(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099408
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20220628BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0968
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213156
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】山本 健太郎
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
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2F129HH31
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC12
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
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5H181FF32
5H181MC11
(57)【要約】
【課題】 フルセグ優先モードとワンセグ優先モードの設定の最適化を図る電子装置を提供する。
【解決手段】 本発明の車載装置100は、デジタルテレビ放送受信部130とナビゲーション部120とを備える。車載装置100は、放送信号の受信レベルに応じてフルセグ放送またはワンセグ放送の視聴の切替えを行う視聴切替部330と、フルセグ放送の視聴を優先するフルセグ優先の視聴モードまたはワンセグ放送の視聴を優先するワンセグ優先の視聴モードを設定する視聴モード設定部320と、走行経路R上の放送信号の受信レベルを取得する受信レベル取得部410と、取得された受信レベルに基づき視聴モード毎の視聴を予測する視聴予測部420と、予測結果に基づきフルセグ放送の視聴区間D1、ワンセグ放送の視聴区間D2、視聴不可の区間D3の予測結果を走行経路R上に表示する予測結果表示部430とを有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の放送および第1の放送よりも画像品質の良好な第2の放送を受信可能なデジタルテレビ放送を受信する機能およびナビゲーション機能を備えた電子装置であって、
少なくとも第1の放送の視聴を優先する第1の視聴モードまたは第2の放送の視聴を優先する第2の視聴モードを設定可能な設定手段と、
前記設定手段で設定された視聴モードおよびデジタルテレビ放送の受信レベルに基づき第1の放送または第2の放送の視聴の切替えを行う切替手段と、
走行経路上の放送信号の受信レベルに関する受信レベル情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された受信レベル情報に基づき、前記走行経路上の前記第1の視聴モードを設定したときの視聴および前記第2の視聴モードを設定したときの視聴を予測し、当該視聴の予測結果を表示する表示手段と、
を有する電子装置。
【請求項2】
前記第1の放送は、ワンセグ放送であり、第2の放送は、フルセグ放送である、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記走行経路上に前記視聴の予測結果を表示する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記ナビゲーション機能により目的地までの経路を探索するときに実施される、請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記ナビゲーション機能により探索された経路上に前記視聴の予測結果を表示する、請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記視聴の予測結果に基づき前記第1の視聴モードまたは前記第2の視聴モードの推奨を表示する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
前記表示手段は、前記視聴の予測結果に基づき受信不安定期間を検出し、当該受信不安定期間を表示する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項8】
