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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099385
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】熱電発電装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 35/32 20060101AFI20220628BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
H01L35/32 Z
H02N11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213112
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸澤 利彦
(72)【発明者】
【氏名】大場 正和
(57)【要約】
【課題】長期間に亘る、高温かつ結露する環境下での使用に耐えうる封止性を保つこと。
【解決手段】熱電発電装置1は、上面11aを有する高温板11と、下面12bを有する低温板12と、上面11aと下面12bの間に配置される熱電モジュール13と、上面11aと下面12bとの間に配置され、上面11aの周縁部と下面12bの周縁部とにおいて熱電モジュール13を封止する封止部21と、上面11aの周縁部に配置された第1位置決め部31と、下面12bの周縁部に配置された第2位置決め部32と、を備える。第1位置決め部31は、封止部21を上面11aの周縁部において位置決めし、第2位置決め部22は、封止部21を下面12bの周縁部において位置決めする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する高温板と、
前記第1面に向かい合う第2面を有する低温板と、
前記第1面と前記第2面との間に配置される熱電モジュールと、
前記第1面と前記第2面との間に配置され、前記第1面の周縁部と前記第2面の周縁部とにおいて前記熱電モジュールを封止する封止部と、
前記第1面の周縁部に配置された第1位置決め部と、
前記第2面の周縁部に配置された第2位置決め部と、
を備え、
前記第1位置決め部は、前記封止部を前記第1面の周縁部において位置決めし、
前記第2位置決め部は、前記封止部を前記第2面の周縁部において位置決めする、
熱電発電装置。
【請求項2】
前記第1位置決め部は、前記第1面に対して凹状及び凸状の少なくともどちらかの形状に形成され、
前記第2位置決め部は、前記第2面に対して凹状及び凸状の少なくともどちらかの形状に形成されている、
請求項1に記載の熱電発電装置。
【請求項3】
前記封止部は、前記高温板及び前記低温板よりも熱伝導性が低い材料で形成されている、
請求項1又は請求項2に記載の熱電発電装置。
【請求項4】
前記封止部は、前記高温板及び前記低温板より熱膨張係数が大きい材料で形成されている、
請求項1又は請求項2に記載の熱電発電装置。
【請求項5】
前記封止部は、前記第1位置決め部及び前記第2位置決め部よりも熱膨張係数の大きい材料で形成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の熱電発電装置。
【請求項6】
前記封止部と前記第1位置決め部との間に介在する第1接合材と、
前記封止部と前記第2位置決め部との間に介在する第2接合材と、
を備え、
前記第1接合材及び前記第2接合材は、弾性を有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の熱電発電装置。
【請求項7】
前記第1接合材及び前記第2接合材は、液状ガスケットで形成されている、
請求項6に記載の熱電発電装置。
【請求項8】
前記高温板と前記低温板との間隔を狭くする方向に付勢する付勢部材、
を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱電発電装置。
【請求項9】
前記付勢部材は、前記高温板における前記第1位置決め部より外側で、前記低温板における前記第2位置決め部より外側に複数配置されている、
請求項8に記載の熱電発電装置。
【請求項10】
複数の前記付勢部材は、前記高温板の周縁部からの距離及び前記低温板の周縁部からの距離が均等にならないように配置されている、
