(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099447
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】異物検査装置および異物検査装置を備えた選別装置
(51)【国際特許分類】
G01N 23/04 20180101AFI20220628BHJP
B07C 5/346 20060101ALI20220628BHJP
G21K 5/02 20060101ALI20220628BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
G01N23/04
B07C5/346
G21K5/02 X
H05K7/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213222
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】立石 芳和
(72)【発明者】
【氏名】濱田 憲義
【テーマコード(参考)】
2G001
3F079
5E322
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA08
2G001JA09
2G001JA14
2G001KA03
2G001LA01
2G001MA04
2G001PA01
2G001PA03
2G001PA11
2G001SA14
2G001SA16
3F079AC13
3F079CA23
3F079CA41
3F079CA44
3F079CB07
3F079CB29
3F079CB36
3F079CC03
3F079DA06
3F079DA12
3F079DA15
3F079EA14
3F079EA16
5E322AB10
5E322BB03
5E322BB10
5E322CA06
5E322FA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】冷却のための時間を短くし、冷却効率を向上することのできる異物検査装置を提供する。
【解決手段】被検査物に対してX線を照射するX線照射ユニット16と、被検査物を透過したX線を検出するX線検出器と、X線照射ユニット及びX線検出器を制御する制御部17を備えた異物検査装置において、X線照射ユニット及び制御部を筐体36内に収容する一方、筐体の一側壁には、外部からの冷却空気を取り入れる第1ファン44を配設し、筐体の他側壁には、昇温した内部空気を外部へ排出する第2ファン45を配設し、さらに、筐体の内部に冷却空気を供給する冷却空気供給手段37を配設する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物に対してX線を照射するX線照射ユニットと、前記被検査物を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線照射ユニット及び前記X線検出器を制御する制御部を備えた異物検査装置において、
前記X線照射ユニット及び前記制御部を筐体内に収容する一方、
前記筐体の一側壁には、外部からの冷却空気を取り入れる第1ファンを配設し、前記筐体の他側壁には、昇温した内部空気を外部へ排出する第2ファンを配設したことを特徴とする異物検査装置。
【請求項2】
前記制御部の近傍には、前記筐体内の内部空気を攪拌するとともに、前記制御部を強制的に冷却するための第3ファンを配設してなる請求項1記載の異物検査装置。
【請求項3】
前記筐体には、前記X線照射ユニット及び前記制御部を冷却するために前記筐体の内部に冷却空気を供給する冷却空気供給手段を配設するとともに、前記冷却空気供給手段の冷風出口には、前記X線照射ユニット及び前記制御部に冷気を誘導するために複数の連通管及び複数の冷風ノズルを設けてなる請求項1又は2記載の異物検査装置。
【請求項4】
前記筐体内の温度を検知する感温センサと、前記感温センサから得られた検出値とあらかじめ設定された設定温度とに基づいて前記冷却空気供給手段を作動させる制御部とを備え、前記制御部は、前記第1ファン、前記第2ファン及び前記第3ファンの稼働による通風冷却と、前記冷却空気供給手段の稼働による強制冷却との切り換え制御を行う請求項1乃至3のいずれかに記載の異物検査装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の異物検査装置の後工程に選別ユニットを備えた選別装置であって、
前記異物検査装置は、前記被検査物の内部に異物があるか否かを検出する第1検査ユニットと、前記被検査物の表裏両面の外観を検査する第2検査ユニットとを備え、
