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特開2022-99510放射線検出器、及び放射線検出器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099510
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】放射線検出器、及び放射線検出器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/20 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
G01T1/20 B
G01T1/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213314
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】山路 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 純
(72)【発明者】
【氏名】白川 和広
(72)【発明者】
【氏名】畑中 将志
(72)【発明者】
【氏名】後藤 啓輔
【テーマコード(参考)】
2G188
【Fターム(参考)】
2G188AA03
2G188AA25
2G188BB02
2G188CC17
2G188CC19
2G188CC22
2G188DD05
2G188DD42
(57)【要約】
【課題】放射線検出領域の大面積化及び放射線画像の高解像度化の両立を図ることができる放射線検出器、及び放射線検出器の製造方法を提供する。
【解決手段】放射線検出器1は、受光面2aを有するセンサパネル2と、受光面2aに沿って互いに隣接した状態で受光面2a上に配置された第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20と、接着層3と、を備える。第1シンチレータパネル10は、第1基板11と、複数の柱状結晶を含み且つ第1基板11の第1部分11bに至っている第1シンチレータ層12と、を有する。第2シンチレータパネル20は、第2基板21と、複数の柱状結晶を含み且つ第2基板21の第2部分21bに至っている第2シンチレータ層22と、を有する。接着層3は、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20ごとに分離されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光面を有するセンサパネルと、
前記受光面に沿って互いに隣接した状態で前記受光面上に配置された第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルと、
前記受光面と前記第1シンチレータパネルとの間及び前記受光面と前記第2シンチレータパネルとの間に配置された接着層と、を備え、
前記第1シンチレータパネルは、第1基板と、前記第1基板上に形成された複数の柱状結晶を含む第1シンチレータ層と、を有し、
前記第2シンチレータパネルは、第2基板と、前記第2基板上に形成された複数の柱状結晶を含む第2シンチレータ層と、を有し、
前記第1シンチレータパネルは、前記第1基板に対して前記第1シンチレータ層が前記受光面側に位置した状態で、前記接着層によって前記受光面に接着されており、
前記第2シンチレータパネルは、前記第2基板に対して前記第2シンチレータ層が前記受光面側に位置した状態で、前記接着層によって前記受光面に接着されており、
前記第1シンチレータ層側から見た場合における前記第1基板の外縁は、前記第2シンチレータパネルに沿って延在する第1部分を含み、前記第1シンチレータ層は、少なくとも前記第1部分に至っており、
前記第2シンチレータ層側から見た場合における前記第2基板の外縁は、前記第1シンチレータパネルに沿って延在する第2部分を含み、前記第2シンチレータ層は、少なくとも前記第2部分に至っており、
前記接着層は、前記第1シンチレータパネル及び前記第2シンチレータパネルごとに分離されている、放射線検出器。
【請求項2】
前記第1基板及び前記第2基板は、それぞれ、可撓性を有する、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記第1シンチレータパネルは、前記第1基板の厚さ方向から見た場合に、一辺の長さが300mm以上の矩形状を呈しており、
前記第2シンチレータパネルは、前記第2基板の厚さ方向から見た場合に、一辺の長さが300mm以上の矩形状を呈している、請求項1又は2に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記接着層は、粘着剤又は接着剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記第1シンチレータパネルは、前記第1基板及び前記第1シンチレータ層を覆う第1保護層を更に有し、
前記第2シンチレータパネルは、前記第2基板及び前記第2シンチレータ層を覆う第2保護層を更に有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記センサパネルとは反対側において前記第1シンチレータパネル上に配置された第1防湿層と、
前記センサパネルとは反対側において前記第2シンチレータパネル上に配置された第2防湿層と、
前記第1シンチレータパネル及び前記第1防湿層を覆う第1保護層と、
前記第2シンチレータパネル及び前記第2防湿層を覆う第2保護層と、を更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記第1シンチレータパネルと前記第2シンチレータパネルとの間に配置された粒状蛍光体を更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の放射線検出器の製造方法であって、
前記センサパネルを用意する工程と、
前記第1シンチレータパネル及び前記第2シンチレータパネルを用意する工程と、
前記第1シンチレータパネル及び前記第2シンチレータパネルのそれぞれを前記接着層によって前記受光面に接着する工程と、を備え、
前記接着する工程においては、前記接着層が前記第1シンチレータパネル及び前記第2シンチレータパネルごとに分離されている、放射線検出器の製造方法。
【請求項9】
前記接着する工程においては、前記第1シンチレータパネル及び前記第2シンチレータパネルのそれぞれが前記受光面に接着される前に、前記第1シンチレータパネル及び前記第2シンチレータパネルのそれぞれに前記接着層が配置される、請求項8に記載の放射線検出器の製造方法。
【請求項10】
