(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099714
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】詰め替え容器
(51)【国際特許分類】
B65D 85/00 20060101AFI20220628BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
B65D85/00 A
B65D83/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213678
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】梶 温美
【テーマコード(参考)】
3E068
【Fターム(参考)】
3E068AA40
3E068CC01
3E068CE03
3E068DD08
3E068DD25
3E068DD31
3E068DE11
3E068EE32
3E068EE40
(57)【要約】
【課題】詰め替え容器において、ユーザの意図的な操作以外の外力によって開放されにくく、収容物を迅速かつ容易に詰め替えることができるようにする。
【解決手段】詰め替え容器10は、外殻部材1と、蓋部材2と、係止部材Lと、を備え、係止部材Lは、第1位置と、第2位置と、の間で移動可能に設けられた係止操作部3dと、係止操作部3dに設けられた第1方向Z1に凸の先端凸部3eと、係止操作部3dと連動するように設けられ、係止操作部3dが第1位置に位置するとき係止部2eに係止し、係止操作部3dが第1位置から第2位置に移動するまでに係止部2eとの係止が解除される係止突起3fと、を有し、蓋部材2は、先端凸部3eの移動経路上に配置され、係止操作部3dが内方向C1に移動する間に、先端凸部3eに当接して、係止操作部3dから作用する押圧力の第1方向Z1における分力を発生させる突起部2fと、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向における端部に第1開口部が形成されており、前記第1開口部の内側に収容物を収容する外殻部材と、
前記第1方向と反対の第2方向から前記第1開口部を覆っており、前記第1方向と交差する方向において把持可能な把持部と、前記把持部に隣接して形成された第2開口部と、前記第2方向から見て前記第2開口部の内側に形成された係止部と、を有する蓋部材と、
前記外殻部材に固定されており、少なくとも一部が前記第2開口部の内側に配置され、前記蓋部材が前記第1方向に移動しないように前記係止部に係止する係止部材と、
を備え、
前記係止部材は、
前記第2方向から見て先端部が、前記把持部を超えて前記第2開口部の内側に突出した状態の第1位置と、前記第2開口部から退避して前記把持部から突出しない状態の第2位置と、の間で移動可能に設けられた係止操作部と、
前記係止操作部に設けられた前記第1方向に凸の第1突起部と、
前記係止操作部と連動するように設けられ、前記係止操作部が前記第1位置に位置するとき前記係止部に前記第2方向から係止し、前記係止操作部が前記第1位置から前記第2位置に移動するまでに前記係止部との係止が解除される係止突起と、
を有し、
前記蓋部材は、
前記第1突起部の移動経路上に配置され、前記係止操作部が前記第1位置から前記第2位置に向かって第3方向に移動する間に、前記第1突起部に当接して、前記係止操作部から作用する押圧力の前記第1方向における分力を発生させる第2突起部と、
を有する、
詰め替え容器。
【請求項2】
前記第2突起部は、前記第3方向において弾性変形可能な材料で形成され、前記蓋部材から前記第2方向に突出しており、前記第1突起部が前記第3方向から当接したときに、前記第2方向に進むにつれて前記第3方向に傾斜する傾斜面を形成する、
請求項1に記載の詰め替え容器。
【請求項3】
前記第2突起部は、前記蓋部材から前記第2方向に突出しており、前記第2方向に進むにつれて前記第3方向に傾斜する傾斜面を有する、
請求項1に記載の詰め替え容器。
【請求項4】
前記外殻部材の内側に、前記第1方向に延びる筒状体を有し前記筒状体の内部に前記収容物を収容する収容部が設けられており、
前記筒状体の径方向に貫通し前記筒状体の延在方向の先端から前記第2方向に延びる一対のスリットに挟まれた板状部によって、前記第1方向において前記外殻部材よりも外側に延びており前記第1方向と交差する方向に弾性変形可能な弾性アームが形成されており、
前記係止操作部は、前記第1方向における前記弾性アームの先端部に設けられており、
前記係止突起は、前記弾性アームにおいて前記係止操作部よりも前記第2方向に離れた位置に設けられている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の詰め替え容器。
【請求項5】
前記蓋部材の前記第2開口部と前記係止部とは、前記第2方向から見て前記把持部を挟んで対向する2位置にそれぞれ設けられ、
前記係止部材は、前記第2開口部および前記係止部のそれぞれに対応して設けられている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の詰め替え容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詰め替え容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への負荷を低減するため、ユーザが収容物を入れ替えたり、補充したりすることによって再使用できる詰め替え容器が提案されている。
詰め替え容器は、ユーザによって容易に開けられることが好ましい。しかし、ユーザが意図しないときには、開かないようにする必要がある。
例えば、特許文献1には、錠剤またはカプセルを収容するブリスターパックを格納する容易に詰め替え可能な対小児安全容器が開示されている。特許文献1に開示された容器では、左手で容器を持った状態で右手の人差し指でラッチを解除することによって、トレイが水平に回動して開状態に開かれる。
また、詰め替え容器は、詰め替え後に収容物が容器に対して適正な位置に配置される必要がある。
