(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099377
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】施策提案装置、施策提案システム、及び施策提案基板
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220628BHJP
【FI】
G06Q10/06 324
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213098
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】511083651
【氏名又は名称】三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝史
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA07
(57)【要約】
【課題】工程で提案する施策の精度向上を図ることができる施策提案装置、及び施策提案基板を提供する。
【解決手段】製品開発プロセスにおける複数の工程で提案する施策の施策提案装置1であって、自営通信網4に接続する通信部と、自営通信網4を介して事象に関する事象データと、事象データが発生した工程を示す工程情報とを含む評価対象情報を取得する取得部と、予め取得された過去の評価対象情報に含まれる複数のデータと、過去の評価対象情報に紐づく参照情報に含まれる複数のデータと、の間における関係性に基づいて、関係性に紐づく類似度を有する類似性が記憶された参照データベースと、取得部により取得された評価対象情報に基づいて、参照データベースを参照し、類似性に基づき算出された解に紐づく最適な前記参照情報を選択し、最適な前記参照情報に基づく関連情報を生成する関連情報検索部と、 関連情報検索部により生成された関連情報を、工程情報に基づいて自工程、及び関連する工程に出力する出力部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品開発プロセスにおける複数の工程で施策を提案する施策提案装置であって、
前記製品開発プロセスの対象エリアに設置される自営通信網に接続する通信部と、
前記通信部により接続された前記自営通信網を介して、前記工程で発生した事象に関する事象データと、前記事象データが発生した前記工程を示す工程情報とを含む評価対象情報を取得する取得部と、
予め取得された過去の評価対象情報に含まれる複数のデータと、前記過去の評価対象情報に紐づく参照情報に含まれる複数のデータと、の間における関係性に基づいて、前記関係性に紐づく類似度を有する類似性が記憶された参照データベースと、
前記取得部により取得された前記評価対象情報に基づいて、前記参照データベースを参照し、前記類似性に基づき算出された解に紐づく最適な前記参照情報を選択し、最適な前記参照情報に基づく関連情報を生成する関連情報検索部と、
前記関連情報検索部により生成された前記関連情報を、前記工程情報に基づいて自工程、及び関連する工程に出力する出力部と
を備えることを特徴とする施策提案装置。
【請求項2】
前記参照データベースに記憶される前記参照情報は、前記製品開発プロセスで発生した前記事象の施策情報を含むこと
を特徴とする請求項1記載の施策提案装置。
【請求項3】
前記関連情報検索部により生成される前記関連情報は、前記工程における前記施策情報を含むこと
を特徴とする請求項1又は2記載の施策提案装置。
【請求項4】
前記評価対象情報は、前記工程で発生した事象に関する製品情報、部品情報、設計情報、不具合情報、優先情報、及び適用情報の少なくとも何れかに関する情報を有する製品開発情報を含むこと
を特徴とする請求項1~3の何れか1項記載の施策提案装置。
【請求項5】
前記類似性は、前記過去の評価対象情報の関係性と、前記参照情報との類似性を学習データとして用いた機械学習により構築されること
を特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の施策提案装置。
【請求項6】
前記過去の評価対象情報と、前記参照情報との間の関係を新たに取得した場合には、前記関係を前記類似性に反映させる更新部を更に備えること
を特徴とする請求項1~5の何れか1項記載の施策提案装置。
【請求項7】
製品開発プロセスにおける複数の工程で施策を提案する施策提案システムであって、
前記製品開発プロセスの対象エリアに設置される自営通信網に接続する通信部と、
前記通信部により接続された前記自営通信網を介して、前記工程で発生した事象に関する事象データと、前記事象データが発生した前記工程を示す工程情報とを含む評価対象情報を取得する取得手段と、
予め取得された過去の評価対象情報に含まれる複数のデータと、前記過去の評価対象情報に紐づく参照情報に含まれる複数のデータと、の間における関係性に基づいて、前記関係性に紐づく類似度を有する類似性が記憶されたデータベースと、
前記取得手段により取得された前記評価対象情報に基づいて、前記参照データベースを参照し、前記類似性に基づき算出された解に紐づく最適な前記参照情報を選択し、最適な前記参照情報に基づく関連情報を生成する関連情報検索手段と、
前記関連情報検索手段により生成された前記関連情報を、前記工程情報に基づいて自工程、及び関連する工程に出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする施策提案システム。
【請求項8】
製品開発プロセスにおける複数の工程で施策を提案する施策提案基板であって、
前記製品開発プロセスの対象エリアに設置される自営通信網に接続する通信手段と、
前記通信手段により接続された前記自営通信網を介して、前記工程で発生した事象に関する事象データと、前記事象データが発生した前記工程を示す工程情報とを含む評価対象情報を取得する取得手段と、
予め取得された過去の評価対象情報に含まれる複数のデータと、前記過去の評価対象情報に紐づく参照情報に含まれる複数のデータと、の間における関係性に基づいて、前記関係性に紐づく類似度を有する類似性が記憶されたデータベースと、
前記取得手段により取得された前記評価対象情報に基づいて、前記参照データベースを参照し、前記類似性に基づき算出された解に紐づく最適な前記参照情報を選択し、最適な前記参照情報に基づく関連情報を生成する関連情報探索手段と、
前記関連情報探索手段により生成された前記関連情報を、前記工程情報に基づいて自工程、及び関連する工程に出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする施策提案基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品開発プロセスにおける複数の工程で施策を提案する施策提案装置、施策提案システム、及び施策提案基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品の品質異常の要因となる異常工程を精度よく推定する方法として、例えば特許文献1の異常工程推定方法が提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された異常工程推定方法は、複数のセンサを有し、複数の工程からなる製造ラインにおけるセンサのセンサデータを収集する収集工程と、製造ラインが正常状態にある間の正常品質分のセンサデータに基づき、工程間の経過時間に基づき機械学習を実行することで、工程それぞれに対応する上記センサ間の相関モデルを複数生成する生成工程と、任意の評価時のセンサデータおよびかかるセンサデータに対し工程間の経過時間を加味した工程ごとの評価分を、それぞれ対応する相関モデルへ入力することによって得られる相関モデルの出力値に基づいて工程ごとにおける正常状態からの乖離度を評価する評価工程と、乖離度に基づいて工程のうちから製品の品質異常の要因となる異常工程を判定する判定工程とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、製品開発プロセスにおける複数の工程で発生する不具合などの事象を評価する場合、現状では、通信事業者によって割り当てられた通信帯域を用いて、特定の工程で発生した事象を評価している。