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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099425
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】メンテナンス支援システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/02 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
B65B55/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213186
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】301055262
【氏名又は名称】日本テクノロジーソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】岡田 耕治
(72)【発明者】
【氏名】霜浦 賢太
(72)【発明者】
【氏名】中野 貴紀
(57)【要約】
【課題】加工現場に設置されている加工装置の設定値の調整を容易にすることができるシステムを提供する。
【解決手段】メンテナンス支援システム100は、複数の加熱室13,14を有し、加工対象品9に対して、熱収縮性を有するフィルム91を複数の加熱室を用いて加熱し収縮させることで密着させる加工を行う加工装置1の、メンテナンスを遠隔で支援するシステムであって、メンテナンスを支援することは、加工装置の設定値の調整を支援する支援動作を含み、支援動作は、加工対象品の加工の仕上がりを表す現象に応じて、加工装置の設定値を調整するための調整情報を出力することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加熱室を有し、加工対象品に対して、熱収縮性を有するフィルムを前記複数の加熱室を用いて加熱し収縮させることで密着させる加工を行う加工装置の、メンテナンスを遠隔で支援するシステムであって、
前記メンテナンスを支援することは、前記加工装置の設定値の調整を支援する支援動作を含み、
前記支援動作は、前記加工対象品の前記加工の仕上がりを表す現象に応じて、前記加工装置の設定値を調整するための調整情報を出力することを含む
メンテナンス支援システム。
【請求項2】
前記加工の仕上がりを表す現象ごとに前記調整情報をメモリに予め記憶しておき、
前記支援動作は、前記加工の仕上がりを表す現象を示す入力値を受け付けて、前記入力値に対応した前記調整情報を前記メモリから読み出すことを含む
請求項1に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項3】
前記メンテナンスを支援することは、前記加工装置の異常判定を実行することをさらに含み、
前記入力値が所定範囲の値である場合に前記異常判定を実行し、
前記異常判定において前記加工装置が正常と判定された場合に、前記支援動作を実行する
請求項2に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項4】
前記加工装置の制御装置と通信可能な通信装置を含み、
前記加工装置から装置異常を表すエラー信号を受信すると前記異常判定を実行する
請求項3に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項5】
前記異常判定は、装置異常と判定される時期を予測することをさらに含む
請求項3又は4に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項6】
前記複数の加熱室は、前記フィルムが熱収縮する温度で前記加工対象品を加熱する本加熱室と、前記本加熱室より低い温度で前記加工対象品を加熱する予熱室と、を含む
請求項1~5のいずれか一項に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項7】
前記メンテナンスを支援することは、前記本加熱室及び前記予熱室それぞれに対して独立して前記支援動作を行うことを含む
請求項6に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項8】
前記メンテナンスを支援することは、商品を案内する案内情報を出力することをさらに含み、
前記案内情報は、前記加工の仕上がりを表す現象を示す入力値を受け付ける入力部へのアクセス情報を含み、
前記入力部によって前記入力値を受け付けることによって前記支援動作を実行する
請求項1~7のいずれか一項に記載のメンテナンス支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メンテナンス支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2003-81219号公報(以下、特許文献1)に開示されているような、シュリンクフィルムを商品に密着させる加工装置がある。シュリンクフィルムとは、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC等により形成された熱収縮性を有するフィルムであって、商品に装着された状態で加熱され、収縮することにより商品と密着する。これにより、商品の包装やラベルの添付が容易かつ強固に行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-81219号公報
【発明の概要】
【0004】
このような加工装置は加工現場に設置され、加熱温度や加熱時間などの設定を設置された現場で行う。そのため、設置された現場の操作者によっては設定が難しい場合がある。また、加工装置の中には、上記特許文献1に示されたような気流を利用するものもあり、設定が難しい場合がある。例えば、加工対象品の加工の仕上がりが目標とする仕上がりに達していないときにどのように設定値を調整するべきかがわからない場合がある。