例えば、特許文献2には、外ケースに誤セット防止用リブが設けられ、揮散剤を収容する引き出し式の内ケースの誤セットが防止できる揮散剤容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009-504520号公報
【特許文献2】特許第5748973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術には以下のような問題がある。
特許文献1に記載の容器は、両手で操作をしないと開けられないので、小児に対する安全性は向上できる。しかし、両手で操作しないと開けられないのは不便でもある。
さらに、トレイが水平に回動して開くため、収容物の質量や体積によっては作業性が悪くなり、かつ広い作業領域を確保する必要がある。このため、例えば、消臭剤、芳香剤などを設置場所において交換する用途には適していない。
特許文献2に記載の揮散剤容器は引き出し式なので、詰め替え時に広い作業領域が必要になる。また、側面に大きな開口部が必要になるので、良好な外観が得られない可能性もある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、ユーザの意図的な操作以外の外力によって開放されにくく、収容物を迅速かつ容易に詰め替えることができる詰め替え容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様の詰め替え容器は、第1方向における端部に第1開口部が形成されており、前記第1開口部の内側に収容物を収容する外殻部材と、前記第1方向と反対の第2方向から前記第1開口部を覆っており、前記第1方向と交差する方向において把持可能な把持部と、前記把持部に隣接して形成された第2開口部と、前記第2方向から見て前記第2開口部の内側に形成された係止部と、を有する蓋部材と、前記外殻部材に固定されており、少なくとも一部が前記第2開口部の内側に配置され、前記蓋部材が前記第1方向に移動しないように前記係止部に係止する係止部材と、を備え、前記係止部材は、前記第2方向から見て先端部が、前記把持部を超えて前記第2開口部の内側に突出した状態の第1位置と、前記第2開口部から退避して前記把持部から突出しない状態の第2位置と、の間で移動可能に設けられた係止操作部と、前記係止操作部に設けられた前記第1方向に凸の第1突起部と、前記係止操作部と連動するように設けられ、前記係止操作部が前記第1位置に位置するとき前記係止部に前記第2方向から係止し、前記係止操作部が前記第1位置から前記第2位置に移動するまでに前記係止部との係止が解除される係止突起と、を有し、前記蓋部材は、前記第1突起部の移動経路上に配置され、前記係止操作部が前記第1位置から前記第2位置に向かって第3方向に移動する間に、前記第1突起部に当接して、前記係止操作部から作用する押圧力の前記第1方向における分力を発生させる第2突起部と、を有する。
【0007】
上記詰め替え容器においては、前記第2突起部は、前記第3方向において弾性変形可能な材料で形成され、前記蓋部材から前記第2方向に突出しており、前記第1突起部が前記第3方向から当接したときに、前記第2方向に進むにつれて前記第3方向に傾斜する傾斜面を形成してもよい。
【0008】
上記詰め替え容器においては、前記第2突起部は、前記蓋部材から前記第2方向に突出しており、前記第2方向に進むにつれて前記第3方向に傾斜する傾斜面を有してもよい。
【0009】
上記詰め替え容器においては、前記外殻部材の内側に、前記第1方向に延びる筒状体を有し前記筒状体の内部に前記収容物を収容する収容部が設けられており、前記筒状体の径方向に貫通し前記筒状体の延在方向の先端から前記第2方向に延びる一対のスリットに挟まれた板状部によって、前記第1方向において前記外殻部材よりも外側に延びており前記第1方向と交差する方向に弾性変形可能な弾性アームが形成されており、前記係止操作部は、前記第1方向における前記弾性アームの先端部に設けられており、前記係止突起は、前記弾性アームにおいて前記係止操作部よりも前記第2方向に離れた位置に設けられてもよい。
【0010】
上記詰め替え容器においては、前記蓋部材の前記第2開口部と前記係止部とは、前記第2方向から見て前記把持部を挟んで対向する2位置にそれぞれ設けられ、前記係止部材は、前記第2開口部および前記係止部のそれぞれに対応して設けられてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の詰め替え容器によれば、ユーザの意図的な操作以外の外力によって開放されにくく、収容物を迅速かつ容易に詰め替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る詰め替え容器の一例を示す模式的な斜視図である。
【
図2】
図1におけるF2-F2線に沿う断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る詰め替え容器における収容部の例を示す模式的な斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る詰め替え容器における蓋部材の例を示す模式的な斜視図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る詰め替え容器の動作説明図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る詰め替え容器の動作説明図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る詰め替え容器の動作説明図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る詰め替え容器の動作説明図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態の変形例に係る詰め替え容器を示す模式的な断面図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係る詰め替え容器の例を示す模式的な断面図である。
【
