(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099450
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/22 20060101AFI20220628BHJP
F24F 3/16 20210101ALI20220628BHJP
F24F 6/00 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
F24F1/0007 361C
F24F3/16
F24F6/00 D
F24F13/22 228
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213225
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳憲
【テーマコード(参考)】
3L050
3L053
3L055
【Fターム(参考)】
3L050BD05
3L050BE00
3L050BE03
3L050BE04
3L050BF02
3L053BD05
3L055BA04
3L055BB02
3L055DA01
3L055DA07
3L055DA11
(57)【要約】
【課題】除菌運転時の水の外部からの供給(補充)作業を軽減し、管理が容易な、使い勝手の改善が可能な空気調和装置を提供する。
【解決手段】空気調和装置に一例は、ハウジングと、タンクと、電解槽と、エレメントと、ファンと、ドレンパンと、供給路と、を備える。タンクは、ハウジングの内部に配置され、塩水を貯留可能である。電解槽は、タンクから供給される塩水を電気分解して次亜塩素酸を含む電解水を生成する。エレメントは、電解水を含浸可能である。ファンは、ハウジングの外部の空気を当該ハウジングの内部に取り入れ、エレメントを介してハウジングの外部に排出させる。ドレンパンは、ファンによってハウジングの内部を移動する空気の流路上に配置された熱交換器から熱交換時に得られる凝縮水を貯留する。供給路は、凝縮水をタンクに供給する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置され、塩水を貯留可能なタンクと、
前記タンクから供給される前記塩水を電気分解して次亜塩素酸を含む電解水を生成する電解槽と、
前記電解水を含浸可能なエレメントと、
前記ハウジングの外部の空気を当該ハウジングの内部に取り入れ、前記エレメントを介して前記ハウジングの外部に排出させるファンと、
前記ファンによって前記ハウジングの内部を移動する前記空気の流路上に配置された熱交換器から熱交換時に得られる凝縮水を貯留するドレンパンと、
前記凝縮水を前記タンクに供給する供給路と、
を備えた、空気調和装置。
【請求項2】
前記タンクは、当該タンクに貯留された塩水の塩分濃度を所定範囲に保つため、前記タンクの塩水を入れ替える入替用排水路を備える、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記タンクの貯留量が所定値未満になった場合に外部水を供給する供給部を備える、請求項1または請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記供給部からは、純水または軟水が供給される、請求項3に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記タンクは、貯留量が所定の値以上になった場合に前記ドレンパンに排水する排水路を備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、次亜塩素酸を用いて除菌を行うシステムが考案されている。また、この次亜塩素酸を供給した除菌エレメントをエアコンディショナのような空気調和装置内に配置し、空気調和装置内を通過する空気の除菌を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、次亜塩素酸を空気調和装置内に発生させるためには、遊離塩素等を含む水が必要であり、外部から供給(補充)を頻繁に行う必要があった。そのため、空気調和装置の除菌運転時の管理が煩雑になり、使い勝手が低下するという問題があった。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、除菌運転時の水の外部からの供給(補充)作業を軽減し、除菌運転時の管理を容易にし、使い勝手の改善が可能な空気調和装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る空気調和装置は、ハウジングと、タンクと、電解槽と、エレメントと、ファンと、ドレンパンと、供給路と、を備える。タンクは、前記ハウジングの内部に配置され、塩水を貯留可能である。電解槽は、前記タンクから供給される前記塩水を電気分解して次亜塩素酸を含む電解水を生成する。エレメントは、前記電解水を含浸可能である。ファンは、前記ハウジングの外部の空気を当該ハウジングの内部に取り入れ、前記エレメントを介して前記ハウジングの外部に排出させる。ドレンパンは、前記ファンによって前記ハウジングの内部を移動する前記空気の流路上に配置された熱交換器から熱交換時に得られる凝縮水を貯留する。供給路は、前記凝縮水を前記タンクに供給する。
