(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099650
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】予混合装置およびこれを備えた燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23D 14/64 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
F23D14/64 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213545
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】小川 恭平
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017CB08
3K017CE03
(57)【要約】
【課題】従来よりも圧力損失を小さくすることが可能な予混合装置、およびこれを備えた燃焼装置を提供する。
【解決手段】一端側から他端側に向けて空気を流れさせ、かつこの空気に燃料ガスを混合させて混合気を生成するためのベンチュリ状の予混合流路40を形成している予混合流路形成部材4と、予混合流路40内に位置して気体流れ方向とは交差する方向に延び、かつ気体流れ方向下流側部分には、燃料ガスを流出可能とする燃料ガス流出口60が設けられているブレード部6と、を備えている、予混合装置Aであって、予混合流路40のうち、ブレード部6よりも気体流れ方向の下流側領域4Aの内周面は、凹凸面44とされ、または少なくとも1つの凸部48もしくは凹部48bが設けられた面とされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側から他端側に向けて空気を流れさせ、かつこの空気に燃料ガスを混合させて混合気を生成するためのベンチュリ状の予混合流路を形成している予混合流路形成部材と、
前記予混合流路内に位置し、前記燃料ガスを流出可能とする燃料ガス流出口が設けられているブレード部と、
を備えている、予混合装置であって、
前記予混合流路のうち、前記ブレード部よりも前記気体流れ方向の下流側領域の内周面は、凹凸面とされ、または少なくとも1つの凸部もしくは凹部が設けられた面とされていることを特徴とする、予混合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の予混合装置であって、
前記ベンチュリ状の予混合流路は、開口部を含み、かつ後部側ほど内径が漸次減少する上流側テーパ状領域と、この上流側テーパ状領域の後側に繋がり、かつ内径が最小とされている絞り部と、この絞り部の後側に繋がり、かつ後部側ほど内径が漸次拡大する下流側テーパ状領域と、を含んでおり、
前記ブレード部は、その気体流れ方向の下流側の端部が、前記絞り部または前記下流側テーパ状領域に位置している、予混合装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の予混合装置であって、
前記予混合流路の前記下流側領域には、複数の非テーパ状孔部が、前記気体流れ方向に並ぶように設けられ、かつこれら複数の非テーパ状孔部の内径が、前記気体流れ方向下流側ほど段階的に拡大していることにより、互いに隣接する前記非テーパ状孔部の内周面どうしの境界部に、段差部が形成された面が設けられており、この面が、前記凹凸面である、予混合装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の予混合装置であって、
前記ブレード部は、
前記気体流れ方向上流側の前寄り領域に設けられ、かつ前記気体流れ方向下流側ほどブレード厚みが増加するように後広がり状に傾斜し、夾角が鋭角である一対の前側傾斜面と、
前記一対の前側傾斜面の後側に設けられ、かつ前記気体流れ方向下流側ほどブレード厚みが減少するように後狭まり状に傾斜し、その傾斜角が前記一対の前側傾斜面の傾斜角よりも小さい一対の後側傾斜面と、
を備えている、予混合装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の予混合装置を備えていることを特徴とする、燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予混合装置およびこれを備えた燃焼装置に関する。
ここで、「予混合」とは、予混合燃焼(Premixing combustion)を行なうことを目的として、空気と燃料ガスとを混合させ、可燃混合ガスを生成する処理である。
【背景技術】
【0002】
予混合装置の具体例として、特許文献1に記載のものがある。