図14】本発明の第3の実施形態に係る詰め替え容器の例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0014】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る詰め替え容器について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る詰め替え容器の一例を示す模式的な斜視図である。
図2は、
図1におけるF2-F2線に沿う断面図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る詰め替え容器における収容部の例を示す模式的な斜視図である。
【0015】
図1、2に示すように本実施形態の詰め替え容器10は、外殻部材1と、収容部3と、蓋部材2と、を備える。
以下の説明において、特に断らない限り、詰め替え容器10の各部を、詰め替え容器10として組み立てられた状態における配置姿勢に基づいて説明する。
【0016】
外殻部材1は、詰め替え容器10における図示下側の外周部を形成する。外殻部材1の外形は、一方向に開口する開口部が形成されていれば、特に限定されない。
図2に示す例では、第1方向Z1の端部において、第1方向Z1に開口する開口部O1(第1開口部)が形成された有底円筒形である。第1方向Z1は、特に限定されないが、例えば、鉛直上方向である。第1方向Z1と反対の方向は第2方向Z2である。以下、第2方向Z2から見ることを平面視と称する場合がある。
【0017】
外殻部材1は、開口部O1の内側に収容物Mを収容する。
収容物Mの形態および種類は、外殻部材1の内部に収容可能であれば、特に限定されない。例えば、収容物Mは固体でもよいし液体でもよい。例えば、収容物Mはゲル、ゾルなどでもよい。収容物Mは、昇華性、揮発性、溶出性などを有していてもよい。
図2に示す例では、収容物Mは、粒状の固体である。
【0018】
図2に示す例では、外殻部材1は、底面部1aと、底面部1aの外縁から第1方向Z1に延びる円筒部1bと、を有する。
底面部1aは円板形でもよいが、
図2に示す例では、底面部1aの中心部に第1方向Z1に延びる円筒形の突起部1fが突出している。突起部1fの内側には、第1方向Z1から見て円形の開口部1gが形成されている。
底面部1aにおいて、突起部1fの外側には、後述する収容部3を固定する係止爪1cが突出している。係止爪1cは、収容部3に係止できる適宜の位置に複数個設けられている。係止爪1cの突出方向における係止爪1cの先端部には、底面部1aの中心部に向かって突出する係止突起1eが形成されている。
底面部1aにおいて各係止爪1cの内側には、係止爪1cにおけるアンダーカット形状を解消するための孔部1hが形成されている。
【0019】
円筒部1bは、円筒形の内周面を有しており、内周面の内側に開口部O1が形成されている。円筒部1bの先端部の外周部には、円筒部1bの外周面の外径よりも小さい外径を有する略円筒形の嵌合部1dが形成されている。嵌合部1dは、後述する蓋部材2の内側に着脱可能に嵌合する。嵌合部1dは、円筒部1bの外周部よりも内側に凹んだ段部を形成しており、段部において蓋部材2が第2方向Z2から係止できる。
【0020】
外殻部材1の材料は、後述する収容部3の固定時に係止爪1cが弾性変形でき、詰め替え容器10に必要な外観の装飾が可能な材料であれば、特に限定されない。例えば、外殻部材1の材料として、適宜の樹脂材料が用いられてもよい。外殻部材1の材料は、透明または半透明の材料であってもよいし、不透明な材料であってもよい。
【0021】
収容部3は、第1方向Z1に延びる有底の筒状体である。収容部3は、外殻部材1の底面部1aに固定されている。
図2に示す例では、収容部3は、底面部3a、円筒部3b(筒状体)、および係止部材Lを有する。
底面部3aは、突起部1fの先端部に第2方向Z2から対向して配置される。
図3に示すように、円筒部3bは、底面部3aの外縁から第1方向Z1に延びている。
図2に示すように、底面部3aと円筒部3bとで囲まれた空間には、収容物Mを収容することができる。
円筒部3bにおける第2方向Z2の端部(図示下端部)における外周面には、係止溝3gが形成されている。
係止溝3gは、底面部3aが突起部1fの先端と当接した状態で、係止爪1cの係止突起1eに係止する。これにより、収容部3は、外殻部材1において底面部1aの中心部に固定される。
収容部3が外殻部材1に固定された状態では、底面部3aが開口部1gに臨んでいる。このため、収容部3が光透過性を有する材料で形成される場合には、開口部1gを通して、収容部3の内部の目視観察が可能である。この場合、ユーザは、収容部3における収容物Mの有無または残量を容易に目視確認できる。
【0022】
係止部材Lは、収容部3の第1方向Z1における先端部に設けられており、収容部3が介在することにより外殻部材1に固定されている。係止部材Lは、少なくとも一部が後述する蓋部材2の開口部O2の内側に配置され、蓋部材2が第1方向Z1に移動しないように蓋部材2に係止する。
図3に示すように、本実施形態では、係止部材Lは、円筒部3bの第1方向Z1に延びる中心軸線P3を挟んで互いに対向する2位置に設けられている。
各係止部材Lの構成は、円筒部3bの中心軸線P3を通る平面に関して面対称である。各係止部材Lにおいて互いに対応する形状には同一符号を付している。以下では、特に断らない限り、一方の係止部材Lの詳細構成について説明する。
【0023】
係止部材Lは、弾性アーム3c、係止操作部3d、および係止突起3fを有する。
弾性アーム3cは、第1方向Z1における円筒部3bの先端および外殻部材1の先端よりも第1方向Z1に延びており、第1方向Z1と交差する方向に弾性変形可能である。本実施形態では、各弾性アーム3cは、それぞれの対向方向Cにおいて弾性変形可能である。対向方向Cは、第1方向Z1に直交している。
以下では、対向方向Cにおいて、収容部3の外周側から収容部3の中心軸線P3に向かう方向を内方向C1、内方向と反対方向を外方向C2と称する場合がある。
図2、3には、弾性アーム3cが対向方向Cに弾性変形していない状態(未変形状態)が描かれている。以下、特に断らない限り、未変形状態における弾性アーム3cの形状および配置を説明する。