前記表示手段は、一定時間内における前記第1の放送と前記第2の放送の切替え回数に基づき前記受信不安定期間を検出する、請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記設定手段は、前記視聴の予測結果の表示に応答してユーザーが設定した視聴モードを前記走行経路の走行中に有効とし、前記設定手段は、前記走行経路の走行が終了したとき視聴モードを元の設定に復帰させる、請求項1ないし8いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項10】
前記視聴の予測結果は、前記第1の放送の視聴、前記第2の放送の視聴、および視聴不可を含む、請求項1に記載の電子装置。
【請求項11】
前記取得手段は、外部のサーバーから前記受信レベル情報を取得する、請求項1に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に搭載されるデジタルテレビ放送受信機能を備えた電子装置に関し、特に視聴モード(フルセグメント放送またはワンセグメント放送)の自動切替に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルテレビ放送受信機能を備えた車載装置では、放送信号の受信レベル(受信強度)や受信品質に応じてフルセグメント放送(以下、フルセグ放送)またはワンセグメント放送(以下、ワンセグ放送)の視聴の切替えを行っている。受信レベルが良好であればフルセグ放送が視聴されるように、良好でなければワンセグ放送が視聴されるように出力の切替が行われる。例えば、特許文献1のナビゲーション装置は、受信レベルが良好な放送信号を受信できるようにするため、放送信号の受信レベルが基準レベル以上となるように目的地までの経路を探索する技術を開示している。また、特許文献2のナビゲーション装置は、走行エリアの受信環境情報に基づいて指定された受信条件を満たすように目的地までの経路を探索する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-108921号
【特許文献2】特開2006-064550号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のデジタルテレビ放送の受信機能やナビゲーション機能を含む車載装置は、上記したように、放送信号の受信レベルに応じてフルセグ放送またはワンセグ放送の出力を自動的に切替える機能を備えている。また、ユーザーの趣向に合わせるため、例えば、フルセグ放送の視聴を優先するフルセグ優先の視聴モード(以下、フルセグ優先モード)、ワンセグ放送の視聴を優先するワンセグ優先の視聴モード(以下、ワンセグ優先モード)、標準モードの中から、所望の視聴モードを選択して設定することを可能にしている。
【0005】
図1は、放送信号の受信レベル[dB]と、各視聴モードにおける視聴の切替えを行うための閾値との関係を示すグラフである。フルセグ優先モードにおけるフルセグ放送とワンセグ放送との切替の閾値Th3は、他の視聴モードの中で最も低い。つまり、放送信号の受信レベルが悪くてもフルセグ放送を出力しようとする。ワンセグ優先モードの閾値Th1は、他の視聴モードの中で最も高い。つまり、放送信号の受信レベルが良好でもワンセグ放送を出力しようとする。標準モードの閾値Th2は、フルセグ優先モードの閾値Th3とワンセグ優先モードの閾値Th1との中間である。同グラフにおいて、実線Pは、走行中の放送信号の受信レベルであり、破線Qは、フルセグ放送を視聴することができるフルセグ受信可能レベルである。
【0006】
例えば、区間t0-t1では、放送信号の受信レベルPがフルセグ受信可能レベルQを下回るのでフルセグ放送を視聴することはできない(P<Q)。ワンセグ放送は、フルセグ放送よりも受信レベルが低くても視聴可能であるため、区間t0-t1においてワンセグ放送の視聴が可能である(但し、放送信号の受信レベルPがワンセグ放送受信可能レベルよりも大きいことが条件)。区間t2-t3では、放送信号の受信レベルPがフルセグ受信可能レベルQを上回っている状況であり(P≧Q)、この区間では、視聴モードの設定により、視聴は次のようになる。
フルセグ優先モード:受信レベルP>閾値Th3であるためフルセグ放送
標準モード:受信レベルP<閾値Th2であるためワンセグ放送
ワンセグ優先モード:受信レベルP<閾値Th1であるためワンセグ放送
【0007】