【0007】
また、前記タンクは、当該タンクに貯留された塩水の塩分濃度を所定範囲に保つため、前記タンクの塩水を入れ替える入替用排水路を備えてもよい。
【0008】
また、前記空気調和装置には、前記タンクの貯留量が所定値未満になった場合に外部水を供給する供給部を備えてもよい。
【0009】
また、前記供給部からは、純水または軟水が供給される。
【0010】
また、前記タンクは、貯留量が所定の値以上になった場合に前記ドレンパンに排水する排水路を備えてもよい。
【0011】
以上の空気調和装置によれば、例えば、運転時の熱交換によって、凝縮水が得られる場合、その凝縮水が電解槽に供給されるため、外部からの水の供給を行うことなく、次亜塩素酸を含む電解水が生成可能となり、ハウジングの内部を通過する空気の除菌ができる。その結果、空気調和装置で除菌運転をする際の管理が容易になり、使い勝手向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係る空気調和装置の構成を示す例示的かつ模式的な図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る空気調和装置の冷房運転時または除湿運転時に電解水を生成する生成システムを示す例示的かつ模式的な説明図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る空気調和装置の暖房運転時または送風運転時に電解水を生成する生成システムを示す例示的かつ模式的な説明図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る空気調和装置の除菌空調制御部の構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る空気調和装置の除菌運転時の動作を示す例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、一つの実施形態について、
図1~
図5を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0014】
図1は、実施形態に係る空気調和装置10の構成を示す例示的かつ模式的な図である。
図1示す空気調和装置10は室内機であり、例えば、家庭用のエアコンディショナである。室内機である空気調和装置10は、建造物の室内に配置されるとともに、冷媒配管及び電気配線を介して室外に配置された室外機に接続される。なお、空気調和装置10は、この例に限られず、業務用のエアコンディショナのような他の空気調和装置であってもよい。
【0015】
空気調和装置10(室内機)は、ハウジング12と、フィルタ14と、ファン16と、熱交換器18と、ドレンパン20と、エレメント22、エレメント槽24等を備える。
【0016】
図1に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、空気調和装置10の幅に沿って設けられる。Y軸は、空気調和装置10の奥行に沿って設けられる。Z軸は、空気調和装置10の高さに沿って設けられる。
【0017】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向とを含む。本実施形態において、+Z方向は上方向であり、-Z方向は下方向である。
【0018】
ハウジング12は、X方向に延びた略直方体状に形成される。なお、ハウジング12は、他の形状に形成されてもよい。ハウジング12は、例えば、建造物の壁に架けられる。また、別の例では、室内空気の吸込み口12aおよび空調済みの空気の吹出し口12bを壁面に開口させ、ハウジング12自体は壁内部に埋め込まれる形態でもよい。
図1の場合、吸込み口12aはハウジング12の上面に設けられ、吹出し口12bはY方向の側面に設けられているが、室内の空気の吸込みおよび吹出しがスムーズに行えれば、吸込み口12aおよび吹出し口12bの位置は適宜変更可能である。
【0019】
吸込み口12aは、通風路WRの一端に開口し、吹出し口12bは通風路WRの他端に開口している。通風路WRの一部には、フィルタ14およびファン16が配置されている。
【0020】
ファン16は、X方向に延びる回転軸まわりに回転することで、通風路WRにおいて吸込み口12aから吹出し口12bへ空気を送る。これにより、空気調和装置10は、吸込み口12aからハウジング12外部の空気(室内の空気)をハウジング12の内部の通風路WRへ吸い込む。さらに、フィルタ14、熱交換器18、エレメント22を介して吹出し口12bから通風路WRの空気(風)を吹き出す。なお、本明細書では、通風路WRにおいて吸込み口12aに近い側を上流、吹出し口12bに近い側を下流と称する場合がある。なお、吸込み12a及び吹出し口12bの開口形状及び位置は、例示されたものに限られない。
【0021】
フィルタ14は、例えば、ファン16の上流側で吸込み口12aより下流側の通風路WRに配置される。フィルタ14は、例えば、網状に形成され、吸込み口12aから吸い込まれた空気を濾過し、当該空気中の塵埃を捕捉する。なお、フィルタ14は、吸込み口12aの近傍または吸込み口12aをハウジング12の内部側から覆うように配置されてもよい。また、フィルタ14から捕集した塵埃を除去する掃除機構を設けてもよい。
