(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099701
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】無線充電器および無線充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20220628BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220628BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20220628BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20220628BHJP
H02J 50/30 20160101ALI20220628BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J7/00 301D
H02J50/12
H02J50/20
H02J50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213649
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 陽介
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB08
5G503GB09
5G503GD04
(57)【要約】
【課題】様々な充電対象物に対して共通して使用可能な無線充電器を提供する。
【解決手段】充電対象物10の受電部11との非接触給電により充電対象物10へ無線で充電電力としての誘導エネルギーを伝送する送電部2と、受電部11から送信される通信信号を認識し、通信信号を解析する信号解析部4と、送電部2から充電対象物10へ伝送する誘導エネルギーの値を変更可能な電力変更部5と、信号解析部4の解析結果に基づいて特定される充電対象物10に応じて送電部2から伝送する誘導エネルギーの値を変更させる送電コントロール部3と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電対象物の受電部との非接触給電により前記充電対象物へ無線で充電電力としての誘導エネルギーを伝送する送電部と、
前記受電部から送信される通信信号を認識し、前記通信信号を解析する信号解析部と、
前記送電部から前記充電対象物へ伝送する前記誘導エネルギーの値を変更可能な電力変更部と、
前記信号解析部の解析結果に基づいて特定される前記充電対象物に応じて前記送電部から伝送する前記誘導エネルギーの値を変更させる送電コントロール部と、
を備える無線充電器。
【請求項2】
前記送電コントロール部は、
前記充電対象物との接続が検出されると、前記送電部から前記充電対象物へ伝送する前記誘導エネルギーの値を第一設定値になるよう前記電圧変更部を制御し、
前記接続が検出された前記充電対象物が前記第一設定値よりも高い充電電力に対応可能であると判断すると、前記送電部から前記充電対象物へ伝送する前記誘導エネルギーの値を第一設定値よりも高い第二設定値へと一気にまたは段階的に変更するよう前記電力変更部を制御する、請求項1に記載の無線充電器。
【請求項3】
前記送電コントロール部は、
前記通信信号に含まれる前記充電対象物に内蔵した電池セル数に関する素性情報に応じて前記送電部から伝送する前記誘導エネルギーの値を一気にまたは段階的に変更するよう前記電力変更部を制御する、請求項1に記載の無線充電器。
【請求項4】
前記接続が検出された前記充電対象物に関する素性情報から前記充電対象物として特定の機器を識別可能な特定機器識別部を備え、
前記送電コントロール部は、
前記特定機器識別部の識別結果に応じて前記送電部から伝送する前記誘導エネルギーを変更するよう前記電力変更部を制御する、請求項1に記載の無線充電器。
【請求項5】
前記特定機器識別部は、
前記充電対象物に設けられた被検出部を検出する検出部を備え、
前記検出部が前記充電対象物の前記被検出部を検出することで前記充電対象物として特定の機器を識別する、請求項4に記載の無線充電器。
【請求項6】
前記特定機器識別部は、