図2は、フルセグ優先モードとワンセグ優先モードのメリットとデメリットとを示したテーブルである。フルセグ優先モードでは、高解像度の画像という利点があるが、放送信号の受信レベルPがフルセグ受信可能レベルQのギリギリのエリアの場合、フルセグ放送の視聴を維持しようとするため、受信レベルP<フルセグ受信可能レベルQになると、フルセグ放送を視聴することができない期間が増えるという欠点がある。他方、ワンセグ優先モードでは、放送信号の受信レベルPがフルセグ受信可能レベルQのギリギリのエリアの場合、ワンセグ放送が切り替わらずにそのまま視聴をすることができるという利点があるが、低解像度の画像という欠点がある。
【0008】
こうしたフルセグ優先モードまたはワンセグ優先モードを設定した場合、放送信号の受信レベルの変動パターンにより、その地点またはエリアで最適な視聴にならないケースがある。
図3は、放送信号の受信レベルが頻繁に変動するときのフルセグ優先モードとワンセグ優先モードの視聴の切替りを模式的に表した図である。区間t4-t5、区間t6-t7において、放送信号の受信レベルPがフルセグ受信可能レベルQの近傍で変動した場合、フルセグ優先モードでは、視聴不可の期間が頻繁に発生してしまい、他方、ワンセグ優先モードでは、フルセグ放送を視聴できるにもかかわらずワンセグ放送の視聴が継続されてしまう。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決し、視聴モードの設定の最適化を図る電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電子装置は、第1の放送および第1の放送よりも画像品質の良好な第2の放送を受信可能なデジタルテレビ放送を受信する機能およびナビゲーション機能を備えたものであって、少なくとも第1の放送の視聴を優先する第1の視聴モードまたは第2の放送の視聴を優先する第2の視聴モードを設定可能な設定手段と、前記設定手段で設定された視聴モードおよびデジタルテレビ放送の受信レベルに基づき第1の放送または第2の放送の視聴の切替えを行う切替手段と、走行経路上の放送信号の受信レベルに関する受信レベル情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された受信レベル情報に基づき、前記走行経路上の前記第1の視聴モードを設定したときの視聴および前記第2の視聴モードを設定したときの視聴を予測し、当該視聴の予測結果を表示する表示手段とを有する。
【0011】
ある実施態様では、前記第1の放送は、ワンセグ放送であり、第2の放送は、フルセグ放送である。ある実施態様では、前記表示手段は、前記走行経路上に前記視聴の予測結果を表示する。ある実施態様では、前記取得手段は、前記ナビゲーション機能により目的地までの経路を探索するときに実施される。ある実施態様では、前記表示手段は、前記ナビゲーション機能により探索された経路上に前記視聴の予測結果を表示する。ある実施態様では、前記表示手段は、前記視聴の予測結果に基づき前記第1の視聴モードまたは前記第2の視聴モードの推奨を表示する。ある実施態様では、前記表示手段は、前記視聴の予測結果に基づき受信不安定期間を検出し、当該受信不安定期間を表示する。ある実施態様では、前記表示手段は、一定時間内における前記第1の放送と前記第2の放送の切替え回数に基づき前記受信不安定期間を検出する。ある実施態様では、前記設定手段は、前記視聴の予測結果の表示に応答してユーザーが設定した視聴モードを前記走行経路の走行中に有効とし、前記設定手段は、前記走行経路の走行が終了したとき視聴モードを元の設定に復帰させる。ある実施態様では、前記視聴の予測結果は、前記第1の放送の視聴、前記第2の放送の視聴、および視聴不可を含む。ある実施態様では、前記取得手段は、外部のサーバーから前記受信レベル情報を取得する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1の視聴モードを設定したときの視聴の予測および第2の視聴モードを設定したときの視聴の予測を表示可能するようにしたので、ユーザーは、視聴の予測結果を参照して最適な視聴モードを設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】デジタルテレビ放送の放送信号の受信レベルと各受信モードの閾値との関係を示すグラフである。
【
図2】フルセグ優先モードとワンセグ優先モードの長所および短所を示すテーブルである。
【
図3】従来のフルセグ優先モードとワンセグ優先モードの視聴の切替りを説明する図である。
【