このため、関連する別の工程が複数ある場合は、発生した不具合の事象の根本原因の発見や対応に時間がかかり、適切、適確な対策を迅速に行えない懸念が挙げられる。この点、特許文献1の開示技術では、製造ラインに設置されたセンサを、通信ネットワークを介して接続し、製造工程において相関モデルを用いて製品の品質異常の要因となる異常工程を判定するため、関連する別の工程が複数ある場合には、発生した事象の根本原因の評価が遅れ、適切、適確な対策を迅速に行うことができない。このような事情により、製品開発プロセスにおける複数の工程で提案する施策の精度の向上、さらには開発製造工程全体、又は自工程(または企業全体)の品質保証や製造効率を向上が望まれている。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、製品開発プロセスにおける複数の工程で提案する施策の精度向上を図り、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させる施策提案装置、施策提案システム、及び施策提案基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る施策提案装置は、製品開発プロセスにおける複数の工程で施策を提案する施策提案装置であって、前記製品開発プロセスの対象エリアに設置される自営通信網に接続する通信部と、前記通信部により接続された前記自営通信網を介して、前記工程で発生した事象に関する事象データと、前記事象データが発生した前記工程を示す工程情報とを含む評価対象情報を取得する取得部と、予め取得された過去の評価対象情報に含まれる複数のデータと、前記過去の評価対象情報に紐づく参照情報に含まれる複数のデータと、の間における関係性に基づいて、前記関係性に紐づく類似性が記憶された参照データベースと、前記取得部により取得された前記評価対象情報に基づいて、前記参照データベースを参照し、前記類似性に基づき算出された解に紐づく最適な前記参照情報を選択し、最適な前記参照情報に基づく関連情報を生成する関連情報検索部と、前記関連情報検索部により生成された前記関連情報を、前記工程情報に基づいて自工程、及び関連する工程に出力する出力部とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る施策提案装置は、第1発明において、前記参照データベースに記憶される前記参照情報は、前記製品開発プロセスで発生した前記事象の施策情報を含むことを特徴とする。
【0009】
第3発明に係る施策提案装置は、第1発明又は第2発明において、前記関連情報検索部により生成される前記関連情報は、前記工程における前記施策情報を含むことを特徴とする。
【0010】
第4発明に係る施策提案装置は、第1発明~第3発明の何れかにおいて、前記評価対象情報は、前記工程で発生した事象に関する製品情報、部品情報、設計情報、不具合情報、優先情報、及び適用情報の少なくとも何れかに関する情報を有する製品開発情報を含むことを特徴とする。
【0011】
第5発明に係る施策提案装置は、第1発明~第4発明の何れかにおいて、前記類似性は、前記過去の評価対象情報の関係性と、前記参照情報との類似性を学習データとして用いた機械学習により構築されることを特徴とする。
【0012】
第6発明に係る施策提案装置は、第1発明~第5発明の何れかにおいて、前記過去の評価対象情報と、前記参照情報との間の関係を新たに取得した場合には、前記関係を前記類似性に反映させる更新部を更に備えることを特徴とする。
【0013】
第7発明に係る施策提案システムは、製品開発プロセスにおける複数の工程で施策を提案する施策提案システムであって、前記製品開発プロセスの対象エリアに設置される自営通信網に接続する通信手段と、前記通信手段により接続された前記自営通信網を介して、前記工程で発生した事象に関する事象データと、前記事象データが発生した前記工程を示す工程情報とを含む評価対象情報を取得する取得手段と、予め取得された過去の評価対象情報に含まれる複数のデータと、前記過去の評価対象情報に紐づく参照情報に含まれる複数のデータと、の間における関係性に基づいて、前記関係性に紐づく類似性が記憶されたデータベースと、前記取得手段により取得された前記評価対象情報に基づいて、前記参照データベースを参照し、前記類似性に基づき算出された解に紐づく最適な前記参照情報を選択し、最適な前記参照情報に基づく関連情報を生成する関連情報検索手段と、前記関連情報検索手段により生成された前記関連情報を、前記工程情報に基づいて自工程、及び関連する工程に出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
第8発明に係る施策提案基盤は、製品開発プロセスにおける複数の工程で施策を提案する施策提案基板であって、前記製品開発プロセスの対象エリアに設置される自営通信網に接続する通信部と、前記通信部により接続された前記自営通信網を介して、前記工程で発生した事象に関する事象データと、前記事象データが発生した前記工程を示す工程情報とを含む評価対象情報を取得する取得手段と、予め取得された過去の評価対象情報に含まれる複数のデータと、前記過去の評価対象情報に紐づく参照情報に含まれる複数のデータと、の間における関係性に基づいて、前記関係性に紐づく類似性が記憶されたデータベースと、前記取得手段により取得された前記評価対象情報に基づいて、前記参照データベースを参照し、前記類似性に基づき算出された解に紐づく最適な前記参照情報を選択し、最適な前記参照情報に基づく関連情報を生成する関連情報探索手段と、前記関連情報探索手段により生成された前記関連情報を、前記工程情報に基づいて自工程、及び関連する工程に出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1発明~第6発明によれば、通信部は、製品開発プロセスの対象エリアに設置される自営通信網に接続し、取得部は、工程で発生した事象に関する事象データと、事象データが発生した工程を示す工程情報とを含む評価対象情報を取得する。このため、製品開発プロセスにおける複数の工程で発生する様々な事象を迅速に取得することができる。これにより、工程で提案する施策の精度の向上を図り、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。
【0016】
また、第1発明~第6発明によれば、関連情報検索部は、参照データベースを参照し、評価対象情報に対する関連情報を生成する。このため、過去に発生した事象を評価した結果を踏まえた関連情報を生成することができる。これにより、発生した課題に対して提案する施策の精度の向上を図り、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。
【0017】
特に、第2発明によれば、参照情報は、施策情報を含む。このため、製品開発プロセスで発生した事象毎に異なる不具合の要因の特徴等を踏まえた評価を実現することができる。これにより、工程で提案する施策の精度をさらに向上させ、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。
【0018】
特に、第3発明によれば、関連情報は、施策情報を含む。このため、関連情報を考慮した自工程、または関連する工程における対策等を踏まえた評価を実現することができる。これにより、工程で提案する施策の精度をさらに向上させ、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。
【0019】
特に、第4発明によれば、評価対象情報は、製品開発情報を含む。このため、工程で発生した事象に関する製品情報、部品情報、設計情報、不具合情報、優先情報、及び適用情報等を踏まえた評価を実現することができる。これにより、工程で提案する施策の精度をさらに向上させ、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。
【0020】