前記選別ユニットは、前記第1検査ユニットの撮像情報と前記第2検査ユニットの撮像情報とに基づいて原料の流れから前記被検査物を排除するエジェクターを備えていることを特徴とする選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線を用いて被検査物の内部に異物があるか否かを検出する異物検査装置、および被検査物の内部に異物があった場合、撮像情報に基づいて原料流れから前記被検査物を排除する選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線を用いた異物検査装置は、X線遮蔽構造の筐体の内部に、被検査物にX線を照射するX線発生手段と、この被検査物を透過したX線を検出するX線検出手段とを有しており、被検査物にX線を照射して透過したX線を検知することにより、被検査物の内部に異物があるか否かを検出することができる。
【0003】
X線を用いた異物検査用のX線発生手段は、X線発生におけるエネルギー効率が良好とは言えず、入力エネルギーの98%が不要な熱として放出される。このため、X線発生手段からの熱によって筐体内の温度が上昇し、X線検出手段を含む電子部品の仕様温度(例えば40℃)を越えてしまうことがある。かかる場合にはX線による異物検査に支障が生じてしまうため、筐体内を冷却して温度を下げる必要がある。
【0004】
特許文献1に記載されたX線異物検査装置では、筐体と、前記筐体内に設けられて被検査物にX線を照射するX線発生手段と、前記筐体内に設けられて被検査物を透過したX線を検出するX線検出手段と、前記X線発生手段を冷却するために前記筐体の内部に冷却空気を供給する冷却空気供給手段とを備えたX線異物検査装置において、
前記筐体の内部から空気を排出するために前記筐体に設けられた排気口と、前記排気口に開閉自在に設けられた扉と、前記扉を駆動して前記排気口を開閉する開閉手段としてのアクチュエータと、前記冷却空気供給手段が前記筐体内に冷却空気を供給している場合には前記排気口が開放され、前記冷却空気供給手段が前記筐体内に冷却空気を供給していない場合には前記排気口が閉止されるように前記アクチュエータを制御する開閉手段としての制御手段と、動力源が遮断された場合には前記扉が前記排気口を閉止するように前記扉を付勢する手段と、を有することを特徴としている。
【0005】
これにより、冷却空気供給手段が筐体内に冷却空気を供給している場合には、開閉手段が排気口を開放するようになり、筐体の内部へ冷気が供給されると、筐体内の温度の高い空気は排気口から外へ放出される。このため、筐体内の圧力上昇が避けられるとともに、筐体内の冷却が効率的に行なわれる。
【0006】
また、冷却空気供給手段が筐体内に冷却空気を供給していない場合、すなわち装置が作
動されておらず冷却が必要ない場合には、開閉手段が排気口を閉止するので、筐体の密閉性が保たれ、装置の停止時に行なう清掃において筐体内に水が浸入するおそれがない。
また、扉を閉止方向に付勢する手段が備えられているので、動力源が遮断された場合には排気口は付勢手段に付勢された扉によって確実に閉止される。
【0007】
ところで、前記X線異物検査装置においては、前記X線発生手段と前記X線検出手段とを前記筐体内に設け、前記X線発生手段を冷却するために前記筐体内部に冷却空気を供給する構成であるから、筐体内の雰囲気を冷却するために冷却のために長時間かかり、冷却効率が悪い問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、冷却のための時間を短くし、冷却効率を向上することのできる異物検査装置および異物検査装置を備えた選別装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、被検査物に対してX線を照射するX線照射ユニットと、前記被検査物を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線照射ユニット及び前記X線検出器を制御する制御部を備えた異物検査装置において、前記X線照射ユニット及び前記制御部を筐体内に収容する一方、前記筐体の一側壁には、外部からの冷却空気を取り入れる第1ファンを配設し、前記筐体の他側壁には、昇温した内部空気を外部へ排出する第2ファンを配設する、という技術的手段を講じた。
【0011】
請求項2に係る発明では、前記制御部の近傍に、前記筐体内の内部空気を攪拌するとともに、前記制御部を強制的に冷却するための第3ファンを配設するとよい。
【0012】