請求項9に記載の熱電発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱電発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高温板および低温板の間に、熱電モジュールの外側を囲む第1のOリングが設けられ、高温板および低温板は、第1のOリングの外側の位置で互いに第1のボルトにより連結され、第1のボルトに、高温板および低温板を互いに近づける方向に付勢する弾性を有した第1の付勢部材を設ける熱電発電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-080883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば工場又は製鉄所などにおいては、熱電発電装置が、長期間に亘って高温かつ結露する環境下で使用される。そこで、長期間に亘る、高温かつ結露する環境下での使用に耐えうる封止性を有することが望まれる。
【0005】
本開示は、長期間に亘る、高温かつ結露する環境下での使用に耐えうる封止性を有する熱電発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、第1面を有する高温板と、前記第1面に向かい合う第2面を有する低温板と、前記第1面と前記第2面との間に配置される熱電モジュールと、前記第1面と前記第2面との間に配置され、前記第1面の周縁部と前記第2面の周縁部とにおいて前記熱電モジュールを封止する封止部と、前記第1面の周縁部に配置された第1位置決め部と、前記第2面の周縁部に配置された第2位置決め部と、を備え、前記第1位置決め部は、前記封止部を前記第1面の周縁部において位置決めし、前記第2位置決め部は、前記封止部を前記第2面の周縁部において位置決めする、熱電発電装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、長期間に亘る、高温かつ結露する環境下での使用に耐えうる封止性を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る熱電発電装置を示す分解斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る熱電発電装置を示す断面図である。
図3図3は、封止部と位置決め部との一例を示す断面図である。
図4図4は、封止部と位置決め部との他の例を示す断面図である。
図5図5は、封止部と位置決め部との他の例を示す断面図である。
図6図6は、封止部と位置決め部との他の例を示す断面図である。
図7図7は、封止部と位置決め部との他の例を示す断面図である。
図8図8は、封止部と位置決め部との他の例を示す断面図である。
図9図9は、付勢部材が挿通される孔部の配置の一例を示す模式図である。
図10図10は、付勢部材による熱電発電装置の厚さ方向の変形の一例を説明する模式図である。
図11図11は、付勢部材による熱電発電装置の厚さ方向の変形の他の例を説明する模式図である。
図12図12は、付勢部材が挿通される孔部の配置の他の例を示す模式図である。
図13図13は、付勢部材が挿通される孔部の配置の他の例を示す模式図である。
図14図14は、付勢部材が挿通される孔部の配置の他の例を示す模式図である。
図15図15は、付勢部材が挿通される孔部の配置の他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する複数の実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
実施形態においては、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、熱電発電装置1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。左右方向と前後方向と上下方向とは直交する。
【0011】
(実施形態)
[熱電発電装置]
図1は、実施形態に係る熱電発電装置を示す分解斜視図である。図2は、実施形態に係る熱電発電装置を示す断面図である。熱電発電装置1は、例えば、焼却炉、加熱炉等の設備で熱源になる炉や排気筒等に設置される。熱電発電装置1は、例えば、温度差で発電した電力は系統連係させる。
【0012】
図1及び図2に示すように、熱電発電装置1は、高温板11と、低温板12と、熱電モジュール13と、封止部21と、第1位置決め部31と、第2位置決め部41とを備える。熱電発電装置1は、さらに第1接合部51と、第2接合部52とを有してもよい。熱電発電装置1は、さらに付勢部材61を有してもよい。
【0013】
高温板11は、設備に設置される。高温板11は、矩形の板状の部材である。高温板11は、熱伝導性が高い材料によって形成されている。高温板11は、例えば鋼材またはアルミニウム合金等の金属によって形成されている。高温板11は、設備からの熱を受けとる。高温板11の熱は、図示しない伝熱部材を介して、熱電モジュール13に伝導される。高温板11は、上方を向いた上面(第1面)11aを有する。
