(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099558
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】操作システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213387
(22)【出願日】2020-12-23
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】303055453
【氏名又は名称】株式会社日本電機研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(74)【代理人】
【識別番号】100217467
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴崎 一磨
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 悦三
(72)【発明者】
【氏名】大野 高裕
(72)【発明者】
【氏名】谷口 盛厚
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048BA21
5K048DA02
5K048DC01
5K048EB01
5K048EB02
5K048EB12
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】装置に隣接する操作盤を用いることなく装置をより適切に操作可能な操作システムを提供する。
【解決手段】各々が所定の動作を行う複数の装置4と、装置4の動作状態を制御する第1制御部1と、装置4の操作画面データを生成する第2制御部2と、装置識別データを取得する撮像部37、操作画面を表示する表示部、操作入力される入力部及び操作入力データを生成する端末制御部を有する携帯操作端末3と、を備える。第2制御部2と携帯操作端末3とは、無線通信を介して操作画面データ、対象装置データ及び操作入力データを送受信する。第2制御部2は、対象装置データに基づいて複数の装置4から選択された対象装置4の操作画面データを生成し、且つ、操作入力データに基づいた制御データを第1制御部1に送信し、携帯操作端末3は、操作画面データを受信し、当該操作画面データに基づく操作画面を表示部に表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が所定の動作を行う複数の装置と、
前記複数の装置の動作状態を制御する第1制御部と、
前記複数の装置の各々に対応した操作画面データを生成する第2制御部と、
前記複数の装置の各々に割り当てられた識別データを取得する取得部、操作画面を表示する表示部、前記操作画面に対する作業者の操作が入力される入力部、前記識別データに基づいた対象装置データおよび前記入力部への入力に基づいた操作入力データを生成する端末制御部、を有する携帯操作端末と、を備え、
前記第2制御部と前記携帯操作端末とは、無線通信を介して前記操作画面データ、前記対象装置データおよび前記操作入力データを送受信し、
前記第2制御部は、前記対象装置データに基づいて前記複数の装置から選択された対象装置の前記操作画面データを生成し、且つ前記操作入力データに基づいた制御データを前記第1制御部に送信し、
前記携帯操作端末は、前記操作画面データを受信し、当該操作画面データに基づく前記操作画面を前記表示部に表示する、操作システム。
【請求項2】
前記第2制御部は、Webブラウザ上に表示可能な前記操作画面データを生成し、
前記携帯操作端末は、前記第2制御部から受信した前記操作画面データを、前記表示部にWebブラウザによって表示する、請求項1に記載の操作システム。
【請求項3】
前記第1制御部は、前記対象装置が操作可能な状態であるか否かを含む操作可否データを前記第2制御部に出力し、
前記入力部への操作入力は、前記操作可否データに基づいて前記対象装置が操作可能な状態である場合に許容される、請求項2に記載の操作システム。
【請求項4】
前記入力部への操作入力は、前記携帯操作端末が前記操作画面データに基づいた前記操作画面の表示を開始してから予め設定された操作可能時間が経過するまでの間、許容される、請求項1ないし3のいずれかに記載の操作システム。
【請求項5】
前記複数の装置が配置された領域に離散配置された複数の電波発信部をさらに備え、
前記携帯操作端末は、複数の前記電波発信部からの電波信号を受信する補助通信部をさらに有し、