【0005】
この点、時計などの一般的な装置であれば店舗等に持ち込んで調整を依頼することが考えられる。しかしながら、このような加工装置は大型であるため、いったん加工現場に設置されると移動が容易ではない。また、サービスマンの訪問も日程の調整や費用など容易でない場合もある。そのため、このような加工装置の設定値の調整を容易にすることができるシステムの構築が望まれる。
【0006】
ある実施の形態に従うと、メンテナンス支援システムは、複数の加熱室を有し、加工対象品に対して、熱収縮性を有するフィルムを複数の加熱室を用いて加熱し収縮させることで密着させる加工を行う加工装置の、メンテナンスを遠隔で支援するシステムであって、メンテナンスを支援することは、加工装置の設定値の調整を支援する支援動作を含み、支援動作は、加工対象品の前記加工の仕上がりを表す現象に応じて、加工装置の設定値を調整するための調整情報を出力することを含む。
【0007】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係るメンテナンス支援システム(以下、システムと略する)、及び、システムがメンテナンスを支援する加工装置の構成の概略を表した図である。
図2図2は、加工装置に含まれる予熱部の断面概略図である。
図3図3は、加工装置に含まれる加熱部の平面概略図である。
図4図4は、加熱部に含まれるノズルの配置及び気流の制御を説明するための図である。
図5図5は、システムに含まれる管理装置の機能構成の概略図である。
図6図6は、管理装置のメモリに記憶されている調整情報の具体例を表した図である。
図7図7は、システムでの加工装置の設定値の調整を支援する支援動作の流れを表した図である。
図8図8は、管理装置における調整処理の一例を表したフローチャートである。
図9図9は、システムでの支援動作の際の、ユーザ端末の画面例である。
図10図10は、システムでの支援動作の際の、ユーザ端末の画面例である。
図11図11は、システムでの支援動作の際の、ユーザ端末の画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.メンテナンス支援システムの概要>
【0010】
(1)本実施の形態に含まれるメンテナンス支援システムは、複数の加熱室を有し、加工対象品に対して、熱収縮性を有するフィルムを複数の加熱室を用いて加熱し収縮させることで密着させる加工を行う加工装置の、メンテナンスを遠隔で支援するシステムであって、メンテナンスを支援することは、加工装置の設定値の調整を支援する支援動作を含み、支援動作は、加工対象品の加工の仕上がりを表す現象に応じて、加工装置の設定値を調整するための調整情報を出力することを含む。
【0011】
設定値は、加工装置においてユーザが設定可能なパラメータを指し、例えば、温度、風量などである。設定値を調整することは、ユーザによる設定値を、加工装置による加工対象品の加工の仕上がりがユーザの所望する仕上がりとなる設定値となるよう変化させることを含む。
【0012】
(2)好ましくは、メンテナンス支援システムは、加工の仕上がりを表す現象ごとに調整情報をメモリに予め記憶しておき、支援動作は、加工の仕上がりを表す現象を示す入力値を受け付けて、入力値に対応した調整情報をメモリから読み出すことを含む。これにより、設定値の調整を支援することが可能になる。
【0013】
(3)好ましくは、メンテナンスを支援することは、加工装置の異常判定を実行することをさらに含み、入力値が所定範囲の値である場合に異常判定を実行し、異常判定において加工装置が正常と判定された場合に、支援動作を実行する。これにより、加工対象品の加工の仕上がりの不具合が加工装置の異常によって生じていた場合にも適切な対処が可能となるよう支援できる。
【0014】
(4)好ましくは、メンテナンス支援システムは、加工装置の制御装置と通信可能な通信装置を含み、加工装置から装置異常を表すエラー信号を受信すると異常判定を実行する。これにより、異常が発生した可能性がある場合に、ユーザもサービスマン側も負担を抑えて迅速な対処が支援できる。
【0015】
(5)好ましくは、異常判定は、装置異常と判定される時期を予測することをさらに含む。これにより、異常の発生の可能性を踏まえた適切な支援が可能になる。
【0016】
(6)好ましくは、複数の加熱室は、フィルムが熱収縮する温度で加工対象品を加熱する本加熱室と、本加熱室より低い温度で加工対象品を加熱する予熱室と、を含む。このような加工装置に対しても、メンテナンス支援システムではメンテナンスを支援することができる。
【0017】
(7)好ましくは、メンテナンスを支援することは、本加熱室及び予熱室それぞれに対して独立して支援動作を行うことを含む。これにより、本加熱室及び予熱室の設定値の調整を独立して支援することができる。その結果、より柔軟に設定値の調整が支援され、目標設定値により近づけることができる。
【0018】
(8)好ましくは、メンテナンスを支援することは、商品を案内する案内情報を出力することをさらに含み、案内情報は、加工の仕上がりを表す現象を示す入力値を受け付ける入力部へのアクセス情報を含み、入力部によって入力値を受け付けることによって支援動作を実行する。このようにすることで、ユーザは支援動作の内容によってアクセスを変える必要がなく一元化され、使い勝手が向上する。また、設定値の調整の支援と共に、又は、その支援に替えて、商品の情報が得られる場合もあるため、使い勝手が向上する。
【0019】
<2.メンテナンス支援システムの例>
【0020】
本実施の形態に係るメンテナンス支援システム(以下、システムと略する)1は、加工装置1のメンテナンスを遠隔で支援するシステムである。
【0021】