【0022】
熱交換器18は、通風路WRに設けられる。
図1の場合、熱交換器18は、通風路WRにおいて、ファン16の下流側に配置されている。別の例では、熱交換器18は、フィルタ14より下流側でファン16より上流側に配置されてもよい。熱交換器18は、例えば冷媒配管と複数のフィンとを有する。熱交換器18は、通風路WRにおいて周囲の気体と熱交換を行う。ファン16は、熱交換器18の上流に位置するため、ファン16が駆動し送風動作を行うと、吸込み口12aから吸い込まれた空気が熱交換器18に送り込まれ通過する。これにより、通風路WRを流れる空気が熱交換器18と熱交換を行い、冷房運転時には通風路WRを流れる空気(風)を冷却し、暖房運転時には通風路WRを流れる空気(風)を加熱する。なお、本実施形態において、熱交換器18は、Z方向に沿って略垂直に縦置き配置された略扁平な形状をしている。この配置姿勢および形状は、エレメント22の配置姿勢に対応しているが詳細は後述する。
【0023】
熱交換器18の下方(-Z方向)には、空気調和装置10の冷房運転時や除湿運転時に熱交換器18で熱交換が行われた際に得られる凝縮水18aを貯留するドレンパン20が設けられている。凝縮水18aは、吸込み口12aから取り込まれた空気の温度が熱交換によって低下した際に空気中に含まれる水分が熱交換器18に結露することによって得られる結露水である。凝縮水18aは、エレメント22が含浸する次亜塩素酸(電解次亜塩素酸)を含む電解水を生成するために利用される。なお、図示を省略しているが、電解水を生成するために必要な量以上の凝縮水18aが得られた場合に、ドレンパン20から溢れ出ることを防止するために、ドレンパン20の貯留量が所定値を超えた場合に、凝縮水18aを空気調和装置10の外部(例えば屋外)に排水する排水ホースが設けられている。
【0024】
熱交換器18の下流側には、エレメント22が配置されている。エレメント22は、熱交換器18に貯留された凝縮水18aを用いて生成された次亜塩素酸を含む電解水が貯留されたエレメント槽24から、電解水を毛細管現象により吸い上げて含浸している。ファン16の駆動により熱交換器18を通過した空気は、エレメント22を通過する。周知のように次亜塩素酸は強い除菌効果を有する。したがって、吸込み口12aから吸い込まれた空気に細菌やウイルスVa等が含まれていた場合、次亜塩素酸を含む電解水が含浸されたエレメント22を通過させることによって迅速かつ効率的に除菌を行うことができる。例えば、ウイルスVaの場合、表面のスパイクVsが次亜塩素酸を含む電解水で壊され不活性化されたウイルスVbに変化する、つまり除菌が可能となる。その結果、ハウジング12に吸い込まれた空気は、エレメント22を通過することで除菌された空気となり、が吹出し口12bから室内に戻される。
【0025】
また、次亜塩素酸は有機物と反応し当該有機物を分解するため、空気の消臭を行うことができる。なお、次亜塩素酸は、他の薬品に比べて劣化速度が遅く、有機物と接触すると分解して水になるため、室内でも安全に利用することができるとともに、環境面においても有利である。
【0026】
本実施形態において、エレメント22は、X方向に延びるとともに、Z方向に略垂直に延びた、縦置き配置された扁平形状の部材で、例えば不織布等で形成されている。そして、エレメント22のZ方向の下端部は、エレメント槽24に貯留された次亜塩素酸を含む電解水に浸かり、毛細管現象を利用して電解水を上端部まで吸い上げている。つまり、エレメント22は電解水を潤沢に含んだ状態で、熱交換器18を通過した空気(風)を受け入れ通過させている。そして、その際に空気の除菌を行う。エレメント22は、電解水を下方から吸い上げることにより、仮に電解水の中にカルキ成分等が含まれていた場合でも、エレメント22への付着を抑制し、エレメント22内の水路の閉塞の防止、さらには、水路の閉塞によるエレメント22の乾燥の抑制、カビ発生の抑制等を実現することができる。また、エレメント22をZ方向に略垂直に縦置き配置することにより、エレメント22に潤沢に供給されている電解水の余剰分はエレメント槽24に直接戻り、無駄なく利用することができる。また、エレメント22がY方向等に斜め姿勢で配置されている場合、電解水が垂れて、ハウジング12の内部で散乱してしまったり、電解水の保持不足によりエレメント22が乾燥してしまったりすることがある。一方、エレメント22が、略垂直に縦置き配置することにより、そのような不具合も回避することができる。
【0027】
そして、上述にように、縦置き配置されるエレメント22に効率的に空気(風)が通過できるように、熱交換器18も同様にZ方向に沿って縦置き配置されている。つまり、エレメント22の全面に空気が当たるように熱交換器18を配置することにより除菌効率の向上に寄与できる。
【0028】
ところで、上述したように、次亜塩素酸を含む電解水を空気調和装置10の内部で生成する場合、「水」が必要になる。そこで、本実施形態の空気調和装置10は、熱交換器18が熱交換を行う際に得られる凝縮水(結露水)を電解水を発生させるために利用する。
【0029】
図2は、空気調和装置10が冷房運転または除湿運転される場合に、次亜塩素酸を含む電解水を生成する生成システム10Aの例示的かつ模式的な説明図である。なお、
