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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099486
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/03 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
B60C11/03 B
B60C11/03 100B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213277
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 伸悟
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BC12
3D131BC20
3D131BC34
3D131EB05U
3D131EB11V
3D131EB11X
3D131EB18X
3D131EB20X
3D131EB23V
3D131EB23X
3D131EB28X
3D131EB31X
3D131EB35X
3D131EB43X
3D131EB44X
3D131EB89X
(57)【要約】
【課題】トラクション性能と耐偏摩耗性能(耐トーヒール摩耗性能)を向上できる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】空気入りタイヤは、トレッドに形成され、タイヤ周方向に沿って延びる複数の主溝を備え、複数の主溝は、タイヤ幅方向の最も外側に位置するショルダー主溝を含み、ショルダー主溝は、ショルダー主溝の溝底のうちタイヤ幅方向の第1側を第2側よりも隆起させたかさ上げ部を備え、かさ上げ部は、トレッドの外表面よりも低く、且つタイヤ周方向の全周に亘って連続して延びる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッドに形成され、タイヤ周方向に沿って延びる複数の主溝を備え、
前記複数の主溝は、タイヤ幅方向の最も外側に位置するショルダー主溝を含み、
前記ショルダー主溝は、前記ショルダー主溝の溝底のうちタイヤ幅方向の第1側を第2側よりも隆起させたかさ上げ部を備え、
前記かさ上げ部は、前記トレッドの外表面よりも低く、且つタイヤ周方向の全周に亘って連続して延びる、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記かさ上げ部のタイヤ幅方向第2側の外側面は、タイヤ周方向に沿ってジグザグ状に延びる、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記ショルダー主溝のタイヤ幅方向第2側の溝壁は、タイヤ周方向に沿ってジグザグ状に延び、
前記ショルダー主溝のタイヤ幅方向第1側の溝壁は、タイヤ周方向に平行に延びる平坦部を含む、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記タイヤ幅方向第1側は、タイヤ幅方向の外側である、請求項1~3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記ショルダー主溝と接地端によって区画されるショルダー陸は、前記ショルダー主溝からタイヤ幅方向第1側へ向かって延びる複数の横溝を備え、
前記かさ上げ部は、前記横溝内に延設された延設部を備え、
前記延設部は、前記横溝が延びる方向に沿って延びるサイプを備える、請求項1~4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、接地面のタイヤ幅方向の最も外側に位置し、タイヤ周方向に延在する主溝(以下、ショルダー主溝という)と、ショルダー主溝からタイヤ接地端部の外側まで延在するラグ溝と、ラグ溝からショルダー主溝へ通じる境界部を含んでショルダー主溝およびラグ溝に跨って設けられ、溝底を隆起させた底上げ部と、を備える空気入りタイヤが開示されている。底上げ部を設けることで、変形が生じやすいショルダー部のブロックの角の剛性を向上することができる。ただし、この底上げ部は、ラグ溝とともにタイヤ周方向に間欠的に配置されるため、トラクション性能の向上にはほとんど寄与しない。また、底上げ部が間欠的に配置されるため、ブロックの角の剛性が十分ではなく、耐偏摩耗性能、特に耐トーヒール摩耗性能にも改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-147598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、トラクション性能と耐偏摩耗性能(耐トーヒール摩耗性能)を向上できる空気入りタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の空気入りタイヤは、トレッドに形成され、タイヤ周方向に沿って延びる複数の主溝を備え、
