(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099880
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】釣竿
(51)【国際特許分類】
A01K 87/00 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
A01K87/00 630P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213937
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 篤
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019AA07
2B019AB13
2B019AB14
2B019AB15
2B019AB33
2B019AC00
(57)【要約】
【課題】継合部分で嵌合力の向上が図れると共に合わせ時の感覚が良く、水分が付着しても嵌合の解除が容易になる継合構造を備えた釣竿を提供する。
【解決手段】大径竿杆3と小径竿杆5の継合構造10を有する釣竿において、継合構造は、二軸以上に指向している強化繊維が編成されて高剛性部が周方向及び長手方向に交互に配置されている繊維強化シートを、それぞれオス側の継合部5a、及び、メス側の継合部3aに配設して構成されていることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大径竿杆と小径竿杆の継合構造を有する釣竿において、
前記継合構造は、二軸以上に指向している強化繊維が編成されて高剛性部が周方向及び長手方向に交互に配置されている繊維強化シートを、それぞれオス側の継合部、及び、メス側の継合部に配設して構成されていることを特徴とする釣竿。
【請求項2】
前記繊維強化シートは、強化繊維が三軸方向に指向した三軸クロスシートであることを特徴とする請求項1に記載の釣竿。
【請求項3】
前記繊維強化シートは、強化繊維が直交する二軸方向に指向した織布シートであることを特徴とする請求項1に記載の釣竿。
【請求項4】
前記オス側の継合部、及び、メス側の継合部に配置される繊維強化シートは、同一構成であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の釣竿。
【請求項5】
前記継合構造は、前記小径竿杆と大径竿杆の軸方向の嵌合長さ範囲内において、両竿杆の継合が成される領域のみに配設されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並継式、振出式、インロー式等、大径竿杆と小径竿杆との間で継合構造(合わせ構造)を備えた釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記した継合構造を有する釣竿を使用してキャスティング等を行なうと、継合部分で回転したり、軸方向に変位することがある。このような継合部分での回転や軸方向の変位は、オス・メスの嵌合が緩むことで発生するものと考えられる。
継合部分での緩みを防止するために、特許文献1には、内側竿杆の外周面に、円周方向の凹溝を形成した継合構造が開示されている。また、特許文献2には、内側竿杆の外周面、或いは、外側竿杆の内周面の何れかに、補強繊維等を周方向に任意のピッチでスパイラル状又は綾状に巻き付けて、突起を一体成形した継合構造が開示されている。さらに、特許文献3には、内側竿杆の外周面、或いは、外側竿杆の内周面の何れかに、織物を装着した継合構造が開示されている。
【0003】
また、現状の各種の釣竿の継合部分には、上記の継合構造以外にも、潰れ強度及び捩れ強度を向上するために、強化繊維(炭素繊維)を、軸長方向に対して傾斜した方向に指向させた一方向プリプレグシート(UDシート)を2枚重ねて強化繊維の配向方向を±45°にした併せシートを内側竿杆の外周面(オス側)及び外側竿杆の内周面(メス側)に配設した構造も用いられている(現行品と称する)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭53-039787号
