(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009948
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/14 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
F25D21/14 V
F25D21/14 U
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179724
(22)【出願日】2021-11-02
(62)【分割の表示】P 2017254335の分割
【原出願日】2017-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100109139
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】吉池 真史
【テーマコード(参考)】
3L048
【Fターム(参考)】
3L048AA08
3L048CA02
3L048CB04
3L048DA03
3L048DB06
3L048DB07
3L048FA04
3L048GA02
3L048GA03
(57)【要約】
【課題】蒸発用コンデンサによる蒸発能力を高めつつ、蒸発皿を容易に引き出すことができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】蒸発用コンデンサ51は、蒸発皿20の引き出し方向の前方側から見て、蒸発皿20の凸部20hの側方側における側方板20eと、凸部20hとの間の位置において、底板20bに沿ってループ状に設けられたループ部51aと、ループ部51aに連結された連結部52bとを備え、ループ部51aは、蒸発皿20の引き出し方向の前方側から見て、凸部20hと干渉しない位置に設けられ、蒸発皿20の凹部20gと、コンプレッサ50の上部との間隔は、凸部20hの側方側の側方板20e側を下方に傾けながら蒸発皿20を引き出す際に、引き出し方向後方側の側方板20dの上縁20d-1の少なくとも一部を、ループ部51aの底板20b側の下縁51a-1よりも下方に移動可能な間隔である。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械室に設けられたコンプレッサと、
前記コンプレッサの上部に着脱自在に配置された蒸発皿と、
前記蒸発皿内において複数回折り返された金属製チューブで形成された蒸発用コンデンサと、を有する冷蔵庫であって、
前記蒸発皿の底板は、前記コンプレッサとの対向面側に、前記コンプレッサの上部の凸状形状に対応した凹部を形成するための凸部を、前記蒸発皿の内部側に備えており、
前記蒸発用コンデンサは、前記蒸発皿の引き出し方向の前方側から見て、前記凸部と重ならない位置に配置され、ループ状に設けられたループ部と、前記ループ部に連結された連結部とを備える、
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記ループ部は、前記引き出し方向に沿った方向を長手方向とし、前記蒸発皿の幅方向に沿った方向を短手方向として形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記蒸発用コンデンサは、屈曲された部分の曲率半径が、全て同一に形成されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記蒸発皿の前記凹部は、前記引き出し方向後方側に、開口を備えている、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷蔵庫に関し、特に、機械室に蒸発用コンデンサを備える冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンプレッサの高効率化を図り、コンプレッサによる発熱量を低減することで、省エネルギー化を実現した冷蔵庫が提案されている(例えば、特許文献1)。また、コンデンサの長さを延長して凝縮温度を下げることにより、省エネルギー化を図っている冷蔵庫も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようにコンプレッサを高効率化することにより省エネルギー化を図る場合には、ドレン水を蒸発するための十分な熱をコンプレッサから得られない。
【0005】
