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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099395
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】箱、及び包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/22 20060101AFI20220628BHJP
   B65D 5/62 20060101ALI20220628BHJP
   B65D 5/20 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
B65D5/22 C
B65D5/62 A
B65D5/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213132
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】590005748
【氏名又は名称】株式会社エーワン
(74)【代理人】
【識別番号】230117536
【弁護士】
【氏名又は名称】中 紀人
(74)【代理人】
【識別番号】230117547
【弁護士】
【氏名又は名称】橋本 芳則
(74)【代理人】
【識別番号】230109737
【弁護士】
【氏名又は名称】森本 純
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】田部 智也
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB17
3E060BA24
3E060BB01
3E060BC02
3E060CD04
3E060CD13
3E060CG12
3E060DA25
(57)【要約】
【課題】輸送や保管に便利な偏平な形態とすることができるとともに、簡易な操作で使用可能な状態となる立体的な形態とすることができる箱、及び当該箱を備えた包装容器を提供する。
【解決手段】箱の箱本体5は、底面を形成する平坦部15と、平坦部15を囲むように平坦部15に連設される柔軟な膜状の側部20と、平坦部15側に折り返し可能に側部20に連設され、平坦部15側への折り返し操作で起立状態となる保形材40とを備える。包装容器は、上記の箱と、当該箱と組み合わされる別体の箱とを備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面又は天面を形成する平坦部と、
前記平坦部を囲むように当該平坦部に連設される柔軟な膜状の側部と、
前記平坦部側に折り返し可能に前記側部に連設され、前記平坦部側への折り返し操作で起立状態となる保形材と、
を備える箱。
【請求項2】
前記側部は、
前記平坦部の回りに配設される複数の分割側部と、
前記複数の分割側部における隣り合う分割側部どうしを固定する固定手段と、
を含む請求項1に記載の箱。
【請求項3】
前記平坦部に重ね合わされる補強材を備える請求項1又は2に記載の箱。
【請求項4】
前記補強材は、外周縁に形成される凹部又は凸部を有し、
前記保形材は、前記起立状態のときに、前記補強材に形成された前記凹部又は凸部に係合する凸部又は凹部を有する請求項3に記載の箱。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の箱と、
前記箱と組み合わされる別体の箱と、
を備える包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏平な形態と立体的な形態とを切り換え可能な箱、及び当該箱を備えた包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、紙製の箱として、トムソン箱がある(例えば、特許文献1を参照)。トムソン箱は、箱の展開状態の部材であるブランクを、シート状の材料からトムソン型を用いて打ち抜き、得られたブランクを折り曲げる等して立体的に組み立てて作製されるものである。組立前のブランクは薄板状であるため、多数枚のブランクを積み重ねることができ、輸送や保管のためのコストを低く抑えることができるという利点がある。
【0003】
トムソン箱とは別に貼箱がある(例えば、特許文献2を参照)。貼箱は、打抜加工等で得られた芯材を立体的に組み立て、化粧紙を外面側に貼り付けて作製されるものである。貼箱は、華やかで見栄えが良く、高級感がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭58-41318号公報
【特許文献2】特開2005-212800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トムソン箱の組立は、一般的に機械では難しく、手作業で行うことになる。従って、トムソン箱では、組立に手間と時間とを要するという問題がある。一方、貼箱は、既に立体的に組み立てられた状態で輸送や保管をしなければならず、そのために輸送や保管にかかるコストが高くなるという問題がある。
【0006】