【0014】
低温板12は、上下方向において、高温板11と向かい合い、離間して設置される。低温板12は、矩形の板状の部材である。低温板12は、熱伝導性が高い材料によって形成されている。低温板12は、例えば鋼材またはアルミニウム合金等の金属によって形成されている。低温板12は、熱電モジュール13からの熱を受けとる。低温板12の熱は、熱電発電装置1の周囲に放熱されるか水冷される。低温板12は、下方を向いた、高温板11の上面11aと向かい合う下面(第2面)12bを有する。
【0015】
熱電モジュール13は、高温板11と低温板12との間に設置される。より詳しくは、熱電モジュール13は、高温板11の上面11aと低温板12の下面12bとの間に設置される。実施形態では、4つの熱電モジュール13が配置されている。熱電モジュール13は、高温板11と低温板12とによって両側(図中の上下)に温度差を与えることによって、ゼーベック効果により発電する。熱電モジュール13は、第1基板131と、第2基板132と、第1基板131と第2基板132との間に配置される熱電変換素子133とを備える。
【0016】
第1基板131及び第2基板132のそれぞれは、電気絶縁材料で形成される。実施形態において、第1基板131及び第2基板132のそれぞれは、セラミックス又はポリイミドなどで形成される。実施形態において、第1基板131と第2基板132とは、矩形状に形成されている。
【0017】
第1基板131と第2基板132とは、上下方向において、間隔を空けて向かい合う。実施形態において、第2基板132は、第1基板131よりも上方に配置される。第1基板131は、上面131aと下面131bとを有する。第2基板132は、第1基板131の上面131aと向かい合う下面132bと上面132aとを有する。
【0018】
熱電変換素子133は、第1基板131の上面131aと第2基板132の下面132bとの間に1つ以上配置される。複数の熱電変換素子133は、第1電極134及び第2電極135によって接続される。
【0019】
熱電変換素子133は、熱電材料によって形成される。熱電変換素子133を形成する熱電材料として、マンガンケイ化物系化合物(Mn-Si)、マグネシウムケイ化物系化合物(Mg-Si-Sn)、スクッテルダイト系化合物(Co-Sb)、ハーフホイスラ系化合物(Zr-Ni-Sn)、及びビスマステルル系化合物(Bi-Te)が例示される。熱電変換素子133は、マンガンケイ化物系化合物、マグネシウムケイ化物系化合物、スクッテルダイト系化合物、ハーフホイスラ系化合物、又はビスマステルル系化合物から選択される1つの化合物により構成されてもよいし、少なくとも2つの化合物の組み合わせにより構成されてもよい。
【0020】
熱電変換素子133は、p型素子と、n型素子とを含む。p型素子及びn型素子のそれぞれは、所定面内に複数配置される。前後方向において、p型素子とn型素子とは交互に配置される。左右方向において、p型素子とn型素子とは交互に配置される。
【0021】
第1電極134及び第2電極135は、金属により形成される。第1電極134及び第2電極135を形成する金属として、銅(Cu)、銅を含む合金、ニッケル(Ni)、ニッケルを含む合金、アルミニウム(Al)、及びアルミニウムを含む合金が例示される。また、第1電極134及び第2電極135の構造は、Cu、Al、Niのうち2つ又は3つを組み合わせた2層又は3層構造でもよい。これらの第1電極134及び第2電極135の表面がニッケル膜で覆われてもよい。
【0022】
第1電極134は、第1基板131の上面131aに設けられる。第1電極134は、第1基板131の上面131aと平行な所定面内において複数設けられる。第2電極135は、第2基板132の下面132bに設けられる。第2電極135は、第2基板132の下面132bと平行な所定面内において複数設けられる。第1電極134及び第2電極135は、隣接する一対のp型素子及びn型素子のそれぞれに接続される。
【0023】
第1電極134及び第2電極135は、複数の熱電変換素子133を直列に接続する。第1電極134及び第2電極135により複数の熱電変換素子133が直列に接続された直列回路が形成される。p型素子及びn型素子が第1電極134及び第2電極135を介して電気的に接続されることにより、pn素子対が構成される。複数のpn素子対が第1電極134及び第2電極135を介して直列に接続されることにより、複数の熱電変換素子133を含む直列回路が構成される。
【0024】