加工装置1は、加工対象品である商品9に対して包装加工を施すための加工動作を行う装置である。包装加工は、商品の外側の少なくとも一部を包装用部材で覆う加工を指す。包装用部材で覆うことは、包装用部材で包むこと、包装用部材を貼付すること、包装用部材を密着させること、などであって、包装用部材は、包み紙、ラベル、フィルムなどさまざまである。この例では、シュリンクフィルムを商品に密着させる加工とする。シュリンクフィルムとは、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC等により形成された熱収縮性を有するフィルムである。この例において、包装加工は、商品にシュリンクフィルムが装着された状態で加熱処理し、シュリンクフィルムを熱収縮させて商品と密着させる処理である。
【0022】
システム100は、メンテナンスを支援するための管理装置3を含む。ここでのメンテナンスとは、加工装置1による商品9の加工をよりよい状態とするためのあらゆる対処を含む。具体的には、加工装置1における加工処理のための設定値を適切な設定値とすること、加工装置1の故障などの不具合を改善すること、などを含む。さらに、商品9の加工のためによりよい新しい加工装置を用意することを含んでもよい。
【0023】
上記のメンテナンスを踏まえて、ここでのメンテナンスを支援することは、加工装置1の設定値の調整を支援する支援動作を実行することを含む。設定値は、加工装置1においてユーザが設定可能なパラメータを指し、例えば、温度、風量などである。設定値を調整することは、ユーザによる設定値を、加工装置1による商品9の加工の仕上がりがユーザの所望する仕上がりとなる設定値となるよう変化させることを含む。以下の説明では、加工装置1による商品9の加工の仕上がりがユーザの所望する仕上がりとなる設定値を目標設定値とも称する。
【0024】
また、メンテナンスを支援することは、加工装置1の異常判定を実行することを含んでもよい。加工装置1の異常判定は、異常が発生しているか否かの判定であってもよいし、正常であるか否かの判定であってもよい。異常が発生しているとの判定は、異常個所の判定や異常の原因の判定を含んでもよい。
【0025】
また、メンテナンスを支援することは、商品を案内する案内情報を出力することを含んでもよい。商品を案内することは、加工装置1の提供者が取り扱う商品に関する情報をユーザに提供することを含み、例えば、商品に関する情報を加工装置1や他の装置で出力することであってもよい。
【0026】
加工装置1は通信装置17を有し、インターネット等の通信網7を介して管理装置3と通信可能である。また、システム100は、入出力装置の一例としてユーザ端末5を含み、ユーザ端末5も管理装置3と相互に通信可能である。ユーザ端末5は、タブレット端末やパーソナルコンピュータなどであって、加工装置1のオペレータが操作することが想定される。なお、ユーザ端末5は加工装置1に搭載されているものであってもよい。すなわち、加工装置1は、タッチパネルなどの入力装置を備えていてもよい。以降の説明ではユーザ端末5は加工装置1とは別個の装置であるものとしているが、タッチパネルなどの加工装置1に搭載された入力装置であってもよい。
【0027】
図1図4を参照して、加工装置1は、装着部15、予熱部13、及び、加工部14を有する。装着部15、予熱部13、及び、加工部14は、コンベヤ12による商品9の搬送経路の上流側から下流側に向かう搬送方向に沿ってこの順で配置されている。
【0028】
コンベヤ12は図1に示すように2つのローラ121,122を回転させることによりベルト123の上側の部分が図の左から右に向けて移動する。これにより、ベルト123上の商品9はこの図の左から右に向けて搬送される。この方向を以降の説明では搬送方向と称する。また、図の左側を上流側、右側を下流側とも称する。
【0029】
装着部15は、規定位置にある商品9にシュリンクフィルム91を装着する装置であって、一例として、上流より真下に搬送されてきた商品9に対してシュリンクフィルム91を被せる。
【0030】
予熱部13及び加工部14はコンベヤ12の搬送路を覆うように設けられている。コンベヤ12によって搬送される商品9は、予熱部13及び加工部14の順に内部へ導かれる。予熱部13及び加工部14は、いずれも、内部に導かれた、シュリンクフィルム91が装着された商品9に、高温気体を吹き付けることで熱加工する。加工部14は、高温気体を商品9に吹き付ける。予熱部13は、加工部14で用いられる高温気体の温度より低い高温気体を商品9に吹き付ける。言い換えると、予熱部13は予熱室であり、加工部14は加熱による加工を行う本加工室である。
【0031】
詳しくは、コンベヤ12に載荷され、装着部15によってシュリンクフィルム91が装着された商品9は、予熱部13内部へと搬送されて、内部を搬送中に、シュリンクフィルム91が収縮を開始する直前の温度になるまで予備的に加熱される。その後、コンベヤ12により商品9が予熱部13外に搬送される。
【0032】
予熱部13外に搬送された商品9は、連続して、加工部14内部へと搬送される。商品9は、加工部14内部を搬送中に、シュリンクフィルム91が収縮する高温にて熱加工が行われる。これにより、シュリンクフィルム91が商品9の外面に密着する。その後、コンベヤ12により商品9が加工部14外に搬送される。
【0033】
図2を参照して、予熱部13のカバー41内には、搬送方向に延びるコンベヤ12を挟んで対をなす送風部42が配置されている。商品9は、2つの送風部42の間をコンベヤ12によって搬送される。
【0034】
送風部42の上部には供給管134が接続され、図示しないヒータによって加熱された高温気体が供給管134を介して送風部42内へと供給される。送風部42のコンベヤ12に向く側の面には複数の開口が形成された開口板221が取り付けられている。送風部42内へ供給された高温気体は開口板221の開口から商品9に向けて送出される。そのため、商品9に高温気体が吹き付けられる。
【0035】
開口板221の各開口からの高温気体の噴出は、個別に制御可能であるものとする。一例として、各開口にシャッターが設けられており、シャッターの開閉が個別に制御可能に構成されている。シャッターが開閉されることで風量が調整される。すなわち、シャッターの開閉の制御は風量の制御を含む。また、シャッターの開閉位置に応じて高温気体の商品9に吹き付けられる位置が変化する。そのため、シャッターの開閉の制御は高温気体を吹き付ける位置の制御に含み得る。
