(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099472
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20220628BHJP
G09G 3/3233 20160101ALI20220628BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220628BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220628BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220628BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20220628BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09G3/3233
G09G3/20 680H
G09G3/20 642A
G09G3/20 624B
G09G3/20 680G
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213258
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】520272868
【氏名又は名称】武漢天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】特許業務法人藤央特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松枝 洋二郎
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C094
5C380
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC14
3K107CC33
3K107EE04
3K107EE07
3K107FF04
3K107FF15
3K107HH05
5C080AA06
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD05
5C080DD26
5C080EE29
5C080FF11
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ05
5C080JJ06
5C080KK07
5C094AA05
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA09
5C094DB04
5C380AA01
5C380AB06
5C380AB11
5C380AB12
5C380AB22
5C380AB34
5C380AB41
5C380AB42
5C380AB45
5C380AB50
5C380AC11
5C380BA01
5C380BA39
5C380BB01
5C380CA10
5C380CA57
5C380CB18
5C380CB32
5C380CC06
5C380CC07
5C380CC26
5C380CC27
5C380CC33
5C380CC39
5C380CC63
5C380CC64
5C380CC72
5C380CD013
5C380CD016
5C380CD025
5C380CE19
5C380CF53
5C380CF66
5C380DA02
5C380DA06
5C380DA33
5C380GA11
5C380HA03
5C380HA05
(57)【要約】
【課題】表示装置の消費電力を低減する。
【解決手段】表示装置は、第1表示領域と、第1表示領域より画素密度が小さい第2表示領域と、を含む。第1表示領域内の第1画素回路は、発光素子への駆動電流量を制御する、第1駆動トランジスタと、第1駆動トランジスタの制御電圧を保持する第1保持容量と、保持容量にデータ信号を書き込むする第1スイッチトランジスタと、を含む。第2表示領域内の第2画素回路は、発光素子への駆動電流量を制御する第2駆動トランジスタと、第2駆動トランジスタの制御電圧を保持する第2保持容量と、第2保持容量にデータ信号を書き込む、第2スイッチトランジスタと、を含む。第2駆動トランジスタのチャネル幅は、第1駆動トランジスタのチャネル幅より大きい。第2スイッチトランジスタのチャネル幅は、第1スイッチトランジスタのチャネル幅より大きい。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示領域と、
前記第1表示領域より画素密度が小さい第2表示領域と、
を含み、
前記第1表示領域内の第1画素回路は、
発光素子への駆動電流量を制御する、第1駆動トランジスタと、
前記第1駆動トランジスタの制御電圧を保持する、第1保持容量と、
前記第1保持容量にデータ信号を書き込む、第1スイッチトランジスタと、
を含み、
前記第2表示領域内の第2画素回路は、
発光素子への駆動電流量を制御する、第2駆動トランジスタと、
前記第2駆動トランジスタの制御電圧を保持する、第2保持容量と、
前記第2保持容量にデータ信号を書き込む、第2スイッチトランジスタと、
を含み、
前記第2駆動トランジスタのチャネル幅は、前記第1駆動トランジスタのチャネル幅より大きく、
前記第2スイッチトランジスタのチャネル幅は、前記第1スイッチトランジスタのチャネル幅より大きい、
表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記第1スイッチトランジスタのONからOFFへの変化による前記第1駆動トランジスタのゲート電位変動は、前記第2スイッチトランジスタのONからOFFへの変化による前記第2駆動トランジスタのゲート電位変動と等しい、
表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記第1画素回路は、ON状態において前記第1駆動トランジスタのゲートとドレインを導通させる、第3スイッチトランジスタをさらに含み、
前記第2画素回路は、ON状態において前記第2駆動トランジスタのゲートとドレインを導通させる、第4スイッチトランジスタをさらに含み、
前記第4スイッチトランジスタのチャネル幅は、前記第3スイッチトランジスタのチャネル幅より大きい、
表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置であって、
前記第3スイッチトランジスタのONからOFFへの変化による前記第1駆動トランジスタのゲート電圧の変化量は、前記第4スイッチトランジスタのONからOFFへの変化による前記第2駆動トランジスタのゲート電位変動と等しい、
表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記第1駆動トランジスタは第1ゲート電極を含み、
前記第2駆動トランジスタは第2ゲート電極を含み、
前記第1ゲート電極の形状は、前記第2ゲート電極の形状と共通であり、
前記第2ゲート電極と重なる半導体の幅は、前記第1ゲート電極と重なる半導体の幅より大きい、
表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表示装置であって、
前記第1ゲート電極の両端から半導体層における屈曲部までの距離は同一であり、
前記第2ゲート電極の両端から半導体層における屈曲部までの距離は同一である、
表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載の表示装置であって、
前記第1ゲート電極の中心軸と前記第1駆動トランジスタのチャネルの中心軸とが平面視において一致し、
前記第2ゲート電極の中心軸と前記第2駆動トランジスタのチャネルの中心軸とが平面視において一致する、
表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の表示装置であって、
前記第1駆動トランジスタのチャネル及び前記第1ゲート電極を覆い、開口を有する、前記第1保持容量の第1容量電極と、
前記第2駆動トランジスタのチャネル及び前記第2ゲート電極を覆い、開口を有する、前記第2保持容量の第2容量電極と、