前記接着する工程においては、前記第1シンチレータパネル及び前記第2シンチレータパネルのそれぞれが前記受光面に接着される前に、前記受光面に前記接着層が配置される、請求項8に記載の放射線検出器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器、及び放射線検出器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
受光面を有するセンサパネルと、受光面上に配置されたシンチレータパネルと、受光面とシンチレータパネルとの間に配置された接着層と、を備える放射線検出器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4018472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような放射線検出器では、センサパネルの大面積化に伴い、放射線検出領域の大面積化が求められている。しかし、シンチレータパネルにおいてシンチレータ層が粒状蛍光体及びバインダ樹脂からなる場合には、放射線検出領域の大面積化のためにシンチレータパネルを大面積化し易いものの、高解像度の放射線画像を得ることは困難である。一方、シンチレータパネルにおいてシンチレータ層が複数の柱状結晶からなる場合には、高解像度の放射線画像を取得し易いものの、放射線検出領域の大面積化のためにシンチレータパネルを大面積化することは困難である。
【0005】
本発明は、放射線検出領域の大面積化及び放射線画像の高解像度化の両立を図ることができる放射線検出器、並びに、そのような放射線検出器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の放射線検出器は、受光面を有するセンサパネルと、受光面に沿って互いに隣接した状態で受光面上に配置された第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルと、受光面と第1シンチレータパネルとの間及び受光面と第2シンチレータパネルとの間に配置された接着層と、を備え、第1シンチレータパネルは、第1基板と、第1基板上に形成された複数の柱状結晶を含む第1シンチレータ層と、を有し、第2シンチレータパネルは、第2基板と、第2基板上に形成された複数の柱状結晶を含む第2シンチレータ層と、を有し、第1シンチレータパネルは、第1基板に対して第1シンチレータ層が受光面側に位置した状態で、接着層によって受光面に接着されており、第2シンチレータパネルは、第2基板に対して第2シンチレータ層が受光面側に位置した状態で、接着層によって受光面に接着されており、第1シンチレータ層側から見た場合における第1基板の外縁は、第2シンチレータパネルに沿って延在する第1部分を含み、第1シンチレータ層は、少なくとも第1部分に至っており、第2シンチレータ層側から見た場合における第2基板の外縁は、第1シンチレータパネルに沿って延在する第2部分を含み、第2シンチレータ層は、少なくとも第2部分に至っており、接着層は、第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルごとに分離されている。
【0007】
本発明の放射線検出器では、第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルが、センサパネルの受光面に沿って互いに隣接した状態でセンサパネルの受光面上に配置されている。第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルでは、第1シンチレータ層が、第1基板の外縁のうち、第2シンチレータパネルに沿って延在する第1部分に至っており、第2シンチレータ層が、第2基板の外縁のうち、第1シンチレータパネルに沿って延在する第2部分に至っている。したがって、複数の柱状結晶を確実に形成し得るサイズで第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルのそれぞれを構成しつつ、第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルによって一つの放射線検出領域を得ることができる。しかも、センサパネルの受光面と第1シンチレータパネルとの間及びセンサパネルの受光面と第2シンチレータパネルとの間に配置された接着層が、第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルごとに分離されている。これにより、第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルのそれぞれをセンサパネルの受光面に接着する際に接着層が外部に露出する時間を短くすることができ、センサパネルの受光面と第1シンチレータパネルとの間及びセンサパネルの受光面と第2シンチレータパネルとの間に異物が噛み込むのを抑制することができる。更に、第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルのそれぞれをセンサパネルの受光面に精度良く接着することができる。以上により、本発明の放射線検出器によれば、放射線検出領域の大面積化及び放射線画像の高解像度化の両立を図ることができる。
【0008】
本発明の放射線検出器では、第1基板及び第2基板は、それぞれ、可撓性を有してもよい。これによれば、第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルのそれぞれをセンサパネルの受光面に接着する際における作業性の向上を図ることができる。
【0009】
本発明の放射線検出器では、第1シンチレータパネルは、第1基板の厚さ方向から見た場合に、一辺の長さが300mm以上の矩形状を呈しており、第2シンチレータパネルは、第2基板の厚さ方向から見た場合に、一辺の長さが300mm以上の矩形状を呈していてもよい。これによれば、放射線検出領域の大面積化を容易に且つ確実に図ることができる。
【0010】
本発明の放射線検出器では、接着層は、粘着剤又は接着剤を含んでもよい。これによれば、第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルのそれぞれをセンサパネルの受光面に確実に接着することができる。
【0011】
本発明の放射線検出器では、第1シンチレータパネルは、第1基板及び第1シンチレータ層を覆う第1保護層を更に有し、第2シンチレータパネルは、第2基板及び第2シンチレータ層を覆う第2保護層を更に有してもよい。これによれば、潮解性を有する複数の柱状結晶を保護することができる。
【0012】
本発明の放射線検出器は、センサパネルとは反対側において第1シンチレータパネル上に配置された第1防湿層と、センサパネルとは反対側において第2シンチレータパネル上に配置された第2防湿層と、第1シンチレータパネル及び第1防湿層を覆う第1保護層と、第2シンチレータパネル及び第2防湿層を覆う第2保護層と、を更に備えてもよい。これによれば、潮解性を有する複数の柱状結晶を保護することができる。
【0013】