同文献に記載の予混合装置は、ベンチュリ状の予混合流路を形成している管状の予混合流路形成部材と、予混合流路内に設けられた縦横2つのブレード部、とを備えている。予混合流路の下流側(終端側)には、ファンの吸気側が接続され、予混合流路には、その上流側(始端側)から空気が流入する。前記ブレード部には、燃料ガス流出口が設けられており、予混合流路に空気が流れて負圧が発生すると、この負圧の作用により、燃料ガス流出口から予混合流路に燃料ガスが流出し、この燃料ガスと空気との混合気(可燃混合ガス)が生成される。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、予混合装置の性能の1つとして、圧力損失をできる限り小さくすることが要請される。ところが、前記従来技術においては、予混合流路内にブレード部が設けられているため、このブレード部に向けてその上流側から流れてきた空気は、ブレード部に当たると、その両側に分岐して流れるように向きが変わる。このため、ブレード部よりも下流側においては、予混合流路の内周面に沿って多くの混合気が流れることとなる。一方、このような混合気の流れにおいては、予混合流路の内周面付近に境界層が生じ、かつこの境界層の剥離を生じる可能性または頻度が高くなる。ここで、境界層の剥離は、圧力損失を増大させる現象である。したがって、圧力損失を小さくする上で、未だ改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、従来よりも圧力損失を小さくすることが可能な予混合装置、およびこれを備えた燃焼装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面により提供される予混合装置は、一端側から他端側に向けて空気を流れさせ、かつこの空気に燃料ガスを混合させて混合気を生成するためのベンチュリ状の予混合流路を形成している予混合流路形成部材と、前記予混合流路内に位置し、前記燃料ガスを流出可能とする燃料ガス流出口が設けられているブレード部と、を備えている、予混合装置であって、前記予混合流路のうち、前記ブレード部よりも前記気体流れ方向の下流側領域の内周面は、凹凸面とされ、または少なくとも1つの凸部もしくは凹部が設けら
れた面とされていることを特徴としている。
好ましくは、前記ブレード部は、前記気体流れ方向とは交差する方向に延び、かつ前記気体流れ方向下流側部分に、前記燃料ガス流出口が設けられている。
【0009】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、予混合流路のうち、ブレード部よりも気体流れ方向の下流側領域の内周面に沿って、多くの混合気が進行し、境界層が形成されたとしても、前記内周面が凹凸面とされ、または少なくとも1つの凸部または凹部が設けられた面とされていることにより、前記境界層に乱流を生じさせることが可能となる。境界層に乱流を生じさせると、境界層の剥離が発生することは抑制されることとなり、圧力損失を少なくすることができる。境界層に乱流を生じさせると、摩擦抵抗は増加するものの、境界層の剥離が抑えられることにより、圧力抵抗は大幅に減少する。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記ベンチュリ状の予混合流路は、開口部を含み、かつ後部側ほど内径が漸次減少する上流側テーパ状領域と、この上流側テーパ状領域の後側に繋がり、かつ内径が最小とされている絞り部と、この絞り部の後側に繋がり、かつ後部側ほど内径が漸次拡大する下流側テーパ状領域と、を含んでおり、前記ブレード部は、その気体流れ方向の下流側の端部が、前記絞り部または前記下流側テーパ状領域に位置している。
【0011】
このような構成によれば、予混合流路に流入した空気の流速を速め、予混合流路内における静圧(負圧)を強めることにより、ファンの回転数が低い場合でも、多くの燃料ガスを燃料ガス流出口から流出させられることとなる。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記予混合流路の前記下流側領域には、複数の非テーパ状孔部が、前記気体流れ方向に並ぶように設けられ、かつこれら複数の非テーパ状孔部の内径が、前記気体流れ方向下流側ほど段階的に拡大していることにより、互いに隣接する前記非テーパ状孔部の内周面どうしの境界部に、段差部が形成された面が設けられており、この面が、前記凹凸面である。
【0013】