熱電変換素子133に電流が供給されることにより、熱電モジュール13がペルチェ効果により吸熱又は発熱する。第1基板131と第2基板132との間に温度差が与えられることにより、熱電モジュール13は、ゼーベック効果により発電する。
【0025】
第1電極134が配置された第1基板131の下面131bは、熱電モジュール13の冷却面である。第2電極135が配置される第2基板132の上面132aは、熱電モジュール13の加熱面である。
【0026】
カーボンシート14は、熱伝導性を有する材料である。カーボンシート14は、高温板11の上面11aと熱電モジュール13の下面13bとの間に介在している。実施形態では、カーボンシート14は、高温板11の上面11aの一部と接触している。カーボンシート14は、高温板11の熱を熱電モジュール13の下面13bに伝達する。実施形態において、カーボンシート14は、矩形状に形成されている。
【0027】
カーボンシート15は、熱伝導性を有する材料である。カーボンシート15は、低温板12の下面12bと熱電モジュール13の上面13aとの間に介在している。実施形態では、カーボンシート15は、低温板12の下面12bの全面と接触している。カーボンシート15は、熱電モジュール13の熱を低温板12に伝達する。実施形態において、カーボンシート15は、矩形状に形成されている。
【0028】
封止部21は、矩形の枠形状に形成されている。封止部21は、上下方向視において、高温板11と低温板12との間の周縁部に配置される。封止部21は、高温板11の上面11aと低温板12の下面12bとの間に配置され、高温板11の上面11aの周縁部と、低温板12の下面12bの周縁部とにおいて熱電モジュール13を封止する。
【0029】
封止部21は、第1位置決め部31によって、高温板11に対して固定される。封止部21は、第2位置決め部41によって、低温板12に対して固定される。
【0030】
封止部21は、高温板11及び低温板12よりも熱伝導性が低い材料で形成されている。さらに封止部21は、熱電モジュール13よりも熱伝導性が低い材料で形成されている。これにより、封止部21を介した熱のリークが抑制される。
【0031】
封止部21は、第1位置決め部31及び第2位置決め部32よりも熱膨張係数の大きい材料で形成されている。封止部21は、高温板11及び低温板12より熱膨張係数が大きい材料で形成されている。封止部21は、温度変化に応じて、変形する。封止部21は、温度変化によって、第1位置決め部31及び第2位置決め部32との間に生じる隙間に追従して変形する。
【0032】
封止部21は、耐熱性を有する材料で形成されている。より詳しくは、封止部21は、長期間にわたって、250℃程度の温度と、結露する環境下における使用に耐えうる材料で形成されている。封止部21は、例えば、エンジニアリングプラスチック、炭素繊維強化炭素複合材、セラミック、石英ガラス、又は、金属などの材料で形成されている。エンジニアリングプラスチックは、例えば、PEEK(Poly Ether Ether Ketone)、PI(PolyImide)及びPTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene)が挙げられる。セラミックは、例えばジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素及び炭化ケイ素が挙げられる。金属は、例えばチタン、チタン合金、インコネル、ハステロイ、二モック、ジルコニウムが挙げられる。
【0033】
図3は、封止部と位置決め部との一例を示す断面図である。第1位置決め部31は、高温板11の上面11aの周縁部に配置されている。第1位置決め部31は、封止部21を上面11aの周縁部において位置決めする。第1位置決め部31は、上面11aの周縁部を囲んで配置されている。第1位置決め部31は、上面11aに対して凹状及びは凸状の少なくともどちらの形状に形成されている。実施形態では、図3に示すように、第1位置決め部31は、上面11aに対して凹状、言い換えると、溝状に形成されている。第1位置決め部31には、封止部21の下部が係合する。実施形態では、第1位置決め部31には、上下方向視において、矩形の枠形状に形成されている。
【0034】
第2位置決め部32は、低温板12の下面12bの周縁部に配置されている。第2位置決め部32は、封止部21を下面12bの周縁部において位置決めする。第2位置決め部32は、上面11aの周縁部を囲んで配置されている。第2位置決め部32は、第1位置決め部31と向かい合って配置されている。第2位置決め部32は、下面12bに対して凹状及び凸状の少なくともどちらの形状に形成されている。実施形態では、図3に示すように、第2位置決め部32は、下面12bに対して凹状、言い換えると、溝状に形成されている。第2位置決め部32には、封止部21の上部が係合する。実施形態では、第2位置決め部32には、上下方向視において、矩形の枠形状に形成されている。
