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特開2022-99427段差防止装置および段差防止装置システム
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  • 特開-段差防止装置および段差防止装置システム 図1
  • 特開-段差防止装置および段差防止装置システム 図2
  • 特開-段差防止装置および段差防止装置システム 図3
  • 特開-段差防止装置および段差防止装置システム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099427
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】段差防止装置および段差防止装置システム
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/04 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
E01D19/04 G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213188
(22)【出願日】2020-12-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)ウェブサイトの掲載日 2020年(令和2年)4月16日 (2)ウェブサイトのアドレス http://www.kozobutsu-hozen-journal.net/ http://www.kozobutsu-hozen-journal.net/series/detail.php?id=228&page=1
(71)【出願人】
【識別番号】505398963
【氏名又は名称】西日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506045118
【氏名又は名称】NEXCO西日本コンサルタンツ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】595089972
【氏名又は名称】株式会社富士技建
(71)【出願人】
【識別番号】503410557
【氏名又は名称】コスモシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095359
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 篤
(72)【発明者】
【氏名】芦塚 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】浅野 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】難波 正幸
(72)【発明者】
【氏名】秋田谷 米男
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059GG29
2D059GG55
(57)【要約】
【課題】設置コストの低減と作業時間の短縮を図ることができる段差防止装置および段差防止装置システムを提供する。
【解決手段】段差防止装置1は本体10と蓋部20とを有する。本体10は収容部を内部に有し、収容部に充填材を投入するための開口11を上部に有する。蓋部20は開口11の内部に移動可能に下端が挿入されて開口11を塞ぐ。蓋部20の外面と本体10の開口11との間に水密パッキンが設けられている。段差防止装置1は橋脚の上部で支承部により支持された橋桁が支承部から外れたとき橋桁を支持する。段差防止装置システムは段差防止装置1を複数有する。段差防止装置1は複数をひとまとめにして各側面にバンドを巻かれて拘束される。複数の段差防止装置1を拘束するよう包囲する枠材を有する。枠材は橋脚の上部に固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋脚の上部で支承部により支持された橋桁が前記支承部から外れたとき前記橋桁を支持するための段差防止装置であって、
収容部を内部に有し、前記収容部に充填材を投入するための開口を上部に有する本体と、
前記開口の内部に移動可能に下端が挿入されて前記開口を塞ぐ蓋部とを、
有することを特徴とする段差防止装置。
【請求項2】
前記蓋部の外面と前記本体の前記開口との間に水密パッキンが設けられていることを、特徴とする請求項1記載の段差防止装置。
【請求項3】
前記本体の下部に水抜き穴を有することを、特徴とする請求項1または2記載の段差防止装置。
【請求項4】
前記本体はFRP、非鉄金属またはエンジニアリングプラスチックから成ることを、特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の段差防止装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の段差防止装置を複数有し、前記段差防止装置は複数をひとまとめにして各側面にバンドを巻かれて拘束され、複数の前記段差防止装置を拘束するよう包囲する枠材を有し、前記枠材は前記橋脚の上部に固定されることを、