【0024】
弾性アーム3cの形状は、対向方向Cにおいて弾性変形可能であれば特に限定されない。例えば、弾性アーム3cは、棒形、平板形などでもよい。弾性アーム3cは、必要な弾性が得られれば、円筒部3bの先端から延びていてもよい。
図3に示す例では、弾性アーム3cの延在方向の基端部は、円筒部3bの厚さ方向に貫通し、円筒部3bの先端から第2方向Z2に延びる一対のスリットSに挟まれた板状部で形成される。このため、弾性アーム3cに基端部は、第1方向Z1に直交する断面において円筒部3bと同様の曲率で湾曲しており、同様の曲率を保って第1方向Z1に延びる湾曲板である。各弾性アーム3cは、円筒部3bの第1方向Z1における先端からさらに第1方向Z1に延びている。
図2に示すように、弾性アーム3cの先端は、後述する蓋部材2の開口部O2の内側であって、蓋部材2の外周面2aよりも外側に突出しない状態の位置に延びている。
【0025】
弾性アーム3cの弾性の大きさは、第1方向Z1における長さと、周方向における幅と、径方向における厚さと、によって適宜の大きさに設定可能である。本実施形態では、弾性アーム3cの長さおよび幅は、一対のスリットSの第1方向Z1における長さおよび周方向における間隔を変えることによって、弾性アーム3cの先端の位置を変えることなく変更できる。
図3には、弾性アーム3cの幅が第1方向Z1において一定の形状が描かれているが、弾性アーム3cの幅は、第1方向Z1において、変化していてもよい。
【0026】
係止操作部3dは、係止突起3fの係止を解除する目的で、ユーザが内方向C1において指を掛けて係止解除操作を行う部位である。係止操作部3dは、第1方向Z1における弾性アーム3cの先端に設けられている。係止操作部3dの形状は、ユーザが操作しやすい適宜の形状に形成できる。
例えば、収容部3の周方向における係止操作部3dの幅は、ユーザの指の腹で係止操作部3dを操作できるように、指の幅よりも広いことがより好ましい。
図2に示す例では、係止操作部3dは、弾性アーム3cの先端から、外方向C2に突出する平板形の突起である。係止操作部3dは、弾性アーム3cの幅内の一部、または幅を超える範囲に設けられていてもよいが、本実施形態では、
図3に示すように、弾性アーム3cの幅と同じ幅にわたって設けられている。
係止操作部3dは、平面視において後述する蓋部材2の開口部O2の内側に突出しているが、蓋部材2の外周面2aより外側には突出していない。
【0027】
平面視において弾性アーム3cと重なる係止操作部3dの上面には、第1方向Z1に向かって山形に突出し、弾性アーム3cの湾曲に沿って延びる先端凸部3e(第1突起部)が形成されている。このため、弾性アーム3cにおける内周面は、先端凸部3eにおいて、第1方向Z1進むにつれて外方向C2に傾斜する傾斜部3iが形成されている。
【0028】
図2に示すように、係止突起3fは、後述する蓋部材2の係止部2eに第2方向Z2から係止する。係止突起3fは、係止操作部3dよりも第2方向Z2に離れた位置における弾性アーム3cから、外方向C2に突出する平板形の突起である。係止突起3fは、弾性アーム3cの幅内の一部、または幅を超える範囲に設けられていてもよいが、本実施形態では、
図3に示すように、弾性アーム3cの全幅にわたって設けられている。
係止突起3fは、平面視において、後述する蓋部材2の開口部O2の内部に突出しているが、蓋部材2の外周面2aより外側には突出していない。
【0029】
図3に示すように、収容部3の周方向における係止操作部3dおよび係止突起3fの両端部には、対向方向Cに沿って延びる側板部3hがそれぞれ設けられている。
各側板部3hは、係止操作部3dおよび係止突起3fと同様、平面視において、後述する蓋部材2の開口部O2の内部に突出している。しかし、側板部3hの端縁3kは、第1方向Z1および対向方向Cに直交する方向から見ると、蓋部材2の外周面2aより外側には突出しないように、外周面2aに沿って傾斜している。
図2示す例では、各端縁3kは、外周面2aの円弧形状に沿って、第2方向Z2に進むにつれて外方向C2に向かって円弧状に傾斜している。
【0030】
収容部3の材料は、弾性アーム3cが弾性変形でき、収容物Mを収容可能であれば特に限定されない。例えば、収容部3の材料として、適宜の樹脂材料が用いられてもよい。収容部3の材料は、透明または半透明の材料であってもよいし、不透明な材料であってもよい。
【0031】
図2に示すように、蓋部材2は、第2方向Z2から開口部O1を覆う。蓋部材2の外形は開口部O1を覆うことができれば、特に限定されない。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る詰め替え容器における蓋部材の例を示す模式的な斜視図である。
図5は、
図4におけるF5視の平面図である。
図6は、
図4におけるF6視の裏面図である。
【0032】
蓋部材2の外形は、第1方向Z1に進むにつれて、第2方向Z2から見た外周部から中心部に向かって傾斜する傾斜部を有することがより好ましい。傾斜面は、傾斜角が一定の平面または湾曲面であってもよいし、第1方向Z1に進むにつれて傾斜角が変化する湾曲面であってもよい。
図4に示す例では、蓋部材2は、第1方向Z1に凸の半球形の外周面2a(傾斜面)を有している。外周面2aは、第1方向Z1に進むにつれて第1方向Z1に対する傾斜角が0度に近い角度から直角に近い角度まで漸増する傾斜面の例である。
このように開口部O2が傾斜面である外周面2aを貫通していると、係止操作部3dよりも第2方向Z2に位置する係止突起3fは、突出方向の長さが係止操作部3dよりも長くても、外周面2aより外側には突出しない形状に設けることができる。
【0033】
図5に示すように、蓋部材2は、天部2d、把持部2c、開口部O2(第2開口部)、および係止部2eを有する。蓋部材2における平面視形状は、蓋部材2の中心P2を通り対向方向Cに直交する直線に関して線対称である。
【0034】
天部2dは、蓋部材2の第1方向Z1の端部に設けられている。天部2dは、第1方向Z1に交差する方向に延びる円板である。天部2dの中心は、平面視における蓋部材2の中心P2と同心である。