エバポレータに付着した霜の霜取り時に排出される水は、ドレン水として蒸発皿に溜められるが、コンプレッサからの熱が十分に得られない場合には、蒸発皿の水を蒸散させる能力が不足してしまう。したがって、扉開閉が多い場合や、水分の多い食品が大量に冷蔵庫に入れられた場合には、蒸散能力よりもドレン排水量が上回り、蒸発皿からドレン水が溢れ出てしまうことになる。
【0006】
そこで、蒸発皿内に配置する蒸発用コンデンサの銅パイプを、蒸発皿に収納できる最大限の長さにすることにより、蒸発能力を改善することが提案された。しかしながら、この手法によれば、蒸発用コンデンサの銅パイプを最大限に長くするために、銅パイプに複雑な曲げ形状を施す必要があり、銅パイプと蒸発皿との干渉により、蒸発皿を引き出して掃除をすることが困難になるという問題があった。
【0007】
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、省エネルギー化により、コンプレッサから蒸発皿のドレン水を蒸発させる熱が十分に得られない場合でも、蒸発用コンデンサによる蒸発能力を高めつつ、蒸発皿を容易に引き出すことができる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の冷蔵庫の一態様は、機械室に設けられたコンプレッサと、前記コンプレッサの上部に着脱自在に配置された蒸発皿と、前記蒸発皿内において複数回折り返された金属製チューブで形成された蒸発用コンデンサと、を有する冷蔵庫であって、前記蒸発皿は、底板と、前記底板を取り囲む側方板とを有し、前記蒸発皿の底板は、前記コンプレッサとの対向面側に、前記コンプレッサの上部の凸状形状に対応した凹部を形成するための凸部を、前記蒸発皿の内部側に備えており、前記蒸発用コンデンサは、前記蒸発皿の引き出し方向の前方側から見て、前記蒸発皿の前記凸部の側方側における前記側方板と、前記凸部との間の位置において、前記底板に沿ってループ状に設けられたループ部と、前記ループ部に連結された連結部とを備え、前記ループ部は、前記蒸発皿の引き出し方向の前方側から見て、前記凸部と干渉しない位置に設けられ、前記蒸発皿の前記凹部と、前記コンプレッサの上部との間隔は、前記凸部の側方側における前記側方板側を下方に傾けながら前記蒸発皿を引き出す際に、前記引き出し方向後方側の前記側方板の上縁の少なくとも一部を、前記ループ部の前記底板側の下縁よりも下方に移動可能な間隔である、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の冷蔵庫の一態様によれば、前記蒸発用コンデンサは、蒸発皿の引き出し方向の前方側から見て、蒸発皿の凸部の側方側における側方板と、凸部との間の位置において、底板に沿ってループ状に設けられたループ部を有している。したがって、蒸発用コンデンサの金属製チューブの長さを従来よりも長くすることができ、蒸発皿に貯留されたドレン水の蒸発能力を高めることができる。また、ループ部は、蒸発皿の引き出し方向の前方側から見て、凸部と干渉しない位置に設けられている。さらに、凸部の側方側における側方板側を下方に傾けながら蒸発皿を引き出すと、蒸発皿の凹部と、コンプレッサの上部との間隔は、引き出し方向後方側の側方板の上縁の少なくとも一部を、ループ部の底板側の下縁よりも下方に移動可能な間隔となっている。その結果、凸部の側方側における側方板側を下方に傾けながら蒸発皿を引き出すことにより、蒸発用コンデンサと蒸発皿が干渉することなく、蒸発皿を引き出すことが可能となる。
【0010】
本発明の冷蔵庫の他の態様は、前記ループ部は、前記引き出し方向に沿った方向を長手方向とし、前記蒸発皿の幅方向に沿った方向を短手方向として形成されていてもよい。この態様によれば、蒸発皿の凸部とループ部との干渉を防ぎつつ、ループ部の長さを確保することができる。その結果、蒸発皿に貯留されたドレン水の蒸発能力を高めつつ、蒸発皿を容易に引き出すことが可能となる。
【0011】
本発明の冷蔵庫の他の態様は、前記蒸発用コンデンサは、屈曲された部分の曲率半径が、全て同一に形成されていてもよい。この態様によれば、蒸発用コンデンサに対する合理的な加工が可能となり、生産効率を向上させることができる。
【0012】