本発明の放射線検出器は、第1シンチレータパネルと第2シンチレータパネルとの間に配置された粒状蛍光体を更に備えてもよい。これによれば、第1シンチレータパネルと第2シンチレータパネルとの繋目部分において放射線画像の画質が劣化するのを抑制することができる。
【0014】
本発明の放射線検出器の製造方法は、上述した放射線検出器の製造方法であって、センサパネルを用意する工程と、第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルを用意する工程と、第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルのそれぞれを接着層によって受光面に接着する工程と、を備え、接着する工程においては、接着層が第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルごとに分離されている。
【0015】
本発明の放射線検出器の製造方法によれば、上述した放射線検出器を容易に且つ確実に得ることができる。
【0016】
本発明の放射線検出器の製造方法では、接着する工程においては、第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルのそれぞれが受光面に接着される前に、第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルのそれぞれに接着層が配置されてもよい。これによれば、第1シンチレータパネル及び接着層を、それらが一体化された状態で取り扱うことができる。同様に、第2シンチレータパネル及び接着層を、それらが一体化された状態で取り扱うことができる。
【0017】
本発明の放射線検出器の製造方法では、接着する工程においては、第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルのそれぞれが受光面に接着される前に、受光面に接着層が配置されてもよい。これによれば、第1シンチレータパネル及び第2シンチレータパネルのそれぞれを個々に取り扱うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、放射線検出領域の大面積化及び放射線画像の高解像度化の両立を図ることができる放射線検出器、並びに、そのような放射線検出器の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態の放射線検出器の断面図である。
図2】一実施形態のシンチレータパネルユニットの断面図である。
図3】一実施形態の放射線検出器の製造方法の一工程中の放射線検出器の断面図である。
図4】変形例の放射線検出器の断面図である。
図5】変形例の放射線検出器の一部分の断面図である。
図6】変形例のシンチレータパネルユニットの断面図である。
図7】変形例の放射線検出器の断面図である。
図8】変形例の放射線検出器の断面図である。
図9】変形例のシンチレータパネルユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[放射線検出器の構成]
【0021】
図1に示されるように、放射線検出器1は、センサパネル2と、第1シンチレータパネル10と、第2シンチレータパネル20と、接着層3と、粒状蛍光体4と、防湿層5と、接着層6と、封止部材7と、を備えている。放射線検出器1では、放射線(例えば、X線)が第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20に入射すると、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20においてシンチレーション光が発生し、当該シンチレーション光がセンサパネルによって検出される。放射線検出器1は、放射線イメージング装置として、例えば、医療用放射線画像診断装置又は非破壊検査装置に用いられる。
【0022】
センサパネル2は、受光面2aに沿って配置された複数の光電変換素子(図示省略)を含んでいる。各光電変換素子は、画素を構成しており、入射したシンチレーション光に応じた電気信号を出力する。受光面2aは、センサパネル2の一方の主面に設けられている。当該主面には、受光面2aを包囲する枠状の領域である表面2bが設けられている。センサパネル2は、可撓性を有している。センサパネル2において複数の光電変換素子が設けられた基板の材料は、例えば、PI(ポリイミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエステル)又はPMMA(ポリメチルメタアクリート)である。
【0023】
第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20は、受光面2aに沿って互いに隣接した状態で受光面2a上に配置されている。第1シンチレータパネル10は、第1基板11と、第1シンチレータ層12と、第1保護層13と、を有している。第2シンチレータパネル20は、第2基板21と、第2シンチレータ層22と、第2保護層23と、を有している。
【0024】
第1基板11及び第2基板21は、それぞれ、可撓性を有している。第1基板11及び第2基板21のそれぞれの材料は、例えば、PET、PEN、PI、PP、PE又はPMMAである。第1基板11及び第2基板21のそれぞれの厚さは、例えば、50μm以上250μm以下である。なお、第1基板11及び第2基板21のそれぞれの表面及び裏面に機能性の膜が形成されていてもよい。当該機能性の膜は、例えば、易接着コート、帯電防止コート、防湿膜(ポリパラキシリレン膜)である。当該機能性の膜は、それぞれが異なる機能を有する複数の膜を含む積層膜であってもよい。
【0025】
第1シンチレータ層12は、第1基板11上に形成された複数の柱状結晶を含んでいる。第2シンチレータ層22は、第2基板21上に形成された複数の柱状結晶を含んでいる。複数の柱状結晶は、例えば、第1基板11又は第2基板21上にシンチレータ材料が蒸着されることで、第1基板11又は第2基板21上に形成されたものである。第1シンチレータ層12及び第2シンチレータ層22のそれぞれの材料は、例えば、CsI:Tl(タリウムを賦活剤として含むヨウ化セシウム)、CsI:Na(ナトリウムを賦活剤として含むヨウ化セシウム)、CsI:Ce(セリウムを賦活剤として含むヨウ化セシウム)又はCsI:Tl,Eu(タリウム及びユーロピウムを賦活剤として含むヨウ化セシウム)である。第1シンチレータ層12及び第2シンチレータ層22のそれぞれの厚さは、例えば、100μm以上1000μm以下(好ましくは、400μm以上800μm以下)である。
【0026】
第1保護層13は、第1基板11及び第1シンチレータ層12を覆っている。第2保護層23は、第2基板21及び第2シンチレータ層22を覆っている。第1保護層13及び第2保護層23のそれぞれの材料は、例えば、パリレン(ポリパラキシレン)である。第1保護層13及び第2保護層23のそれぞれの厚さは、例えば、0.5μm以上20μm以下である。