【特許文献2】実公平03-074258号
【特許文献3】実公平04-006662号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1から3に開示された継合構造によれば、ある程度の嵌合力の向上は得られるものの、継合部分のオス側、メス側のいずれか一方のみに凹凸形状を設けている構成であるため、合わせ時に滑るような感覚となり、信頼性に欠けるという問題がある。また、水分が付着すると、固着現象が発生し易いという問題がある。さらに、現行品の継合構造においても、合わせ時に確実な継合状態が得られず(合わせ時の感触も良くない)、固着現象も発生し易いという問題がある。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、継合部分で嵌合力の向上が図れると共に合わせ時の感覚が良く、水分が付着しても嵌合の解除が容易になる継合構造を備えた釣竿を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係る釣竿は、大径竿杆と小径竿杆の継合構造を有しており、前記継合構造は、二軸以上に指向している強化繊維が編成されて高剛性部が周方向及び長手方向に交互に配置されている繊維強化シートを、それぞれオス側の継合部、及び、メス側の継合部に配設して構成されていることを特徴とする。
【0008】
上記した構成の釣竿によれば、大径竿杆と小径竿杆を継合させた際、オス側の高剛性部とメス側の高剛性部がかみ合うように継合して嵌合力の向上が図れる。すなわち、高剛性部同士がかみ合うことで、安定した継合状態となって長手方向や回転方向に変位し難くなり、高剛性部同士がかみ合っていない場合であっても、回転方向や長手方向に少しずれることで高剛性部同士がかみ合うことから、安定した継合状態が得られる。さらに、オス側、及び、メス側は、共に強化繊維が二軸以上に指向して編成された構成であり、従来のように、凹部や凸部を形成しない(両者の表面に凹凸が殆どない)ことから、合わせ時の感触に影響を及ぼすことがないと共に、凹部に水分が滞留して空気層を減らすようなことも抑制され、水分が付着した際の嵌合の解除がし易くなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、継合部分で嵌合力の向上が図れると共に合わせ時の感覚が良く、水分が付着しても嵌合の解除が容易な継合構造を備えた釣竿が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1に示した釣竿の継合部分を模式的に示した図。
【
図3】継合部分に用いられる繊維強化シートの一例を示す図であり、強化繊維が三軸方向に指向した三軸クロスシートの編成部分を拡大して示す図。
【
図4】従来の継合構造と本発明に係る継合構造との間で嵌合の解除力について試験した結果を示す図。
【
図5】従来の継合構造と本発明に係る継合構造との間でねじる力と時間の関係について試験した結果を示す図。
【
図6】従来の継合構造と本発明に係る継合構造に関し、ドライ状況とウェット状況での嵌合解除力について試験した結果を示す図。
【
図7】繊維強化シートの別の実施例を示す図であり、(a)はオス側の編成部分の模式図、(b)はメス側の編成部分の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明に係る釣竿の一実施形態を示す図である。
本発明に係る釣竿1は、複数の竿杆を継合して構成されており、本実施形態では、元竿杆3、中竿杆5、及び穂先竿杆7の3本の竿杆を並継式で継合し、魚釣用リールRが装着される釣竿が示されている。この釣竿1の各竿杆の端部領域Pには、後述する継合構造10が設けられている。
【0012】
前記元竿杆3には、魚釣用リールRを固定するリールシート3Aが設けられている。また、中竿杆5及び穂先竿杆7には、魚釣用リールRから繰り出される釣糸を挿通させる複数の釣糸ガイド8A~8Fが設けられており、穂先竿杆7の先端には、トップガイド9が嵌入、固定されている。なお、各竿杆に配設される釣糸ガイドの位置、個数、構成については任意であり、元竿杆3にも釣糸ガイドを配設しても良い。