前記複数の主溝は、タイヤ幅方向の最も外側に位置するショルダー主溝を含み、
前記ショルダー主溝は、前記ショルダー主溝の溝底のうちタイヤ幅方向の第1側を第2側よりも隆起させたかさ上げ部を備え、
前記かさ上げ部は、前記トレッドの外表面よりも低く、且つタイヤ周方向の全周に亘って連続して延びる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ子午面における要部断面図
図2】本実施形態に係る空気入りタイヤの正面図
図3図2のIII領域拡大図
図4図3のIV-IV線の要部拡大断面図
図5図3のV-V線の要部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、空気入りタイヤにおける一実施形態について、図1図5を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0008】
各図において、第1の方向D1は、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)1の回転中心であるタイヤ回転軸と平行であるタイヤ幅方向D1であり、第2の方向D2は、タイヤ1の直径方向であるタイヤ径方向D2であり、第3の方向D3は、タイヤ回転軸周りのタイヤ周方向D3である。
【0009】
タイヤ幅方向D1において、内側は、タイヤ赤道面S1に近い側となり、外側は、タイヤ赤道面S1から遠い側となる。なお、タイヤ幅方向D1のうち、第1側D11は、第1幅方向側D11ともいい、第2側D12は、第2幅方向側D12ともいう。また、タイヤ径方向D2において、内側は、タイヤ回転軸に近い側となり、外側は、タイヤ回転軸から遠い側となる。
【0010】
タイヤ赤道面S1とは、タイヤ回転軸に直交する面で且つタイヤ1のタイヤ幅方向D1の中心に位置する面のことであり、タイヤ子午面とは、タイヤ回転軸を含む面で且つタイヤ赤道面S1と直交する面のことである。また、タイヤ赤道線とは、タイヤ1のタイヤ径方向D2の外表面(後述する、トレッド面2a)とタイヤ赤道面S1とが交差する線のことである。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係るタイヤ1は、ビードコアを有する一対のビード1aと、各ビード1aからタイヤ径方向D2の外側に延びるサイドウォール1bと、一対のサイドウォール1bのタイヤ径方向D2の外端に連接され、タイヤ径方向D2の外表面が路面に接地するトレッド2とを備えている。本実施形態においては、タイヤ1は、内部に空気が入れられる空気入りタイヤ1であって、リム20に装着される。
【0012】
また、タイヤ1は、一対のビードコアの間に架け渡されるカーカス1cと、カーカス1cの内側に配置され、空気圧を保持するために、気体の透過を阻止する機能に優れるインナーライナ1dとを備えている。カーカス1c及びインナーライナ1dは、ビード1a、サイドウォール1b、及びトレッド2に亘って、タイヤ内周に沿って配置されている。
【0013】
トレッド2は、路面に接地するトレッド面2aを有するトレッドゴム2bと、トレッドゴム2bとカーカス1cとの間に配置されるベルト2cとを備えている。そして、トレッド面2aは、実際に路面に接地する接地面を有しており、当該接地面のうち、タイヤ幅方向D1の外端は、接地端2d,2eという。なお、該接地面は、タイヤ1を正規リム20にリム組みし、正規内圧を充填した状態でタイヤ1を平坦な路面に垂直に置き、正規荷重を加えたときの路面に接地するトレッド面2aを指す。
【0014】
正規リム20は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ1ごとに定めるリム20であり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRAであれば「Design Rim」、ETRTOであれば「Measuring Rim」となる。
【0015】
正規内圧は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ1ごとに定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「INFLATION PRESSURE」であるが、タイヤ1が乗用車用である場合には180kPaとする。
【0016】
正規荷重は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ1ごとに定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば上記の表に記載の最大値、ETRTOであれば「LOAD CAPACITY」であるが、タイヤ1が乗用車用である場合には内圧180kPaの対応荷重の85%とする。
【0017】