把持部2cは、蓋部材2を対向方向Cにおいて把持可能な部位である。把持部2cは、対向方向Cにおける天部2dの両端部に設けられている。このため、把持部2cは、平面視において蓋部材2の中心P2を挟む2箇所に設けられている。
図2に示すように、各把持部2cは、未変形状態の係止部材Lの係止操作部3dが把持部2cの外方向C2の先端よりもDだけ突出する位置に設けられている。
【0035】
開口部O2は、蓋部材2を第2方向Z2に貫通する開口である。開口部O2は、把持部2cに対する外方向C2においてそれぞれに隣接する位置に形成されている。
平面視において対向方向Cと直交する方向の開口部O2の幅は、収容部3の周方向における係止操作部3dおよび係止突起3fの幅よりも広い。このため、係止操作部3d、係止突起3f、および側板部3hを含む係止部材Lの先端部は、開口部O2の内側に挿入可能である。
【0036】
係止部2eは、係止部材Lの係止突起3fが第2方向Z2から係止することができるように設けられている。
係止部2eは、平面視において各開口部O2の内側にそれぞれ形成されている。
図5に示す例では、係止部2eは、平面視において外方向C2における開口部O2の縁部から内方向C1に突出する平板である。本実施形態では、係止部2eにおける外方向C2の端部には、係止部2eから第1方向Z1に突出する突起部2gが形成されている。突起部2gは、係止部2eに係止した係止突起3fよりも外方向C2に形成されており、外部から内方向C1に向かって係止突起3fに作用する外力が、係止突起3fに直接的に作用することを抑制している。
図2に示すように、係止部2eの第1方向Z1における位置は、係止突起3fの第2方向Z2の表面に第1方向Z1から当接する位置である。このため、係止部2eは、係止突起3fの位置に対応して、把持部2cよりも第2方向Z2に離れた位置に形成されている。
図2に示すように、内方向C1における係止部2eの先端は、弾性アーム3cの未変形状態で、係止突起3fの外方向C2における先端よりも内方向C1に位置している。平面視における係止突起3fと係止部2eとの重なり量は、対向方向Cにおいてdである。ここで、重なり量dは、把持部2cからの係止操作部3dの突出量D以下である。
【0037】
図6に示すように、天部2dの裏面(第2方向Z2の表面)には、第2方向Z2に突出する突起部2f(第2突起部)が設けられている。突起部2fは、弾性アーム3cが未変形状態から変形して内方向C1に移動した時、弾性アーム3cからの押圧力を第1方向Z1に向ける目的で設けられている。
突起部2fの形状は、内方向C1に向かう押圧力を第1方向Z1に向けることができれば、特に限定されない。
図6に示す例では、各突起部2fは、天部2dの中心P2の周方向に沿って延びる円弧状の薄肉リブである。
図2に示すように、突起部2fは、未変形状態の弾性アーム3cの内周面および先端凸部3eの傾斜部3iと対向方向Cにおいて対向する位置にある。
【0038】
図6に示すように、第1方向Z1から見た蓋部材2の外周部には、外殻部材1の嵌合部1dに着脱可能に嵌合する嵌合部2bが形成されている。
図2に示すように、嵌合部2bは、嵌合部1dの外周部に第2方向Z2から嵌まりこみ、第2方向Z2の先端が、嵌合部1dと円筒部1bの間に形成された段部に突き当たった状態で係止可能である。
【0039】
蓋部材2の材料は、突起部2fが弾性アーム3cおよび先端凸部3eによって押圧された際に、内方向C1において突起部2fがある程度弾性変形できる材料であれば、特に限定されない。例えば、蓋部材2の材料として、収容部3の材料よりも軟質の適宜の樹脂材料が用いられてもよい。例えば、突起部2fの材料をその他の蓋部材2の材料を分けることができる場合には、突起部2fのみに収容部3の材料よりも軟質の適宜の樹脂材料が用いられてもよい。
蓋部材2の材料は、透明または半透明の材料であってもよいし、不透明な材料であってもよい。
【0040】
次に詰め替え容器10の動作について収容物Mの詰め替え動作を中心として説明する。
図7、8は、本発明の第1の実施形態に係る詰め替え容器の動作説明図である。
図9は、
図8におけるF9部の拡大図である。
図10、11は、本発明の第1の実施形態に係る詰め替え容器の動作説明図である。
【0041】
図7に示すように、詰め替え容器10の組立状態では、外殻部材1の嵌合部1dに蓋部材2の嵌合部2bが第2方向Z2から嵌合している。
収容部3の各係止部材Lは、未変形状態であり、各係止突起3fが係止部2eに第2方向Z2から係止している。係止突起3fと係止部2eとの重なり量はそれぞれdである。
このため、蓋部材2は、係止突起3fによって第1方向Z1に抜け止めされている。
各係止操作部3dは、把持部2cからそれぞれ外方向C2に突出しており、突出量はDである。
係止突起3fおよび係止操作部3dは、外周面2aよりも外側には突出していない。このため、例えば、蓋部材2が外部の壁体、床などの曲率が小さい物体に当たっても、外周面2aから引っ込んでいる係止突起3fおよび係止操作部3dに外力が作用しにくい。実施形態では、係止部2eに突起部2gが形成されている点で、係止突起3fに特に外力が作用しにくくなっている。
【0042】
詰め替え容器10において収容物Mを入れ替えたり、補充したりするには、以下のようにして蓋部材2を取り外す。
まず、
図7に示すように、ユーザは、指f1、f2を、天部2dを挟んで対向する開口部O2にそれぞれ挿入する。この後、ユーザは、各把持部2cおよび各係止操作部3dを対向方向Cにおいて指f1、f2で把持する。指f1、f2の種類は、各把持部2cおよび各係止操作部3dを把持できれば特に限定されない。例えば、指f1、f2は、それぞれ第1指、第2指であってもよい。
この後、
図8に示すように、ユーザは指f1、f2の把持力を増大させて、各係止操作部3dを、内方向C1(第3方向)に押圧する。これにより、各弾性アーム3cが内方向C1に弾性変形し、係止操作部3dおよび係止突起3fがそれぞれ内方向C1に移動する。
【0043】
このとき、各先端凸部3eの傾斜部3iが突起部2fをそれぞれ押圧するので、各突起部2fは、内方向C1に傾斜する。
すなわち、