貼箱やトムソン箱に限らず、輸送や保管に便利で、しかも簡易な操作で使用可能な状態となる構造の箱が望まれている。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、輸送や保管に便利な偏平な形態とすることができるとともに、簡易な操作で使用可能な状態となる立体的な形態とすることができる箱、及び当該箱を備えた包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係る箱の特徴構成は、
底面又は天面を形成する平坦部と、
前記平坦部を囲むように当該平坦部に連設される柔軟な膜状の側部と、
前記平坦部側に折り返し可能に前記側部に連設され、前記平坦部側への折り返し操作で起立状態となる保形材と、
を備えることにある。
【0009】
本構成の箱によれば、保形材が起立されていない状態では、平坦部に連設される柔軟な膜状の側部が保形材によって保形されずに偏平な形態となる。従って、箱全体を輸送や保管に便利な偏平な形態とすることができる。保形材は、平坦部側に折り返し可能に側部に連設されており、平坦部側への折り返し操作で起立状態となる。側部は、起立状態の保形材によって起立した形状が保たれることになる。従って、保形材を平坦部側へと折り返すといった簡易な操作により、使用可能な状態となる立体的な形態とすることができる。なお、本発明において「箱」とは、保形材が起立されていない偏平な形態の箱と、保形材が起立された立体的な形態の箱との両方を包含する。
【0010】
本発明に係る箱において、
前記側部は、
前記平坦部の回りに配設される複数の分割側部と、
前記複数の分割側部における隣り合う分割側部どうしを固定する固定手段と、
を含むことが好ましい。
【0011】
本構成の箱によれば、隣り合う分割側部どうしを固定手段によって固定するだけで、平坦部を囲むように平坦部に連設される側部を容易に形成することができる。
【0012】
本発明に係る箱において、
前記平坦部に重ね合わされる補強材を備えることが好ましい。
【0013】
本構成の箱によれば、平坦部に荷重が作用しても、平坦部によって形成される底面又は天面の形状を補強材によって確実に保つことができ、箱内の収容物の保護機能を高めることができる。
【0014】
本発明に係る箱において、
前記補強材は、外周縁に形成される凹部又は凸部を有し、
前記保形材は、前記起立状態のときに、前記補強材に形成された前記凹部又は凸部に係合する凸部又は凹部を有することが好ましい。
【0015】
本構成の箱によれば、補強材の凹部又は凸部と保形材の凸部又は凹部との係合によって補強材と保形材とが係止されるので、補強材の外周縁に沿う保形材の相対移動が阻止される。従って、外力の作用によって箱が変形するのを抑えることができ、箱内の収容物の保護機能をより高めることができる。
【0016】
次に、上記課題を解決するための本発明に係る包装容器の特徴構成は、
上記の何れかの箱と、
前記箱と組み合わされる別体の箱と、
を備えることにある。
【0017】
本構成の包装容器によれば、当該包装容器を構成する身側の箱及び蓋側の箱の少なくとも一方の箱は、保形材が起立されない状態において、箱全体を輸送や保管に便利な偏平な形態とすることができるとともに、保形材を平坦部側へと折り返すといった簡易な操作により、使用可能な状態となる立体的な形態とすることができる。従って、輸送や保管に便利で、しかも容易に組立可能な包装容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る箱を示し、(a)は全体斜視図、(b)は分解斜視図、(c)は正面図、(d)は平面図、(e)は底面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る箱において、折返し部を保形材と共に閉じた箱本体の偏平形態を示し、(a)は全体斜視図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は平面図、(e)は底面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る箱において、折返し部を保形材と共に開いた箱本体の偏平形態を示し、(a)は全体斜視図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は平面図、(e)は底面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る箱の箱本体を展開して示す斜視図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る箱において隣り合う分割側部どうしを固定する固定手段の構造説明図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る箱における補強材と保形材との係止構造を示し、(a)は補強材の凹部と保形材の凸部との係合による係止構造説明図、(b)は補強材の凸部と保形材の凹部との係合による係止構造説明図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る箱の箱本体の組み立て説明図であって、(a)は一対の折返し部の折返し前状態図、(b)は一対の折返し部の折返し後状態図である。