図1及び図2に示すように、トレッドゴム2bは、タイヤ周方向D3に延びる複数の主溝3a,3bを備えている。主溝3a,3bは、タイヤ周方向D3に連続して延びている。主溝3a,3bは、屈折を繰り返してジグザグ状に延びている。なお、主溝3a,3bの数は、特に限定されないが、本実施形態においては、二つとしている。
【0018】
主溝3a,3bは、例えば、摩耗するにしたがって露出することで摩耗度合が分かるように、溝を浅くしてある部分、所謂、トレッドウエアインジケータ(図示していない)を備えていてもよい。また、例えば、主溝3a,3bは、接地端2d,2e間の距離(タイヤ幅方向D1の寸法)の3%以上の溝幅を有していてもよい。また、例えば、主溝3a,3bは、5mm以上の溝幅を有していてもよい。
【0019】
複数の主溝3a,3bのうちタイヤ幅方向D1の最も外側に配置される一対の主溝3a,3bは、ショルダー主溝3a,3bという。なお、主溝を三つ以上設ける場合には、一対のショルダー主溝3a,3b間に配置される主溝は、センター主溝という。センター主溝は、ストレート状又はジグザグ状に延びている、という構成でもよい。
【0020】
トレッドゴム2bは、複数の主溝3a,3b及び一対の接地端2d,2eによって区画される複数の陸4a~4cを備えている。なお、陸4a~4cの数は、特に限定されないが、本実施形態においては、三つとしている。
【0021】
ショルダー主溝3a,3bと接地端2d,2eによって区画される陸4a,4bは、ショルダー陸4a,4bといい、ショルダー主溝3a,3bによって区画される陸4cは、センター陸4cという。
【0022】
ショルダー陸4aは、ショルダー主溝3aから第1幅方向側D11へ向かって延びる複数の横溝5を備える。横溝5は、ショルダー主溝3aに開口している。ショルダー陸4aは、複数の横溝5によってタイヤ周方向D3に分割された複数のショルダーブロック40を有する。
【0023】
横溝5は、タイヤ幅方向D1に対して傾斜する方向に延びる第1部分5aと、タイヤ幅方向D1と平行に延びる第2部分5bと、を有する。横溝5の溝幅は例えば3.8~6.6mmである。また、横溝5の溝深さは例えば8.9~9.7mmである。
【0024】
ショルダー陸4aは、サイプ51を備えている。サイプ51は、横溝5の第1部分5aと平行に延びている。サイプ51は、一端がショルダー主溝3aに開口し、他端がショルダーブロック40内で終端している。また、ショルダー陸4aは、幅溝52を備えている。幅溝52は、タイヤ幅方向D1に沿って延びている。なお、本明細書において、「サイプ」とは、トレッド面2aにおける幅寸法が1.6mm未満の溝を意味する。また、本明細書において、「平行」とは、完全に平行である場合だけでなく、交差角が5度以下である略平行である場合も含む(以下も同様)。
【0025】
ショルダー主溝3aは、溝底30と、第1幅方向側D11の溝壁31と、第2幅方向側D12の溝壁32と、を備える。
【0026】
第2幅方向側D12の溝壁32は、タイヤ周方向D3に沿ってジグザグ状に延びている。一方、第1幅方向側D11の溝壁31は、対向する溝壁32と平行となるように屈曲して延びる屈曲部311と、タイヤ周方向D3に平行に延びる平坦部312とを含む。屈曲部311と平坦部312は、隣接して配置される。溝壁31が平坦部312を含むことで、溝壁31を溝壁32と同様に全体をジグザグ状とした場合に比べ、耐偏摩耗性能(耐トーヒール摩耗性能)が良好となる。
【0027】
平坦部312の長さL2は、屈曲部311の長さL1と平坦部312の長さL2の合計の長さL1+L2の50%以上であるのが好ましい(図2を参照)。長さL2を長さL1+L2の50%以上とすることで、耐偏摩耗性能がより良好となる。ここで、長さL1と長さL2は、タイヤ周方向D3における長さである。
【0028】
ショルダー主溝3aは、溝底30のうち第1幅方向側D11を第2幅方向側D12よりも隆起させたかさ上げ部6を備える。かさ上げ部6は、タイヤ周方向D3の全周に亘って連続して延びている。かさ上げ部6は、トレッド面2aと平行な頂面61と、溝壁31と平行な外側面62と、を有する。なお、溝壁31は、かさ上げ部6よりもタイヤ径方向D2の外側の露出した壁面である。
【0029】
図4に示すように、かさ上げ部6の頂面61は、トレッド面2aよりも低くなっている。トレッド面2aから頂面61までの深さd6は例えば6.0~7.0mmである。深さd6はかさ上げ部6全体で一定であるがこれに限定されない。ショルダー主溝3aにかさ上げ部6を設けることで、かさ上げ部6の段差によって、トラクション性能を向上できる。また、かさ上げ部6を全周に亘って連続して設けることで、トラクション性能をさらに向上できる。さらに、かさ上げ部6を設けることで、かさ上げ部6に隣接するショルダーブロック40の剛性を高めるとともに主溝表面形状の変形を抑えることができる。これにより、ショルダーブロック40のトーヒール摩耗を抑制できる。
【0030】