前記第1容量電極の開口を通過して前記第1ゲート電極と接触する第1コンタクト部と、
前記第2容量電極の開口を通過して前記第2ゲート電極と接触する第2コンタクト部と、
をさらに含み、
前記第1ゲート電極の中心軸は、前記第1コンタクト部が前記第1ゲート電極と接触する領域を通過し、
前記第2ゲート電極の中心軸は、前記第2コンタクト部が前記第2ゲート電極と接触する領域を通過する、
表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の表示装置であって、
前記第1コンタクト部と前記第1容量電極の前記開口と間の距離の最小値は、前記チャネル幅の方向における前記第1ゲート電極の端とチャネルの端との間の距離の最小値より大きく、
前記第2コンタクト部と前記第2容量電極の開口端と間の距離の最小値は、前記チャネル幅の方向における前記第2ゲート電極の端とチャネルの端との間の距離の最小値より大きい、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
OLED(Organic Light-Emitting Diode)素子は電流駆動型の自発光素子であるため、バックライトが不要となる上に、低消費電力、高視野角、高コントラスト比が得られるなどのメリットがあり、フラットパネルディスプレイの開発において期待されている。
【0003】
OLED表示装置の表示領域が、画素密度が異なる領域を含むことがある。例えば、いくつかのスマートフォンやタブレット型コンピュータなどの携帯端末において、表示領域の下に画像撮像用のカメラが配置される。カメラが外部からの光を受光するために、カメラは、周囲よりも画素密度が小さい領域の下に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0345367号
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0115226号
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0030601号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示領域における画像の表示品質の低下を抑制するため、相対的に画素密度が小さい領域における画素単位の輝度は、相対的に画素密度が大きい通常領域の画素単位の輝度より大きくする必要がある。OLED素子は電流駆動型の素子であるため、画素密度が小さい領域の画素には、画素密度が大きい通常領域の画素よりも多くの電流が供給される。
【0006】
画素密度が小さい領域の画素に、画素密度が大きい通常領域の画素よりも多くの電流が供給するためにデータ信号を調整して輝度を変化させることもできるが、この場合にはデータ信号振幅幅が大幅に増大するため、表示装置の消費電力も増加してしまう。
【0007】
そこで、画素密度がn分の1の領域の駆動トランジスタのチャネル幅を、画素密度が大きい領域の駆動トランジスタのチャネル幅よりn倍に大きくすることで、同一のデータ信号を用いても画素密度が小さい領域における画素の輝度をn倍に高めることができる。この場合、データ信号振幅が増大することはないので、画素密度が異なる領域があっても表示装置の消費電力が増大することはない。
【0008】
駆動トランジスタは、保持容量の電圧により制御される。保持容量の電圧は、保持容量にデータ信号を伝送するスイッチトランジスタのONからOFFへの変化に応じて変化する。この変化量は、駆動トランジスタのゲート容量に依存する。駆動トランジスタのゲート容量はチャネル幅に依存するため、駆動トランジスタのチャネル幅が異なると、同一のデータ信号に対して保持容量が保持する電圧が異なる。
【0009】
このため、画素密度が小さい領域の駆動トランジスタのチャネル幅を、画素密度が大きい領域の駆動トランジスタのチャネル幅よりn倍大きくした場合に、同じ駆動トランジスタのゲート電位が変化してしまうため、n倍の電流とはならず画素密度が異なる領域の境界線が目立つことになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様に係る表示装置は、第1表示領域と、前記第1表示領域より画素密度が小さい第2表示領域と、を含む。前記第1表示領域内の第1画素回路は、発光素子への駆動電流量を制御する、第1駆動トランジスタと、前記第1駆動トランジスタの制御電圧を保持する、第1保持容量と、前記保持容量にデータ信号を書き込む、第1スイッチトランジスタと、を含む。前記第2表示領域内の第2画素回路は、発光素子への駆動電流量を制御する、第2駆動トランジスタと、前記第2駆動トランジスタの制御電圧を保持する、第2保持容量と、前記第2保持容量にデータ信号を書き込む、第2スイッチトランジスタと、を含む。前記第2駆動トランジスタのチャネル幅は、前記第1駆動トランジスタのチャネル幅より大きい。前記第2スイッチトランジスタのチャネル幅は、前記第1スイッチトランジスタのチャネル幅より大きい。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、表示装置の消費電力の増大を抑制しつつ、画素密度が異なる表示領域で駆動トランジスタのゲート電位の差異を小さくすることができるため、表示輝度の均一性を向上させることができる。この結果、画素密度が異なる領域の境界線が見えにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】
図3において一点鎖線で囲まれた領域の詳細を示す。
【
図5】TFT基板上の制御配線のレイアウトを模式的に示し、
【
図6】低密度領域の副画素の発光輝度特性のグラフを示す。
【
図9】通常領域における駆動トランジスタの構造を模式的に示す平面図である。
【
図10】低密度領域における駆動トランジスタの構造を模式的に示す平面図である。
【
図11】
図10におけるXI-XI切断線での断面構造を模式的に示す。
【
図12】通常領域における駆動トランジスタの一部の構成要素を示す。
【
図13】低密度領域における駆動トランジスタの一部の構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。本実施形態は本開示を実現するための一例に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。
【0014】
以下の説明において、画素は、表示領域における最小単位であり、単一色の光を発光する要素を示し、副画素とも呼ばれることがある。複数の異なる色の画素、例えば、赤、青及び緑の画素のセットが、一つのカラードットを表示する要素を構成し、主画素と呼ばれることがある。以下において、説明の明確化のために単一色表示を行う要素とカラー表示を行う要素を区別する場合に、それぞれ、副画素及び主画素と呼ぶ。なお、本明細書の特徴は、モノクロ表示を行う表示装置に適用することができ、その表示領域はモノクロ画素で構成されている。
【0015】
以下において、表示装置の構成例を説明する。表示装置の表示領域は、相対的に画素密度が小さい第2表示領域(低密度又は低解像度領域とも呼ぶ)と、相対的に画素密度が大きい第1表示領域(通常領域又は通常解像度領域とも呼ぶ)とを含む。表示領域における画像の表示品質の低下を抑制するため、同一の画像データの階調レベルに対して、低密度領域における画素の輝度は、通常領域の画素の輝度より大きくなるように構成される。なお、通常領域よりも画素密度が低い複数の低密度領域が配置されてもよく、これらの画素密度が異なっていてもよい。
【0016】
以下に説明する例において、画素の発光素子は電流駆動型の素子であり、例えば、OLED(Organic Light-Emitting Diode)素子である。従って、同一階調レベルの画像データに対して、低密度領域の画素には、通常領域の画素よりも多くの電流が供給される。
【0017】
画素密度が小さい領域の画素に、画素密度が大きい通常領域の画素よりも多くの電流が供給するためにデータ信号を調整して輝度を変化させることもできるが、この場合にはデータ信号振幅幅が大幅に増大するため、表示装置の消費電力も増加してしまう。