【0027】
第1シンチレータパネル10は、第1基板11に対して第1シンチレータ層12が受光面2a側に位置した状態で、受光面2a上に配置されている。第1シンチレータパネル10は、第1基板11の厚さ方向から見た場合に、一辺の長さが300mm以上の矩形状を呈している。第2シンチレータパネル20は、第2基板21に対して第2シンチレータ層22が受光面2a側に位置した状態で、受光面2a上に配置されている。第2シンチレータパネル20は、第2基板21の厚さ方向から見た場合に、一辺の長さが300mm以上の矩形状を呈している。
【0028】
第1シンチレータ層12側から見た場合における第1基板11の外縁11aは、第2シンチレータパネル20に沿って延在する第1部分11bを含んでいる。第1シンチレータ層12は、第1部分11bに至っている。本実施形態では、第1シンチレータ層12は、外縁11aの全部分に至っている。第2シンチレータ層22側から見た場合における第2基板21の外縁21aは、第1シンチレータパネル10に沿って延在する第2部分21bを含んでいる。第2シンチレータ層22は、第2部分21bに至っている。本実施形態では、第2シンチレータ層22は、外縁21aの全部分に至っている。第1基板11の外縁11aの第1部分11bと第2基板21の外縁21aの第2部分21bとは、対向している。
【0029】
なお、第1基板11及び第1シンチレータ層12は、複数の第1基板11に相当する部分を含む基板上に、複数の第1シンチレータ層12に相当する部分を含むシンチレータ層が形成された後に、当該基板及び当該シンチレータ層がカットされることで、得られたものである。第2基板21及び第2シンチレータ層22は、複数の第2基板21に相当する部分を含む基板上に、複数の第2シンチレータ層22に相当する部分を含むシンチレータ層が形成された後に、当該基板及び当該シンチレータ層がカットされることで、得られたものである。第1基板11及び第1シンチレータ層12は、一つの第1基板11に相当する部分を含む基板上に、一つの第1シンチレータ層12に相当する部分を含むシンチレータ層が形成された後に、当該基板及び当該シンチレータ層が切り出されることで、得られたものであってもよい。第2基板21及び第2シンチレータ層22は、一つの第2基板21に相当する部分を含む基板上に、一つの第2シンチレータ層22に相当する部分を含むシンチレータ層が形成された後に、当該基板及び当該シンチレータ層が切り出されることで、得られたものであってもよい。
【0030】
第1シンチレータパネル10におけるセンサパネル2側(第1基板11に対して第1シンチレータ層12側)の表面10aと第1シンチレータパネル10における第2シンチレータパネル20側の側面10bとの成す第1角度θ1は、45度以上90度未満である。本実施形態では、表面10aと第1シンチレータパネル10の全側面が45度以上90度未満の角度を成している。第2シンチレータパネル20におけるセンサパネル2側(第2基板21に対して第2シンチレータ層22側)の表面20aと第2シンチレータパネル20における第1シンチレータパネル10側の側面20bとの成す第2角度θ2は、45度以上90度未満である。本実施形態では、表面20aと第2シンチレータパネル20の全側面が45度以上90度未満の角度を成している。表面10a及び側面10bによって形成される第1シンチレータパネル10の角部は、表面20a及び側面20bによって形成される第2シンチレータパネル20の角部に接触している。
【0031】
接着層3は、受光面2aと第1シンチレータパネル10との間及び受光面2aと第2シンチレータパネル20との間に配置されている。第1シンチレータパネル10は、第1基板11に対して第1シンチレータ層12が受光面2a側に位置した状態で、接着層3によって受光面2aに接着されている。第2シンチレータパネル20は、第2基板21に対して第2シンチレータ層22が受光面2a側に位置した状態で、接着層3によって受光面2aに接着されている。接着層3は、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20ごとに分離されている。つまり、受光面2aと第1シンチレータパネル10との間に配置された接着層3と、受光面2aと第2シンチレータパネル20との間に配置された接着層3とは、互いに接触している場合にも、界面を形成している。
【0032】
接着層3は、粘着剤又は接着剤である。粘着剤とは、接着後に硬化しないものを意味する。接着剤とは、接着後に硬化するものを意味する。接着層3の材料は、例えば、光透過性の有機材料(例えば、OCA(Optical Clear Adhesive))である。接着層3の厚さは、例えば、0.1μm以上100μm以下(好ましくは、25μm以下)である。
【0033】
粒状蛍光体4は、第1シンチレータパネル10と第2シンチレータパネル20との間に配置されている。より具体的には、粒状蛍光体4は、第1シンチレータパネル10の側面10bと第2シンチレータパネル20の側面20bとで形成される断面V字状の溝内に配置されている。粒状蛍光体4の材料は、例えば、GOS(酸硫化ガドリニウム)である。
【0034】
防湿層5は、センサパネル2上において第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20を覆っている。防湿層5は、センサパネル2とは反対側において第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20上に配置されており、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20に渡って連続している。防湿層5の外縁5aは、センサパネル2の表面2b(受光面2aの周囲の表面)に至っている。
【0035】
防湿層5は、本体層51と、無機層52と、を有している。本体層51は、可撓性を有している。無機層52は、本体層51上に配置されている。無機層52は、例えば、本体層51に接着されることで、本体層51と一体化されている。防湿層5は、本体層51に対して無機層52が第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20側に位置した状態で、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20上に配置されている。
【0036】
本体層51の材料は、例えば、PET、PEN、PI、PP、PE又はPMMAである。本体層51の厚さは、例えば、50μm以上250μm以下である。無機層52の材料は、例えば、Al(アルミニウム)、Cu(銅)、Ti(チタン)、Fe(鉄)又はSUS(ステンレス鋼)である。無機層52の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下である。
【0037】