本発明の冷蔵庫の他の態様は、前記蒸発皿の前記凹部は、前記引き出し方向後方側に、開口を備えていてもよい。この態様によれば、引き出し方向後方側において、凹部とコンプレッサとの干渉を防ぎ、蒸発皿を容易に引き出すことが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明においては、省エネルギー化により、コンプレッサから蒸発皿のドレン水を蒸発させる熱が十分に得られない場合でも、蒸発用コンデンサによる蒸発能力を高めつつ、蒸発皿を容易に引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る冷蔵庫を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る冷凍サイクルを説明するための模式図である。
【
図4】
図1に示す冷蔵庫の機械室を示す模式図である。
【
図5】蒸発皿、蒸発用コンデンサ、およびコンプレッサを示す斜視図である。
【
図6】蒸発皿、蒸発用コンデンサ、およびコンプレッサを、蒸発皿の引き出し方向前方から見た正面図である。
【
図7】蒸発皿、蒸発用コンデンサ、およびコンプレッサの平面図である。
【
図8】蒸発皿、蒸発用コンデンサ、およびコンプレッサの側面図である。
【
図9】蒸発皿の引き出し方法を説明するための図である。
【
図10】蒸発皿の引き出し方法を説明するための図である。
【
図11】蒸発皿の引き出し方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(本発明の一実施形態に係る冷蔵庫の説明)
図1は、本発明の一実施形態に係る冷蔵庫1を示す斜視図である。
図2は、
図1に示すA-A’線断面図である。本発明の一実施形態の冷蔵庫1は、冷蔵庫本体2を備える。冷蔵庫本体2は、
図2に示すように、冷蔵室4、冷凍室5、および貯蔵室6から構成される収容庫10を備える。冷蔵室4、冷凍室5、および貯蔵室6は、断熱仕切壁7で仕切られている。通常、冷蔵室4および貯蔵室6は、0~10℃の温度に保たれ、冷凍室5は、-18℃程度の温度に保たれる。冷蔵室4、冷凍室5、および貯蔵室6は、冷蔵庫本体2の前面側に開口を有し、各室へ収容する食品等を出し入れできるようになっている。
【0016】
冷蔵室4、冷凍室5、および貯蔵室6の前記開口は、冷蔵庫本体2の前方に設けられた片開き式の上扉3a、引き出し式の中扉3b、および下扉3cにより開閉可能となっている。
【0017】
冷蔵庫本体2は、外箱2aと、内箱2cと、断熱材2bと、から構成されている。外箱2aは、鋼板で形成される。内箱2cは、合成樹脂で形成され、外箱2a内に外箱2aと間隙を有して配設されている。断熱材2bは、発泡ポリウレタンで形成され、外箱2aと内箱2cとの間隙に充填される。
【0018】
冷凍室5内の奥には蒸発器14を収納する冷却室11が設けられており、冷凍室5と冷却室11との間には、冷凍室5と冷却室11とを仕切る仕切板8が備えられている。仕切板8には、庫内の冷気を循環するファン(図示せず)とその風路(図示せず)が形成されている。また、蒸発器14の上には、風路ダンパ17が形成されている。さらに蒸発器14の下には、霜取り時に通電する霜取りヒータ13とドレン水を排水する受皿15が設けられている。受皿15内のドレン水は、受皿15に設けられた開口部15aを介して、ドレン管60により、後述する蒸発皿20に排水される。
【0019】
冷蔵庫1の下部であって、貯蔵室6の奥側には、機械室12が設けられている。機械室12には、冷媒を圧縮するコンプレッサ50が配置される。上述した蒸発器14は、コンプレッサ50、図示しない放熱器、及び図示しないキャピラリーチューブ等に冷媒配管を介して接続されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成する。冷凍サイクルの詳細については後述する。
【0020】
コンプレッサ50の上部には、蒸発皿20が配置されている。霜取りヒータ13の下部の内箱2cには開口部が形成されており、この開口部は、内箱2c、断熱材2b、及び外箱2aを貫通し、外箱2aから突出するドレン管60の一端と繋がっている。ドレン管60の他端は、蒸発皿20に対向して配置されている。霜取りヒータ13によって蒸発器14の霜取りが行われると、霜が融けて水となり、その水は、霜取りヒータ13の下部に設けられた開口部から、ドレン管60を介してドレン水として排出され、蒸発皿20に貯留される。
【0021】
蒸発皿20には、蒸発皿20を冷蔵庫本体2に取り付けるための取付部20aを備えており、取付部20aは、外箱2aの背面2a-1と一体に形成され、または背面2a-1に取り付けられた支持部2a-2にネジ止めされる。これにより、蒸発皿20は、冷蔵庫本体2に対して取り付けられる。また、ネジを取り外すことにより、後述するように、蒸発皿20を引き出すことが可能となる。