図2において、空気Wは、ファン16の駆動によって
図2中左側から-Y方向に向かい移動するものとする。
【0030】
生成システム10Aは、熱交換器18、ドレンパン20、エレメント22、エレメント槽24、タンク26、逆止弁28、電解槽30、ポンプ32、および各構成を接続する流路P1~P6を備える。
【0031】
タンク26は、ハウジング12の内部に配置され、塩水を貯留可能である。タンク26とドレンパン20とは流路P1(供給路、供給パイプ)で接続されている。流路P1中には、逆止弁28が設けられ、熱交換器18で得られた凝縮水18aがドレンパン20側に逆流することなく、常時、タンク26の給水口26aに供給できるように構成されている。
図2では、タンク26とドレンパン20とのZ方向の高さを調整することで重力により適量の凝縮水18aがタンク26に自動的に供給されるようになる。なお、流路P1中にポンプを配置して、ドレンパン20からタンク26に凝縮水18aを供給するようにすれば、ドレンパン20とタンク26とのZ方向の高さ関係は適宜選択可能となり、設計自由度が向上する。
【0032】
タンク26には、塩タブレット34の供給口(不図示)が例えば+Z方向の上面に形成され、後述する適切なタイミングでタンク26内に自動的に投入され、ドレンパン20から供給された凝縮水18aを塩水にする。なお、凝縮水18aを塩水にするために、塩タブレット34に代えて結晶状の塩を投入してもよいし、塩水を投入してもよい。この場合、タンク26内に塩分濃度は、例えば0.1ppm程度に維持することが望ましい。
【0033】
タンク26に貯留された塩水(凝縮水18a+塩タブレット34)は、流出口26bに接続された流路P2(接続パイプ)、流路P3(接続パイプ)を介して、電解槽30に供給される。流路P2と流路P3とは、ポンプ32を介して接続され、ポンプ32の動作により、タンク26に貯留された塩水を電解槽30に移送する。
【0034】
電解槽30は、タンク26から供給される塩水を電気分解して次亜塩素酸(電解次亜塩素酸)を含む電解水を生成する。電解槽30は、陽極と陰極を仕切る隔膜がない一室型電解槽(無隔膜電解槽と称する場合もある)である。電解槽30に塩水が供給され、陽極と陰極が塩水に浸かった状態で陽極と陰極の間に電気を流し、塩水を電気分解させることにより、陽極側に除菌力の高いpHが約3.0(有効塩素濃度20-70ppm)の酸性電解水が生成される。一方、陰極側には、洗浄力の高いpHが約12.0のアルカリ性電解水が生成される。つまり、電解槽30には、酸性電解水とアルカリ性電解水とが混合され、次亜塩素酸を含む弱アルカリ性の殺菌性の電解水(電解次亜水という場合もある)が生成される。
【0035】
電解槽30で生成された殺菌性の電解水は、ポンプ32の動作により流路P4(接続パイプ)を介してエレメント槽24に供給される。前述したように、エレメント槽24に供給された次亜塩素酸を含む電解水は、毛細管現象によりエレメント22に吸い上げられて、エレメント22を通過する空気の除菌を行う。エレメント槽24において、エレメント22での吸い上げに対して余剰となる電解水は、タンク26の循環口26cに接続された流路P5(接続パイプ)を介して、タンク26に戻される。タンク26に戻された電解水は、例えばタンク26の洗浄等に利用することができるし、再び電解槽30へ提供される塩水として利用することもできる。
【0036】
なお、タンク26がドレンパン20からの凝縮水18aの供給を受け、タンク26で塩水となり、電解槽30に供給され、生成された電解水がエレメント槽24に供給される循環系は、塩水や電解水がスムーズに流れることが望ましい。そのため、タンク26には、当該タンク26の水位が所定値以上になった場合に、タンク26内の水を排出口26dから排出しドレンパン20に戻すための流路P6(排水路、排水パイプ)が設けられている。つまり、ドレンパン20からの凝縮水18aをタンク26が常時受け入れ、スムーズな流れが形成できるように構成されている。
【0037】
なお、生成システム10Aにおいて、塩タブレット34は、例えば所定期間ごとに自動的にタンク26に投入される。この場合、凝縮水18aが継続的にタンク26に供給されるため、タンク26の塩分濃度は低下する傾向にあり、所定期間ごとに塩タブレット34が投入されても、塩分濃度を所定の範囲内に維持できない場合がある。そこで、例えば、除菌運転を一定期間行った場合には、一度タンク26内の塩水を、例えば、タンク26の底部に形成された流路P8(入替用排水路)を開き、外部(室外等)に排出し、新たに、ドレンパン20から凝縮水18aの供給を受け、凝縮水18aがタンク26に所定量貯留された段階で塩タブレット34を投入し、塩分濃度を所定範囲内にするようにしてもよい。なお、この塩水の入れ替え(排水)は、上述したように、予め定めた一定期間の経過ごとに実行してもよいし、タンク26内に塩分濃度計を設け、塩分濃度が、所定値を超え、凝縮水18aの供給のみでは、塩分濃度を所定の範囲内に維持できない場合、塩分濃度に基づいて実行するようにしてもよい。
【0038】