特に、第5発明によれば、類似性は、過去の評価対象情報の関係性と、参照情報との類似性を学習データとして用いた機械学習により構築される。このため、過去の評価対象情報とは異なる未知の評価対象情報を評価する場合においても、定量的な評価を実施することができる。これにより、提案する施策の精度の更なる向上を図り、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。
【0021】
特に、第6発明によれば、更新部は、過去の評価対象情報と、参照情報との間の関係を新たに取得した場合には、関係を類似性に反映させる。このため、類似性を容易に更新することができ、継続した評価精度の向上を図り、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。
【0022】
また、第7発明によれば、通信手段は、製品開発プロセスの対象エリアに設置される自営通信網に接続し、取得手段は、工程で発生した事象に関する事象データと、事象データが発生した工程を示す工程情報とを含む評価対象情報を取得する。このため、製品開発プロセスにおける複数の工程で発生する様々な事象を迅速に取得することができる。これにより、工程で提案する施策の精度の向上を図り、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。
【0023】
また、第8発明によれば、施策提案基板は、製品開発プロセスの対象エリアに設置される自営通信網に接続する通信手段と、工程で発生した事象に関する事象データと、事象データが発生した工程を示す工程情報とを含む評価対象情報を取得する取得手段を備える。このため、製品開発プロセスにおける複数の工程で発生する様々な事象を迅速に取得することができる。これにより、工程で提案する施策の精度の向上を図り、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本実施形態における施策提案システムの製品工程プロセスの一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における施策提案システムの一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本実施形態における施策提案システムの動作の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4(a)は、本実施形態における施策提案システムの構成の一例を示す模式図であり、
図4(b)は、本実施形態における施策提案システムの機能の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本実施形態における施策提案システムの設計段階の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における施策提案システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を適用した実施形態における施策提案装置、施策提案システム、及び施策提案基盤の一例について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
(本実施形態1:施策提案システム100)
図1を参照して、本実施形態における施策提案システム100、及び施策提案装置1の製品工程プロセスの一例について説明する。
【0027】
本実施形態における施策提案システム100は、例えば
図1に示すように、例えば製造業におけるITシステム環境での製品工程プロセスが対象となる。施策提案システム100は、例えば製品開発プロセスに係る全ての工程A01(例えば基本設計、開発・設計・評価、生産準備、生産、出荷、販売・サービス等)を対象とする。設備A10は、工程A01の各工程における要件や設備を示す。設備A11は、例えば設備A10に対して機能するAI・機械学習であり、それらを用いることで各工程における施策の品質を保証する。
【0028】
また、設備A12は、例えばPLM(Product Lifecycle Management)プラットフォームであり、自社製品の設計図や部品表などのデータ(『E-BOM:設計部品表』、『P-BOM:工程部品表』、『M-BOM:製造部品表』、『S-BOM:保守部品表』)を介して企画段階から廃棄、リサイクルに至る全行程で共有する。また設備A12は、例えばSCADA(Supervisory Control and Data Acquisition:産業制御システム)、HMI(Human Machine Interface)、DCS(distributed control system:分散制御システム)などの制御システムを備える。設備A13は、例えばDBやクラウドであり、設備A12は、例えばこれらの設備などを用いた連携を行う。
【0029】
また、施策提案システム100は、ロボット制御を実施する場合の課題として、例えば工程A01、設備A10~A13における課題A20~A23の解決、改善、品質保証、または製造効率を向上させるための最適な施策を提供する。
【0030】
課題A20は、例えば企業におけるグローバル化や工場の数を示す。課題A21は、例えば工程A01におけるトレーサビリティ、デジタル・スレッドにおける問題を示す。課題A22は、例えば設備A10におけるCAD(computer-aided design:コンピュータ支援設計)の知識、ロボットプログラミングの自動化の困難さの問題を示す。課題A23は、例えばロボットのシミュレーション・実行・記録にPLM/MES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)/ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)による連携を示す。
【0031】
本実施形態における施策提案システム100は、例えば複数の各工程の各々の処理に、AI/機械学習、及び製品開発プラットファームを用いることにより、例えば工程A01における各々の自工程で施策を完結させる処理(自工程完結)を可能とする。施策提案システム100は、これにより、開発製造工程全体、又は自工程(または企業全体)の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。
【0032】
本実施形態における施策提案システム100は、例えば
図2に示すように、施策提案装置1を有する。施策提案装置1は、例えば製品開発プロセス3における複数の工程3a、工程3b、工程3c等を実行する機器と接続するほか、例えば自営通信網4を介して他の端末やサーバ5に接続されてもよい。
【0033】
施策提案装置1は、例えば製造企業に独自の通信インフラである自営通信網4を備える。自営通信網4は、例えば製造企業などが通信事業者から割り当てられる帯域とは別の通信網(Local 5G通信)であり、製造企業に独自の通信インフラとして敷地内に設置される通信網である。施策提案システム100は、自営通信網4を介して製造工場における製品開発プロセス3と接続する。施策提案システム100は、自営通信網4を介して、製品開発プロセス3の複数の工程を各工程に備わる機器等に実行させる。施策提案装置1は、自営通信網4を介してデータベース2と接続する。
【0034】
複数の工程は、例えばある製開発における製品開発プロセス3として、例えば製品の販売・サービスを行う工程3a、製品の企画を行う工程3b、製品の設計を行う工程3cなどを実行する各種の装置、計測器、加工ロボット、センサ等の機器により構成される。製品開発プロセス3は、例えばその他の工程として、工程3a~工程3cを実行する機器の他に、例えば製品を生産する生産工程、製品の生産を行う工程、マーケティングのコンセプトやデザインの工程、販売・サービスCRM(Customer Relationship Management)等の工程を実行する各種の機器を含んでもよい。複数の工程を行う機器を介して自営通信網4に接続し、例えば製造会社の敷地、エリア内における製品開発プロセス3の複数の工程を実行する機器と連携するように構築される。
【0035】