前記入力部への操作入力は、前記電波信号の強度が最も強い前記電波発信部から所定距離以内に前記対象装置が配置されていない場合に阻止される、請求項1ないし4のいずれかに記載の操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電動機等の操作の対象となる複数の装置を操作する操作システムは、様々な産業で用いられている。特許文献1には、従来の操作システムの一例が開示されている。同文献に開示された操作システムは、複数のアクチュエータ、複数の操作盤、制御装置およびメイン操作盤を備える。複数の操作盤は、各々がアクチュエータを操作するためのものであり、制御装置に接続されている。メイン操作盤は、制御装置に接続されており、複数のアクチュエータのうち任意のアクチュエータを操作可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
操作対象である複数の装置が互いに離れた場所に設置されている場合、メイン操作盤からは各々の装置を目視等によって確認することが困難である。このため、きめ細やかな操作が困難であるという問題がある。また、各々の装置に隣接して設置された装置盤から操作すれば、目視等を伴った操作が可能である。しかし、装置が設置された環境が、たとえば海水に暴露される場所である等の場合には、操作盤が著しい損傷を受けることが懸念される。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、装置に隣接する操作盤を用いることなく装置をより適切に操作可能な操作システムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される操作システムは、各々が所定の動作を行う複数の装置と、前記複数の装置の動作状態を制御する第1制御部と、前記複数の装置の各々に対応した操作画面データを生成する第2制御部と、前記複数の装置の各々に割り当てられた識別データを取得する取得部、操作画面を表示する表示部、前記操作画面に対する作業者の操作が入力される入力部、前記識別データに基づいた対象装置データおよび前記入力部への入力に基づいた操作入力データを生成する端末制御部、を有する携帯操作端末と、を備え、前記第2制御部と前記携帯操作端末とは、無線通信を介して前記操作画面データ、前記対象装置データおよび前記操作入力データを送受信し、前記第2制御部は、前記対象装置データに基づいて前記複数の装置から選択された対象装置の前記操作画面データを生成し、且つ前記操作入力データに基づいた制御データを前記第1制御部に送信し、前記携帯操作端末は、前記操作画面データを受信し、当該操作画面データに基づく前記操作画面を前記表示部に表示する。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2制御部は、Webブラウザ上に表示可能な前記操作画面データを生成し、前記携帯操作端末は、前記第2制御部から受信した前記操作画面データを、前記表示部にWebブラウザによって表示する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1制御部は、前記対象装置が操作可能な状態であるか否かを含む操作可否データを前記第2制御部に出力し、前記入力部への操作入力は、前記操作可否データに基づいて前記対象装置が操作可能な状態である場合に許容される。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記入力部への操作入力は、前記携帯操作端末が前記操作画面データに基づいた前記操作画面の表示を開始してから予め設定された操作可能時間が経過するまでの間、許容される。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の装置が配置された領域に離散配置された複数の電波発信部をさらに備え、前記携帯操作端末は、複数の前記電波発信部からの電波信号を受信する補助通信部をさらに有し、前記入力部への操作入力は、前記電波信号の強度が最も強い前記電波発信部から所定距離以内に前記対象装置が配置されていない場合に阻止される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の操作システムによれば、装置に隣接する操作盤を用いることなく装置をより適切に操作することができる。
【0012】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る操作システムを示す概略配置図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る操作システムの第1制御部を示すシステム構成図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る操作システムの第2制御部を示すシステム構成図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る操作システムの携帯操作端末を示すシステム構成図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る操作システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る操作システムの携帯操作端末の動作例を示