【0013】
元竿杆3及び中竿杆5は、繊維強化樹脂製の管状体で形成されており、例えば、強化繊維(主に炭素繊維やガラス繊維等)に、エポキシ樹脂等の合成樹脂を含浸した繊維強化樹脂プリプレグ(プリプレグシート)を芯金に巻回し加熱工程を経た後、脱芯する等、定法に従って形成されている。また、穂先竿杆7は、元竿杆及び中竿杆と同様、管状体で構成してもよいし、中実体、或いは、管状体と中実体で形成してもよい。
【0014】
次に、上記した釣竿1の継合構造10について説明する。
図2は、元竿杆(大径竿杆)3と中竿杆(小径竿杆)5との接合構造10を模式的に示した図であり、元竿杆3の先端の開口側の内周面(メス側の継合部)3aに、中竿杆5の基端側の外周面(オス側の継合部)5aが挿入されて両竿杆が継合される並継式を示す。前記内周面3aと外周面5aには、小径竿杆を挿入して継合固定がされるように、いずれかの面、或いは、両面にテーパが形成されている(テーパの変化率については適宜設定される)。
図2では、オス側となる中竿杆5の外周面5aに、基端側に移行するに連れて縮径するテーパが形成されており、範囲L1で両者は互いに密着して嵌合固定(継合固定)される。
なお、中竿杆5が元竿杆3に対して嵌入される長さについては、図に示すように、嵌合長さ範囲Lとなるが、実際に両者の継合がなされる領域は、図に示す範囲L1である(このような範囲L1を継合領域とも称する)。
【0015】
上記したように、元竿杆3及び中竿杆5は、プリプレグシートを巻回することで形成されており、一般的に前記嵌合長さ範囲Lには、補強用のプリプレグシートが巻回されている。本発明では、このような継合構造10において、元竿杆3の内周面3aと中竿杆5の外周面5aの双方に、強化繊維を二軸以上に指向させて編成された繊維強化シートが配設されている。この場合、それぞれに配設される強化繊維については、少なくとも継合部(上記の継合領域L1)に配設されていればよい。
【0016】
元竿杆3の内周面(メス側の継合部)3a及び中竿杆5の外周面(オス側の継合部)5aに配設される繊維強化シートは、1プライ以上巻回されていれば良く、強化繊維が編成されていることから、指向している強化繊維同士が重なる部分は、高剛性部が周方向及び長手方向に交互に配置された状態となる。すなわち、編成状態で強化繊維が上下に重なっている部分は、繊維体積含有率(Vf)が高いことから、オス側とメス側にそのような高剛性部を有する繊維強化シートを配設して、両者を嵌合させると、高剛性部が重なる(かみ合う)ことで変位し難くなり、嵌合力を向上させることが可能となる。この場合、そのような高剛性部同士がかみ合っていない(一方の樹脂量が多い領域に他方の高剛性部が重なっている状態)と、感覚的に回転方向及び長手方向にずれが生じる感覚となるが、多少ずらすことで高剛性部同士がかみ合い、回転防止効果、長手方向の抜け防止効果(安定した継合状態)が得られる。
【0017】
図3は、上記した継合構造10に用いられる繊維強化シートの一例を示している。
この例の繊維強化シート12は、強化繊維を三軸方向(周方向12a、及び斜め方向12b,12c)に編成した三軸クロスシートであり、図のドットで示す位置20が、周方向及び長手方向に交互に配置された高剛性部(三軸に指向している強化繊維同士が重なって繊維体積含有率が高い部分)となる。
【0018】
このような三軸クロスシートの場合、高剛性部20が亀甲状に配列されることから、これを大径竿杆と小径竿杆の継合部分に配設すると、上記したように、オス側の高剛性部とメス側の高剛性部同士がかみ合い易くなる。すなわち、高剛性部同士がかみ合うと、両竿杆が長手方向や回転方向に変位し難くなって、嵌合力が向上して安定した継合状態となる。また、繊維強化シート12は、強化繊維が編成された構成であることから、両者の表面に凹凸が殆どなく、合わせ時の感触に影響を及ぼすことがない。さらに、大きな凹凸があると、水分がその凹部に滞留し易くなって固着現象が生じ易くなるが、凹凸が殆どないことから、水分の滞留が抑制され、嵌合の解除がし易い効果も期待できる。
【0019】