接着層6は、第1シンチレータパネル10と防湿層5との間、第2シンチレータパネル20と防湿層5との間、及びセンサパネル2の表面2bと防湿層5との間に配置されている。防湿層5は、第1シンチレータパネル10、第2シンチレータパネル20、及びセンサパネル2の表面2bに接着されている。接着層6は、粘着剤又は接着剤である。接着層6の厚さは、例えば、0.1μm以上100μm以下(好ましくは、25μm以下)である。
【0038】
封止部材7は、センサパネル2の表面2bにおいて防湿層5の外縁5aを封止している。封止部材7は、外縁5aに沿って枠状に延在している。封止部材7の材料は、例えば、エポキシ、シリコーン、フッ素、ウレタン又はアクリルである。封止部材7の材料は、ガラス等の無機材料からなるフィラー材を含んでいてもよい。フィラー材の材料は、封止部材7の主たる材料の防湿性よりも高い防湿性を有していればよく、例えば、SiO(二酸化ケイ素)、Al(酸化アルミニウム)又はTiO(酸化チタン)である。
【0039】
以上説明したように、放射線検出器1では、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20が、センサパネル2の受光面2aに沿って互いに隣接した状態でセンサパネル2の受光面2a上に配置されている。第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20では、第1シンチレータ層12が、第1基板11の外縁11aのうち、第2シンチレータパネル20に沿って延在する第1部分11bに至っており、第2シンチレータ層22が、第2基板21の外縁21aのうち、第1シンチレータパネル10に沿って延在する第2部分21bに至っている。したがって、複数の柱状結晶を確実に形成し得るサイズで第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれを構成しつつ、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20によって一つの放射線検出領域を得ることができる。しかも、受光面2aと第1シンチレータパネル10との間及び受光面2aと第2シンチレータパネル20との間に配置された接着層3が、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20ごとに分離されている。これにより、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれを受光面2aに接着する際に接着層3が外部に露出する時間を短くすることができ、受光面2aと第1シンチレータパネル10との間及び受光面2aと第2シンチレータパネル20との間に異物が噛み込むのを抑制することができる。更に、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれを受光面2aに精度良く接着することができる。仮に、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のいずれか一方において問題が生じた場合には、当該一方のみを交換することも可能である。以上により、放射線検出器1によれば、放射線検出領域の大面積化及び放射線画像の高解像度化の両立を図ることができる。
【0040】
放射線検出器1では、第1基板11及び第2基板21がそれぞれ可撓性を有している。これにより、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれを受光面2aに接着する際における作業性の向上を図ることができる。
【0041】
放射線検出器1では、第1シンチレータパネル10が、第1基板11の厚さ方向から見た場合に、一辺の長さが300mm以上の矩形状を呈しており、第2シンチレータパネル20が、第2基板21の厚さ方向から見た場合に、一辺の長さが300mm以上の矩形状を呈していている。これにより、放射線検出領域の大面積化を容易に且つ確実に図ることができる。
【0042】
放射線検出器1では、接着層3が粘着剤又は接着剤を含んでいる。これにより、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれを受光面2aに確実に接着することができる。
【0043】
放射線検出器1では、第1シンチレータパネル10が、第1基板11及び第1シンチレータ層12を覆う第1保護層13を有しており、第2シンチレータパネル20が、第2基板21及び第2シンチレータ層22を覆う第2保護層23を有している。これにより、潮解性を有する複数の柱状結晶を保護することができる。
【0044】
放射線検出器1では、第1シンチレータパネル10と第2シンチレータパネル20との間に粒状蛍光体4が配置されている。これにより、第1シンチレータパネル10と第2シンチレータパネル20との繋目部分において放射線画像の画質が劣化するのを抑制することができる。
【0045】
放射線検出器1では、センサパネル2とは反対側において第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20上に配置された防湿層5が、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20に渡って連続している。これにより、第1シンチレータパネル10と第2シンチレータパネル20との繋目部分に水分が侵入するのを防止することができ、潮解性を有する複数の柱状結晶を確実に保護することができる。更に、センサパネル2と第1シンチレータパネル10との間及びセンサパネル2と第2シンチレータパネル20との間に温度変化による膨張収縮差が生じても、第1シンチレータパネル10と第2シンチレータパネル20との繋目部分が受光面2aから剥離するのを防止することができる。
【0046】
放射線検出器1では、防湿層5が、可撓性を有する本体層51と、本体層51上に配置された無機層52と、を有しており、防湿層5が、本体層51に対して無機層52が第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20側に位置した状態で、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20上に配置されている。これにより、無機層52を防湿層5として機能させると共に、本体層51を保護層として機能させることができる。
【0047】
放射線検出器1では、第1シンチレータパネル10におけるセンサパネル2側の表面10aと第1シンチレータパネル10における第2シンチレータパネル20側の側面10bとの成す第1角度θ1が90度以下であり、第2シンチレータパネル20におけるセンサパネル2側の表面20aと第2シンチレータパネル20における第1シンチレータパネル10側の側面20bとの成す第2角度θ2が90度以下である。これにより、第1シンチレータパネル10と第2シンチレータパネル20との繋目部分での空気の熱膨張に起因して当該繋目部分が受光面2aから剥離するのを防止することができる。更に、第1シンチレータ層12と第2シンチレータ層22とが近付くことになるため、第1シンチレータパネル10と第2シンチレータパネル20との繋目部分において放射線画像の画質が劣化するのを抑制することができる。