す正面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る操作システムの携帯操作端末に表示された操作画面である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る操作システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る操作システムの一例を示す概略配置図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係る操作システムの一例の携帯操作端末を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0015】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に識別のために用いたものであり、それらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る操作システムを示している。本実施形態の操作システムA1は、第1制御部1、第2制御部2、携帯操作端末3および複数の装置4を備えている。
【0017】
〔装置4〕
複数の装置4は、操作システムA1における操作対象物である。装置4は、装置本体40および識別コード41を含む。
【0018】
装置本体40の種類および用途等は何ら限定されない。装置本体40は、種々の産業や工業に用いられるものであり、電気、燃料、空圧、油圧等をエネルギーとして所定の機能を果たす。電気によって駆動する装置本体40としては、たとえば電動機、電動シリンダ、各種バルブ、照明等が挙げられる。燃料によって駆動する装置本体40としては、たとえばエンジン等が挙げられる。空圧によって駆動する装置本体40としては、たとえばエアシリンダ、エアモータ等が挙げられる。油圧によって駆動する装置本体40としては、たとえば油圧シリンダ、油圧モータ等が挙げられる。以降の説明においては、複数の装置本体40が、電動機である場合を例に説明する。また、装置4は、装置本体40の各種状態を検出するセンサ(図示略)を有していてもよい。
【0019】
また、複数の装置4が設置される環境は何ら限定されない。複数の装置4は、1つまたは複数の工場棟等の屋内に設置されていてもよいし、屋外に設置されていてもよい。複数の装置4は、作業者が徒歩によって数分以上かけて移動することが必要な程度に離れていてもよいし、1人の作業者が見渡せる領域等に設置されていてもよい。
【0020】
識別コード41は、それぞれの装置4に個別に割り当てられた識別データを含むものである。識別コード41としては、たとえばQRコード(登録商標)等の2次元パターンコードや、RFID(Radio Frequency Identifier)におけるRFタグ等の近距離無線通信デバイスが挙げられる。
【0021】
〔第1制御部1〕
第1制御部1は、複数の装置4の駆動を制御するものである。第1制御部1の具体的構成は何ら限定されず、たとえばPLC(Programmable Logic Controller)、SC(Sequential Controller)等のいわゆるシーケンサが挙げられる。本実施形態の第1制御部1は、
図2に示すように、第1演算部11、第1通信部12および第1記憶部13を有する。
【0022】
第1演算部11は、第1制御部1の制御を実現する演算を行うものであり、マイクロプロセッサやCPU(Central Processing Unit)である。第1通信部12は、複数の装置4および第2制御部2、並びにシーケンスプログラムを設定するためのPC(personal computer)との間で、データや信号の送受信(入出力)を行うものである。第1記憶部13は、第1制御部1が実行する命令群(シーケンスプログラム)や、制御に用いられる各種データが記憶されるものであり、たとえば半導体メモリである。
【0023】
第1制御部1の設置場所は、何ら限定されない。第1制御部1は、複数の装置4のいずれかの近傍に設置されていてもよいし、複数の装置4のいずれからも離れた遠隔箇所(複数の装置4が屋外に設置されている場合の屋内、あるいは複数の装置4が設置された工場棟とは異なる建物、等)に設置されていてもよい。
【0024】
〔第2制御部2〕
第2制御部2は、複数の装置4の各々に対応した操作画面データを生成する。第2制御部2の具体的構成は何ら限定されず、本実施形態においては、Webサーバとして構成されており、
図3に示すように、第2演算部21、第2通信部22および第2記憶部23を有する。
【0025】
第2演算部21は、複数の装置4の各々に対応した操作画面データを生成を実現するための演算を行うものであり、マイクロプロセッサやCPU(Central Processing Unit)である。
【0026】