前記検出部が前記充電対象物の前記被検出部を検出することで前記充電対象物として特定の機器を識別し、当該識別の結果が、前記検出された前記充電対象物に関する素性情報と一致した場合に前記特定の機器を確定する、請求項5に記載の無線充電器。
【請求項7】
前記特定機器識別部の識別結果により、前記充電対象部が掃除ユニットである場合、
前記送電コントロール部は、
前記掃除ユニットに関する素性の情報に応じて前記送電部から伝送する前記誘導エネルギーを変更するよう前記電力変更部を制御する、請求項4から6のいずれか一項に記載の無線充電器。
【請求項8】
無線充電器および前記無線充電器との非接触給電により充電可能な充電対象物を有し、
前記無線充電器は、
非接触給電により前記充電対象物へ無線で充電電力としての誘導エネルギーを伝送する送電部と、
前記充電対象物から送信される通信信号を認識し、前記通信信号を解析する信号解析部と、
前記送電部から前記充電対象物へ伝送する前記誘導エネルギーの値を変更可能な電力変更部と、
前記信号解析部の解析結果に基づいて特定される前記充電対象物に応じて前記送電部から伝送する前記誘導エネルギーの値を変更させる送電コントロール部と、を備える、無線充電システム。
【請求項9】
前記充電対象物は、
前記無線充電器の前記送電部との非接触給電により前記誘導エネルギーを受信する受電部と、
少なくとも耐電圧値、電池セル数、または機器の種類を含む素性情報を生成する素性情報生成部と、
前記充電電力の受電および素性情報の送信を制御する受電コントロール部と、を備える、請求項8に記載の無線充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、無線充電器および無線充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁誘導による非接触型充電方式を利用した無線充電器が知られている。かかる非接触型充電方式は、受電側の充電対象物が受電部として備えるコイルと、給電側の無線充電器が送電部として備えるコイルと、の間で電磁誘導を用いた充電方式である。
【0003】
充電対象物としては、二次電池単体や、二次電池を搭載した被充電機器(例えば、電気掃除機や電動歯ブラシなどのコードレス機器、または携帯端末等)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、このような非接触型充電方式を用いた各種の充電対象物は、それぞれ耐電圧値が異なる。そのため、充電対象物の耐電圧値の違いに応じて、異なる無線充電器が用いられる。すなわち、非接触型充電方式を用いた各種の充電対象物では、共通した無線充電器を利用して充電することはできなかった。
【0006】
そのため、多くの非接触型充電方式を用いた充電対象物が普及している現在、ユーザーは、それら充電対象物に応じた無線充電器を利用しなければならない。よって、充電対象物の耐電圧値に拘わらず、共通して充電が可能な無線充電器の開発が望まれている。
【0007】
そこで、本発明は、充電対象物毎に専用の無線充電器を必要とせず、様々な充電対象物に対して共通して使用可能な無線充電器および無線充電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る無線充電器は、充電対象物の受電部と電磁的に接続可能であり、電磁誘導を利用して前記充電対象物へ無線で充電電圧としての誘導エネルギーを伝送する送電部と、充電対象物による前記充電電圧の電圧波形の変化を信号として認識し、前記信号を解析する信号解析部と、前記送電部から前記充電対象物へ伝送する前記誘導エネルギーの値を変更可能な電圧変更部と、前記信号解析部の解析結果に基づいて前記接続が検出された前記充電対象物の素性を判断し、判断結果に応じて前記送電部から伝送する前記誘導エネルギーの値を変更させる送電コントロール部と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る無線充電器を概念的に示すブロック図。
【
図2】本発明の実施形態に係る無線充電器の充電手順を示すフローチャート。
【
図3】本発明の実施形態の変形例に係る無線充電器の充電手順を示すフローチャート。
【
図4】本発明の実施形態の変形例に係る無線充電器を概念的に示すブロック図。
【