【0022】
(冷凍サイクルの説明)
図3は、本発明の一実施形態に係る冷凍サイクルを説明するための模式図である。
図4は、
図1に示す冷蔵庫1の機械室12を示す模式図である。次に、本発明の一実施形態に係る冷凍サイクルについて
図3および
図4を参照しつつ説明を行う。
【0023】
図3および
図4に示すように、コンプレッサ50は、吐出配管40を介して蒸発用コンデンサ51と接続されている。コンプレッサ50は、蒸発器14により気体になった冷媒を圧縮して、高温・高圧の気体にし、吐出配管40を介して、蒸発用コンデンサ51に排出する。
【0024】
蒸発用コンデンサ51は、蒸発皿20内において複数回折り返されてループ状に形成されており、ドレン水に浸るように配置されている。コンプレッサ50から吐出される高温・高圧の冷媒は、吐出配管40を介して蒸発用コンデンサ51に流入し、蒸発皿20に貯留されているドレン水と熱交換を行う。このため、蒸発用コンデンサ51の凝縮能力を向上させることができると共に、ドレン水の蒸発を促進することとなる。蒸発用コンデンサ51は、放熱用コンデンサ52と接続されており、凝縮した冷媒を放熱用コンデンサ52に排出する。
【0025】
放熱用コンデンサ52は、幅方向の両端でU字状に折り返され蛇行状に形成された金属製チューブに多数のフィンを取り付けたフィンアンドチューブ式のコンデンサである。
図4においては、放熱用コンデンサ52の図示を省略している。放熱用コンデンサ52は、蒸発用コンデンサ51から送られてきた冷媒をさらに凝集し、常温・高圧の液体冷媒にする。
【0026】
放熱用コンデンサ52の出口は、配管41と接続されており、配管41は、側面コンデンサ55と接続されている。側面コンデンサ55は、
図1、
図2、および
図4においては図示を省略するが、外箱2aの断熱材2b側の面にアルミ箔テープ等で固定される。側面コンデンサ55は外箱2aの断熱材2b側の左右側面および上面に蛇行配管され、また、外箱2aの開口周縁部の結露を防止するために外箱2aの開口周縁部に配管されている。
【0027】
側面コンデンサ55は、結露防止パイプ42と接続される。結露防止パイプ42は、
図2において図示を省略するが、収容庫10の前面側の開口の周囲の少なくとも一部に配置されており、結露防止パイプ42を流れる冷媒の凝縮熱により、収容庫10の前面側の開口の周囲での結露が防止される。
【0028】
結露防止パイプ42の出口は、デハイドレータ56と接続される。デハイドレータ56には、乾燥剤が封入されており、この乾燥剤により、結露防止パイプ42から流れる冷媒の水分が除去される。
図2においてはデハイドレータ56の図示を省略している。
【0029】
デハイドレータ56の出口は、キャピラリーチューブ43と接続される。キャピラリーチューブ43は、管径の細いチューブであり、キャピラリーチューブ43内で冷媒は膨張することで減圧し、気液2相状態となる。
図2においてはキャピラリーチューブ43の図示を省略している。
【0030】
キャピラリーチューブ43の出口は、蒸発器14に接続される。蒸発器14は、伝熱管としての円管の内部を冷媒流路とし、管外を空気流路とする、いわゆるフィンアンドチューブ式の熱交換器である。蒸発器14では、伝熱管の内部は気液2相状態で、液冷媒が蒸発することによって管外の空気を冷却している。なお、蒸発器14として、他の形式の熱交換器、例えば、扁平多孔管や異形管を用いた熱交換器等、を採用することも、もちろん可能である。
【0031】
蒸発器14の周囲が冷却されると、その冷気により冷凍室5内が冷却され、この冷気は、収容庫10内に設けられた風路ダンパ17および流路を介して、冷蔵室4および貯蔵室6にも供給される。
【0032】
蒸発器14の出口は、吸込み配管44に接続される。吸込み配管44は、
図2においては図示を省略するが、冷蔵室4および冷凍室5の背面において蛇行して配置され、吸込み配管44の出口は、コンプレッサ50に接続される。蒸発器14で気体になった冷媒は、コンプレッサ50が動作することにより、吸込み配管44を介して、コンプレッサ50内に吸い込まれる。
本実施形態では、以上のように冷凍サイクルが形成される。
【0033】
なお、放熱用コンデンサ52は、省略することが可能である。この放熱用コンデンサ52を備えていない場合でも、本実施形態では蒸発用コンデンサ51の蒸発能力を向上させているので、蒸発皿20内のドレン水を蒸散させることができる。
【0034】
(蒸発皿および蒸発用コンデンサの説明)