さらに、三軸クロスシートは、強化繊維が三軸方向に指向されていることから、巻回領域における剛性、及びねじれ強度を高くすることが可能となり、重量を増加することなく効率的に補強効果を得ることが可能となる。
【0020】
ここで小径竿杆と大径竿杆の継合部分に、上記した三軸クロスシートを用いた継合構造と従来の継合構造に関し、嵌合力について行った試験の結果について説明する。
【0021】
図4は、小径竿杆と大径竿杆を振出式の継合構造としたものを複数本準備(Type1~Type7)して、嵌合力についての試験結果を示したものである。試験に用いた継合構造は、小径竿杆と大径竿杆を振り出し式にしたものであり、振り出した状態で垂直状態に保持し、嵌合する垂直方向に10kgfの押圧荷重を加え、さらにそこから嵌合解除方向へ荷重を加えて、両者の嵌合が解除されたときの荷重を示したものである。
【0022】
結果表において、各Typeの上側は、嵌合長さ範囲における大径竿杆(メス側)の繊維強化シートの配設パターンを、各Typeの下側は、嵌合長さ範囲における小径竿杆(オス側)の繊維強化シートの配設パターンを示している。
【0023】
結果表において、Type1は、従来品の継合構造(炭素繊維の配向方向を±45°にした併せシートをオス側及びメス側に配設した継合構造)であり、この嵌合構造に対して、どの程度、嵌合力が向上したかが棒グラフで示してある。
【0024】
結果表において、Type2は、
図3に示した三軸クロスシートを、オス側及びメス側の嵌合長さ範囲に配設した構成である。Type3は、
図3に示した三軸クロスシートを、オス側で嵌合長さ範囲に配設し、メス側で継合領域に配設した構成である。Type4は、
図3に示した三軸クロスシートを、オス側で継合領域に配設し、メス側で嵌合長さ範囲に配設した構成である。Type5は、
図3に示した三軸クロスシートを、オス側及びメス側で共に継合領域に配設した構成である。Type6は、
図3に示した三軸クロスシートを、オス側の嵌合長さ範囲に配設し、メス側は従来品と同じ併せシートを嵌合長さ範囲に配設した構成である。そして、Type7は、
図3に示した三軸クロスシートを、メス側の嵌合長さ範囲に配設し、オス側は従来品と同じ併せシートを嵌合長さ範囲に配設した構成である。
【0025】
結果表に見られるように、現行品であるType1に対して、Type2の構成で高い嵌合力の向上(17%の向上)が見られた。すなわち、オス側、メス側共に三軸クロスシートを配設することで、嵌合力の向上が見られるのであり、Type3~Type5に示すように、嵌合長さ範囲全体に亘って三軸クロスシートを配設しなくても、いずれか一方、又は、両方の継合領域に配設する構成であっても、嵌合力の向上が見られた(それぞれ17%、5%、8%の向上が見られた)。なお、いずれか一方のみに三軸クロスシートを配設しても(Type6,7)、嵌合力の向上は見られたが(6%、1%)、両側に配設することが好ましい。これは、三軸クロスシートを配設しなかった側の繊維強化シートは、±45°の併せシートであり、高剛性部が周方向及び長手方向に交互に配置された状態にないため、高剛性部同士がかみ合うことが無く、それにより嵌合力が向上しなかったものと考えられる。
【0026】
図5は、小径竿杆と大径竿杆を振出式の継合構造としたものを複数本準備して、ねじれ難さについての試験結果を示したものである。ここでは、上記したような現行品を2本、三軸シートについて、一つの軸が縦方向(長手方向)に沿うように配設されている試験品を2本、一つの軸が横方向(周方向)に沿うように配設されている試験品を2本それぞれ準備した。そして、各竿杆について、小径竿杆と大径竿杆を振り出した状態で大径竿杆の元部を固定して垂直状態に保持し、垂直方向に10kgfの押圧荷重を加え、そのまま試験機でねじる(4.5°/sec)試験を行ない、ねじる力と時間の関係について検証をした。
【0027】
このグラフに見られるように、三軸シートを用いた4本の試験品のいずれも、現行品の2本に対して、時間の経過に伴って大きなトルクが発生(時間当たりのトルク上昇率が高い)することから、継合構造としてはねじれ難いという結果が得られた。
【0028】