【0018】
以下において、通常領域と低密度領域とのために、チャネル幅が異なるトランジスタを含むOLED表示装置を説明する。低密度領域における駆動トランジスタのチャネル幅は、通常領域における駆動トランジスタのチャネル幅より大きい。低密度領域の駆動トランジスタは、映像フレームにおける同一の階調レベル(輝度)を示す映像画素データに対して、通常領域の駆動トランジスタよりも大きい駆動電流をOLED素子に与える。
【0019】
これにより、低密度領域におけるデータ信号電圧範囲(単にデータ信号範囲とも呼ぶ)を抑えながら低密度領域において輝度を上昇させることができ、OLED表示装置全体での消費電力を低減することができる。
【0020】
例えば、画素密度がn分の1の領域の駆動トランジスタのチャネル幅を、画素密度が大きい領域の駆動トランジスタのチャネル幅よりn倍に大きくすることで、同一のデータ信号を用いても画素密度が小さい領域における画素の輝度をn倍に高めることができる。この場合、データ信号振幅が増大することはないので、画素密度が異なる領域があっても表示装置の消費電力が増大することはない。
【0021】
本明細書の一実施形態において、さらに、低密度領域内の保持容量に対してデータ信号を書き込むスイッチトランジスタのチャネル幅は、通常領域内の保持容量に対してデータ信号を書き込むスイッチトランジスタのチャネル幅より大きい。
【0022】
駆動トランジスタは、保持容量が保持する駆動電圧によって制御される。駆動トランジスタの駆動電圧は、保持容量にデータ信号を書き込むスイッチトランジスタのONからOFFへの変化に応じて変動する。この変動量は、駆動トランジスタ及びスイッチトランジスタのゲート容量に依存する。これらのゲート容量は、これらのチャネル幅に依存する。
【0023】
このため、画素密度が小さい領域の駆動トランジスタのチャネル幅を、画素密度が大きい領域の駆動トランジスタのチャネル幅よりn倍大きくした場合に、同じ駆動トランジスタのゲート電位が変化してしまうため、n倍の電流とはならず画素密度が異なる領域の境界線が目立つことになる。
【0024】
駆動トランジスタと共に、データ書き込みスイッチトランジスタのチャネル幅を大きくすることで、駆動トランジスタのチャネル幅を増加させたことによる、保持容量の駆動電圧変動の変化量を小さくできる。本明細書の一実施形態において、OLED表示装置は、外部から入力される映像データの同一階調レベル(輝度)に対して、通常領域と低密度領域に同一のデータ信号を書き込む。上述のように、駆動トランジスタと共にデータ書き込みスイッチトランジスタのチャネル幅を大きくすることで、通常領域と低密度領域の間において、保持容量が保持する最終的な駆動トランジスタのゲート電圧の差異を小さくすることができる。
【0025】
その結果、表示装置の消費電力の増大を抑制しつつ、画素密度が異なる表示領域で駆動トランジスタのゲート電位の差異を小さくすることができるため、表示輝度の均一性を向上させることができる。この結果、画素密度が異なる領域の境界線が見えにくくなる。
【0026】
異なるチャネル幅を含む画素回路の製造に対して、プロセスのマージンを確保して製造ばらつきを小さくする、デバイスレイアウトが重要である。本明細書の一実施形態は、通常領域及び低密度領域において共通の画素電極形状を採用し、半導体層におけるチャネル幅を変化させることで、トランジスタのチャネル幅を変化させる。これにより、画素回路の構造の設計及び製造がより容易となる。また、所定の画素電極の構造(形状及び位置を含む)を採用することで、トランジスタのサイズ調整比率精度を向上させることができる。
【0027】
[表示装置の構成]
図1を参照して、本明細書の一実施形態に係る、表示装置の全体構成を説明する。なお、説明をわかりやすくするため、図示した物の寸法、形状については、誇張して記載している場合もある。以下において、表示装置の例として、OLED表示装置を説明する。
【0028】
図1は、OLED表示装置10の構成例を模式的に示す。OLED表示装置10は、OLED素子(発光素子)が形成されるTFT(Thin Film Transistor)基板100と、OLED素子を封止する封止構造部200を含んで構成されている。TFT基板100の表示領域125の外側のカソード電極形成領域114の周囲に、制御回路が配置されている。具体的には、走査ドライバ131、エミッションドライバ132、静電気放電保護回路133、ドライバIC134、デマルチプレクサ136が配置されている。
【0029】
ドライバIC134は、FPC(Flexible Printed Circuit)135を介して外部の機器と接続される。走査ドライバ131はTFT基板100の走査線を駆動する。エミッションドライバ132は、エミッション制御線を駆動して、各画素の発光を制御する。静電気放電保護回路133は、TFT基板における素子の静電破壊を防ぐ。ドライバIC134は、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を用いて実装される。
【0030】
ドライバIC134は、走査ドライバ131及びエミッションドライバ132に電源、及び、タイミング信号を含む制御信号を与える。さらに、ドライバIC134は、デマルチプレクサ136に、電源及びデータ信号を与える。デマルチプレクサ136は、ドライバIC134の一つのピンの出力を、d本(dは2以上の整数)のデータ線に順次出力する。デマルチプレクサ136は、ドライバIC134からのデータ信号の出力先データ線を、走査期間内にd回切り替えることで、ドライバIC134の出力ピン数のd倍のデータ線を駆動する。
【0031】
[画素回路構成]
TFT基板100上には、複数の副画素のアノード電極にそれぞれ供給する電流を制御する複数の画素回路が形成されている。
図2は、画素回路の構成例を示す。各画素回路は、駆動トランジスタT1と、選択トランジスタT2と、エミッショントランジスタT3と、保持容量C1とを含む。画素回路は、OLED素子E1の発光を制御する。トランジスタは、TFTである。
【0032】
図2の画素回路において、駆動トランジスタの閾値電圧を補償するための回路構成は省略されている。
図2の画素回路は例であって、画素回路は他の回路構成を有してよい。
図2の画素回路はP型TFTを使用しているが、画素回路はNチャネル型TFTを使用してもよい。
【0033】
選択トランジスタT2は、副画素を選択するスイッチである。選択トランジスタT2はPチャネル型(P型)TFTであり、ゲート端子は、走査線106に接続されている。ソース端子は、データ線105に接続されている。ドレイン端子は、駆動トランジスタT1のゲート端子に接続されている。
【0034】
駆動トランジスタT1はOLED素子E1の駆動用のトランジスタ(駆動TFT)である。駆動トランジスタT1はP型TFTであり、そのゲート端子は選択トランジスタT2のドレイン端子に接続されている。駆動トランジスタT1のソース端子はアノード電源電位VDDを伝送する電源線108に接続されている。ドレイン端子は、エミッショントランジスタT3のソース端子に接続されている。駆動トランジスタT1のゲート端子とソース端子との間に保持容量C1が形成されている。
【0035】
エミッショントランジスタT3は、OLED素子E1への駆動電流の供給と停止を制御するスイッチである。エミッショントランジスタT3はP型TFTであり、ゲート端子はエミッション制御線107に接続されている。エミッショントランジスタT3のソース端子は駆動トランジスタT1のドレイン端子に接続されている。エミッショントランジスタT3のドレイン端子は、OLED素子E1に接続されている。OLED素子E1のカソードにはカソード電源電位VSSが与えられている。
【0036】
次に、画素回路の動作を説明する。走査ドライバ131が走査線106に選択パルスを出力し、選択トランジスタT2をオン状態にする。データ線105を介してドライバIC134から供給されたデータ電圧は、保持容量C1に格納される。保持容量C1は、格納された電圧を、1フレーム期間を通じて保持する。保持電圧によって、駆動トランジスタT1のコンダクタンスがアナログ的に変化し、駆動トランジスタT1は、発光階調に対応した順バイアス電流をOLED素子E1に供給する。