第2通信部22は、第1制御部1および複数の装置4との間で、データや信号の送受信(入出力)を行うものである。第2通信部22の通信手法は何ら限定されない。たとえば、本実施形態においては、携帯操作端末3とのデータ送受信を通信ネットワークNを介して行う。通信ネットワークNは、たとえば工場内に構築されたローカルエリアネットワーク、あるいは公衆通信情報網(インターネット)等である。この場合、第2通信部22は、通信ネットワークNを介した通信を行うために、イーサネット等の有線通信規格またはWi-Fi(登録商標)等の無線通信規格に準じた通信が可能に構成されている。また、第2制御部2と第1制御部1との間で専用規格の通信(入出力)が行われる場合、第2通信部22は、当該規格に準じた通信(入出力)が可能に構成されている。
【0027】
第2記憶部23は、第2制御部2が実行する各種プログラムや、各種データやデータベースが記憶されるものであり、たとえば半導体メモリである。
【0028】
〔携帯操作端末3〕
携帯操作端末3は、複数の装置4の操作を行う作業者が携帯する端末である。携帯操作端末3の具体的構成は何ら限定されず、タブレット、スマートフォン、PC等が挙げられる。
図1に示す例においては、携帯操作端末3は、タブレットとして構成されている。
図4に示すように、携帯操作端末3は、端末演算部31、端末通信部32、端末記憶部33、表示部34および入力部35を有する。
【0029】
端末演算部31は、携帯操作端末3を用いた操作を実現するための演算を行うものであり、マイクロプロセッサやCPU(Central Processing Unit)である。
【0030】
端末通信部32は、第2制御部2との間で、データや信号の送受信(入出力)を行うものである。端末通信部32の通信手法は何ら限定されない。たとえば、本実施形態においては、第2制御部2とのデータ送受信を通信ネットワークNを介して行う。この場合、端末通信部32は、たとえばWi-Fi(登録商標)等の無線通信規格に準じた通信が可能に構成されている。
【0031】
端末記憶部33は、携帯操作端末3が実行する各種プログラムや、各種データが記憶されるものであり、たとえば半導体メモリである。
【0032】
表示部34は、装置4を操作するための操作画面をはじめ、種々の情報等が表示されるものである。表示部34は、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等である。入力部35は、作業者の操作入力がなされるものである。入力部35は、たとえば静電式または抵抗膜式等の位置入力デバイスやキーボード、マウス等である。本実施形態においては、表示部34および入力部35は、タッチパネル36として構成されている。
【0033】
撮像部37は、本発明の取得部の一例であり、装置4の識別コード41がQRコード(登録商標)等の2次元パターンコードによって構成されている場合に、識別コード41を撮影するものである。撮像部37は、たとえばCCD素子等の撮像素子およびレンズを有する。なお、識別コード41が、RFID(Radio Frequency Identifier)のRFタグである場合、撮像部37に代えて、取得部としてRFリーダとして機能する無線受信部を採用すればよい。
【0034】
ここで、本実施形態における、第2制御部2による操作画面データの生成および携帯操作端末3による操作画面の表示の一構成例について説明する。
【0035】
本例においては、Webアプリケーションが採用されている。Webアプリケーションは、サーバ側(第2制御部2側)で動作するバックエンドと、ユーザ側(作業者側:携帯操作端末3側)で動作するフロントエンドとが存在する。
【0036】
バックエンドは、当該Webアプリケーションのデータ処理やデータ保存、データや信号の入出力等を実行する部分を指す。バックエンドは、第2制御部2においてJava、PHP、Python、Ruby等のプログラム言語で構築されたプログラムや、SQL等のデータベース言語で構築されたデータベースによって構成される。また、第2制御部2は、Webアプリケーションを携帯操作端末3に配信するためのアプリ配信プログラム、装置4に関する関係図書や取扱説明書を配信するマニュアル配信プログラム、およびこれらの配信システムを実行するためのバックエンドAPI(Application Programming Interface)を含んでいてもよい。これらのプログラムは、第2制御部2の第2記憶部23に格納されており、第2演算部21によって実行される。
【0037】
本実施形態においては、第2制御部2において構築されたバックエンドプログラムが、複数の装置4の各々に対応する操作画面を提供する。したがって、操作データの生成は、バックエンドプログラムがインストールされることを指してもよいし、バックエンドプログラムが第2記憶部23から読み込まれて第2演算部21によって実行されることを指してもよい。
【0038】