請求項3に係る発明では、前記筐体に、前記X線照射ユニット及び前記制御部を冷却するために前記筐体の内部に冷却空気を供給する冷却空気供給手段を配設するとともに、前記冷却空気供給手段の冷風出口には、前記X線照射ユニット及び前記制御部に冷気を誘導するために複数の連通管及び複数の冷風ノズルを設けるとよい。
【0013】
請求項4に係る発明では、前記筐体内の温度を検知する感温センサと、前記感温センサから得られた検出値とあらかじめ設定された設定温度とに基づいて前記冷却空気供給手段を作動させる制御部とを備え、前記制御部は、前記第1ファン、前記第2ファン及び前記第3ファンの稼働による通風冷却と、前記冷却空気供給手段の稼働による強制冷却との切り換えを行うよう制御するとよい。
【0014】
請求項5に係る発明では、請求項1から4のいずれかに記載の異物検査装置の後工程に選別ユニットを備えた選別装置であって、前記異物検査装置は、前記被検査物の内部に異物があるか否かを検出する第1検査ユニットと、前記被検査物の表裏両面の外観を検査する第2検査ユニットとを備え、前記選別ユニットは、前記第1検査ユニットの撮像情報と前記第2検査ユニットの撮像情報とに基づいて原料の流れから前記被検査物を排除するエジェクターを備えていることを特徴とする選別装置にするとよい。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、被検査物に対してX線を照射するX線照射ユニットと、前記被検査物を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線照射ユニット及び前記X線検出器を制御する制御部を備えた異物検査装置において、前記X線照射ユニット及び前記制御部を筐体内に収容する一方、前記筐体の一側壁には、外部からの冷却空気を取り入れる第1ファンを配設し、前記筐体の他側壁には、昇温した内部空気を外部へ排出する第2ファンを配設したので、前記筐体は前記第1ファン及び第2ファンの取り付け開口によって常に開放されており、食品工場の空調設備により室内の空気温度(雰囲気温度)が低く制御されていれば(例えば、23℃以下)、第1ファンにより筐体内部に低温に制御された室内空気を取り入れ、第2ファンにより筐体内部から昇温した空気が排気されることとなり、前記X線照射ユニット及び前記制御部を効率的に冷却することができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、前記制御部の近傍に、前記筐体内の内部空気を攪拌するとともに、前記制御部を強制的に冷却するための第3ファンを配設しているので、筐体内の内部空気を攪拌するとともに、前記制御部のCPUなどを強制的に冷却することができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、前記筐体に、前記X線照射ユニット及び前記制御部を冷却するために前記筐体の内部に冷却空気を供給する冷却空気供給手段を配設するとともに、前記冷却空気供給手段の冷風出口には、前記X線照射ユニット及び前記制御部に冷気を誘導するために複数の連通管及び複数の冷風ノズルを設けているので、前記X線照射ユニット及び前記制御部は、冷却空気供給手段からの冷気により局所的に冷却される。これにより、冷却するための時間を短くして、冷却効率を向上させることができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、前記筐体内の温度を検知する感温センサと、前記感温センサから得られた検出値とあらかじめ設定された設定温度とに基づいて前記冷却空気供給手段を作動させる制御部とを備え、前記制御部は、前記第1ファン、前記第2ファン及び前記第3ファンの稼働による通風冷却と、前記冷却空気供給手段の稼働による強制冷却との切り換え制御を行うものであるから、食品工場の空調制御された空気の冷却効率が良い場合は、前記第1ファン、前記第2ファン及び前記第3ファンの稼働による通風冷却を行い、食品工場の空調制御された空気の冷却効率が悪い場合は、前記冷却空気供給手段の稼働により強制冷却を行うため、前記冷却空気供給手段を作動させない場合には、冷却のための圧縮空気が不要となるため、電気使用量の節約が可能となる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、異物検査装置の後工程に選別ユニットを備えた選別装置であって、前記異物検査装置は、前記被検査物の内部に異物があるか否かを検出する第1検査ユニットと、前記被検査物の表裏両面の外観を検査する第2検査ユニットとを備え、前記選別ユニットは、前記第1検査ユニットの撮像情報と前記第2検査ユニットの撮像情報とに基づいて原料の流れから前記被検査物を排除するエジェクターを備えたものであるから、前記第1検査ユニットによる被検査物の内部検査と前記第2検査ユニットによる被検査物の表裏両面の外観検査とにより被検査物を監視し、排除できるから選別精度が格段に向上した選別装置に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態における異物検査装置を備えた選別機の右上方から見た概略斜視図である。