このような構成によれば、予混合流路の内周面に沿って流れる混合気の境界層に乱流を生じさせる凹凸面を適切に形成することができる。凹凸面を形成するための手段として、複数の非テーパ状孔部を並べて設け、かつこれらの内径を気体流れ方向下流側ほど拡大する構成としているため、それら複数の非テーパ状孔部が設けられている領域を、下流側ほど内径が大きくなるテーパ状領域とすることが可能である。また、前記した構成によれば、金型を用いて予混合流路形成部材を樹脂成形した場合に、前記複数の非テーパ状孔部を形成した箇所において、金型を抜くことが困難になるといった不具合も生じないものとすることができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記ブレード部は、前記気体流れ方向上流側の前寄り領域に設けられ、かつ前記気体流れ方向下流側ほどブレード厚みが増加するように後広がり状に傾斜し、夾角が鋭角である一対の前側傾斜面と、前記一対の前側傾斜面の後側に設けられ、かつ前記気体流れ方向下流側ほどブレード厚みが減少するように後狭まり状に傾斜し、その傾斜角が前記一対の前側傾斜面の傾斜角よりも小さい一対の後側傾斜面と、を備えている。
【0015】
このような構成によれば、空気がブレード部に沿って流れる際の抵抗を小さくすることができる。したがって、圧力損失を減少させる上で、より好ましい。
【0016】
本発明の第2の側面により提供される燃焼装置は、本発明の第1の側面により提供され
る予混合装置を備えていることを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される予混合装置について述べたのと同様な効果が得られる。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る予混合装置を備えた燃焼装置、およびこれを利用した給湯装置の一例を示す説明図である。
【
図6】(a)~(c)は、本発明の他の例を示す要部断面図である。
【
図7】(a)~(c)は、本発明の他の例を示す要部断面図である。
【
図9】(a),(b)は、本発明の他の例を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1は、予混合装置A、この予混合装置Aにファン1および燃焼プレート2を組み合わせて構成された燃焼装置B(予混合燃焼装置)、およびこの燃焼装置Bに熱交換器11を組み合わせて構成された給湯装置WHを示している。
【0022】
予混合装置Aの詳細については、後述するが、この予混合装置Aを利用して空気と燃料ガスとの混合ガス(可燃混合ガス)が生成され、かつこの混合ガスが、ファン1を経由して燃焼プレート2に向けて吐出される。燃焼プレート2は、複数の通気孔20を有する多孔状プレートであって、ケース10内に収容されており、前記混合ガスは、燃焼プレート2を通過し、その下方において燃焼する。このことにより発生する燃焼ガスは、熱交換器11に作用し、熱交換器11内を通過する湯水は加熱される。このことにより、温水が生成され、この温水は所望の給湯先に供給される。
【0023】
予混合装置Aは、ファン1の吸気口に接続された予混合流路形成部材4、この予混合流路形成部材4を囲むハウジング部材5、およびブレード部6を備えている。
【0024】
予混合流路形成部材4は、ベンチュリ状の予混合流路40が内部に形成されている管状の部材である。ファン1が駆動されることにより、予混合流路40には、外部から開口部40a’を介して空気が流入する。予混合流路40は、気体流れ方向(空気流れ方向)の上流側から下流側にかけて、開口部40a’を含み、かつ内径が漸次減少する上流側テーパ状領域40a、内径が最も小さく、かつ略一定とされている絞り部40b、および内径が漸次拡大する下流側テーパ状領域40cに区分される。
ただし、本実施形態とは異なり、上流側テーパ状領域40aの後端に、下流側テーパ状領域40cの前端を直接繋げることにより、これら2つの領域40a,40cの境界部を絞り部40bとした構成とすることもできる。
【0025】
ブレード部6は、予混合流路40に燃料ガスを流出させるためのノズルとしての役割を果たすことに加え、予混合流路40における空気流を、燃料ガスの流出に適したものにコ
ントロールする役割をも果たすものである。このブレード部6は、燃料ガスが内部を通過し、後述する燃料ガス流出口60に導かれるように構成された内部空洞状の部位であり、予混合流路40の周壁部41に橋渡し状に連設された状態で予混合流路40に位置し、かつ予混合流路40の径方向に延びている(
図2も参照)。
【0026】
ハウジング部材5は、ブレード部6内への燃料ガス供給部材としての役割を果たす部材である。
具体的には、このハウジング部材5は、予混合流路形成部材4の外周の前部および後部に設けられている段部42a,42bに外嵌し、シール用リング49によって気密シールが図られた状態で予混合流路形成部材4を囲んでいる。ハウジング部材5には、燃料ガス供給口50が設けられており、この燃料ガス供給口50に供給された燃料ガスは、予混合流路形成部材4とハウジング部材5との相互間に形成された燃料ガス供給路51に供給される。一方、予混合流路形成部材4には、ブレード部6の内部に連通する開口部43が形成されている。前記した燃料ガス供給路51に供給された燃料ガスは、その開口部43を通過してブレード部6内に流入し、その後に燃料ガス流出口60から流出するようになっている。