特徴とする段差防止装置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋脚の上部で支承部により支持された橋桁が支承部から外れたとき橋桁を支持するための段差防止装置および段差防止装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
橋桁は橋脚の上部で支承部により支持されているが、地震などによって橋桁が支承部から外れて落ち、橋桁上の道路に段差を生じた場合、車両の通行ができなくなるおそれがある。従来、これを防ぐため、橋脚上に段差防止材が固定された橋梁の支持構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-21817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の段差防止材は、橋桁を支持する強度を持たせるため、鋼鉄製であることから、搬送と設置に重機を必要とし、設置するのにコストがかさむとともに作業時間がかかるという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、設置コストの低減と作業時間の短縮を図ることが可能な段差防止装置および段差防止装置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る段差防止装置は、橋脚の上部で支承部により支持された橋桁が前記支承部から外れたとき前記橋桁を支持するための段差防止装置であって、収容部を内部に有し、前記収容部に充填材を投入するための開口を上部に有する本体と、前記開口の内部に移動可能に下端が挿入されて前記開口を塞ぐ蓋部とを、有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る段差防止装置は、橋脚の上部に設置され、収容部に開口から充填材を投入して使用される。収容部を充填材で満たした後、蓋部で開口を塞ぐ。収容部の充填材により圧縮強度が高められるので、橋桁が支承部から外れて落ちたとき、橋桁を支持する強度をもたせることができる。蓋部は開口の内部に移動可能なため、橋桁の重量がかかったとき、蓋部が沈んで充填材が圧縮され、衝撃を吸収するとともに橋桁をしっかりと支承することができる。
本発明に係る段差防止装置は、収容部に充填材を投入しない状態では、収容部が空洞で軽量のため、搬送および設置が容易で、設置コストの低減と作業時間の短縮を図ることができる。
なお、充填材としては、例えば、砂等の粉体または粒体、水・油等の液体、ウレタンフォーム等の発泡体などが挙げられる。充填材は、温度や圧力による状態変化または化学反応で液体化できる固体であってもよい。
【0008】
本発明に係る段差防止装置は、前記蓋部の外面と前記本体の前記開口との間に水密パッキンが設けられていることが好ましい。
この場合、蓋部の外面と本体の開口との隙間から本体の内部への雨水等の浸入および本体の内部からの充填材の噴出しを水密パッキンにより防止することができる。
また、本発明に係る段差防止装置は、前記本体の下部に水抜き穴を有することが好ましい。
この場合、本体の内部に雨水などが浸入した場合、浸入した水を水抜き穴から排出することができる。
【0009】
本発明に係る段差防止装置において、前記本体はFRP、アルミニウム等の軽量非鉄金属または高強度のエンジニアリングプラスチックから成ることが好ましい。この場合、本体の強度を高めるとともに軽量化を図ることができる。
前記蓋部はFRP、非鉄金属またはエンジニアリングプラスチックのほか、ゴムなどの弾性板から成っていてもよい。弾性板からなる場合、橋桁が落下する衝撃を蓋部で吸収することができる。また、蓋部は、蓋本体の上面に弾性板から成る緩衝板を有していてもよい。
【0010】
本発明に係る段差防止装置システムは、前述の段差防止装置を複数有し、前記段差防止装置は複数をひとまとめにして各側面にバンドを巻かれて拘束され、複数の前記段差防止装置を拘束するよう包囲する枠材を有し、前記枠材は前記橋脚の上部に固定されることを、特徴とする。
本発明に係る段差防止装置システムでは、複数の段差防止装置がひとまとめにされて各側面にバンドを巻かれて拘束され、枠材で包囲されているので、橋桁が落下する衝撃などで個々の段差防止装置が跳ねて橋桁の下から外れるのを防ぐことができる。
【0011】
本発明に係る段差防止装置は、前記正面または前記背面に前記収容部と連通する充填材取出口と、前記充填材取出口を塞ぐ閉じ板とを有していてもよい。
この場合、撤去するとき、閉じ板を開いて充填材取出口から収容部の充填材を取り出し、撤去および搬送を容易にすることができる。
本発明に係る段差防止装置において、前記本体はFRP、アルミニウム等の軽量非鉄金属または高強度のエンジニアリングプラスチックから成ることが好ましい。この場合、本体の強度を高めるとともに軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、設置コストの低減と作業時間の短縮を図ることが可能な段差防止装置および段差防止装置システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態の段差防止装置を示す(A)正面図、(B)正面図のA-A線断面図である。
図2】本発明の実施の形態の段差防止装置システムを示す正面図である。
図3図2の段差防止装置システムを橋脚に設置した状態を示す平面図である。
