(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099585
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】箔転写装置
(51)【国際特許分類】
B44C 1/17 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
B44C1/17 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213429
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】堀川 竜太郎
【テーマコード(参考)】
3B005
【Fターム(参考)】
3B005EB07
3B005FA04
3B005FB54
3B005GA02
3B005GB03
3B005GC05
(57)【要約】
【課題】シートの間隔を短くすることができる箔転写装置を提供する。
【解決手段】箔転写装置は、シートSに箔を転写する転写部と、転写部に向けてシートSを供給する供給ローラ(ピックアップローラ11A)と、シートSを検知するシートセンサ(後端検知センサSS1)と、制御部とを備える。制御部は、複数のシートSを連続して供給する場合、第1のシートS1を所定のタイミングで供給する。制御部は、第1のシートS1を供給した後にシートセンサが第1のシートS1を検知してから第1のシートS1を検知しなくなるまでの時間を計測して第1時間に設定し、第1のシートS1の次の第2のシートS2を、シートセンサが第1のシートS1を検知しなくなったタイミングで供給する。制御部は、第2のシートS2の次の第3のシートS3を、シートセンサが第2のシートS2を検知してから第1時間よりも短い第2時間が経過したタイミングで供給する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、シートに箔を転写する箔転写装置であって、
シートに箔を転写する転写部と、
前記転写部に向けてシートを供給する供給ローラと、
前記転写部に向けて供給されるシートを検知するシートセンサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、複数のシートを連続して供給する場合、
前記供給ローラを制御して、第1のシートを所定のタイミングで供給し、
第1のシートを供給した後に前記シートセンサが第1のシートを検知してから第1のシートを検知しなくなるまでの時間を計測して第1時間に設定し、
前記供給ローラを制御して、第1のシートの次の第2のシートを、前記シートセンサが第1のシートを検知しなくなったタイミングで供給し、
前記供給ローラを制御して、第2のシートの次の第3のシートを、前記シートセンサが第2のシートを検知してから前記第1時間よりも短い第2時間が経過したタイミングで供給する
ことを特徴とする箔転写装置。
【請求項2】
前記制御部は、4枚以上のシートを連続して供給する場合、
前記供給ローラを制御して、4枚目以降のシートを、前記シートセンサが先行するシートを検知してから前記第2時間が経過したタイミングで供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の箔転写装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記シートセンサが先行するシートを検知してから前記第2時間が経過する前であっても前記シートセンサが当該先行するシートを検知しなくなった場合には、前記供給ローラを制御して、当該先行するシートの次のシートを供給することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記シートセンサが先行するシートを検知してから前記第2時間が経過する前に前記シートセンサが当該先行するシートを検知しなくなった場合、その後、前記第1時間を、前記シートセンサが当該先行するシートを検知してから当該先行するシートを検知しなくなるまでの時間に変更し、前記第2時間を、変更後の第1時間よりも短い時間に設定することを特徴とする請求項3に記載の箔転写装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2時間が経過したタイミングで次のシートの供給を開始した後に、前記シートセンサが先行するシートを検知してからの経過時間が前記第1時間よりも第1所定時間以上長い場合、前記供給ローラを制御して、当該次のシートの供給を停止し、前記シートセンサが当該先行するシートを検知しなくなったタイミングで、当該次のシートの供給を再開することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2時間が経過したタイミングで次のシートの供給を開始した後に、前記シートセンサが先行するシートを検知してからの経過時間が前記第1時間よりも前記第1所定時間以上長い場合、前記シートセンサが当該先行するシートを検知しなくなった後、前記第1時間を、前記シートセンサが当該先行するシートを検知してから当該先行するシートを検知しなくなるまでの時間に変更し、前記第2時間を、変更後の第1時間よりも短い時間に設定することを特徴とする請求項5に記載の箔転写装置。
【請求項7】
前記第2時間は、前記第1時間から第2所定時間を引いた時間であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項8】
前記第2所定時間は、前記供給ローラによりシートの供給を開始してから当該シートの先端が前記シートセンサに到達するまでの時間から、所定の間隔の分だけシートが移動する時間を引いた時間であることを特徴とする請求項7に記載の箔転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、シートに箔を転写する箔転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、箔転写装置として、シートに箔を転写する転写部と、シートを転写部に向けて供給する供給ローラと、転写部に向けて供給されるシートを検知するシートセンサとを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数のシートを連続して供給する場合、次のシートを、シートセンサが先行するシートを検知しなくなったタイミングで供給するように供給ローラを制御する方法が考えられるが、先行するシートと次のシートとの間隔はなるべく短いことが望ましい。シートの間隔が長くなると、例えば、箔転写装置では、複数のシートに連続して箔を転写する場合の印刷時間が長くなったり、シート間においても箔フィルムが搬送される場合に箔フィルムが無駄になったりするからである。
【0005】
そこで、本発明は、シートの間隔を短くすることができる箔転写装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、箔転写装置は、箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、シートに箔を転写する箔転写装置であって、シートに箔を転写する転写部と、転写部に向けてシートを供給する供給ローラと、転写部に向けて供給されるシートを検知するシートセンサと、制御部と、を備える。
制御部は、複数のシートを連続して供給する場合、供給ローラを制御して、第1のシートを所定のタイミングで供給する。
制御部は、第1のシートを供給した後にシートセンサが第1のシートを検知してから第1のシートを検知しなくなるまでの時間を計測して第1時間に設定する。
制御部は、供給ローラを制御して、第1のシートの次の第2のシートを、シートセンサが第1のシートを検知しなくなったタイミングで供給する。
