰まるというリスクがない。空気搬送の紙葉類搬送装置として、紙幣の後端部を変形させ、変形部に搬送用の空気流の風圧を作用させることにより、紙幣の搬送をスムーズにしたものが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1に記載の紙葉類搬送装置では、送風管内で搬送中の紙葉類をカウントし、検出された紙葉類のカウント値が規定値を超えると警告することで、過剰に多くの紙葉類が搬送路内へ送り込まれないような制御を行っている。
【0005】
また、空気流によって紙葉類を直接搬送するのではなく、空気流によって上流から下流へ移動して行く搬送補助体で紙葉類を後方から押し動かして紙葉類を搬送する紙葉類搬送装置が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。この特許文献2に記載の紙葉類搬送装置では、紙葉類の取込動作が完了した紙葉類取り込み装置まで搬送補助体を向かわせ、紙葉類を一枚ずつ搬送補助体によって回収装置まで搬送するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4409626号公報
【特許文献2】特許第6001746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の紙葉類搬送装置のように、搬送管に送り込める紙葉類を一定枚数に制限する制御を行うだけでは、衝突合流の危険を回避できるとは言えない。衝突合流とは、投入装置から搬送管内に紙葉類を送り込んだタイミングで、その投入装置よりも上流側に位置する投入装置から送り込まれた紙葉類が流れてくることにより、紙葉類同士が衝突してしまう現象である。衝突合流が生じると、紙葉類の搬送動作が不安定になり、搬送管内に紙葉類が詰まってしまう危険性がある。
【0008】
また、特許文献2の記載の紙葉類搬送装置のように搬送補助体を使用して紙葉類を搬送する制御では、紙葉類取り込み装置まで搬送補助体を向かわせなければならないため、待機時間が無駄に長くなってしまい、紙葉類の搬送能力が著しく低下してしまう。
【0009】
さらに、搬送用流体を用いた紙葉類搬送システムでは、紙葉類送り込み装置を2個以上同時に動作させると、紙葉類送り込み装置を介した搬送用流体の流出・流入が起きて搬送管内の搬送用流体圧力が変化し、紙葉類の安定搬送が不可能になるという問題がある。このような不具合を起こさないためには、動作させる紙葉類送り込み装置を1つに限定し、複数の紙葉類送り込み装置を同時に動作させない排他制御が有効であるが、単純に紙葉類送り込み装置の動作を排他制御しただけでは、特許文献1に記載の紙葉類搬送装置と同様、衝突合流の発生を確実に防ぐことはできない。さりとて、搬送路内で搬送される紙葉類が必ず1枚となるように紙葉類送り込み装置の動作を排他制御してしまうと、特許文献2に記載の紙葉類搬送装置と同様、紙葉類の搬送能力が著しく低下してしまう。
【0010】
そこで、本発明は、紙葉類の搬送能力を著しく低下させずに搬送中の紙葉類の衝突合流を防げる排他制御が可能な紙葉類搬送システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、紙葉類を上流から下流へ導く搬送路を形成する搬送管と、前記搬送管内に搬送流を発生させる搬送流発生装置と、前記搬送管内に前記紙葉類を送り込む複数の紙葉類送り込み装置と、前記搬送管の最下流に設けられて前記紙葉類を回収する紙葉類回収装置と、を備える紙葉類搬送システムにおいて、前記紙葉類送り込み装置による紙葉類送り込み動作の可否を判断して、複数の前記紙葉類送り込み装置による前記紙葉類送り込み動作が同時に実行されることを防ぐ排他制御が可能な搬送制御部を備え、前記紙葉類送り込み装置には、前記搬送制御部へ紙葉類搬送要求電文を送信すると共に前記搬送制御部からの紙葉類搬送許可電文を受信し、該紙葉類搬送許可電文の受信に基づいて前記紙葉類送り込み動作を実行する送り込み制御手段を設け、前記搬送制御部は、前記紙葉類搬送要求電文を受けた前記紙葉類送り込み装置へ前記紙葉類搬送許可電文を送信しようとするとき、前記紙葉類送り込み動作を実行中の前記紙葉類送り込み装置がないという第1搬送許可条件、および前記紙葉類搬送要求電文の送信元である前記紙葉類送り込み装置に対応させて予め設定した衝突合流回避範囲内に搬送中の前記紙葉類がないという第2搬送許可条件の成否を判定し、前記第1搬送許可条件および前記第2搬送許可条件の両方が成立したときのみ前記紙葉類搬送要求電文の送信元である前記紙葉類送り込み装置へ前記紙葉類搬送許可電文を送信することで、前記排他制御を行うようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、上記構成において、前記紙葉類送り込み装置は、前記搬送路へ前記紙葉類を送り込む紙葉類挿入口と、前記送り込み制御手段によって前記紙葉類挿入口を開閉可能なバルブと、を備え、前記送り込み制御手段が実行する前記紙葉類送り込み動作は、前記バルブを制御して前記紙葉類挿入口を開いて前記紙葉類を前記搬送路内へ送り込んだ後に前記バルブを制御して前記紙葉類挿入口を閉じる一連の動作とし、全ての前記紙葉類送り込み装置における前記紙葉類挿入口の下流適所には、前記搬送路内にて搬送中の前記紙葉類を検出可能な搬送中紙葉類検出手段を設けてもよい。
【0013】
また、上記構成において、前記紙葉類送り込み装置の前記送り込み制御手段は、前記紙葉類送り込み動作中に前記紙葉類挿入口より前記搬送路内へ送り込んだ前記紙葉類が、前記搬送中紙葉類検出手段により検出された後に検出されなくなることで、前記紙葉類の前記搬送路内への送り込みが終了したと判定するようにしてもよい。
【0014】
また、上記構成において、前記搬送制御部は、前記紙葉類搬送要求電文の送信元である前記紙葉類送り込み装置よりも下流側にある前記紙葉類送り込み装置によって、直前に前記紙葉類送り込み動作が実行されていた場合には、衝突合流回避範囲内に搬送中の前記紙葉類が無いとみなして前記第2搬送許可条件が成立していると判定し、前記紙葉類搬送要求電文の送信元である前記紙葉類送り込み装置よりも上流側にある前記紙葉類送り込み装置によって、直前に前記紙葉類送り込み動作が実行されていた場合には、前記紙葉類搬送要求電文の送信元である前記紙葉類送り込み装置に対応する前記搬送中紙葉類検出手段により前記紙葉類の通過を検出することで、前記第2搬送許可条件が成立したと判定するようにしてもよい。
【0015】
また、上記構成において、投入口より投入された前記紙葉類の真贋を判定する真贋判定動作を行い、投入された前記紙葉類を偽物と判定した場合は前記投入口より返却し、前記投入口より投入された前記紙葉類を本物と判定しても排出動作抑制信号が入力されている間は前記紙葉類を取込側へ排出せず、前記排出動作抑制信号が入力されなくなった場合は本物と判定した前記紙葉類を前記取込側へ排出する紙葉類識別装置を、全ての前記紙葉類送り込み装置に対応させて設け、前記紙葉類送り込み装置の前記送り込み制御手段は、前記紙葉類識別装置へ前記排出動作抑制信号を常時出力しておき、前記紙葉類識別装置が前記真贋判定動作を行うことで前記搬送制御部へ前記紙葉類搬送要求電文を送信し、前記搬送制御部から前記紙葉類搬送許可電文を受けることで前記排出動作抑制信号を停止し、前記紙葉類識別装置から本物と判定された前記紙葉類を前記取込側へ排出させて受け入れ、前記紙葉類送り込み動作を実行するようにしてもよい。
【0016】
また、上記構成において、前記紙葉類送り込み装置の前記送り込み制御手段は、前記紙葉類送り込み動作を開始してから所定の紙葉類受け入れ猶予期間内に、前記紙葉類識別装置より前記紙葉類を受け取れなかった場合は、前記紙葉類送り込み動作を中止して前記搬送制御部へ紙葉類搬送中止電文を送信し、受信済みである前記紙葉類搬送許可電文をキャンセルするようにしてもよい。
【0017】