図5】本発明の実施形態の変形例に係る無線充電器を用いた無線充電システムの説明図。
【
図6】本発明の実施形態の変形例に係る無線充電器の充電手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る無線充電器の実施形態について
図1および
図2を参照して説明する。なお、複数の図面中、同一または相当する構成には同一の符号が付されている。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る無線充電器を概念的に示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る無線充電器1は、送電部2と、送電コントロール部3と、信号解析部4と、電力変更部5と、を備えている。無線充電器1は、給電側であり、一次コイルで構成される送電部2と、受電側である充電対象物10の二次コイルで構成される受電部11と、の間で電磁誘導による非接触型充電方式を利用して、送電部2から送信される充電電力の伝送および受電部11から送信される充電対象物10の耐電圧値、電池セル数、または機器の種類等の素性情報を含む信号の相互送受信を行う構成となっている。なお、本実施形態においては、充電電力の送電方法の一例として電圧で説明するが、電流やマイクロ波等でも良い。また、非接触給電の一例として電磁誘導で説明するが、磁界共振式、マイクロ波式、レーザー式、または、超音波式等でも良い。
【0013】
送電部2と充電対象物10の受電部11とは、電磁的に接続可能である。送電部2は、充電対象物10の受電部11と電磁的に接続された状態で、電磁誘導を利用して充電対象物10へ無線で充電電力としての誘導エネルギーを伝送する。
【0014】
充電対象物10は、受電部11と、受電コントロール部12と、電圧/電流調整部13と、素性情報生成部14と、を備えている。充電対象物10は、送電部2から伝送される誘導エネルギーとしての充電電力を受電部11によって受電し、電圧/電流調整部13によって充電電圧に変換し、内蔵する不図示の二次電池を充電する。また、充電対象物10は、送電部2から伝送される誘導エネルギーとしての充電電力を受電部11によって受電したことに基づき、充電電圧波形に素性情報を含む素性電圧波形を素性情報生成部14によって生成し、これを受電部11から送信する。受電コントロール部12は、充電対象物10における充電電力の受電および素性電圧波形の送信を制御する。
【0015】
電圧/電流調整部13は、受電部11によって受電した充電電力(誘導エネルギー)を充電電圧に変換し、不図示の蓄電部に蓄電する。素性情報生成部14は、充電電圧波形に少なくとも充電対象物10の耐電圧値、電池セル数、または機器の種類等の素性情報を含む素性電圧波形を生成する。受電部11は、受電コントロール部12の制御に基づき、素性電圧波形を無線充電器1の送電部2へ送信する。すなわち、充電対象物10は、送電部2から伝送される誘導エネルギーとしての充電電力を受電することをトリガーとして、素性電圧波形を送電部2へ送信する。
【0016】
信号解析部4は、送電部2が受電部11から受信した素性電圧波形を通信信号として認識し、当該通信信号を解析する。このとき、この通信信号には、充電対象物10の耐電圧値、セル数、および機器の種類等の素性の情報が含まれている。
【0017】
電力変更部5は、送電部2から充電対象物10へ伝送する誘導エネルギーの値を変更可能とする。
【0018】
送電コントロール部3は、信号解析部4の解析結果に基づいて、接続が検出された充電対象物10の素性を判断し、その判断結果に応じて送電部2から出力する誘導エネルギーの値を変更させるよう電力変更部5を制御する。すなわち、送電コントロール部3は、信号解析部4によって解析された充電対象物10の素性から、当該接続した充電対象物10の耐電圧値が、予め設定された基準と比較して高いか低いかを判断し、その判断結果に基づいて、送電部2から出力する誘導エネルギーの値を一気にまたは段階的に変更させるよう電力変更部5を制御する。
【0019】
ここで、充電対象物10としては、二次電池単体や、二次電池を搭載した被充電機器(例えば、電気掃除機や電動歯ブラシなどのコードレス機器、または携帯端末等)が挙げられる。
【0020】
図2は、本発明の実施形態に係る無線充電器の充電手順を示すフローチャートである。