好ましくは、ハウジング部材5には、ボルト挿通用孔52を備えたフランジ部53が具備されている。このような構成によれば、フランジ部53を利用して、予混合装置Aを所望の部位に簡易かつ適切に接続可能である。
【0027】
ブレード部6は、
図4によく表れているように、気体流れ方向上流側の前寄り領域に、一対の前側傾斜面61を有し、かつその後側に一対の後側傾斜面62を有している。一対の前側傾斜面61は、気体流れ方向下流側ほどブレード厚みが増加するように後広がり状に傾斜しており、その夾角αは、鋭角である。これに対し、一対の後側傾斜面62は、気体流れ方向下流側ほどブレード厚みが減少するように後狭まり状に傾斜しており、水平方向に対する傾斜角は、各前側傾斜面61の傾斜角(α/2)よりも小さい。ブレード部6の前端面63および後端面64のそれぞれは、滑らかな曲面状である。
【0028】
ブレード部6のうち、一対の前側傾斜面61と一対の後側傾斜面62との境界部分は、このブレード部6の前端部および後端部に相対して
図4の上方および下方に部分的に膨出した膨出部65となっており、ブレード厚みの最大箇所となっている。好ましくは、この膨出部65は、予混合流路40の内径が最も小さい絞り部40bに位置するように設定されている。このような構成によれば、予混合流路40の絞り部40bのうち、予混合流路40の内周面とブレード部6との相互間の領域は、ブレード6の膨出部65によってさらに絞られることとなり、空気流の流速をより速め、予混合流路40の負圧を強めることが可能である。
【0029】
燃料ガス流出口60は、ブレード部6の長手方向中央部の後端部に設けられている。ただし、本実施形態においては、ブレード部6の後端部には、気体流れ方向上流側に向けて部分的に窪んだ凹状部66が設けられており、この凹状部66の奥部(上流側)に、燃料ガス流出口60が設けられている。この構成は、ブレード部6の気体流れ方向下流側に空気の渦流が発生する場合に、燃料ガス流出が悪影響を受け難くする効果をもたらせる。燃料ガス流出口60は、気体流れ方向下流側を向いて開口しており、燃料ガス流出口60からの燃料ガス流出による圧力損失ができる限り生じないようにされている。
【0030】
予混合流路40のうち、ブレード部6よりも気体流れ方向の下流側領域4Aの内周面は、後述するように、この内周面に沿って流れる混合気(空気と燃料ガスとの混合気)の境界層に乱流を生じさせることが可能な凹凸面44とされている。
より具体的には、
図3に示すように、予混合流路40の下流側領域4Aには、複数の非テーパ状孔部45(45a,45b,45c…)が、気体流れ方向に並んで設けられてい
る。これらの内径Da,Db,Dc…は、気体流れ方向下流側ほど段階的に拡大している。このことにより、互いに隣接する非テーパ状孔部45の内周面どうしの境界部には、適当な寸法Hの環状の段差部46が形成されている。本実施形態における凹凸面44は、前記したような段差部46が形成されるように複数の非テーパ状孔部45の内周面が隣接した構成である。
【0031】
次に、前記した予混合装置Aおよび燃焼装置Bの作用について説明する。
【0032】
まず、ファン1を駆動させると、予混合流路40には開口部40a’から空気が流入し、ブレード部6よりも下流側に進行する。このことにより、燃料ガス流出口60には、空気流による負圧が作用し、この燃料ガス流出口60から予混合流路40内には燃料ガスが流出し、空気と混合された混合気が生成される。その一方、前記空気がブレード部6に向けてその上流側から流れる場合、この空気はブレード部6の上側および下側に分岐して流れるように、流れの向きが変わる。このため、予混合流路40の下流側領域4Aにおいては、多くの混合気が予混合流路40の内周面に沿うように流れることとなる。
【0033】
これに対し、既述したように、予混合流路40の下流側領域4Aの内周面には、凹凸面44が設けられているため、前記内周面の付近に生じている混合気の境界層に乱流を積極的に生じさせることができる。このことにより、境界層は剥離を生じ難くなり、境界層の剥離に起因する圧力損失の増大を適切に防止または抑制することができる。
【0034】
一方、予混合流路40は、絞り部40bを有するベンチュリ状であるため、この絞り部40bにおいて、空気の流速が速められる。また、既述したように、ブレード部6と予混合流路40の内周面との相互間領域は、ブレード部6の膨出部65によって絞られていることにより、この領域において、空気の流速は一層速められる。このようなことから、たとえばファン1の回転速度が低速とされ、予混合流路40における空気流量が比較的少量とされた場合であっても、空気の流速を速くし、負圧を適切に発生させることが可能となる。したがって、燃料ガス流出口60からは、前記負圧を利用した燃料ガス流出を行なわせて、燃料ガスと空気とを適切な比率で混合させた混合気を生成することが可能となる。圧力損失の増大を防止または抑制することと、ファンの回転速度が低速な時に適切な比率で混合させた混合気を生成できることから、ターンダウン比を高くすることができる。