【0037】
エミッショントランジスタT3は、駆動電流の供給経路上に位置する。エミッションドライバ132は、エミッション制御線107に制御信号を出力して、エミッショントランジスタT3のオンオフを制御する。エミッショントランジスタT3がオン状態のとき、駆動電流がOLED素子E1に供給される。エミッショントランジスタT3がオフ状態のとき、この供給が停止される。エミッショントランジスタT3のオンオフを制御することにより、1フレーム周期内の点灯期間(デューティ比)を制御することができる。
【0038】
[画素レイアウト]
図3は、表示領域125を模式的に示す。OLED表示装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末のようなモバイル端末に実装される。表示領域125は、通常の画素密度を有する通常領域451と、通常領域451の画素密度(解像度)よりも低い画素密度(解像度)を有する低密度領域453を含む。1又は複数のカメラ465が、低密度領域453の下に配置されている。
図3において、複数のカメラのうちの一つが例として符号465で指示されている。以下において、表示領域125における副画素又は主画素を、表示副画素又は表示主画素と呼ぶことがある。
【0039】
低密度領域453はカメラ465の視認側に配置されており、カメラ465は、低密度領域453と通過した光によって視認側の物体を撮影する。カメラ465による撮影を妨げないように、低密度領域453の画素密度は、周囲の通常領域451の画素密度より低い。不図示の制御装置は、例えば、カメラ465により撮像した画像のデータをOLED表示装置10に送信する。なお、
図3は、低密度領域の例として、カメラがその下に配置されている領域を示すが、本明細書における特徴は、他の目的のために画素密度が相対的に低い領域を含む表示装置に適用できる。
【0040】
低密度領域453は、N列M行の主画素で構成されている。主画素列は、
図3における上下方向であるY軸に沿って配列された主画素で構成されている。主画素行は、
図3における左右方向であるX軸に沿って配列された主画素で構成されている。
【0041】
図4は、
図3において一点鎖線で囲まれた領域455の詳細を示す。
図4は、デルタナブラ配置(単にデルタ配置とも呼ぶ)の画素レイアウトを示す。なお、本実施形態における特徴は、他の画素レイアウトを有する表示装置に適用することができる。
【0042】
領域455は、通常領域451と低密度領域453の一部の境界の近傍の領域である。
図4に示す例において、低密度領域453の画素密度は、通常領域451の1/4である。低密度領域453の副画素は、同一の画像データに対して、通常領域451の副画素の4倍の輝度で発光するように制御される。
【0043】
表示領域125は、面内に配置されている、複数の赤副画素51R、複数の緑副画素51G、及び複数の青副画素51Bで構成されている。
図4において、一つの赤副画素、一つの緑副画素、及び一つの青副画素が、例として、符号で指示されている。
図4において、同一のハッチングの(丸い角の)四角は、同一色の副画素を示す。
図4において、副画素の形状は四角であるが、副画素の形状は任意であって、例えば、六角形又は八角形であってもよい。
【0044】
副画素列は、同一のX軸位置の副画素からなる、Y軸に沿って延びる配列である。副画素列において、赤副画素51R、青副画素51B及び緑副画素51Gが、サイクリックに配列されている。例えば、副画素列の副画素は、同一のデータ線に接続される。副画素行は、同一のY軸位置の同一色の副画素からなる、X軸に沿って延びる配列である。例えば、副画素行の副画素は、同一の走査線に接続される。
【0045】
図4の構成例において、通常領域451は、マトリックス状に配置されている、第1種主画素53A及び第2種主画素53Bの、2種類の主画素を含む。
図4において、一つの第1種主画素のみが、例として、符号53Aで指示されている。また、一つの第2種主画素のみが、例として、符号53Bで指示されている。なお、サブピクセルレンダリング技術が使用される場合、外部からの画像データの主画素とパネルの主画素とは一致しない。
【0046】
図4において、第1種主画素53Aは、一つの頂点が左側にあり、二つの頂点が右側にある三角形で示されている。また、第2種主画素53Bは、一つの頂点が右側にあり、二つの頂点が左側にある三角形で示されている。
【0047】
第1種主画素53Aにおいて、赤副画素51R及び青副画素51Bは、同一の副画素列において連続して配置されている。緑副画素51Gが含まれる副画素列は、赤副画素51R及び青副画素51Bが含まれる副画素列の左側に隣接している。緑副画素51Gは、Y軸位置において、赤副画素51Rと青副画素51Bの中央に位置している。
【0048】
第2種主画素53Bにおいて、赤副画素51R及び青副画素51は、同一の副画素列において連続して配置されている。緑副画素51Gが含まれる副画素列は、赤副画素51R及び青副画素51Bが含まれる副画素列の右側に隣接している。緑副画素51Gは、Y方向において、赤副画素51Rと青副画素51Bの中央に位置している。
【0049】
低密度領域453は、第1種主画素53Aと同一構成の主画素53Cで構成されている。
図4は、5列4行の主画素53Aを示す。主画素53Cは規則的に配置されており、X軸及びY軸に沿った主画素間距離は一定である。また、隣接する主画素行は、互いに半ピッチだけずれている。
【0050】
隣接する主画素53Cの間ならびに低密度領域453と通常領域451の間には、カメラ465によって撮像するため、視認側からカメラ465に光を取り込めるように透過領域(不図示)が、好適な配置で設けられている。
【0051】
低密度領域453の副画素レイアウトは、通常領域451のレイアウトから一部の副画素を除いた構成を有している。低密度領域453の副画素は、通常領域の副画素と共に副画素行及び副画素列を構成する。低密度領域453の各副画素列は、通常領域451の対応する副画素列と共に一つの副画素列を構成し、同一のデータ線に接続される。低密度領域453の各副画素行は、通常領域451の対応する副画素行と共に一つの副画素行を構成し、同一の走査線に接続される。
【0052】
[配線レイアウト]
以下において、OLED表示装置10の配線レイアウト例を説明する。
図5は、TFT基板100上の制御配線のレイアウトを模式的に示し、
図5の構成例において、通常領域451の画素回路のレイアウトは、ストライプ配置である。具体的には、Y軸に沿って延びる副画素列は、同一色の副画素で構成されている。X軸に沿って延びる副画素行は、サイクリックに配置された、赤副画素、緑副画素及び青副画素で構成されている。低密度領域453は、通常領域451の画素レイアウトから、一部の画素を間引いた構成を有している。低密度領域453における空白領域には、OLED素子を含む画素回路は形成されておらず、透過領域と配線のみが配置されている。
【0053】
なお、透過領域に隣接する主画素53A、53Cの画素回路を構成する各トランジスタは適切に遮光(不図示)されている。その理由は、カメラでの撮影に伴って、透明領域には視認側から外光が入射するので、TFT基板100やOLED素子を形成する薄膜層を介して画素回路にも外光が入り、トランジスタに光アシスト効果が生じない様にするためである。光アシスト効果が生じると、トランジスタのしきい値電圧のシフトを引き起こすため、駆動電流が変化してしまう。
【0054】
複数の走査線106が、走査ドライバ131からX軸に沿って延びている。また、複数のエミッション制御線107が、エミッションドライバ132からX軸に沿って延びている。
図5は、例として、一つの走査線及び一つのエミッション制御線を、それぞれ符号106及び107で指示していている。
【0055】
図5に示す構成例において、走査線106は、通常領域451及び低密度領域453の選択信号を伝送する。また、エミッション制御線107は、通常領域451及び低密度領域453のエミッション制御信号を伝送する。
【0056】