【0021】
次に、無線充電器1における充電対象物10の充電手順について、
図2を参照しながら説明する。
【0022】
図2に示すように、送電部2は、例えば予め設定された低電圧用の充電電力を充電対象物10に伝送する(ステップS1)。なお、充電対象物10が内蔵する二次電池から常に電圧を放電し、この放電する電圧を構成する充電電圧波形に充電対象物10の前述した素性情報が含まれていても良い。充電対象物10は、送電部2から伝送される誘導エネルギーとしての充電電力を受電部11によって受電したことに基づき、充電電圧波形に素性情報を含んだ素性電圧波形を送電部2へ送信する。
【0023】
送電部2は、充電対象物10から送信される素性電圧波形を受信し(ステップS2)、充電対象物10との接続を検出するまで待機し(ステップS3:NO)、充電対象物10から受信した素性電圧波形を検出して受電部11と電磁的に接続されると(ステップS3:YES)、充電対象物10からの素性電圧波形を通信信号として信号解析部4へ出力する(ステップS4)。
【0024】
信号解析部4は、送電部2から出力された通信信号を受信するまで待機し(ステップS5:NO)、当該通信信号を受信すると(ステップS5:YES)、送電部2によって受信した充電対象物10からの素性電圧波形を通信信号として認識し、当該通信信号を解析する(ステップS6)。このとき、この通信信号には、充電対象物10の前述した素性情報が含まれている。
【0025】
送電コントロール部3は、信号解析部4の解析結果に基づいて、接続が検出された充電対象物10の素性を判断し、その判断結果が充電対象物10の耐電圧値が大電力用ではない低電圧対応であることを示すものである場合(ステップS7:NO)、送電部2から出力する誘導エネルギーの値を予め設定された低電圧用の値(第一設定値)に変更させるよう電力変更部5を制御する。これにより、送電部2は、電磁誘導を利用して充電対象物10へ無線で充電電圧としての誘導エネルギーを伝送し、充電対象物10の低電圧充電を開始する(ステップS8)。
【0026】
また、送電コントロール部3は、信号解析部4の解析結果に基づいて、接続が検出された充電対象物10の素性を判断し、その判断結果が充電対象物10の耐電圧値が高電圧対応(大電力用)であることを示すものである場合(ステップS7:YES)、送電部2から出力する誘導エネルギーの値を予め設定された高電圧用の値(第二設定値)に変更させるよう電力変更部5を制御する。これにより、送電部2は、電磁誘導を利用して充電対象物10へ無線で充電電圧としての誘導エネルギーを伝送し、充電対象物10の高電圧充電を開始する(ステップS9)。
【0027】
以上、説明したように、本実施形態の無線充電器1では、充電対象物10の受電部11と電磁的に接続可能であり、電磁誘導を利用して充電対象物10へ無線で充電電力としての誘導エネルギーを伝送する送電部2と、充電対象物10から伝送される充電電圧波形に素性情報を含んだ素性電圧波形を通信信号として認識し、通信信号を解析する信号解析部4と、送電部2から充電対象物10へ伝送する誘導エネルギーの値を変更可能な電力変更部5と、信号解析部4の解析結果に基づいて、接続が検出された充電対象物10の素性を判断し、判断結果に応じて送電部2から伝送する誘導エネルギーの値を変更させる送電コントロール部3と、を備える。
【0028】
これにより、本実施形態の無線充電器1では、信号解析部4の解析結果に基づき、接続が検出された充電対象物10の素性に応じて送電部2から伝送する誘導エネルギーを変更するよう電力変更部5を制御することで、充電対象物10の耐電圧値の大小に拘わらず、共通して使用できる。すなわち、充電対象物10毎に専用の無線充電器1を必要とせず、様々な充電対象物10に対して共通して使用できる。
【0029】
なお、本実施形態に係る無線充電器1の充電手順は、上述した内容に限ることはない。すなわち、送電コントロール部3は、充電対象物10との接続が検出されると、送電部2から充電対象物10へ伝送する誘導エネルギーの値を初期設定された値よりも下げるよう電力変更部5を制御するようにしても良い。つまり、無線充電器1は、充電対象物10との接続が検出される初期段階では、まず、低電圧用の設定値を利用して充電対象物10の充電を開始するようにしても良い。
【0030】