また、上記構成において、前記紙葉類送り込み装置には、前記紙葉類識別装置の前記取込側と連結される紙葉類受け入れ口と、前記投入口より投入された前記紙葉類に対して前記紙葉類識別装置が前記真贋判定動作を行うときに、前記紙葉類受け入れ口より前記紙葉類の一部が入ってくる紙葉類受け入れ通路と、前記紙葉類が前記紙葉類受け入れ通路へ入ることに基づいて、前記紙葉類識別装置が前記真贋判定動作を行っている状態を検出する真贋判定動作検出手段と、を設け、前記送り込み制御手段は、前記真贋判定動作検出手段からの検出情報に基づいて、前記紙葉類識別装置により前記真贋判定動作が実行されているか否かを判定し、前記真贋判定動作が実行されていると判定した場合には前記搬送制御部へ前記紙葉類搬送要求電文を送信するようにしてもよい。
【0018】
また、上記構成において、前記真贋判定動作検出手段は、前記紙葉類識別装置が前記真贋判定動作を実行する際に前記紙葉類受け入れ通路へ浅く入った前記紙葉類を検出する第1紙葉類センサと、前記紙葉類識別装置が前記真贋判定動作を実行する際に前記紙葉類受け入れ通路へ深く入った前記紙葉類を検出する第2紙葉類センサと、を含み、前記送り込み制御手段は、前記第1紙葉類センサによる前記紙葉類の検出状態と前記第2紙葉類センサによる前記紙葉類の検出状態との組み合わせから、前記紙葉類識別装置による前記真贋判定動作の実行を判定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1搬送許可条件および第2搬送許可条件に基づく紙葉類送り込み動作の可否を判定する搬送制御部が、紙葉類送り込み装置による紙葉類送り込み動作の実行タイミングを制御するので、複数の紙葉類送り込み装置を同時に動作させない排他制御を行えると共に、紙葉類の搬送能力を著しく低下させずに搬送中の紙葉類の衝突合流を防げる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】(A)は本発明の実施形態に係る紙葉類搬送システムの概略構成図である。(B)は紙幣回収装置と紙幣送り込み装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】紙幣送り込み装置による紙幣送り込み動作と搬送管内を流れる搬送用流体との関係を示し、(A)は全ての紙幣送り込み装置が動作していない状態の説明図、(B)は1つの紙幣送り込み装置のみ動作している状態の説明図、(C)は上流側の紙幣送り込み装置と下流側の紙幣送り込み装置が同時に動作している状態の説明図である。
【
図3】(A1)は紙幣挿入口をバルブにて閉塞した状態の紙幣送り込み装置の説明図、(A2)は紙幣挿入口を開放して搬送路へ紙幣を送り込む紙幣送り込み動作状態に変換した紙幣送り込み装置の説明図、(B)は紙幣送り込み動作状態にある紙幣送り込み装置から送り出された紙幣と上流から搬送された紙幣とで生ずる衝突合流の説明図、(C1)は紙幣送り込み装置の搬送中紙幣センサによって搬送中の紙幣を検出した状態の説明図、(C2)は紙幣送り込み装置の搬送中紙幣センサが通過した紙幣を検出しなくなった状態の説明図である。
【
図4】(A)は紙幣が投入されている紙幣識別装置の概略構成図、(B)は投入された紙幣を真贋判定のためにスキャンしている紙幣識別装置の概略構成図、(C)は投入された紙幣のスキャンを終えた紙幣識別装置の概略構成図、(D)は判定済みの紙幣を取込側へ排出できるまで待機している紙幣識別装置の概略構成図である。
【
図5】(A)は紙幣識別装置によるスキャン中の紙幣を紙幣受け入れ通路に受け入れる紙幣取り込み装置の概略構成図である。(B)は紙幣識別装置によるスキャン中の紙幣を受け入れる分岐通路を備える第2構成例の紙幣識別装置の概略構成図である。
【
図6】(A)は紙幣送り込み装置が第1投入紙幣センサと第2投入紙幣センサの検出状態から紙幣識別装置の搬送要求指示を判定する場合の判定動作説明図である。(B)は紙幣送り込み装置が第1投入紙幣センサと第2投入紙幣センサの検出状態から紙幣識別装置の紙幣返却動作を判定する場合の判定動作説明図である。
【
図7】紙幣送り込み装置が行う紙幣送り込み処理を示すフローチャートである。
【
図8】搬送制御部が行う排他制御処理を示すフローチャートである。
【
図9】搬送制御部が行う搬送許可処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付図面に基づいて、本発明に係る紙葉類搬送システムの実施形態につき説明する。なお、搬送対象である紙葉類とは、紙幣や書面といった保形性のある紙類(ティッシュペーパーのように、搬送流に対して保形性を有しないものを除く)、樹脂製のフィルム(プラスティック紙幣を含む)や薄いカード類などが適用できる。本実施形態の紙葉類搬送システムにおいては、紙製の紙幣(一対の長辺と一対の短辺からなる矩形状の紙幣)を搬送対象とした紙幣搬送システムとして説明する。また、搬送用流体としては、気体に限らず液体を用いることも可能であるが、本実施形態の紙幣搬送システムにおいては、空気(エア)を搬送用流体として用いる。
【0022】
図1(A)に示す紙幣搬送システム1は、例えば遊技店に設置され、遊技媒体貸出装置やカード販売装置等へ投入された紙幣PMを回収して一箇所へ集めるような使い方が可能である。種々の搬送管2(例えば、直線搬送管2aや湾曲搬送管2b等)を繋いで最上流から最下流まで連続した搬送路21を形成する。
【0023】
遊技店において多数の遊技機が列設された島設備に紙幣搬送システム1を適用する場合、島設備の一端に設けられた島金庫3に搬送流発生装置31と紙幣回収装置32を設ければ、搬送流発生装置31が搬送路21の最上流に、紙幣回収装置32が搬送路21の最下流になる。そして、搬送管2の途中に適宜接続された紙葉類送り込み装置としての紙幣送り込み装置4から搬送路21へ送り込まれた紙幣PMが搬送対象となり、下流に向けて搬送されて行くのである。すなわち、搬送流発生装置31により発生させた搬送流TFを下流へ導く搬送路21が形成された搬送管2にて、紙葉類としての紙幣PMを上流から下流へ搬送し、最下流に設けられた紙葉類回収装置としての紙幣回収装置32にて紙幣PMを回収する紙幣搬送システム1となる。
【0024】
搬送流発生装置31は、搬送管2の最上流部から搬送用エアを吐出して吹き出し流を生じさせると共に、紙幣回収装置32に到達した搬送用エアを吸い込む吸引流を生じさせることにより、搬送管2と島金庫3の内部で循環する搬送流TFを発生させる。また、全ての紙幣送り込み装置4は送り込み制御手段としての送り込み制御部4aを備え(
図1(B)を参照)、通信回線5を介して紙幣回収装置32と双方向通信が可能であり、紙幣回収装置32からの指示を待って、紙幣PMを搬送路21へ送り込む動作を実行する。これは、複数の紙幣送り込み装置4による紙葉類送り込み動作としての紙幣送り込み動作が同時に実行されることを防ぐ排他制御(後に詳述)を実現するためである。
【0025】
なお、本構成例の紙幣送り込み装置4は、上流側と下流側にそれぞれ搬送管2を接続できる流路連結構造を備え、紙幣送り込み装置4内に形成された紙幣流路4bが搬送路21の一部として機能するものとしたが、この構造に限定されない。例えば、搬送管2に紙幣送り込み装置4を取り付けるための取付構造を設けておき、該当箇所に紙幣送り込み装置4を取り付けることで、紙幣送り込み装置4から搬送管2内へ紙幣PMを送り込むことができるようにしてもよい。また、紙幣回収装置32と紙幣送り込み装置4等を接続する通信回線5は、有線接続の回線でもよいし、無線通信網を用いた回線でも良い。
【0026】
紙幣送り込み装置4において、紙幣流路4bに臨む部位には、紙葉類挿入口としての紙幣挿入口4cが設けられており、バルブ4dが紙幣挿入口4cを開放することで、紙幣PMを紙幣流路4bへ挿入(搬送路21へ送り込み)可能となる。バルブ4dに対する開閉制御は、送り込み制御部4aが行う。送り込み制御部4aの制御により実行される紙葉類送り込み動作としての紙幣送り込み動作は、バルブ4dを制御して紙幣挿入口4cを開き、紙幣PMを搬送路21内へ送り出した後、バルブ4dを制御して紙幣挿入口4cを閉じる一連の動作である。