【0035】
図4ないし図8を用いて、第1位置決め部31及び第2位置決め部32の他の例を説明する。
【0036】
図4は、封止部と位置決め部との他の例を示す断面図である。図4に示す第1位置決め部31は、上面11aに対して凸状、言い換えると、突起状に形成されている。第1位置決め部31は、上面11aに対して凸状に形成された凸部311と、凸部312とを有する。凸部311と凸部312とは離間して配置されている。凸部311と凸部312との間に形成された凹部313に、封止部21の下部が係合する。第2位置決め部32は、第1位置決め部31と同様に形成されている。凸部311と凸部321、凸部312と凸部322と、凹部313と凹部323は向かい合って配置されている。凸部321と凸部322との間に形成された凹部323に、封止部21の上部が係合する。
【0037】
図5は、封止部と位置決め部との他の例を示す断面図である。図5に示す第1位置決め部31は、上面11aに対して凸状、言い換えると、突起状に形成されている。第1位置決め部31より内側に封止部21が配置されている。第1位置決め部31の面31aと封止部21の下部が接触することによって、封止部21が位置決めされる。第2位置決め部32は、第1位置決め部31と同様に形成されている。第2位置決め部32の面32aと封止部21の上部が接触することによって、封止部21が位置決めされる。
【0038】
図6は、封止部と位置決め部との他の例を示す断面図である。図6に示す第1位置決め部31は、上面11aに対して凹状に形成された凹部311と、上面11aに対して凸状に形成された凸部312とを有する。凸部312は、凹部311より外周側に配置されている。凹部311に、封止部21の下部が係合する。第2位置決め部32は、第1位置決め部31と同様に形成されている。凹部311と凹部321、凸部312と凸部322は向かい合って配置されている。凹部321に、封止部21の上部が係合する。
【0039】
図7は、封止部と位置決め部との他の例を示す断面図である。図7に示す第1位置決め部31は、図3に示す第1位置決め部31と同様に構成されている。図7に示す第2位置決め部32は、図4に示す第2位置決め部32と同様に構成されている。
【0040】
図8は、封止部と位置決め部との他の例を示す断面図である。図8に示す第1位置決め部31は、図4に示す第1位置決め部31と同様に構成されている。図8に第2位置決め部32は、図3に示す第2位置決め部32と同様に構成されている。
【0041】
封止部21は、第1接合部51及び第2接合部52を介して、高温板11と低温板12との間に固定されてもよい。
【0042】
第1接合部51は、封止部21の下部と高温板11の上面11aの第1位置決め部31との間に介在する。第1接合部51は、温度変化に応じて、変形する。第1接合部51は、温度変化によって、封止部21の下部と高温板11の上面11aの第1位置決め部31との間に生じる隙間に追従して変形する。第1接合部51は、封止部21よりも熱膨張係数の大きい材料で形成されている。第1接合部51は、例えば液状ガスケットなどの弾性を有する弾性材料で形成されている。第1接合部51の上端部は、第1位置決め部31の上端部よりも上方まで位置することが好ましい。
【0043】
第2接合部52は、封止部21の上部と低温板12の下面12bの第2位置決め部32との間に介在する。第2接合部52は、温度変化に応じて、変形する。第2接合部52は、温度変化によって、封止部21の上部と低温板12の下面12bの第2位置決め部32との間に生じる隙間に追従して変形する。第2接合部52は、封止部21よりも熱膨張係数の大きい材料で形成されている。第2接合部52は、例えば液状ガスケットなどの弾性を有する弾性材料で形成されている。第2接合部52の下端部は、第2位置決め部32の下端部よりも下方まで位置することが好ましい。
【0044】
付勢部材61は、高温板11と低温板12とを付勢するように配置される。付勢部材61は、高温板11及び低温板12において、熱電モジュール13が配置されている領域を避けて形成される。付勢部材61は、高温板11における第1位置決め部31より外側で、低温板12における第2位置決め部32より外側に複数配置されている。複数の付勢部材61は、高温板11の周縁部からの距離及び低温板12の周縁部からの距離が均等にならないように配置されている。付勢部材61は、軸部611と、頭部612と、コイルスプリング613とを含む。軸部611は、孔部121に挿通される。頭部612は、軸部611の軸方向の一方の端部に配置されている。頭部612の径は、軸部611の径より大きい。コイルスプリング613は、軸部611に挿通され、頭部612の下方かつ低温板12の上方に配置されている。コイルスプリング613は、高温板11と低温板12との間隔を狭くする方向に付勢する。
