(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099426
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/739 20060101AFI20220628BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20220628BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20220628BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
H01L29/78 655F
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/78 652T
H01L29/78 658F
H01L29/78 658J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213187
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】株式会社 日立パワーデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】徳光 成太
(72)【発明者】
【氏名】白石 正樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 豊
(72)【発明者】
【氏名】織田 哲男
(57)【要約】
【課題】
比較的簡単な方法でチップの終端構造(ターミネーション領域)の高温高湿バイアス耐性を向上しつつ、デバイス特性への影響を抑制可能な信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】
半導体基板の主面に配置されたアクティブ領域と、前記アクティブ領域を囲むように前記主面に配置されたターミネーション領域と、を備え、前記ターミネーション領域は、前記半導体基板の主面上に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜を覆うように形成された有機系保護膜と、を有し、前記層間絶縁膜と前記有機系保護膜との間に、膜厚が100nm以下の窒素を含む絶縁膜が設けられていることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の主面に配置されたアクティブ領域と、
前記アクティブ領域を囲むように前記主面に配置されたターミネーション領域と、を備え、
前記ターミネーション領域は、前記半導体基板の主面上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜を覆うように形成された有機系保護膜と、を有し、
前記層間絶縁膜と前記有機系保護膜との間に、膜厚が100nm以下の窒素を含む絶縁膜が設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記ターミネーション領域は、前記半導体基板の主面に形成されたガードリングを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記ターミネーション領域は、前記層間絶縁膜上に形成され、前記層間絶縁膜に形成された開孔を貫通して前記ガードリングに接続されたフィールドプレート電極を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記有機系保護膜は、前記層間絶縁膜および前記フィールドプレート電極を覆うように形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記窒素を含む絶縁膜は、膜厚が50nm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記窒素を含む絶縁膜は、膜厚が10nm以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記窒素を含む絶縁膜は、膜厚が20nm以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記窒素を含む絶縁膜は、前記層間絶縁膜および前記フィールドプレート電極を覆うように、前記層間絶縁膜および前記フィールドプレート電極と、前記有機系保護膜との間に設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記窒素を含む絶縁膜は、前記層間絶縁膜と前記フィールドプレート電極との間にも設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記窒素を含む絶縁膜は、前記フィールドプレート電極の上面には設けられていないことを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記アクティブ領域は、前記半導体基板の主面上に形成されたパッド電極を有し、