【0036】
これにより、商品9に装着されたシュリンクフィルム91が高温気体によって加熱される。なお、ここでの高温気体の温度はシュリンクフィルム91が収縮を開始する直前の温度程度である。そのため、予熱部13を通過する商品9のシュリンクフィルムは予備的に加熱されるようになる。
【0037】
図3を参照して、加工部14には、図示しない送風装置から2つの配管33が延びている。各配管33は、コンベヤ12を挟むように2つの経路に分離し、カバー31を貫通して熱部14内部に延びている。加熱部14内部には4つのノズル34が配置され、それぞれ、2つの配管33それぞれの分離した先端に接続されている。送風装置40から送出された高温の水蒸気は、配管33を介して4つのノズル34へ供給され、ノズル34から送出される。
【0038】
コンベヤ12上の所定位置が加熱位置Tと設定されており、加熱位置Tに高さ方向の仮想的な軸(以下、基準軸)8を想定すると、4つのノズル34は基準軸8の周囲を囲むように等間隔(基準軸8の周方向に対して等間隔)に配置されている。これにより、コンベヤ12によって搬入されてきた商品9が加熱位置Tまで搬送されると、4つのノズル34から水蒸気が吹き付けられ、効率よくシュリンクフィルム91が加熱される。
【0039】
図4を参照して、各ノズル34は加熱位置Tに位置する商品9の中央に向けて高温気体を送出するのではなく、商品9の中央、つまり、基準軸8に向かう方向から、同一方向に角度θだけ傾いた方向に向けて高温気体を送出する。これにより、4つのノズル34から送出された高温気体の気流F1は互いに干渉し合いながら渦を形成する。そのため、高温気体が商品9に装着されたシュリンクフィルム91の表面に沿って流れる。その結果、シュリンクフィルム91の表面全体が一様に速やかに加熱され、皺や偏った収縮の発生が防止される。
【0040】
図1に示されたように、加工装置1には、加工装置1の状態を検出するためのセンサSE1,SE2が備えられていてもよい。加工装置1の状態は、例えば、予熱部13や加工部14の内部気体の温度や風速などである。また他の例として、センサSE1,SE2は、商品9の加工の仕上がりを検出してもよい。仕上がりの検出は、例えば、表面の凹凸をセンシングしたり、印刷の向きを検出したりすることを含む。これらは、照射された検出光線の反射や透過を利用するセンサであってもよいし、商品9を撮影するカメラであってもよい。
【0041】
センサSE1,SE2による検出結果は、図示しないディスプレイなどに表示されてもよい。また、通信装置17によって管理装置3やユーザ端末5などに送信されてもよい。
【0042】
管理装置3は、ユーザ端末5から加工装置1に関するデータの入力を受け付ける。管理装置3は、必要に応じて加工装置1からデータを取得してもよい。加工装置1からのデータは、例えば、上記のセンサSE1,SE2による検出結果である。管理装置3はそれらデータを用いて支援動作を実行し、必要なメンテナンスに必要な情報を表すデータをユーザ端末5に送信する。
【0043】
図5を参照して、管理装置3は、プロセッサ61とメモリ62とを有する1台のコンピュータ、又は、複数台のコンピュータが協働して構成される。図1では、1台のコンピュータによって管理装置3が実現される例が示されている。メモリ62は、一次記憶装置であってもよいし、二次記憶装置であってもよい。また、管理装置3は、加工装置1やユーザ端末5と通信網7を介して通信可能な通信装置63を有する。
【0044】
メモリ62は、プロセッサ61によって実行されるメンテナンスプログラム621を記憶している。プロセッサ61は、メンテナンスプログラム621を実行することによって支援動作のための処理を実行する。
【0045】
メモリ62は、さらに、調整情報を記憶している調整情報データベース(DB)623を含む。調整情報は、加工装置1の設定値の調整を支援するための情報である。調整情報DB623は、加工対象品の加工の仕上がりを表す現象ごとに調整情報を記憶している。
【0046】
一例として、調整情報DB623は、図6に示されるように、事象ナンバー301と、調整箇所302と、調整対象303と、調整ピッチ304との組み合せを記憶している。事象ナンバー301は、加工の仕上がりを示す識別番号である。調整箇所302は、設定値の変更を要する箇所を示す情報であって、例えば、予熱部13を示す「予熱室」や、加工部14を示す「本加熱室」である。調整対象303は、設定値の変更を要する項目を示す情報であって、例えば、温度や風量などである。
【0047】
図6に示されるように、調整情報は、調整箇所302として予熱部13及び加工部14をそれぞれ指定するものである。その他の箇所を指定するものであってもよい。これにより、後述する調整処理611において、予熱部13及び加工部14それぞれに対して独立して支援動作を行うことができる。具体的には、それぞれ別個に、温度や風量などの設定値の変更を支援することができる。
【0048】
調整ピッチ304は、目標設定値に近づけるために変化させる設定の変更量を示す情報であって、例えば、変化させる温度、変化させる風量などである。図6の例の場合、「+5℃」は温度を5℃上昇させること、「-5℃」は温度を5℃下降させることを意味している。「+1シャッター」は開口板221の複数の開口それぞれに設けられた複数のシャッターの中の1つのシャッターを開放して風量を増加させること、「-1シャッター」は開口板221の複数の開口それぞれに設けられた複数のシャッターの中の1つのシャッターを開放して風量を増加させることを意味している。
【0049】
メモリ62は、さらに、判定情報を記憶している判定情報DB624を含む。判定情報は、加工装置1の状態の正常又は異常を判定するために用いられる基準を含む。一例として、判定情報は、温度や風量などのセンシング結果を含む。また、判定情報は加工装置1のさまざまな箇所の状態を表す画像であってもよい。