図8図8は、本発明の箱を備えた包装容器を示し、(a)は身箱及び蓋箱が共に本発明の箱の場合、(b)は身箱が本発明の箱で蓋箱がトムソン箱の場合、(c)は身箱がトムソン箱で蓋箱が本発明の箱の場合(1)、(d)は身箱がトムソン箱で蓋箱が本発明の箱の場合(2)である。
図9図9は、隣り合う分割側部どうしを固定する別態様の固定手段を備えた別実施形態(1)に係る箱を示し、(a)は箱本体の展開状態の要部斜視図、(b)は箱本体の側部が立ち上げられた状態の要部斜視図である。
図10図10は、補強材と保形材との係合による別態様の係止構造を備えた別実施形態(2)に係る箱を示し、(a)は箱本体の展開状態の保形材取付面側の要部斜視図、(b)は箱本体の展開状態の保形材非取付面側の要部斜視図、(c)は折返し部を保形材と共に起立させて立体的な形態とされた箱本体を斜め上方から見た図、(d)は立体的な形態の箱本体に補強材が装着された状態図である。
図11図11は、箱本体の内角部を覆うための被覆構造を備えた別実施形態(3)に係る箱を示し、組立途中の箱本体の角部の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることは意図しない。
【0020】
<概略構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る箱を示し、(a)は全体斜視図、(b)は分解斜視図、(c)は正面図、(d)は平面図、(e)は底面図である。図1(a)乃至(e)に示すように、箱1は、箱本体5と、箱本体5の内部に配設される補強材10とを備えて構成されている。箱本体5は、底面又は天面(図1に示す例では底面)を形成する平坦部15と、平坦部15を囲むように平坦部15に連設される側部20とを備えている。
【0021】
図2は、本発明の一実施形態に係る箱において、折返し部を保形材と共に閉じた箱本体の偏平形態を示し、(a)は全体斜視図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は平面図、(e)は底面図である。また、図3は、本発明の一実施形態に係る箱において、折返し部を保形材と共に開いた箱本体の偏平形態を示し、(a)は全体斜視図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は平面図、(e)は底面図である。図2(a)乃至(e)並びに図3(a)乃至(e)に示すように、箱本体5は、偏平な形態に折り畳み可能に構成されている。
【0022】
<箱本体>
図4は、本発明の一実施形態に係る箱の箱本体を展開して示す斜視図である。なお、図4において、本発明の箱1の箱本体5は、主に後述する主材シート35と保形材40とで構成されていることが示されているが、主材シート35や保形材40の厚み関係は図示による理解の容易化のため適宜誇張又は簡略化しており、実際の箱本体5における主材シート35や保形材40の厚みの大小関係(縮尺)を厳密に反映したものではない。
【0023】
箱本体5は、図4の展開図に示す展開シート30の要所を後述するように接合し、後述する所定の操作にて所要部分を折り曲げることによって組み立てられる。展開シート30は、原料シートから所要の打抜加工や裁断加工等によって箱の展開形状に形成された主材シート35と、主材シート35の要所(後述する折返し部60)に接合(貼着)される保形材40とを備えている。
【0024】
主材シート35は、矩形状の平坦部15と、平坦部15の四辺に対応するように平坦部15の回りに配される4つの分割側部25とを備えている。
【0025】
<平坦部>
平坦部15は、箱としての使い易さや製造コストの観点から、正方形状又は長方形状に形成されることが好ましい。本例では、平坦部15は正方形状に形成されている。ただし、平坦部15の形状はこれに限定されるものではなく、三角形状、五角形以上の多角形状、円形状、楕円形状等、箱のデザイン等に応じて適宜に選択可能である。なお、「平坦」とは、完全に平らな平滑面状であるという意味と、例えば、意匠性を付与するためにエンボス加工やデボス加工等によって表面に凹凸が付されているが、面積の大きさに対し凹凸の深さ・高さの大きさが無視できる程に小さく実質的に平らな面であるという意味との両方を含む。
【0026】
<側部>
側部20は、4つの分割側部25と、これら分割側部25における隣り合う分割側部どうしを固定する後述の固定手段50とを含む。
【0027】
<分割側部>
分割側部25は、平坦部15に折目26を介して連設されている。分割側部25は、矩形状であり、本例では平坦部15における当該分割側部25が連設されている辺が延びる方向に長い長方形状である。
【0028】
<連結フラップ>
分割側部25の両端部には、一対の折目27を介して一対の連結フラップ55が連設されている。一対の連結フラップ55は、平坦部15の四辺のうち、対向する一対の二辺に対応して配設される一対の分割側部25にのみ連設されている。
【0029】
<折返し部>
分割側部25には、折目28を介して折返し部60が連設されている。折返し部60は、分割側部25と同様に矩形状(長方形状)であり、折目28を基準に平坦部15側に折り返したときに、分割側部25の全体を覆うように重なり合う大きさに設定されている。
【0030】