制御部は、供給ローラを制御して、第2のシートの次の第3のシートを、シートセンサが第2のシートを検知してから第1時間よりも短い第2時間が経過したタイミングで供給する。
【0007】
このような構成によれば、第3のシートを、シートセンサが第2のシートを検知しなくなるタイミングよりも早いタイミングで供給することができるので、第2のシートと第3のシートの間隔を短くすることができる。
【0008】
前記した箔転写装置において、制御部は、4枚以上のシートを連続して供給する場合、供給ローラを制御して、4枚目以降のシートを、シートセンサが先行するシートを検知してから第2時間が経過したタイミングで供給する構成とすることができる。
【0009】
これによれば、4枚目以降のシートを、シートセンサが先行するシートを検知しなくなるタイミングよりも早いタイミングで供給することができるので、先行するシートと次のシートの間隔を短くすることができる。
【0010】
前記した箔転写装置において、制御部は、シートセンサが先行するシートを検知してから第2時間が経過する前であってもシートセンサが当該先行するシートを検知しなくなった場合には、供給ローラを制御して、当該先行するシートの次のシートを供給する構成とすることができる。
【0011】
これによれば、第2時間が経過するまで待って次のシートを供給する場合と比較して、先行するシートと次のシートの間隔を短くすることができる。
【0012】
前記した箔転写装置において、制御部は、シートセンサが先行するシートを検知してから第2時間が経過する前にシートセンサが当該先行するシートを検知しなくなった場合、その後、第1時間を、シートセンサが当該先行するシートを検知してから当該先行するシートを検知しなくなるまでの時間に変更し、第2時間を、変更後の第1時間よりも短い時間に設定する構成とすることができる。
【0013】
これによれば、次のシート以降のシートについて、搬送方向における長さが先行するシートと同じである場合には、シートセンサがシートを検知しなくなったタイミングで供給するよりもシートの間隔を短くすることができる。
【0014】
前記した箔転写装置において、制御部は、第2時間が経過したタイミングで次のシートの供給を開始した後に、シートセンサが先行するシートを検知してからの経過時間が第1時間よりも第1所定時間以上長い場合、供給ローラを制御して、当該次のシートの供給を停止し、シートセンサが当該先行するシートを検知しなくなったタイミングで、当該次のシートの供給を再開する構成とすることができる。
【0015】
これによれば、先行するシートの後端部と次のシートの前端部が重なった状態で搬送されるのを抑制することができる。
【0016】
前記した箔転写装置において、制御部は、第2時間が経過したタイミングで次のシートの供給を開始した後に、シートセンサが先行するシートを検知してからの経過時間が第1時間よりも第1所定時間以上長い場合、シートセンサが当該先行するシートを検知しなくなった後、第1時間を、シートセンサが当該先行するシートを検知してから当該先行するシートを検知しなくなるまでの時間に変更し、第2時間を、変更後の第1時間よりも短い時間に設定する構成とすることができる。
【0017】
これによれば、次のシート以降のシートについて、搬送方向における長さが先行するシートと同じである場合には、シートが重なった状態で搬送されるのを抑制しつつ、シートの間隔を短くすることができる。
【0018】
前記した箔転写装置において、第2時間は、第1時間から第2所定時間を引いた時間とすることができる。
【0019】
前記した箔転写装置において、第2所定時間は、供給ローラによりシートの供給を開始してから当該シートの先端がシートセンサに到達するまでの時間から、所定の間隔の分だけシートが移動する時間を引いた時間とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、第2のシートと第3のシートの間隔を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る箔転写装置を示す図(a)と、箔フィルムの構成を示す断面図(b)である。
【
図2】カバーを開いた状態の箔転写装置を示す図である。
【
図3】シートを検知するセンサの配置を示す図である。
【
図4】シートの供給制御と間隔を説明する図(a)~(d)である。
【
図5】シートの供給制御と間隔を説明する図(a)~(d)であり、第2のシート以降のシートの搬送方向における長さが第1のシートよりも短い場合を示す。
【
図6】シートの供給制御と間隔を説明する図(a)~(c)であり、第2のシート以降のシートの搬送方向における長さが第1のシートよりも長い場合を示す。
【
図8】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、方向は、
図1(a)に示す方向で説明する。すなわち、
図1(a)の右側を「前」とし、左側を「後」とし、紙面手前側を「左」とし、紙面奥側を「右」とする。また、
図1(a)の上下を「上下」とする。
【0023】
図1(a)に示すように、箔転写装置1は、箔を含む箔フィルムFにシートSを重ねて、シートSに箔を転写するための装置である。箔転写装置1は、例えば、レーザプリンタなどの画像形成装置によってシートS上に形成されたトナー像の上にアルミニウムなどの箔を転写することで、シートSに箔の画像を形成する。箔転写装置1は、筐体2と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、転写部50とを備えている。
【0024】
筐体2は、樹脂などからなり、筐体本体21と、カバー22とを備えている。
筐体本体21は、上部に開口21A(
図2参照)を有している。開口21Aは、筐体本体21に後述するフィルムユニットFUを着脱するための開口である。
カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、筐体本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを塞ぐ閉位置と、開口21Aを開放する開位置(
図2参照)との間で回動可能である。
【0025】
シート搬送部10は、シート供給装置11と、シート排出装置12とを備えている。
シート供給装置11は、後述するシートトレイ3上のシートSを1枚ずつ転写部50に供給する装置である。シート供給装置11は、シートトレイ3と、供給ローラの一例としてのピックアップローラ11Aと、リタードローラ11Bと、搬送ローラ11Cとを備えている。
【0026】
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルムなどのシートSが載置されるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。シートSは、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上に載置される。
【0027】
ピックアップローラ11Aは、シートトレイ3上のシートSを転写部50に向けて供給するためのローラである。
【0028】
リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aによって搬送されるシートSを1枚に分離するためのローラである。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aの上に配置されている。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSの上に重なっているシートSをシートトレイ3に向けて戻す方向に回転可能となっている。
【0029】