このように、空気調和装置10の生成システム10Aによれば、熱交換器18おいて凝縮水18aが得られた場合、すなわち、空気調和装置10を冷房運転または除湿運転する場合、外部から水を供給する必要がない。そして、熱交換器18で得られ、ドレンパン20に溜まった凝縮水18aを用いてタンク26で塩水を作り電解槽30に給することで、除菌可能な電解水を生成することができる。したがって、空気調和装置10を除菌運転する場合に、外部から水の供給(補充)作業が不要となり、空気調和装置10の除菌運転時の管理が容易になり使い勝手の改善が可能となる。
【0039】
ところで、空気調和装置10を暖房運転する場合、空気調和装置10(室内機)の熱交換器18において熱交換は行われるが、室内の空気を暖めるため凝縮水18aは得にくい。つまり、ドレンパン20に凝縮水18aが溜まらず、タンク26に供給できない。空気調和装置10が送風運転される場合に同様である。そこで、
図3に示される生成システム10Bのように、凝縮水18aが得られない場合、または得られる凝縮水18aの量が少なく、除菌を十分に行うための電解水が生成できない場合に、エレメント槽24(エレメント22)、タンク26、電解槽30等を含む循環系に水(外部水)を供給する供給タンク36(供給部)を設ける。
【0040】
なお、
図3に示す生成システム10Bは、供給タンク36、当該供給タンク36と循環系を接離する給水コック38、およびタンク26の水位を測定する水位センサ40以外の基本的な構成は
図2で説明した生成システム10Aと同じであり、同様な構成には、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。つまり、生成システム10Aは、冷房運転および除湿運転時に除菌運転を可能とするシステムであり、生成システム10Bは、冷房運転、除湿運転に加え暖房運転および送付運転においても除菌運転が可能なシステムである。
【0041】
供給タンク36は、循環系の一部である流路P2(接続パイプ)の一部に設けられた給水コック38に対して着脱可能な部品である。
図3の場合、図示の関係で、供給タンク36のキャップ36aが+Z方向に向くように図示されているが、給水コック38に対して、キャップ36aが-Z方向を向くように接続される。給水コック38は、供給タンク36と、流路P2に接続された流路P7との連通を開閉する部品で、開閉動作は手動で行うようにしてもよいし、モータ等を用いて自動で行うようにしてもよい。キャップ36aは、中央部に水の排出口(不図示)を備える。この排出口には、供給タンク36の内側から排出口を閉塞可能な閉塞版を備えて突出部材がスプリング等によって外側に付勢された状態で装着されている。突出部材は、給水コック38に供給タンク36が接続された場合に、供給タンク36内部に押し込まれ、排出口と閉塞版との間に隙間が形成され、供給タンク36内部の水を給水コック38に排出可能にする。また、供給タンク36を給水コック38から取り外した場合には、スプリングによって突出部材が突出方向に移動し、閉塞版が開口部を塞ぐ。したがって、供給タンク36を給水コック38から取り外した場合に、キャップ36aを下方に向けても内部の水が開口部から漏れることはない。なお、供給タンク36は、キャップ36aを外すことにより、給水用の大口径の給水口が露出し、容易に給水することができる。
【0042】
前述したように、エレメント22に含浸させる電解水にはカルキ等が含まれるとエレメント22の目詰まりやカビ発生の原因になる。また、鉄分等が多いと、除菌効果が低下する。したがって、供給タンク36に供給する水は、カルキや鉄分が多い一般的な水道水を避け、純水または不純物の少ない軟水を供給することが望ましい。
【0043】
また、タンク26には、内部に貯留される水(塩水)の水位を検出する水位センサ40が設けられている。
図3の場合、電解槽30で充分な電解水を生成するために必要なタンク26内に水位を検出する第1水位センサ40a(水位Aを検知)と、供給タンク36からの水の補充を受ける必要がない水位(給水コック38を閉動作させる水位B)を検出する第2水位センサ40bが設けられている。
【0044】
前述したように、空気調和装置10が暖房運転または送風運転している場合、熱交換器18で凝縮水18aが発生しないため、タンク26への凝縮水18aの供給が行われず、タンク26内部の塩水の水位が低下し、第1水位センサ40aが水位低下を検出した場合、供給タンク36からの水の供給を実行する。また、供給タンク36からの水の供給が行われ、タンク26の水位が電解槽30で電解水の生成に充分な量になった場合は、供給タンク36からの水の供給を停止させる。つまり、供給タンク36の水の消費を抑制する。
【0045】
なお、タンク26に供給タンク36の水を供給する場合、まず、給水コック38を開動作させ、その後、ポンプ32を動作させることにより、供給タンク36内から水を、流路P7を介して流路P2に引き込み、さらに流路P3を介して電解槽30に供給する。この場合、電解槽30では電気分解を実行しても実行しなくてもよい。さらに、供給タンク36から供給された、水は、電解槽30から流路P4、エレメント槽24、流路P5を経由してタンク26に供給される。そして、タンク26内で塩タブレット34と混ざり塩水になり、流路P2に引き込まれ、循環系内を移動する。この水補給動作により、タンク26の水位が上昇し、第2水位センサ40bがONすると、給水コック38が閉動作して、供給タンク36からの水の供給が停止する。その後は、ポンプ32が動作し続けることにより、循環系内で塩水または電解水が循環し、次亜塩素酸を含む電解水がエレメント22に供給され、熱交換器18を通過した空気の除菌が実行される。また、循環系内を塩水、電解水が循環する過程で水分の蒸発等によりタンク26の水位が下がり、第1水位センサ40aがONした場合には、再度、給水コック38が開動作し、供給タンク36内の水が循環系に供給され、十分な電解水の発生が継続して行われる。