前記パッド電極の表面の少なくとも一部に前記窒素を含む絶縁膜が設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記窒素を含む絶縁膜は、前記層間絶縁膜および前記フィールドプレート電極を覆うように、前記層間絶縁膜および前記フィールドプレート電極と、前記有機系保護膜との間に設けられ、かつ、前記層間絶縁膜と前記フィールドプレート電極との間にも設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記窒素を含む絶縁膜は、シリコン窒化膜またはシリコン酸窒化膜であることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の構造に係り、特に、パワー半導体チップの終端構造に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体チップの耐圧劣化の原因の1つとして、チップ終端部における電界集中がある。パワー半導体チップの表面に接合を形成すると、逆バイアス印加時に終端部において空乏層が扇型に広がる。扇型の領域の電荷の電気力線はチップ終端部に集まり、いわゆる電界集中が生じる。その結果、理論耐圧よりかなり低い電圧でアバランシェ降伏(絶縁破壊)が起こる。
【0003】
このチップ終端部における電界集中を緩和するために、逆バイアス印加時に扇型に広がった空乏層領域の電荷からの電気力線の行き先をチップ終端部から終端構造(以下、ターミネーション領域とも呼ぶ)全体へ分散させる必要がある。その方法として、接合終端に隣接する半導体表面に接合の表面側の極性と同じ低濃度の領域を形成するJunction Termination Extension(JTE)構造や、接合終端部に沿って複数のリング状に接合の表面側の極性と同じ構造を形成するガードリング構造など、様々な構造が提案されている。
【0004】
本技術分野の背景技術として、例えば、特許文献1のような技術がある。特許文献1には、水分による耐圧低下やリーク電流増加等のデバイス特性の劣化が生じるのを防止するために、層間絶縁膜とソース電極、ドレイン電極を備えた半導体基板上に、プラズマTEOS酸化膜を形成し、プラズマTEOS酸化膜がその下部の段差部分にスペーサ状に残るようにエッチバックし、さらに、プラズマTEOS酸化膜上にパッシベーション膜としてプラズマ窒化膜を形成することが記載されている。そして、特許文献1の段落[0016]には、プラズマ窒化膜13を1μmの厚さに形成することが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、モールド樹脂中の水分に起因するアルミ配線の腐食やリーク電流の増加等による半導体装置の寿命低下を防止するために、比較的高い屈折率を有する下層側のシリコンナイトライド膜と、比較的低い屈折率を有する上層側のシリコンナイトライド膜の異なる膜質の2層膜をプラズマCVD法によって形成することが記載されている。そして、特許文献2の段落[0013]には、第1のシリコンナイトライド膜15を1μm形成することが記載されており、段落[0015]には、第2のシリコンナイトライド膜16を1μm形成することが記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、端部領域120に、下層から順に、酸化膜42、屈折率2.9以上3.3以下の抵抗性窒化シリコン膜44、層間絶縁膜46、屈折率1.8以上2.2以下の絶縁性窒化シリコン膜47、ポリイミド膜48の積層構造を形成することで、クラック耐性を向上することが記載されている(特許文献3の
図4及び段落[0066]-[0068]等)。そして、特許文献3の段落[0039]には、抵抗性窒化シリコン膜44は0.5μm以上0.8μm以下の厚みを有することが記載されており、段落[0066]には、絶縁性窒化シリコン膜47の厚みは、約1.2μmであることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-345319号公報
【特許文献2】特開2001-352056号公報
【特許文献3】特開2017-92360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、パワー半導体チップの信頼性向上と更なる高耐圧化には、パワー半導体チップの終端構造(ターミネーション領域)の絶縁耐性向上が重要な課題となっている。このため、パワー半導体チップの信頼性試験の1つとして実施されており、高温高湿雰囲気中で使用した場合の耐久性を評価する高温高湿バイアス耐性の向上が求められている。
【0009】
上記特許文献1では、パッシベーション膜として厚さ1μmのプラズマ窒化膜を形成することで、水分の侵入を防止し、耐圧低下やリーク電流増加等のデバイス特性の劣化を防止している。しかしながら、プラズマ窒化膜は、一般に膜の内部応力が高いため、電子の移動度が変動するなど、デバイス特性に影響を及ぼす可能性がある。
【0010】
また、上記特許文献2では、異なる膜質の2層膜のシリコンナイトライド膜を形成しており、シリコンナイトライド膜のトータルの膜厚が2μmと厚くなるため、やはり膜の内部応力が問題となる。
【0011】
また、上記特許文献3では、屈折率の異なる抵抗性窒化シリコン膜と絶縁性窒化シリコン膜を形成しており、特許文献2と同様に、窒化シリコン膜のトータルの膜厚が1.7μmから2.0μmと厚くなり、デバイス特性に影響を及ぼす恐れがある。
【0012】