図6は、小径竿杆と大径竿杆を振出式の継合構造としたものを現行品(上記したType1)と試験品(上記したType2)の2つを準備し、継合部分をドライ条件及び水を浸したウェット条件にして嵌合力が解除される荷重についての試験結果を示したものである。
【0029】
現行品におけるウェット条件では、ドライ条件に対して15%増の荷重で嵌合解除されるところ、試験品におけるウェット条件では、ドライ条件に対して10%増の荷重で嵌合解除される結果が得られた。すなわち、継合構造として、オス側、メス側に三軸クロスシートを配設することで、水分による固着への影響が出難いという結果が得られた。これは上記したように、表面の凹凸が少ないことから、水分が滞留し難くなり、これにより固着現象が生じ難かったものと予測できる。
【0030】
以上の試験結果によれば、釣竿の継合構造に、二軸以上に指向している強化繊維が編成されて高剛性部が周方向及び長手方向に交互に配置されている繊維強化シートを、それぞれオス側の継合部、及び、メス側の継合部に配設したことで、嵌合時に高剛性部同士がかみ合って長手方向や回転方向に変位し難い構成が得られる。また、オス側、メス側は、共に強化繊維が二軸以上に指向して編成された構成であるため、両者の表面に凹凸が殆どなく、合わせ時の感触に影響を及ぼすことはない。さらに、大きな凹部(溝部や円周溝)がないことから、水分が滞留して空気層を減らすことが抑制され、水分が付着した際の嵌合の解除がし易い構成が得られる。
【0031】
また、継合構造については、そのような繊維強化シートが、小径竿杆と大径竿杆の軸方向の嵌合長さ範囲内において、両竿杆の継合が成される領域のみに配設されていても効果を発揮することが可能である。
【0032】
前記繊維強化シートについては、例えば、
図7(a)(b)に示すように、強化繊維が直交する二軸方向に指向した織布シートであっても良く、(a)はオス側に配設される繊維強化シート12Aを、(b)はメス側に配設される繊維強化シート12Bをそれぞれ示している。これらの繊維強化シート12A,12Bは、共に強化繊維が直交する方向(周方向12d、及び長手方向12e)に編成された同一構成の織布シートであり、分かりやすいように、(a)では強化繊維の編成状態を、(b)では編成された強化繊維において、高剛性部をドット(符号20A)で示している。すなわち、編成された強化繊維において、符号20Aで示す位置が、周方向及び長手方向に交互に配置された高剛性部(直交する方向に指向している強化繊維同士が重なって繊維体積含有率が高い部分)であり、符号20Bで示す位置が、強化繊維が重ならない部分(中剛性部)であり、符号20Cで示す位置が、強化繊維が存在しない部分(低剛性部)である。
【0033】
このような構成の繊維強化シート12Aであっても、高剛性部20Aが長手方向及び周方向に交互に配設されるため、上記した三軸クロスシートと同様な作用効果を得ることが可能である。
【0034】
なお、上記した実施形態のように、オス側の継合部、及び、メス側の継合部に配置される繊維強化シートは、同一の構成にすると高剛性部同士がかみ易くなり好ましいが、高剛性部同士がかみ合うことが可能であれば、異なる構成の繊維強化シートを用いても同様な効果を発揮することが可能と思われる。例えば、一方の側に三軸クロスシートを用い、他方の側に織布シートを用いるなど、適宜、変形することが可能である。また、その場合の繊維の指向方向についても適宜変形することが可能である。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることは無く、種々変形することが可能である。
上記した実施形態において、継合構造を構成する強化繊維シートについては、釣竿の種類、大径竿杆と小径竿杆の径等に応じて、その巻回数、強化繊維の種類、樹脂含浸量、肉厚等は適宜変形することが可能である。また、継合構造としては、振出式、インロー式においても適用することが可能であり、釣竿を構成する竿杆の本数についても限定されることはない。
【符号の説明】
【0036】
1 釣竿
3 元竿杆
5 中竿杆
7 穂先竿杆
10 継合構造
12,12A 繊維強化シート
20,20A 高剛性部