かさ上げ部6の溝底30からの高さh6は、ショルダー主溝3aの溝深さd3の10~50%であるのが好ましい。かさ上げ部6の高さh6をこの範囲とすることで、ショルダー主溝3aの排水性能の悪化を防ぎながら、トラクション性能及び耐偏摩耗性能を向上させることができる。
【0031】
かさ上げ部6の第2幅方向側D12の外側面62は、タイヤ周方向D3に沿ってジグザグ状に延びている。また、外側面62は、対向するショルダー主溝3aの溝壁32と平行となるように屈曲して延びている。外側面62をジグザグ状とすることで、外側面62の屈曲したエッジによりトラクション性能を向上できる。
【0032】
外側面62のうち第1幅方向側D11に凸となった第1屈曲点62aは、横溝5の開口部とタイヤ幅方向D1に隣接する。また、外側面62のうち第2幅方向側D12に凸となった第2屈曲点62bは、ショルダー主溝3aの平坦部312とタイヤ幅方向D1に対向する。
【0033】
かさ上げ部6は、横溝5内に延設された延設部63を備える。トレッド面2aから延設部63の頂面までの深さは、トレッド面2aからかさ上げ部6の頂面61までの深さd6と同じである。延設部63の幅は、横溝5の溝幅と同じである。延設部63は、横溝5の第1部分5aの中途部まで延びている。複数の延設部63の端部63aは、タイヤ幅方向D1において同じ位置に配置されており、タイヤ周方向D3に直線状に並んでいる。
【0034】
延設部63は、横溝5が延びる方向に沿って延びるサイプ7を備える。サイプ7は、一端がショルダー主溝3aに開口し、他端が延設部63内で終端している。そのため、かさ上げ部6は、サイプ7で分断されることなく、タイヤ周方向D3に連続している。サイプ7は、延設部63の幅中心に配置される。延設部63にサイプ7を設けることで、延設部63によってショルダーブロック40の角部の剛性が高くなり過ぎるのを防いで、接地性の悪化を抑制できる。
【0035】
サイプ7の溝深さd7は、ショルダー主溝3aの溝深さd3よりも浅い。サイプ7が深過ぎるとクラック引き起こす要因となり得る。本実施形態のサイプ7は、溝幅が0.8mm、溝深さが8.0~8.5mmである。
【0036】
センター陸4cは、図2に示すように、タイヤ周方向D3に沿って延びる複数の周溝81と、タイヤ幅方向D1に沿って延びる複数の幅溝82と、複数のサイプ83とを備えている。周溝81と幅溝82は交差している。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、トレッド2に形成され、タイヤ周方向D3に沿って延びる複数の主溝3a,3bを備え、
複数の主溝3a,3bは、タイヤ幅方向D1の最も外側に位置するショルダー主溝3aを含み、
ショルダー主溝3aは、ショルダー主溝3aの溝底30のうちタイヤ幅方向D1の第1側D11を第2側D12よりも隆起させたかさ上げ部6を備え、
かさ上げ部6は、トレッド2の外表面2aよりも低く、且つタイヤ周方向D3の全周に亘って連続して延びるものである。
【0038】
この構成によれば、ショルダー主溝3aにかさ上げ部6を設けることで、かさ上げ部6の段差によって、トラクション性能を向上できる。また、かさ上げ部6を全周に亘って連続して設けることで、トラクション性能をさらに向上できる。さらに、かさ上げ部6を全周に亘って連続して設けることで、かさ上げ部6に隣接するショルダーブロック40の剛性を十分に高めて、耐偏摩耗性能(耐トーヒール摩耗性能)を向上できる。
【0039】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、かさ上げ部6のタイヤ幅方向第2側D12の外側面62は、タイヤ周方向D3に沿ってジグザグ状に延びる、という構成である。
【0040】
この構成によれば、外側面62をジグザグ状とすることで、外側面62の屈曲したエッジによりトラクション性能を向上できる。
【0041】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、ショルダー主溝3aのタイヤ幅方向第2側D12の溝壁32は、タイヤ周方向D3に沿ってジグザグ状に延び、ショルダー主溝3aのタイヤ幅方向第1側D11の溝壁31は、タイヤ周方向D3に平行に延びる平坦部312を含む、という構成である。
【0042】
この構成によれば、両溝壁31,32をジグザグ状にした場合に比べ、耐偏摩耗性能が良好となる。
【0043】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、タイヤ幅方向第1側D11は、タイヤ幅方向D1の外側である、という構成である。
【0044】
この構成によれば、ショルダー主溝3aよりもタイヤ幅方向D1の外側に位置するショルダーブロック40のトーヒール摩耗を抑制できる。
【0045】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、ショルダー主溝3aと接地端2dによって区画されるショルダー陸4aは、ショルダー主溝3aからタイヤ幅方向第1側D11へ向かって延びる複数の横溝5を備え、かさ上げ部6は、横溝5内に延設された延設部63を備え、延設部63は、横溝5が延びる方向に沿って延びるサイプ7を備える、という構成である。