そこで、本発明の目的は、比較的簡単な方法でチップの終端構造(ターミネーション領域)の高温高湿バイアス耐性を向上しつつ、デバイス特性への影響を抑制可能な信頼性の高い半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、半導体基板の主面に配置されたアクティブ領域と、前記アクティブ領域を囲むように前記主面に配置されたターミネーション領域と、を備え、前記ターミネーション領域は、前記半導体基板の主面上に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜を覆うように形成された有機系保護膜と、を有し、前記層間絶縁膜と前記有機系保護膜との間に、膜厚が100nm以下の窒素を含む絶縁膜が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、比較的簡単な方法でチップの終端構造(ターミネーション領域)の高温高湿バイアス耐性を向上しつつ、デバイス特性への影響を抑制可能な信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【0015】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例1に係るIGBTチップの外観を示す平面図である。
【
図3A】本発明の実施例1に係るIGBTチップの高温高湿バイアス試験結果を示す図である。
【
図3B】従来のIGBTチップの高温高湿バイアス試験結果を示す図である。
【
図4】本発明の実施例2に係るIGBTチップの一部断面図である。
【
図5】本発明の実施例3に係るIGBTチップの一部断面図である。
【
図6】本発明の実施例4に係るIGBTチップの一部断面図である。
【
図7A】本発明の実施例1に係るIGBTチップの製造過程を示す断面図である。
【
図8A】本発明の実施例2に係るIGBTチップの製造過程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。
【実施例0018】
図1から
図3B、及び
図7Aから
図7Eを参照して、本発明の実施例1に係る半導体装置とその製造方法について説明する。
図1は、本実施例の半導体装置の外観を示す平面図であり、例としてIGBTチップ(Insulated Gate Bipolar Transistor)を示している。
図2は、
図1のA-A’断面図である。
図3Aは、本発明による効果の一例を示す電圧-電流特性図であり、
図3Bは、比較例として示す従来の半導体装置の電圧-電流特性図である。
図7Aから
図7Eは、本実施例の半導体装置の製造方法における主要な製造過程を示す断面図である。
【0019】
なお、以下では、半導体装置としてIGBTチップを例に説明するが、本発明の対象はこれに限定されるものではなく、ダイオードやサイリスタ、パワーMOSFET、DMOSFET(Double-Diffused MOSFET)等にも適用することが可能である。
【0020】
本実施例のIGBTチップ1は、
図1に示すように、半導体基板の主面に配置されたアクティブ領域5と、アクティブ領域5の周囲を囲むように配置されたターミネーション領域4を備えている。アクティブ領域5上には、エミッタ電極2及びゲート電極3が形成されている。ターミネーション領域4は、IGBTチップ1のチップ終端部における電界集中を緩和する終端構造、すなわち電界緩和領域である。
【0021】
ターミネーション領域4は、例えば、
図2に示すように、n
-型の半導体基板6の主面に形成された複数のガードリング7と、半導体基板6の主面上に形成された層間絶縁膜8と、層間絶縁膜8上に形成され、層間絶縁膜8に形成された開孔を貫通してガードリング7に接続されたフィールドプレート電極9と、層間絶縁膜8及びフィールドプレート電極9を覆うように形成された有機系保護膜10とを有している。
【0022】
また、層間絶縁膜8と有機系保護膜10との間には、膜厚が100nm以下(望ましくは、50nm以下)の窒素を含む絶縁膜11が設けられている。この窒素を含む絶縁膜11の膜厚の下限は、10nm以上(望ましくは、20nm以上)である。これらの膜厚の上限及び下限の意義については後述する。
【0023】
ここでは、n-型の半導体基板6としてSi基板を想定して説明するが、SiC基板やGaN基板などを用いてもよい。ガードリング7は、イオン注入により半導体基板6の表面に形成されたp型拡散層である。層間絶縁膜8は、後述するパイロジェニック酸化等により形成されたゲート酸化膜、及びTEOS膜(Tetra Ethoxy Silane)やBPSG膜(Boron-phospho silicate glass)等の層間膜からなり、いずれもシリコン酸化膜(SiO2)である。
【0024】
フィールドプレート電極9は、例えばTi/TiN/Al、MoSi/Alなどの積層膜からなる電極膜であり、アクティブ領域5のエミッタ電極2やパッド電極14と同層で形成される。有機系保護膜10には、例えばポリイミド膜が用いられている。
【0025】
窒素を含む絶縁膜11には、例えばシリコン窒化膜(Si3N4)やシリコン酸窒化膜(SiON)などを用いる。
【0026】
半導体基板6の裏面には、基板側から順に、n-型拡散層15、p型拡散層16、コレクタ電極17が形成されている。
【0027】
アクティブ領域5内において、ゲート電極3-エミッタ電極2間に電圧が印加されると、ゲート酸化膜直下にnチャネル反転層が形成され、MOSFET部分がONになる。そして、コレクタ電極17-エミッタ電極2間に電圧が印加されると、コレクタ電極17からエミッタ電極2に向かって正孔のなだれ込みが発生し、コレクタ電極17-エミッタ電極2間に電流が流れ、IGBTがオンになる。ゲート電極3-エミッタ電極2間の電圧を0(ゼロ)に戻すと反転層が無くなり、MOSFET部分のnチャネルが遮断され、IGBTがオフになる。
【0028】
本実施例のIGBTチップ1は、以上のように構成されており、ターミネーション領域4において、有機系保護膜10に加えて、層間絶縁膜8と有機系保護膜10との間に、膜厚が10nm以上(望ましくは、20nm以上)、100nm以下(望ましくは、50nm以下)の窒素を含む絶縁膜11をさらに設けることで、IGBTチップ1の表面側からの水分の浸入をより確実に防止することができ、高温高湿バイアス耐性を向上することができる。