【0045】
図9は、付勢部材が挿通される孔部の配置の一例を示す模式図である。高温板11及び低温板12には、付勢部材が挿通される孔部が同様に配置されている。ここでは、高温板11に形成された孔部121の配置を説明し、低温板12に形成された孔部の説明を省略する。図9においては、説明の簡略化のため、高温板11の1辺に配置された孔部121を図示し、他の辺に配置された孔部121の図示を省略している。以下の説明においても同様である。付勢部材61が挿入される孔部は、高温板11及び低温板12において、熱電モジュール13が配置されている領域を避けて形成される。付勢部材61が挿入される孔部は、高温板11における第1位置決め部31より外側で、低温板12における第2位置決め部32より外側に配置されている。実施形態では、高温板11の周縁部には、付勢部材61が挿通される孔部121が配置されている。孔部121は、複数配置されている。実施形態では、例えば、高温板11の各辺に3つの孔部121a、121b、121cが配置されている。孔部121の数はこれに限定されない。孔部121a、121b、121cの区別を特に要しない場合、孔部121として説明する。孔部121は、上下方向視において、高温板11の上面11aに配置された第1位置決め部31より外側に配置されている。孔部121は、高温板11の周縁部からの距離及び低温板12の周縁部からの距離が均等にならないように配置されている。孔部121は、周縁部からの距離が不均等であることが好ましい。各辺に配置された孔部121は、直線状に配置されていないことが好ましい。図9に示す例では、高温板11の1辺の中心から端部までの長さをLとすると、隣接する孔部121の間隔は、約2/3Lから3/4L程度である。
【0046】
高温板11又は低温板12が温度負荷により熱変形したり、クリープにより変形したりしても、付勢部材61の付勢力により変形が抑制される。
【0047】
図10図11は、熱電発電装置1の側面を模式的に示す図である。図10は、付勢部材による熱電発電装置の厚さ方向の変形の一例を説明する模式図である。図11は、付勢部材による熱電発電装置の厚さ方向の変形の他の例を説明する模式図である。図10図11では、説明の簡略化のため、熱電発電装置1の構成を模式的に示している。図10に示すように、高温板11及び低温板12の角部を付勢部材61で固定した場合、高温板11及び低温板12の中央部が膨らむ。高温板11及び低温板12の中央部の厚さが、両端部の厚さよりも厚くなる。このように、熱電発電装置1の厚さが不均等になる。図11に示すように、高温板11及び低温板12の角部に加えて、各辺の中間部を付勢部材61で固定した場合、図10に比べて、高温板11及び低温板12の各辺の中間部の膨らみが抑制される。このように、熱電発電装置1の厚さのばらつきが抑制される。これらにより、付勢部材61が挿入される孔部は、高温板11及び低温板12の角部に加えて、各辺の中間部にも配置することが望ましい。
【0048】
図12ないし図15を用いて、孔部121の配置の他の例を説明する。図12は、付勢部材が挿通される孔部の配置の他の例を示す模式図である。図12に示す孔部121a及び孔部121cは、図9に示す孔部121a及び孔部121cと同じ位置に配置されている。孔部121bが、孔部121a及び孔部121cよりも、高温板11の周縁部から離間して、言い換えると、内側に配置されている。孔部121a、孔部121b及び孔部121cは、直線状に配置されていない。
【0049】
図13は、付勢部材が挿通される孔部の配置の他の例を示す模式図である。図13に示す孔部121bは、図9に示す孔部121bと同じ位置に配置されている。孔部121a及び孔部121cが、孔部121bよりも、高温板11の周縁部から離間して、言い換えると、内側に配置されている。孔部121a、孔部121b及び孔部121cは、直線状に配置されていない。
【0050】
図14は、付勢部材が挿通される孔部の配置の他の例を示す模式図である。図14においては、説明の簡略化のため、高温板11の2辺に配置された孔部121を図示し、他の2辺に配置された孔部121の図示を省略している。図15においても同様である。図14に示す孔部121a、孔部121b及び孔部121cは、図12に示す孔部121a、孔部121b及び孔部121cと同じ位置に配置されている。図14に示す孔部121d、孔部121e及び孔部121fは、図13に示す孔部121a、孔部121b及び孔部121cを、高温板11の中心点を中心にして反時計回りに90°回転させた位置に配置されている。