そして、この後、送電コントロール部3は、接続が検出された充電対象物10からの通信信号に基づく素性が、充電対象物10の耐電圧が高電圧対応であることを示すものであると判断すると、送電部2から充電対象物10へ伝送する誘導エネルギーの値を初期設定された値よりも上げるよう電力変更部5を制御するようにしても良い。つまり、無線充電器1は、低電圧用の第一設定値を利用して充電対象物10の充電を開始した後、当該充電対象物10の素性からその耐電圧が高電圧対応であると判断すると、高電圧用の第二設定値に切り換えて充電対象物10の充電するようにしても良い。
【0031】
また、送電コントロール部3は、接続が検出された充電対象物10からの通信信号に基づく素性に、充電対象物10に内蔵した電池セル数の情報が含まれる場合、当該電池セル数に応じて、送電部2から伝送する誘導エネルギーの値を変更するよう電力変更部5を制御するようにしても良い。
【0032】
図3は、本発明の実施形態の変形例に係る無線充電器の充電手順を示すフローチャートである。
【0033】
すなわち、
図2との対応部分に同一符号を付した
図3に示すように、ステップS6にて、送電部2によって検出した充電対象物10からの素性電圧波形を通信信号として認識する。このとき、この信号には、充電対象物10に内蔵した電池セル数の情報が含まれている。そして、この認識した通信信号を解析した後、ステップS10へ移行する。
【0034】
送電コントロール部3は、信号解析部4の解析結果に基づいて、接続が検出された充電対象物10の素性から充電対象物10に内蔵した電池セル数を判断し、当該電池セル数が1本である場合(ステップS10:YES)、送電部2から伝送する誘導エネルギーの値を電池セル数1本に対応した電池セル数1用に設定された値に変更させるよう電力変更部5を制御する。これにより、送電部2は、電磁誘導を利用して充電対象物10へ無線で充電電力としての誘導エネルギーを伝送し、充電対象物10の電池セル数1用の充電を開始する(ステップS11)。
【0035】
また、送電コントロール部3は、信号解析部4の解析結果に基づいて、接続が検出された充電対象物10の素性から充電対象物10に内蔵した電池セル数を判断し、当該電池セル数が1本ではない場合(ステップS10:NO)、同様に充電対象物10に内蔵した電池セル数を判断し、当該電池セル数が2本である場合(ステップS12:YES)、送電部2から出力する誘導エネルギーの値を電池セル数2本に対応した電池セル数2用に設定された値に変更させるよう電力変更部5を制御する。これにより、送電部2は、電磁誘導を利用して充電対象物10へ無線で充電電圧としての誘導エネルギーを伝送し、充電対象物10の電池セル数2用の充電を開始する(ステップS13)。
【0036】
さらに、送電コントロール部3は、信号解析部4の解析結果に基づいて、接続が検出された充電対象物10の素性から充電対象物10に内蔵した電池セル数を判断し、当該電池セル数が2本ではない場合(ステップS12:NO)、同様に充電対象物10に内蔵した電池セル数を判断し、当該電池セル数が3本である場合(ステップS14:YES)、送電部2から出力する誘導エネルギーの値を電池セル数3本に対応した電池セル数3用に設定された値に変更させるよう電力変更部5を制御する。これにより、送電部2は、電磁誘導を利用して充電対象物10へ無線で充電電力としての誘導エネルギーを伝送し、充電対象物10の電池セル数3用の充電を開始する(ステップS15)。
【0037】
送電コントロール部3は、信号解析部4の解析結果に基づいて、接続が検出された充電対象物10の素性から充電対象物10に内蔵した電池セル数を判断し、当該電池セル数が3本ではない場合(ステップS14:NO)、以上のステップS10、S12およびS14のルーチンを、充電対象物10に内蔵した電池セル数を判断し、当該電池セル数が該当するX本である場合(ステップS16:YES)となるまで繰り返し、送電部2から出力する誘導エネルギーの値を電池セル数X本に対応した電池セル数X用に設定された値に変更させるよう電力変更部5を制御する。これにより、送電部2は、電磁誘導を利用して充電対象物10へ無線で充電電力としての誘導エネルギーを伝送し、充電対象物10の電池セル数X用の充電を開始する(ステップS17)。
【0038】