【
図4】第1検査ユニット(X線照射ユニット等)の筐体内部を透視した概略斜視図である。
【
図5】第1検査ユニット(X線照射ユニット等)の内部の冷却空気の流通を示す概略模式図である。
【
図6】第1検査ユニット(X線照射ユニット等)の冷却構造の制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の粒状物選別機について、その一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における粒状物選別機の右上方から見た概略斜視図であり、
図2は同上の左上から見た概略斜視図であり、
図3は同上の内部構造を示す概略側断面図である。
【0022】
図1乃至3に示すように、粒状物選別機1は、複数組の金属製フレームからなる機枠11を備え、上流側から順に、原料の搬入ユニット2、前記搬入ユニット2に搬入された原料を横方向に移送させる搬送ユニット3、前記搬送ユニット3の略中央部に配置した第1検査ユニット4、前記搬送ユニット3の下流側に配置した第2検査ユニット5、前記第2検査ユニット5に隣接して設けた選別ユニット6及び搬出ユニット7が設けられている。なお、前記搬送ユニット3、第1及び第2検査ユニット4,5及び選別ユニット6は、X線発生手段からの放射線を遮蔽するために遮蔽カバー8などで覆われている。
【0023】
前記搬入ユニット2は、タンク部9と、振動フィーダ10と、搬入スライダ部12とを備えている。搬入スライダ部12は、
図3に示すように、前記搬送ユニット3の始端部に向かって斜め下方に延びている。
【0024】
前記搬送ユニット3は、本実施形態では横送りのベルトコンベアにより形成されている。すなわち、前記搬送ユニット3は、原料を搬送するための幅広の搬送ベルト13と、ローラ14,15と、駆動部(図示せず)とにより構成され、前記ローラ14,15間に無端状の前記搬送ベルト13を巻き掛け、前記ローラ14,15の回転により前記搬送ベルト13が周回移動し、前記搬送ベルト13上面に載置される原料が順次搬送されるようになっている。
【0025】
そして、搬送される原料は、搬送ベルト13の中途部に設定された第1検査領域R1を通過した後、搬送方向下流端から順次斜め下方に落下して第2検査領域R2を通過するようになっている。
【0026】
前記第1検査ユニット4は、搬送ベルト13上の原料の外形又は内部状態を検査するものであり、第1検査領域R1の上方に所定の間隔をあけて位置するX線照射ユニット16と、第1検査ユニット4用の第1制御部17と、第1検査領域R1の下方に設置されたX線検出器18とを備えている。
【0027】
X線照射ユニット16は、X線を真下に出射するX線出射部(図示せず)を備え、該X線出射部から出射したX線は、搬送ベルト13により搬送されて第1検査領域R1を通過する原料に照射されるようになっている。
【0028】
X線検出器18は、多数の画素が搬送ベルト13の幅方向に一列に配設されたラインセンサを備え、該ラインセンサは、原料を通過したX線を検出可能となっている。
【0029】
X線照射ユニット16と第1検査領域R1との間には、筒中心線が垂直に延びる遮蔽筒体19が配設されている。
【0030】
前記第2検査ユニット5は、搬送ベルト13の下流側に配置されている。搬送ベルト13よりも上方の位置には、可視光用の第1CCDカメラ20が配置され、搬送ベルト13よりも下方の位置には、可視光用の第2CCDカメラ21が配置されている。さらに、前記第1CCDカメラ20の下流側には、所定の間隔をあけて近赤外光用のNIRカメラ22が配置されている。
【0031】
前記第1CCDカメラ20の斜め下方には、当該第1CCDカメラ20の撮影方向に対して傾斜する姿勢で第1ミラー23が配設される。また、前記第2CCDカメラ21の斜め上方には、第1背景板24が配設され、前記第1ミラー23と前記第1背景板24との間に第2検査領域R2が位置している。
【0032】
前記第1背景板24の上方には、一対の第1可視光源25が配設され、前記第1CCDカメラ20は、前記第2検査領域R2を通過するときの前記第1ミラー23に反射する原料の上面を撮影するようになっている。