データベース2は、施策提案装置1と自営通信網4を介して接続される。データベース2には、例えば施策提案装置1や工程3a~工程3c等の各々の機器を介して、各種の情報、及びデータが記憶される。データベース2には、例えば製造企業内の各種のデータベースとして、例えば企画情報データベース、設計情報データベース、開発情報データベース、部品情報データベース、アフターサポート情報データベース、購買情報データベース、市場評価データベース、及び不具合情報データベース等が少なくとも含まれる。データベース2には、例えば複数の工程3a~工程3cを実行する機器を介して取得した各種の情報やデータと、製品開発プロセスにおける各々の工程や提案する施策、製品、部品、各種のドキュメントや設計図、関連情報等を各々に対応付けて記憶される。
【0036】
施策提案システム100は、例えば製品開発プロセス3における複数の工程3a~工程3cを実行する各々の機器を介して、製品開発プロセス3において発生した事象を評価する。施策提案システム100は、例えば製品開発プロセス3は、製品開発プロセスの対象エリアに設置される自営通信網4により接続された自営通信網4を介して、工程3a~工程3cを実行する各々の機器を介して、自工程で発生した事象を評価するほか、例えば関連する他の工程で発生した事象の評価にも用いることができる。
【0037】
施策提案システム100は、例えば
図3に示すように、製品開発プロセス3における複数の工程3a、工程3b、工程3c等を実行する機器を介して入力された各々の工程に対応する不具合発生などの事象を取得したあと、後述する参照データベースを参照し、評価対象情報に対する関連情報を生成する。施策提案装置1は、生成した提案する施策の表示内容1aを表示部109等に出力する。
【0038】
表示内容1aは、例えば製品開発プロセス3における複数の工程3a、工程3b、工程3c等で発生した各々の事象を評価した結果を示す。施策提案装置1は、例えば提案する施策の表示内容1aとして、関連情報や提案する施策に関する表示内容1b、表示内容1c、表示内容1dに示されるような情報を表示する。
【0039】
施策提案装置1は、例えば「正常」又は「不具合(工程3b:不具合)」等のような各工程で発生した事象の関連情報を示すほか、例えば表示内容1bに示すような「部品b1,ガタつき発生,関連部品あり」や、例えば表示内容1cに示すような「部品b1、80%、画像(部品b1)」、さらに例えば表示内容1dに示すような「工程3b:対策 [一覧]、ステー形状の変更[設計データ][図面]、関連する工程 [工程3a][工程3c]」等のような工程3b内で完結する対策「ステー形状の変更[設計データ」、[図面]」や、対策が複数ある場合には、その一覧、さらに、例えば自工程(工程3b)と関連のある工程として「関連する工程[工程3a][工程3c]」が表示される。
【0040】
施策提案装置1は、例えば自工程「工程3b」で発生した事象の発生要因や、対策と関連する部品の優先レベル、関連市場不具合などの重要情報、禁止事項をまとめたべからず集、教師なし学習の結果など情報や、不具合要因が発生している確率、有効となる対策部品の確立等を示してもよい。
【0041】
施策提案装置1として、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等の電子機器が用いられるほか、例えばスマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末、IoT(Internet of Things)デバイス等の電子機器、Raspberry Pi(登録商標)等のシングルボードコンピュータが用いられてもよく、例えばマイクやカメラなどの入力装置(図示せず)が内蔵されてもよい。例えば施策提案装置1として、入力装置が内蔵されたHMD(Head Mounted Display)が用いられる場合、評価者等は、ディスプレイ越しに工程で発生した事象を視認することで、工程で発生した事象の関連情報や提案する施策を認識することができる。このため、工程で提案する施策の品質評価作業の難易度を低下させることができる上、評価作業時間を短縮することが可能となる。
【0042】
施策提案装置1は、例えば取得した事象データに基づく表示内容1aと、事象データが発生した工程で提案する施策の表示内容1a(表示内容1b、表示内容1c、表示内容1d等)とを、表示部109に表示する。
【0043】
例えば1つの事象データに複数の他の工程で発生した事象が関連する場合、施策提案装置1は、他の工程で発生した事象に対する関連情報を、別々に生成することができ、表示部109には、各工程で発生した事象に対する関連情報や提案する施策を表示することができる。なお、例えば1つの工程で発生した事象に対する関連情報や提案する施策を生成する際、複数の事象データに基づいてもよい。
【0044】
評価対象情報は、事象データと、工程情報とを含み、例えば施策情報を含んでもよい。評価対象情報は、複数の事象データを含んでもよく、例えば1つの工程で発生した事象を、関連する他の工程で発生した事象データを含んでもよい。この場合、複数の工程で発生した事象の事象データに基づいた関連情報を生成することができ、評価精度を向上させることが可能となる。評価対象情報は、例えばテキスト形式のほか、テキスト形式や行列等の数値形式や、例えば対策と不具合事例とを関連付けた一覧表や対策マップ等として俯瞰して表されてもよい。
【0045】
工程情報は、事象データが発生した工程の事象の対策を示す。工程情報は、例えば製品開発プロセス3における複数の工程3a、工程3b、工程3c等を含み、新たに追加された各種の工程情報報等も含む。工程情報を評価対象情報に含ませることで、工程毎の特徴を踏まえた高精度な評価を実現することができる。また、各対策の系統に基づいた評価を実施することで、工程間の類似性も評価対象に組み込むことができ、工程間の評価バラつきを抑制することが可能となる。なお、工程情報は、自工程のほかに、例えば関連する前後の工程や他の工程を、関連情報と同様に表示部109等に表示してもよい。
【0046】
工程情報は、例えば施策提案装置1の取得した事象データに紐づくように、評価者等が直接に施策提案装置1に入力するほか、例えば予め複数の工程情報を施策提案装置1に記憶させ、事象データに基づき施策提案装置1によって選択されてもよい。施策提案装置1が工程情報を選択する場合、例えば予め施策提案装置1に記憶された学習モデルを用いて、取得された事象データに対して工程情報を選択できるようにしてもよい。この場合、学習モデルは、予め準備された事象データ及び工程情報を学習データとした公知の機械学習により生成される。
【0047】
工程情報は、事象データとして事象が発生したときの日時、発生場所、及び対応者、並びに、工程で発生した事象を対策する予定の日程の少なくとも何れかに関する情報を有する。工程情報は、例えば事象が発生した対策の優先度に応じて、前工程、後工程、さらには関連する他の工程での対策に関する情報を有してもよい。
【0048】
評価情報は、例えば施策提案装置1の取得した事象データに紐づくように、評価者等が直接に施策提案装置1に入力するほか、例えば他の端末等から送信されてもよい。
【0049】
(施策提案装置1)
次に、
図4を参照して、本実施形態における施策提案装置1の一例を説明する。
図4(a)は、本実施形態における施策提案装置1の構成の一例を示す模式図であり、
図4(b)は、本実施形態における施策提案装置1の機能の一例を示す模式図である。
【0050】
施策提案装置1は、例えば
図4(a)に示すように、筐体10と、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、保存部104と、I/F105~107とを備える。各々の構成101~107は、内部バス110により接続される。
【0051】
CPU101は、施策提案装置1全体を制御する。ROM102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM103は、CPU101の動作時に使用される作業領域である。保存部104は、評価対象情報や参照データベース等の各種情報が保存される。保存部104として、例えばHDD(Hard Disk Drive)の他、SSD(Solid State Drive)やフロッピーディスク等のデータ保存装置が用いられる。なお、例えば施策提案装置1は、図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよい。GPUを有することで、通常よりも高速演算処理が可能となる。