ドライバIC134は、配線711によって走査ドライバ131に制御信号を送信し、配線713によってエミッションドライバ132に制御信号を送信する。ドライバIC134は、外部からの画像データ(画像信号)に基づき、走査ドライバ131から走査信号(選択パルス)及びエミッションドライバ132のエミッション制御信号のタイミングを制御する。
【0057】
ドライバIC134は、配線705によって、通常領域451及び低密度領域453の副画素のデータ信号をデマルチプレクサ136に与える。
図5は、1本の配線を例として、符号705で指示している。ドライバIC134は、外部からの映像データのフレーム内の1又は複数の副画素の階調レベルから、通常領域451及び低密度領域453の各服画素に対応する各画素回路のデータ信号を決定する。
【0058】
デマルチプレクサ136は、ドライバIC134の一つの出力を、走査期間内にN本(Nは2以上の整数)のデータ線105に順次出力する。
図5において、Y軸に沿って延びる複数のデータ線のうち、1本のデータ線が、例として符号105で指示されている。
【0059】
[発光制御方法]
以下において、OLED表示装置10の副画素の発光制御方法を説明する。ドライバIC134は、通常領域451及び低密度領域453の副画素(画素回路)それぞれの発光輝度を制御する。一般に、同一のゲート電圧に対して、駆動トランジスタT1の駆動電流は、チャネル幅に比例する。本明細書の一実施形態において、低密度領域453の駆動トランジスタT1のチャネル幅は、通常領域451の駆動トランジスタのチャネル幅より大きい。これにより、低密度領域453において、より小さいデータ信号電圧で高い輝度を実現でき、消費電力を低減できる。画素回路の構成は、つまり、トランジスタや容量の数及びそれらの接続関係は、通常領域451及び低密度領域453で共通である。
【0060】
本明細書の一実施形態において、ドライバIC134は、通常領域451及び低密度領域453の同一輝度(階調レベル)の画素回路に対して、同一のデータ信号を決定する。そのため、低密度領域453の副画素の輝度が、通常領域451の副画素の輝度の4倍であることを求められている場合、低密度領域453の駆動トランジスタT1のチャネル幅は、例えば、通常領域451の駆動トランジスタT1のチャネル幅の4倍に設定される。チャネル長は同一である。なお、通常領域451及び低密度領域453の同一輝度の画素回路に異なるデータ信号が伝送されてもよい。低密度領域453の駆動トランジスタT1のチャネル幅の設計は、与えられるデータ信号電圧に基づく。
【0061】
図6は、低密度領域453の副画素の発光輝度特性のグラフを示す。低密度領域453の密度は、通常領域451の密度の1/4であり、同一映像信号に対する低密度領域453の副画素の輝度は、通常領域451の副画素の輝度の4倍であるとする。
【0062】
X軸は、データ信号電圧を表し、Y軸は発光輝度を表す。線891は、低密度領域453の駆動トランジスタT1のチャネル幅が、通常領域451の駆動トランジスタT1のチャネル幅と等しい場合における、低密度領域453の副画素(OLED素子)の輝度特性曲線である。この特性は、通常領域451の副画素の特性と一致する。
【0063】
白の階調レベルを実現するためには、通常領域451の副画素に与えられるデータ信号電圧Vd0より大きいデータ信号電圧Vd1を、低密度領域453の副画素に与えることが必要である。
【0064】
線892は、低密度領域453の駆動トランジスタT1のチャネル幅が、通常領域451の駆動トランジスタT1のチャネル幅の4倍である場合における、低密度領域453の副画素の輝度特性曲線である。チャネル幅を4倍とすることで、同一のデータ信号電圧Vd0において、低密度領域453の副画素の輝度が400%となる。つまり、通常領域451のデータ信号電圧範囲(最小輝度から最大輝度まで)と同一の電圧範囲で、低密度領域453の副画素の輝度を4倍にすることができる。低密度領域453のデータ信号電圧範囲を狭くすることで、OLED表示装置全体の消費電力を低減できる。
【0065】
なお、低密度領域453のデータ信号電圧範囲は、通常領域451のデータ信号電圧範囲と一致していなくてもよい。低密度領域453の駆動トランジスタT1のチャネル幅が、通常領域451の駆動トランジスタT1のチャネル幅より大きいことで、高い輝度が要求される低密度領域453のデータ信号電圧範囲を狭くすることができる。
【0066】
[データ信号書き込みトランジスタ]
次に、保持容量に対してデータ信号を書き込むトランジスタの構成について説明する。本明細書の一実施形態において、低密度領域453における保持容量に対してデータ信号を書き込むトランジスタのチャネル幅は、通常領域451における保持容量に対してデータ信号を書き込むトランジスタのチャネル幅より大きい。
図2を参照して説明した画素回路構成例において、トランジスタT2は、保持容量にデータ信号を書き込む第1又は第2スイッチトランジスタの例である。
【0067】
トランジスタT2がONからOFFに変化して、データ線105からのデータ信号の保持容量C1への伝送を終了するとき、トランジスタT2がゲート電位の変化に応じて、保持容量のC1が保持する電圧(駆動トランジスタT1のゲート電位)が変化する。駆動トランジスタT1は、保持容量C1が最終的に保持する電圧によって制御される。
【0068】
トランジスタT2がOFFされる時の駆動電圧変動ΔV(駆動トランジスタT1のゲート電位変動)は、次の数式で表すことができる。
ΔV=(VGH-VGL)Cgd/(Cgd+Cstg+Cdtft)
VGH及びVGLは、走査線106のハイレベルとローレベルの電位を表す。Cgdは、データ書き込みスイッチトランジスタT2のゲート・ドレイン間容量を表す。Cstgは、保持容量C1の容量を表す。Cdtftは、駆動トランジスタT1のチャネル容量を表す。
【0069】
駆動トランジスタT1のチャネル幅が増加すると、駆動トランジスタT1のゲート容量Cdtftが増加する。上記数式が示すように、駆動トランジスタT1のゲート容量Cdtftが増加すると、駆動電圧変動ΔVは小さくなる。つまり、低密度領域453の駆動トランジスタT1のチャネル幅のみ大きくすると、低密度領域453の保持容量C1の電圧が、通常領域451の保持容量の電圧と異なる値となる。
【0070】
データ書き込みスイッチトランジスタT2のチャネル幅を大きくすると、データ書き込みスイッチトランジスタT2のゲート・ドレイン間容量Cgdが増加する。上記数式が示すように、データ書き込みスイッチトランジスタT2のゲート・ドレイン間容量Cgdが増加すると、駆動電圧変動ΔVは増加する。つまり、スイッチトランジスタT2のチャネル幅を大きくすることで、駆動トランジスタT1のチャネル幅の増加に起因する保持容量の電圧変動の変化量を小さくすることができる。
【0071】
本明細書の一実施形態において、通常領域451と低密度領域453とにおいて、スイッチトランジスタT2のONからOFFへの変化による駆動トランジスタT1のゲート電位変動は等しい。通常領域451における駆動電圧変動と低密度領域453の駆動電圧変動ΔVが同一となるように、スイッチトランジスタT2のチャネル幅が決定される。
【0072】
例えば、画素回路の設計は、低密度領域453に要求される輝度に応じて駆動トランジスタT1のチャネル幅を決定する。その後、演算式やシミュレーションにより、駆動トランジスタT1のチャネル幅の増加による駆動電圧変動の変化量を相殺するように、スイッチトランジスタT2のチャネル幅を決定してもよい。
【0073】
画素回路の構成は、
図2の構成例に限定されない。
図2に示す画素回路は、スイッチトランジスタT2を駆動トランジスタのゲート側に接続しているが、他の画素回路構成例は、データ書き込みスイッチトランジスタを、駆動トランジスタのソース側に接続してもよい。
【0074】
図7は、画素回路の他の構成例を示す。画素回路は、駆動トランジスタT1、データ信号書き込みトランジスタT2及び発光制御トランジスタT3に加えて、トランジスタT4、T5及びT6を含む。トランジスタT1からT6は、全てP型TFTである。トランジスタT2は、駆動トランジスタT1のソースとデータ線105との間に接続されている。トランジスタT2は、保持容量にデータ信号を書き込む第1又は第2のトランジスタの例である。トランジスタT4は、ON状態において駆動トランジスタT1のゲートとドレインを導通させる第3又は第4スイッチトランジスタの例である。