フロントエンドは、作業者が当該Webアプリケーションにアクセスするために、携帯操作端末3に表示され、携帯操作端末3において操作入力される部分を指す。フォロンとエンドは、HTML、CSS、JavaScript等のプログラム言語で構築されたプログラムによって構成される。これらのプログラムの実行は、携帯操作端末3の端末演算部31によってWebブラウザが実行され、このWebブラウザ上において第2制御部2のWebプログラムを指定するURL(Uniform Resource Locator)等のWebアドレスが入力されることによって実行される。
【0039】
本実施形態においては、携帯操作端末3において第2制御部2のWebアプリケーションのアドレスを入力し、操作対象とする装置4の対象装置データを入力することにより、対象装置となる装置4の操作画面が表示部34(タッチパネル36)に表示される。これが、装置4の識別データの送信、操作画面データの受信および操作画面の表示に相当する。
【0040】
次に、操作システムA1の動作例について説明する。本例においては、
図1に示すように、複数の装置4として、装置4A,4B,4C,4D,4E,4Fが、互いに離れた位置に配置されている。
【0041】
図5は、操作システムA1の動作例を示すフローチャートである。ステップSSにおいて操作システムA1における操作処理が開始する。ステップS1では、複数の装置4から操作対象とする対象装置を選択し、その識別データを取得する。具体的には、複数の装置4から、対象装置として装置4Aを選択する場合、作業者は、携帯操作端末3を携帯して装置4aの近くに移動する。そして、携帯操作端末3の撮像部37によって、装置4Aの識別コード41を撮影する。端末演算部31は、撮像部37の撮影データから識別コード41に含まれる装置4Aの識別コードを取得する。
【0042】
次いで、識別コードを用いた対象装置の特定を行う(ステップS2)。具体的には、端末演算部31は、装置4Aの識別コードに基づいて、URL等のWebアドレスを生成する。そして、端末通信部32は、Wi-Fi等によって通信ネットワークNを介してWebブラウザ上で上述のWebアドレスにアクセスする。このWebアドレスは、装置4Aの識別コードに基づくものであり、装置4Aに固有のものである。端末通信部32が、Webブラウザ上でこのWebアドレスにアクセスすると、当該アクセスを第2制御部2の第2演算部21が認識する。
【0043】
次いで、第2制御部2は、操作画面データを生成する(ステップS3)。ただし、上述した通り、Webアプリケーションがバックエンドですでに実行されていると、装置4Aに対応した操作画面データは、すでに第2制御部2内において構築が完了している場合がある。第2制御部2は、Webアプリケーションの実行により、装置4Aに対応する操作画面データを上述の配信プログラム等によって通信ネットワークNを介して第2制御部2に配信する。これが、操作画面データの送受信である。(ステップS4)。
【0044】
本実施形態においては、操作画面データは、HTMLやCSS等のプログラム言語で構築されている。操作画面データを受信した端末演算部31は、操作画面データに基づいた操作画面を表示部34においてWebブラウザの画面として表示する(ステップS5)。
図7は、操作画面の一例を示している。具体的には、Webブラウザのアドレス入力欄Adに、装置4Aの識別コードに基づいたURL等のWebアドレスが自動入力されており、装置4Aの実物を視覚的に表示した実物画像、装置ID、ON/OFF操作ボタンアイコン、回転数表示アイコン、回転数の上昇/下降操作ボタンアイコン、終了(END)ボタンアイコン等が表示されている。なお、本発明の操作画面の具体的内容は何ら限定されない。また、回転数等の装置4Aの状態は、装置4Aに設けられたセンサ(図示略)の出力を第1制御部1、第2制御部2を経由して携帯操作端末3に送信されていてもよい。また、
図7に示す操作画面の表示に先立ち、第2制御部2は、たとえばモード選択画面データを生成し、携帯操作端末3は、当該モード選択画面データに基づくモード選択画面を表示してもよい。このモード選択画面は、たとえば、装置4の操作、装置4に関連する図面、装置4に関連する取扱説明書、等の選択肢が表示される。装置4に関連する図面が選択された場合、第2制御部2の第2記憶部23に記憶された図面データに基づいて図面表示画面データが生成され、携帯操作端末3は、当該図面表示画面データに基づく図面表示画面を表示する。あるいは、装置4に関連する取扱説明書が選択された場合、第2制御部2の第2記憶部23に記憶された取扱説明書データに基づいて取扱説明書画面データが生成され、携帯操作端末3は、当該取扱説明書画面データに基づく取扱説明書画面を表示する。
【0045】
図示された操作画面上で作業者が操作すると(ステップS6:Yes)、その操作入力がタッチパネル36の入力部35に入力される。端末演算部31は、入力部35からの入力信号に基づいて操作入力データを生成する。そして、端末通信部32から通信ネットワークNを介して第2制御部2へと操作入力データを送信する。第2制御部2は、操作入力データを受信すると、当該操作入力データまたは当該操作入力データに基づいて生成した操作入力データを第1制御部1に転送する(ステップS7)。第1制御部1は、受信した操作入力データに基づいて、対象装置である装置4Aの動作を制御する(ステップS8)。