【0046】
なお、第1水位センサ40a、第2水位センサ40bの検出結果に基づき、空気調和装置10に設けられた表示部や端末装置(リモートコントローラやスマートフォン等)にタンク26の状態を通知するようにしてもよい。また、供給タンク36に水位センサを設け、供給タンク36へ純水等を補充する必要をあることを表示部や端末装置に通知するようにしてもよい。また、第1水位センサ40aの検出結果(水位が限界値低下であることを示す結果)が所定期間以上継続した場合には、空気調和装置10の除菌運転を一時停止することを表示部や端末装置に通知してもよい。
【0047】
図4は、上述したように構成される生成システム10Bを制御する除菌空調制御部50の構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【0048】
除菌空調制御部50は、取得部52と制御部54を含む。また、取得部52は切替検出部52a、水位検出部52bを含む。制御部54は、塩水制御部54a、カウンタ制御部54b、ポンプ制御部54c、電解槽制御部54d、給水制御部54e、情報制御部54fを含む。なお、空気調和装置10には、当該空気調和装置10全体を制御するための本体制御部が設けられているが、除菌空調制御部50は、本体制御部の一部として設けられてもよいし、本体制御部とは別に設けられてもよい。
図4の場合は、除菌空調制御部50が単独で設けられたている場合を一例として示し、除菌制御に関する構成のみを示している。なお、空気調和装置10全体の制御、例えば、冷房運転制御や暖房運転制御、除湿運転制御、送風制御等の制御や構成は、公知の空気調和装置と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0049】
除菌空調制御部50には、タンク26に設けられた第1水位センサ40a、第2水位センサ40b、空気調和装置10の運転状態を示す信号を出力する動作モード出力部56が接続されている。また、除菌空調制御部50には、塩タブレット34の供給を行う塩供給部58、電解槽30の陽極と陰極との間に電気を流す放電部30a、循環系内で塩水や電解水を循環させるポンプ32、供給タンク36と流路P2との接離を行う給水コック38が接続されている。この他、除菌空調制御部50には、除菌運転の状態を示す情報を出力する情報出力部60が接続されている。情報出力部60は、例えば、空気調和装置10に設けられた表示部や音声出力部等である。
【0050】
取得部52は、空気調和装置10や生成システム10Bに設けられた各種センサからの情報を取得する。また、制御部54は、取得部52が取得した情報等に基づき、主として生成システム10Bの制御を行う。
【0051】
切替検出部52aは、空気調和装置10の運転状態を示す情報を動作モード出力部56から取得し、その情報を制御部54に提供する。切替検出部52aは、空気調和装置10が、例えば、冷房運転状態であるか、暖房運転状態であるか、除湿運転状態であるか、送風運転状態であるか等を示す信号を取得する。動作モード出力部56は、本体制御部に設けられていてもよいし、空気調和装置10の操作を行う端末装置(例えば、リモートコントローラ)に設けられていてもよい。また、スマートフォン等で空気調和装置10の制御が行える場合は、スマートフォン等にインストールされたアプリケーション上で実現されてもよい。
【0052】
水位検出部52bは、タンク26に設けられた第1水位センサ40a、第2水位センサ40bから検知信号(例えば、ON/OFF信号)を取得し、制御部54に供給する。また、供給タンク36に設けられた水位センサ(水の補充タイミングを示すセンサ)からの検知信号を取得し、制御部54に提供してもよい。
【0053】
制御部54は、電解槽30で次亜塩素酸を含む電解水を生成し、エレメント22を通過する空気を除菌するための制御を主として実行する。
【0054】
塩水制御部54aは、塩供給部58の駆動を制御して、タンク26に投入する塩タブレット34の投入タイミングや投入量を制御する。例えば、塩タブレット34の投入タイミングになった場合に、塩供給部58のモータ等を駆動し、タンク26に適量の塩タブレット34を投入する。
【0055】
カウンタ制御部54bは、塩水制御部54aにより塩タブレット34が投入された場合に、カウントを開始する内部カウンタを制御する。そして、次の塩タブレット34の投入タイミングや、タンク26の塩分濃度を整えるために一度タンク26から塩水を排出して空にするタイミング等を示すタイミング信号を出力する。なお、カウンタ制御部54bは、カウント中に空気調和装置10が運転を停止した場合、つまり、電解水の生成が不要な期間(タンク26内の塩分濃度が変化しない期間)は、カウント値を保持したまま一時停止する。そして、空気調和装置10の運転が再開されたときにカウントを再開する。その結果、タンク26内の塩分濃度の管理を容易に行うことができる。なお、タンク26に塩分濃度計を設けてタンク26内の塩水の塩分濃度の管理を行ってもよい。この場合、カウンタ制御部54bを省略してもよいし、カウンタ制御部54bによる塩分管理に加え、塩分濃度計による塩分濃度管理を行ってもよい。