図5は、蒸発皿20、蒸発用コンデンサ51、およびコンプレッサ50を示す斜視図である。
図6は、蒸発皿20、蒸発用コンデンサ51、およびコンプレッサ50を、蒸発皿20の引き出し方向前方から見た正面図である。
図7は、蒸発皿20、蒸発用コンデンサ51、およびコンプレッサ50の平面図である。
図8は、蒸発皿20、蒸発用コンデンサ51、およびコンプレッサ50の側面図である。次に、
図5から
図8を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る蒸発皿20と蒸発用コンデンサ51について説明する。
【0035】
蒸発皿20は、樹脂製の容器であり、底板20bと、底板20bを取り囲む側方板20c,20d,20e,20fを備えている。蒸発皿20は、
図5から
図8に示すY方向が引き出し方向となっており、側方板20cは、蒸発皿20の引き出し方向前方側の側方板である。側方板20dは、蒸発皿20の引き出し方向後方側の側方板である。
図5から
図8に示すX方向を蒸発皿20の幅方向としたとき、側方板20eは、幅方向の右側、つまり、蒸発皿20の引き出し方向前方側から見て、右側方側の側方板である。また、側方板20fは、幅方向の左側、つまり、引き出し方向前方側から見て左側方側の側方板である。また、蒸発皿20には、上述したように、
図5から
図8に示すZ方向に延びて形成された取付部20aが、側方板20cに取り付けられている。
【0036】
蒸発皿20は、
図5から
図8に示すZ方向において、コンプレッサ50の上方に配置されている。蒸発皿20の底板20bは、コンプレッサ50との対向面側に、コンプレッサ50の上部の凸状形状に対応した凹部20gを形成するための凸部20hを、蒸発皿20の内部側に備えている。また、凸部20hの上部には、小皿20iが形成されている。ドレン管60から排出されるドレン水は、まず小皿20iに貯留され、小皿20iから溢れたドレン水が、周囲の底板20bに貯留される。
【0037】
蒸発皿20の凹部20gは、
図8に示すように、蒸発皿20の引き出し方向前方側は、コンプレッサ50の上部の凸状形状に対応して湾曲した形状となっているが、前記引き出し方向後方側(Y方向後方側)においては、開口20jが形成されている。このように、前記引き出し方向後方側に開口20jを設けることにより、蒸発皿20の引き出しが容易になっている。蒸発皿20の引き出しの詳細については後述する。
【0038】
蒸発用コンデンサ51は、
図5から
図8に示すように、蒸発皿20内において複数回折り返された金属製チューブを備えている。蒸発用コンデンサ51は、
図6に示すように、蒸発皿20の引き出し方向の前方側から見て、蒸発皿20の凸部20hの右側方側における側方板20eと、凸部20hとの間の位置において、底板20bに沿ってループ状に設けられたループ部51aと、ループ部51aに連結された連結部51bとを備える。
【0039】
ループ部51aは、
図7に示すように、引き出し方向に沿った方向(Y方向)を長手方向とし、蒸発皿20の幅方向(X方向)に沿った方向を短手方向として形成されている。このように、本実施形態においては、蒸発皿20内に配置する蒸発用コンデンサ51の部分をループ状に形成し、ループ部51aとすることにより、蒸発用コンデンサ51の金属製チューブの長さを確保し、蒸発用コンデンサ51による蒸発能力を向上させている。
【0040】
また、ループ部51aは、
図6および
図7に示すように、蒸発皿20の引き出し方向の前方側から見て、凸部20hと干渉しない位置に設けられている。したがって、蒸発皿20を引き出す際には、凸部20hとループ部51aが衝突することがなく、蒸発皿20を容易に引き出すことができる。蒸発皿20の引き出しの詳細については後述する。
【0041】
蒸発用コンデンサ51は、ループ部51aだけでなく、ループ部51aと連結部51bとの連結箇所、および連結部51b自体に複数に設けられた屈曲箇所が、所定の曲率半径を有している。本実施形態においては、これらの曲率半径を全て同一に形成した。その結果、金属製チューブの合理的な加工が可能になり、蒸発用コンデンサ51の生産効率を向上させることができる。また、本実施形態においては、蒸発用コンデンサ51の曲げ形状を極力簡単にし、屈曲箇所も必要最低限としたので、材料費を低減させることができる。
【0042】
(蒸発皿と蒸発用コンデンサの位置関係)
図9は、蒸発皿20の引き出し方法を説明するための図である。
図10は蒸発皿20の引き出し方法を説明するための図である。