【0035】
ブレード部6は、
図4を参照して説明したような断面形状とされていることにより、このブレード部6の空気抵抗を小さくすることが可能である。したがって、圧力損失をより小さくすることもできる。
【0036】
図5~
図9は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0037】
図5に示す予混合装置Aaにおいては、予混合流路40内に2つのブレード部6が設けられている。これら2つのブレード部6は、互いに間隔を隔てて略平行に並んでいる。
本実施形態によれば、前記実施形態と比較すると、燃料ガス流出口60の数を増やし、予混合流路40内への燃料ガス流出量を多くすることが可能である。なお、本実施形態においては、予混合流路40に進入した空気の一部が、2つのブレード部6の相互間領域を通過するため、その分だけ、ブレード部6よりも下流側において、予混合流路40の内周面に沿うように流れる混合気の量が減少する。その結果、凹凸面44により圧力損失を少なくする作用は、前記実施形態と比較すると若干弱くなるが、本発明が意図する作用を適切に得ることが可能である。
【0038】
図6(a)に示す予混合装置Abにおいては、凹凸面44が、予混合流路40のブレード部6よりも下流側領域4Aの内周面のうち、前側領域のみに偏って設けられている。
同図(b)に示す予混合装置Acにおいては、凹凸面44が、下流側領域4Aの内周面のうち、後側領域のみに偏って設けられている。
これらの実施形態から理解されるように、本発明においては、凹凸面44を、下流側領域4Aの内周面の一部分のみに設けた構成とすることもできる。
【0039】
図6(c)に示す予混合装置Adにおいては、下流側領域4Aの内周面に、環状の1つの段差部46のみが設けられるように、内径D1,D2が相違する2つの孔部47a,47bが隣接して設けられている。2つの孔部47a,47bは、内径D1,D2がそれぞれ一様ではないテーパ状の孔部である。
本実施形態においては、下流側領域4Aの内周面は、凹凸面とはなっていないが、段差部46が、混合気の境界層に乱流を生じさせる凸部または凹部に相当する。したがって、本発明が意図する作用を得ることが可能である。
【0040】
図7(a)~(c)に示す予混合装置Ae~Agは、予混合流路40のうち、ブレード部6よりも下流側領域4Aの内周面に、複数の凸部48,48a,または複数の凹部48bが、適当な間隔を隔てて分散した配置に設けられている。凸部48は、三角形状凸部であり、凸部48aは、半球状凸部である。凹部48bは、半球状凹部である。
【0041】
図8に示す予混合装置Ahは、予混合流路40のうち、ブレード部6よりも下流側領域4Aの内周面に、環状の凸部49を複数設けている。凸部49は、断面半円状である。
図9(a),(b)においては、断面三角形の環状の凸部49a、および断面矩形の環状の凸部49bが設けられている。
【0042】
本発明者は、
図1~
図6に示した構成に加え、
図7~
図9に示した各構成における作用をシミュレーションし、その解析を行なった。すると、いずれの構成においても、下流側領域4Aの内周面に凸部や凹部などを設けない場合と比較すると、混合気の境界層の剥離を抑制し、圧力損失を減少させる効果が得られることが判明した。
混合気の境界層に乱流を生じさせるための凸部や凹部は、前記以外の形状にすることが可能である。
【0043】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る予混合装置、およびこれを備えた燃焼装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0044】
本発明に係る燃焼装置は、給湯装置用に限定されず、たとえば暖房用や焼却用などの他の用途の燃焼装置とすることもできる。また、燃焼ガスを下向きに進行させるタイプに限らず、燃料ガスをたとえば上向きに進行させるタイプとすることもできる。
【符号の説明】
【0045】
A 予混合装置
B 燃焼装置
1 ファン
4 予混合流路形成部材
4A 下流側領域(ブレード部よりも)
40 予混合流路
40a 上流側テーパ状領域(予混合流路の)
40b 絞り部(予混合流路の)
40c 下流側テーパ状領域(予混合流路の)
44 凹凸面
45 非テーパ状孔部
46 段差部
48,48a,凸部
48b 凹部
49,49a,49b 凸部
6 ブレード部
60 燃料ガス流出口