【0027】
また、紙幣送り込み装置4における紙幣流路4bの下流側適所には、搬送路21内を搬送中の紙幣PMを非接触で検出できる搬送中紙葉類検出手段としての搬送中紙幣センサ6を設けてある。この搬送中紙幣センサ6の一例としては、投光器6aと受光器6bの光軸を合わせて配置したもので(
図1(B)を参照)、搬送中の紙幣PMが光軸を遮ることで紙幣PMの有無を検出できる。搬送中紙幣センサ6の検出情報は、送り込み制御部4aに供給されると共に、通信回線5を介して紙幣回収装置32にも供給される。
【0028】
紙幣送り込み装置4の手前側(搬送路21から遠ざかる側)には、紙幣識別装置7が設けられ、遊技媒体貸出装置やカード販売装置等へ投入された紙幣PMの真贋判定を紙幣識別装置7にて行う。紙幣識別装置7にて適正と判定された紙幣PMだけが紙幣送り込み装置4に受け入れられ、紙幣送り込み装置4から搬送管2内の搬送路21へ送り込まれる。搬送管2内へ送り込まれた紙幣PMは、搬送流TFによって搬送路21の最下流まで搬送され、紙幣回収装置32にて回収される。
【0029】
上述した紙幣回収装置32は、搬送されてきた紙幣PMを回収するための機能として、搬送態様変換部32a、紙幣収納部32bおよび搬送制御部32cを備えている。搬送態様変換部32aは、紙幣PMの搬送態様を搬送流TFによる非接触搬送態様から搬送ベルトや搬送ローラ等の搬送力伝達体(後に詳述)による接触搬送態様に変換するものである。搬送態様変換部32aによって搬送流TFから分離されて接触変換態様にて送り出された紙幣PMは、紙幣収納部32bの紙幣ストッカにストックされて行く。搬送制御部32cは、紙幣PMの搬送動作全般を統括的に制御するもので、搬送態様変換部32aや紙幣収納部32bに対するコントロールを行う。搬送流発生装置31の風量制御等を搬送制御部32cによって行うようにしても良い。また、搬送制御部32cの機能を紙幣回収装置32に設けず、主導格の紙幣送り込み装置4や搬送流発生装置31などの他装置に設けても良いし、独立した装置として別途設けるようにしても良い。
【0030】
さらに、搬送制御部32cは、全ての紙幣送り込み装置4による紙幣送り込み動作の可否を判断して、複数の紙幣送り込み装置4による紙幣送り込み動作が同時に実行されることを防ぐ排他制御を行うために、排他制御手段32dとしての機能を備える。一方、紙幣送り込み装置4の送り込み制御部4aは、搬送制御部32cへ紙葉類搬送要求電文としての紙幣搬送要求電文を送信すると共に搬送制御部32cからの紙葉類搬送許可電文としての紙幣搬送許可電文を受信し、紙幣搬送許可電文の受信に基づいて紙幣送り込み動作を実行する。紙幣送り込み動作の実行により、紙幣PMが搬送路21へ送り込まれた後には、紙幣送り込み装置4から搬送制御部32cへ搬送終了電文を送信し、紙幣搬送許可を受けた紙幣送り込み装置4による紙幣送り込み動作が完了したことを搬送制御部32cへ報せる。なお、各紙幣送り込み装置4には、ユニークな識別ID等が付されており、搬送制御部32cは、各紙幣送り込み装置4とその設置箇所を個別に認識できるようにしてある。
【0031】
このように、搬送制御部32cが排他制御を行うためには、各紙幣送り込み装置4とやり取りする電文が重要である。少なくとも、紙幣送り込み装置4から搬送制御部32cへ送信する紙幣搬送要求電文および紙幣搬送終了電文、搬送制御部32cから紙幣送り込み装置4へ送信する紙幣搬送許可電文が必須となる。これらに加えて、紙幣送り込み装置4による紙幣送り込み動作が適正に行われないときに、紙幣送り込み装置4から搬送制御部32cへ送信する紙葉類搬送中止電文としての紙幣搬送中止電文も含ませておくことが望ましい。この紙幣搬送中止電文を送信することで、受信済みである紙幣搬送許可電文をキャンセルすれば、他の紙幣送り込み装置4に対して搬送許可の順番を回せるので、紙幣PMの搬送効率を著しく低下させることを防げる。なお、受信側が送信側に対して正しく受信したことを報せるために、受信側から送信側へACK信号を返すことが一般的であるが、以下の説明では、ACK信号不受理による自動再送機能等については省略し、各電文は適正に送受信されるものとする。
【0032】
排他制御を詳述する前に、複数の紙幣送り込み装置4による紙幣送り込み動作が同時に実行されることを防ぐ排他制御が重要である理由について、
図2に基づき説明する。
図2(A)~(C)は、搬送流発生装置31と紙幣回収装置32との間に、搬送管2により形成された搬送路21を示す。例えば、搬送路21の上流側(搬送流発生装置31に近い側)には上流側紙幣送り込み装置4-Uを設け、搬送路21の下流側(紙幣回収装置32に近い側)には下流側紙幣送り込み装置4-Dを設けてある。
【0033】
図2(A)に示すように、上流側紙幣送り込み装置4-Uの紙幣挿入口4cと下流側紙幣送り込み装置4-Dの紙幣挿入口4cが共に閉塞され、搬送管2が密閉されている場合、上流側の第1搬送流TF1と中間付近の第2搬送流TF2と下流側の第3搬送流TF3は、搬送用エアの流量や圧力はほぼ一定である。よって、搬送路21の上流から下流まで紙幣PMを安定搬送できる。
【0034】
図2(B)に示すように、下流側紙幣送り込み装置4-Dの紙幣挿入口4cのみが開放された場合、上流側の第1搬送流TF1と中間付近の第2搬送流TF2と下流側の第3搬送流TF3は、搬送用エアの流量や圧力がほぼ一定である。なお、上流側紙幣送り込み装置4-Uの紙幣挿入口4cのみが開放された場合も、上流側の第1搬送流TF1と中間付近の第2搬送流TF2と下流側の第3搬送流TF3は、搬送用エアの流量や圧力がほぼ一定である。よって、上流側紙幣送り込み装置4-Uの紙幣挿入口4c或いは下流側紙幣送り込み装置4-Dの紙幣挿入口4cの何れか一方のみが開放された状態であれば、搬送路21の上流から下流まで紙幣PMを安定搬送できる。
【0035】
しかしながら、
図2(C)に示すように、上流側紙幣送り込み装置4-Uの紙幣挿入口4cおよび下流側紙幣送り込み装置4-Dの紙幣挿入口4cの両方が開放されると、搬送用エアの漏れおよび流入が生じる。上流側の第1搬送流TF1は、搬送流発生装置31による吹き出し流の影響を強く受けるので、上流側紙幣送り込み装置4-Uの紙幣挿入口4cから搬送用エアが外部に漏れることとなる。このため、上流側紙幣送り込み装置4-Uを過ぎて下流側紙幣送り込み装置4-Dへ向かう第2搬送流TF2は、搬送用エアの流量や圧力が低下した状態となる。しかるに、下流側の第3搬送流TF3は、紙幣回収装置32による吸引流の影響を強く受けるので、下流側紙幣送り込み装置4-Dの紙幣挿入口4cを介して外部から搬送用エアを取り込み、搬送用エアの流量や圧力が第1搬送流TF1と同程度まで戻る。
【0036】
上述した第1搬送流TF1、第2搬送流TF2、第3搬送流TF3のように、搬送用エアの流量や圧力が搬送路21内で極端に変化すると、紙幣PMの搬送が不安定となり、場合によっては搬送不能になって、搬送管2内に紙幣詰まりが生ずる危険性もある。したがって、複数の紙幣送り込み装置4による紙幣送り込み動作が同時に実行されること(複数箇所で紙幣挿入口4cが開放されること)を防ぐ排他制御が重要なのである。そこで、搬送制御部32cは、紙幣搬送要求電文を受けた紙幣送り込み装置4へ紙幣搬送許可電文を送信しようとするとき、紙幣送り込み動作実行中の紙幣送り込み装置4がないという第1搬送許可条件の成否を判定する。なお、この第1搬送許可条件は、紙幣搬送要求電文の送信元である紙幣送り込み装置4へ紙幣搬送許可電文を送信するための必要十分条件ではなく、後述する第2搬送許可条件と共に成立しなければ、搬送制御部32cから紙幣搬送要求電文の送信元である紙幣送り込み装置4へ紙幣搬送許可電文を送信しない。
【0037】
搬送制御部32cが成否を判定する第2搬送許可条件とは、紙幣搬送要求電文の送信元である紙幣送り込み装置4に対応させて予め設定した衝突合流回避範囲内に搬送中の紙幣PMがないということである。以下、衝突合流回避範囲について、