【0050】
メモリ62は、さらに、装置情報を記憶している装置情報DB625を含む。装置情報は、メンテナンス対象の加工装置1に関する情報であって、機種や対応するユーザ端末5のアクセス情報や使用期間や設置地域やユーザなどの情報を含む。
【0051】
メモリ62は、さらに、商品情報を記憶している商品情報DB626を含む。商品情報は、商品を紹介するために用いられる情報であって、商品の機種などの特定情報、価格、画像などを含む。また、商品情報は、その商品の紹介の出力に必要な様々な情報を含んでもよい。
【0052】
好ましくは、メモリ62は、装置情報DB625に替えて、又は、加えて、ユーザ情報を記憶しているユーザ情報DB622を含む。ユーザ情報、システム100で実行する支援動作の対象となったユーザに関する情報を含む。具体的には、設定値の調整を支援した加工装置1や、後述する調整処理を実行したユーザに関する情報を含む。さらに、調整処理を実行した時期、内容などを含む。
【0053】
好ましくは、記憶されるユーザ情報は調整処理についてのユーザ情報のみならず、後述する判定処理や案内処理を含む。例えば、ユーザごとに、所有する加工装置1の正常又は異常を判定した時期やその結果、商品を案内した時期や案内した商品を特定する情報、などを記憶している。これにより、支援動作に含まれる各処理について、どのユーザにいつ何を行ったかを一元管理することができる。その結果、支援動作のうちのある処理を実行する際に他の処理の実行時期や内容を考慮することができ、総合的な支援を行うことができる。
【0054】
プロセッサ61は、メンテナンスプログラム621を実行することによって支援動作のための処理を実行する。支援動作のための処理は、調整処理611を含む。調整処理611は、加工装置1の設定値の調整を支援するための処理を含む。好ましくは、調整処理611は、処理を実行したタイミングや処理の内容などの処理に関する記録をユーザ情報DB622に登録する処理を含む。調整処理611については後述する。
【0055】
支援動作のための処理は、判定処理612を含む。判定処理612は、加工装置1の正常又は異常を判定する処理である。判定処理612は、判定に必要な情報を収集し、その情報と、判定情報DB624に記憶されている判定情報とを用いて加工装置1の正常又は異常を決定することを含む。
【0056】
判定に必要な情報は、加工装置1の温度や風量などのセンシング結果や、さまざまな箇所の状態を表す画像などである。判定に必要な情報を収集することは、センサSE1,SE2から検出結果を得ることであってもよい。また、他の例として、ユーザ端末5又は他の装置からデータの入力を受け付けることであってもよい。例えば、ユーザ端末5から設定された温度や風量の入力を受け付けてもよいし、ユーザ端末5又は通信機能を有するカメラなどから、加工装置1の様々な箇所の撮影画像データの入力を受け付けてもよい。
【0057】
判定処理612において、プロセッサ61は、収集された判定に必要な情報に対して判定情報を基準として用いて比較することによって、加工装置1の正常又は異常を判定する。
【0058】
判定情報は、例えば、予熱部13及び加工部14それぞれについての、温度設定ごとの測定温度の理想変化である。そして、判定処理612においてプロセッサ61は、温度の設定値を得るとともに、センサSE1,SE2で検出された温度の変化と判定情報とを比較することで、正常が異常かを判定する。
【0059】
判定情報は、他の例として、判定対象とする項目ごとの、判定プロセスに沿った各項目の測定値の閾値であってもよい。この場合、判定処理612においてプロセッサ61は、その項目について判定する際に、規定された判定プロセスに従って測定値を取得し、閾値と比較して判定を満たせば次の測定値を取得して比較する、を判定プロセスに沿って行うことで、その項目についての正常、異常を判定する。
【0060】
判定処理612は、判定結果を出力することを含んでもよい。判定結果の出力先は、一例として、ユーザ端末5である。また、他の例として、サービスマンの携帯する端末装置など、遠隔にて異常に対処する側の装置であってもよい。これにより、加工装置1の設置場所に実際にサービスマンが点検に訪問しなくても、遠隔にて訪問したように加工装置1の正常、異常を判定し、対処することができる。
【0061】
プロセッサ61は、所定のタイミングで判定処理612を実行する。所定のタイミングは、一例として、加工装置1のユーザの携帯するユーザ端末5から判定処理612の実行を要求する信号を受け付けたときである。これにより、例えばユーザが加工装置1に異常が生じたように感じたタイミングなどの所望するタイミングにおいて、遠隔で、管理装置3から正常又は異常の判定結果を得ることができる。
【0062】
所定のタイミングは、他の例として、プロセッサ61が調整処理611を実行する前であってもよい。これにより、判定処理612によって正常と判定された場合に、調整処理611が実行されるようになる。そのため、加工装置1の異常が商品9の仕上がりに影響している場合を除いて設定値を調整することができる。その結果、より適切な設定値の調整を支援することができるようになる。
【0063】
所定のタイミングは、他の例として、加工装置1からエラー通知がなされたタイミングであってもよい。加工装置1では、センサSE1,SE2の検出結果や累積駆動時間などが異常の生じる可能性がある状態と予め設定されている状態となった場合に、管理装置3に対してエラー通知するように構成されていてもよい。これにより、管理装置3において自動的に異常が判定されるようになる。なお、所定のタイミングは、その他、特定の時間間隔や、加工装置1の稼働時などの設定されたタイミングであってもよい。
【0064】