搬送ローラ11Cは、一対のローラからなり、一対のローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。搬送ローラ11Cは、ピックアップローラ11Aと転写部50との間に配置され、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSを転写部50に搬送する。
【0030】
シート排出装置12は、転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する装置である。シート排出装置12は、中間排出ローラ12Aと、排出ローラ12Bとを備えている。中間排出ローラ12Aおよび排出ローラ12Bは、それぞれ、一対のローラからなり、一対のローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。
【0031】
中間排出ローラ12Aは、転写部50から送り出されるシートSを排出ローラ12Bに向けて搬送するためのローラである。中間排出ローラ12Aは、搬送方向において、転写部50の下流に配置されている。なお、以下の説明では、シートSの搬送方向を、単に「搬送方向」ともいう。
【0032】
排出ローラ12Bは、中間排出ローラ12Aで送り出されるシートSを筐体2の外に向けて排出するためのローラである。排出ローラ12Bは、搬送方向において、中間排出ローラ12Aの下流に配置されている。
【0033】
フィルム供給部30は、シート供給装置11から搬送されたシートSに重ねるように箔フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムユニットFUと、モータ80を備えている。
【0034】
フィルムユニットFUは、
図2に示すように、筐体本体21に上から着脱可能となっている。フィルムユニットFUは、供給リール31と、巻取リール35と、第1案内軸41と、第2案内軸42と、第3案内軸43とを備えている。フィルムユニットFUの供給リール31には、箔フィルムFが巻回されている。
【0035】
図1(b)に示すように、箔フィルムFは、支持層F1と、被支持層F2とを有する。
支持層F1は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層F2を支持している。
【0036】
被支持層F2は、剥離層F21と、転写層F22と、接着層F23とを有する。
剥離層F21は、支持層F1から転写層F22を剥離しやすくするための層であり、支持層F1と転写層F22との間に配置されている。剥離層F21は、支持層F1から剥離しやすい透明な材料、例えば、ワックス系樹脂を含んでいる。
【0037】
転写層F22は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウムなどの薄い金属である。また、転写層F22は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層F22は、剥離層F21と接着層F23との間に配置されている。
【0038】
接着層F23は、転写層F22をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層F23は、転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば、塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
【0039】
図1(a)に示すように、供給リール31は、樹脂などからなり、箔フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。供給軸部31Aには、箔フィルムFの一端が固定されている。
巻取リール35は、樹脂などからなり、箔フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。巻取軸部35Aには、箔フィルムFの他端が固定されている。
【0040】
なお、
図1(a)などにおいては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に箔フィルムFが最大に巻回された状態を図示することとする。実際には、フィルムユニットFUが新品の状態においては、供給リール31に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最大となっており、巻取リール35には箔フィルムFが巻回されていない、もしくは、巻取リール35に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最小となっている。また、フィルムユニットFUの寿命時(箔フィルムFを使い切ったとき)においては、巻取リール35に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最大となり、供給リール31には箔フィルムFが巻回されていない、もしくは、供給リール31に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最小となる。
【0041】
第1案内軸41、第2案内軸42および第3案内軸43は、箔フィルムFの進行方向を変更するためのローラ状の軸である。第1案内軸41、第2案内軸42および第3案内軸43は、SUS(ステンレス鋼)などからなっている。
【0042】
第1案内軸41は、シートSの搬送方向において、転写部50の上流に位置する。第1案内軸41は、供給リール31から引き出される箔フィルムFの進行方向を、シートSの搬送方向と略平行となるように変更する。第1案内軸41によって案内される箔フィルムFは、被支持層F2(
図1(b)参照)を上に向けた状態で、転写部50に向けて搬送される。また、シートSは、被支持層F2が上に向いた状態の箔フィルムFの上に重ねられて、箔フィルムFとともに転写部50に向けて搬送される。
【0043】
第2案内軸42は、シートSの搬送方向において、転写部50の下流に位置する。第2案内軸42は、転写部50を通過した箔フィルムFの進行方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更することで、箔フィルムFをシートSから剥離させる。
【0044】
第3案内軸43は、第2案内軸42によって変更される箔フィルムFの進行方向を規定する部材である。詳しくは、第3案内軸43は、シートSから箔フィルムFを剥離させるときの箔フィルムFの角度である剥離角度を規定している。ここで、剥離角度は、箔フィルムFのうち、第1案内軸41と第2案内軸42の間で張架される部分と、第2案内軸42と第3案内軸43の間で張架される部分とのなす角である。第3案内軸43は、第2案内軸42で案内された箔フィルムFの進行方向を変更して巻取リール35に案内する。
【0045】
フィルムユニットFUを箔転写装置1に装着した状態において、巻取リール35は、筐体2に設けられたモータ80によって図示反時計回りに回転駆動される。巻取リール35が回転すると、供給リール31に巻回された箔フィルムFが引き出され、引き出された箔フィルムFが各案内軸41~43で案内されて巻取リール35に巻き取られていく。詳しくは、箔転写中において、加圧ローラ51と加熱ローラ61によって箔フィルムFが送り出されることで、供給リール31から箔フィルムFが引き出される。そして、加圧ローラ51と加熱ローラ61から送り出された箔フィルムFが、巻取リール35に巻き取られていく。
【0046】