【0048】
放射線検出器1では、第1角度θ1及び第2角度θ2がそれぞれ45度以上90度未満である。これにより、第1シンチレータパネル10と第2シンチレータパネル20との繋目部分での空気の熱膨張に起因して当該繋目部分が受光面2aから剥離するのをより確実に防止することができる。
【0049】
放射線検出器1では、第1角度θ1及び第2角度θ2がそれぞれ90度未満であり、センサパネル2が可撓性を有している。これにより、放射線検出器1の設置環境等に応じて放射線検出器1の全体を撓ませることができる。更に、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20に対してセンサパネル2が外側となるように放射線検出器1の全体を撓ませた場合に、第1シンチレータパネル10と第2シンチレータパネル20とが物理的に干渉するのを防止することができる。
【0050】
一例として、図4に示されるように、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20が円柱面Sに沿って配置されるように、放射線検出器1の全体を撓ませることができる。このとき、第1角度θ1及び第2角度θ2がそれぞれ90度未満であるため、第1シンチレータパネル10と第2シンチレータパネル20とが物理的に干渉するのを防止することができる。なお、図4に示される放射線検出器1は、粒状蛍光体4と、防湿層5と、接着層6と、封止部材7と、を備えていないが、必要に応じてそれらを備えていてもよい。
[シンチレータパネルユニットの構成]
【0051】
図2に示されるように、一対のシンチレータパネルユニット100のうち一方のシンチレータパネルユニット100は、第1シンチレータパネル10と、接着層3と、剥離シート8と、を備えている。一対のシンチレータパネルユニット100のうち他方のシンチレータパネルユニット100は、第2シンチレータパネル20と、接着層3と、剥離シート8と、を備えている。一対のシンチレータパネルユニット100は、例えば、上述した放射線検出器1を製造する際に用いられる。
【0052】
一方のシンチレータパネルユニット100において、剥離シート8は、第1シンチレータパネル10とは反対側から接着層3を覆っている。他方のシンチレータパネルユニット100において、剥離シート8は、第2シンチレータパネル20とは反対側から接着層3を覆っている。剥離シート8の表面8aに対する接着層3の接着力は、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20に対する接着層3の接着力よりも低い。なお、シンチレータパネルユニット100では、接着層3は、粘着層である。
【0053】
第1シンチレータパネル10は、第1基板11に対して第1シンチレータ層12が接着層3側に位置した状態で、接着層3上に配置されている。第2シンチレータパネル20は、第2基板21に対して第2シンチレータ層22が接着層3側に位置した状態で、接着層3上に配置されている。つまり、一方のシンチレータパネルユニット100の接着層3上への第1シンチレータパネル10の配置のされ方は、上述した放射線検出器1の接着層3への第1シンチレータパネル10の配置のされ方と同様である。他方のシンチレータパネルユニット100の接着層3上への第2シンチレータパネル20の配置のされ方は、上述した放射線検出器1の接着層3への第2シンチレータパネル20の配置のされ方と同様である。
【0054】
一方のシンチレータパネルユニット100では、第1シンチレータパネル10が、第1基板11及び第1シンチレータ層12を覆う第1保護層13を有している。他方のシンチレータパネルユニット100では、第2シンチレータパネル20が、第2基板21及び第2シンチレータ層22を覆う第2保護層23を有している。これにより、潮解性を有する複数の柱状結晶を保護することができる。
[放射線検出器の製造方法]
【0055】
上述した放射線検出器1を製造するための方法について説明する。本実施形態では、上述した一対のシンチレータパネルユニット100が用いられる。
【0056】
まず、センサパネル2が用意される(センサパネル2を用意する工程)。続いて、図2に示される一対のシンチレータパネルユニット100の状態で、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20が用意される(第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20を用意する工程)。第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20を用意する工程においては、第1角度θ1及び第2角度θ2がそれぞれ45度以上90度未満である(図1参照)。なお、センサパネル2を用意する工程、並びに、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20を用意する工程については、いずれの工程が先に実施されてもよいし、両方の工程が同時に実施されてもよい。
【0057】
続いて、一方のシンチレータパネルユニット100において第1シンチレータパネル10及び接着層3から剥離シート8が剥離され、図3に示されるように、第1シンチレータパネル10が接着層3によって受光面2aに接着される(接着する工程)。更に、他方のシンチレータパネルユニット100において第2シンチレータパネル20及び接着層3から剥離シート8が剥離され、図3に示されるように、第2シンチレータパネル20が接着層3によって受光面2aに接着される(接着する工程)。つまり、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれが受光面2a上に配置される(第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれを配置する工程)。接着する工程においては、接着層3が第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20ごとに分離されている。接着する工程においては、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれが受光面2aに接着される前に、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれに接着層3が配置される。
【0058】