好ましくは、判定処理612は予測処理613を含む。予測処理613は、加工装置1が正常と判定された状態において、異常が生じる時期を予測する処理である。一例として、判定情報は、予熱部13及び加工部14それぞれについての、適正な測定温度と設定風量との関係を含むとともに、適正な関係でない状態において異常が生じる駆動時間の閾値を含む。そして、予測処理613おいて、プロセッサ61は、風量の設定値を得るとともに、センサSE1,SE2で検出された温度を判定情報と比較することで、適正な関係であるか否かを判定する。ここで適正な関係でない場合、プロセッサ61は、その関係での累積駆動時間を読み出し、閾値に達するタイミング、つまり、異常の発生する時期を予測する。
【0065】
なお、プロセッサ61は、累積駆動時間や風量の設定値やセンサSE1,SE2で検出された温度などを入力値とし、異常の有無や、異常の発生する時期の予測値を出力するよう機械学習された学習モデルを搭載し、又は、そのような学習モデルを搭載した他の装置にアクセスすることによって、予測処理613において、異常の有無や異常の発生する時期の予測値を得てもよい。
【0066】
判定処理612は、判定結果や、予測結果を通知する処理を含む。通知は、加工装置1に対して行われてもよい。この場合、加工装置1に対して制御信号が出力され、加工装置1ではその制御信号に従ってエラー出力される。また、通知は、ユーザ端末5になされてもよい。これにより、ユーザは、加工装置1の装置異常や、異常が生じると予測される時期を知ることができる。
【0067】
好ましくは、判定処理612は、判定結果や予測結果、判定処理612を実行した時期などを、加工装置1に対応付けて、又は、加工装置1のユーザと対応付けてユーザ情報DB622に記憶させることを含む。これにより、次回の判定処理612や、調整処理611や、後述する案内処理614などにおいて、判定処理612の結果を用いることができる。例えば、直近の予測処理613において異常が生じると予測された時期に近いタイミングで案内処理614を実行する場合には、新商品を案内するなどが行われてもよい。このように一元管理されることで、適切で総合的な支援が可能になる。
【0068】
支援動作のための処理は、さらに、案内処理614を含んでいてもよい。案内処理614は、商品を案内する情報をユーザ端末5などに出力する処理を含む。商品情報DB626に記憶されている商品情報を用いて案内用の画面をユーザ端末5に表示させるための表示用データを生成し、ユーザ端末5に送信する処理を含む。これにより、支援動作として商品の案内を行うことができる。
【0069】
案内用の画面は、いわゆるカタログ形式で商品を紹介する画面であってもよいし、動画やアニメーションやそれらの組み合わせなど、エンターテイメント性を有する画面であってもよい。一例として、展示会の会場に模して画面を構成し、画面内の各所に商品を提示するように配置するように紹介するものとする。この場合、商品の提示に併せて、その商品を紹介する情報、又は、紹介する情報を表示させるためのアイコンをさらに表示する。アイコンは、一例として、表示を指示するボタンであってもよいし、ナビゲータなどの人の形状のボタンであってもよい。これにより、展示会場で商品の案内を受けるように紹介する情報が得られる。
【0070】
さらに、展示会の会場に模した画面は、動画であってもよい。例えば、スワイプなどのユーザ端末5に対するユーザ操作に従って視点が展示会場内を移動するように表示が変化する動画であってもよい。その際、視点を表すユーザのアイコンが表示されていてもよい。これにより、遠隔で展示会に参加しているように商品の情報が得られる。
【0071】
さらに、商品の情報は、表示に替えて、又は、表示に加えて、音声での出力であってもよい。この場合、商品を紹介する情報を出力させるためにアイコンをタッチする操作に替えて、又は加えて、アイコンに対して音声にて指示する操作であってもよい。これにより、遠隔で展示会に参加し、ナビゲータから商品の案内を受けているように商品の情報が得られる。
【0072】
好ましくは、案内処理614は、案内処理614を実行した時期や案内した商品などをユーザと対応付けてユーザ情報DB622に記憶させることを含む。より好ましくは、案内処理614において購入を受け付ける場合、購入記録もユーザ情報DB622に記憶させることを含む。これにより、次回の案内処理614などにおいて、直近の案内処理614の結果を用いることができる。例えば、直近の案内処理614において詳細な紹介を行った商品に類似した商品を次回の案内処理614で案内するなどが行われてもよい。このように一元管理されることで、適切で総合的な支援が可能になる。
【0073】
システム100での、加工装置1の設定値の調整を支援する支援動作について、図7を用いて説明する。図7を参照して、はじめに、ユーザ端末5は、支援の開始を指示するユーザ操作とともに、加工対象の商品9の仕上がりの現象を示す入力値を受け付ける(ステップS1)。ユーザ端末5は、調整の対象とする加工装置1の識別情報(例えばID(identification)とともに入力値を管理装置3に送信する(ステップS3)。
【0074】
これらデータをユーザ端末5から受信すると、管理装置3のプロセッサ61は、調整処理611に先立って、判定処理612を実行する(ステップS5)。このとき、プロセッサ61は、加工装置1から、加工装置1のIDとともにセンサSE1,SE2の検出結果などの判定に必要な情報を取得してもよい(ステップS7)。なお、ステップS5の判定処理612において、プロセッサ61は、予測処理613を併せて実行してもよい。
【0075】
プロセッサ61は、ステップS5で実行した判定処理612において加工装置1が正常と判定されたされた場合、又は、さらに、予測処理613において異常が発生すると予測される時期が所定期間後である場合、加工装置1の設定値を調整する調整処理611を実行する(ステップS9)。
【0076】
プロセッサ61は、ステップS9で調整処理611を実行することによって、加工装置1の設定値の調整を支援するための調整情報を生成する。生成した調整情報は、管理装置3からユーザ端末5に送信される(ステップS11)。
【0077】