【0033】
前記第2CCDカメラ21の斜め下方には、当該第2CCDカメラ21の撮影方向に対して傾斜する姿勢で第2ミラー26が配設される。また、前記第1ミラー23の斜め下方の位置には、第2背景板27が配設され、第2ミラー26と第2背景板27との間に第2検査領域R2が位置している。
【0034】
前記第2背景板27の下方には、一対の第2可視光源28が配設され、第2CCDカメラ21は、第2検査領域R2を通過するときの第2ミラー26に反射する原料の下面を撮影するようになっている。
【0035】
NIRカメラ22の斜め上方には、当該NIRカメラ20の撮影方向に対して傾斜する姿勢の第3ミラー29が配設される一方、第2ミラー29の下方位置には、第3背景板30が配設され、第3ミラー29と第3背景板30との間に第2検査領域R2が位置している。
【0036】
一対の第2可視光源28の間には、一対の近赤外光源(図示せず)が配設され、NIRカメラ22は、第2検査領域R2を通過するときの第3ミラー29に反射する原料を撮影するようになっている。
【0037】
さらに、前記選別ユニット6には、NIRカメラ22の下方に位置するエジェクター31を備えている。
【0038】
該エジェクター31は、圧縮エアの噴出口が装置上流側の斜め下方を向く噴出ノズル32を備え、該噴出ノズル32は、第2検査領域R2の装置下流側の位置に向けて圧縮エアを噴出可能になっている。
【0039】
また、前記搬出ユニット7は、ベルトコンベア31の幅方向に幅広な形状をなして良品を機外に排出する良品排出シュート33と、同様の幅広な形状をなしてエジェクター31からの圧縮空気によって排除された不良品を機外に排出する不良品排出シュート34とを備えている。
前記第2検査ユニット5には、第1検査ユニット4の撮像情報と第2検査ユニット5の撮像情報とに基づいて前記エジェクター31を作動させるか否かを決定する第2制御部35が設けられている。
第2制御部35では、前記X線検出器18、前記第1CCDカメラ20、第2CCDカメラ21及び前記NIRカメラ22が検知した撮像情報に基づいて原料の分析を行い、検出対象の原料を排除するか否かを決定してエジェクター31を作動させる。これにより、不良品や異物は、エジェクター31が作動されて流下軌跡上の原料が排除され、前記不良品排出シュート34を介して機外に排出される。一方、良品はエジェクター31が作動されずに流下軌跡上を落下し、前記良品排出シュート33を介して機外に排除される。
【0040】
前記第1検査ユニット4は、前記X線照射ユニット16と、前記第1制御部17を覆ってX線を遮蔽する構造の筐体36を有している(
図3~
図5参照)。
【0041】
そして、
図4及び
図5に示すように、前記第1検査ユニット4は、X線照射ユニット16及び第1制御部17等を冷却するために、冷却手段としてのボルテックスチューブ37を備えている。ボルテックスチューブ37は、圧縮空気を高温空気と低温空気とに分離する機能を有しており、電気制御盤内の冷却や機械加工における冷却など各種産業分野で利用されている。高温空気は前記第1検査ユニット4の筐体36の外に放出される。
【0042】
図4及び
図5に示すように、ボルテックスチューブ37は制御弁41を介して管路42から圧縮空気の供給を受ける。制御弁41には、エアコンプレッサ38やエアタンク39など圧縮空気供給手段40により生成された圧縮空気が供給される。この制御弁41には、別の管路43も接続されていて、空圧機器となる前記エジェクター31に圧縮空気が供給される。
【0043】
図4及び
図5に示すように、前記第1検査ユニット4の筐体36には、正面側の正面壁36aに筐体36の内部に空気を取り入れる第1ファン44が設けられ、背面側の背面壁36bに前記ボルテックスチューブ37が取り付けられ、背面上部の傾斜壁36cに筐体36の内部から空気を排出するための第2ファン45が設けられる。また、筐体36内部には、筐体36の内部空気を攪拌するとともに、前記第1制御部17内に設けられたCPUなどを強制的に冷却するために第3ファン46が設けられている。そして、筐体36は第1ファン44及び第2ファン45の取り付け開口によって常に開放されており、食品工場の空調設備により空調された室内空気を取り入れることができる。
【0044】
また、
図4及び