図9に二点鎖線で示すように、突起部2fの外方向C2の表面2kは、先端凸部3eが当接するまでは、第2方向Z2に延びている。
先端凸部3eが内方向C1に移動して表面2kに当接すると、実線で示すように、表面2kが傾斜部3iに沿って傾斜する。傾斜した表面2kを通して、溶着部M2に作用する押圧力fpは、内方向C1における水平分力成分fhと、第1方向Z1における垂直分力成分fvとに分解される。
これにより、表面2kの傾斜角度に応じて、蓋部材2には、第1方向Z1の垂直分力成分fvが作用する。
このため、蓋部材2に第1方向Z1に押圧力が作用した状態で、係止操作部3dが内方向C1に移動する。
例えば、ユーザが係止操作部3dをΔ(ただし、0<Δ≦D)だけ内方向C1に押し込むと、係止突起3fが内方向C1にdだけ移動する。
これにより、各係止部2eに対する係止突起3fの係止がそれぞれ解除される。
【0044】
係止突起3fの係止が解除されると、
図10に示すように、ユーザは、把持部2cを把持した状態で、蓋部材2を第1方向Z1に移動させることができる。
このとき、先端凸部3eが突起部2fに当接している間は、垂直分力成分fvが発生する。これにより、蓋部材2が第1方向Z1に付勢される。この結果、ユーザは、垂直分力成分fvが発生しない場合に比べてより軽い力で容易に、蓋部材2を第1方向Z1に移動することができる。
垂直分力成分fvが発生しない場合には、ユーザは、指f1、f2で把持部2cおよび係止操作部3dを内方向C1に把持し、この状態で第1方向Z1に蓋部材2を引き上げる、という2段階の動作を意識して行う必要がある。しかし、本実施形態では、内方向C1への把持動作が行われると同時に、蓋部材2が第1方向Z1に付勢される。このため、ユーザが特に第1方向Z1に引き上げる動作を意識しなくても、円滑に蓋部材2が外れる。
【0045】
各係止突起3fの先端3jは、各係止操作部3dに指f1、f2が掛かっている間は、各係止部2eよりも内方向C1に位置するので、各係止操作部3dは各係止部2eよりも内側を通り抜けることができる。
【0046】
各係止部材Lが設けられた収容部3は外殻部材1に固定されているので、例えば、手を添えるなどして外殻部材1を押さえておけば、指f1、f2によって各係止操作部3dが把持された状態でも、収容部3は第1方向Z1には移動できない。このため、指f1、f2は、各係止操作部3dを滑りながら第1方向Z1に移動できる。
傾斜部3iが突起部2fから離れると、突起部2fは、弾性復元力によって、変形前の形状に戻る。
蓋部材2が、各係止部2eの厚さ以上移動することによって、各係止操作部3dが指f1、f2から離れると、各弾性アーム3cは、弾性復元力によって、未変形状態に戻る。
【0047】
上述したように、係止部材Lにおける係止操作部3dは、第2方向Z2から見て先願部が、把持部2cを超えて第2開口部である開口部O2の内側に突出した状態の第1位置と、開口部O2から退避して把持部2cから突出しない状態の第2位置と、の間で移動可能に設けられている。
係止部材Lにおける係止突起3fは、係止操作部3dと連動するように設けられている。係止突起3fは、係止操作部3dが第1位置に位置するとき係止部2eに第2方向Z2から係止し、係止操作部3dが第1位置から第2位置に移動するまでに係止部2eとの係止が解除される。
【0048】
このようにして、外殻部材1から蓋部材2が取り外される。上述の取り外し動作は、各係止突起3fが両方とも、d以上内方向C1に移動することによって実現される。このため、一方の係止操作部3dのみが押圧されて、係止操作部3dが押圧された方の係止突起3fのみが係止解除された状態では、蓋部材2は外せない。
このため、ユーザが意図して両方の係止操作部3dを把持部2cともに把持し、かつ各係止操作部3dを把持部2cの近くまで移動させない限り蓋部材2が外れないようになっている。このため、例えば、乳幼児などが偶然に触っただけで開いてしまうことを防止できる。
【0049】
蓋部材2が取り外されたら、収容部3の第1方向Z1の開口部を通して収容物Mを入れ替えたり補充したりすることができる。
収容物Mを入れ替えたり補充したりした後、ユーザは、以下のようにして蓋部材2を組み付けることができる。
図11に示すように、ユーザは、蓋部材2の嵌合部2bが外殻部材1の嵌合部1dに対向するように蓋部材2を配置し、蓋部材2を第2方向Z2に移動する。
各弾性アーム3cは未変形状態なので、各係止突起3fの先端3jは、各係止部2eの先端よりも外方向C2に位置している。このため、係止部2eは、側板部3hの端縁3kに第2方向Z2から当接する。
【0050】
各端縁3kは、組立状態で外周面2aから外側に突出しないように、外周面2aの形状に沿って傾斜している。このため、ユーザがさらに蓋部材2を第2方向Z2に押すと、各係止部2eから各端縁3kに押圧力が作用し、各端縁3kの傾斜に応じて弾性アーム3cを内方向C1に変形させる水平分力が発生する。
これにより、蓋部材2が第2方向Z2に移動するにつれて、各弾性アーム3cが内方向C1に変形する。第2方向Z2に移動する嵌合部2bは、嵌合部1dの外側を通って移動する。
各係止部2eが、各係止突起3fの各先端3jを通過し、係止突起3fを超えて第2方向Z2に移動すると、係止部2eから側板部3hに作用する水平分力が消失する。これにより、各係止突起3fが、各弾性アーム3cの弾性復元力によって各係止部2eの第1方向Z1の表面に沿って外方向C2に進出する。
【0051】
このようにして、各係止部2eに各係止突起3fが係止するとともに、嵌合部2bが嵌合部1dに嵌合する。この結果、詰め替え容器10の組立状態が形成される。
本実施形態によれば、蓋部材2を外殻部材1上に配置して、蓋部材2を第2方向Z2移動させるだけで、簡単に収容部3を閉じて、組立状態の詰め替え容器10を形成できる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の詰め替え容器10によれば、ユーザの意図的な操作以外の外力によって開放されにくく、収容物Mを迅速かつ容易に詰め替えることができる。
【0053】
[変形例]
次に、本発明の第1の実施形態の変形例に係る詰め替え容器について説明する。