ユーザ端末5では、受信した調整情報に基づく出力が行われる。出力の一例は、画面表示である(ステップS13)。ステップS13では、例えば、「温度設定を5℃上昇させてください」などの表示が行われる。出力の他の例として、音声出力、画面表示と音声出力との組み合せなどであってもよい。また、加工装置1に対して制御信号を送信可能な場合、出力は、加工装置1に対して、調整情報に基づく制御信号を出力することであってもよい。これにより、加工装置1のユーザは、加工装置1の設定値を目標設定値に近づけることができる。
【0078】
ステップS9での調整処理611については、さらに、図8のフローチャート、及び、図9図11の画面例を用いて説明する。一例として、調整処理611は、ユーザ端末5に対して商品を案内する表示を行う案内処理614において開始が指示されるものとする。具体的には、プロセッサ61は案内処理614を実行し、図9の案内画面200をユーザ端末5に表示させている。
【0079】
図9の案内画面200は、上記した、商品を出品している展示会に模して構成された画面の一例である。案内画面200には、各商品A~Cそれぞれに対応付けられた案内を表示させるためのボタン201~203が用意されている。これにより、展示会場にてナビゲータに案内を求めるのと同様に、案内を所望する商品に対応付けられたボタンをタッチすることで、その商品の案内を表示させることができる。
【0080】
図9の案内画面200は、調整処理611の開始を指示するボタン204をさらに含む。これにより、加工装置1のユーザは、設定値の調整を管理装置3に依頼する際に、加工装置1や他の商品の案内も見ることができ利便性を向上させることができる。
【0081】
図9の案内画面200においてボタン204がタッチされることによって、ユーザ端末5の表示画面は、加工対象の商品9の仕上がりの現象を示すデータの入力を受け付ける画面に切り替わる。具体例として、ユーザ端末5の表示画面は、図10の受付画面210に切り替わる。図10の受付画面210は、商品9の仕上がりの現象として「しわ」、「むら」、「歪み」、「破れ」及び「収縮不足」のそれぞれを選択するためのボタン211~215を含む。また、受付画面210は、選択された現象を示す入力値を送信し、管理装置3に調整処理611の開始を指示するためのボタン216をさらに含む。ボタン211~215のいずれかが選択され、さらにボタン216がタッチされると、図7のステップS3の入力値の送信が行われる。
【0082】
図8を参照して、プロセッサ61は、調整処理611を開始すると、初めに、ステップS3でユーザ端末5から送信されてきた入力値を読み出す(ステップS101)。また、必要に応じて、加工装置1から得られたセンサSE1,SE2での検出結果を読み出す(ステップS103)。
【0083】
好ましくは、プロセッサ61は、調整情報を用いて調整処理611を実行するのに先立って、判定処理612を実行する(ステップS105)。その結果、加工装置1に異常が生じていると判定された場合(ステップS107でYES)、プロセッサ61は以降の処理を行わず終了する。好ましくは、プロセッサ61は、異常を通知する処理を実行する(ステップS109)。異常を通知する処理は、例えば、ユーザ端末5に異常を示す信号を送信することを含む。また、他の例として、加工装置1にエラー出力させるための制御信号を送信することを含んでもよい。
【0084】
加工装置1が正常であると判定された場合(ステップS107でNO)、プロセッサ61は調整処理611を実行する。具体的には、調整情報DB623から入力値に対応する調整情報を読み出し(ステップS111)、通信装置63に渡してユーザ端末5に送信させる(ステップS113)。
【0085】
例えば、受付画面210でボタン211がタッチされ、商品9の仕上がりの現象として「しわ」が選択された場合、ステップS101で読み出された入力値は「しわ」に対応したものとなる。調整情報DB623に図6の調整情報が記憶されている場合、ステップS111でプロセッサ61は、「しわ」に対応した事象No.1の調整情報を読み出し、ステップS113でユーザ端末5に送信させる。
【0086】
この調整情報が送信されることで、ユーザ端末5には図11の調整画面220が表示される。調整画面220は、選択された事象に適した調整方法の表示224を含む。表示224は、受付画面210で選択された事象No.1について、対応する調整情報に含まれる調整箇所「予熱室」、調整対象「温度」及び調整ピッチ「-5℃」に基づいた、「予熱室の温度を5℃下げてください」のテキストを含む。これにより、加工装置1のユーザは、加工装置1の予熱部13の温度設定を5℃下げることができる。
【0087】
調整処理611において、プロセッサ61は以上の処理を、商品9の仕上がりが良好となるまで繰り返す。すなわち、ステップS113で調整情報を出力した後、プロセッサ61は、さらに調整後の商品9の仕上がりを表す事象を示す入力値を受け付けて、入力値に応じて以上の処理を繰り返す。これにより、ユーザが所望する仕上がりとなる設定値、つまり、目標設定値に調整させることができる。
【0088】
具体的には、調整画面220は、設定値の調整後の商品9の仕上がりを表す事象を選択するボタン222,223をさらに含む。ボタン222は仕上がりがよいことを選択するためのボタン、ボタン223は仕上がりが依然としてよくないことを選択するためのボタンである。
【0089】
ユーザ端末5からボタン223に基づく信号が送信された場合、つまり、設定値の調整後の商品9の仕上がりが依然としてよくないものである場合(ステップS115でNO)、プロセッサ61は、ボタン223に基づく信号を入力値として、ステップS101からの処理を繰り返す。つまり、図11の例の場合、再度、事象No.1の調整情報を読み出し、図11の調整画面220をユーザ端末5に表示させる。これにより、この例の場合、5℃ずつ予熱部13の温度設定を下げさせることになる。
【0090】