転写部50は、シートSに画像を形成するための部分である。詳しくは、転写部50は、シートSと箔フィルムFを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の上に箔(転写層F22)を転写して、シートSに箔の画像を形成する。転写部50は、加圧ローラ51と、加熱ローラ61と、圧接離間機構70とを備えている。転写部50は、加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部において、シートSと箔フィルムFを重ねて加熱および加圧する。
【0047】
加圧ローラ51は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ51は、箔フィルムFの上側に配置され、シートSの裏面(トナー像が形成された面である表面と反対側の面)と接触可能となっている。加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間でシートSおよび箔フィルムFを挟み、モータ80によって回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。
【0048】
加熱ローラ61は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータHを配置したローラであり、箔フィルムFおよびシートSを加熱している。加熱ローラ61は、箔フィルムFの下側に配置され、箔フィルムFと接触している。加熱ローラ61は、箔フィルムFおよびシートSを加熱する。
【0049】
圧接離間機構70は、加熱ローラ61および加圧ローラ51のうち一方のローラを、他方のローラに圧接した圧接位置と、他方のローラから離間した離間位置との間で移動させるための機構である。本実施形態において、圧接離間機構70は、加熱ローラ61を、
図1に実線で示す圧接位置と、
図1に仮想線で示す離間位置との間で移動させる構成となっている。本実施形態において、圧接位置は、加熱ローラ61が加圧ローラ51に圧接した位置であり、離間位置は、加熱ローラ61が加圧ローラ51から離間した位置である。
【0050】
このように構成された箔転写装置1では、シートSの表面を下向きにしてシートトレイ3に載置されたシートSが、シート供給装置11により1枚ずつ転写部50に向けて搬送される。シートSは、転写部50の搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された箔フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と箔フィルムFの被支持層F2とが接触した状態で転写部50に搬送される。
【0051】
転写部50においては、シートSと箔フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、トナー像の上に箔(被支持層F2)が転写される。
【0052】
箔が転写された後、シートSと箔フィルムFは貼り付いた状態で第2案内軸42まで搬送される。シートSと箔フィルムFが第2案内軸42を通過すると、箔フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから箔フィルムFが剥離、すなわち、トナー像に接着した被支持層F2が、箔フィルムFの支持層F1から剥離される。
【0053】
シートSから剥離され、シートS上のトナー像に接着した被支持層F2から剥離した支持層F1を含む箔フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、箔フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出装置12によって、箔が転写された表面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
【0054】
図3に示すように、シート供給装置11は、シートセンサの一例としての後端検知センサSS1と、幅検知センサSS2と、セット検知センサSS3と、排出センサSS4と、制御部100(
図1参照)とをさらに備えている。なお、以下の説明では、シートSの搬送方向に直交する方向であるシートSの幅方向を、単に「幅方向」ともいう。本実施形態において、幅方向は、左右方向に相当する。
【0055】
後端検知センサSS1および幅検知センサSS2は、転写部50に向けて供給されるシートSを検知するためのセンサである。セット検知センサSS3は、シートトレイ3に載置されるシートSを検知するためのセンサである。箔転写装置1では、セット検知センサSS3によりシートトレイ3にシートSが載置されているか否かを検知可能である。排出センサSS4は、転写部50から送り出されるシートSを検知するためのセンサである。
【0056】
ここで、センサSS1~SS4としては、例えば、シートSが接触することで回動するレバーと、レバーの位置を検知する光センサとからなるセンサを用いることができる。
【0057】
後端検知センサSS1、幅検知センサSS2およびセット検知センサSS3は、搬送方向において、転写部50の上流に配置されている。また、後端検知センサSS1、幅検知センサSS2および排出センサSS4は、搬送方向において、ピックアップローラ11Aの下流に配置されている。また、排出センサSS4は、搬送方向において、転写部50の下流に配置されている。
【0058】
詳しくは、後端検知センサSS1および幅検知センサSS2は、搬送方向において、ピックアップローラ11Aと転写部50の間に配置されている。より詳しくは、後端検知センサSS1および幅検知センサSS2は、搬送方向において、ピックアップローラ11Aと搬送ローラ11Cの間に配置されている。
【0059】
また、後端検知センサSS1は、幅方向において、転写部50の端よりも中央に近い位置に配置されている。具体的には、後端検知センサSS1は、幅方向において、加熱ローラ61の中心C付近に配置されている。
【0060】
幅検知センサSS2は、搬送方向において、後端検知センサSS1の上流に配置されている。また、幅検知センサSS2は、幅方向において、後端検知センサSS1と異なる位置に配置されている。具体的には、幅検知センサSS2は、幅方向において、後端検知センサSS1よりも転写部50の中央から遠い位置に配置されている。より具体的には、幅検知センサSS2は、幅方向において、加熱ローラ61の中心Cと左端部の間に配置されている。
【0061】
本実施形態において、箔転写装置1は、レターサイズやA4サイズ、A5サイズなどの定形サイズのシートSを、幅方向における転写部50(加熱ローラ61)の中心Cを搬送中心として搬送するように構成されている。幅検知センサSS2は、一例として、幅方向において、A5サイズ以上の幅のシートSを検知することはできるが、A6サイズ以下の幅のシートSを検知することはできないような位置に配置されている。
【0062】
セット検知センサSS3は、搬送方向において、後端検知センサSS1および幅検知センサSS2の上流に配置されている。詳しくは、セット検知センサSS3は、搬送方向において、ピックアップローラ11Aの上流に配置されている。具体的には、セット検知センサSS3は、シートトレイ3に設けられている。また、セット検知センサSS3は、幅方向において、加熱ローラ61の中心Cに対し右にずれた位置に配置されている。
【0063】
排出センサSS4は、搬送方向において、転写部50と排出ローラ12Bの間に配置されている。より詳しくは、排出センサSS4は、搬送方向において、中間排出ローラ12Aと排出ローラ12Bの間に配置されている。また、排出センサSS4は、幅方向において、転写部50の端よりも中央に近い位置に配置されている。具体的には、排出センサSS4は、幅方向において、加熱ローラ61の中心C付近に配置されている。
【0064】