【0056】
ポンプ制御部54cは、制御部54が除菌空調運転を行う場合に、ポンプ32を駆動し、タンク26、電解槽30、エレメント槽24等を含む循環系内で塩水や電解水を循環させる。
【0057】
電解槽制御部54dは、ポンプ32の駆動により塩水が電解槽30に供給された場合に、電解槽30の内部に配置された陽極と陰極との間に電気を流し、塩水を電気分解して、次亜塩素酸を含む電解水を生成する放電部30aを制御する。なお、電解槽30の内部に水位センサを設け、電解水を発生させるための塩水が不足している場合には、十分な塩水が供給されるまで、放電部30aによる放電(電解処理)を一旦停止するようにしてもよい。
【0058】
給水制御部54eは、水位検出部52bから供給されるタンク26の水位情報に基づき、供給タンク36から循環系(タンク26)に水を補充するか否かを決定し、給水コック38の開閉制御を行う。また、給水制御部54eは、切替検出部52aから情報を取得してもよい。すなわち、熱交換器18で凝縮水18aが得られる冷房運転または除湿運転中の場合、給水コック38の閉制御を行い、逆に熱交換器18で凝縮水18aが得られない暖房運転または送風運転中である場合には、給水コック38の開制御を行うようにしてもよい。なお、給水制御部54eは、切替検出部52aおよび水位検出部52bの両方からの情報を利用することにより、より正確な給水コック38の開閉制御を行うことができる。
【0059】
情報制御部54fは、水位検出部52bからの情報に基づき、除菌運転の状態を空気調和装置10の利用者に通知する制御を行う。例えば、除菌運転が正常に行われている場合、つまり、次亜塩素酸を含む電解水が十分に生成できている場合、空気調和装置10に設けられた情報出力部60としての表示灯を例えば緑色で点等させる。逆に、除菌運転が正常に行われていない場合、つまり、次亜塩素酸を含む電解水が十分に生成できていない場合、空気調和装置10に設けられた表示灯を例えば赤色で点等させる。また、情報制御部54fは、同様な点灯を実行させる制御信号をリモートコントローラや端末装置に送信し、リモートコントローラや端末装置で表示させるようにしてもよい。また、除菌運転が正常に行われていない場合には、空気調和装置10に情報出力部60として設けられたスピーカやリモートコントローラ、端末装置等に設けられたスピーカから音声メッセージや警報音を出力するようにしてもよい。
【0060】
このように構成される空気調和装置10(除菌空調制御部50)の除菌運転時の動作の一例を
図5のフローチャートを用いて説明する。
【0061】
まず、空気調和装置10の電源が投入されると、制御部54は、切替検出部52aを介して動作モード出力部56からの情報を取得し、空気調和装置10の運転状態が冷房運転または除湿運転か否かを判定する(S100)。空気調和装置10の運転状態が冷房運転または除湿運転の場合(S100のYes)、水位検出部52bから取得したタンク26の水位情報に基づき、タンク26の水位が除菌運転を正常に行える水位A以上であるか否かを判定する(S102)。タンク26の水位が除菌運転を正常に行える水位A以上ではない場合(S102のNo)、S100に戻り、冷房運転または除湿運転の場合、熱交換器18で得られる凝縮水18aによるタンク26の水位の上昇を待つ。一方、S102の処理において、タンク26の水位が除菌運転を正常に行える水位A以上である場合(S102のYes)、前回の塩タブレット34の投入時からカウントを開始したカウンタ制御部54bのカウント値を確認する(S104)。カウンタ制御部54bのカウント値が所定のカウンタ値T以上になった場合(S104のYes)、つまり、タンク26の塩分濃度が低下したと判定できる場合、塩水制御部54aは塩タブレット34の投入を行う(S106)。なお、S104の処理において、カウンタ値が所定のカウンタ値Tに到達していない場合(S104のNo)、つまり、タンク26の塩分濃度は許容範囲以内であると判定できる場合は、S106の処理をスキップする。
【0062】
続いて、ポンプ制御部54cは、ポンプ32が動作済みであるか否かを判定し(S108)、ポンプ32が動作していない場合(S108のNo)、ポンプ32を動作させる(S110)。S108に処理において、既にポンプ32が動作済みの場合(S108のYes)、S110の処理をスキップする。
【0063】
電解槽制御部54dは、ポンプ32が動作済みの場合、つまり、電解槽30に塩水が供給済みの場合、放電部30aを制御して電解処理(電気分解)を実行し(S112)、電解槽30において、次亜塩素酸を含む電解水の生成を行う。その結果、エレメント槽24に電解水が供給され、毛細管現象によりエレメント22に電解水が供給され、エレメント22を通過する空気が次亜塩素酸によって除菌される。
【0064】
制御部54は、切替検出部52aからの情報を監視して、空気調和装置10が停止したか否かを判定する(S114)。空気調和装置10が停止(空調が停止)していない場合(S114のNo)、S100の処理に移行し、空気調和装置10の運転状態を確認し、上述したS100からの処理を実行する。