図11は、蒸発皿20の引き出し方法を説明するための図である。以下、
図9から
図11を参照しつつ、蒸発皿20と蒸発用コンデンサ51の位置関係、および蒸発皿20の引き出し方法について説明する。
【0043】
上述したように、蒸発皿20に貯留されるドレン水は、コンプレッサ50による熱、および蒸発用コンデンサ51による熱により蒸発されるが、蒸発皿20内には、埃やゴミ等が付着することがあり、適宜掃除をする必要が生じる。蒸発皿20を掃除する場合には、以下のようにして蒸発皿20を引き出す。
【0044】
まず、
図9に示すように、蒸発皿20の取付部20aに取り付けられているネジを取り外し、
図10に示すように、蒸発皿20を凹部20gがコンプレッサ50の上部に当接するまで矢印Aで示す方向、つまり下方(-Z方向)に下げる。本実施形態においては、
図9に示すように、蒸発皿20の取付部20aを、冷蔵庫本体2の支持部2a-2にネジ止めしている状態においては、凹部20gとコンプレッサ50の上部との間には、所定の間隔Wが設けられている。したがって、取付部20aに取り付けられているネジを取り外すことにより、
図10に示すように、蒸発皿20を凹部20gがコンプレッサ50の上部に当接するまで下方(-Z方向)に下げることができる。
【0045】
この段階では、
図10に示すように、蒸発用コンデンサ51におけるループ部51aの底板20b側の下縁51a-1は、蒸発皿20の引き出し方向後方側の側方板20dの上縁20d-1のよりも下方にある。したがって、このままの姿勢で蒸発皿20を引き出しても、ループ部51aと、側方板20dとが衝突し、蒸発皿20を引き出すことはできない。
【0046】
そこで、次に、
図11に示すように、蒸発皿20を、矢印B方向、つまり、蒸発皿20の引き出し方向の前方側から見て右側方側の側方板20eを下方に移動させる方向に傾ける。このように傾けることにより、
図11に示すように、蒸発皿20の引き出し方向後方側の側方板20dの上縁20d-1を、蒸発用コンデンサ51におけるループ部51aの底板20b側の下縁51a-1よりも下方に移動させることができる。その結果、この姿勢のまま、蒸発皿20を-Y方向、つまり
図11における紙面の手前側に引き出すことにより、ループ部51aと、側方板20dとの衝突を生じさせることなく、蒸発皿20を引き出すことができる。
【0047】
以上のように、本実施形態によれば、蒸発皿20の凹部20gと、コンプレッサ50の上部との間隔を、凸部20hの右側方側における側方板20e側を下方に傾けながら蒸発皿20を引き出す際に、引き出し方向後方側の側方板20dの上縁の少なくとも一部を、ループ部51aの底板20b側の下縁よりも下方に移動可能な間隔とした。その結果、蒸発用コンデンサ51に、蒸発皿20の内部に配置されるループ部51aを設け、蒸発用コンデンサ51の長さを従来よりも長くした場合であっても、ループ部51aと蒸発皿20の側方板20dとの衝突を防ぎ、容易に蒸発皿20を引き出すことが可能になる。
【0048】
また、本実施形態においては、蒸発用コンデンサ51を、蒸発皿20の凸部20hと、蒸発皿20の前方側の側方板20cとの間の位置までは延長しておらず、ループ部51aを、蒸発皿20の引き出し方向の前方側から見て、凸部20hとは干渉しない位置に設けたので、ループ部51aと蒸発皿20の側方板20dとの衝突を防ぎ、容易に蒸発皿20を引き出すことが可能になる。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、省エネルギー化により、コンプレッサ50から蒸発皿20のドレン水を蒸発させる熱が十分に得られない場合でも、蒸発用コンデンサ51による蒸発能力を高めつつ、蒸発皿20を容易に引き出すことができる。
【0050】
<変形例>
上述した実施形態においては、蒸発用コンデンサ51を、蒸発皿20の引き出し方向前方側から見て右側方側に設けた態様について説明したが、蒸発用コンデンサ51は、左側方側に設けてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態においては、蒸発皿20を、上方からの平面視において略矩形の箱体とした態様について説明したが、蒸発皿20は、上方からの平面視において、円形、楕円形等の形状であってもよい。
【0052】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0053】
1 冷蔵庫
12 機械室
20 蒸発皿
50 コンプレッサ
51 蒸発用コンデンサ