図5に示すように、前記ボルテックスチューブ37の冷風出口37aには、複数の連通管47及び複数の冷風ノズル48が設けられる。そして、前記X線照射ユニット16及び前記第1制御部17は、この複数の冷却ノズル48により局所的に冷却される。これにより、冷却するための時間を短くして、冷却効率を向上させることができる。すなわち、前記ボルテックスチューブ37の冷風出口37aには、ボルテックスチューブ37からの冷風を取り出す第1連通管47aが接続される。そして、第1連通管47aには、前記第1連通管47aからの冷風を前記X線照射ユニット16の正面壁及び背面壁にそれぞれ誘導する第2連通管47b,47cと、前記第1連通管47aからの冷風を前記第1制御部17に誘導する第3連通管47dが接続される。また、前記第2連通管47b,47cには、前記X線照射ユニット16の正面壁及び背面壁に設けた空気取入口(いずれも図示せず)に冷風を供給する冷風ノズル48a,48bが接続され、前記第3連通管47dには、前記第1制御部17に冷風を供給する冷風ノズル48cが接続される。なお、前記複数の連通管47及び複数の冷風ノズル48は、表面を断熱チューブで覆って冷風が加温されないような措置を施すとよい。
【0045】
前記ボルテックスチューブ37には、冷風出口37a側に感温センサ37bが設けられる。この感温センサ37bは、筐体の内部空気の温度を検知するものである。そして、ボルテックスチューブ37は、前記感温センサ37bで検知した温度に基づき、設定温度となったことを条件に作動し、冷風出口37aから冷風を供給することができる構成となっている。
【0046】
図6は第1検査ユニット(X線照射ユニット等)の冷却装置の制御動作を示すフローチャートである。
図6を参照して冷却装置の制御について説明する。選別作業の開始に先立ち、オペレータは原料の種類や供給量を所定の値にセットし、主電源をオンする。第1制御部17は、主電源のONを認識すると(ステップ101)、前記第1ファン44、前記第2ファン45及び前記第3ファン46に駆動指令信号を出力する(ステップ102)。これにより、第1ファン44及び前記第2ファン45が稼働され、食品工場の空調設備により温度調節された空気は、筐体36の内部に取り入れられ、その空気が充満する。そして、前記第3ファン46の稼働により、筐体36の内部に取り入れられた空気が攪拌されるとともに、前記X線照射ユニット16及び前記第1制御部17のCPUなどが空気により冷却されることとなる。
【0047】
次に、第1制御部17には、前記感温センサ37bにより感知した筐体36内の温度の情報が逐次取り込まれ、この情報がメモリに格納されることとなる(ステップ103)。X線照射ユニット16は、X線発生におけるエネルギー効率が良好とは言えないから、入力エネルギーの98%が不要な熱として放出される。このため、X線照射ユニット16からの熱が筐体36内に放出され、筐体36内の温度が上昇することとなる。
第1制御部はステップ103においてメモリに格納された筐体36内の温度を呼び出し、メモリにあらかじめ記憶してある基準値データ(設定温度)と比較する(ステップ104)。
【0048】
ステップ104において前記感温センサ37bにより感知した筐体36内の温度が、あらかじめ設定された設定温度よりも高いと判断したときは、X線照射ユニット16を含む電子部品の仕様温度(例えば40℃)を越えてしまうおそれがあり、筐体36内を冷却して温度を下げるためにボルテックスチューブ37を作動させる(ステップ105)。
一方、ステップ104において筐体36内の温度が、あらかじめ設定された設定温度よりも低いと判断したときは、筐体36内を冷却する必要はなく、ボルテックスチューブ37の作動を停止させる(ステップ106)。これにより、前記第1ファン44、前記第2ファン45及び前記第3ファン46による空気の通風のみの冷却となる。
【0049】
以後はボルテックスチューブ37を作動させるか否かによる温度制御を行うこととなる(ステップ103)。ボルテックスチューブ37を作動させない場合(ステップ106)、エアコンプレッサ38など圧縮空気供給手段40による圧縮空気が不要となるため、電気使用量の節約が可能となる。
【実施例0050】
食品工場の空調設備により空調制御された室内の空気の温度(雰囲気温度)は、23℃であった。選別作業の開始に先立ち、オペレータは原料の種類や供給量を所定の値にセットし、主電源をオンした。主電源のオンと同時に、筐体36の内部に空気を取り入れる第1ファン44と、筐体36の内部から空気を排出するための第2ファン45と、内部空気を攪拌するとともに、CPUなどを強制的に冷却するための第3ファン46とが稼働する。これにより、筐体36の内部に空調制御された空気(23℃)が取り入れられ、前記X線照射ユニット16及び前記第1制御部17が冷却され、昇温した空気が排気されることとなる。
【0051】