主材シート35としては、柔軟な膜状の材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、織物、編物、不織布等の布帛類や、樹脂フィルム、紙ラミネート、金属と樹脂との複合フィルム等、人工皮革、合成皮革、天然皮革等の皮革類などが挙げられる。箱1を貼箱として使用する場合、美麗な色彩や模様等の装飾が付された主材シート35が採用される。
【0031】
なお、主材シート35における折目26~28については、製造の容易化のために主材シート35に付す場合と、製造上問題なければ主材シート35に付さない場合とがあるが、本明細書では、平坦部15、分割側部25及び折返し部60の区画領域を分かり易くする等の理由により、主材シート35に折目26~28が付されているものとして説明している(後述する折目81~88についても同様)。
【0032】
<固定手段>
図5は、本発明の一実施形態に係る箱において隣り合う分割側部どうしを固定する固定手段の構造説明図である。図5に示すように、固定手段50は、隣り合う分割側部25における一方の分割側部25(図5において左側の分割側部25)に連設された連結フラップ55と、この連結フラップ55を他方の分割側部25(図5において右側の分割側部25)に接合する接合手段としての接着層57とを含む。固定手段50においては、隣り合う分割側部25を互いに引き寄せ、一方の分割側部25に連設された連結フラップ55と、他方の分割側部25との間に接着層57が形成されるように、連結フラップ55及び/又は他方の分割側部25に例えば接着剤を塗布し、連結フラップ55と他方の分割側部25とを接着剤により形成される接着層57を介して重ね合わせて養生することで両者を固定する。こうして、4つの分割側部25における隣り合う分割側部25を固定手段50によって固定することにより、平坦部15を囲むように平坦部15に連設される柔軟な膜状の側部20を容易に形成することができる。
【0033】
なお、上記接着層57は、両面粘着テープによって形成してもよい。また、連結フラップ55を他方の分割側部25に接合する接合手段としては、接着層57によるものに限定されず、例えば、ループ状部とフック状部との係合により接合する構成の面ファスナーや、雄雌部材の係合により接合する構成のホック等を採用してもよい。その他、上記接合手段として、連結フラップ55と他方の分割側部25との縫い合わせにより接合する縫糸を採用してもよい。
【0034】
<保形材>
図4に示すように、保形材40は、折返し部60の全体を覆うように折返し部60に両面粘着テープや接着剤等により形成される接着層63を介して貼着されている。折返し部60において、保形材40が貼着される面は、折目28を基準に折返し部60を平坦部15側に折り返したときに分割側部25と対向する側の面である。保形材40は、折目28を基準に折返し部60を平坦部15側に折り返して折返し部60及び分割側部25の全体が重なり合ったときに、折返し部60と分割側部25との間に配されることになる。こうして、保形材40は、分割側部25に折目28及び折返し部60を介して平坦部15側に折り返し可能に連設され、平坦部15側への折り返し操作で起立状態となる。
【0035】
なお、本実施形態では、分割側部25に折目28を介して連設される折返し部60に保形材40を貼着することにより、保形材40を平坦部15側に折り返し可能に側部20(分割側部25)に連設する例を示したが、これに限定されるものではなく、折返し部60を省略し、保形材40を分割側部25の端縁に直接接着したり、分割側部25の端縁に貼付け代を連設し、当該貼付け代に保形材40を貼着したり、分割側部25の端縁と保形材40の端縁との両方に跨るように粘着テープを貼り付けたりすることにより、保形材40を平坦部15側に折り返し可能に側部20(分割側部25)に連設するようにしてもよい。要するに、保形材40が平坦部15側に折り返し可能に側部20(分割側部25)に連なった状態で接続されればよく、側部20(分割側部25)に保形材40を接続する手段は特に限定されるものではない。
【0036】
保形材40としては、折返し部60及び分割側部25を起立状態で板状の形に保つことができる程度の剛性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、段ボールシートやボール紙、樹脂板、金属板等が挙げられる。
【0037】
<補強材>
図1(b)に示すように、補強材10は、平坦部15上に重ね合わせたときにその平坦部15の全体を覆うことができる矩形(本例の場合、正方形)の所定厚みの板状に形成されている。補強材10としては、平坦部15に剛性を付与する機能を有する材料であれば特に限定されるものではなく、保形材40と同様に、例えば、段ボールシートやボール紙、樹脂板、金属板等が挙げられる。このような、平坦部15に重ね合わされる補強材10を備えることにより、平坦部15に荷重が作用しても、平坦部15によって形成される底面又は天面(本例では底面)の形状を補強材10によって確実に保つことができ、箱本体5内の収容物の保護機能を高めることができる。
【0038】
<係止構造>