図12は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る詰め替え容器を示す模式的な断面図である。
図12の(a)は、弾性アーム3cが未変形状態の位置関係の例を示す。
図12の(b)は、弾性アーム3cが内方向C1に弾性変形した状態の位置関係の例を示す。
【0054】
図12の(a)に示すように、本変形例の詰め替え容器10Aは、第1の実施形態における詰め替え容器10の蓋部材2に代えて蓋部材2Aを備える。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0055】
蓋部材2Aは、蓋部材2の各突起部2fに代えて、突起部2fAをそれぞれ備える。
突起部2fAは、天部2dの中心P2の周方向に沿って延びる円弧状の突起である。突起部2fAの対向方向Cに沿う断面形状は、第2方向Z2に凸の山形である。
突起部2fAの外方向C2における表面2fkAは、第2方向Z2に進むにつれて内方向C1に傾斜する傾斜面である。
突起部2fAは、未変形状態の先端凸部3eの傾斜部3iと対向方向Cにおいて対向する位置にある。
突起部2fAは、表面2fkAの傾斜角度が、必要な大きさの垂直分力成分fvを発生させることができれば、第1の実施形態における突起部2fのように、先端凸部3eによって押圧されたとき、内方向C1に傾斜しなくてもよい。この場合、突起部2fAを含む蓋部材2Aの材料は、収容部3と同様の硬さを有する樹脂材料が用いられてもよい。
【0056】
突起部2fAによれば、
図12の(b)に示すように、内方向C1に移動する先端凸部3eの傾斜部3iは、内方向C1に傾斜している表面2kA(傾斜面)に当接する。このため、突起部2fAが変形しなくても、表面2kAの傾斜角度に応じて垂直分力成分fvが発生する。
ただし、突起部2fAが押圧力によってある程度弾性変形することによって、表面2kAの傾斜角度が適正になるように、突起部2fAの形状および材料が設定されてもよい。
【0057】
本変形例の詰め替え容器10Aは、突起部2fに代えて、突起部2fAが形成されている以外は、詰め替え容器10と同様である。このため、第1の実施形態と同様に、ユーザの意図的な操作以外の外力によって開放されにくく、収容物Mを迅速かつ容易に詰め替えることができる。
特に本変形例では、突起部2fAが変形しなくても、表面2kAの傾斜角度に応じて垂直分力成分fvが発生するので、突起部2fAの材料がある程度硬質であっても、第1の実施形態と同様の操作性が得られる。
【0058】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る詰め替え容器について説明する。
図13は、本発明の第2の実施形態に係る詰め替え容器の例を示す模式的な断面図である。
図13に示すように、本実施形態の詰め替え容器10Cは、第1の実施形態における詰め替え容器10の収容部3、蓋部材2に代えて、収容部3C、蓋部材2Cを備える。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0059】
収容部3Cは、第1の実施形態における一方の係止部材Lに代えて、突状部3rを有する。
突状部3rは、係止部材Lにおける弾性アーム3cから、係止操作部3d、先端凸部3e、係止突起3f、および一対のスリットSを削除した状態と同形状である。すなわち、突状部3rは、円筒部3bの先端から、弾性アーム3cと同じ幅および同じ高さで、第1方向Z1に延びる円弧状の湾曲板で形成されている。
【0060】
蓋部材2Cは、一方の開口部O2に代えて、開口形状が開口部O2と略同様の凹部Vを有する。
凹部Vは、第1壁部2h、第2壁部2i、および第3壁部2jによって形成されている。
第1壁部2hは、天部2dにおいて把持部2cと対向する端縁から、突状部3rの外周面に沿って第2方向Z2に延びている。第1壁部2hの第2方向Z2の端部は、天部2dから係止部2eと同じ高さまで延びている。
第2壁部2iは、第1壁部2hの第2方向Z2の端部から外方向C2に向かって外周面2aまで延びている。
第3壁部2jは、対向方向Cおよび第2方向Z2に平行な壁体であり、対向方向Cおよび第2方向Z2と直交する方向における、第1壁部2hおよび第2壁部2iの両端部と、外周面2aとの間に形成されている。
【0061】
このような構成によれば、第1の実施形態と略同様にして蓋部材2Cを取り外すことができる。
例えば、ユーザは、凹部Vに指f1を、開口部O2に指f2を挿入し、第1壁部2hと、把持部2cおよび係止操作部3dと、を、指f1、f2で把持する。係止操作部3dが内方向C1に押圧されると、突状部3rが第1壁部2hの内周面に当接し、押圧力の作用によって弾性アーム3cが内方向C1に弾性変形する。これにより、第1の実施形態と同様にして、係止部2eと係止突起3fとの係止が解除される。
この状態で、ユーザが、第1方向Z1に蓋部材2Cを移動させることによって、蓋部材2Cが取り外される。
【0062】
本実施形態では、突状部3rは、第1壁部2hが第1方向Z1に滑って位移動する際のガイド部材になっている。このため、突状部3rの外周面と第1壁部2hの内周面との接触時の摩擦力が低い方がより好ましい。突状部3rの外周面または第1壁部2hの内周面には、接触面積を低減する突起、例えば、半球状の突起や第1方向Z1に延びる突起などが形成されていてもよい。
【0063】
本実施形態の詰め替え容器10Cによれば、ユーザの意図的な操作以外の外力によって開放されにくく、収容物Mを迅速かつ容易に詰め替えることができる。
本実施形態は、係止部材Lが1つでもよい場合の例になっている。
【0064】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る詰め替え容器について説明する。
図14は、本発明の第3の実施形態に係る詰め替え容器の例を示す模式的な断面図である。
図14に示すように、本実施形態の詰め替え容器10Dは、第1の実施形態における詰め替え容器10の外殻部材1、蓋部材2、収容部3に代えて、外殻部材1D、蓋部材2D、収容部3Dを備える。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0065】