空調制御された空気の冷却効率が悪い場合、時間の経過とともに、X線照射ユニット16からの熱が筐体36内に放出され、筐体36内の温度が上昇してくる。このとき、前記第1制御部17では、前記感温センサ37bにより感知した筐体36内の温度の情報が逐次取り込まれる。そして、あらかじめ記憶してある基準値データ(設定温度、35℃)と比較する。前記感温センサ37bにより感知した筐体36内の温度が、35℃よりも高いと判断したときは、筐体36内を強制冷却して温度を下げるためにボルテックスチューブ37を作動させる。
【0052】
一方、筐体36内の温度が、35℃よりも低いと判断したときは、筐体36内を冷却する必要はなく、ボルテックスチューブ37の作動を停止させる。これにより、前記第1ファン44、前記第2ファン45及び前記第3ファン46による空気の通風のみの冷却となる。以後はボルテックスチューブ37を作動させるか否かによる温度制御を行う。ボルテックスチューブ37を作動させない場合、エアコンプレッサ38など圧縮空気供給手段40による圧縮空気が不要となるため、電気使用量の節約が可能となる。
【0053】
以上のように本実施形態によれば、被検査物に対してX線を照射するX線照射ユニット16と、被検査物を透過したX線を検出するX線検出器18と、X線照射ユニット16及びX線検出器18を制御する第1制御部17を備え、X線照射ユニット16及び第1制御部17を筐体36内に収容する一方、筐体36の一側壁36aには、外部からの冷却空気を取り入れる第1ファン44を配設し、筐体36の他側壁36bには、昇温した内部空気を外部へ排出する第2ファン45を配設したので、筐体36は第1ファン44及び第2ファン45の取り付け開口によって常に開放されており、食品工場の空調設備により室内の空気温度(雰囲気温度)が低く制御されていれば(例えば、23℃以下)、第1ファン44により筐体36内部に低温に制御された室内空気を取り入れ、第2ファン45により筐体36内部から昇温した空気が排気されることとなり、X線照射ユニット16及び第1制御部17を効率的に冷却することができる。
【0054】
また、第1制御部17の近傍に、筐体36内の内部空気を攪拌するとともに、第1制御部17を強制的に冷却するための第3ファン46を配設しているので、筐体36内の内部空気を攪拌するとともに、第1制御部17のCPUなどを強制的に冷却することができる。
【0055】
そして、筐体36に、X線照射ユニット16及び第1制御部17を冷却するために筐体36の内部に冷却空気を供給する冷却空気供給手段(ボルテックスチューブ37)を配設するとともに、ボルテックスチューブ37の冷風出口37aには、X線照射ユニット16及び第1制御部17に冷気を誘導するために複数の連通管47及び複数の冷風ノズル48を設けているので、X線照射ユニット16及び第1制御部17は、ボルテックスチューブ37からの冷気により局所的に冷却される。これにより、冷却するための時間を短くして、冷却効率を向上させることができる。
【0056】
さらに、筐体36内の温度を検知する感温センサ37bと、感温センサ37bから得られた検出値とあらかじめ設定された設定温度とに基づいてボルテックスチューブ37を作動させる第1制御部17とを備え、第1制御部17は、第1ファン44、第2ファン45及び第3ファン46の稼働による通風冷却と、ボルテックスチューブ37の稼働による強制冷却との切り換え制御を行うものであるから、食品工場の空調制御された空気の冷却効率が良い場合は、第1ファン44、第2ファン45及び第3ファン46の稼働による通風冷却を行い、食品工場の空調制御された空気の冷却効率が悪い場合は、ボルテックスチューブ37の稼働により強制冷却を行うため、ボルテックスチューブ37を作動させない場合には、冷却のための圧縮空気が不要となるため、電気使用量の節約が可能となる。
【0057】
そして、被検査物の内部に異物があるか否かを検出する第1検査ユニット4と、被検査物の表裏両面の外観を検査する第2検査ユニット5とを備え、選別ユニット6は、第1検査ユニット4の撮像情報と第2検査ユニット5の撮像情報とに基づいて原料の流れから被検査物を排除するエジェクター31を備えたものであるから、第1検査ユニット4による被検査物の内部検査と第2検査ユニット5による被検査物の表裏両面の外観検査とにより被検査物を監視し、排除でき選別精度が格段に向上した選別装置に構成することができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態及び実施例について説明したが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、または、省略が可能である。