図4】本発明の実施例に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施例に係る車載装置が種々のデータをネットワークを介して取得する例を示す図である。
【
図6】本発明の実施例に係るデジタル放送受信部の構成を示す図である。
【
図7】本発明の実施例に係る視聴切替部の構成を示す図である。
【
図8】本発明の実施例に係る視聴モードの設定の最適化機能の構成を示す図である。
【
図9】本発明の実施例による視聴の予測結果の表示例であり、
図9(A)は、フルセグ優先モードの視聴の予測結果の表示例、
図9(B)は、ワンセグ優先モードの視聴の予測結果の表示例である。
【
図10】本発明の変形例による視聴の予測結果の表示例であり、
図10(A)は、視聴モードの設定の推奨の提示機能を備えた表示例、
図10(B)は、視聴の予測結果の受信不安定区間の表示例である。
【
図11】本発明の変形例による視聴の予測結果であり、
図11(A)は、フルセグ優先モードの視聴の予測結果の表示例、
図11(B)は、ワンセグ優先モードの視聴の予測結果の表示例である。
【
図12】本発明の実施例による視聴モードの最適化が行われたときの視聴の切替えを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明の電子装置は、自動車等の移動体上に固定的に搭載されるもの、ユーザーによって移動体に持ち込むことができるもの、あるいは移動体から着脱自在のもののいずれであってもよい。本発明の電子装置は、地上波デジタルテレビ放送を受信する機能およびナビゲーション機能を搭載するが、これ以外の機能として、例えば、オーディオデータおよびビデオデータを再生する機能、ラジオ放送を受信する機能、アプリケーションソフトウエアを実行する機能などを備えるものであってもよい。電子装置は、例えば、ノート型PC、タブレット型PC、パーソナルコンピュータ、車載装置、ナビゲーション装置、放送受信装置等であることができる。また、電子装置は、車内の通信バスあるいはそれと等価なバスに接続され、当該通信バスを介して車両に搭載された機器等の情報を取得する機能を備えることも可能である。以下の説明では、電子装置の一例として、移動体としての車両に搭載され、ナビゲーション機能およびデジタル放送受信機能を備えた車載装置を例に説明する。
【実施例0015】
図4は、本発明の実施例に係る車載装置の全体構成を示すブロック図である。本実施例の車載装置100は、例えば、入力部110、ナビゲーション部120、デジタル放送受信部130、通信部140、表示部150、音声出力部160、記憶部170および制御部180を含んで構成される。
【0016】
入力部110は、ユーザーからの指示を受け取り、これを制御部180に提供する。ナビゲーション部120は、GPS信号および/またはジャイロセンサや加速度センサ等を用いて自車の現在位置を算出し、算出した自車位置周辺の道路地図を表示部150に表示させたり、目的地までの経路を探索し、その探索した経路の案内を行う。
【0017】
デジタル放送受信部130は、フルセグ放送およびワンセグ放送を含むデジタルテレビ放送を受信し、放送信号の受信レベルに応じてフルセグ放送またはワンセグ放送の視聴の切替えを行う。デジタル放送受信部130の詳細については後述する。
【0018】
通信部140は、外部の装置やネットワーク等との間で無線によるデータ通信を可能にする。通信部140は、例えば、
図5に示すように、ネットワークNWを介して、種々のサーバーにアクセスし、必要に応じてデータをサーバーにアップロードしたり、あるいはサーバーからデータをダウンロードする。
【0019】
受信レベル配信サイト142は、リンクデータと当該リンクデータに関連付けされたデジタルテレビ放送の受信レベルを格納したデータベースを有する。受信レベル配信サイト142は、車両からのリクエストに応答してデータベースを検索し、該当する道路の受信レベルを車両に配信する。データベースは、例えば、種々の車両が走行中に受信したデジタル放送の受信レベルを受信レベル配信サイト142にアップロードすることにより構築される。また、地図データ配信サイト144は、車両からのリクエストに応じて地図データを配信したり、道路交通情報配信サイト146は、車両からのリクエストに応答して道路交通情報を配信する。
【0020】
表示部150は、デジタル放送受信部130から提供されるテレビ映像やナビゲーション部120から提供される道路地図画像を表示する。音声出力部160は、デジタル放送受信部130から提供されるテレビ音声やナビゲーション部120から提供される案内音声を出力する。
【0021】