図6は、本発明の一実施形態に係る箱における補強材と保形材との係止構造を示す。図6(a)は補強材の凹部と保形材の凸部との係合による係止構造説明図である。図6(a)に示すように、補強材10の外周縁には、補強材10の四辺のそれぞれに対応するように凹部11が形成されている。凹部11は、補強材10の外周部において、補強材10の各辺の長さ方向の中央を所定長さで矩形状に切り欠いた形状に形成されている。保形材40には、当該保形材40が折返し部60と共に後述する折返し操作にて起立状態とされたとき、平坦部15上に重ね合わされる補強材10に形成された凹部11に係合する凸部41が形成されている。
【0039】
補強材10と保形材40との係止構造は、図6(b)に示す係止構造を採用してもよい。すなわち、図6(b)に示すように、補強材10の外周縁には、補強材10の四辺のそれぞれに対応するように凸部12が形成されている。凸部12は、補強材10の外周部において、補強材10の各辺の長さ方向の中央を所定長さで補強材10の外周面から離れる方向に矩形状に突出させた形状に形成されている。保形材40には、当該保形材40が折返し部60と共に後述する折返し操作にて起立状態とされたとき、平坦部15上に重ね合わされる補強材10に形成された凸部12に係合する凹部42が形成されている。
【0040】
こうして、補強材10の凹部11又は凸部12と保形材40の凸部41又は凹部42との係合によって補強材10と保形材40とが係止されることにより、補強材10の外周縁に沿う保形材40の相対移動が阻止される。従って、外力の作用によって箱本体5が変形するのを抑えることができ、箱本体5内の収容物の保護機能をより高めることができる。
【0041】
<箱の輸送・保管時の形態>
箱1を輸送・保管する際には、図2(a)及び図3(a)に示すように、箱本体5を偏平形態として多数重ね合わせるとともに、図1(b)に示す補強材10についても多数重ね合わせて、両者をセットとして出荷に備える。
【0042】
図2(a)に示す偏平形態は、箱本体5における保形材40(図示せず)が接合された4つの折返し部60を保形材40と共に起立させずに、4つの折返し部60における対向位置に配される一対の折返し部60を保形材40と共に平坦部15上に折り重ね、残りの他の一対の折返し部60を、既に平坦部15上に保形材40と共に折り重ねた一対の折返し部60の上に保形材40と共に折り重ねることで箱本体5の全体の嵩を低くしたものである。一方、図3(a)に示す偏平形態は、箱本体5における保形材40が接合された4つの折返し部60を起立させずに、4つの折返し部60を保形材40と共に平坦部15の外側に開いて広げることで箱本体5の全体の嵩を低くしたものである。
【0043】
図2(a)に示す偏平形態は、4つの折返し部60を保形材40と共に閉じて平坦部15上に折り重ねる形態であるため、輸送・保管時における積載場所や保管場所に対する偏平形態の箱本体5の載置時の占有面積が図3(a)に示す偏平形態よりも小さくなる。従って、図2(a)に示す偏平形態は、輸送・保管時における積載場所や保管場所に対する箱本体5の載置時の占有面積を抑えたいときに好適な形態である。
【0044】
図3(a)に示す偏平形態は、4つの折返し部60を保形材40と共に平坦部15の外側に開いて広げる形態であるため、全体の厚みが図2(a)に示す偏平形態よりも小さくなる。従って、図3(a)に示す偏平形態は、輸送・保管時における箱本体5の積重ねの嵩をより抑えたいときや、一定の高さ制限のもとで可及的に多くの箱本体5を積み重ねたいときに好適な形態である。
【0045】
図2(a)に示す偏平形態、及び図3(a)に示す偏平形態の何れの偏平形態を採用するかは任意であり、積載場所や保管場所の広さや高さのみならず、それ以外の諸事情を考慮して適宜に選択すればよい。
【0046】
<箱の立体的な形態への組立手順>
図7は、本発明の一実施形態に係る箱の箱本体の組み立て説明図であって、(a)は一対の折返し部の折返し前状態図、(b)は一対の折返し部の折返し後状態図である。図2(a)に示す偏平形態の場合は、平坦部15上に保形材40と共に折り重ねた4つの折返し部60の全てを各保形材40と共に平坦部15の外側に広げて図3(a)に示す偏平形態とする。図3(a)に示す偏平形態において、折畳状態の柔軟な膜状の側部20に対し、平坦部15を下方へと押し出すようにして、図7(a)に示すように、平坦部15に対し側部20を立ち上がらせた状態とする。そして、例えば、対向位置に配される一対の折返し部60を保形材40と共に平坦部15側に折り返し、保形材40の端縁(凸部41)を平坦部15上で滑らせながら、保形材40が側部20に対向接触するように保形材40を側部20に近づけていき、図7(b)に示すように、対向位置に配される一対の折返し部60を保形材40と共に側部20に起立状態で折り重ねる。続いて、図7(b)に示すように、対向位置に配される残りの他の一対の折返し部60も同様にして、保形材40と共に側部20に起立状態で折り重ねる。こうして、保形材40及び折返し部60の平坦部15側への折り返し操作で保形材40が起立状態となると、側部20は、起立状態の保形材40によって起立した形状が保たれることになる。従って、保形材40を折返し部60と共に平坦部15側へと折り返すといった簡易な操作により、箱本体5を使用可能な状態となる立体的な形態とすることができる。
【0047】