図4図2の段差防止装置システムを橋脚に設置した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態の段差防止装置1を示し、図2は本発明の実施の形態の段差防止装置システム2を示し、図3および図4は段差防止装置システム2を橋脚3に設置した状態を示している。
段差防止装置1は、橋脚3の上部で支承部により支持された橋桁4が支承部から外れたとき橋桁4を支持するために使用される。
段差防止装置1は、本体10と蓋部20とを有している。
【0015】
図1に示すように、本体10は、円筒状であって、空洞の収容部を内部に有し、収容部に充填材を投入するための開口11を上部に有している。本体10は、上部外周および下部外周にスペーサ12を有している。スペーサ12は、ゴムなどの弾性材から成る。本体10は、下部に水抜き穴を有している。なお、本体10は、円筒状のほか、直方体状、箱状、多角柱状、多面体状、その他いかなる形状であってもよい。充填材としては、砂等の粉体または粒体、水・油等の液体、ウレタンフォーム等の発泡体などを用いることができる。本体10は、FRP、アルミニウム等の軽量非鉄金属または高強度のエンジニアリングプラスチックから成る。
【0016】
蓋部20は、蓋本体21と緩衝板22とを有している。蓋本体21は、本体10の内径とほぼ同じ外径の円柱状であって、上部外周全体に突出する円形状のフランジ23を有している。蓋本体21は、本体10の開口11の内部に移動可能に下端が挿入されて開口11を塞いでいる。緩衝板22は、ゴム板から成り、蓋本体21の上面に貼り付けられている。本体10の開口11の内面には、ゴムスポンジから成る水密パッキン13が設けられている。水密パッキン13は、開口11と蓋本体21の外周との間で蓋本体21に密着し、蓋本体21の外周と本体10の開口11との隙間から本体10の内部への雨水等の浸入および本体10の内部からの充填材の噴出しを防止する。
【0017】
段差防止装置システム2は、段差防止装置1を複数有している。段差防止装置1は、複数をひとまとめにして、蓋本体21ならびに本体10の上部および下部の各側面に帯状のバンド31を巻かれて拘束されている。バンド31は、例えばステンレスから成る。段差防止装置システム2は、複数の枠材32を有している。枠材32は、断面L字形の鋼材から成り、垂直に立ち上がった面を段差防止装置1に当てて、複数の段差防止装置1を拘束するよう包囲している。各枠材32は橋脚3の上部にボルトで固定されている。
【0018】
段差防止装置システム2は、橋桁4の下方で橋脚3の上部に設置され、各段差防止装置1の収容部に開口11から充填材を投入して使用される。収容部を充填材で満たした後、蓋部20で開口11を塞ぐ。収容部の充填材により圧縮強度が高められるので、橋桁4が支承部から外れて落ちたとき、橋桁4を支持する強度をもたせることができる。蓋部20は開口11の内部に移動可能なため、橋桁4の重量がかかったとき、蓋部20が沈んで充填材が圧縮され、衝撃を吸収するとともに橋桁4をしっかりと支承することができる。また、橋桁4が落下する衝撃を緩衝板22でも吸収することができる。
段差防止装置1は本体10に水抜き穴を有しているので、本体10の内部に雨水などが浸入した場合、浸入した水を水抜き穴から排出することができる。
【0019】
段差防止装置1は、収容部に充填材を投入しない状態では、収容部が空洞で軽量のため、搬送および設置が容易で、設置コストの低減と作業時間の短縮を図ることができる。また、本体10はFRP、アルミニウム等の軽量非鉄金属または高強度のエンジニアリングプラスチックから成るため、強度が高く、軽量化が図られている。
【0020】
段差防止装置システム2では、複数の段差防止装置1がひとまとめにされて各側面にバンド31を巻かれて拘束され、枠材32で包囲されているので、橋桁4が落下する衝撃などで個々の段差防止装置1が跳ねて橋桁4の下から外れるのを防ぐことができる。各段差防止装置1は、スペーサ12を挟んで隣り合っているため、橋桁4が落下する衝撃で互いに衝突しても、その衝撃をスペーサ12により吸収することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 段差防止装置
2 段差防止装置システム
3 橋脚
4 橋桁
10 本体
11 開口
12 スペーサ
13 水密パッキン
20 蓋部
21 蓋本体
22 緩衝板
23 フランジ
31 バンド
32 枠材
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
橋脚の上部で支承部により支持された橋桁が前記支承部から外れたとき前記橋桁を支持するための段差防止装置であって、
収容部を内部に有し、前記収容部に充填材を投入するための開口を上部に有する本体と、
前記開口の内部に移動可能に下端が挿入されて前記開口を塞ぐ蓋部とを有し、
前記橋桁の重量がかかったとき、前記蓋部が沈んで前記充填材が圧縮され、衝撃を吸収するとともに前記橋桁を支承することを特徴とする段差防止装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る段差防止装置は、橋脚の上部で支承部により支持された橋桁が前記支承部から外れたとき前記橋桁を支持するための段差防止装置であって、収容部を内部に有し、前記収容部に充填材を投入するための開口を上部に有する本体と、前記開口の内部に移動可能に下端が挿入されて前記開口を塞ぐ蓋部とを有し、前記橋桁の重量がかかったとき、前記蓋部が沈んで前記充填材が圧縮され、衝撃を吸収するとともに前記橋桁を支承することを特徴とする。