【0046】
ステップS8の制御が完了した後、あるいはステップS6で操作入力がなされなかった場合(ステップS6:No)、携帯操作端末3において作業者の操作終了を待機する(ステップS9)。たとえば、
図7の終了(END)ボタンアイコンがタッチされると(ステップS9:Yes)、第2制御部2および携帯操作端末3は、装置4Aの操作画面の表示を終了する(ステップSE)。一方、終了(END)ボタンアイコンがタッチされていないと(ステップS9:No)、ステップS6を再び実行する。
【0047】
以上より、操作システムA1による対象装置(装置4A)の操作が完了する。
【0048】
次に、操作システムA1の作用について説明する。
【0049】
本実施形態によれば、複数の装置4のそれぞれの操作を携帯操作端末3を用いて行う。このため、それぞれの装置4の近傍に個別の操作盤を設置する必要がない。したがって、複数の装置4が海水に暴露される場所等の腐食を受けやすい環境に設置されている場合に、腐食等を受けにくい携帯操作端末3を用いてより適切に操作することができる。また、操作盤を腐食から保護するための方策や、腐食した操作盤の修理または交換等の対策が強いられない。したがって、作業者の負担を軽減するとともに、複数の装置4の運用コストを低減することができる。
【0050】
操作システムA1には、Webアプリケーションが用いられている。操作画面データの生成は、バックエンドのプログラムが実行されることによって実現されている。携帯操作端末3は、Webブラウザ等のフロントエンドのプログラムを実行することに限定されており、複数の装置4の個々に対応する操作画面データのすべてを常に記憶しておく必要がない。したがって、携帯操作端末3のシステム負担を軽減することができる。また、複数の装置4に増減や仕様変更が生じた場合や、各々の操作画面の仕様を変更する場合、第2制御部2のバックエンドのプログラムやデータベースを変更すればよく、携帯操作端末3のプログラムの変更は不要である。したがって、システム管理が容易であり、複数の作業者が複数の携帯操作端末3を使用する場合に、それぞれの携帯操作端末3に頻繁にアップデート作業を行う必要がないという利点がある。
【0051】
図7に示すように、携帯操作端末3の表示部34(タッチパネル36)に表示された操作画面には、対象装置である装置4Aの実物に対応した画像が表示されている。これにより、作業者は、複数の装置4のいずれが操作対象であるかを、より直感的に把握することが可能である。これは、操作の簡便化や効率向上に有利である。また、装置4を表す情報として、静止画像の他にアニメーションや動画を用いれば、より正確な操作や多彩な操作を行うのに好ましい。
【0052】
図8~
図10は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0053】
<第2実施形態>
図8は、本発明の第2実施形態に係る操作システムの動作を示すフローチャートである。本実施形態においては、ステップSaを実行する。
【0054】
ステップSaは、複数の装置4のうち選択された対象装置(たとえば装置4A)について、操作入力を受け付けてよい状態であるか、否かを判断するステップである。ステップSaは、たとえば第2制御部2のバックエンドで実行されてもよいし、携帯操作端末3で実行されてもよい。
【0055】
ステップSaの一例としては、第1制御部1による装置4の状態監視結果を用いる手法が挙げられる。たとえば、第2制御部2の指令により、装置4の各々に設けられたセンサ(温度計、圧力計等)の出力を、第1制御部1が取得する。第1制御部1の第1演算部11は、たとえば予め第1記憶部13に記録された操作可否基準とセンサの出力とを比較することにより、対象装置(たとえば装置4A)が操作可能な状態であるか否かを判断する。そして、第1制御部1は、装置4Aの操作可否データを第2制御部2に送信する。
【0056】
第2制御部2は、受信した操作可否データが操作可能である場合(ステップSa:Yes)、ステップS6以降を実行する。一方、操作可否データが操作不可である場合(ステップSa:No)、第2制御部2は、装置4Aの操作を終了する(ステップSE)。
【0057】
本例によれば、上述した操作システムA1と同様の効果を奏する。また、対象装置である装置4Aが操作可能な状態であるか否かに基づいて、装置4Aへの操作を許容する。このため、装置4Aが操作に不適である状態であるにも関わらず、作業者の操作入力にしたがって第1制御部1が装置4Aを操作してしまうことを回避することができる。なお、ステップSa以外のタイミングにおいて、操作可否に基づいて操作入力を割り込み処理等によって中断する構成であってもよい。また、装置4の各々に設けられたセンサの出力に代えて、たとえば第1制御部の近傍に設けられた切替スイッチに基づいて、操作可否が判断される構成であってもよい。この切替スイッチとしては、たとえば、複数の装置4の状態以外に、工場等の状態などさらに上位の条件に基づいて、作業者が操作するスイッチが例示される。