また、上記において例示した箱本体5の組立方法とは別の組立方法の一例として、図2(a)に示す偏平形態において、4つの折返し部60のうち、既に平坦部15上に折り重ねられた一対の折返し部60の上に更に折り重ねられた一対の折返し部60を保形材40と共に平坦部15の外側に広げ、その後、残りの平坦部15上に折り重ねられている一対の折返し部60を、図7(b)に示すように、保形材40と共に平坦部15側に折り返すと同時に、平坦部15に対し側部20を立ち上がらせ、保形材40の端縁(凸部41)を平坦部15上で滑らせながら、保形材40が側部20に対向接触するように保形材40を側部20に近づけていき、対向位置に配される一対の折返し部60を保形材40と共に側部20に起立状態で折り重ねる。続いて、対向位置に配される残りの他の一対の折返し部60も同様にして、保形材40と共に側部20に起立状態で折り重ねる。こうして、箱本体5を使用可能な立体的な形態とすることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、対向位置に配される一対の折返し部60を保形材40と共に平坦部15側に折り返す工程と、対向位置に配される他の一対の折返し部60を保形材40と共に平坦部15側に折り返す工程との2工程で箱本体5を組み立てる例を説明したが、これに限定されるものではなく、4つの折返し部60を各保形材40と共に一つずつ順次に平坦部15側に折り返して箱本体5を立体的な形態とするように組み立ててもよい。要するに、どのような手順であっても、全ての折返し部60を保形材40と共に平坦部15側に折り返す作業を行なえば、箱本体5を使用可能な立体的な形態とすることができる。
【0049】
上記のようにして、立体的な形態に組み立てられた箱本体5の平坦部15上に、補強材10を重ね合わせるように載置する(図1(a)及び(b)参照)。そして、図6(a)に示すように、補強材10の凹部11と保形材40の凸部41とを係合させて、補強材10と保形材40とを係止する。こうして、箱1の組み立てが完了する。
【0050】
<包装容器>
図8は、本発明の箱を備えた包装容器を示し、(a)は身箱及び蓋箱が共に本発明の箱の場合、(b)は身箱が本発明の箱で蓋箱がトムソン箱の場合、(c)は身箱がトムソン箱で蓋箱が本発明の箱の場合(1)、(d)は身箱がトムソン箱で蓋箱が本発明の箱の場合(2)である。
【0051】
図8(a)に示す包装容器100においては、上記の箱1を、包装対象の物品を収容する身箱1Aとして用い、上記の箱1と基本的に同構造で蓋としての使用に適したものを、身箱1Aと組み合わせる蓋箱1Bとして用いている。蓋箱1Bにおいて、平坦部15は、天面を形成し、身箱1Aの開口全体を覆うことができる大きさに設定されている。また、蓋箱1Bにおいて、側部20は、身箱1Aの側部20の上端部を外側から取り囲むことができるように開口の大きさや、高さ寸法等が設定されている。それ以外について、蓋箱1Bは、基本的に上記の箱1と同様である。
【0052】
図8(b)に示す包装容器200においては、上記の箱1を、包装対象の物品を収容する身箱1Aとして用い、箱の展開状態の部材であるブランクを折り曲げる等して立体的に組み立てることで蓋としての使用に適したトムソン箱を、身箱1Aと組み合わせる蓋箱201として用いている。
【0053】
図8(c)に示す包装容器300においては、箱の展開状態の部材であるブランクを折り曲げる等して立体的に組み立てることで身としての使用に適したトムソン箱を身箱301として用い、上記の箱1と基本的に同構造で蓋としての使用に適したものを、身箱301と組み合わせる蓋箱1Bとして用いている。
【0054】
図8(d)に示す包装容器400は、図8(c)と同様に身箱301と蓋箱1Bとを組み合わせたものであるが、蓋箱1Bにおける側部20は、身箱301に蓋箱1Bを被せて閉じ合わせたときに、身箱301の側部全体を覆い隠すことができる高さ寸法に設定されている。これにより、身箱301が蓋箱1Bによって覆い隠されて身箱301が外観視で見えなくなり、包装容器400の外観は蓋箱1Bの外観となり、身箱301がトムソン箱であっても、蓋箱1Bが貼箱(本発明の箱)であれば、包装容器400の外観は貼箱に見えるため、比較的安価なトムソン箱を身箱として用いることでコストダウンを図りつつ、華やかで見栄えが良く、高級感のある包装容器400を提供することができる。
【0055】
上記の包装容器100,200,300,400によれば、当該包装容器100,200,300,400を構成する身箱及び蓋箱の少なくとも一方の箱(1A,1B)は、保形材40が起立されない状態において、箱全体を輸送や保管に便利な偏平な形態とすることができるとともに、折返し部60を保形材40と共に平坦部15側へと折り返す操作によって使用可能な立体的な形態とすることができる。従って、輸送や保管に便利で、しかも容易に組立可能な包装容器100,200,300,400を提供することができる。
【0056】
以上、本発明の箱、及び包装容器について、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。具体的な別実施形態は以下のとおりである。なお、以下の別実施形態(1)~(3)において、上記実施形態と同一又は同様のものについては、図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0057】
〔別実施形態(1)〕