【0046】
この構成によれば、延設部63による接地性の悪化を抑制し、また溝底でのトラクションや摩耗後の排水性を確保できる。
【0047】
なお、空気入りタイヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、空気入りタイヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記した複数の実施形態の各構成や各方法等を任意に採用して組み合わせてもよく、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0048】
(1)上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、かさ上げ部6のタイヤ幅方向第2側D12の外側面62は、タイヤ周方向D3に沿ってジグザグ状に延びる、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、かかる構成に限られない。例えば、かさ上げ部6の外側面62がタイヤ周方向D3に直線状に延びている場合にも、トラクション性能及び耐偏摩耗性能の向上は可能である。
【0049】
(2)上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、ショルダー主溝3aのタイヤ幅方向第2側D12の溝壁32は、タイヤ周方向D3に沿ってジグザグ状に延び、ショルダー主溝3aのタイヤ幅方向第1側D11の溝壁31は、タイヤ周方向D3に平行に延びる平坦部312を含む、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、かかる構成に限られない。例えば、ショルダー主溝3aのタイヤ幅方向第1側D11の溝壁31が、平坦部312を含まず、タイヤ幅方向第2側D12の溝壁32と同様にタイヤ周方向D3に沿ってジグザグ状に延びていてもよい。また、ショルダー主溝3aのタイヤ幅方向第1側D11の溝壁31が、屈曲部311を含まず、全体としてタイヤ周方向D3に平行に延びていてもよい。
【0050】
(3)上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、タイヤ幅方向第1側D11は、タイヤ幅方向D1の外側である、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、かかる構成に限られない。例えば、タイヤ幅方向第1側D11がタイヤ幅方向D1の内側であってもよい。すなわち、かさ上げ部6をセンター陸4cに隣接して設けてもよい。
【0051】
(4)上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、ショルダー主溝3aと接地端2dによって区画されるショルダー陸4aは、ショルダー主溝3aからタイヤ幅方向第1側D11へ向かって延びる複数の横溝5を備え、かさ上げ部6は、横溝5内に延設された延設部63を備え、延設部63は、横溝5が延びる方向に沿って延びるサイプ7を備える、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、かかる構成に限られない。例えば、延設部63にサイプ7を設けなくてもよく、さらに延設部63自体を設けなくてよい。
【0052】
(5)なお、上記実施形態では、ショルダー主溝3aについて説明を行ったが、本実施形態のタイヤ1は、車両への装着向きを指定されないタイヤであり、ショルダー主溝3bとショルダー主溝3aは同じ形状である。したがって、かさ上げ部6もショルダー主溝3a、3b両方に同形状に設けられるのが好適である。ただし、本実施形態は車両への装着向きが指定されたいわゆる非対称パターンを有するタイヤにも適用可能であり、その際、かさ上げ部6はショルダー主溝3a、3bのいずれかに設けてもよいし、またショルダー主溝3a、3bでかさ上げ部6の形状を異ならせてもよいし、トレッド面2aから頂面61までの深さd6をショルダー主溝3a、3bで異ならせてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…空気入りタイヤ、2…トレッド、2a…トレッド面、2d…接地端、2e…接地端、3a…主溝(ショルダー主溝)、3b…主溝(ショルダー主溝)、4a…陸(ショルダー陸)、4b…陸(ショルダー陸)、4c…陸(センター陸)、5…横溝、6…かさ上げ部、7…サイプ、30…溝底、31…溝壁、32…溝壁、40…ショルダーブロック、61…かさ上げ部の頂面、62…かさ上げ部の外側面、63…延設部、311…屈曲部、312…平坦部、D1…タイヤ幅方向、D11…タイヤ幅方向第1側、D12…タイヤ幅方向第2側、D2…タイヤ径方向、D3…タイヤ周方向、S1…タイヤ赤道面
図1
図2
図3
図4
図5