外殻部材1Dは、円筒部1bを貫通する複数の貫通孔H1が形成されている以外は、外殻部材1と同様である。
複数の貫通孔H1のそれぞれは、少なくとも、気体および液体が円滑に流通可能な大きさを有する。複数の貫通孔H1の個数は特に限定されない。
【0066】
蓋部材2Dは、外周面2aおよび天部2dの少なくとも一方において、外周面2aまたは天部2dを貫通する複数の貫通孔H2が形成されている以外は、蓋部材2と同様である。
図14に示す例では、複数の貫通孔H2は、外周面2aおよび天部2dにそれぞれ形成されている。しかし、複数の貫通孔H2は、外周面2aのみに形成されていてもよいし、天部2dのみに形成されていてもよい。
複数の貫通孔H2のそれぞれは、少なくとも、気体および液体が円滑に流通可能な大きさを有する。
【0067】
収容部3Dは、円筒部3bおよび弾性アーム3cの少なくとも一方において、円筒部3bまたは弾性アーム3cを貫通する複数の貫通孔H3が形成されている以外は、収容部3と同様である。
複数の貫通孔H3のそれぞれは、少なくとも、気体および液体が円滑に流通可能な大きさを有する。ただし、収容物Mが固体の場合には、固体状態の収容物Mが通過できない大きさに形成される。複数の貫通孔H3の個数は特に限定されない。
【0068】
このような構成によれば、収容部3Dの内部は、複数の貫通孔H3を通して外殻部材1Dおよび蓋部材2Dの内側の空間に連通している。外殻部材1Dおよび蓋部材2Dは、それぞれ、複数の貫通孔H1、H2を通して、詰め替え容器10Dの外部と連通している。
このため、収容部3Dと、外殻部材1Dおよび蓋部材2Dの内部空間と、は、詰め替え容器10Dの外部との間で、気体および液体の出入りが可能である。
例えば、収容物Mが揮発性または昇華性を有する場合には、収容物Mの揮発物または昇華物が、複数の貫通孔H3を通して、詰め替え容器10Dの内部に拡散した後、複数の貫通孔H1、H2を通して外部に放出される。
例えば、収容物Mが溶出性を有する場合には、複数の貫通孔H1、H2、H3を通して、収容部3Dと、外殻部材1Dおよび蓋部材2Dの内部空間と、に流入した液体に、収容物Mが溶出する。溶出した収容物Mは、複数の貫通孔H3を通して液体とともに詰め替え容器10Dの内部に移動した後、複数の貫通孔H1、H2を通して、外部に流出する。
詰め替え容器10Dは、例えば、収容物Mが芳香剤、入浴剤、洗剤などの場合の容器として特に好適である。
【0069】
詰め替え容器10Dは、複数の貫通孔H1、H2、H3を有する以外は、第1の実施形態の詰め替え容器10と同様なので、第1の実施形態と同様、ユーザの意図的な操作以外の外力によって開放されにくく、収容物Mを迅速かつ容易に詰め替えることができる。
【0070】
なお、上記各実施形態および変形例では、詰め替え容器の外形が、第1方向Z1の端部が半球状の円柱形である例で説明した。しかし、詰め替え容器の外形はこれには限定されず、適宜の外形が可能である。例えば、詰め替え容器の外形は、球形、回転楕円形、角錐形、円錐形、多面体形などであってもよい。
【0071】
上記各実施形態および変形例では、収容部が円筒形の例で説明した。しかし、収容部は、筒状体であれば円筒形には限定されない。例えば、多角柱断面を有する筒状体、楕円断面を有する筒状体などでもよい。
【0072】
上記各実施形態および変形例では、係止操作部が第1方向に延びる弾性アームに設けられることによって、第1位置および第2位置の間で移動可能に設けられた例で説明した。しかし、係止操作部は、第1方向に交差する方向に押圧力が加えられることによって、第1位置から第2位置に移動し、押圧力を解除することで、第2位置から第1位置に移動できれば、第1方向に延びる弾性アーム以外の部材を介して収容部と固定されていてもよい。例えば、例えば、第1方向に交差する方向に付勢する適宜の弾性部材を介して収容部に固定されてもよい。
【0073】
上記各実施形態および変形例では、収容部と外殻部材とが別部材からなり、互いに係合して固定された例で説明した。しかし、収容部は、外殻部材の底面部に成形されていてもよい。
【0074】
上記各実施形態および変形例では、外殻部材の底面部に形成された開口部を通して、収容部の内部が視認できる例で説明したが、収容部の内部を視認できる開口部は形成されていなくてもよい。
【0075】
上記第1の実施形態および変形例では、第1の突起部および第2の突起部が、平面視で円弧状に延びている例で説明した。しかし、係止操作部が第3方向に移動した際に、第2の突起部における傾斜面に第1の突起部が当接できれば、第1の突起部および第2の突起部の平面視形状は円弧状には限定されない。
例えば、第1の突起部および第2の突起部の平面視形状は第3方向に交差する直線状であってもよい。
例えば、第1の突起部および第2の突起部の少なくとも一方は、第3方向に交差する方向において間を空けて複数個形成されてもよい。
【0076】
上記第3の実施形態では、外殻部材1Dと、蓋部材2Dと、にそれぞれ複数の貫通孔H1、H2が形成された例で説明した。しかし、詰め替え容器10Dの外部への流通路が充分に確保される場合には、複数の貫通孔H1、H2は、どちらかが削除されてもよい。
【0077】
以上、本発明の好ましい各実施形態を変形例とともに説明したが、本発明は各実施形態および変形例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0078】
1、1D 外殻部材
2、2A、2C、2D 蓋部材
2a 外周面(傾斜面)
2b 嵌合部
2c 把持部
2d 天部
2e 係止部
2f、2fA 突起部(第2突起部)
2h 第1壁部
2k、2kA 表面(傾斜面)
3、3C、3D 収容部
3b 円筒部(筒状体)
3c 弾性アーム
3d 係止操作部
3e 先端凸部(第1突起部)
3f 係止突起
3i 傾斜部
3k 端縁
3m、3p リブ
3n 先端(傾斜部)
3q1 湾曲部(傾斜部)
10、10A、10C、10D 詰め替え容器
C 対向方向
C1 内方向(第3方向)
C2 外方向
f1、f2 指
H1、H2、H3 複数の貫通孔
L、LA、LB 係止部材
M 収容物
O1 開口部(第1開口部)
O2 開口部(第2開口部)
S スリット
V 凹部
Z1 第1方向
Z2 第2方向