【0052】
I/F105は、製品開発プロセス3における複数の工程3a、工程3b、工程3c等を実行する機器との各種情報の送受信を行うためのインターフェースであるほか、例えば製品開発プロセスの対象エリアに設置される自営通信網4を介して、他の機器やサーバ5等との各種情報の送受信を行うためのインターフェースでもよい。I/F106は、入力部108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部108として、例えばキーボードが用いられ、施策提案装置1を利用する評価者等は、入力部108を介して、各種情報又は施策提案装置1の制御コマンド等を入力する。I/F107は、表示部109との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。表示部109は、保存部104に保存された関連情報等の各種情報、又は施策提案装置1の処理状況等を出力する。表示部109として、ディスプレイが用いられ、例えばタッチパネル式でもよい。
【0053】
<参照データベース>
保存部104に保存された参照データベースには、予め取得された過去の評価対象情報に含まれる複数のデータと、過去の評価対象情報に紐づく参照情報に含まれる複数のデータと、の間における関係性(例えば発生件数、発生時間、発生地域等)に基づいて、関係性に紐づく類似度を有する類似性を有する学習モデルが記憶される。参照データベースには、例えば過去の評価対象情報、及び参照情報、または過去の評価対象情報に紐づく参照情報に含まれる複数のデータとの間における関係性に基づいて、関係性に紐づく類似性が記憶されてもよい。類似性は、例えば過去の評価対象情報、及び参照情報を一組の学習データとして、複数の学習データを用いた機械学習により構築される。
【0054】
この場合、例えば類似性は、多対多の情報(過去の評価対象情報に含まれる複数のデータ、対、参照情報に含まれる複数のデータ)の間における繋がりの度合いを示す。類似性は、機械学習の過程で適宜更新される。即ち、類似性は、例えば過去の事象データ、及び参照情報に基づいて最適化された関数を示す。このため、過去に工程で発生した事象を評価した結果を全て踏まえて構築された類似性を用いて、評価対象情報に対する関連情報が生成される。これにより、工程で発生した事象が他の部品などと組み合わされる構成状態を有する場合においても、最適な関連情報を生成することができる。
【0055】
また、参照データベースは、評価対象情報が過去の評価対象情報と同一又は類似である場合のほか、非類似である場合においても、最適な関連情報を定量的に生成することができる。なお、機械学習を行う際に汎化能力を高めることで、未知の評価対象情報に対する評価精度の向上を図り、開発製造工程全体、又は自工程における品質保証や製造効率を向上させることができる。
【0056】
なお、類似性は、例えば過去の評価対象情報に含まれる複数のデータと、参照情報に含まれる複数のデータとの間における繋がりの度合いを示す複数の類似度を有してもよい。
【0057】
過去の評価対象情報は、上述した評価対象情報と同種の情報を示す。過去の評価対象情報は、例えば過去に工程で発生した事象を評価した際に取得された評価対象情報を複数含む。
【0058】
参照情報は、過去の評価対象情報に紐づき、工程で発生した事象に関する情報を示す。参照情報は、工程で発生した事象の状況、状態、または影響を踏まえた評価(例えば「正常」、「不具合」、「良品回収」等)を示すほか、工程で発生した事象の要因に関する施策情報を含んでもよい。なお、参照情報に含まれる具体的な内容は、任意に設定することができる。
【0059】
施策情報は、例えば変更、交換、修理等の具体的な事象要因の作業名称(例えば「工程3b:対策[一覧]」、「ステー形状の変更[設計データ][図面]」)、関連する工程の情報(例えば「関連する工程 [工程3a][工程3c]」)を示す。各種の事象要因は、工程で発生した事象に対して、少なくとも一部、または関連する他の関連する工程に及ぶ。
【0060】
ここで、
図5を用いて、例えば対象部門である部門A30(品質保証部門)における品質保証段階と、部門A31(設計部門)の設計段階における各々の工程A01の複数の段階A001の対応の一例を説明する。
図5は、本実施形態における施策提案システムの品質保証段階、および設計段階の対応の一例を示す。
【0061】
施策提供システム100は、
図5に示すように、例えば部門A30(品質管理部門)から、販売・サービス段階において、例えば製品の良品回収の情報、市場不具の合情報など取得する。施策提供システム100は、例えば予め設定した製品の寿命近くの部品で、寿命を予測し、その対策(例えば製品としての寿命が近くても、製品を構成する個別の部品として問題なければ、部品を清掃・検査後にリユース対象とする、など)を決める。また部門30は、市場不具合の段階では、製品の不具合を分析し、原因究明し、その対策(例えば市場不具合が製品のどの部品で発生したか、関連する部品はあるか、設計変更するか、など)を決める。部門A30は、例えば決定した各々の対策に基づいて、予め共有される対策マップA301に対して、各種の事象や対策、不具合事例などを、製品を構成する各々の部品ごとに入力する(対策A300)。
【0062】
対策マップA301には、例えば対策と関連する部品の関連の接点を示す情報として「1」、対応の優先レベル(3段階など)を入力し、さらに 関連市場不具合を重要な対策などを各々の部品ごとに追加するようにしてもよい。対策マップA301は、各部門間で共有される。各種の情報は、例えば市場のサイト検索結果(最新の不具合の発生状況や対策の情報など)が入力されるようにしてもよい。対策マップA301に入力される優先レベルは、例えば製品モジュールや部品、名称の他、例えば事例レベル(例えばレベル1:ダメージ大、レベル2:ダメージ中、レベル3:通常の対策、など)が設計工程と対応付けられて入力される。
【0063】
施策提供システム100は、部門A31(設計部門)において、例えば部門A30において対策などが入力された対策マップA301を介して、各種の参照データベースを参照し、設計中の検索結果や各種の対策を検討する(対策A302)。例えば対策マップA301を参照し、対策と関連する部品の関連の接点を示す情報として付与された「1」に基づいて判別(例えば部品と対策のマッチングなど)、部品ごとに実施する対策の優先度などを決定するようにしてもよい。部門A31(設計部門)では各施策を実施する。
【0064】
施策提供システム100は、例えば対策マップA301に「1」が介して入力されているモジュール、または製品を構成する部品の対策を最優先とする対策を示す。施策提供システム100は、例えば対策マップA301に「1」は入力されていないが、「1」が付与されたモジュール、または部品と関連する他の部品の対策を示す。施策提供システム100は、例えば対策マップA301に「1」は入力されていないが、対策マップの「1」の関係性(例えば、様々な事象の発生件数、状態や傾向、発生時間、発生地域)などに基づいて、その類似性を判定するようにしてもよい。類似性は、例えば過去の評価対象情報の関係性と、関係性に紐づく参照情報との類似性を学習データとして用いた機械学習を用いてもよい。施策提供システム100は、例えば類似性に基づき算出された解に紐づく最適な前記参照情報を選択し、最適な参照情報に基づく関連情報を生成し、生成した関連情報を、工程情報に基づいて自工程、及び関連する工程に出力する。
【0065】
施策提供システム100は、例えば類似性を判定では、予め取得された過去の評価対象情報に含まれる複数のデータと、過去の評価対象情報に紐づく参照情報に含まれる複数のデータと、の間における関係性に基づき、関係性に紐づく類似度を有する類似性が記憶された参照データベースを参照し、対策を示すようにしてもよい。施策提供システム100は、取得された評価対象情報に基づいて参照データベースを参照し、類似性に基づき算出された解に紐づく最適な参照情報を選択し、最適な参照情報に基づく関連情報を生成する。