【0058】
ステップSaの他の例としては、同一の装置4(たとえば装置4A)の操作画面の表示を開始してから予め設定された操作可能時間が経過するまでの間、操作入力を許容する。すなわち、ステップSaにおいては、ステップS5で操作画面が表示されてからの経過時間と上述の操作可能時間とを比較する。この比較は、第2制御部2の第2演算部21で行ってもよいし、携帯操作端末3の端末通信部32で行ってもよい。そして、経過時間が操作可能時間を超えない場合(ステップSa:Yes)、ステップS6以降を実行する。一方、経過時間が操作可能時間を超えている場合(ステップSa:No)、第2制御部2は、装置4Aの操作を終了する(ステップSE)。
【0059】
本例によれば、上述した操作システムA1と同様の効果を奏する。また、ステップS1において対象装置である、たとえば装置4Aの識別データを取得した後に、不必要に時間が経過した後には、作業者が装置4Aから離れてしまっているケースが想定される。このような場合に装置4Aに関する操作入力を受け付けると、目視による確認等を伴わない操作入力を許容してしまうことが懸念される。本例によれば、たとえば作業者が対象装置の周辺に留まっていると想定される時間長さに操作可能時間を設定することにより、対象装置から離れてしまった作業者の操作入力を防止することができる。
【0060】
図9は、第2実施形態に係る操作システムの他の例を示している。本例の操作システムA2は、複数の電波発信部5を備えている。複数の電波発信部5は、各々がBeacon等の近距離測位に用いられる電波を発信する。図示された例においては、複数の電波発信部5として、電波発信部5A,5B,5C,5D,5E,5Fが設けられている。電波発信部5A,5B,5C,5D,5E,5Fのそれぞれから、予め設定された所定距離以内の領域をそれぞれ領域Ra,Rb,Rc,Rd,Re,Rfとして設定されている。領域Ra,Rb,Rc,Rd,Re,Rfには、装置4A,4B,4C,4D,4E,4Fがそれぞれ配置されている。
【0061】
図10は、本例の携帯操作端末3を示すシステム構成図である。同図に示す携帯操作端末3は、補助通信部38をさらに有している。補助通信部38は、電波発信部5からのBeacon電波を受信するものであり、たとえば受信したBeacon電波強度を出力する。なお、端末通信部32と補助通信部38とは、1つの統合通信モジュールとして構成されていてもよいし、別々のモジュールとして構成されていてもよい。
【0062】
ステップSaにおいては、対象装置(たとえば装置4A)に対応する電波発信部5AからのBeacon電波強度を端末演算部31が補助通信部38から取得する。このBeacon電波強度に基づいて、携帯操作端末3または第2制御部2は、携帯操作端末3が領域Ra内に位置しているか否かを判断する。なお、複数の装置4、複数の電波発信部5、複数の領域Rの対応データは、第2制御部2の第2記憶部23または携帯操作端末3の端末記憶部33等に予め格納されている。携帯操作端末3が領域Ra内に存在する場合(ステップSa:Yes)、ステップS6以降を実行する。一方、携帯操作端末3が領域Ra内に存在しない場合(ステップSa:No)、第2制御部2は、装置4Aの操作を終了する(ステップSE)。
【0063】
本例によれば、上述した操作システムA1と同様の効果を奏する。また、複数の電波発信部5からの電波を携帯操作端末3の補助通信部38によって受信することにより、対象装置(たとえば装置4A)が存在する領域Raに作業者(携帯操作端末3)が存在する場合にのみ、装置4Aについての操作入力を許容することができる。したがって、作業者が対象装置(たとえば装置4A)から離れてしまった場合に、装置4Aに関する操作入力をより確実に阻止することができる。
【0064】
本発明に係る操作システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る操作システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0065】
A1,A2:操作システム、1:第1制御部、2:第2制御部、3:携帯操作端末、4,4A,4B,4C,4D,4E,4F,4a:装置、5,5A,5B,5C,5D,5E,5F:電波発信部、11:第1演算部、12:第1通信部、13:第1記憶部、21:第2演算部、22:第2通信部、23:第2記憶部、31:端末演算部、32:端末通信部、33:端末記憶部、34:表示部、35:入力部、36:タッチパネル、37:撮像部(取得部)、38:補助通信部、40:装置本体、41:識別コード、N:通信ネットワーク、R,Ra,Rb,Rc,Rd,Re,Rf:領域