(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099790
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】車両用収納装置の組み付け構造
(51)【国際特許分類】
B60R 7/06 20060101AFI20220628BHJP
B60N 3/00 20060101ALI20220628BHJP
B60K 37/04 20060101ALI20220628BHJP
B60K 37/00 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
B60R7/06 Z
B60N3/00 Z
B60K37/04
B60K37/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213788
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 豊
【テーマコード(参考)】
3B088
3D022
3D344
【Fターム(参考)】
3B088CA06
3D022CA01
3D022CB01
3D022CC02
3D022CD05
3D344AA09
3D344AA12
3D344AB01
3D344AC07
3D344AC11
3D344AC13
3D344AC30
(57)【要約】
【課題】異音の発生を防止する。
【解決手段】車両用収納装置OTは、物品を収納可能な収納部材12の端縁と、該端縁に向かい合うパネル部材10の端縁との間に挟むように緩衝材20を配置して、収納部材12とパネル部材10とが組み付けられている。パネル部材10には、係合部22が設けられている。収納部材12には、係合部22が嵌まる係合受部24が設けられている。緩衝材20は、収納部材12の端縁とパネル部材10の端縁との間から該収納部材12に重なって、収納部材12と係合部22との間に挟まれるように配置されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納可能な収納部材の端縁と、該端縁に向かい合うパネル部材の端縁との間に挟むように緩衝材を配置して、前記収納部材と前記パネル部材とが組み付けられている
ことを特徴とする車両用収納装置の組み付け構造。
【請求項2】
前記パネル部材に設けられた係合部と、
前記収納部材に設けられ、前記係合部が嵌まる係合受部と、を備え、
前記緩衝材は、前記収納部材の端縁と前記パネル部材の端縁との間から該収納部材に重なって、前記収納部材と前記係合部との間に挟まれるように配置されている請求項1記載の車両用収納装置の組み付け構造。
【請求項3】
前記係合受部は、
前記収納部材における物品の収納空間を区画する壁部に対向配置された挟持片と、
前記壁部および前記挟持片の間に設けられた壁片と、を備え、
前記壁部と前記挟持片との間に、前記係合部が挟まれる請求項2記載の車両用収納装置の組み付け構造。
【請求項4】
前記挟持片は、前記壁部から離れる方向へ変位可能に構成されている請求項3記載の車両用収納装置の組み付け構造。
【請求項5】
前記係合部は、
前記係合受部と前記収納部材の間に挟まれる第1係合片と、
前記第1係合片と交差する方向に延びる第2係合片と、を備えている請求項2~4の何れか一項に記載の車両用収納装置の組み付け構造。
【請求項6】
前記緩衝材は、物品が収納される前記収納部材の内側から、前記収納部材の端縁と前記パネル部材の端縁との間に亘って配置されている請求項1~5の何れか一項に記載の車両用収納装置の組み付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オープントレイなどの車両用収納装置の組み付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に設置される小物入れは、意匠パネルに形成された開口部に整合させて、収納部分の開口縁を、意匠パネルにおける開口部の開口縁に突き当てて組み付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
収納部分および意匠パネルの不可避な寸法誤差に対応するため、収納部分の開口縁と、意匠パネルにおける開口部の開口縁との間に、わずかな隙間を設定する必要がある。このため、収納部分の開口縁と、意匠パネルにおける開口部の開口縁との間で異音が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、異音の発生を防止できる車両用収納装置の組み付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係る車両用収納装置の組み付け構造は、
物品を収納可能な収納部材の端縁と、該端縁に向かい合うパネル部材の端縁との間に挟むように緩衝材を配置して、前記収納部材と前記パネル部材とが組み付けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用収納装置の組み付け構造によれば、部材同士の接触に起因する異音の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施例に係るオープントレイが設けられたパネル部材を正面から示す概略斜視図である。
【
図2】実施例のパネル部材と収納部材とを分解して正面から示す概略斜視図である。
【
図3】実施例のパネル部材と収納部材とを分解して背面から示す概略斜視図である。
【