【0066】
施策提供システム100は、各部門で共有される対策マップA301を介して、例えば部門A31(設計部門)による各段階における部品対応の検索では、検索時に「フェーズ:設計」、「キーワード:燃料インジェクター」などと入力した際に、関連する情報を設計者端末(図示せず)に対策を関連情報A303として表示することが可能となる。さらに施策提供システム100は、例えば対策マップA301で表示される対策に、例えばE-BOM(設計部品表』)の部品属性を対応付け、関連情報A304として対策リストとして表示するようにしてもよい。施策提供システム100は、表示された対策リストの不具合に対する具体的な対策を、例えば設計部門A31などから受け付け、受け付けた各種の情報は対策マップA301に製品別、部品別に追加されるようにしてもよい。
【0067】
また、施策提供システム100は、例えばPLMプラットフォームを介して、設計工程におけるCAD関連の機器などの各工程における専用の処理端末に対して、各工程における作業に関連する関連情報や対策情報を出力するようにしてもよい。施策提供システム100は、例えば設計部門A31においては、例えば設計部門、設計者であることを示す設計部門情報、設計中の製品や製品を構成する部品を設計部品情報、設計作業の経過を示すステータス情報などに基づいて、関連部門から対策マップA301を用いて入力された各種の情報、参照データベースなどを参照し、最適な参照情報に基づく関連情報を生成し、生成された関連情報を処理端末に出力するようにしてもよい。対策マップA301は、例えばPLMプラットフォーム上で、工場内の複数工程における各種の部門間で共有され、各部門、各担当者、各作業を識別する情報、製造拠点(生産拠点)や製造日時、工程情報などに基づいて、適切な関連情報、対策情報をリアルタイムで出力するようにしてもよい。
【0068】
施策提供システム100は、例えば設計部門A31のCAD端末の設計画面上(例えば関連情報A303など)に、設計上、対策すべき情報として関連情報や、対策のリンク先の情報(例えば関連情報A304など)を重畳して表示するようにしてもよい。これにより、例えば設計工程以外で発生した事象の関連情報を設計に反映することができ、設計工程で発生した事象の品質改善等を図り、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。
【0069】
これにより設計部門A31では、設計画面(関連情報A303)を見ながらリスト項目を確認することができ、各種の対策を設計に反映させることが可能となる。設計部門31Aでは、対策マップA301のリストに出力されていない対策を発見した場合は、追加で対策を入力するようにしてもよい。
【0070】
施策提供システム100は、設計部門A31で決定された施策A305は、品質保証部門A30における確認の後、対策マップA301にアップデートされるようにしてもよい。これにより、例えば他の車種設計、他の生産拠点における製品開発、将来の製品開発などにも水平展開をすることが可能となる。
【0071】
なお類似性は、例えば過去の評価対象情報と参照情報との間における様々な関係性(事象の発生件数、発生時間、未来予測、発生地域等)や、繋がりの度合いを示してもよい。この場合、様々な関係性に基づいて、その類似性を判定するようにしてもよい。様々な関係性に基づいて、類似性を用いることで、過去の評価対象情報に含まれる複数のデータ(「データA」~「データC」)のそれぞれに対し、参照情報に含まれる複数のデータ(「参照A」~「参照C」)の関係の度合いを紐づけて記憶させることができる。このため、例えば類似性を介して、過去の評価対象情報に含まれる1つのデータに対して、参照情報に含まれる複数のデータを紐づけることができ、多角的な関連情報の生成を実現することができる。
【0072】
類似性は、例えば過去の評価対象情報に含まれる複数のデータと、参照情報に含まれる複数のデータとをそれぞれ紐づけられる。複数のデータは、例えば各々のデータ間における対策と関連する部品に接点の関係性(例えばフラグ「1」)を付す。関係性(フラグ「1」)の繋がりの状況、種別などに紐づく複数の類似度を有する。類似度は、例えば百分率、10段階、又は5段階等の3段階以上で示され、例えば線の特徴(例えば太さ等)で示される。例えば、過去の評価対象情報に含まれる「データA」は、参照情報に含まれる「参照A」との間の類似度AA「85%」を示し、参照情報に含まれる「参照B」との間の類似度AB「55%」を示す。すなわち、「類似度」は、各データ間における繋がりの度合いを示しており、例えば類似度が高いほど、各データの繋がりが強いことを示す。なお、上述した機械学習により類似性を構築する際、類似性が3段階以上の類似度を有するように設定してもよい。
【0073】
過去の評価対象情報は、例えば過去の事象データと、過去の工程情報とを分割して、参照データベースに記憶されてもよい。この場合、過去の事象データ及び過去の工程情報の組み合わせと、参照情報に含まれる複数のデータと、の間における関係性に基づいて、関係性に紐づく類似度を有する類似性が記憶され、類似度が算出される。なお、過去の評価対象情報は、例えば上記に加え、過去の施策情報を分割して、参照データベースに記憶されてもよい。
【0074】
過去の評価対象情報は、例えば合成データと、類似度とを含んでもよい。合成データは、過去の事象データ又は過去の工程情報との間における3段階以上の類似度により示される。合成データは、数値、行列、又はヒストグラム等の形式で参照データベースに記憶されるほか、例えば画像や文字列等の形式で記憶されてもよい。
【0075】
図4(b)は、施策提案装置1の機能の一例を示す模式図である。施策提案装置1は、通信部11と、取得部12と、関連情報検索部13と、出力部14と、記憶部15とを備え、例えば更新部16を有してもよい。なお、
図4(b)に示した各機能は、CPU101が、RAM103を作業領域として、保存部104等に保存されたプログラムを実行することにより実現され、例えば人工知能により制御されてもよい。
【0076】
<通信部11>
通信部11は、製品開発プロセスの対象エリアに設置される自営通信網4に接続し、各種の通信を行う。通信部11は、自営通信網4に接続し、例えば製造企業などが通信事業者から割り当てられる帯域とは別の通信網(Local 5G通信)であり、製造企業に独自の通信インフラとして敷地内に設置される自営通信網4を介して通信を行う。通信部11は、さらに一般のインターネット等の通信網に接続し、各種の通信を行うようにしてもよい。
【0077】
<取得部12>
取得部12は、事象データと、工程情報とを含む評価対象情報を取得する。取得部12は、製品開発プロセス3における複数の工程3a、工程3b、工程3c等を実行する機器等から各種の事象データを取得するほか、例えば接続された他の機器から、複数の工程3a、工程3b、工程3c等に関連する事象データを取得する。
【0078】
関連する事象データの取得は、例えば発生した事象に紐づけられる部番等に基づき、データベースを参照し、取得される。取得部12は、予め評価者等から入力された工程情報を取得するほか、例えば他の機器等から、事象データに対応する工程データ、工程に関する関連情報を取得してもよい。
【0079】
取得部12は、例えば施策情報を取得した場合、事象データと共に評価対象情報として取得する。なお、取得部12が評価対象情報を取得する頻度及び周期は、任意である。
【0080】
取得部12は、施策提案装置1に送信された各種情報を受信する。取得部12は、例えば自営通信網4及びI/F105を介して、他の端末等の外部端末から送信された品種情報や収穫情報等の各種情報を受信してもよい。
【0081】
取得部12は、例えば保存部104に保存された学習モデルを参照し、事象データに対応する工程情報を選択し、評価対象情報として取得してもよい。
【0082】
<関連情報検索部13>