記憶部170は、制御部180が実行するプログラムやアプリケーションソフトウエアなどを格納したり、ナビゲーション部120が利用する道路地図データを格納する。道路地図データは、道路を示すリンクデータ、交差点等を示すノードデータ、施設データ等を含む。
【0022】
制御部180は、車載装置100の全体の動作を制御するものであり、例えば、中央処理装置、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ等のハードウエアや、当該ハードウエアによって実行されるソフトウエアを含む。
【0023】
次に、デジタル放送受信部130の構成例を
図6に示す。同図に示すように、デジタル放送受信部130は、アンテナ200a~200d、チューナ202a~202d、ダイバーシティ合成部204、誤り訂正部206、デマルチプレクサ部208、フルセグ用音声デコーダ210a、ワンセグ用音声デコーダ210b、フルセグ用映像デコーダ212a、ワンセグ用映像デコーダ212b、データデコーダ214、音声選択部216、映像選択部218を含んで構成される。
【0024】
アンテナ200a~200dは、地上波デジタル放送の放送信号(電波)を受信し、これをチューナ202a~202dへ提供する。チューナ202a~202dは、入力部110からのユーザー入力または制御部180からの切替え制御信号Scに応じて、放送局またはチャンネルの周波数を選局し、その選局された放送局からの放送波を受信する。さらに、受信した信号をOFDM復調し、トランスポートストリーム信号(以下、TS)を生成し、これをダイバーシティ合成部204へ提供する。ここには、4つのアンテナと4つのチューナの構成を例示するが、これは一例であり、1つのアンテナと1つのチューナから構成されるデジタル放送受信部であってもよい。
【0025】
ダイバーシティ合成部204は、フェージング等の受信レベルの劣化を補償するために、例えば、各チューナからの信号の位相を制御し、位相制御によりダイバーシティ合成されたTSを生成する。ダイバーシティ合成部204は、位相制御の方法以外にも、例えば、最大電力の信号を選択する方法や、信号電力に比例した重みを付ける方法などを行うものであってもよい。
【0026】
誤り訂正部206は、伝送中に生じる誤りを訂正し、訂正後のTSをデマルチプレクサ部108に出力する。この際、誤り訂正部206は、ダイバーシティ合成部204でダイバーシティ合成されたTSのCNR(Carrier to Noise Ratio)や誤り率を示すBER(Bit Error Rate)を制御部180へ出力する。誤り率BERは、ダイバーシティ合成部204により合成されるチューナの数に応じたものであり、例えば、2つのチューナで現在視聴中の放送局を受信して、残り2つのチューナで代替局のサーチを行っている場合には、それぞれの2ダイバ合成の誤り率が出力される。
【0027】
デマルチプレクサ部208は、多重化されているTSから音声ストリーム、映像ストリーム、およびデータストリームをそれぞれ分離し、音声ストリームをフルセグ用音声デコーダ210aおよびワンセグ用音声デコータ210bに、映像ストリームをフルセグ用映像デコーダ212aおよびワンセグ用映像デコータ212bに、データストリームをデータデコーダ214にそれぞれ出力する。データストリームには、番組情報を識別するためのイベントIDが含まれる。
【0028】
フルセグ用音声デコーダ210aおよびワンセグ用音声デコーダ210bは、それぞれ入力された音声ストリームをデコードし、フルセグ用音声信号およびワンセグ用音声信号を音声選択部216へ出力する。フルセグ用映像デコーダ212aおよびワンセグ用映像デコータ212bは、それぞれ入力された映像ストリームをデコードし、フルセグ用映像信号およびワンセグ用映像信号を映像選択部218へ出力する。データデコーダ214は、データストリームをデコードし、デコードしたデータを制御部180へ出力する。
【0029】
音声選択部216は、制御部180からの音声選択信号Saに応じて、フルセグ用音声信号またはワンセグ用音声信号のいずれかを選択する。選択された音声信号は、音声出力部160から出力される。映像選択部218は、制御部180からの映像選択信号Sbに応じて、フルセグ用映像信号またはワンセグ用映像信号のいずれかを選択する。選択された映像信号は、表示部150から出力される。
【0030】
制御部180は、放送信号の受信レベルに応じてフルセグ放送またはワンセグ放送の視聴(出力)を自動的に切替える視聴切替機能を備えている。