図9は、隣り合う分割側部どうしを固定する別態様の固定手段を備えた別実施形態(1)に係る箱を示し、(a)は箱本体の展開状態の要部斜視図、(b)は箱本体の側部が立ち上げられた状態の要部斜視図である。図9(a)及び(b)に示すように、固定手段70は、隣り合う分割側部25における一方の分割側部25(図9(a)及び(b)において左側の分割側部25)と他方の分割側部25(図9(a)及び(b)において右側の分割側部25)とを連結する菱形状の連結フラップ75と、この連結フラップ75を、例えば、他方の分割側部25(図9(a)及び(b)において右側の分割側部25)に接合する接合手段としての接着層77とを含む。
【0058】
図9(a)に示すように、連結フラップ75は、一方の分割側部25に折目81を介して一体的に繋がれるとともに、他方の分割側部25に折目82を介して一体的に繋がれている。連結フラップ75には、一方の分割側部25と他方の分割側部25との中間位置において当該連結フラップ75を二分するように対角線上に折目83が付されている。こうして、隣り合う分割側部25の間に連結フラップ75によって隙間が生じないようにするとともに、側部20の内方側に折山80が生じるように連結フラップ75を折目83で内向きに二つ折に折り込むことができるようにされている。
【0059】
図9(b)に示すように、固定手段70においては、側部20の内方側に折山80が生じるように連結フラップ75が折目83で内向きに二つ折に折り込まれ、二つ折に折り込まれた連結フラップ75と、他方の分割側部25との間に接着層77が形成されるように、二つ折の連結フラップ75及び/又は他方の分割側部25に例えば接着剤を塗布し、二つ折の連結フラップ75と他方の分割側部25とを接着剤により形成される接着層77を介して重ね合わせて養生することで両者を固定する。こうして、4つの分割側部25における隣り合う分割側部25を固定手段70によって固定することにより、平坦部15を囲むように平坦部15に連設される柔軟な膜状の側部20を容易に形成することができる。なお、必要に応じて、二つ折に折り込まれる連結フラップ75の対向面どうしを、別途形成した接着層を介して固定してもよい。
【0060】
〔別実施形態(2)〕
図10は、補強材と保形材との係合による別態様の係止構造を備えた別実施形態(2)に係る箱を示し、(a)は箱本体の展開状態の保形材取付面側の要部斜視図、(b)は箱本体の展開状態の保形材非取付面側の要部斜視図、(c)は折返し部を保形材と共に起立させて立体的な形態とされた箱本体を斜め上方から見た図、(d)は立体的な形態の箱本体に補強材が装着された状態図である。
【0061】
図10(a)に示すように、箱本体5は、保形材40を起立状態に係止するための係止部71,72をさらに備えている。すなわち、図10(a)に示すように、保形材40には、折目84を介して第一係止部71が連設されるとともに、折目85を介して一対の第二係止部72が連設されている。保形材40は、上記実施形態と同様に、折返し部60の全体を覆うような長方形板状に形成されている。第一係止部71は、保形材40が折返し部60と共に前述した折り返し操作によって起立状態とされたときに、保形材40における平坦部15に対応(近接)する側の辺(長辺)に折目84を介して連設されている。第二係止部72は、保形材40が折返し部60と共に前述した折り返し操作によって起立状態とされたときに、保形材40における側部20(分割側部25)に対応(近接)する側の辺(短辺)に折目85を介して連設されている。第一係止部71は、保形材40の短手方向で、且つ保形材40から離れる方向に進むに従って幅が次第に狭くなるような台形板状に形成されている。第二係止部72は、保形材40の長手方向で、且つ保形材40から離れる方向に進むに従って幅が次第に狭くなるような台形板状に形成されている。なお、ここでは、箱本体5が第一係止部71及び第二係止部72の両方を備える態様を例示したが、これに限定されるものではなく、第一係止部71のみ、又は第二係止部72のみを備える態様もある。
【0062】
図10(b)に示すように、主材シート35においては、第一係止部71(図10(a)参照)を覆うように、折返し部60に折目86を介して第一被覆部91が連設されるとともに、第二係止部72(図10(a)参照)を覆うように、折返し部60に折目87を介して第二被覆部92が連設されている。
【0063】
図10(c)に示すように、箱本体5を立体的な形態へとする際には、上記実施形態と同様に、まず、対向位置に配される一対の折返し部60を保形材40と共に平坦部15側に折り返し、保形材40と共に側部20に起立状態で折り重ねる。その際、第一係止部71は、保形材40が起立状態のときに、平坦部15と対向するように、第一被覆部91と共に折目84,86(図10(a)及び(b)参照)を基準に折り曲げる。また、第二係止部72は、保形材40が起立状態のときに、側部20(分割側部25)と対向するように、第二被覆部92と共に折目85,87(図10(a)及び(b)参照)を基準に折り曲げる。こうして、折返し部60が保形材40と共に側部20に起立状態で折り重ねられると、第一係止部71が自身の弾性力によって平坦部15に押圧状態で当接するとともに、第二係止部72が自身の弾性力によって側部20(分割側部25)に押圧状態で当接し、第一係止部71と平坦部15との間、及び第二係止部72と側部20(分割側部25)との間のそれぞれの摩擦力が増大するため、対向位置に配される一対の折返し部60及び保形材40が起立状態で係止されることになる。なお、第一係止部71及び第二係止部72は、折返し部60を保形材40と共に平坦部15側に折り返す操作を行う前に、予めある程度折り曲げておけば、かかる折返し操作をより容易に行うことができる(後述する残りの他の一対の折返し部60を保形材40と共に平坦部15側に折り返す場合においても同様)。