図3を参照して説明する。この
図3は、上流側の搬送管2と下流側の搬送管2との間に接続した紙幣送り込み装置4における主要な内部構造のみを簡略化して示したものである。
【0038】
図3(A1)に示す紙幣送り込み装置4は、紙幣流路4bを通過する紙幣PMの紙面に対抗する第1側面部41と第2側面部42の一方(例えば、第1側面部41側)に紙幣挿入口4cを設け、この紙幣挿入口4cをバルブ4dの弁体4d1にて閉塞した状態である。
図3(A2)に示す紙幣送り込み装置4は、バルブ4dの駆動機構4d2により弁体4d1を移動させて紙幣挿入口4cを開放し、紙葉類受け入れ通路としての紙幣受け入れ通路43を搬送路21と連通させた状態である。紙幣挿入口4cが開放されると、紙葉類受け入れ口としての紙幣受け入れ口43aから受け入れた紙幣PM(紙幣識別装置7から排出された紙幣PM)を送り込みローラ対44によって搬送路21内へ送り込むことができる。
【0039】
図3(B)に示すように、紙幣送り込み装置4が紙幣挿入口4cから搬送路21(紙幣流路4b)へ紙幣PMを送り込んでいる途中に、上流側より紙幣PM′が搬送されてきた場合、紙幣PM′が送り出し途中の紙幣PMに突き当たるもしくは接触する衝突合流が発生する。このような衝突合流は、送り出し動作中の紙幣送り込み装置4よりも上流側の紙幣送り込み装置4が直前に紙幣送り込み動作を完了させており、搬送路21へ送り込まれた紙幣PM′が、未だ送り出し動作中の紙幣送り込み装置4を通過していなかった場合に起きる。搬送路21内で衝突合流が発生すると、上流から流れてきた紙幣PM′は速度が低下または停止する危険性がある。加えて、紙幣送り込み装置4から搬送路21へ送り込まれた紙幣PMも、上手く搬送流TFの搬送力を得ることが出来なくなるために、搬送不能状態になる危険性がある。
【0040】
このような搬送合流の発生を防ぐために、紙幣搬送要求電文の送信元である紙幣送り込み装置4の搬送中紙幣センサ6よりも上流側の範囲を衝突合流回避範囲に設定し、搬送中紙幣センサ6よりも上流側にて搬送中の紙幣PM′が存在する場合、紙幣送り込み装置4の紙幣送り込み動作を規制する。例えば、各紙幣送り込み装置4の搬送中紙幣センサ6からの検出情報を受信する搬送制御部32cにて紙幣PM′の搬送位置を確認し、紙幣搬送要求電文の送信元である紙幣送り込み装置4の搬送中紙幣センサ6の検知エリアを紙幣PM′が通過することで、第2搬送許可条件が成立したと判定する。なお、紙幣PM′が搬送中紙幣センサ6の検知エリアに到達する前の搬送中紙幣センサ6はOFF状態で、紙幣PM′が検知エリアに入ると搬送中紙幣センサ6はON状態に変化し(
図3(C1)を参照)、紙幣PM′が検知エリアを通過すると搬送中紙幣センサ6はOFF状態に変化する(
図3(C2)を参照)。このような搬送中紙幣センサ6の検知状態の変化から、紙幣PM′が衝突合流回避範囲を通過して、更に下流へ搬送されて行ったことを搬送制御部32cが判定できる。
【0041】
なお、第2搬送許可条件の判定に用いる衝突合流回避範囲は、紙幣搬送要求電文の送信元である紙幣送り込み装置4の搬送中紙幣センサ6よりも上流側の範囲に設定する必要はなく、紙幣搬送システム1に適するように任意に設定して構わない。例えば、紙幣搬送要求電文の送信元である紙幣送り込み装置4に対して搬送制御部32cが紙幣搬送許可電文を送信してから、実際に紙幣送り込み装置4から紙幣PMが搬送路21内へ送り込まれるまでの遅延時間を考慮し、より早いタイミングで第2搬送許可条件を判定することもできる。この遅延時間が経過するまでに、標準的な搬送速度で紙幣PM′が搬送路21内を進む距離が、紙幣送り込み装置4の設置間隔の数倍程度であれば、紙幣搬送要求電文の送信元である紙幣送り込み装置4よりも数台上流側に位置する紙幣送り込み装置4の搬送中紙幣センサ6よりも上流側を衝突合流回避範囲に設定できる。
【0042】
ただし、紙幣搬送要求電文の送信元である紙幣送り込み装置4よりも数台上流側に位置する紙幣送り込み装置4にて衝突合流回避範囲を設定した場合、搬送制御部32cが第2搬送許可条件の成立を判定した後に紙幣PM′の搬送速度が急減するなど、不測の事態が起きる危険性がある。よって、紙幣搬送要求電文の送信元である紙幣送り込み装置4の搬送中紙幣センサ6を基準とし、この搬送中紙幣センサ6よりも上流側の範囲を第2搬送許可条件の判定に用いる衝突合流回避範囲に設定することは、紙幣搬送システム1の安定性を担保する上で有用である。
【0043】
また、本構成例の紙幣送り込み装置4では、紙幣流路4bの下流端近傍に搬送中紙幣センサ6を設けるものとしたが、これに限定されるものではなく、紙幣挿入口4cの下流適所を紙幣PM′が通過したことを検出できればよい。例えば、紙幣送り込み装置4の下流側に接続される搬送管2の上流側適所に搬送中紙幣センサ6を設けるようにしても構わない。なお、この搬送中紙幣センサ6は、上流から搬送されてきた紙幣PM′を検出するだけではなく、紙幣送り込み装置4が搬送路21内へ送り込んだ紙幣PMを検出することにも使える。例えば、紙幣挿入口4cに紙幣PMの通過を検出できるセンサを設けておけば、送り込みローラ対44によって搬送路21内へ送り込まれた紙幣PMが紙幣挿入口4cを抜けたことが分かり、紙幣挿入口4cを閉塞して紙幣送り込み動作の完了とすることができる。しかしながら、紙幣挿入口4cにもセンサを設けると、それだけコスト増になってしまう。そこで、送り込みローラ対44によって搬送路21内へ送り込まれた紙幣PMが搬送中紙幣センサ6に検出された後に検出されなくなることで、紙幣PMの搬送路21内への送り込みが終了したと判定し、紙幣挿入口4cを閉塞して紙幣送り込み動作の完了とすれば、紙幣挿入口4cにセンサを設ける必要が無く、効率的である。
【0044】
上述したように、紙幣送り込み装置4の送り込み制御部4aが送信した紙幣搬送要求電文を受信することで、搬送制御部32cが搬送許可電文を送信するか否かを判定するのであるが、紙幣搬送要求を行うべきタイミングを紙幣送り込み装置4は、紙幣識別装置7から知らされることはない。一般的に用いられている紙幣識別装置7には、そのような機能が備わっていないからである。そこで、本構成例の紙幣送り込み装置4には、紙幣識別装置7が真贋判定動作を行っている状態を検知できる機能を設け、この検知機能により紙幣識別装置7からの搬送要求指示を判断して搬送制御部32cへ紙幣搬送要求を行うものとした。先ずは、
図4に基づいて、紙幣識別装置7の動作を説明する。
【0045】
全ての紙幣送り込み装置4に対応させて紙葉類識別装置としての紙幣識別装置7が設けられている。紙幣識別装置7は、投入口7aより取り込み路7bへ投入された紙幣PMの真贋を判定する真贋判定動作を行い、投入された紙幣PMを偽物と判定した場合は投入口7aより返却し、本物と判定した場合は取り込み側(取り込み路7bの下流端である排出口7c)から排出する。但し、投入口7aより投入された紙幣PMを本物と判定しても、排出動作抑制信号としてのBUSY信号が入力されている間は、紙幣PMを排出口7cへ排出せずに待機し、BUSY信号が入力されなくなったタイミングで、本物と判定した紙幣PMを排出口7cへ排出する。
【0046】
紙幣PMが投入口7aより投入されると、図示を省略した搬送ベルト等の紙幣移送機能によって取り込み路7bの奥側(下流側)へ紙幣PMを取り込んで行く(
図4(A)を参照)。取り込み路7bの上流側(投入口7a側)には、引き抜き防止部71を設けてあり、紙幣PMの返却動作を行うとき等に引き抜き防止機能を解除しない限り、引き抜き防止部71を越えて取り込まれた紙幣PMを、投入口7aから引き抜けないようにする。これは、紙幣PMに糸等を取り付けて紙幣識別装置7へ投入し、紙幣PMの真贋判定成功後に糸等を引いて、紙幣PMを引き抜く不正を防止するためである。
【0047】