このようにして、本変形例の無線充電器1では、充電対象物10の電池セル数に応じて送電部2から伝送する誘導エネルギーを一気にまたは段階的に変更するよう電力変更部5を制御する。つまり、充電対象物10の電池セル数が5本である場合、誘導エネルギーを電池セル数5本分一気に変更しても良いし、誘導エネルギーを電池セル数1本分ずつ段階的に変更しても良い。これにより、充電対象物10の耐電圧値の大小に拘わらず、共通して使用できる。すなわち、充電対象物10毎に専用の無線充電器1を必要とせず、様々な充電対象物10に対して共通して使用できる。
【0039】
ここで、二次電池は材料特性によって放電電圧が決まっている。例えば、二次電池がリチウムイオン電池の場合は電池セル1本が約3.6Vであり、使用目的に合わせてセルの数を設定している。一例を挙げれば、シェーバーでは電池セル1本(3.6V)、小形のスティッククリーナーでは電池セル5本(18V)、床移動型クリーナーでは電池セル10本(36V)等である。したがって、無線充電器1は、二次電池に対して放電電圧(電池セル数)に応じて適切な給電が可能となっている。
【0040】
図4は、本発明の実施形態の変形例に係る無線充電器を概念的に示すブロック図である。
【0041】
無線充電器1は、
図1との対応部分に同一符号を付した
図4に示すように、接続が検出された充電対象物10からの素性電圧波形に基づく素性に関する情報から、充電対象物10としての機器を特定可能な特定機器識別部6を備えるようにしても良い。
【0042】
特定機器識別部6は、信号解析部4の解析結果に基づいて、接続が検出された充電対象物10からの素性電圧波形に基づく素性に関する情報から、充電対象物10として特定の機器(例えば、二次電池単体、二次電池を搭載するシェーバー、電気掃除機、または携帯端末等の各種機器)を識別する。
【0043】
送電コントロール部3は、特定機器識別部6の識別結果に基づき、特定された機器に応じて送電部2から伝送する誘導エネルギーを変更するよう電力変更部5を制御する。
【0044】
このような変形例の無線充電器1では、特定機器識別部6によって特定した機器に応じて送電部2から出力する誘導エネルギーを変更するよう電力変更部5を制御することで、充電対象物10の耐電圧値の大小に拘わらず、共通して使用できる。すなわち、充電対象物10毎に専用の無線充電器1を必要とせず、様々な充電対象物10に対して共通して使用できる。
【0045】
図5は、本発明の実施形態の変形例に係る無線充電器を用いた無線充電システムの説明図である。
【0046】
なお、前述した実施形態では、充電対象物10からの素性電圧波形に基づいて無線充電器1から伝送する充電電力を設定し、当該素性電圧波形を充電対象物10から送信させるためのトリガーとして、無線充電器1から予め設定された低電圧の充電電力を伝送する場合について説明したが、本発明はこれに限ることはない。
【0047】
例えば、無線充電器1と充電対象物10とのそれぞれに番いで配置され、接続する第一および第二スイッチ部103、1bを設け、これらの接続をトリガーとする特定機器識別部6の識別結果により、充電対象物10を識別し、無線充電器1から伝送する充電電力を設定するようにしても良い。つまり、充電電力の送受信による情報授受を行うことなく、第一および第二スイッチ部103、1bの接続だけで、充電対象物の特定や、伝送する充電電力(誘導エネルギー)の値を制御しても良い。ここでは、無線充電システムとして、充電対象物10が例えば、
図5に示すような電気掃除機などの掃除ユニット100である場合について説明する。
【0048】
具体的に、掃除ユニット100は、
図5に示すように、例えばスティック型であって、ハンディ型でもあり、手持ち操作可能な掃除機本体101を備えている。掃除ユニット100は、掃除機本体101に二次電池102を内蔵しており、二次電池102が蓄える電力によって不図示の電動送風機を駆動させ、電動送風機の駆動によって発生する吸込負圧によって、床面などから塵埃を含んだ空気を吸い込み、吸い込まれた空気から塵埃を分離し、分離後の塵埃を捕集して蓄積すると共に、塵埃が分離された空気を掃除機本体101外へ排気する。
【0049】