【0075】
トランジスタT4は、駆動トランジスタT1のゲートとドレインに接続されている。トランジスタT4は、ON状態において駆動トランジスタT1のゲートとドレインを導通させる。トランジスタT5は、駆動トランジスタT1のゲートと電源電位VINITを与える電源線とに接続されている。トランジスタT6は、駆動トランジスタT1のソースと電源電位VDDを与える電源線108とに接続されている。
【0076】
走査線106N-1は、走査ドライバ131のN-1段目の出力端子から走査信号を伝送する。走査線106Nは、走査ドライバ131のN段目の出力端子から走査信号を伝送する。トランジスタT2及びT4は、走査線106Nの走査信号により制御される。トランジスタT5は、走査線106N-1の走査信号により制御される。トランジスタT6は、エミッション制御線107が伝送する発光制御信号により制御される。
【0077】
走査線106N-1が、ローレベルのパルスを画素回路に与えた後、走査線106N-1が、ローレベルのパルスを画素回路に与える。これらパルスが与えられる期間において、エミッション制御線107が伝送する発光制御信号はハイレベルである。走査線106N-1のレベルがローである間、トランジスタT5はONであり、他のトランジスタはOFFである。このため、駆動トランジスタT1のゲートに初期電位VINITが与えられ、ゲート電位が初期化される。
【0078】
次に、走査線106Nのレベルがローである間、トランジスタT2及びT4がONである。他のトランジスタはOFFである。トランジスタT4がONであるので、駆動トランジスタT1はダイオード接続状態である。データ線105からデータ信号は、トランジスタT2、T1及びT4を介して保持容量C1に書き込まれる。このとき、駆動トランジスタT1の閾値電圧が補償された電圧が、保持容量C1に書き込まれる。
【0079】
その後、トランジスタT2及びT4がOFFされ、発光制御トランジスタT3及びT6がONされる。駆動トランジスタT1からの駆動電流がOLED素子E1に与えられ、OLED素子E1が発光する。
【0080】
図7に示す画素構成例において、データ書き込みスイッチトランジスタT2は、駆動トランジスタT1のチャネル容量と保持容量C1との直列容量に対して、電圧変動を生じさせる。スイッチトランジスタT2がONからOFFに変化するときの、駆動電圧変動ΔVは下記の数式で表される。
ΔV=(VGH-VGL)Cgd/(Cgd+Cdtft2)
1/Cdtft2=1/Cstg+1/Cdtft
【0081】
VGHとVGLは走査線のハイレベルとローレベルを表す。CgdはスイッチトランジスタT2のゲート・ドレイン間容量を表す。Cstgは保持容量C1の容量を表す。Cdtftは、駆動トランジスタT1のチャネル容量を表す。
【0082】
図2の画素回路例について説明したように、低密度領域453のスイッチトランジスタT2のチャネル幅は、通常領域451のスイッチトランジスタT2のチャネル幅より大きい。これにより、駆動トランジスタT1のチャネル幅の増加に起因する保持容量の電圧変動の変化量を小さくする。また、本明細書の一実施形態において、通常領域451と低密度領域453とにおいて、スイッチトランジスタT2のONからOFFへの変化による駆動トランジスタT1のゲート電位変動は等しい。通常領域451と低密度領域453とにおいて、スイッチトランジスタT2による駆動電圧変動ΔVが同一となるように、低密度領域453のスイッチトランジスタT2のチャネル幅が設定されている。
【0083】
図7に示す構成例において、駆動トランジスタT1をダイオード接続状態にして閾値補償を可能とするスイッチトランジスタT4も、データ書き込みスイッチトランジスタT2と同じ時にON/OFFされる。トランジスタT4がOFFされるときに、駆動電圧変動が発生する。トランジスタT4がOFFされることの影響は、駆動トランジスタT1のゲート側に入り、駆動トランジスタT1のチャネル容量と保持容量C1との並列容量に対して、電圧変動を生じさせる。駆動電圧変動ΔVは下記の数式で表される。
ΔV=(VGH-VGL)Cgd2/(Cgd2+Cdtft+Cstg)
【0084】
VGHとVGLは走査線のハイレベルとローレベルを表す。Cgd2はスイッチトランジスタT4のゲート・ドレイン間容量を表す。Cstgは保持容量C1の容量を表す。Cdtftは、駆動トランジスタT1のチャネル容量を表す。
【0085】
データ書き込みトランジスタT2についての上記説明を、ダイオード接続のためのスイッチトランジスタT4にも適用することができる。つまり、低密度領域453のスイッチトランジスタT4のチャネル幅は、通常領域451のスイッチトランジスタT4のチャネル幅より大きくてもよい。
【0086】
また、本明細書の一実施形態において、本明細書の一実施形態において、通常領域451と低密度領域453とにおいて、スイッチトランジスタT4のONからOFFへの変化による駆動トランジスタT1のゲート電位変動は等しい。通常領域451と低密度領域453とにおいて、スイッチトランジスタT4による駆動電圧変動ΔVが同一となるように、低密度領域453のスイッチトランジスタT4のチャネル幅が設定されている。
【0087】
図8は、画素回路の他の構成例を示す。画素回路は、駆動トランジスタT1、データ信号書き込みトランジスタT2及び発光制御トランジスタT9に加えて、トランジスタT7及びT8を含む。トランジスタT9はN型TFTであり、他のトランジスタは、P型TFTである。保持容量C10は、直列に接続された二つの容量C11及びC12で構成されている。
【0088】
トランジスタT2は、容量C11及びC12の間のノードP1とデータ線105との間に接続されている。トランジスタT2は、保持容量にデータ信号を書き込む第1又は第2スイッチトランジスタの例である。トランジスタT7は、駆動トランジスタT1のゲートとドレインに接続されている。トランジスタT7は、ON状態において駆動トランジスタT1のゲートとドレインを導通させる。トランジスタT8は、容量C11及びC12の間のノードP1とで電源電位VDDを与える電源線108とに接続されている。トランジスタT9は、駆動トランジスタT1のドレインとOLED素子E1との間に接続されている。
【0089】
走査線106N-1は、走査ドライバ131のN-1段目の出力端子から走査信号を伝送する。走査線106Nは、走査ドライバ131のN段目の出力端子から走査信号を伝送する。トランジスタT2は、走査線106Nの走査信号により制御される。トランジスタT3、T7及びT8は、走査線106N-1の走査信号により制御される。
【0090】
走査線106N-1が、ローレベルのパルスを画素回路に与えた後、走査線106N-1が、ローレベルのパルスを画素回路に与える。走査線106N-1のレベルがローである間、トランジスタT7及びT8がONであり、トランジスタT2及びT9はOFFである。この期間において、保持容量C10に閾値補償電圧が書き込まれる。
【0091】
次に、走査線106N-1ハイレベルに変化し、さらに、走査線106Nがローレベルに変化する。走査線106Nのレベルがローである間、トランジスタT2はONである。この期間において、データ信号がトランジスタT2を介して保持容量C10に書き込まれる。その後、走査線106Nのレベルがハイになり、OLED素子E1の発光期間が開始する。
【0092】
図8に示す画素回路例において、保持容量C10は、二つの容量C11及びC12で構成されている。データ信号の書き込み終了時、ノードP1の電位変動ΔVp1は、以下の式であらわされる。
ΔVp1=(VGH-VGL)Cgd/(Cgd+Cstg1+Cvth2)
【0093】
VGHとVGLは走査線のハイレベルとローレベルを表す。CgdはスイッチトランジスタT2のゲート・ドレイン間容量を表す。Cstg1は容量C11の容量を表す。Cvth2は、ノードP1から見た、容量C12と駆動トランジスタT1の直列容量を表す。
【0094】
P1ノード電位の変化量が、容量結合でノードP2の電位を変化させる。したがって、最終的な駆動トランジスタT1のゲート電位変動量Vp2は次の数式で表される。
ΔVp2=ΔVp1・Cstg2/(Cstg2+Cdtft)