図5】実施例の収納部材を正面から示す概略斜視図であり、(a)は緩衝材の取り付け前であり、(b)は緩衝材の取り付け後である。
【
図7】実施例のオープントレイを縦断して示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明に係る車両用収納装置の組み付け構造につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。実施例では、車両用収納装置として、自動車のインストルメントパネルに設けられるオープントレイOTを例示して、以下に説明する。以下の説明では、車両を基準として方向を指称し、実施例では、オープントレイOTにおける車室に臨む出し入れ口が後方へ開口している。なお、オープントレイOTにおいて、車室側を正面といい、その反対を背面という場合もある。
【実施例0010】
図1に示すように、実施例に係るオープントレイOTは、インストルメントパネルの中央部を構成するパネル部材10に、収納部材12を組み付けて構成されており、車室から電話などの小物を出し入れ可能になっている。実施例のパネル部材10は、前後に貫通するように形成されたパネル開口部14を備えた樹脂成形品である(
図2および
図3参照)。実施例の収納部材12は、後方へ開口する収納開口部16を有する箱状に形成された樹脂成形品である(
図2および
図5参照)。収納部材12は、パネル開口部14に収納開口部16を整合させて、パネル部材10の前側(背面)に取り付けられている。オープントレイOTは、収納部材12において物品の収納空間を区画する上下左右の壁部18b,18a,18c,18cの内面と収納開口部16の開口内面とが揃っている(
図7参照)。ここで、収納部材12の端縁と、該端縁に向かい合うパネル部材10の端縁との間に挟むように緩衝材20を配置して、収納部材12とパネル部材10とが組み付けられている(
図7および
図8参照)。
【0011】
図7に示すように、オープントレイOTは、パネル部材10に設けられた係合部22と、収納部材12に設けられて、係合部22が嵌まる係合受部24とを備えている。実施例のオープントレイOTは、パネル部材10におけるパネル開口部14の下側開口縁14aに設けられた係合部22と、収納部材12の下部に設けられた係合受部24とを嵌め合わせている。また、実施例のオープントレイOTは、収納部材12の上部および前部を、パネル部材10に対して前側からねじ止めして固定している。
【0012】
図4に示すように、実施例の係合部22は、パネル開口部14の下側開口縁14aに左右に離して2カ所設けられている。係合部22は、前方へ突出するように形成されて、係合受部24と収納部材12の下壁部18aとの間に挟まれる第1係合片22aと、前方へ突出するように形成されて、第1係合片22aと交差する方向に延びる第2係合片22bとを備えている。実施例の第1係合片22aおよび第2係合片22bは、何れも板形状である。より具体的には、係合部22は、左右に離して設けられた2つの第1係合片22a,22aの間に、左右へ延びるように架設された第2係合片22bを有する背面視で「H」形状になっている。第1係合片22aは、下側開口縁14aから前方へ張り出す先端部の上部が、後から前へ向かうにつれて下方傾斜するように形成された先細り形状になっている。
【0013】
図5に示すように、収納部材12の下壁部18aには、係合部22に対応して、係合受部24が左右に離して2カ所設けられている。
図5および
図8に示すように、実施例の係合受部24は、収納部材12の下壁部18aに対向配置された挟持片24aを備えている。また、係合受部24は、挟持片24aの前縁および下壁部18aの間に架設された底壁片(壁片)24bと、挟持片24aの側縁および下壁部18aの間に架設された横壁片(壁片)24cを備えている。実施例の係合受部24は、挟持片24a、底壁片24bおよび左右の横壁片24c,24cによって、後方へ開口する袋状に形成されている(
図5参照)。係合受部24は、下壁部18aと挟持片24aとの間に、係合部22における左右の第1係合片22a,22aを挟むようになっている。また、係合受部24は、係合部22における左右の第1係合片22aを、左右の横壁片24c,24cの間に挟むようになっている。なお、下壁部18aと挟持片24aとの間は、開口側(後)から奥側(前)へ向かうにつれて上下寸法が小さくなるように形成されている(
図8参照)。
【0014】
緩衝材20は、不織布や織布などの布地、ポリプロピレン等の発泡体シート、植毛シートなどの弾力性やクッション性を有するものを用いることができ、実施例では不織布を用いている。
図7および
図8に示すように、緩衝材20は、パネル部材10におけるパネル開口部14のうち、前方へ折り返された下側開口縁14aの前端縁と、収納部材12における下壁部18aの後端縁との間に挟まれるように配置される。また、緩衝材20は、収納部材12における下壁部18aの内側から、下壁部18aの後端縁と下側開口縁14aの前端縁との間に亘って配置されている(
図7参照)。このように、実施例のオープントレイOTでは、緩衝材20が収納部材12の内側下面を覆っている(
図5(b)参照)。オープントレイOTは、柔軟な緩衝材20を収納空間に配置することで、収納した物品を傷付かないように保護したり、車両走行時に物品と収納部材12との接触により異音が発生したりすることなどを防止している。
【0015】
図7および