【0051】
図15は、付勢部材が挿通される孔部の配置の他の例を示す模式図である。図15に示す孔部121a、孔部121b及び孔部121cは、図12に示す孔部121a、孔部121b及び孔部121cと同じ位置に配置されている。図15に示す孔部121d、孔部121e及び孔部121fは、図12に示す孔部121a、孔部121b及び孔部121cを、高温板11の中心点を中心にして反時計回りに90°回転させた位置に配置されている。
【0052】
[作用]
このようにして、高温板11と低温板12との間に配置された熱電モジュール13が、耐熱性を有する材料で形成された封止部21によって封止される。
【0053】
[効果]
以上説明したように、実施形態では、高温板11と低温板12との間に配置された熱電モジュール13を、耐熱性を有する封止部21によって封止することができる。実施形態によれば、長期間に亘る、高温かつ結露する環境下での使用においても、封止性を保つことができる。実施形態によれば、水分の侵入による故障の発生を抑制して、安定して発電することができる。
【0054】
実施形態では、第1位置決め部31は、高温板11の上面11aに対して凹状及び凸状の少なくともどちらかの形状に形成されている。第2位置決め部32は、低温板12の下面12bに対して凹状及び凸状の少なくともどちらかの形状に形成されている。実施形態では、封止部21の下部と第1位置決め部31、及び、封止部21の上部と第2位置決め部32との接続部が、1つの平面ではなく異なる方向を向いた複数の面で接触する。これにより、実施形態では、封止部21と、第1位置決め部31及び第2位置決め部32とによって、外部からの水の侵入を抑制することができる。
【0055】
実施形態では、温度変化によって、封止部21の下部と高温板11の上面11aの第1位置決め部31との間に生じた隙間が、第1接合部51によって封止される。実施形態では、温度変化によって、封止部21の上部と低温板12の下面12bの第2位置決め部32との間に生じた隙間が、第2接合部52によって封止される。実施形態によれば、長期間に亘る、高温かつ結露する環境下での使用においても、封止性を保つことができる。
【0056】
実施形態では、封止部21は、高温板11及び低温板12よりも熱伝導性が低い材料で形成されている。実施形態によれば、封止部21を介した熱のリークを抑制することができる。
【0057】
実施形態では、封止部21は、第1位置決め部31及び第2位置決め部32よりも熱膨張係数の大きい材料で形成されている。実施形態では、封止部21は、高温板11及び低温板12より熱膨張係数が大きい材料で形成されている。実施形態によれば、封止部21は、温度変化によって、第1位置決め部31及び第2位置決め部32との間に生じる隙間に追従して変形して封止性を保つことができる。実施形態によれば、長期間に亘る、高温かつ結露する環境下での使用においても、封止性を保つことができる。
【0058】
実施形態では、付勢部材61によって、高温板11と低温板12とが、間隔を狭くする方向に付勢された状態で固定されている。実施形態によれば、温度変化によらず、高温板11と低温板12とを適切に固定することができる。実施形態によれば、高温板11又は低温板12が温度負荷により熱変形したり、クリープにより変形したりしても、付勢部材61の付勢力により変形を抑制できる。実施形態によれば、長期間に亘る、高温かつ結露する環境下での使用においても、封止性を保つことができる。
【0059】
実施形態では、複数の付勢部材61は、高温板11及び低温板12の周縁部からの距離が均等にならないように配置されている。実施形態によれば、熱電発電装置1の厚さのばらつきを抑制することができる。
【符号の説明】
【0060】
1…熱電発電装置、11…高温板、11a…上面(第1面)、12…低温板、12b…下面(第2面)、13…熱電モジュール、131…第1基板、131a…上面、131b…下面、132…第2基板、132a…上面、132b…下面、133…熱電変換素子、134…第1電極、135…第2電極、14…カーボンシート、15…カーボンシート、21…封止部、31…第1位置決め部、32…第2位置決め部、51…第1接合部、52…第2接合部。
図1
図2
図3
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図5
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図10
図11
図12
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図15