接着する工程では、第1基板11及び第2基板21がそれぞれ可撓性を有しているため、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれを撓ませながら、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれを一方の側から徐々に受光面2aに接着することができる。このとき、表面10a及び側面10bによって形成される第1シンチレータパネル10の角部に、表面20a及び側面20bによって形成される第2シンチレータパネル20の角部を確実に接触させることができる。
【0059】
続いて、図1に示されるように、センサパネル2上において第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20が防湿層5によって覆われる。つまり、センサパネル2とは反対側において第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20上に防湿層5が配置される(防湿層5を配置する工程)。防湿層5を配置する工程においては、防湿層5が第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20に渡って連続している。続いて、センサパネル2の表面2bにおいて、防湿層5の外縁5aが封止部材7によって封止され、放射線検出器1が得られる。本実施形態では、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれを配置する工程が、防湿層5を配置する工程の前に実施される。
【0060】
以上の放射線検出器1の製造方法によれば、上述した放射線検出器1を容易に且つ確実に得ることができる。
【0061】
放射線検出器1の製造方法では、接着する工程において、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれが受光面2aに接着される前に、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれに接着層3が配置される。これにより、第1シンチレータパネル10及び接着層3を、それらが一体化された状態で取り扱うことができる。同様に、第2シンチレータパネル20及び接着層3を、それらが一体化された状態で取り扱うことができる。
【0062】
放射線検出器1の製造方法では、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれを配置する工程が、防湿層5を配置する工程の前に実施される。これにより、センサパネル2とは反対側において第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20上に防湿層5を配置する際に、センサパネル2並びに第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20を、それらが一体化された状態で取り扱うことができる。
[変形例]
【0063】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。放射線検出器1では、図5の(a)に示されるように、第1角度θ1及び第2角度θ2がそれぞれ90度であってもよい。或いは、放射線検出器1では、図5の(b)に示されるように、第1角度θ1及び第2角度θ2がそれぞれ90度を超えていてもよい。その場合には、第1シンチレータパネル10の側面10bと第2シンチレータパネル20の側面20bとの間に、粒状蛍光体4が配置されていてもよい。このように第1角度θ1及び第2角度θ2がそれぞれ90度以上であってもよいことは、上述したシンチレータパネルユニット100、及び放射線検出器1の製造方法においても、同様である。
【0064】
図6に示されるように、シンチレータパネルユニット100は、支持層としての防湿層5と、防湿層5に沿って互いに隣接した状態で防湿層5上に配置された第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20と、を備えていてもよい。図6に示されるシンチレータパネルユニット100の構成は、次のとおりである。すなわち、防湿層5は、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20に渡って連続している。第1シンチレータパネル10は、第1シンチレータ層12に対して第1基板11が防湿層5側に位置した状態で、防湿層5上に配置されている。第2シンチレータパネル20は、第2シンチレータ層22に対して第2基板21が防湿層5側に位置した状態で、防湿層5上に配置されている。
【0065】
図6に示されるシンチレータパネルユニット100では、防湿層5が第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20を覆っており、第1シンチレータパネル10と防湿層5との間及び第2シンチレータパネル20と防湿層5との間に接着層6が配置されている。更に、第1シンチレータパネル10と剥離シート8との間及び第2シンチレータパネル20と剥離シート8との間に接着層3が配置されており、防湿層5の外縁5aと剥離シート8との間に接着層6が配置されている。接着層3及び接着層6は、それぞれ、粘着層である。剥離シート8の表面8aに対する接着層3の接着力は、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20に対する接着層3の接着力よりも低い。剥離シート8の表面8aに対する接着層6の接着力は、防湿層5の外縁5aに対する接着層6の接着力よりも低い。図6に示されるシンチレータパネルユニット100によれば、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20並びに防湿層5を、それらが一体化された状態で取り扱うことができる。なお、図6に示されるシンチレータパネルユニット100は、接着層3と、接着層6のうち外縁5a上に配置された部分と、剥離シート8と、を備えていなくてもよい。
【0066】
図7に示されるように、放射線検出器1では、防湿層5の外縁が、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20上に位置していてもよく、封止部材7が、センサパネル2の表面2bにおいて、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20の外側の側面、並びに、防湿層5の外側の側面を封止していてもよい。
【0067】