【0029】
シリコン窒化膜(Si3N4)やシリコン酸窒化膜(SiON)のような窒素を含む絶縁膜は、一般に緻密な構造を持ち、水分バリア性や絶縁性に優れる反面、内部応力が高いため、電子の移動度が変動するなど、IGBTチップ1のデバイス特性に影響を及ぼす可能性がある。
【0030】
そこで、本実施例では、窒素を含む絶縁膜11の膜厚の上限を100nm以下(望ましくは、50nm以下)とすることで、IGBTチップ1のデバイス特性への影響を防止している。一方、膜厚の下限を10nm以上(望ましくは、20nm以上)とすることで、水分バリア性を担保すると共に、窒素を含む絶縁膜11をプラズマCVD法や反応性スパッタリング法により成膜する際のプロセスマージン(一定の膜質を担保するための裕度)が得られる。
【0031】
図3A及び
図3Bに、IGBTチップの高温高湿バイアス試験結果を示す。
図3Aは、本実施例のIGBTチップの試験結果であり、
図3Bは、従来のIGBTチップの試験結果である。
【0032】
高温高湿バイアス試験の試験条件は、温度85℃,湿度85%,Vcc=80Vである。また、試験サンプルとして、有機系保護膜10に膜厚10μmのポリイミド膜を用い、窒素を含む絶縁膜11に膜厚30nmのシリコン酸窒化膜(SiON)を用いた。
【0033】
図3Bに示すように、層間絶縁膜8と有機系保護膜10の間に窒素を含む絶縁膜11を設けていない従来のIGBTチップでは、168時間(h)で電圧-電流特性が変化しているのに対し、
図3Aに示すように、本実施例のIGBTチップでは、1000時間(h)経過した後でも電圧-電流特性に変化はなく、耐圧が維持されているのが分かる。
【0034】
図7Aから
図7Eを用いて、上述した本実施例の半導体装置の製造方法を説明する。なお、各図では主にターミネーション領域4の製造過程の断面を示す。
【0035】
先ず、
図7Aに示すように、乾燥酸素(O
2)を用いたドライ酸化や、酸素(O
2)と水素ガス(H
2)の燃焼反応による水蒸気を用いたウェット酸化(パイロジェニック酸化)を用いた選択酸化により、n
-型の半導体基板6の主面にゲート酸化膜(SiO
2)19を形成する。その後、低圧CVD装置等により、ゲート酸化膜19上にポリシリコン膜(Poly-Si)20を成膜し、フォトリソグラフィによるパターニング及びエッチングにより、ゲート電極(
図2の符号13)を形成する。続いて、イオン注入により、半導体基板6の主面にホウ素(B)などのp型不純物を打ち込み、p型拡散層18を形成する。このp型拡散層18は、ガードリング(
図2の符号7)として機能する。
【0036】
次に、
図7Bに示すように、プラズマCVD装置や常圧CVD装置等により、ゲート酸化膜19及びゲート電極13(20)を覆うように、半導体基板6の主面上にTEOS膜やBPSG膜などの層間膜(SiO
2)21を成膜する。その後、フォトリソグラフィによるパターニング及びエッチングにより、層間膜21にp型拡散層18まで貫通する開孔(コンタクトホール)23を形成する。この際、ゲート電極13(20)上にも開孔(コンタクトホール)23が形成される。
【0037】
次に、
図7Cに示すように、プラズマCVD装置やスパッタリング装置等により、層間膜21を覆い、なおかつ、層間膜21に形成した開孔(コンタクトホール)23内を埋め込むように、半導体基板6の主面上に例えばTi/TiN/Al、MoSi/Alなどからなる電極膜22を成膜する。その後、フォトリソグラフィによるパターニング及びエッチングにより、フィールドプレート電極(
図2の符号9)を形成する。
【0038】
次に、
図7Dに示すように、プラズマCVD装置や反応性スパッタリング装置等により、層間膜21及びフィールドプレート電極9(22)を覆うように、半導体基板6の主面上にシリコン窒化膜(Si
3N
4)やシリコン酸窒化膜(SiON)等の窒素を含む絶縁膜11を成膜する。
【0039】
最後に、
図7Eに示すように、塗布装置により、窒素を含む絶縁膜11を覆うように、半導体基板6の主面上に有機系保護膜(ポリイミド膜)10を塗布する。その後、フォトリソグラフィによるパターニング及びエッチングにより、アクティブ領域5のパッド電極(
図2の符号14)上の有機系保護膜10及び窒素を含む絶縁膜11を除去する。
【0040】
以上のような製造工程を経て、
図2に示す終端構造が形成される。
【0041】
以上説明したように、本実施例の半導体装置によれば、ターミネーション領域4において、層間絶縁膜8と有機系保護膜10との間に窒素を含む絶縁膜11を設けることで、IGBTチップ1の表面側からの水分の浸入を確実に防止し、高温高湿バイアス耐性を向上することができる。
【0042】
また、窒素を含む絶縁膜11の膜厚を100nm以下(望ましくは、50nm以下)とすることで、窒素を含む絶縁膜11の内部応力を可能な限り低く抑えることができるため、デバイス特性への影響を抑制することができる。
【0043】
一方、窒素を含む絶縁膜11の膜厚を10nm以上(望ましくは、20nm以上)とすることで、水分の浸入を確実に防止すると共に、窒素を含む絶縁膜11の成膜時のプロセスマージン(一定の膜質を担保するための裕度)を得ることができる。
【0044】
なお、本発明は、上述したようなターミネーション領域4にガードリング7及びフィールドプレート電極9を設ける構造とすることが多い高耐圧製品に対して特に有効であるが、必ずしもこれに限定されるものではない。ガードリング7やフィールドプレート電極9を用いない他の終端構造を採用する半導体チップや、比較的低耐圧の製品にも適用することができる。