図7は、視聴切替機能の構成を示す図である。視聴切替機能300は、現在受信しているデジタルテレビ放送の受信レベルを検出する受信レベル検出部310と、視聴モードを設定する視聴モード設定部320と、音声選択信号Saおよび映像選択信号Sbを介して視聴の切替えを行う視聴切替部330とを含む。
【0031】
受信レベル検出部310は、アンテナ200aないし200dのいずれかにおいて現在受信している放送信号の受信レベル(強度)を検出する。4つのチューナで受信を行っている場合は、その中の最も高い受信レベルを検出するものであってもよいし、ダイバ合成された放送信号の受信レベルの高いものまたはその平均であってもよい。また、例えば、2つのチューナで現在視聴中の放送信号を受信し、残りの2つのチューナで代替局をサーチしている場合には、現在視聴中の放送信号の受信レベルが検出される。
【0032】
視聴モード設定部320は、フルセグ優先モード、標準モード、ワンセグ優先モードのいずれかを設定する。この視聴モードの設定は、ユーザーが入力部110から任意に行うことができる。フルセグ優先モードは、
図1に示したように、フルセグ放送を優先的に視聴させるモードであり、フルセグ放送とワンセグ放送との切替を行うための閾値Th3が最も低く、ワンセグ優先モードは、ワンセグ放送を優先的に視聴させるモードであり、フルセグ放送とワンセグ放送との切替を行うための閾値Th1が最も高く、標準モードは、両モードの中間であり、その閾値Th2は、Th1>Th2>Th3である。
【0033】
視聴切替部330は、受信レベル検出部310で検出された放送信号の受信レベルPと、視聴モード設定部320で設定された視聴モードの閾値(Th1、Th2、Th3)とを比較し、その比較結果に基づきフルセグ放送またはワンセグ放送を選択するための音声選択信号Saおよび映像選択信号Sbを生成し、これを音声選択部216および映像選択部218に供給する。なお、受信レベルが高いとき、必ずしも受信品質(CNRやBER)が良好であるとは限らない。このため、視聴切替部330は、受信品質を考慮して受信レベルを補正するようにしてもよい。
【0034】
車両の走行中、放送信号の受信レベルは一定ではなく受信環境によって変動する。例えば、受信レベルがフルセグ受信可能レベルの近傍で頻繁に変動するエリアを走行する場合に、フルセグ優先モードが設定されていると、受信レベルがフルセグ受信可能レベルを下回ると、フルセグ放送を視聴することができない期間が増加したり、あるいはワンセグ優先モードが設定されていると、受信レベルがフルセグ受信可能レベルを上回ってもワンセグ放送の視聴のままのことがある。つまり、走行する道路においてフルセグ放送またはワンセグ放送が視聴可能な時間的な長さや視聴が切替わる頻度は、実際に走行してみない限りユーザーにはわからない。それ故、視聴モード設定部320で設定された視聴モードは、走行する地点またはエリアにおいて必ずしも最適でないことがある
【0035】
本実施例では、走行中の道路において可能な限り視聴モードの設定の最適化を図るため、ナビゲーション部120によって目的地までの経路が探索されるとき、これと連動して、探索された経路上に、視聴モード毎の視聴の予測結果を表示させる。ユーザーは、探索経路上に表示された視聴モード毎の視聴の予測結果を参照し、最適と思われる視聴モードを選択し、これを設定する。選択した視聴モードは、探索経路を走行中のみ有効とされ、目的地への到着などで探索経路が消去された場合は、それまでに設定していた元の視聴モードに復帰される。
【0036】
図8は、本実施例による視聴モードの設定の最適化機能400の構成を示す図である。最適化機能400は、受信レベル取得部410、視聴予測部420および予測結果表示部430を含んで構成され、この最適化機能400は、ナビゲーション部120と連携して動作する。
【0037】
受信レベル取得部410は、ナビゲーション部120により経路探索が行われたとき、探索された経路上の受信レベルを外部から取得する。ある態様では、受信レベル取得部410は、通信部140を介して
図5に示す受信レベル配信サイト142にアクセスし、当該サイト142から探索経路を走行したならば受信できるであろう受信レベルを取得する。
【0038】
受信レベル配信サイト142は、種々の車両からアップロードされた走行中に受信したデジタルテレビ放送の受信レベルを受け取り、道路と受信レベルとの関係を表したデータベースを構築する。車両からアップロードされる情報は、例えば、車両の現在位置とそのときの放送信号の受信レベル、あるいは、車両が走行している道路(リンクデータ)とそのときの放送信号の受信レベルを含む。車両は、走行中に、一定の時間間隔であるいは一定の距離を走行する度にそのような情報を受信レベル配信サイト142にアップロードする。