また、取り込み路7bの下流側(排出口7c側)には紙幣識別部72を設けてある。この紙幣識別部72にて紙幣PMの紙面を磁気センサや光センサ等でスキャンすることにより、紙幣PMの真贋判定情報を取得し、真性判定条件を満たすか否かで真贋判定を行う。例えば、取得した真贋判定情報が全て真性判定条件を満たしていれば、本物の紙幣PMとして扱い、真贋判定情報の一点でも真性判定条件を満たしていない紙幣PMは、偽造・変造紙幣とみなして返却する。
【0048】
紙幣識別装置7において真贋判定情報を得るためには、投入された紙幣PMの紙面が紙幣識別部72を通過するよう、紙幣PMを取り込み路7bの奥深くまで搬送しなければならない。しかし、遊技媒体貸出装置等に搭載するために小型ユニット化された紙幣識別装置7は奥行きが短く、引き抜き防止部71を越えるまで取り込み路7bに取り込んだ紙幣PMの前部(紙幣送り込み装置4に近い部位)は、第1判定長さL1(後に詳述)だけ排出口7cからはみ出した状態となる(例えば、
図4(B)を参照)。更に、紙幣PMの紙面全体をスキャンするために、紙幣識別部72を越えるまで紙幣PMを移動させると、紙幣PMの前部が排出口6cからはみ出す長さは一層増し(例えば、
図4(C)を参照)、第2判定長さL2(後に詳述)だけ排出口7cからはみ出した状態となる。
【0049】
すなわち、投入口7aより投入された紙幣PMに対して紙幣識別装置7が真贋判定動作を行っている状態は、紙幣PMの紙面をスキャンするために、紙幣PMが紙幣識別部72を越えるまで奥へ搬送している状態として判定できる。なお、紙幣PMのスキャンを終えると、紙幣PMの後部(投入口7aに近い部位)を引き抜き防止部71の下流近辺まで引き戻した待機状態となり、BUSY信号が入力されなくなるまで待機する(例えば、
図4(D)を参照)。この待機状態において、紙幣PMの前部は、排出口7cから第1判定長さL1と同程度はみ出した状態となる。なお、取得した真贋判定情報からこの紙幣PMが本物ではないと判定した場合、待機状態に紙幣PMを止めることなく、引き抜き防止部71の引き抜き防止機能を解除して紙幣PMをそのまま投入口7aから排出する。
【0050】
紙幣識別装置7の排出口7cは、紙幣送り込み装置4の紙幣受け入れ通路43の上流端(紙幣受け入れ口43a)と連結されており、排出口7cを抜けた紙幣PMは紙幣送り込み装置4の紙幣受け入れ通路43内に受け入れられる。すなわち、紙幣識別装置7によって真贋判定動作が行われているとき、紙幣受け入れ口43aより紙幣PMの一部が紙幣受け入れ通路43内に入ってくるので、その紙幣PMの入り具合によって紙幣識別装置7による真贋判定動作を判定できる。具体的には、紙幣識別装置7が真贋判定動作のためにスキャンを開始したとき、先ず、スキャン中の紙幣PMの前部は、待機状態と同程度に紙幣受け入れ通路43へ浅く入った第1判定長さL1に至り、スキャンの終了近くなると、紙幣受け入れ通路43へ深く入った第2判定長さL2に達する。
【0051】
紙幣受け入れ通路43の浅い位置には、紙幣識別装置7が真贋判定動作を実行する際に、紙幣PMが第1判定長さL1まで紙幣受け入れ通路43に浅く入った状態を検出する第1紙葉類センサとしての第1投入紙幣センサ45aを設けておく。同様に、紙幣受け入れ通路43の深い位置には、紙幣識別装置7が真贋判定動作を実行する際に、紙幣PMが第2判定長さL2まで紙幣受け入れ通路43に深く入った状態を検出する第2紙葉類センサとしての第2投入紙幣センサ45bを設けておく。紙幣PMに対するスキャンの途中(例えば、引き抜き防止部71を紙幣PMが通過して)からスキャン完了後の待機状態になるまで、第1投入紙幣センサ45aは紙幣PMを検出している。紙幣PMに対するスキャンの終了間際からスキャン完了後に待機状態へ戻り始めたしばらくの間、第2投入紙幣センサ45bは紙幣PMを検出している。よって、第1投入紙幣センサ45aがOFFからONに変わった後に、第2投入紙幣センサ45bもOFFからONに変わると、紙幣PMに対するスキャン動作(紙幣識別装置7が投入された紙幣PMに対する真贋判定動作)を行っている蓋然性が高いと判断できる。
【0052】
このように、スキャン中の紙幣PMが紙幣受け入れ通路43へ入る第1,第2判定長さL1,L2に対応させて設けた第1,第2投入紙幣センサ45a,45bは、紙幣PMが紙幣受け入れ通路43へ入ることに基づいて、紙幣識別装置7が真贋判定動作を行っている状態を検出する真贋判定動作検出手段45として機能する。なお、真贋判定動作検出手段45は、第1,第2投入紙幣センサ45a,45bから構成する場合に限らず、より多くの判定長さに対応させた3つ以上の投入紙幣センサで構成しても良い。より多くの投入紙幣センサで紙幣PMの通過点を検出できれば、紙幣受け入れ通路43内における紙幣PMの位置をより細かく検出できる。或いは、スキャン中の紙幣PMが紙幣受け入れ通路43へ入る第1判定長さL1と第2判定長さL2にそれぞれ対応する複数の投入紙幣センサを設けるようにしてもよい。紙幣PMと一緒に混入したゴミ等に起因して何れかの投入紙幣センサに誤検知が生じた場合でも、他の投入紙幣センサの検出情報から異常検知の誤り訂正を行えるので、紙幣識別装置7が行う真贋判定動作の検知精度を上げることができる。
【0053】
なお、紙幣識別装置7がスキャンのために紙幣PMを最も奥まで移動したとき、紙幣PMの前部が紙幣送り込み装置4の送り込みローラ対44やバルブ4dに当たるなどの不具合が生じないよう、紙幣受け入れ通路43は十分な長さに設定しておくことが望ましい(
図5(A)を参照)。スキャン中の紙幣PMが送り込みローラ対44やバルブ4dと干渉すると、紙幣識別装置7での判定精度が低下してしまうからである。紙幣受け入れ通路43に十分な長さを確保できない場合には、
図5(B)に示す紙幣取り込み装置4′のように、分岐通路43′を設け、切替弁46によって紙幣PMを誘導する通路を切り替えるようにしても良い。
【0054】
紙幣受け入れ通路43の適所に配置した第1,第2投入紙幣センサ45a,45bから成る真贋判定動作検出手段45は、紙幣識別装置7に投入された紙幣PMの検出情報を送り込み制御部4aに供給する。真贋判定動作検出手段45からの検出情報を受けた送り込み制御部4aは、紙幣識別装置7により真贋判定動作が実行されているか否かを判定し、真贋判定動作が実行されていると判定した場合には、搬送制御部32cへ紙幣搬送要求電文を送信するのである。
【0055】
送り込み制御部4aによる判定手法を
図6(A)に基づき説明する。紙幣識別装置7に紙幣PMが投入されていないとき、第1,第2投入紙幣センサ45a,45bは共にOFFである。紙幣識別装置7に紙幣PMが投入されると、その紙幣PMの真贋判定情報を取得するためにスキャンを開始するので、紙幣PMは取り込み路7bを経て紙幣送り込み装置4の紙幣受け入れ通路43に受け入れられる。そして、紙幣受け入れ通路43を進む紙幣PMの前部が第1投入紙幣センサ45aの検出位置に達すると、第1投入紙幣センサ45aがOFFからONに変化する。更に、紙幣識別装置7でのスキャンが進み、紙幣PMの前部が第2投入紙幣センサ45bの検出位置に達すると、第2投入紙幣センサ45bがOFFからONに変化する。
【0056】
このように、紙幣識別装置7が真贋判定動作を行うと、第1,第2投入紙幣センサ45a,45bの検出状態の組み合わせは、紙幣未投入時の「OFF,OFF」、投入紙幣スキャン中の「ON,OFF」、投入紙幣スキャン終了間際の「ON,ON」のように変化する。すなわち、送り込み制御部4aは、第1投入紙幣センサ45aによる紙幣検出状態と第2投入紙幣センサ45bによる紙幣検出状態との組み合わせから、紙幣識別装置7による真贋判定動作の実行を判定できるのである。そして、紙幣送り込み装置4の送り込み制御部4aは、紙幣識別装置7が真贋判定動作を行うことを搬送要求指示と判断し、搬送制御部32cへ紙幣搬送要求電文を送信するのである。
【0057】