本実施形態において、センサSS1~SS4は、シートSを検知しているときに検知信号を制御部100に出力し、シートSを検知していないときに非検知信号を制御部100に出力する。このため、制御部100に出力される信号が非検知信号から検知信号に切り替わったときがシートSを検知したときとなり、制御部100に出力される信号が検知信号から非検知信号に切り替わったときがシートSを検知しなくなったときとなる。なお、検知信号と非検知信号は、どちらの電圧が高くても構わない。
【0065】
制御部100(
図1(a)参照)は、CPU、RAM、ROM、入出力回路などを備えており、ROMなどに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。
【0066】
本実施形態において、制御部100は、シートトレイ3に載置された複数のシートSを連続して供給する場合、以下で説明するタイミングで、第1のシートS、第1のシートSの次の第2のシートS、第2のシートSの次の第3のシートSを順次、転写部50に向けて供給する。なお、後で参照する
図4~
図7においては、第1のシートSを「S1」、第2のシートSを「S2」、第3のシートSを「S3」、第3のシートSの次の第4のシートSを「S4」と表記している。
【0067】
制御部100は、ピックアップローラ11Aを制御して、第1のシートSを所定のタイミングで供給する。具体的には、制御部100は、箔転写開始の指令を受信した場合、まず、箔転写準備処理を実行する。制御部100は、箔転写準備処理において、例えば、各ローラ11B,11C,51,12A,12Bを回転させたり、圧接離間機構70を制御して加熱ローラ61を圧接位置に移動させたり、加熱ローラ61のヒータHを制御して転写部50を箔転写のための所定の温度に加熱したりする。そして、
図4(a)に示すように、制御部100は、箔転写準備処理が終了したタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第1のシートS(S1)を転写部50に向けて供給する。
【0068】
制御部100は、第1のシートSを供給した後に後端検知センサSS1が第1のシートSを検知してから第1のシートSを検知しなくなるまでの時間を計測して第1時間t1に設定する。具体的には、制御部100は、第1のシートS(S1)が後端検知センサSS1で検知されて後端検知センサSS1から出力される信号が非検知信号から検知信号に切り替わったときに時間の計測を開始する。その後、制御部100は、第1のシートS(S1)の後端が後端検知センサSS1を抜けて後端検知センサSS1から出力される信号が検知信号から非検知信号に切り替わったときに時間の計測を終了する。時間の計測が終了したら、制御部100は、計測した時間を第1時間t1に設定する。
【0069】
制御部100は、ピックアップローラ11Aを制御して、第2のシートSを、後端検知センサSS1が第1のシートSを検知しなくなったタイミングで供給する。具体的には、
図4(b)に示すように、制御部100は、第1のシートS(S1)の後端が後端検知センサSS1を抜けて後端検知センサSS1から出力される信号が検知信号から非検知信号に切り替わったタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第2のシートS(S2)を転写部50に向けて供給する。この場合、第1のシートS(S1)と第2のシートS(S2)の間隔は、B1となる。B1は、搬送方向におけるピックアップローラ11Aとその上に配置されたリタードローラ11Bとの間のニップ部から後端検知センサSS1までの距離と略等しい。
【0070】
制御部100は、ピックアップローラ11Aを制御して、第3のシートSを、後端検知センサSS1が第2のシートSを検知してから第2時間t2が経過したタイミングで供給する。第2時間t2は、第1時間t1よりも短い時間である。本実施形態では、第2時間t2は、第1時間t1から第2所定時間taを引いた時間である。具体的には、
図4(c)に示すように、制御部100は、第2のシートS(S2)が後端検知センサSS1で検知されて後端検知センサSS1から出力される信号が非検知信号から検知信号に切り替わってから第2時間t2が経過したタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第3のシートS(S3)を転写部50に向けて供給する。
【0071】
詳しくは、制御部100は、第1時間t1が経過する前、すなわち、第2のシートS(S2)の後端が後端検知センサSS1を抜けて後端検知センサSS1から出力される信号が検知信号から非検知信号に切り替わる前のタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第3のシートS(S3)を供給する。この場合、第2のシートS(S2)と第3のシートS(S3)の間隔は、B2となる。B2は、B1よりも短い。詳しくは、B2は、搬送方向におけるピックアップローラ11Aとリタードローラ11Bとの間のニップ部から後端検知センサSS1までの距離よりも短い。
【0072】
第2所定時間taは、ピックアップローラ11AによりシートSの供給を開始してから当該シートSの先端が後端検知センサSS1に到達するまでの時間から、所定の間隔の分だけシートSが移動する時間を引いた時間である。第2所定時間taは、B1だけシートSが移動する時間から、B2だけシートSが移動する時間を引いた時間と略等しい。すなわち、本実施形態においては、箔転写装置1でのシートSの搬送速度などを考慮して実験やシミュレーションなどにより設定可能な目標となるシート間隔B2を決定し、このとき決定したB2に基づいて第2所定時間taが設定され、ROMなどに記憶されている。
【0073】
制御部100は、4枚以上のシートSを連続して供給する場合、第3のシートSと同様のタイミングで、4枚目以降のシートSを転写部50に向けて供給する。すなわち、制御部100は、ピックアップローラ11Aを制御して、4枚目以降のシートSを、後端検知センサSS1が先行するシートSを検知してから第2時間t2が経過したタイミングで供給する。具体的には、
図4(d)に示すように、制御部100は、第3のシートS(S3)が後端検知センサSS1で検知されて後端検知センサSS1から出力される信号が非検知信号から検知信号に切り替わってから第2時間t2(t1-ta)が経過したタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第4のシートS(S4)を供給する。この場合、第3のシートS(S3)と第4のシートS(S4)の間隔は、B1よりも短いB2となる。
【0074】
本実施形態において、制御部100は、後端検知センサSS1が先行するシートSを検知してから第2時間t2が経過する前であっても後端検知センサSS1が当該先行するシートSを検知しなくなった場合には、ピックアップローラ11Aを制御して、当該先行するシートSの次のシートSを供給する。
【0075】
具体的には、例えば、
図5(a)に示すように、制御部100は、箔転写準備処理が終了したタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第1のシートS(S1)の供給を開始し、
図5(b)に示すように、後端検知センサSS1が第1のシートS(S1)を検知しなくなったタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第2のシートS(S2)の供給を開始する。
【0076】
その後、
図5(c)に示すように、第2のシートS(S2)の搬送方向における長さが第1のシートS(S1)よりも短い場合、後端検知センサSS1が第2のシートS(S2)を検知してから第2時間t2が経過する前であっても、後端検知センサSS1が第2のシートS(S2)を検知しなくなる。
【0077】