図8に示されるように、放射線検出器1では、第1防湿層5Aが、センサパネル2とは反対側において第1シンチレータパネル10上に配置されており、第2防湿層5Bが、センサパネル2とは反対側において第2シンチレータパネル20上に配置されていてもよい。その場合には、第1保護層13が、第1シンチレータパネル10及び第1防湿層5Aを覆っており、第2保護層23が、第2シンチレータパネル20及び第2防湿層5Bを覆っていてもよい。第1防湿層5A及び第2防湿層5Bの構成は、上述した防湿層5の構成と同様である。図8に示される放射線検出器1では、封止部材7が、センサパネル2の表面2bにおいて、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20の外側の側面、並びに、第1防湿層5A及び第2防湿層5Bの外側の側面を封止している。図8に示される放射線検出器1によれば、潮解性を有する複数の柱状結晶を保護することができる。
【0068】
図9に示されるように、シンチレータパネルユニット100では、防湿層5の外縁が、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20上に位置していてもよい。図9に示されるシンチレータパネルユニット100では、接着層3及び剥離シート8が、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20ごとに分離されている。なお、図9に示されるシンチレータパネルユニット100は、接着層3と、剥離シート8と、を備えていなくてもよい。
【0069】
放射線検出器1及びシンチレータパネルユニット100では、第1基板11及び第2基板21がそれぞれ可撓性を有していなくてもよい。その場合、第1基板11及び第2基板21のそれぞれの材料は、例えば、CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)、a-C(アモルファスカーボン)、Al、Cu又はガラスであってもよい。第1基板11及び第2基板21のそれぞれの材料が金属である場合には、第1基板11及び第2基板21のそれぞれの表面及び裏面に、例えば耐食コートとして、機能性の膜(ポリパラキシレン膜等)が形成されていてもよい。当該機能性の膜は、それぞれが異なる機能を有する複数の膜を含む積層膜であってもよい。一例として、第1基板11及び第2基板21のそれぞれの材料がAlである場合には、第1基板11及び第2基板21のそれぞれの表面及び裏面に、アルマイト(陽極酸化アルミナ)膜及びポリパラキシレン膜が形成されていてもよい。放射線検出器1及びシンチレータパネルユニット100では、第1基板11及び第2基板21は、それぞれ、複数の基板(例えば、CFRP基板及びPET基板)を含む積層基板であってもよい。
【0070】
放射線検出器1及びシンチレータパネルユニット100では、第1シンチレータ層12は、第1基板11の外縁11aのうち少なくとも第1部分11bに至っていればよい。同様に、第2シンチレータ層22は、第2基板21の外縁11aのうち少なくとも第2部分21bに至っていればよい。放射線検出器1及びシンチレータパネルユニット100では、第1基板11及び第1シンチレータ層12は、カット又は切り出しによって得られたものに限定されず、第1基板11の側面にまで第1シンチレータ層12が至っているものであってもよい。同様に、第2基板21及び第2シンチレータ層22は、カット又は切り出しによって得られたものに限定されず、第2基板21の側面にまで第2シンチレータ層22が至っているものであってもよい。
【0071】
放射線検出器1では、センサパネル2が可撓性を有していなくてもよい。その場合、センサパネル2において複数の光電変換素子が設けられた基板の材料は、例えば、a-Si(アモルファスシリコン)、Si(シリコン)又はガラス(例えば、無アルカリガラス)である。放射線検出器1では、防湿層5の外縁5aが、受光面2aの周囲のセンサパネル2の表面2bに至っており、封止部材7が、センサパネル2及び防湿層5によって画定された領域が減圧された状態で、センサパネル2の表面2bにおいて防湿層5の外縁5aを封止していてもよい。その場合、接着層3を用いずに防湿層5を第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20に密着させることができる。放射線検出器1では、ハット型に形成された防湿層5が、センサパネル2において第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20に被され、封止部材7が、センサパネル2の表面2bにおいて防湿層5の外縁5aを封止していてもよい。
【0072】
放射線検出器1及びシンチレータパネルユニット100は、防湿層5,5A,5Bを備えていなくてもよい。放射線検出器1及びシンチレータパネルユニット100は、第1保護層13及び第2保護層23を備えていなくてもよい。
【0073】
放射線検出器1の製造方法では、接着する工程において、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれが受光面2aに接着される前に、受光面2aに接着層3が配置されてもよい。その場合、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれを個々に取り扱うことができる。放射線検出器1の製造方法では、防湿層5を配置する工程が、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれを配置する工程の前に実施されてもよい。その場合、受光面2a上に第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20のそれぞれを配置する際に、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20並びに防湿層5を、それらが一体化された状態で取り扱うことができる。
【0074】
上述した放射線検出器1、シンチレータパネルユニット100、及び放射線検出器1の製造方法の全ての実施形態及び変形例等は、一次元又は二次元に配置された複数のシンチレータパネルとして、第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20を備えていればよい。例えば、三枚のシンチレータパネルが一次元に配置されている場合に、任意の「隣接する二枚のシンチレータパネル」を第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20と捉えることができる。また、四枚のシンチレータパネルが二次元に配置されている場合に、任意の「隣接する二枚のシンチレータパネル」を第1シンチレータパネル10及び第2シンチレータパネル20と捉えることができる。
【符号の説明】
【0075】
1…放射線検出器、2…センサパネル、2a…受光面、3…接着層、4…粒状蛍光体、5A…第1防湿層、5B…第2防湿層、10…第1シンチレータパネル、11…第1基板、11a…外縁、11b…第1部分、12…第1シンチレータ層、13…第1保護層、20…第2シンチレータパネル、21…第2基板、21a…外縁、21b…第2部分、22…第2シンチレータ層、23…第2保護層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9