なお、紙幣送り込み装置4の送り込み制御部4aは、紙幣識別装置7へBUSY信号を常時出力しておくことで、真贋判定動作を終えた紙幣識別装置7が本物と判定した紙幣PMを排出して、紙幣送り込み装置4に受け渡すことがないようにしている。このため、スキャン終了後に紙幣PMは待機状態の位置まで引き戻されるので、第2投入紙幣センサ45bがONからOFFに変化し、第1,第2投入紙幣センサ45a,45bの検出状態の組み合わせは、待機状態の「ON,OFF」に変化する。
【0058】
その後、搬送制御部32cからの紙幣搬送許可電文を受けた送り込み制御部4aは、BUSY信号を停止(BUSY解除)し、紙幣識別装置7が本物と判定した紙幣PMを排出させ、紙幣受け入れ通路43に受け入れ、前述した紙幣送り込み動作を行う。BUSY解除すると、紙幣識別装置7の取り込み路7bを紙幣PMが取り込み側へ移送されるので、再び第2投入紙幣センサ45bがOFFからONに変化する。紙幣PMの後部が紙幣識別装置7の排出口7cを越えて完全に紙幣送り込み装置4内へ入ると、図示を省略した紙幣搬送機構や送り込みローラ対44によって紙幣挿入口4cから搬送路21へ送り込まれて行く。このため、紙幣PMの後部が第1投入紙幣センサ45aの検出位置を越えると、第1投入紙幣センサ45aがONからOFFに変化し、更に紙幣PMの後部が第2投入紙幣センサ45bの検出位置を越えると、第2投入紙幣センサ45bもONからOFFに変化する。
【0059】
投入された紙幣PMに対する真贋判定結果で本物紙幣ではないと判定した紙幣識別装置7が、紙幣返却を行う場合における第1,第2投入紙幣センサ45a,45bの検出状態変化を
図6(B)に示す。紙幣識別装置7において真贋判定動作が行われることで、第1,第2投入紙幣センサ45a,45bが共にONとなった後に、第2投入紙幣センサ45bがOFFに変化するまでは同じであるが、紙幣返却の場合は、待機状態とならず、そのまま紙幣PMは投入口aから返却される。そのため、第1,第2投入紙幣センサ45a,45bの検出状態の組み合わせは「OFF,OFF」に変化する。送り込み制御部4aは、これを返却指示と判断し、搬送制御部32cへ搬送中止電文を送信する。これにより、先に送信した搬送要求電文に基づく搬送許可が出されていても、搬送制御部32cにてキャンセルされる。
【0060】
また、投入された紙幣PMに対する真贋判定結果で本物紙幣と判定されて、紙幣識別装置7が紙幣返却動作を行わなかった場合でも、搬送制御部32cに送信した搬送要求電文をキャンセルしなければならないケースがある。BUSY解除後に紙幣識別装置7内で紙幣詰まり等が発生し、紙幣送り込み装置4が紙幣識別装置7から紙幣PMを受け入れられないような場合である。紙幣送り込み動作を完了できる見込みのない状態で紙幣送り込み動作の完了を待ち続けるデッドロックが生じると、紙幣搬送システム1全体が機能不全に陥る。よって、紙幣送り込み装置4の送り込み制御部4aが、紙幣識別装置7に対するBUSY解除を行うと共に紙幣送り込み動作を開始した後、所定の紙葉類受け入れ猶予期間としての監視期間内に、紙幣識別装置7より紙幣PMを受け取れなかった場合、送り込み制御部4aはデッドロック回避処理を行う。
【0061】
送り込み制御部4aが行うデッドロック回避処理の一例は、第1,第2投入紙幣センサ45a,45bが共にONになってから監視期間の計時を開始し、その後、第1,第2投入紙幣センサ45a,45bの検出状態が変化しないまま監視時間が経過すると、紙幣送り込み動作を中止すると共に紙幣搬送中止電文を送信することである。紙幣送り込み動作を中止することで、この紙幣送り込み装置4における紙幣挿入口4cは閉塞され、紙幣搬送中止電文を受け取った搬送制御部32cが当該紙幣送り込み装置4に対する紙幣搬送許可を取り消すことで、他の紙幣送り込み装置4から受けた紙幣搬送要求を許可できるようになる。
【0062】
上述したように、紙幣PMの安定搬送のために行う排他制御は、排他制御手段32dを含む搬送制御部32cが統括的に行うものであるが、その実現には、各紙幣送り込み装置4その連携が必要である。そこで、排他制御実現のために、紙幣送り込み装置4と搬送制御部32cがそれぞれ行う処理動作の流れを説明する。
【0063】
図7に示すのは、紙幣送り込み装置4が行う紙幣送り込み処理のフローチャートである。紙幣送り込み処理では、起動時やリセット時などに、紙幣識別装置7へのBUSY信号出力や搬送制御部32cからのシステムREADY信号受信などの初期化処理を行う(ステップS101)。初期化処理が済むと、紙幣識別装置7からの搬送要求指示があるか否かを判定し(ステップS102)、未だ搬送要求指示が無い場合には、搬送要求指示があるまで判断を繰り返す。
【0064】
紙幣識別装置7において真贋判定動作が行われると、紙幣送り込み装置4はステップS102にて搬送要求指示と判断し、搬送制御部32cへ紙幣搬送要求電文を送信する(ステップS103)。その後、投入された紙幣PMを偽物と判定した紙幣識別装置7が紙幣返却を行ったか否かを判定し(ステップS104)、紙幣返却を行っていた場合には、紙幣搬送中止電文を搬送制御部32cへ送信し(ステップS105)、先に送信した紙幣搬送要求電文による搬送要求をキャンセルする。その後、ステップS102に戻って次の搬送要求指示を待つ。
【0065】
一方、ステップS104で紙幣返却が行われなかったと判断した場合には、搬送制御部32cからの紙幣搬送許可電文を受信したか否かを判定し(ステップS106)、未だ紙幣搬送許可電文を受信していなかった場合には、紙幣搬送許可電文を受信するまで繰り返す。ステップS106で搬送制御部32cからの紙幣搬送許可電文を受信したと判断した場合には、紙幣識別装置7に出力していたBUSY信号を停止(BUSY解除)すると共に紙幣送り出し動作を開始する(ステップS107)。
【0066】
また、ステップS107の紙幣送り出し動作の開始に伴って、送り出し猶予期間の計時を開始する。送り出し猶予期間は、紙幣送り込み装置4が紙幣送り出し動作を開始してから搬送路21内へ送り出した紙幣PMが搬送中紙幣センサ6の検出エリアを通過するのに十分な時間である。送り出し猶予期間が経過しても搬送中紙幣センサ6の検出エリアを紙幣PMが通過しない場合、紙幣送り込み装置4内で紙幣PMがジャムるなどして紙幣挿入口4cから搬送路21内へ紙幣PMを送り出せない状態になっている可能性がある。
【0067】
そこで、紙幣送り出し動作を開始した後には、搬送終了を検出した(搬送中紙幣センサ6に紙幣PMが検出されてONになった後、紙幣PMが通過してOFFになった状態)か否かを判定する(ステップS108)。未だ搬送終了が検出されていなければ、送り出し猶予期間のタイムアウトを検出したか否かを判定し(ステップS109)、未だ送り出し猶予期間が経過していなければ、ステップS108に戻って搬送終了検出の有無を判定する。ステップS109にて送り出し猶予期間のタイムアウトが検出された場合には、紙幣識別装置7へBUSY信号を出力すると共に、紙幣送り出し動作を中止する(ステップS110)。これにより、紙幣識別装置7から真贋判定済みの紙幣PMが紙幣送り込み装置4へ受け渡されることを規制すると共に、紙幣挿入口4cがバルブ4dで閉塞される。次いで、紙幣搬送中止電文を搬送制御部32cへ送信し(ステップS105)、先に送信した紙幣搬送要求電文による搬送要求をキャンセルする。
【0068】
一方、ステップS108で搬送終了が検出されると、紙幣識別装置7へBUSY信号を出力すると共に、紙幣送り出し動作を中止する(ステップS111)。このとき、送り出し猶予期間の計時もクリアしておく。続いて、搬送制御部32cへ紙幣搬送終了電文を送信し(ステップS112)、紙幣送り込み装置4による紙幣送り込み動作が完了したことを搬送制御部32cに報せる。その後、ステップS102に戻って次の搬送要求指示を待つ。
【0069】
図8に示すのは、搬送制御部32cが行う排他制御処理のフローチャートである。排他制御処理では、起動時やリセット時などに、各紙幣送り込み装置4へシステムREADY信号を送信し、各紙幣送り込み装置4の初期化完了を管理する初期化処理を行う(ステップS201)。初期化処理が済むと、各紙幣送り込み装置4からの電文を受信する電文受信処理を行う(ステップS202)。電文を受信すると、電文の送信元や電文内容に応じて、以下のような処理を行う。