【0064】
続いて、対向位置に配される残りの他の一対の折返し部60も同様にして、保形材40と共に側部20に起立状態で折り重ねると、今回折り返される保形材40に連設される第一係止部71が、先に折り返された保形材40に連設される第一係止部71を第一被覆部91と共に平坦部15との間に挟んだ状態で自身の弾性力によって平坦部15に押圧状態で当接する。また、今回折り返される保形材40に連設される第二係止部72は、自身の弾性力によって先に折り返された折返し部60に押圧状態で当接する。こうして、第一係止部71と平坦部15との間、及び第二係止部72と折返し部60との間のそれぞれの摩擦力が増大するため、対向位置に配される残りの他の一対の折返し部60及び保形材40が起立状態で係止されることになる。
【0065】
そして、図10(c)~(d)に示すように、立体的な形態に組み立てられた箱本体5の平坦部15上に補強材10´を、各第一係止部71を第一被覆部91と共に平坦部15との間に挟んだ状態で重ね合わせるように載置する。ここで、補強材10´には、上記実施形態において補強材10に設けられていた凹部11が設けられていない。補強材10´は、少なくとも対向位置に配される一対の折返し部60及び保形材40によって弾性的に挟持され、当該補強材10´の周縁と接触する折返し部60との間の摩擦力が増大するため、箱本体5に装着状態で係止される。
【0066】
別実施形態(2)によれば、第一係止部71及び第二係止部72が設けられているので、折返し部60を保形材40と共に平坦部15側に折り返すだけで、折返し部60及び保形材40を容易に起立状態に係止することができる。また、補強材10´は、少なくとも対向位置に配される一対の折返し部60及び保形材40によって弾性的に挟持されることにより、箱本体5に装着状態で係止される構造である。このため、補強材10´を挟んでいる一対の折返し部60及び保形材40の間隔を広げるようにそれら一対の折返し部60及び保形材40を弾性変形させれば、箱本体5に対する補強材10´の係止状態を容易に解除することができ、箱本体5から補強材10´を容易に取り外すことができる。
【0067】
〔別実施形態(3)〕
図11は、箱本体の内角部を覆うための被覆構造を備えた別実施形態(3)に係る箱を示し、組立途中の箱本体の角部の要部拡大図である。図11に示すように、箱本体5は、保形材40が折返し部60と共に前述した折り返し操作によって起立状態とされたときに、隣り合う分割側部25の交わりの内角部を覆うための内角被覆部95をさらに備えている(図11では内角被覆部95を描く関係上、起立前の状態を示す)。すなわち、図11に示すように、箱本体5においては、隣り合う分割側部25における一方の分割側部25(図11において左側の分割側部25)に連設された折返し部60と、他方の分割側部25(図11において右側の分割側部25)との間に、内角被覆部95が配されている。
【0068】
内角被覆部95は、隣り合う分割側部25における一方の分割側部25(図11において左側の分割側部25)から、他方の分割側部25(図11において右側の分割側部25)の内面側に亘って延在する水掻き状の部材からなり、一側(図11において左側)が折目88を介して折返し部60に連設され、他側(図11において右側)の部分が分割側部25の内面側に接着層(図示省略)を介して接合されている。
【0069】
別実施形態(3)によれば、内角被覆部95が設けられているので、折返し部60を保形材40と共に平坦部15側に折り返して起立状態にした際に、隣り合う分割側部25における一方の分割側部25(図11において左側の分割側部25)と、他方の分割側部25(図11において右側の分割側部25)との交わりの内角部、つまり一方の分割側部25と他方の分割側部25との内側の繋ぎ部分、及びその周辺部分が内角被覆部95によって覆われるので、箱本体5における内角部の外観が綺麗に仕上がり、内角被覆部95に美麗な色彩や模様等の装飾が付されている場合、意匠性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の箱、及び包装容器は、物品を収容した状態で一定の形状を保持し、物品の保管や輸送時に物品を保護する用途において好適であり、例えば、物流産業、食品産業、倉庫業、旅行業、引越し、宅配、出前、電子商取引に伴う配送等の分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 箱
1A 身箱
1B 蓋箱
10 補強材
11 凹部
12 凸部
15 平坦部
20 側部
25 分割側部
40 保形材
41 凸部
42 凹部
50,70 固定手段
100,200 包装容器
201 蓋箱(別体の箱)
300,400 包装容器
301 身箱(別体の箱)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11