この場合、制御部100は、第2のシートS(S2)の後端が後端検知センサSS1を抜けて後端検知センサSS1から出力される信号が検知信号から非検知信号に切り替わったタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、次の第3のシートS(S3)の供給を開始する。この場合、第2のシートS(S2)と第3のシートS(S3)の間隔は、B2よりは長いB1となるが、仮想線で示すように、後端検知センサSS1が第2のシートS(S2)を検知してから第2時間t2が経過したタイミングで第3のシートS(S3)の供給を開始したと仮定した場合の間隔B3よりは短くなる。
【0078】
制御部100は、シートSごとに、当該シートSを供給した後に後端検知センサSS1が当該シートSを検知してから当該シートSを検知しなくなるまでの時間を計測する。具体的には、制御部100は、シートSが後端検知センサSS1で検知されて後端検知センサSS1から出力される信号が非検知信号から検知信号に切り替わったときに時間の計測を開始する。その後、制御部100は、当該シートSの後端が後端検知センサSS1を抜けて後端検知センサSS1から出力される信号が検知信号から非検知信号に切り替わったときに時間の計測を終了する。
【0079】
制御部100は、後端検知センサSS1が先行するシートSを検知してから第2時間t2が経過する前に後端検知センサSS1が当該先行するシートSを検知しなくなった場合、その後、第1時間t1を、後端検知センサSS1が当該先行するシートSを検知してから当該先行するシートSを検知しなくなるまでの時間に変更する。
【0080】
例えば、
図5に示した例では、制御部100は、後端検知センサSS1が第2のシートS(S2)を検知してから第2時間t2が経過する前に後端検知センサSS1が第2のシートS(S2)を検知しなくなった場合(
図5(c)参照)、その後、第1時間t1を、後端検知センサSS1が第2のシートS(S2)を検知してから第2のシートS(S2)を検知しなくなるまでの時間に変更する。
【0081】
また、制御部100は、後端検知センサSS1が先行するシートSを検知してから第2時間t2が経過する前に後端検知センサSS1が当該先行するシートSを検知しなくなった場合、その後、第2時間t2を、変更後の第1時間t1よりも短い時間に設定する。本実施形態では、第2時間t2は、第1時間t1から第2所定時間taを引いた時間であるので、第2時間t2は、第1時間t1よりも短い時間となる。
【0082】
なお、後端検知センサSS1が第2のシートS(S2)を検知してから第2のシートS(S2)を検知しなくなるまでの時間(変更後の第1時間t1)は、後端検知センサSS1が第1のシートS(S1)を検知してから第1のシートS(S1)を検知しなくなるまでの時間(変更前の第1時間t1)よりも短い。そのため、変更後の第2時間t2は、変更前の第2時間t2よりも短くなる。
【0083】
第1時間t1および第2時間t2を変更した後、例えば、
図5(d)に示すように、第3のシートS(S3)の次に供給すべき第4のシートS(S4)がある場合、制御部100は、後端検知センサSS1が第3のシートS(S3)を検知してから変更後の第2時間t2が経過したタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第4のシートS(S4)の供給を開始する。この場合、第3のシートS(S3)と第4のシートS(S4)の間隔は、B1よりも短いB2となる。
【0084】
また、本実施形態において、制御部100は、第2時間t2が経過したタイミングで次のシートSの供給を開始した後に、後端検知センサSS1が先行するシートSを検知してからの経過時間が第1時間t1よりも第1所定時間tm以上長い場合、ピックアップローラ11Aを制御して、当該次のシートSの供給を停止する。そして、制御部100は、ピックアップローラ11Aを制御して、後端検知センサSS1が当該先行するシートSを検知しなくなったタイミングで、当該次のシートSの供給を再開する。
【0085】
具体的には、例えば、
図6(a)に示すように、制御部100は、箔転写準備処理が終了したタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第1のシートS(S1)の供給を開始し、
図6(b)に示すように、後端検知センサSS1が第1のシートS(S1)を検知しなくなったタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第2のシートS(S2)の供給を開始する。
【0086】
さらに、
図6(c)に示すように、制御部100は、後端検知センサSS1が第2のシートS(S2)を検知してから第2時間t2が経過したタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第3のシートS(S3)の供給を開始する。このとき、第2のシートS(S2)の搬送方向における長さが第1のシートS(S1)よりも長い場合、後端検知センサSS1が第2のシートS(S2)を検知してからの経過時間は、第1時間t1、すなわち、後端検知センサSS1が第1のシートS(S1)を検知してから第1のシートS(S1)を検知しなくなるまでの時間よりも長くなる。
【0087】
経過時間が第1時間t1よりも第1所定時間tm以上長い場合、
図7(a)に示すように、制御部100は、ピックアップローラ11Aを停止させ、第3のシートS(S3)の供給を一時的に停止する。このとき、先行するシートS(S1,S2)については、搬送方向においてピックアップローラ11Aの下流に位置する搬送ローラ11C(
図3参照)などが回転し続けることにより搬送が継続される。なお、第2のシートS(S2)は、リタードローラ11Bと、停止したピックアップローラ11Aとの間で挟まれた状態であったとしても、搬送ローラ11Cなどの搬送力によってリタードローラ11Bとピックアップローラ11Aとの間から引っ張り出されて搬送される。
【0088】
その後、
図7(b)に示すように、制御部100は、後端検知センサSS1が第2のシートS(S2)を検知しなくなったタイミングでピックアップローラ11Aを再び回転させ、第3のシートS(S3)の供給を再開する。
【0089】
第1所定時間tmは、例えば、シートSの搬送方向における長さや、箔転写装置1でのシートSの搬送速度などを考慮して許容される、後端検知センサSS1の検知誤差よりも長い時間に設定されている。また、第1所定時間tmは、シートトレイ3にセットされたシートSの先端が、当該シートSの供給が開始されてから後端検知センサSS1により検知される位置に到達するまでの時間よりも短い時間に設定されている。
【0090】
制御部100は、第2時間t2が経過したタイミングで次のシートSの供給を開始した後に、後端検知センサSS1が先行するシートSを検知してからの経過時間が第1時間t1よりも第1所定時間tm以上長い場合、後端検知センサSS1が当該先行するシートSを検知しなくなった後、第1時間t1を、後端検知センサSS1が当該先行するシートSを検知してから当該先行するシートSを検知しなくなるまでの時間に変更する。
【0091】
例えば、
図6および
図7に示した例では、制御部100は、後端検知センサSS1が第2のシートS(S2)を検知してからの経過時間が第1時間t1よりも第1所定時間tm以上長い場合(
図7(a)参照)、後端検知センサSS1が第2のシートS(S2)を検知しなくなった後(
図7(b)参照)、第1時間t1を、後端検知センサSS1が第2のシートS(S2)を検知してから第2のシートS(S2)を検知しなくなるまでの時間に変更する。
【0092】