【0070】
ステップS202で電文を受信すると、その電文内容が紙幣搬送要求電文であるか否かを判定し(ステップS203)、紙幣搬送要求電文を受信していた場合には、紙幣搬送許可電文を送信して搬送処理中となっている紙幣送り込み装置4が既に存在するか否かを判定する(ステップS204)。すなわち、このステップS204で第1搬送許可条件の成否を判定するのである。
【0071】
上記ステップS204で、搬送処理中の紙幣送り込み装置4が無いと判断した場合、紙幣搬送要求電文の送信元である紙幣送り込み装置4の上流側に紙幣PMがあるか否かを判定する(ステップS205)。すなわち、このステップS205で第2搬送許可条件の成否を判定するのである。搬送制御部23cは、各紙幣送り込み装置4の搬送中紙幣センサ6からの検出情報を取得しているので、搬送路21内に搬送中の紙幣PMが存在するか否か、搬送中の紙幣PMがある場合には、その位置(どの紙幣送り込み装置4を通り過ぎたか)まで分かる。よって、ステップS205で紙幣搬送要求電文の送信元である紙幣送り込み装置4の上流側に紙幣PMがあると判断された場合には、当該紙幣送り込み装置4の搬送中紙幣センサ6の検出エリアを過ぎるまでループする。
【0072】
紙幣搬送要求電文の送信元である紙幣送り込み装置4における搬送中紙幣センサ6の検出エリアを紙幣PMが通過することで、第2搬送許可条件が成立すると、搬送制御部23cは、当該紙幣送り込み装置4に対して紙幣搬送許可電文を送信することができる。すなわち、ステップS205にて、紙幣搬送要求電文の送信元である紙幣送り込み装置4の上流側に紙幣PMが無いと判断されると、当該紙幣送り込み装置4に対して紙幣搬送許可電文を送信する(ステップS206)。このように、第1搬送許可条件と第2搬送許可条件が同時に成立したときのみ、紙幣搬送許可を行うことにより、2台以上の紙幣送り込み装置4の紙幣挿入口4cが同時に開放されないようにする排他制御に加えて、紙幣PMの衝突合流回避も可能となる。
【0073】
仮に、紙幣PMが紙幣回収装置32に回収されるまで待って、搬送許可待ちの紙幣送り込み装置4に紙幣搬送許可電文を送信するような衝突合流回避制御を行う場合、搬送路21が長ければ長いほどロスタイムが長くなり、紙幣PMの搬送効率が極端に悪くなる可能性がある。これに対して、本構成例の搬送制御部32cは、搬送路21内を既に搬送中である紙幣PMが、搬送許可待ちの紙幣送り込み装置4の下流へ到達した時点で紙幣搬送許可電文を送信し、該当する紙幣送り込み装置4に紙幣送り込み動作を開始させるので、紙幣PMの搬送効率を著しく低下させることはない。
【0074】
一方、ステップS204で、既に搬送処理中の紙幣送り込み装置4があると判定された場合、第1搬送許可条件が不成立となるので、当該紙幣送り込み装置4に対して、すぐに搬送許可を出すことができない。搬送許可待ちの紙幣送り込み装置4を保留しておくエスクロ制御として、例えば、待機リストの最後列に電文送信元の紙幣送り込み装置4を追加する(ステップS207)。その後、ステップS202に戻り、何れかの紙幣送り込み装置4から新たに送信された電文を待つ。
【0075】
上記ステップS203で受信電文が紙幣搬送要求電文ではないと判定された場合には、その受信電文が紙幣搬送終了電文であるか否かを判定する(ステップS208)。受信電文が紙幣搬送終了電文であった場合、搬送終了処理を行い(ステップS209)、紙幣搬送許可電文の送信後に搬送処理中として扱っていた紙幣送り込み装置4を監視対象から消去する。これにより、搬送制御部23cは、別の紙幣送り込み装置4に搬送許可を出して搬送処理中の監視を行えるようになる。
【0076】
次いで、搬送制御部23cは、エスクロ制御で搬送許可待ちとした紙幣送り込み装置4が待機リストにあるか否かを判定し(ステップS210)、搬送許可保留中の紙幣送り込み装置4が待機リストになければ、そのままステップS202に戻り、何れかの紙幣送り込み装置4から新たに送信された電文を待つ。一方、ステップS210で搬送許可保留中の紙幣送り込み装置4が待機リストにあると判定された場合、待機リストの先頭行に記載された紙幣送り込み装置4を最優先装置として取り出し、待機リストにおける後続の優先順位を繰り上げる(ステップS211)。なお、待機リストにおける優先装置の選定は、必ずしも保留した順番に限定されず、紙幣送り込み装置4に対応する遊技媒体貸出装置の稼働状況などの重み付け順位に従って、優先装置となる紙幣送り込み装置4を選定しても良い。
【0077】
上記のようにして、待機リストから新たに選定した紙幣送り込み装置4に対して、搬送制御部23cは、搬送許可処理を行う(ステップS30)。搬送許可処理の一例を、
図9に示す。この搬送許可処理では、第2搬送許可条件の成否に基づいて、搬送許可を与えるか否かの処理を行う。排他制御処理のステップS209にて、他の紙幣送り込み装置4の搬送処理が終了しており、第1搬送許可条件が成立しているからである。
【0078】
搬送許可処理では、先ず、新たに選定した紙幣送り込み装置4が、直前に搬送処理が終了した紙幣送り込み装置4よりも上流に位置するか否かを判定する(ステップS31)。新たに選定した紙幣送り込み装置4が、直前に搬送処理が終了した紙幣送り込み装置4よりも上流に位置していれば、紙幣PMの衝突合流が起きることはないので、第2搬送許可条件が成立していると判断し、新たに選定した紙幣送り込み装置4へ紙幣搬送許可電文を送信し(ステップS32)、搬送許可処理を終える。
【0079】
一方、新たに選定した紙幣送り込み装置4が、直前に搬送処理が終了した紙幣送り込み装置4よりも下流に位置していた場合、ステップS31で否と判定される。このため、直前に搬送処理が終了した紙幣送り込み装置4から搬送路21内へ送り込まれた紙幣PMが、新たに選定した紙幣送り込み装置4の搬送中紙幣センサ6の検出エリアを通過したか否かを判定し(ステップS33)、衝突合流の発生を回避できるまで、ステップS33の判断を繰り返す。直前に搬送処理が終了した紙幣送り込み装置4から搬送路21内へ送り込まれた紙幣PMが、新たに選定した紙幣送り込み装置4の搬送中紙幣センサ6の検出エリアを通過すると、第2搬送許可条件が成立するので、ステップS32にて、新たに選定した紙幣送り込み装置4へ紙幣搬送許可電文を送信する。
【0080】
上記のようにして、搬送許可処理(ステップS30)を行い、新たに選定した紙幣送り込み装置4を搬送処理中として監視するようになった後には、ステップS202に戻り、何れかの紙幣送り込み装置4から新たに送信されてくる電文を待つ。
【0081】
上記ステップS208にて、受信電文が紙幣搬送終了電文では無いと判定された場合、受信電文は紙幣搬送中止電文であると特定できるので、その紙幣搬送中止電文の送信元が搬送処理中として監視している紙幣送り込み装置4であるか否かを判定する(ステップS212)。紙幣搬送中止電文の送信元が搬送処理中の紙幣送り込み装置4であった場合、搬送中止処理を行い(ステップS213)、搬送処理中として扱っていた紙幣送り込み装置4を監視対象から消去する。すなわち、紙幣搬送中止電文を送信した紙幣送り込み装置4内では、紙幣PMがジャムるなどして紙幣挿入口4cから搬送路21内へ紙幣PMを送り出せない状態になっている可能性があるので、当該紙幣送り込み装置4に出した搬送許可をキャンセルするのである。これにより、搬送制御部23cは、別の紙幣送り込み装置4に搬送許可を出して搬送処理中の監視を行えるようになるので、上述したステップS210に進む。
【0082】