【0039】
受信レベル取得部410は、現在地(またはスタート地点)から目的地までの探索経路のリンクデータを含む受信レベルの配信のリクエストを受信レベル配信サイト142に送信する。受信レベル配信サイト142は、当該リクエストに応答して、現在地(またはスタート地点)から目的地までの経路をデータベースから検索し、該当する受信レベルを車載装置100に送信する。
【0040】
視聴予測部420は、受信レベル取得部410で取得された受信レベルに基づき、探索経路を走行したときの各視聴モードの視聴を予測する。つまり、フルセグ優先モードが設定されたと仮定した場合に探索経路上で視聴される放送、ワンセグ優先モードが設定されたと仮定した場合に探索経路上で視聴される放送、標準モードが設定されたと仮定した場合に探索経路上で視聴される放送を、それぞれ予測する。
【0041】
予測結果表示部430は、視聴予測部420の予測結果を受け取り、探索経路上に各視聴モードの予測結果を表示する。予測結果の表示方法は、特に限定されないが、例えば、視聴モード毎に画面を用意し、それぞれ画面に探索経路と予測結果を表示したり、1つの画面上に探索経路上に視聴モード毎の予測結果を表示する。
【0042】
図9(A)は、探索経路上にフルセグ優先モードの視聴の予測結果を表示した例、
図9(B)は、探索経路上にワンセグ優先モードの視聴の予測結果を表示した例である。
図9(A)、
図9(B)の2つの画面を同時に表示させてもよいし、
図9(A)のフルセグ優先モードの画面に表示された他のモード500をユーザーが選択することで、
図9(B)のワンセグ優先モードの画面に切替えるようにしてもよい(その反対も同様)。なお、標準モードの視聴の予測結果の表示は省略している。
【0043】
これらの図に示すように、現在地(またはスタート地点)Sから目的地Gまでの探索経路R上に沿うように、フルセグ放送の視聴区間D1、ワンセグ放送の視聴区間D2、視聴不可区間D3が識別されるように表示される(例えば、異なる色や異なる態様で表示)。また、必要であれば、テキストによる吹き出し表示によりそれら区間の視聴を示すようにしてもよい。
【0044】
ユーザーは、表示部150に表示された視聴区間D1、D2、D3の予測結果を見て、視聴モードの設定に応じて探索経路上でどのような視聴になるのか(フルセグ放送、ワンセグ放送、視聴不可)を一見して認識することができ、その認識結果から自身の指向に応じた最適な視聴モードを設定することができる。例えば、
図9(A)に示すフルセグ優先モードを設定すれば、受信レベルがフルセグ優先モードの閾値近傍で変動するルートを走行するとき、フルセグ放送の視聴区間D1が視聴不可区間D3に頻繁に切替わり、安定視聴となりずらい状況が発生することが分かる。一方、
図9(B)に示すワンセグ優先もモードを設定すれば、視聴の切替わりが頻発するエリアで、ワンセグ放送を安定的に視聴可能であることが分かる。
【0045】
視聴モード設定部320は、ユーザー入力された設定が、以前に設定された視聴モードと異なる場合には、視聴モードを変更する。また、ある態様では、視聴モード設定部320は、経路探索時に変更した視聴モードを、目的地までの探索経路を走行中のみ有効とし、車両が目的地に到着し探索経路が消去されたとき、設定を元の視聴モードに復帰させる。
【0046】
次に、本実施利例の変形例について説明する。本変形例では、予測結果表示部430は視聴モードの推奨を提示する。テレビ放送を視聴したいユーザーにとって、視聴不可は一番避けたい状態であると想定される。そのため、予測結果表示部430は、各視聴モードの設定において、予測された視聴のうち、視聴不可となる連続時間、視聴不可の全体の回数、視聴不可の頻度(短い期間のうちに受信不可が発生する回数)などを算出し、これらの算出結果から、例えば、連続時間が最も短くなる設定、視聴不可の回数が最も少なる設定、あるいは視聴不可の頻度が最も小さくなる設定を、選択すべき視聴モードと判定する。
【0047】
図10(A)は、本変形例により推奨モードが選択されたときの表示例である。画面には、案内開始地点Sから目的地Gまでの探索経路Rが表示され、さらに視聴モードの推奨を表示させるための推奨モード510が表示される。ユーザーが推奨モード510を選択すると、推奨される視聴モードの設定が表示される。
【0048】