また、制御部100は、後端検知センサSS1が先行するシートSを検知してからの経過時間が第1時間t1よりも第1所定時間tm以上長い場合、後端検知センサSS1が当該先行するシートSを検知しなくなった後、第2時間t2を、変更後の第1時間t1よりも短い時間に設定する。本実施形態では、第2時間t2は、第1時間t1から第2所定時間taを引いた時間であるので、第2時間t2は、第1時間t1よりも短い時間となる。
【0093】
なお、後端検知センサSS1が第2のシートS(S2)を検知してから第2のシートS(S2)を検知しなくなるまでの時間(変更後の第1時間t1)は、後端検知センサSS1が第1のシートS(S1)を検知してから第1のシートS(S1)を検知しなくなるまでの時間(変更前の第1時間t1)よりも長い。そのため、変更後の第2時間t2は、変更前の第2時間t2よりも長くなる。
【0094】
第1時間t1および第2時間t2を変更した後、例えば、
図7(c)に示すように、第3のシートS(S3)の次に供給すべき第4のシートS(S4)がある場合、制御部100は、後端検知センサSS1が第3のシートS(S3)を検知してから変更後の第2時間t2が経過したタイミングでピックアップローラ11Aを回転させ、第4のシートS(S4)の供給を開始する。この場合、第3のシートS(S3)と第4のシートS(S4)の間隔は、B1よりも短いB2となる。
【0095】
次に、制御部100の動作の一例について、
図8~
図12に示すフローチャートを参照しながら説明する。
図8に示すように、制御部100は、箔転写開始の指令を受信すると、箔転写準備処理を実行する(S11)。箔転写準備処理が終了した後、制御部100は、ピックアップローラ11Aを回転させ、シートS1の供給を開始する(S12)(
図4~
図6の(a)参照)。
【0096】
その後、制御部100は、後端検知センサSS1が供給されたシートS1を検知したか否かを判定する(S13)。そして、後端検知センサSS1がシートS1を検知した場合(S13,Yes)、制御部100は、時間tの計測を開始する(S14)。その後、制御部100は、後端検知センサSS1がシートS1を検知しなくなったか否かを判定する(S15)。そして、後端検知センサSS1がシートS1を検知しなくなった場合(S15,Yes)、制御部100は、時間tの計測を終了する(S16)。時間tの計測が終了したら、制御部100は、計測した時間tを第1時間t1に設定する(S17)。
【0097】
また、
図9に示すように、制御部100は、セット検知センサSS3が次のシートS2を検知しているか否かを判定する(S21)。そして、セット検知センサSS3が次のシートS2を検知している場合(S21,Yes)、次のシートS2がシートトレイ3に載置されているので、制御部100は、ピックアップローラ11Aを回転させ、次のシートS2の供給を開始する(S22)(
図4~
図6の(b)参照)。
【0098】
その後、制御部100は、後端検知センサSS1が供給されたシートS2を検知したか否かを判定する(S23)。そして、後端検知センサSS1がシートS2を検知した場合(S23,Yes)、制御部100は、時間tの計測を開始する(S24)。その後、制御部100は、時間tが第2時間t2(t1-ta)以上となったか否かを判定する(S25)。
【0099】
時間tが第2時間t2(t1-ta)未満の場合(S25,No)、制御部100は、後端検知センサSS1がシートS2を検知しなくなったか否かを判定する(S26)。後端検知センサSS1がシートS2を検知している場合(S26,No)、制御部100は、ステップS25の処理に戻る。
【0100】
ステップS25において、時間tが第2時間t2(t1-ta)以上長くなったとき(Yes)、制御部100は、セット検知センサSS3が次のシートS3を検知しているか否かを判定する(S31)。そして、セット検知センサSS3が次のシートS3を検知している場合(S31,Yes)、次のシートS3がシートトレイ3に載置されているので、制御部100は、ピックアップローラ11Aを回転させ、次のシートS3の供給を開始する(S32)(
図4および
図6の(c)参照)。
【0101】
その後、制御部100は、時間tがt1+tm以上長くなったか否かを判定する(S33)。時間tがt1+tm未満の場合(S33,No)、制御部100は、後端検知センサSS1がシートS2を検知しなくなったか否かを判定する(S34)。後端検知センサSS1がシートS2を検知している場合(S34,No)、制御部100は、ステップS33の処理に戻る。
【0102】
ステップS34において、後端検知センサSS1がシートS2を検知しなくなった場合(Yes)、制御部100は、時間tの計測を終了し(S35)、ステップS23の処理に戻る。ステップS23,S24の処理を実行した後、制御部100は、時間tが第2時間t2(t1-ta)以上長くなったときに(S25,Yes)、次のシートS4がシートトレイ3に載置されている場合(S31,Yes)、ピックアップローラ11Aを回転させ、次のシートS4の供給を開始する(S32)(
図4(d)参照)。
【0103】
ステップS26において、時間tが第2時間(t1-ta)以上となる前に、後端検知センサSS1がシートS2を検知しなくなった場合(Yes)(
図5(c)参照)、シートS2の長さがシートS1よりも短い。この場合、制御部100は、時間tの計測を終了し(S27)、その後、
図10に示すように、セット検知センサSS3が次のシートS3を検知しているか否かを判定する(S41)。そして、セット検知センサSS3が次のシートS3を検知している場合(S41,Yes)、制御部100は、直前に計測した時間tを新たな第1時間t1に設定する(S42)。
【0104】
また、セット検知センサSS3が次のシートS3を検知している場合、次のシートS3がシートトレイ3に載置されているので、制御部100は、ピックアップローラ11Aを回転させ、次のシートS3の供給を開始する(S43)。その後、制御部100は、
図9のステップS23の処理に戻る。
【0105】
ステップS23,S24の処理を実行した後、制御部100は、時間tが、新たに設定された第1時間t1に基づいて算出された第2時間t2(t1-ta)以上長くなったときに(S25,Yes)、次のシートS4がシートトレイ3に載置されている場合(S31,Yes)、ピックアップローラ11Aを回転させ、次のシートS4の供給を開始する(S32)(
図5(d)参照)。
【0106】
図9のステップS33において、シートS3の供給を開始した後(
図6(c)参照)、時間tがt1+tm以上長くなった場合(Yes)、シートS2の長さがシートS1よりも長い。この場合、
図11に示すように、制御部100は、ピックアップローラ11Aを停止させ、シートS3の供給を一時的に停止する(S51)(
図7(a)参照)。このとき、先行するシートS1,S2については、搬送ローラ11Cなどにより搬送が継続される。
【0107】
その後、制御部100は、後端検知センサSS1がシートS2を検知しなくなったか否かを判定する(S52)。そして、後端検知センサSS1がシートS2を検知しなくなった場合(S52,Yes)、時間tの計測を終了し(S53)、この時間tを新たな第1時間t1に設定する(S54)。また、制御部100は、ピックアップローラ11Aを再び回転させ、シートS3の供給を再開する(S55)(
図7(b)参照)。その後、制御部100は、
図9のステップS23の処理に戻る。
【0108】
ステップS23,S24の処理を実行した後、制御部100は、時間tが、新たに設定された第1時間t1に基づいて算出された第2時間t2(t1-ta)以上長くなったときに(S25,Yes)、次のシートS4がシートトレイ3に載置されている場合(S31,Yes)、ピックアップローラ11Aを回転させ、次のシートS4の供給を開始する(S32)(
図7(c)参照)。
【0109】
ステップS21、ステップS31および