【0095】
Cstg2が、容量C12の容量を表す。Cdtftは、駆動トランジスタT1のチャネル容量を表す。ΔVp1及びΔVp2は、駆動トランジスタT1のチャネル幅を増加させると、減少する。データ書き込みスイッチトランジスタT2のチャネル幅を増加させることで、駆動トランジスタT1のチャネル幅を増加させたことによるゲート電位変動量の変化を小さくすることができる。
【0096】
[デバイス構造]
以下において、画素回路における駆動トランジスタの構造を説明する。本明細書の一実施形態において、通常領域451と低密度領域453において、駆動トランジスタは、半導体層のチャネル幅以外の構成パラメータは共通である。これにより、画素回路の設計及び製造をより容易なものとすることができる。
【0097】
図9は、通常領域451における駆動トランジスタ601の構造を模式的に示す平面図である。説明の容易のため、一部の構成要素は省略されている。駆動トランジスタ601は、半導体層610内のチャネル部611及び平面視においてチャネル部611を覆うゲート電極621を含む。
【0098】
チャネル部611は、矩形であって、
図9における左右方向において延びている。チャネル部611の幅W1は、
図9における上下方向の寸法であり、一定である。チャネル部611の長さは、
図9における左右方向の寸法である。ゲート電極621は、矩形である。
図9の構成例において、チャネル部611は、半導体層においてゲート電極621に覆われている部分であり、チャネル部611の長さL1は、ゲート電極621の左右方向における寸法と一致している。
【0099】
ゲート電極621及びチャネル部611は、
図9において上下対称である。チャネル部611の左右方向(長さ方向)に延びる中心軸と、ゲート電極621の長さ方向延びる中心軸とは一致している。また、チャネル部611の上下方向(幅方向)における端からゲート電極621の端までの距離D1(最小値)は両側で一致する。距離D1は、チャネル余裕又はゲート余裕とも呼ばれることがある。
図9の構成例において、距離D1は一定である。
【0100】
駆動トランジスタ601は、平面視においてゲート電極621を覆う容量電極631を含む。ゲート電極621と容量電極631との間に、保持容量が構成される。容量電極631には開口632が形成されており、その開口632を通過するコンタクト部642によって、ソース/ドレイン金属層の電極641が、ゲート電極621と接続されている。電極641は、駆動トランジスタのゲート電極621を画素回路内の他の回路要素と接続する。
【0101】
ソース/ドレイン金属層のドレイン電極644は、コンタクト部643において半導体層に接続されており、コンタクト部652においてアノード電極651に接続されている。チャネル部611は、ドレイン電極644を介して、アノード電極651に接続されている。
【0102】
図10は、低密度領域453における駆動トランジスタ602の構造を模式的に示す平面図である。説明の容易のため、一部の構成要素は省略されている。
図9に示す構成例と同一の符号で指示されている部分は、同一の構成要素である。以下において、
図9に示す構成例との差異を主に説明する。
【0103】
駆動トランジスタ602は、半導体層610内のチャネル部811を含む。チャネル部811は、矩形であって、
図10における左右方向において延びている。チャネル部811の幅W2は、
図10における上下方向の寸法であり、一定である。チャネル部811の幅W2は、通常領域451の駆動トランジスタ601のチャネル部の幅W1より大きい。
【0104】
通常領域451と低密度領域453の駆動トランジスタ601、602の間において、チャネル幅以外の構造は共通である。チャネル幅が異なるため、チャネル部端とゲート電極端との間のチャネル余裕又はゲート余裕は異なる。
図10の構成例において、チャネル部811の上下方向(幅方向)における端からゲート電極621の端までの距離D2(最小値)は両側で一致する。距離D2は、通常領域の駆動トランジスタ601の距離D1より小さい。
【0105】
図11は、
図10におけるXI-XI切断線での断面構造を模式的に示す。以下の説明において、基板はフレキシブル基板である。他の構成例において、リジッド基板を使用してもよい。以下の説明において、上下は、図面における上下を示す。
【0106】
フレキシブル基板は、複数層で構成されている。具体的には、下層側から、ポリイミド膜851、アモルファスシリコン膜852、ポリイミド膜853、シリコン窒化膜854、シリコン酸化膜855を含む。アモルファスシリコン膜852は、ポリイミド膜851、853の密着性を改善する。シリコン窒化膜854は、画素回路への水分の移動を防ぐ。
【0107】
シリコン酸化膜855上に、OLED素子を制御する画素回路が形成されている。OLED素子は、下部電極(例えば、アノード電極651)と、上部電極(例えば、カソード電極)と、有機発光多層膜とを含んで構成される。
図11は、これらの要素のうち、アノード電極651のみを示す。
【0108】
図11は、トップエミッション型の画素構造の例である。トップエミッション型の画素構造は、光が出射する側(図面上側及び視認側)に、複数の画素に共通のカソード電極(不図示)が配置される。カソード電極は、表示領域125の全面を覆う形状を有する。トップエミッション型の画素構造において、アノード電極651は光を反射し、カソード電極は光透過性をもっている。
【0109】
なお、ボトムエミッション型の画素構造は、透明アノード電極と反射カソード電極を有し、基板を介して外部(視認側)に光を出射する。また、アノード電極とカソード電極の双方を光透過性材料で形成することで透明表示装置を実現することもできる。本開示の画素回路は、これらのうちの任意の型のOLED表示装置にも適用でき、さらには、OLEDと異なる発光素子を含む表示装置に適用できる。
【0110】
図11に示す駆動トランジスタは、トップゲート構造を有する。他のトランジスタも同様に、トップゲート構造を有する。ポリシリコン層が、シリコン酸化膜855上に存在している。ポリシリコン層は、トランジスタ特性をもたらす真性ポリシリコンからなるチャネル部811が、のちにゲート電極621が形成される位置に存在する。その両端には上部の配線層と電気的に接続をとるために高濃度不純物がドープされたソース/ドレイン領域812、813が存在する。
【0111】
チャネル部811とソース/ドレイン領域812、813の間には、低濃度の不純物をドープされたLDD(Lightly Doped Drain)を形成する場合もある。なお、LDDについては、煩雑になるため図示を省略している。ポリシリコン層の上には、ゲート絶縁膜856を介して、ゲート電極621が形成されている。ゲート電極は、例えば、モリブデンで構成できる。ゲート電極621の層上に層間絶縁膜857が形成されている。
【0112】
層間絶縁膜857上に、容量電極631が形成されている。容量電極631は、例えば、ゲート電極621と同様の材料で形成することができる。容量電極631には、開口632が形成されている。
【0113】
絶縁性の有機平坦化膜858が、容量電極631以下の層を覆う。平坦化膜858上にソース/ドレイン電極を含む、ソース/ドレイン金属層が形成されている。ソース/ドレイン金属層は、例えば、Ti/Al/Tiの積層構造を有することができる。
図11は、ソース/ドレイン金属層に含まれる、電極641及びドレイン電極644を示す。
【0114】
電極641は、平坦化膜858、容量電極631の開口632及び層間絶縁膜857を貫通するコンタクト部642を介して、ゲート電極621に接続されている。ソース/ドレイン電極層の上に、絶縁性の有機平坦化膜859が形成される。平坦化膜859の上に、アノード電極651が形成されている。
【0115】
アノード電極651は、平坦化膜859のコンタクト部652を介してドレイン電極644に接続されている。アノード電極651は、例えば、中央の反射金属層と反射金属層を挟む透明導電層で構成される。アノード電極651の上に、OLED素子を分離する絶縁性の画素定義層(Pixel Defining Layer:PDL)860が形成されている。OLED素子は、画素定義層860の開口に形成される。