ここで、掃除ユニット100は、無線充電器1への設置状態において掃除機本体101の底部となる外郭部101aに外方へ突出した被検出部103を設けておく。また、無線充電器1の掃除ユニット100を設置する設置面1aに、被検出部103に対応した凹状の検出部1bを設けておく。そして、掃除ユニット100を無線充電器1の設置面1aに設置した際、被検出部103と検出部1bとが接続することで、検出部1bが被検出部103を検出する特定機器識別部6として機能する。
【0050】
すなわち、特定機器識別部6は、充電対象物である掃除ユニット100に設けられた被検出部103を検出する検出部1bを備え、検出部1bが掃除ユニット100の被検出部103を検出することで充電対象物として特定の機器、つまり掃除ユニット100を識別する。また、特定機器識別部6は、検出部1bが掃除ユニット100の被検出部103を検出することで充電対象物として掃除ユニット100を識別し、当該識別の結果が、検出された掃除ユニット100に関する素性情報と一致した場合に特定の機器を確定する。
【0051】
なお、ここでは、被検出部103が突出した形状であり、検出部1bが凹状である場合を一例として述べるが、本発明はこれに限ることはない。要は、検出部1bが被検出部103を検出し、充電対象物として特定の機器を識別する態様であれば、他の態様を広く適用できる。また、充電対象物側の被検出部103が検知機能を有していても良い。
【0052】
図6は、本発明の実施形態の変形例に係る無線充電器の充電手順を示すフローチャートである。
【0053】
すなわち、
図2との対応部分に同一符号を付した
図6に示すように、ステップS6にて、送電部2によって検出した充電対象物10からの素性電圧波形を通信信号として認識する。このとき、この信号には、充電対象物10に内蔵した電池セル数の情報が含まれている。そして、この認識した通信信号を解析した後、ステップS20へ移行する。
【0054】
検出部1bは、被検出部103が接続されることで被検出部103を検出すると特定機器識別部6として機能し、接続が検出された充電対象物10が掃除ユニット100であるか否かを判断し、当該充電対象物10が掃除ユニット100であると識別すると(ステップS20:YES)、当該識別結果を送電コントロール部3へ出力する。これにより、送電コントロール部3は、特定機器識別部6の識別結果に基づいて、送電部2から伝送する誘導エネルギーの値を掃除ユニット100に対応して設定された値に変更させるよう電力変更部5を制御する。そして、送電部2は、電磁誘導を利用して掃除ユニット100へ無線で充電電圧としての誘導エネルギーを伝送し、掃除ユニット100の充電を開始する(ステップS21)。
【0055】
また、特定機器識別部6は、検出部1bに被検出部103が接続されず(検出部1bが被検出部103を検出せず)、充電対象物10が掃除ユニット100であるか否かを判断し、当該充電対象物10が掃除ユニット100ではないと識別すると(ステップS20:NO)、当該識別結果を送電コントロール部3へ出力する。これにより、送電コントロール部3は、特定機器識別部6の識別結果に基づいて、送電部2から伝送する誘導エネルギーの値を掃除ユニット100以外に対応して設定された値に変更させるよう電力変更部5を制御する。これにより、送電部2は、電磁誘導を利用して掃除ユニット100以外の充電対象物10へ無線で充電電圧としての誘導エネルギーを伝送し、掃除ユニット100以外の充電対象物10の充電を開始する(ステップS22)。
【0056】
以上、説明したように、本変形例の無線充電器1は、送電コントロール部3が特定機器識別部6の識別結果に基づき、特定された機器(例えば、掃除ユニット100)に対応した値となるように、送電部2から伝送する誘導エネルギーを変更するよう電力変更部5を制御することで、充電対象物10の耐電圧値の大小に拘わらず、共通して使用できる。すなわち、充電対象物10毎に専用の無線充電器1を必要とせず、様々な充電対象物10に対して共通して使用できる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1…無線充電器、1a…設置面、1b…検出部、2…送電部、3…送電コントロール部、4…信号解析部、5…電力変更部、6…特定機器識別部、10…充電対象物、11…受電部、12…受電コントロール部、13…電圧/電流調整部、14…素性情報生成部、100…掃除ユニット、101…掃除機本体、101a…外郭部、102…二次電池、103…被検出部。