図10のステップS41において、セット検知センサSS3が次のシートSを検知していない場合(No)、シートSがシートトレイ3に載置されていないので、
図12に示すように、制御部100は、ステップS61の処理に進む。ステップS61において、制御部100は、排出センサSS4がシートSを検知しなくなってから所定時間tpが経過したか否かを判定する。ここで、所定時間tpは、排出ローラ12Bによって搬送されるシートSが筐体2の外に排出されるのに十分な時間に設定されている。
【0110】
ステップS61において、所定時間tpが経過した場合(Yes)、最後のシートSが筐体2の外に排出されているので、制御部100は、箔転写終了処理を実行する(S62)。制御部100は、箔転写終了処理において、例えば、加熱ローラ61のヒータHを制御して転写部50の温度を下げたり、圧接離間機構70を制御して加熱ローラ61を加圧ローラ51から離間する離間位置に移動させたり、各ローラ11B,11C,51,12A,12Bの回転を停止させたりする。箔転写終了処理が終了した後、制御部100は、処理を終了する。
【0111】
以上説明した本実施形態によれば、
図4(c)に示すように、第3のシートS(S3)を、後端検知センサSS1が第2のシートS(S2)を検知しなくなるタイミングよりも早いタイミングで供給することができるので、第2のシートS(S2)と第3のシートS(S3)の間隔を短くすることができる。これにより、複数のシートSに連続して箔を転写する場合の印刷速度を短くしたり、箔フィルムFの無駄を減らしたりすることができる。
【0112】
また、
図4(d)に示すように、4枚目以降のシートS(S4)についても、後端検知センサSS1が先行するシートS(S3)を検知しなくなるタイミングよりも早いタイミングで供給することができるので、3枚目以降のシートSについて先行するシートSとの間隔を短くすることができる。これにより、複数のシートSに連続して箔を転写する場合の印刷速度をより短くしたり、箔フィルムFの無駄をより減らしたりすることができる。
【0113】
また、
図5(c)に示すように、先行するシートS(S2)の長さがその前のシートS(S1)よりも短い場合、後端検知センサSS1が先行するシートS(S2)を検知しなくなったタイミングで、次のシートS(S3)を供給するので、第2時間t2が経過するまで待って次のシートS(S3)を供給する場合と比較して、先行するシートS(S2)と次のシートS(S3)の間隔をB2と短くすることができる。
【0114】
また、先行するシートS(S2)の長さがその前のシートS(S1)よりも短い場合に、第1時間t1を、後端検知センサSS1が先行するシートS(S2)を検知してから検知しなくなるまでの時間に変更し、第2時間t2を、変更後の第1時間t1よりも短い時間に設定するので、
図5(d)に示すように、次のシートS(S3)以降のシートS(S4)について、長さが先行するシートS(S2)と同じである場合には、後端検知センサSS1がシートSを検知しなくなったタイミングで供給する場合の間隔B1よりもシートSの間隔をB2と短くすることができる。
【0115】
また、
図6(c)に示すように、先行するシートS(S2)の長さがその前のシートS(S1)よりも長い場合に次のシートS(S3)の供給を続けてしまうと、先行するシートS(S2)の後端部と次のシートS(S3)の前端部が重なった状態で搬送される可能性があるが、この場合に、
図7(a)に示すように、次のシートS(S3)の供給を一時的に停止し、
図7(b)に示すように、後端検知センサSS1が先行するシートS(S2)を検知しなくなったタイミングで、次のシートS(S3)の供給を再開することで、先行するシートS(S2)の後端部と次のシートS(S3)の前端部が重なった状態で搬送されるのを抑制することができる。
【0116】
また、先行するシートS(S2)の長さがその前のシートS(S1)よりも長い場合に、第1時間t1を、後端検知センサSS1が先行するシートS(S2)を検知してから検知しなくなるまでの時間に変更し、第2時間t2を、変更後の第1時間t1よりも短い時間に設定するので、
図7(c)に示すように、次のシートS(S3)以降のシートS(S4)について、長さが先行するシートS(S2)と同じである場合には、シートSが重なった状態で搬送されるのを抑制しつつ、シートSの間隔をB2と短くすることができる。
【0117】
以上、実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
【0118】
例えば、前記実施形態では、後端検知センサSS1が先行するシートSを検知してから第2時間t2が経過する前に後端検知センサSS1が先行するシートSを検知しなくなった場合、先行するシートSの次のシートSを供給する構成としたが、これに限定されない。例えば、このような場合でも、後端検知センサSS1が先行するシートSを検知してから第2時間t2が経過したタイミングで次のシートSを供給する構成としてもよい。
【0119】
また、前記実施形態では、第2時間t2が経過したタイミングで次のシートSの供給を開始した後に、後端検知センサSS1が先行するシートSを検知してからの経過時間が第1時間t1よりも第1所定時間tm以上長い場合、次のシートSの供給を一時的に停止し、後端検知センサSS1が先行するシートSを検知しなくなったタイミングで次のシートSの供給を再開する構成としたが、これに限定されない。例えば、このような場合、次のシートSの供給を完全に停止してエラーメッセージを報知する構成としてもよい。なお、このような構成とした場合でも、先行するシートSについては搬送を継続し、箔転写や筐体外への排出を完了させる構成とすることが望ましい。
【0120】
また、前記実施形態では、シートセンサとして後端検知センサSS1を例示したが、これに限定されない。例えば、シートセンサとして前記実施形態の幅検知センサSS2を利用してもよい。
【0121】
また、前記実施形態では、幅方向において、後端検知センサSS1が転写部50の端よりも中央に近い位置に配置され、幅検知センサSS2が後端検知センサSS1よりも転写部50の中央から遠い位置に配置されていたが、これに限定されない。例えば、箔転写装置がシートを転写部の幅方向における一方に寄せて搬送する構成において、後端検知センサが幅検知センサよりも転写部の中央から遠い位置に配置され、幅検知センサが転写部の端よりも中央に近い位置に配置されていてもよい。
【0122】
また、前記実施形態では、圧接離間機構70が加熱ローラ61を加圧ローラ51に対して移動させる構成であったが、これに限定されず、例えば、加圧ローラを加熱ローラに対して移動させる構成であってもよい。また、転写部は、圧接離間機構を備えない構成であってもよい。
【0123】
また、前記実施形態では、供給ローラとしてピックアップローラ11Aを例示したが、これに限定されず、例えば、供給ローラは、一対のローラからなるものであってもよい。
【0124】
また、前記実施形態では、シートSを検知するセンサSS1~SS4として、レバーと、レバーの位置を検知する光センサとからなるセンサを例示したが、これに限定されない。例えば、光センサのみからなるものであってもよい。
【0125】
また、前記実施形態では、シートS上のトナー像に箔を転写する箔転写装置1を例示したが、これに限定されない。箔転写装置は、シートに箔を転写するものであればどのようなものであってもよい。
【0126】
また、前記実施形態では、4つの層を有する箔フィルムFを例示したが、これに限定されず、箔フィルムの層の数はいくつであってもよい。
【0127】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0128】
1 箔転写装置
11A ピックアップローラ
50 転写部
100 制御部
F 箔フィルム
S シート
SS1 後端検知センサ