【0116】
アノード電極651上に、不図示の有機発光多層膜が形成される。RGBの色毎に、有機発光材料を成膜して、アノード電極651上に、有機発光多層膜が形成される。有機発光多層膜は、下層側から、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層によって構成される。有機発光多層膜の積層構造は設計により決められる。
【0117】
有機発光多層膜の上に
図11において不図示のカソード電極が形成される。カソード電極は、光透過性を有する電極である。カソード電極は、有機発光多層膜からの可視光の一部を透過させる。カソード電極の層は、例えば、Al、Mg等の金属又はこれらの金属を含む合金で形成される。カソード電極上には、封止構造部が形成される。
【0118】
以下において、駆動トランジスタの構造パラメータを説明する。
図12は、通常領域451における駆動トランジスタ601の一部の構成要素を示す。具体的には、
図12は、チャネル部611を含む半導体層、ゲート電極621及び容量電極の開口632を示す。
【0119】
チャネル部611とゲート電極621は、平面視において、上下左右対称の形状及び配置を有している。
図12において、ゲート電極621及びチャネル部611は左右方向に直線状に延びる矩形であって、左右方向に延びる中心軸が一致している。チャネル部611の幅の方向において、チャネル部611からゲート電極の端までの距離D1は、両側で共通である。
【0120】
図12の構成例において、ゲート電極621の右端623Aから半導体層の屈曲部615Aまでの距離L11と、ゲート電極621の左端623Bから半導体層の屈曲部615Bまでの距離L11は同一である。
図12の構成例において、半導体層の屈曲部615A、615BはT字状であるが、屈曲部はL字状であってもよい。屈曲部の角度は直角でなくてもよい。
【0121】
図9を参照して説明したように、容量電極631は、チャネル部611及びゲート電極621を覆うように配置されている。さらに、容量電極631に形成れた開口632を介して、ゲート電極621がソース/ドレイン金属層とコンタクト部642によって接続さ れている。
【0122】
図12に示すように、ゲート電極621の中心軸は、コンタクト部642がゲート電極と接触する領域を通過する。また、容量電極631に形成れた開口632の内端(開口端)とコンタクト部642との間には、距離(最小値)D3のギャップが存在する。
【0123】
図13は、低密度領域453における駆動トランジスタ602の一部の構成要素を示す。具体的には、
図13は、チャネル部811を含む半導体層、ゲート電極621及び容量電極の開口632を示す。
図12に示す通常領域451における駆動トランジスタ601と比較して、チャネル部811の幅W2が、大きい。つまり、低密度領域453におけるゲート電極621(第2ゲート電極)と重なる半導体の幅は、通常領域451におけるゲート電極621(第1ゲート電極)と重なる半導体の幅より大きい。ゲート電極621の形状を含む他の構造は、駆動トランジスタ601と同様である。
【0124】
チャネル部811とゲート電極621は、平面視において、上下左右対称の形状及び配置を有している。
図13において、ゲート電極621及びチャネル部811は左右方向に直線状に延びる矩形であって、左右方向に延びる中心軸が一致している。チャネル部811の幅の方向において、チャネル部611からゲート電極の端までの距離D2は、両側で共通である。距離D2は、通常領域の駆動トランジスタ601の距離D1より小さい。
【0125】
ゲート電極621の右端623Aから半導体層の屈曲部617Aまでの距離L11と、ゲート電極621の左端623Bから半導体層の屈曲部617Bまでの距離L11は同一である。距離L11は、通常領域の駆動トランジスタ601の距離L11と同一である。
図13の構成例において、半導体層の屈曲部617A、617BはT字状であるが、屈曲部はL字状であってもよい。屈曲部の角度は直角でなくてもよい。
【0126】
図10を参照して説明したように、容量電極631は、チャネル部811及びゲート電極621を覆うように配置されている。さらに、容量電極631に形成れた開口632を介して、ゲート電極621がソース/ドレイン金属層とコンタクト部642によって接続されている。
【0127】
図13に示すように、ゲート電極621の中心軸は、コンタクト部642がゲート電極と接触する領域を通過する。また、容量電極631に形成れた開口632の内端とコンタクト部642との間には、距離(最小値)D3のギャップが存在する。ギャップの距離D3は、通常領域の駆動トランジスタ601のギャップの距離D3と同一である。
【0128】
上述のように、駆動トランジスタのゲート電極とチャネル部の中心実が一致し、それらの間の幅方向における距離(ゲート余裕)D1又はD2は、両側で同一である。これにより、異なるチャネル幅を有する駆動トランジスタの製造プロセスの変動要因の影響を小さくできる。さらに、ゲート電極端と半導体層の屈曲部との間の距離が両端で共通である。これにより、異なるチャネル幅を有する駆動トランジスタの製造プロセスの変動要因の影響を小さくできる。なお、これらの一方の距離は、両側で異なっていてもよい。
【0129】
上述のように、容量電極631は、チャネル部611又は811を覆うように配置され、下部側のゲート電極621と共に保持容量を構成する。さらに、容量電極631に形成された開口632を介して、ソース/ドレイン金属層とゲート電極621のコンタクト部642が形成されている。
【0130】
チャネル幅の違いによる回路動作への影響を避けるため、ゲート電極に直接接続される配線(電極)のフリンジ容量の差を小さくすることが重要である。チャネル側から見て、ゲート電極の反対側の中心付近にコンタクト部を配置することで、フリンジ容量の差を確実に小さくすることができる。
【0131】
上述のように、駆動トランジスタのゲート電極を、容量電極の層でシールドし、小さい開口からゲート電極を引き出すことで、出力電流に直接影響を与えるVgsの他の配線との容量結合による変動を効果的に抑制することができる。
【0132】
本明細書の一実施形態において、低密度領域の駆動トランジスタ602において、容量電極の開口632の内端とゲート電極のコンタクト部642との間の距離D3(最小値)は、ゲート電極621の端とチャネル部811の端との間の距離D2(最小値)より大きい。これにより、製造プロセスの誤差の影響を小さくすることができる。
【0133】
具体的には、ゲート電極621の層の形成は、半導体層に対してアライメントを行い、容量電極631の層の形成はゲート電極621の層にアライメントを行う。ソース/ドレイン金属層の形成は、ゲート電極621の層又は半導体層に対してアライメントを行う。したがって、容量電極の開口632に対するソース/ドレイン金属層のコンタクト部642のアライメントは、二つのアライメントの組み合わせ(間接アライメント)である。そのため、距離D3が距離D2より大きいことで、製造プロセスばらつきによるコンタクト部642と容量電極631の接触の可能性を低減できる。
【0134】
なお、
図12及び13を参照した説明は、距離D3に関する部分を除き、通常領域451と低密度領域453において異なるチャネル幅が適用される他のスイッチトランジスタにも適用することができる。
【0135】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0136】
10 OLED表示装置
51 副画素
53 主画素
100 TFT基板
106 走査線
107 エミッション制御線
125 表示領域
131 走査ドライバ
132 エミッションドライバ
134 ドライバIC
451 通常領域
453 低密度領域
465 カメラ
601、602 駆動トランジスタ
611 チャネル部
615A、615B、617A、617B 屈曲部
621 ゲート電極
623A、623B ゲート電極端
631 容量電極
632 開口
641、642、643 コンタクト部
811 チャネル部
C1、C10 保持容量
C11、C12 容量
E1 OLED素子
P1、P2 ノード
T1-T9 トランジスタ