以上の処理の結果、ユーザ端末5からボタン222に基づく信号が送信された場合、つまり、設定値の調整後の商品9の仕上がりがよくなった場合(ステップS115でYES)、プロセッサ61は、一連の処理を終了してもよい。これにより、加工装置1の設定値を目標設定値に近づけることができる。
【0091】
好ましくは、設定値の調整後の商品9の仕上がりがよくなった場合(ステップS115でYES)、プロセッサ61は、直近の設定値に戻させるための調整情報をユーザ端末5に対して送信させる(ステップS117)。ステップS101~S113を繰り返すことで、調整情報に設定された所定ピッチごと調整値を変化させることになるため、仕上がりが良好なときに変化が大きすぎる可能性があるためである。
【0092】
図11の例の場合には、商品9の仕上がりがよいとの入力値が得られるまで予熱部13の設定温度を5℃ずつ低下させることになる。そのため、仕上がりがよいとの入力値に達した時点では設定温度が適正な温度を超えて低く設定されている可能性がある。そこで、プロセッサ61は、ステップS117で設定温度を5℃上昇させて直前の温度設定に戻させる調整情報を出力する。これにより、より目標設定値に近づけることができる。
【0093】
本システム100でこのような調整処理が実行されることによって、加工装置1において商品9の仕上がりに不具合が生じた場合に、加工装置1のユーザは適正な対処が支援されることになる。このとき、従来のようにサービスマンの訪問を依頼する必要がなく、日程の調整や費用などの負担をなくして適切な対処が支援される。そのため、不具合の発生に対して、ユーザもサービスマン側も負担なく、迅速な対処が可能になる。
【0094】
また、本システム100では、併せて加工装置1の正常、異常の判定も遠隔で行うため、異常発生が疑われる場合に、ユーザもサービスマン側も負担なく、迅速な対処が可能になる。さらに、設定値の調整に先立って加工装置1の正常、異常を判定することによって、商品9の仕上がりの不具合が加工装置1の異常によって生じていた場合にも適切な対処が可能になる。
【0095】
なお、本システム100では、併せて、商品の案内も行うことができる。言い換えると、本システム100では、商品を案内する出力中に設定値の調整を受け付ける。また、同様にして、正常、異常の判定を受け付けてもよい。このようにすることで、加工装置1のユーザは支援動作の内容によってアクセスを変える必要がなく一元化され、使い勝手が向上する。また、調整を要求する際に、商品の情報が得られたり、正常、異常の判定を要求できたりするため、使い勝手が向上する。
【0096】
さらに、本システム100では、ユーザごとに、メンテナンスの支援の各処理に関する情報を一元管理することが可能になる。そのため、ある処理を実行する際に他の処理の結果や実行時期などを考慮することが可能になる。その結果、適切に総合的にメンテナンスを支援することができる。
【0097】
本システム100では、上記のように、複数の加工装置1から商品9の仕上がり、及び、予熱部13及び加工部14それぞれについてのセンサSE1,SE2で検出された温度や風量などの設定値やその調整情報などの設定に関する情報を、管理装置3によって蓄積することができる。例えば、商品9の仕上がりがよいときの予熱部13及び加工部14それぞれについての設定値を蓄積していくことができる。これにより、商品ごとに適した設定値をデータベース化することができる。
【0098】
本システム100では、さらに、このようにして蓄積されたデータを活用してもよい。例えば、ユーザ端末5から商品9の形状や材質などの情報の入力を受け付け、管理装置3が、その商品9の加工に適した設定値のアドバイスを生成し、ユーザ端末5に出力してもよい。また、商品9の情報を入力とし、適切な設定値を出力するよう学習モデルを機械学習させる際の教師データとして用いることもできる。また、加工装置1において動作条件などを自動設定させるプログラムの作成に用いることも考えられる。そのため、管理装置3は、データベース化した情報を他の装置に提供し、上記のような処理に活用させることもできる。また、管理装置3自身が上記の処理を実行してもよい。
【0099】
なお、上記のように、管理装置3において商品ごとに適した設定値などをデータベース化するためには、より多くの加工装置1から情報が得られた方がよい。従って、設定値などの情報の提供を促すため、情報を多く送信するほど利用料金などにおける特典が与えられる仕組みであってもよい。これにより、商品ごとに適した設定値などの情報の提供が促され、データベースの充実を図ることができる。
【0100】
<3.付記>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 :加工装置
3 :管理装置
5 :ユーザ端末
7 :通信網
8 :基準軸
9 :商品
12 :コンベヤ
13 :予熱部
14 :加工部
15 :装着部
17 :通信装置
31 :カバー
33 :配管
34 :ノズル
40 :送風装置
41 :カバー
42 :送風部
61 :プロセッサ
62 :メモリ
63 :通信装置
91 :シュリンクフィルム
100 :システム
121 :ローラ
122 :ローラ
123 :ベルト
134 :供給管
200 :案内画面
201 :ボタン
202 :ボタン
203 :ボタン
204 :ボタン
210 :受付画面
211 :ボタン
212 :ボタン
213 :ボタン
214 :ボタン
215 :ボタン
216 :ボタン
220 :調整画面
221 :開口板
222 :ボタン
223 :ボタン
224 :表示
301 :事象ナンバー
302 :調整箇所
303 :調整対象
304 :調整ピッチ
611 :調整処理
612 :判定処理
613 :予測処理
614 :案内処理
621 :メンテナンスプログラム
622 :ユーザ情報DB
623 :調整情報DB
624 :判定情報DB
625 :装置情報DB
626 :商品情報DB
F1 :気流
SE1 :センサ
SE2 :センサ
T :加熱位置
θ :角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11