関連情報検索部13は、参照データベースを参照し、評価対象情報に対する関連情報を生成する。関連情報検索部13は、例えば評価対象情報を入力データとし、類似性に基づき算出された解に紐づく最適な参照情報を選択し、最適な参照情報に基づく関連情報を生成する。
【0083】
関連情報検索部13は、例えば参照データベースを参照した場合、評価対象情報に含まれるデータと同一又は類似するデータ(例えば「データA」:第1データとする)を選択する。第1データとして、評価対象情報と一部一致又は完全一致するデータが選択されるほか、例えば類似するデータが選択される。評価対象情報が行列等の数値で表される場合、選択される第1データに含まれる数値範囲を、予め設定してもよい。
【0084】
関連情報検索部13は、選択した第1データに紐づく参照情報、及び選択した第1データと参照情報との間における類似度(第1類似度)を選択し、選択した参照情報及び第1類似度に基づき関連情報を生成する。なお、第1類似度は、予め構築された類似性から選択されるほか、関連情報検索部13によって算出されてもよい。
【0085】
例えば関連情報検索部13は、第1データ「データA」に紐づく参照情報に含まれるデータ「参照A」、及び「データA」と「参照A」との間における関係性に基づいて、第1類似度(類似度AA)「85%」を選択する。なお、参照情報及び第1類似度は、複数のデータを含んでもよい。この場合、上述した「参照A」及び「85%」に加えて、第1データ「データA」に紐づく参照情報「参照B」、及び「データA」と「参照B」との間における第1類似度(類似度AB)「55%」を選択し、「参照A」及び「85%」、並びに、「参照B」及び「23%」に基づき関連情報を生成してもよい。
【0086】
関連情報は、評価対象情報を含んでもよい。関連情報は、例えば参照情報及び類似度を用いて、確率で表された工程で発生した事象の要因(発生要因)を示してもよい。
【0087】
関連情報検索部13は、例えば予め保存部104等に記憶された出力用フォーマット等の形式データを用いて、上述選択した参照情報及び第1類似度等を、評価者等が理解できる形式(例えば文字列)を示す関連情報を生成する。なお、関連情報を生成する際における形式の設定等は、例えば公知の技術を用いてもよい。
【0088】
関連情報検索部13は、例えば選択した第1類似度に基づいて、関連情報の内容を決定する。例えば関連情報検索部13は、「50%」以上の第1類似度に紐づく参照情報に基づいて、関連情報を生成し、「50%」未満の第1類似度に紐づく参照情報を関連情報に反映しないように設定されてもよい。なお、第1類似度に基づく判定基準は、例えば評価者等が予め閾値等を設定してもよく、閾値の範囲等は任意に設定できる。また、関連情報検索部13は、例えば2以上の第1類似度を演算した結果や、2以上の第1類似度の比較に基づいて、関連情報の内容を決定してもよい。
【0089】
<出力部14>
出力部14は、関連情報を出力する。出力部14は、I/F107を介して表示部109に関連情報を送信するほか、例えばI/F105を介して、他の端末等に関連情報を送信する。出力部14は、例えば
図4に示した工程で発生した事象の表面状態を再現した画像を表示するデータを、表示部109等に出力する。
【0090】
<記憶部15>
記憶部15は、保存部104に保存された参照データベース等の各種情報を必要に応じて取出す。記憶部15は、各々の構成11、13~16により取得又は生成された各種情報を、保存部104に保存する。
【0091】
<表示部109>
表示部109は、関連情報を表示する。表示部109は、例えば
図3に示すように、表示内容1a、工程で発生した事象の関連情報の内容として表示内容1b~表示内容1dとを表示する。表示内容1aは、取得部12が取得した事象データに基づく工程で発生した事象と複数の表示内容を含む関連情報を示す。関連情報は、表示内容1bから1dの各エリア内、またはエリア内のリンク(例えば表示内容1b~表示内容1dの矩形枠、またはリンク(例えば[
一覧]、[
設計データ]、[
図面]、[
工程3a]、[
工程3c])を介して、評価対象となる工程で発生した事象に対して表示される。これにより、例えば複数の工程で発生した事象を一度に評価する場合においても、各工程で発生した事象の関連情報や提案する施策を表示することができる。なお、表示部109は、例えばリストや文字列のみを用いて、関連情報を表示してもよい。上記表示方法には、公知の技術を用いることができる。
【0092】
<更新部16>
更新部16は、例えば参照データベースを更新する。更新部16は、過去の評価対象情報と、参照情報との間の関係を新たに取得した場合には、関係を類似性に反映させる。例えば関連情報検索部13により生成された関連情報を踏まえ、評価者等が関連情報や提案された施策の内容における精度を判定し、判定結果を施策提案装置1が取得した場合、更新部16は、判定結果に基づき参照データベースに含まれる類似性を更新する。
【0093】
<製品開発プロセス3>
製品開発プロセス3は、複数の工程を含む。製品開発プロセス3は、例えばある製開発における製品開発プロセス3として、例えば製品の販売・サービスを行う工程3a、製品の企画を行う工程3b、製品の設計を行う工程3cなどを実行する各種の装置、計測器、加工ロボット、センサ等の機器により実行される。製品開発プロセス3は、例えば
図1に示す要は製品を生産する生産工程、製品の生産を行う工程、マーケティングのコンセプトやデザインの工程、販売・サービスCRM等の工程を実行する各種の機器により実行されてもよい。製品開発プロセス3は、複数の工程を行う機器を介して自営通信網4に接続され、例えば製造会社の敷地、エリア内における製品開発プロセス3の複数の工程を実行する機器と連携するようにしてもよい。
【0094】
<自営通信網4>
自営通信網4は、例えば製造企業などが通信事業者から割り当てられる帯域とは別の通信網(Local 5G通信)として構築される。自営通信網4は、施策提案システム100により、例えば製造工場における製品開発プロセス3として、複数の工程を接続する。
【0095】
<サーバ5>
サーバ5には、例えば上述した各種情報が記憶される。サーバ5には、例えば自営通信網4を介して送られてきた各種情報が蓄積される。サーバ5には、例えば保存部104と同様の情報が保存され、自営通信網4を介して1つ以上の施策提案装置1と各種情報の送受信が行われてもよい。即ち、施策提案装置1は、保存部104の代わりにサーバ5を用いてもよい。
【0096】
<他の機器>
他の機器(図示せず)として、例えば施策提案装置1と同様に電子機器で具現化されたものが用いられる。他の端末は、例えば複数の施策提案装置1と通信可能な中央制御装置等を示す。他の端末は、例えば複数の施策提案装置1と接続可能であり、各々の施策提案装置1により生成された関連情報を取得することができる。これにより、例えば複数工程で発生した事象の関連情報を分析することができ、工程で発生した事象の品質改善等を図り、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。
【0097】
(施策提案システム100の動作の一例)
次に、本実施形態における施策提案システム100の動作の一例について説明する。
図6は、本実施形態における施策提案システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0098】
<通信手段S110>
通信部11は、製品開発プロセス3の対象エリアに設置される自営通信網4に接続する(通信手段S110)。通信部11は、例えば製品開発プロセス3における複数の工程3a、工程3b、工程3c等を実行する各々の機器からの通信処理の要求に基づいて、例えば自営通信網4を介して接続される施策提案装置1、データベース2、またはサーバ5と、各々の工程3a~3cで発生した事象に関するデータ、施策提案装置1における関連情報等の送受信を各々の工程間で行う。
【0099】
<取得手段S120>