さらに、上記実施例では、探索経路の全区間における各視聴モードの予測結果を表示し、経路探索の全区間において視聴モードの設定を変更するようにしたが、これに限らず、予測結果表示部430は、探索経路上の受信不安定区間を検出し、その区間においてユーザーが視聴モードの設定を変更できるようにしてもよい。予測結果表示部430は、視聴の切替り(視聴不可も含む)が、ある一定時間のうちに複数回発生する区間を受信不安定区間として検出し、この受信不安定区間を探索経路上に表示する。
図10(B)は、フルセグ優先モードにおける受信不安定区間Fの表示例である。ここには1つの受信不安定区間Fが示されているが、複数の区間で視聴の切替りが頻発する場合には、複数の受信不安定区間Fが表示され、複数の受信不安定区間Fにおいて、視聴モードの設定の変更が可能になる。
【0049】
ユーザーは、全体的にはフルセグ優先モードでフルセグ放送を視聴したいが、視聴の切替えが多発するようなエリアでは、ワンセグ優先モードによりワンセグ放送を安定的に視聴することを望む場合、受信不安定区間Fを走行するときにのみ視聴モードをワンセグ優先モードに設定する。この場合、ユーザーは、モード設定520を選択してワンセグ優先モードを設定する。このような設定変更が行われた場合、視聴モード設定部320は、車両が受信不安定区間Fを走行中のみ設定された視聴モードを有効にし、それ以外の経路の走行中は、元の視聴モードを有効にする。
【0050】
さらに上記実施例では、スタート地点Sから目的地Gまでの探索経路Rに沿うように視聴の予測結果を表示するようにしたが(
図9、
図10)、予測結果表示部430は、探索経路Rとは別の位置に予測結果を表示するようにしてもよい。
図11は、視聴の予測結果を別の態様の表示例であり、
図11(A)は、フルセグ優先モードを設定したときの視聴の予測結果、
図11(B)は、ワンセグ優先モードを設定したときの視聴の予測結果である。
【0051】
道路地図画面には、スタート地点Sから目的地Gまでの探索経路Rが表示され、これとは別の位置に、視聴の予測結果530が表示される。視聴の予測結果530は、スタート地点から目的地までの視聴の遷移を上下方向に時系列的に表している。また、探索経路R上の自車位置Mをユーザーが任意に移動させると、予測結果表示部430は、自車位置Mの移動に連動して視聴の予測結果530の現在地を上下方向に移動させ、探索経路Rでの視聴を認識し易くしている。さらに視聴の予測結果530の上下方向の距離の指標を表示することで、視聴の時間的または距離的な長さを認識し易くしている。
【0052】
図12は、本実施例により視聴モードの設定の最適化が行われたときの視聴の切替りを模式的に表した図である。同図に示す放送信号の受信レベル、フルセグ優先モードの視聴、ワンセグ優先モードの視聴は、
図3に示したものと同じである。
【0053】
区間t4-t5の受信レベルがフルセグ受信可能レベルで変動する場合において、時刻t4aで受信レベルがフルセグ受信可能レベルより低下したとき、フルセグ優先モードが設定されていると、視聴不可になってしまう。時刻t4aから一定期間が受信不安定期間Fとして検出され、この期間中、フルセグ優先モードからワンセグ優先モードへの設定に変更されれば、時刻t4aのタイミングで視聴不可にはならずにワンセグ放送へ切替えられる。また、時刻t5aで受信レベルがフルセグ受信可能レベルまで上昇したとき、ワンセグ優先モードが設定されていると、視聴はワンセグ放送のままである。時刻t5aを含む一定期間が受信不安定期間Fとして検出され、この期間中、ワンセグモードからフルセグ優先モードへの設定に変更されれば、時刻t5aのタイミングでフルセグ放送へ切替えられる。区間t6-t7の受信レベルがフルセグ受信可能レベルで変動する場合にも同様に、区間t6-t7の或る期間が受信不安定期間Fとして検出され、この期間中に、最適な視聴モードへの設定変更を行うことで、フルセグ優先モードとワンセグ優先モードの双方の長所を生かした視聴の切替えを行うことができる。
【0054】
なお、上記実施例では、ナビゲーション部120が目的地までの経路を探索するときに視聴モード毎の視聴の予測結果を表示したが、これに限らず、例えば、ユーザーが道路地図画面上から経路(または道路)を指定し、指定した経路の視聴を予測し、その予測結果を表示するようにしてもよい。この場合、受信レベル取得部310は、ユーザーの経路の指定に応答して受信レベル配信サイト142から指定した経路の受信レベルを取得し、取得した受信レベルに基づき指定した経路の視聴が予測される。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。