一方、ステップS212で、紙幣搬送中止電文の送信元が搬送処理中として監視している紙幣送り込み装置4ではなかった場合、エスクロ制御で待機リストに記載されている紙幣送り込み装置4からの紙幣搬送中止電文と判断できる。これは、当該紙幣送り込み装置4に対応して設けられた紙幣識別装置7が、投入された紙幣PMを偽造・変造紙幣として返却した可能性が高いので、電文送信元の紙幣送り込み装置4を待機リストから検索し、該当行を削除することでエスクロ対象から除外する。これにより、搬送中止電文の送信元である紙幣送り込み装置4から送信されていた搬送要求電文に基づく搬送要求はキャンセルされる。
【0083】
このように、本実施形態の紙幣搬送システム1においては、搬送制御部32cと全ての紙幣送り込み装置4とが協働することで、同時に複数の紙幣送り込み装置4を動作させない排他制御と、紙幣PMの衝突合流回避とを同時に実現できる。しかも、紙幣PMの衝突合流を回避するために、紙幣PMの搬送能力を著しく低下させることもない。
【0084】
以上、本発明に係る紙葉類搬送システムを実施形態に基づき説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りにおいて実現可能な全ての紙葉類搬送システムを権利範囲として包摂するものである。
【符号の説明】
【0085】
1 紙幣搬送システム
2 搬送管
21 搬送路
31 搬送流発生装置
32 紙幣回収装置
32d 搬送制御部
4 紙幣送り込み装置
4a 送り込み制御部
【手続補正書】
【提出日】2021-06-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を上流から下流へ導く搬送路を形成する搬送管と、前記搬送管内に搬送流を発生させる搬送流発生装置と、前記搬送管内に前記紙葉類を送り込む複数の紙葉類送り込み装置と、前記搬送管の最下流に設けられて前記紙葉類を回収する紙葉類回収装置と、を備える紙葉類搬送システムにおいて、
前記紙葉類送り込み装置による紙葉類送り込み動作の可否を判断して、複数の前記紙葉類送り込み装置による前記紙葉類送り込み動作が同時に実行されることを防ぐ排他制御が可能な搬送制御部を備え、
前記紙葉類送り込み装置には、
前記搬送路へ前記紙葉類を送り込む紙葉類挿入口と、
前記紙葉類挿入口の下流適所に設けられ、前記搬送路内にて搬送中の前記紙葉類を検出可能な搬送中紙葉類検出手段と、
前記搬送制御部へ紙葉類搬送要求電文を送信すると共に前記搬送制御部からの紙葉類搬送許可電文を受信し、該紙葉類搬送許可電文の受信に基づいて前記紙葉類送り込み動作を実行する送り込み制御手段と、
を設け、
前記搬送制御部は、前記紙葉類搬送要求電文を受けた前記紙葉類送り込み装置へ前記紙葉類搬送許可電文を送信しようとするとき、前記紙葉類送り込み動作を実行中の前記紙葉類送り込み装置がないという第1搬送許可条件、および前記紙葉類搬送要求電文の送信元である前記紙葉類送り込み装置に対応させて予め設定した衝突合流回避範囲内に搬送中の前記紙葉類がないという第2搬送許可条件の成否を、全ての前記紙葉類送り込み装置から取得した前記紙葉類搬送要求電文および前記搬送中紙葉類検出手段の検出情報に基づいて判定し、前記第1搬送許可条件および前記第2搬送許可条件の両方が成立したときのみ前記紙葉類搬送要求電文の送信元である前記紙葉類送り込み装置へ前記紙葉類搬送許可電文を送信することで、前記排他制御を行うようにしたことを特徴とする紙葉類搬送システム。
【請求項2】
前記紙葉類送り込み装置は、
前記送り込み制御手段によって前記紙葉類挿入口を開閉可能なバルブと、
を備え、
前記送り込み制御手段が実行する前記紙葉類送り込み動作は、前記バルブを制御して前記紙葉類挿入口を開いて前記紙葉類を前記搬送路内へ送り込んだ後に前記バルブを制御して前記紙葉類挿入口を閉じる一連の動作とした、
ことを特徴とする請求項1に記載の紙葉類搬送システム。
【請求項3】
前記紙葉類送り込み装置の前記送り込み制御手段は、前記紙葉類送り込み動作中に前記紙葉類挿入口より前記搬送路内へ送り込んだ前記紙葉類が、前記搬送中紙葉類検出手段により検出された後に検出されなくなることで、前記紙葉類の前記搬送路内への送り込みが終了したと判定するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の紙葉類搬送システム。
【請求項4】
前記搬送制御部は、前記紙葉類搬送要求電文の送信元である前記紙葉類送り込み装置よりも下流側にある前記紙葉類送り込み装置によって、直前に前記紙葉類送り込み動作が実行されていた場合には、衝突合流回避範囲内に搬送中の前記紙葉類が無いとみなして前記第2搬送許可条件が成立していると判定し、前記紙葉類搬送要求電文の送信元である前記紙葉類送り込み装置よりも上流側にある前記紙葉類送り込み装置によって、直前に前記紙葉類送り込み動作が実行されていた場合には、前記紙葉類搬送要求電文の送信元である前記紙葉類送り込み装置に対応する前記搬送中紙葉類検出手段により前記紙葉類の通過を検出することで、前記第2搬送許可条件が成立したと判定するようにしたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の紙葉類搬送システム。
【請求項5】
投入口より投入された前記紙葉類の真贋を判定する真贋判定動作を行い、投入された前記紙葉類を偽物と判定した場合は前記投入口より返却し、前記投入口より投入された前記紙葉類を本物と判定しても排出動作抑制信号が入力されている間は前記紙葉類を取込側へ排出せず、前記排出動作抑制信号が入力されなくなった場合は本物と判定した前記紙葉類を前記取込側へ排出する紙葉類識別装置を、全ての前記紙葉類送り込み装置に対応させて設け、
前記紙葉類送り込み装置の前記送り込み制御手段は、前記紙葉類識別装置へ前記排出動作抑制信号を常時出力しておき、前記紙葉類識別装置が前記真贋判定動作を行うことで前記搬送制御部へ前記紙葉類搬送要求電文を送信し、前記搬送制御部から前記紙葉類搬送許可電文を受けることで前記排出動作抑制信号を停止し、前記紙葉類識別装置から本物と判定された前記紙葉類を前記取込側へ排出させて受け入れ、前記紙葉類送り込み動作を実行するようにしたことを特徴とする請求項1~請求項4の何れか1項に記載の紙葉類搬送システム。
【請求項6】
前記紙葉類送り込み装置の前記送り込み制御手段は、前記紙葉類送り込み動作を開始してから所定の紙葉類受け入れ猶予期間内に、前記紙葉類識別装置より前記紙葉類を受け取れなかった場合は、前記紙葉類送り込み動作を中止して前記搬送制御部へ紙葉類搬送中止電文を送信し、受信済みである前記紙葉類搬送許可電文をキャンセルするようにしたことを特徴とする請求項5に記載の紙葉類搬送システム。
【請求項7】
前記紙葉類送り込み装置には、
前記紙葉類識別装置の前記取込側と連結される紙葉類受け入れ口と、
前記投入口より投入された前記紙葉類に対して前記紙葉類識別装置が前記真贋判定動作を行うときに、前記紙葉類受け入れ口より前記紙葉類の一部が入ってくる紙葉類受け入れ通路と、
前記紙葉類が前記紙葉類受け入れ通路へ入ることに基づいて、前記紙葉類識別装置が前記真贋判定動作を行っている状態を検出する真贋判定動作検出手段と、
を設け、
前記送り込み制御手段は、前記真贋判定動作検出手段からの検出情報に基づいて、前記紙葉類識別装置により前記真贋判定動作が実行されているか否かを判定し、前記真贋判定動作が実行されていると判定した場合には前記搬送制御部へ前記紙葉類搬送要求電文を送信するようにしたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の紙葉類搬送システム。
【請求項8】
前記真贋判定動作検出手段は、前記紙葉類識別装置が前記真贋判定動作を実行する際に前記紙葉類受け入れ通路へ浅く入った前記紙葉類を検出する第1紙葉類センサと、前記紙葉類識別装置が前記真贋判定動作を実行する際に前記紙葉類受け入れ通路へ深く入った前記紙葉類を検出する第2紙葉類センサと、を含み、
前記送り込み制御手段は、前記第1紙葉類センサによる前記紙葉類の検出状態と前記第2紙葉類センサによる前記紙葉類の検出状態との組み合わせから、前記紙葉類識別装置による前記真贋判定動作の実行を判定するようにしたことを特徴とする請求項7に記載の紙葉類搬送システム。