【0065】
S114の処理において、空気調和装置10が停止した場合(S114のYes)、ポンプ制御部54cはポンプ32を停止し、電解槽制御部54dは放電部30aの制御(電解処理)を停止し(S116)、一旦このフローを終了する。
【0066】
S100において、空気調和装置10の運転状態が冷房運転または除湿運転ではない場合(S100のNo)、すなわち、空気調和装置10が暖房運転または送風運転の場合である。この場合、熱交換器18における凝縮水18aの取得は期待できない。制御部54は、水位検出部52bからの情報に基づき、タンク26の水位が除菌運転を正常に行える水位A以上であり、タンク26からオーバーフローしない水位B(排出口26dから排出されない水位)であるか判定する(S118)。A≦水位≦Bでない場合(S118のNo)、つまり、タンク26に十分な水(塩水)が貯留されていない場合(水位A未満の場合)、給水制御部54eは、給水コック38を開動作させると共に、ポンプ制御部54cによりポンプ32を動作させ、供給タンク36の水(外部水)を循環系に吸い上げ、タンク26に給水する(S120)。そして、S104の処理に移行し、暖房運転または送風運転時に上述した除菌運転を実行する。S118の処理において、A≦水位≦Bの場合(S118のYes)、S120の処理をスキップする。つまり、暖房運転または送風運転時において、供給タンク36からの給水が既に実行済みであり、現在は、タンク26の水位が除菌運転を正常に行える状態であると判定し、S104の処理に移行し、暖房運転または送風運転時に上述した除菌運転を実行する。
【0067】
このように、本実施形態の空気調和装置10によれば、空気調和装置10の冷房運転または除湿運転の際には、熱交換器18で得られる凝縮水18a(ドレン水)を用いて除菌作用のある次亜塩素酸を含む電解水を生成し、エレメント22に供給して除菌運転を実行することができる。つまり、除菌運転時に外部から水を供給(補充)する作業を行う必要がなくなり、管理が容易になり、使い勝手の改善された空気調和装置10を提供することができる。また、空気調和装置10の暖房運転または送風運転時には、供給タンク36から適宜水の補充を行い、冷房運転または除湿運転と同様な除菌運転を行うことができる。なお、空気調和装置10の冷房運転または除湿運転の際に、熱交換器18で得られる凝縮水18aの量が、十分な除菌を行うために必要な電解水を生成するには不足している場合、補助的に供給タンク36から水の補充を行うようにしてもよい。その結果、例えば、弱冷房運転時や弱除湿運転時でも、最適かつ安定した除菌運転を行うことができる。同様に、冷房運転または除湿運転の際に、塩分濃度が所定値を超え凝縮水18aの供給のみでは、塩分濃度を所定範囲内に維持できない場合に、補助的に供給タンク36から水の補充を行うようにしてもよい。その結果、塩分濃度の過剰な上昇による臭気の発生を抑制することができる。
【0068】
なお、上述した実施形態では、例えば住宅用の空気調和装置10を想定して説明したが、各種空気調和装置10についても同様に本実施形態の構成が適用可能である。例えば、業務用の空気調和装置や車両や航空機、船舶等設けられる空気調和装置についても本実施形態の構成が適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0069】
なお、
図3に示す構成では、生成システム10Bを用いて暖房運転時または送風運転時に除菌運転を行う例を示したが、生成システム10Bを用いて冷房運転時または除湿運転時に除菌運転を行ってもよい。この場合、供給タンク36が機能停止するのみで、他の構成は同様に機能し、供給タンク36からの水の補充を受けることなく、除菌運転を実現することができる。
【0070】
また、
図3に示す構成では、供給タンク36から純水また軟水を供給する例を示したが、供給タンク36に純水または軟水から作った塩水を補給し、タンク26に供給するようにしてもよい。この場合、暖房運転時または送風運転時にタンク26に対する塩タブレット34の投入処理を省略することができる。
【0071】
また、
図4では、生成システム10Bの構成に対応するブロック図を示したが、供給タンク36等を備えない
図2に示す生成システム10Aに対向する除菌空調制御部は、生成システム10Bの構成に対して生成システム10Aで省略された構成に対するブロックが省略された状態となり、除菌制御を実現することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
10…空気調和装置、10A,10B…生成システム、12…ハウジング、14…フィルタ、16…ファン、18…熱交換器、18a…凝縮水、20…ドレンパン、22…エレメント、24…エレメント槽、26…タンク、30…電解槽、30a…放電部、32…ポンプ、34…塩タブレット、36…供給タンク、40…水位センサ、40a…第1水位センサ、40b…第2水位センサ、50…除菌空調制御部、52…取得部、52a…切替検出部、52b…水位検出部、54…制御部、54a…塩水制御部、54b…カウンタ制御部、54c…ポンプ制御部、54d…電解槽制御部、54e…給水制御部、54f…情報制御部、56…動作モード出力部、58…塩供給部、60…情報出力部。