図8に示すように、緩衝材20は、収納部材12における下壁部18aの後端縁とパネル部材10における下側開口縁14aの前端縁との間から下壁部18aに重なって、下壁部18aと係合部22の先端部分との間に挟まれるように配置されている。緩衝材20は、下壁部18aの内側から後端縁で折り返して下壁部18aの外側に巻き掛けられている。実施例の緩衝材20には、係合受部24の横壁片24cの位置に合わせて切り欠き20aが形成されている(
図6参照)。緩衝材20は、切り欠き20aに横壁片24cを入れて、下壁部18aにおける係合受部24の内側および係合受部24の外側に、後縁を巻き掛けている(
図5(b)参照)。なお、緩衝材20は、対をなす切り欠き20a,20aの間の係合受部24の内側に巻き掛ける部分が、係合受部24の外側に巻き掛ける部分よりも短くなっている。
【0016】
オープントレイOTは、収納部材12における下壁部18aの後端縁と、該後端縁に向かい合うパネル部材10における下側開口縁14aの前端縁との間に挟むように緩衝材20を配置して、収納部材12とパネル部材10とが組み付けられている。このようなオープントレイOTの組み付け構造によれば、緩衝材20の存在によって、下壁部18aの後端縁と、パネル部材10における下側開口縁14aの前端縁との間で、車両走行時の振動などに起因して異音が発生することを防止できる。また、緩衝材20によって、収納部材12とパネル部材10との間のガタつきを防止することができる。しかも、収納部材12における下壁部18aの後端縁と、パネル部材10における下側開口縁14aの前端縁との隙間を、緩衝材20によって塞ぐことで、見栄えを向上することができる。
【0017】
緩衝材20は、収納部材12における下壁部18aの後端縁と、パネル部材10における下側開口縁14aの前端縁との間から下壁部18aに重なって、下壁部18aと係合部22との間に挟まれるように配置されている。このようなオープントレイOTの組み付け構造によれば、緩衝材20の存在によって、下壁部18aと係合部22との間で、車両走行時の振動などに起因して異音が発生することを防止できる。また、緩衝材20によって、収納部材12とパネル部材10との間のガタつきを防止することができる。
【0018】
係合受部24は、収納部材12の下壁部18aに上下方向へ対向配置された挟持片24aと、下壁部18aおよび挟持片24aの間に設けられた底壁片24bと、下壁部18aおよび挟持片24aの間に設けられた横壁片24cとを備えている。オープントレイOTは、係合部22が下壁部18aと係合受部24の挟持片24aとの間に挟まれることで、収納部材12およびパネル部材10を上下方向において位置決めすることができる。これにより、パネル部材10のパネル開口部14と収納部材12の収納開口部16とを上下に揃えて見栄えを向上させることができる。オープントレイOTは、係合部22が係合受部24における左右の横壁片24c,24cの間に挟まれることで、収納部材12およびパネル部材10を左右方向において位置決めすることができる。これにより、パネル部材10のパネル開口部14と収納部材12の収納開口部16とを左右に揃えて見栄えを向上させることができる。オープントレイOTは、下壁部18aと挟持片24aとの間を開口側(後)から奥側(前)へ向かうにつれて上下寸法が小さくなるように形成することで、係合受部24に嵌まった係合部22の前後位置を規定でき、収納部材12およびパネル部材10を前後方向において位置決めすることができる。これにより、パネル部材10のパネル開口部14と収納部材12の収納開口部16とを前後に揃えて見栄えを向上させることができる。
【0019】
特に、係合受部24が底壁片24bおよび左右の横壁片24c,24cを有する袋形状であると、係合受部24が変形し難くなるが、係合受部24の内側に巻き掛けた緩衝材20が係合部22に当たって圧縮変形することで、係合受部24および係合部22の寸法誤差などを吸収することができる。
【0020】
係合部22は、係合受部24と収納部材12の間に挟まれる第1係合片22aと、第1係合片22aと交差する方向に延びる第2係合片22bとを備えている。具体的には、係合部22は、左右の第1係合片22a,22aの間に第2係合片22bが架設されているので、第1係合片22aおよび第2係合片22bが板状であっても全体として強度に優れている。また、係合部22は、左右に離して2つの第1係合片22a,22aを有しているので、係合受部24に斜めに嵌まったりするなど異常な姿勢で嵌まることを回避でき、収納部材12およびパネル部材10を適切に組み付けることができる。更に、係合部22を係合受部24における左右の横壁片24c,24cに挟まれるように構成することで、パネル部材10のパネル開口部14と収納部材12の収納開口部16とを左右に揃えて見栄えを向上させることができる。
【0021】
(変更例)
前述した事項に限らず、例えば以下のようにしてもよい。なお、本発明は、実施例および以下の変更例の具体的な記載のみに限定されるものではない。
(1)係合受部は、挟持片が対向する下壁部(壁部)から離れる方向へ変位可能に構成されていてもよい。例えば、係合受部は、横壁片(または底壁片)を省略して、底壁片(または横壁片)および挟持片からなる鉤状に形成したり、横壁片(または底壁片)を下壁部(壁部)または挟持片に繋がらないように形成したりすることなどが挙げられる。このとき、底壁片(または横壁片)の一部または全体を挟持片よりも薄くするなど、薄肉に形成することで、挟持片を変位し易くすることができる。このように挟持片を、対向する下壁部(壁部)から離れる方向へ変位可能に構成することで、係合部を係合受部に嵌め込み易くすることができる。
(2)実施例では、車両用収納装置としてオープントレイを例示したが、これに限らず、例えば蓋付きの収納装置など、その他の収納装置であってもよい。