取得部12は、工程で発生した事象と、工程データとを含む評価対象情報を取得する(取得手段S120)。取得部12は、例えば各工程の機器から受信した事象データ及び工程データを、評価対象情報として取得する。取得部12は、例えば販売区における販売工程として「ステー部品(部番○○)の市場不具合あり:○○件」、開発区の開発工程における「ステー形状(部番○○)の変更:○○件」、デザイン区の設計工程における「ステーデザイン(部番○○)の変更:○○件」などの各工程で発生した事象を取得する。取得部12は、例えば記憶部15を介して、評価対象情報を保存部104に保存する。
【0100】
取得部12は、例えば施策情報を含む評価対象情報を取得する。施策情報は、例えば予め事象データに紐づくように、評価者等によって施策提案装置1に入力されるほか、例えば事象データに基づき、取得部12が事象データに適した各情報を選択するようにしてもよい。この場合、取得部12は、予め保存部104に保存された複数の施策情報から、事象情報に適した各情報を選択する。
【0101】
例えば複数の工程3a~工程3cで発生した事象を取得した場合、取得部12は、複数の工程の機器によって生成された複数の事象データを、1つの評価対象情報として取得する。取得部12は、事象データが生成される度に評価対象情報を取得するほか、例えば任意の期間に生成された事象データを一度に受信し、評価対象情報を取得してもよい。
【0102】
<関連情報検索手段S130>
次に、参照データベースを参照し、評価対象情報に対する関連情報を生成する(関連情報検索手段S130)。関連情報検索部13は、取得部12により取得された評価対象情報を取得し、例えば保存部104に保存された参照データベースを取得する。関連情報検索部13は、例えば評価対象情報を入力データとし、関数等で示された関係性に基づいて、関係性に紐づく類似性に基づき算出された解に紐づく最適な参照情報を選択し、最適な参照情報に基づく関連情報を生成する。このとき、例えば関連情報検索部13は、1つの評価対象情報に対して複数の参照情報を選択してもよい。
【0103】
関連情報検索部13は、1つの評価対象情報に対して1つの関連情報を生成するほか、例えば複数の評価対象情報に対して1つの関連情報を生成してもよい。関連情報検索部13は、例えば保存部104に保存された出力用フォーマット等の形式データを用いて、関連情報を生成する。関連情報検索部13は、例えば記憶部15を介して、関連情報を保存部104に保存する。
【0104】
<出力手段S140>
次に、関連情報を出力する(出力手段S140)。関連情報には、関連情報に紐づいて提案される各種の施策情報が含まれてもよい。出力部14は、関連情報を表示部109等に出力する。出力部14は、例えば自営通信網4を介して他の端末又はサーバ5に出力してもよい。
【0105】
出力部14は、例えば事象データに基づく工程で発生した事象や提案する施策を示した表示内容1aと、表示内容1aのうち、評価対象となる工程で発生した事象を指定し、評価対象となる工程で発生した事象に対する関連情報とを、表示部109に表示させるための情報を、表示部109に出力する。これにより、表示部109には、表示内容1a、関連する表示内容1b~1cを含む関連情報や提案する施策が表示される。
【0106】
<更新手段S150>
なお、例えば過去の評価対象情報と、参照情報との間の関係を新たに取得した場合には、関係を類似性に反映させてもよい(更新手段S150)。例えば関連情報検索部13により生成された関連情報を踏まえ、評価者等が関連情報の精度を判定した判定結果を施策提案装置1が取得した場合、更新部16は、判定結果に基づき参照データベースに記憶された類似性を更新する。更新部16は、類似性の他に、例えば関係性を更新してもよい。
【0107】
これにより、本実施形態における施策提案システム100の動作が終了する。なお、更新手段S150を実施する場合のタイミングは、任意である。
【0108】
本実施形態によれば、関連情報検索部13は、参照データベースを参照し、評価対象情報に対する関連情報を生成する。参照情報は、工程情報を含む。このため、過去に工程で発生した事象を評価した結果を踏まえた関連情報を生成することができる。これにより、工程で提案する施策の精度向上を図り、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。関連情報検索部13は、関連情報に加え、例えば課題に対する施策を、リアルタイムで各々の工程における装置、システム、及び他の機器で各々の表示部109等に出力(提案)するようにしてもよい。
【0109】
また、本実施形態によれば、評価対象情報は、工程情報を含む。このため、工程毎に異なる事象要因の特徴等を踏まえた評価を実現することができる。これにより、工程で提案する施策の精度向上をさらに図り、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。
【0110】
また、本実施形態によれば、評価対象情報は、施策情報を含む。このため、対策の条件によって異なる工程で発生した施策の提案を実現することができる。これにより、複数の工程で発生した事象を評価する精度をさらに向上されることが可能となる。また、対策の条件に紐づく関連情報が得られるため、事象発生の要因となる条件の特定や、対策の条件の変更に伴う作業等を把握することができる。これにより、工程で提案する施策の改善に繋げることが可能となる。
【0111】
また、本実施形態によれば、表示部109は、評価対象となる工程で発生した事象に関連する自工程、前工程、または後工程、さらには他の工程の施策情報等を表示する。このため、複数の関連する工程で異なる事象が発生した場合であっても、1つの事象データとして関連情報を容易に知ることができる。これにより、関連情報に基づく工程で発生した事象、対策の仕分けの優先を確認することができ、対策を効率よく、確実に実施することが可能となる。
【0112】
また、本実施形態によれば、類似性は、過去の評価対象情報と、参照情報とを学習データとして用いた機械学習により構築される。このため、過去の評価対象情報とは異なる未知の評価対象情報を評価する場合においても、定量的な評価を実施することができる。これにより、評価精度の更なる向上を図り、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。
【0113】
また、本実施形態によれば、更新部16は、過去の評価対象情報と、参照情報との間の関係を新たに取得した場合には、関係を類似性に反映させる。このため、類似性を容易に更新することができ、継続した評価精度の向上を図り、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。
【0114】
また、本実施形態によれば、通信手段S110を行う通信手段、取得手段S120を行う取得手段、関連情報検索手段S130を行う関連情報検索手段、出力手段S140を行う出力手段は、施策提案基板として提供されてもよい。これにより、例えば工場内の様々な機器に搭載することができる。このため、工程で提案する施策の精度向上を図り、開発製造工程全体、又は自工程の品質保証や製造効率を向上させることが可能となる。
【0115】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
1 :施策提案装置
1a :表示内容
1b :表示内容
1c :表示内容
1d :表示内容
2 :データベース
3 :製品開発プロセス
3a :工程
3b :工程
3c :工程
4 :自営通信網
5 :サーバ
10 :筐体
11 :通信部
12 :取得部
13 :関連情報検索部
14 :出力部
15 :記憶部
16 :更新部
100 :施策提案システム
101 :CPU
102 :ROM
103 :RAM
104 :保存部
105 :I/F
106 :I/F
107 :I/F
108 :入力部
109 :表示部
110 :内部バス
A01 :工程
A001 :段階
A10 :設備
A11 :設備
A12 :設備
A13 :設備
A20 :課題
A21 :課題
A22 :課題
A23 :課題
A30 :部門
A31 :部門
A300 :対策
A301 :対策マップ
A302 :施策
A303 :関連情報
A304 :関連情報
A305 :施策
b1 :部品
S110 :通信手段
S120 :取得手段
S130 :関連情報検索手段
S140 :出力手段
S150 :更新手段